図1は、本発明の楽器音出力装置の好適な実施例であるカラオケ装置10の構成を例示するブロック線図である。この図1に示すように、本実施例のカラオケ装置10は、中央演算処理装置であるCPU12と、読出専用メモリであるROM14と、随時書込読出メモリであるRAM16と、記憶装置であるハードディスク18と、グラフィックスチップ(グラフィックスボード)等の映像処理部20と、サウンドチップ(サウンドボード)等の音声処理部22と、操作パネル24と、表示制御部26及び入力制御部28を介して前記CPU12に接続されたタッチパネルディスプレイ30と、通信インターフェイス36と、LANインターフェイス38と、無線通信部40と、ビデオ出力端子42を介して前記映像処理部20に接続された映像表示装置であるディスプレイ44と、オーディオ入力端子46を介して前記音声処理部22に接続された音声入力装置であるマイクロフォン48と、オーディオ出力端子50を介して前記音声処理部22に接続された音声増幅装置であるアンプ52と、そのアンプ52に備えられた音声出力装置であるスピーカ54と、オーディオ入力端子72を介して前記音声処理部22に接続されたサウンドエフェクタ74とを、備えて構成されている。
前記CPU12は、前記RAM16の一時記憶機能を利用しつつ前記ROM14に予め記憶された所定のプログラムに基づいて電子情報を処理・制御する所謂マイクロコンピュータであり、前記カラオケ装置10における各種制御を実行する。すなわち、前記操作パネル24、タッチパネルディスプレイ30、或いは電子早見本装置68等により所定の楽曲(カラオケ演奏曲)が選曲入力された場合、その選曲入力された楽曲を前記RAM16等に設けられた予約曲テーブルに登録する選曲予約制御、その予約曲テーブルの演奏順に従って前記ハードディスク18から前記RAM16に選曲されたカラオケ演奏曲の演奏情報及び歌詞情報(楽曲データ)を読み出す楽曲データ読出制御、楽曲の演奏進行に応じてそのRAM16から前記音声処理部22へ演奏情報を送信する演奏出力制御、その演奏出力制御に際して前記RAM16に展開された歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成して前記映像処理部20へ送信する歌詞文字映像出力制御、前記演奏出力制御に際して前記映像処理部20を制御して所定の背景映像を再生させる背景映像出力制御、及びカラオケ演奏が行われていない間すなわち曲間において、新譜情報、選曲ランキング、店舗広告等の曲間情報を出力させる曲間情報出力制御等の基本的な制御に加え、後述する本実施例の出力周波数特性設定制御及び演奏音周波数特性算出制御等の各種制御を実行する。
前記映像処理部20は、前記ディスプレイ44に表示される画面(映像)の描画に係る各種制御を行う。例えば、前記CPU12から供給されるデータに基づいてグラフィックスメモリにそのデータを書き込み、そのデータを読み出すことによって前記ビデオ出力端子42を介して前記ディスプレイ44に所定の画面を表示させる制御を行う。具体的には、前記カラオケ装置10による楽曲の演奏出力(カラオケ演奏)に際して、前記CPU12において生成された歌詞文字映像等の文字映像(テロップ)を出力させたり、前記ハードディスク18に記憶されたMPEG(Moving Picture Experts Group)データ等の背景映像情報に基づいて所定の背景映像を再生(デコード)させたり、その背景映像の前面側に前記歌詞文字映像を合成させて前記ディスプレイ44に表示させたり、その歌詞文字映像を前記楽曲の演奏進行に応じて順次色替わり表示させる等の各種表示制御を行う。なお、本実施例においては、前記映像処理部20により前記ディスプレイ44の表示制御を行う一方、後述する表示制御部26により前記タッチパネルディスプレイ30(表示装置32)の表示制御を行う態様について説明するが、前記映像処理部20により前記タッチパネルディスプレイ30の表示制御をも行う態様も考えられる。この態様において、前記表示制御部26は必ずしも設けられなくともよい。
前記音声処理部22は、FM音源やPCM音源等の各種音源を備え、前記カラオケ装置10による音声出力に係る各種制御を行う。好適には、電子回路により音を合成し、各種音色を発生するシンセサイザ(synthesizer)を備えている。このシンセサイザは、前記ハードディスク18から読み出されて送られて来るカラオケ演奏曲の演奏情報に基づいて楽器の演奏信号等の音楽信号を生成する。前記シンセサイザは、好適には、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)端子を備えたものであり、前記演奏情報は、例えばMIDI形式のデータである。そのMIDIデータに基づいて前記シンセサイザにより生成された音楽信号は、前記マイクロフォン48から前記オーディオ入力端子46を介して入力される利用者(演奏者)の歌声とミキシングされ、前記オーディオ出力端子50を介して前記アンプ52に供給されてそのアンプ52により増幅されて前記スピーカ54から出力される。
前記操作パネル24は、前記カラオケ装置10の利用者が歌いたい楽曲を選択したり、楽曲の演奏出力に係る音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための操作ボタン(スイッチ)或いはつまみを備えた入力装置である。また、前記タッチパネルディスプレイ30は、画像(映像)を表示させると共に利用者の操作に応じて前記カラオケ装置10への操作入力を行う装置であり、そのタッチパネルディスプレイ30に所定の画像(映像)を表示させる表示装置32と、利用者の指や図示しない備え付けのペン等による前記タッチパネルディスプレイ30への接触により入力を行うタッチパネル34とを、備えている。前記表示制御部26は、前記CPU12から供給される情報に基づいて前記表示装置32に表示される画面(映像)の描画を制御する映像処理部である。前記入力制御部28は、前記タッチパネル34により入力される操作入力情報を前記CPU12等に供給する入力処理部である。以上の構成を備えていることで、前記タッチパネルディスプレイ30は、前記ディスプレイ44とは別に第2の映像表示装置として機能すると共に、前記カラオケ装置10の利用者が歌いたい楽曲を選択したり、楽曲の演奏出力に係る音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための入力装置として機能する。
前記カラオケ装置10は、前記通信インターフェイス36及びネットワーク接続端子56を介して通信回線60に接続されており、同様にその通信回線60に接続された他の機器との相互間でその通信回線60を介して情報の通信が可能とされている。前記通信回線60は、例えば公衆電話回線、ADSL回線、或いは光ファイバ回線等から構成されるWWW(World Wide Web)等のインターネットに接続された広域情報通信網である。前記カラオケ装置10は、好適には、前記通信回線60を介して図示しないサーバ(ホスト装置)に接続されており、そのサーバから楽曲データ(カラオケデータ)、背景映像情報、及び曲間情報等のデジタルコンテンツ(Digital Contents)の配信を受け付けるものである。すなわち、前記カラオケ装置10は、好適には、所定の通信回線に接続されてサーバとの間で各種情報の送受信を行う通信カラオケ装置であるが、斯かる通信回線に接続されない非通信型のカラオケ装置等にも本発明は好適に適用される。
前記LANインターフェイス38は、前記カラオケ装置10をLAN接続端子62を介してLAN(local area network)64に接続するための接続器であり、そのように前記LAN64に接続されることで、前記カラオケ装置10は、同様に前記LAN64に接続された電子早見本装置68等の他の機器との間で情報の送受信が可能とされる。また、前記カラオケ装置10が設置される店舗等に複数台のカラオケ装置が備えられている場合において、同様に前記LAN64に接続されたカラオケ装置相互間において情報の送受信が可能とされる。例えば、前記LAN64に接続されたアクセスポイント66を介して受信される電子早見本装置68からの選曲入力を受け付けて前記RAM16に設けられた予約曲テーブルに記憶したり、そのアクセスポイント66を介して前記カラオケ装置10から電子早見本装置68へ所定の情報を送信したりというように、電波を介して前記カラオケ装置10と電子早見本装置68との間における相互の情報のやりとりが実行される。
前記無線通信部40は、前記カラオケ装置10と前記電子早見本装置68等の入力装置との間の無線通信を行う。例えば、前記電子早見本装置68等の入力装置から送信されるリモコン信号を受信するリモコン受信部として機能する。前記カラオケ装置10と電子早見本装置68との対応付け(くくりつけ)処理は、好適には、斯かるリモコン信号(赤外線信号)により前記無線通信部40を介して行われる。すなわち、前記電子早見本装置68は、それぞれ個別のシリアル番号を有しており、前記対応付け処理においては、例えばそのシリアル番号(例えば、下4桁)及び所定の接続コードを含む信号が接続通知として前記カラオケ装置10へ送信され、前記無線通信部40によりその接続信号を受信したカラオケ装置10に対して前記電子早見本装置68が対応付けられる。そのようにして前記カラオケ装置10に対応付けられた電子早見本装置68は、そのカラオケ装置10の入力装置(遠隔操作装置)として機能し、その電子早見本装置68から送信される信号が前記CPU12に供給されることで、前記カラオケ装置10の利用者が歌いたい楽曲を選択したり、楽曲の演奏出力に係る音程を調整したり、演奏と歌との音量バランスを調整したり、その他、エコー、音量、トーン等の各種調整を行うための入力が受け付けられるようになっている。なお、前記対応付け処理が行われた後、前記電子早見本装置68と前記カラオケ装置10との間の通信は、前記LAN64及びアクセスポイント66等を介したLAN通信により行われる。また、本実施例においては、前記カラオケ装置10に対応付け処理の行われた電子早見本装置68等の入力装置もそのカラオケ装置10の一部を構成するものであるとして以下の説明を行う。
前記サウンドエフェクタ74は、外部装置であるエレキギターやベースギター(エレキベースギター)等の電気楽器(電子楽器)76に接続され、その電気楽器76から入力される信号を前記オーディオ入力端子72を介して前記音声処理部22へ供給する楽器入力装置である。好適には、外部装置である電気楽器76とシールド等を介して接続され、その電気楽器76から入力される信号(演奏に応じた演奏音に対応する信号)を前記オーディオ入力端子72を介して前記音声処理部22へ供給する。このサウンドエフェクタ74からの信号は、直接前記アンプ52に入力されるものであってもよい。また、好適には、前記サウンドエフェクタ74には、前記電気楽器76に対応して複数のサウンドエフェクトが予め記憶されて設定可能とされたものであり、前記電気楽器76から入力される信号に予め設定された複数のサウンドエフェクトを反映させて前記音声処理部22へ供給する。また、前記MIDIデータに基づくカラオケ演奏時に前記電気楽器76からの入力信号を受け付けることも可能である。斯かる態様において、前記MIDIデータに基づいて前記シンセサイザにより生成された音楽信号は、前記サウンドエフェクタ74から前記オーディオ入力端子72を介して入力される前記電気楽器76の演奏音とミキシングされ、前記オーディオ出力端子50を介して前記アンプ52に供給されてそのアンプ52により増幅されて前記スピーカ54から出力される。
前記ハードディスク18には、楽曲データベース78及び特性データベース80(図2を参照)をはじめとする各種データベースが設けられている。前記楽曲データベース78は、前記カラオケ装置10により前記楽曲の演奏出力(カラオケ演奏)を行うための多数(例えば、数万曲)の楽曲データ(カラオケデータ)を記憶する。また、前記楽曲データベース78には、後述する出力周波数特性の設定に用いられる、ホワイトノイズやピンクノイズをデジタル符号化したデータが、前記楽曲データと同様に選曲番号を付されて記憶されている。前記カラオケ装置10において出力される各楽曲に対応して前記楽曲データベース78に記憶された楽曲データは、例えば、メタデータ、演奏情報としてのMIDIデータ、及び歌詞情報としてのテロップデータを含んでいる。このメタデータは、例えば、各楽曲データの識別情報としての曲番号(選曲番号)、曲名、歌手名、登録日時等の情報を含んでいる。前記テロップデータは、前記映像処理部20を介して各楽曲の歌詞文字映像表示制御を行うための情報であり、例えば、前記楽曲データに対応する楽曲(演奏曲)の歌詞を複数に区分した各区分に相当するブロックデータを含んでいる。前記MIDIデータは、前記音声処理部22を介して各楽曲の演奏出力制御を行うための情報であり、複数種類の楽器にそれぞれ対応する複数のトラック(チャンネル)を備え、各トラックにおいて対応する楽器の演奏音の出力タイミングが定められている。
前記MIDIデータには、ヘッダ(ヘッダチャンク)が定められると共に、前記複数のトラック(トラックチャンク)としてコンダクタトラック、トラック1、トラック2、トラック3、・・・、トラックn(例えば、n=16)が定められている。前記ヘッダには、データ長、フォーマット、トラック数、及び時間単位等の情報が記憶されている。この時間単位は、4分音符の長さを示すものであり、前記MIDIデータの分解能に対応する。前記コンダクタトラックには、前記MIDIデータのテンポが定められている。前記トラック1〜16には、各トラックにそれぞれ対応して演奏出力に係る楽器(演奏音)の種類と、出力される演奏音の音階及び音長等を定める楽譜情報とが定められている。例えば、前記トラック2が「ピアノ」、トラック3が「エレキギター」、トラック4が「ベースギター」、・・・、というように、各トラック毎に対応する楽器(演奏音)の種類が定められており、その楽器の楽譜情報として出力タイミング(デルタタイム)、音階、音量(Volume)等の情報が各トラック毎に定められている。また、前記複数のトラックのうち所定のトラック(例えば、トラック10)は、専らリズムを取るための楽器の楽譜情報を定めるリズムトラックに対応するものであり、演奏音の音階を設定し得ない打楽器である例えば「バスドラム」、「スネアドラム」、「ハイハット」等の楽器(演奏音)に対応して、その楽譜情報としての出力タイミングが前記リズムトラックに定められている。
前記特性データベース80は、前記電気楽器76毎に、後述する演奏音周波数特性算出手段106により算出されたその電気楽器76の演奏音の周波数特性を、その電気楽器76の識別情報と対応付けて記憶する。また、前記電気楽器76の演奏音の周波数特性を、その電気楽器76の所有者(その電気楽器76を用いて楽器演奏を行う演奏主体である利用者)のユーザIDと対応付けて記憶するものであってもよい。この特性データベース80に記憶される演奏音の周波数特性については、演奏音周波数特性算出手段106の説明に併せて後述する。なお、本実施例においては、前記特性データベース80が前記カラオケ装置10のハードディスク18に設けられた実施例について説明するが、この特性データベース80は、必ずしも前記カラオケ装置10のハードディスク18に設けられたものでなくともよく、例えば、前記カラオケ装置10と前記通信回線60を介して接続されたサーバ装置に設けられたものであっても構わない。
図2は、前記カラオケ装置10のCPU12に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図2に示す楽曲演奏出力制御手段100は、前記カラオケ装置16による楽曲の出力(再生)を制御する。具体的には、前記楽曲データベース78に記憶された楽曲データに基づくカラオケ演奏において、前記RAM16等の予約曲テーブルにおける上位の予約曲から順に(すなわち入力順に)、その予約曲テーブルに記憶された予約曲の選曲番号に対応する楽曲データを前記ハードディスク18の楽曲データベース78から読み出し、その楽曲データに含まれる演奏情報に基づいて演奏曲の出力を制御する。例えば、演奏情報としてのMIDIデータに基づいて、前記音声処理部22に備えられたシンセサイザによりそのMIDIデータにおける楽譜情報としての各トラックに対応する楽器の演奏音(音楽情報)を出力させ、前記アンプ52等を介して前記スピーカ54から出力させる。また、楽曲データに含まれる歌詞情報に基づいて演奏曲に係る歌詞文字映像の出力を制御する。すなわち、歌詞情報に基づいて歌詞文字映像を生成し、前記映像処理部20を介してその歌詞文字映像を前記ディスプレイ44に表示させる。また、カラオケ演奏の進行に伴い、そのディスプレイ44に表示された歌詞文字映像を切替表示させると共に、歌詞色替情報に基づいて歌詞文字映像を順次色替え表示させる。
外部入力受付手段104は、前記カラオケ装置16に接続された外部装置からの音情報の入力を受け付ける。好適には、エレキギターやベースギター等の前記電気楽器76からの演奏音の入力を受け付ける。例えば、前記サウンドエフェクタ74及びオーディオ入力端子72等を介して前記音声処理部22に接続された外部装置としての前記電気楽器76からその音声処理部22への演奏音(演奏信号)の入力を受け付ける。この外部入力受付手段104により受け付けられた演奏音は、前記音声処理部22から前記オーディオ出力端子50を介して前記アンプ52へ供給され、前述のようにそのアンプ52により前記スピーカ54から出力される。ここで、前記外部入力受付手段104は、前記サウンドエフェクタ74に内蔵の制御部に備えられたものであってもよい。また、前記音声処理部22が前記外部入力受付手段104として機能するものであっても構わない。
前記楽曲演奏出力制御手段100は、マイナスワン演奏制御手段102を含んでいる。このマイナスワン演奏制御手段102は、例えば前記外部入力受付手段104により前記電気楽器76からの演奏音の入力が受け付けられる場合において、前記楽曲データに予め定められた前記複数種類の楽器にそれぞれ対応する楽譜情報のうち、規定の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏音の出力を行わず、余の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏音の出力を行うマイナスワン(N−1)演奏制御を実行する。ここで、好適には、前記外部入力受付手段104により演奏音の入力が受け付けられる前記電気楽器76が、前記マイナスワン演奏制御手段102により出力対象から除外される前記規定の楽器に対応する。すなわち、前記マイナスワン演奏制御手段102は、例えば、前記外部入力受付手段104により前記電気楽器76としてのエレキギターからの音情報の入力が受け付けられる場合において、前記楽曲データにおける複数のトラックにそれぞれ対応する楽器の演奏音のうち、エレキギターに対応するトラック(例えば、トラック3等)の演奏音を出力させず余のトラックに対応する楽器の演奏音を出力させる。換言すれば、エレキギターに対応するトラックが無いものとして前記楽曲データに基づく楽曲の出力を制御する。前記マイナスワン演奏制御手段102により演奏から除外される前記規定の楽器は、例えば前記電子早見本装置68等の入力操作により選択されるものであってもよいが、前記電気楽器76による演奏と併行して前記マイナスワン演奏制御手段102による演奏制御が行われる際に、その電気楽器76から入力される演奏音が解析され、その電気楽器76の種類が特定されるものであってもよい。このマイナスワン演奏制御手段102による演奏制御時に、前記外部入力受付手段104により前記電気楽器76からの演奏音の入力が受け付けられると、その電気楽器76から入力される演奏音があたかも楽曲における1パート(電気楽器76に対応するパート)として、余のトラックに対応する楽器の演奏に合わせてバンド演奏を行っているかのようなカラオケ演奏を実現できる。
演奏音周波数特性算出手段106は、前記電気楽器76から入力される演奏音(演奏音に対応する音声データ)に関して、よく知られた周波数解析アルゴリズムに従ってその演奏音の周波数解析を行うことで、その演奏音の周波数特性を算出する。具体的には、前記電気楽器76から入力される演奏音に係る複数の周波数帯域(例えば、20Hz〜20kHzを均等に区分した4〜100帯域程度の周波数帯域、以下の演奏出力に係る周波数特性等の説明において同じ)毎の音圧レベルを算出する。換言すれば、予め定められた複数の周波数帯域毎の、前記電気楽器76から入力される演奏音(音圧)の強弱の相対関係としての周波数特性を算出する。例えば、前記サウンドエフェクタ74を介して入力され、そのサウンドエフェクタ74において利用者により選択されたエフェクト効果が付与された演奏音に関して、前記演奏音周波数特性算出手段106による前記周波数特性の算出が行われる。
前記演奏音周波数特性算出手段106による演奏音の周波数解析において、前記電気楽器76から入力される演奏音は、例えばエレキギターやベースギター等における予め定められた所定のコード(和音)に対応するものであってもよいし、単音に対応するものであってもよい。すなわち、エレキギターやベースギター等において、複数の弦が同時に掻き鳴らされる演奏に対応するものであってもよいし、単数の弦が掻き鳴らされる演奏に対応するものであってもよい。また、前記演奏音周波数特性算出手段106による演奏音の周波数解析は、前記カラオケ装置16による楽曲データに基づく演奏出力に先立って実行されるものであってもよいし、その演奏出力と併行して前記電気楽器76から入力される演奏音に対して実行されるものであってもよい。この演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記電気楽器76の演奏音の周波数特性は、好適には、その電気楽器76の識別情報と対応付けられて前記特性データベース80に記憶される。また、前記電気楽器76の演奏音の周波数特性が、その電気楽器76の所有者(その電気楽器76を用いて楽器演奏を行う演奏主体である利用者)のユーザIDと対応付けられて前記特性データベース80に記憶されるものであってもよい。
出力周波数特性設定手段108は、前記楽曲の演奏出力に係る周波数特性を設定する。具体的には、前記楽曲データベース78に記憶された楽曲データ(MIDIデータ)に基づいて前記音声処理部22から出力される演奏音の出力に係る複数の周波数帯域毎のゲイン(レベル)を設定する。この複数の周波数帯域毎のゲインは、好適には、前記音声処理部22に備えられたパラメトリックイコライザ及びグラフィックイコライザ等において設定される複数の周波数帯域毎の音圧レベル(音量)であるが、前記アンプ52において楽曲の演奏音と歌唱音声とがそれぞれ異なる増幅率で増幅される構成においては、そのアンプ52における楽曲の演奏音の増幅率に対応するものであってもよい。また、前記音声処理部22及びアンプ52とは別に、前記楽曲の演奏出力に係る周波数特性を変更するイコライザが設けられた構成では、そのイコライザにおいて設定されるものであってもよい。なお、前記出力周波数特性設定手段108による設定対象となる周波数特性は、好適には、初期値(デフォルト値)においては複数の周波数帯域毎の調整を行わないものとされている。また、本実施例において、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音に係る各周波数帯域毎の調整は行わない。
前記出力周波数特性設定手段108は、基本的には、前記カラオケ装置10が利用される環境においてそのカラオケ装置10から出力された音情報を前記マイクロフォン48により集音し、その音情報の複数の周波数帯域毎の音圧レベルが予め定められた推奨周波数特性と一致するように前記演奏出力に係る周波数特性を設定する。具体的には、前記カラオケ装置10が利用される環境において、前記楽曲データベース78に記憶されたピンクノイズ(単位周波数帯域に含まれる成分の強さが周波数に反比例する性質を持つ雑音)或いはホワイトノイズ(単位周波数帯域に含まれる成分の強さが周波数によらず一定である雑音)等を内容とするノイズ音を出力させ、前記マイクロフォン48により集音されるそのノイズ音に対応する音情報を、よく知られた周波数解析アルゴリズムに従って周波数解析して複数の周波数帯域毎の音圧レベルを算出する。そして、図3に示すように、前記マイクロフォン48により集音(入力)された音情報の周波数特性を示す曲線90(図3では二点鎖線で示す)が、前記ハードディスク18等に予め記憶された推奨周波数特性を示す曲線92と一致するように前記楽曲の演奏出力に係る周波数特性を設定(変更)する。ここで、前記ノイズ音の集音に用いられるマイクロフォンとしては、前記カラオケ装置10に備えられた歌唱用のマイクロフォン48とは別のものが用いられてもよい。また、このマイクロフォンによる集音は、ユーザがカラオケ演奏に際して位置する場所で行われるのが好ましい。
前記出力周波数特性設定手段108は、前記楽曲演奏出力制御手段100による前記楽曲データに基づく演奏出力に係る周波数特性として、その演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性に基づいて設定する。好適には、前述のようにして、予め前記マイクロフォン48により集音されるそのノイズ音に対応する音情報の周波数解析に基づいて設定された前記演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性に基づいて補正する。
ここで、エレキギター等の前記電気楽器76は、一般に、メーカーによってそれぞれ演奏音(音色)に個性がある。例えば、前記電気楽器76による演奏に応じて出力される演奏音の厚み、演奏音の伸び、及び演奏音の大きさ等が前記電気楽器76のメーカーによってそれぞれ異なり、メーカー毎に特色がある。前記演奏音の厚みとは、低音域(例えば、周波数20〜200Hz程度)及び中音域(例えば、周波数200〜1000Hz程度)における演奏音がよく出ているか否かを基準とするものであり、斯かる低音域及び中音域における演奏音がよく出ている(音圧レベルが比較的大きい)場合には、その演奏音に厚みがあると言う。図4及び図5は、エレキギターの演奏音のスペクトラム分析結果を例示する図である。図4に示す例では、周波数500Hz以下の音はよく出ているが、周波数1000Hz以上の音はあまり出ていない。一方、図5に示す例では、周波数2000Hz以下の音が偏りなくよく出ている。従って、図4に示す演奏音よりも、図5に示す演奏音の方がその演奏音に厚みがあると言える。また、前記演奏音の伸びとは、音が出力される時間の長さ(所定の音圧レベル以上の音が継続して出力される時間の長さ)を基準とするものであり、音が出力される時間が長いほど演奏音の伸びが良いと言う。また、前記演奏音の大きさとは、音量を基準とするものである。図6及び図7は、エレキギターの演奏音の音圧レベル(dB)の時間変化を例示する図である。図7に示す例では、図6に示す例よりも音圧レベル(音量)が大きく、且つ時間経過に伴うその音圧レベルの減衰が小さい。従って、図6に示す演奏音よりも、図7に示す演奏音の方が音の伸びが良く、音の大きさも大きいと言える。また、前記電気楽器76による演奏に応じて出力される演奏音の共鳴の程度、音の抜け(中音域における演奏音がよく出ているか否か)等に関しても、前記電気楽器76のメーカーによってそれぞれ異なり、メーカー毎に特色がある。
前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記カラオケ装置10による前記楽曲データに基づく演奏出力に際して、前記出力周波数特性設定手段108により設定された周波数特性を、その演奏出力と併行して演奏音の入力を行う前記電気楽器76に対応して前記特性データベース80に記憶されたその電気楽器76の演奏音の周波数特性に基づいて補正する。すなわち、前記電気楽器76に対応して前記演奏音周波数特性算出手段106により予め算出され、前記特性データベース80に前記電気楽器76と対応付けられて記憶された演奏音の周波数特性を読み出し、その演奏音の周波数特性に基づいて、前記出力周波数特性設定手段108により設定された周波数特性を補正する。また、好適には、前記カラオケ装置10による前記楽曲データに基づく演奏出力に際して、前記電気楽器76から入力される演奏音に関して、前記演奏音周波数特性算出手段106によりリアルタイムで周波数特性の算出を行い、算出された周波数特性に基づいて前記出力周波数特性設定手段108により設定された周波数特性を補正するものであってもよい。
前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記マイナスワン演奏制御手段102による前記余の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性に基づいて設定(補正)する。換言すれば、前記電気楽器76から入力される演奏音の周波数特性に基づいて、前記マイナスワン演奏制御手段102によるその電気楽器76を除いた余の楽器に対応する演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを設定(補正)する。この際、本実施例において、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音に係る各周波数帯域毎の調整は行わない。
前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性における、予め定められた低音域の音圧レベルに基づいて、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域のゲインを設定する。ここで、前記低音域とは、例えば20〜200Hz程度の周波数帯域に相当する。換言すれば、前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の厚みに対応する周波数特性に基づいて、前記マイナスワン演奏制御手段102によるその電気楽器76を除いた余の楽器に対応する演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを設定(補正)する。
前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性における前記低音域の音圧レベルが、予め定められた基準未満である場合には、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域のゲインを増加させる。換言すれば、前記電気楽器76から入力される演奏音の厚みが乏しい場合、前記マイナスワン演奏制御手段102によるその電気楽器76を除いた余の楽器に対応する演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを設定することで補う。すなわち、前記電気楽器76から前記低音域の音圧レベルが弱い演奏音が入力された場合、その演奏音が入力されたタイミングで演奏されている前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域の音量を大きくすることで、前記低音域の音圧レベルが弱い演奏音を補う。
図8は、前記電気楽器76から入力される演奏音に応じた前記出力周波数特性設定手段108による前記演奏出力に係る周波数特性の設定の一例を説明する図である。前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性における前記低音域例えば20〜200Hz程度の周波数帯域fbに相当する音圧レベルの平均値が、例えば−40dB未満である場合には、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域fbのゲインを増加させる。例えば、図8に曲線94で示す、前記マイクロフォン48により集音されるそのノイズ音に対応する音情報の周波数解析に基づいて設定された前記演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインにおける前記低音域fbにおけるゲインを、図8に曲線(破線)96で示すように増加させる補正を行う。好適には、斯かる低音域fbのゲインを倍程度に増加させる。このゲインの増加は、前記低音域fbにおける各周波数帯域に対応するゲインが一律に増加させられるものであってもよいが、各周波数帯域毎に個別のゲインが設定されるものであってもよい。例えば、前記電気楽器76から入力される演奏音に係る各周波数帯域毎の音圧レベルの相対値が算出され、その相対値が低い周波数帯域ほど前記演奏出力に係るゲインの増加が大きいものとされる。或いは、各周波数帯域毎の音圧レベルの相対値とは専ら関係なく、周波数が低いほど前記演奏出力に係るゲインの増加が大きいものとされるものであってもよい。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の大きさに基づいて、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るゲインを設定する。すなわち、前記電気楽器76から入力される演奏音(生音)の大きさに合わせて、前記楽曲データに基づく演奏出力のボリュームを調整する。例えば、前記電気楽器76から入力される演奏音の大きさが、予め定められた閾値未満である場合には、その電気楽器76から入力される演奏音の大きさに合わせて、前記楽曲データに基づく演奏出力全体のボリューム(全周波数帯域の音圧レベル)を低下させる。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の伸びに基づいては、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るゲインの補正を行わない。すなわち、前記楽曲演奏出力制御手段100による前記楽曲データに基づく演奏出力に係る音の伸びの補正を非実行とする。これは、前記電気楽器76の演奏のバックの演奏音が伸びると、演奏全体が奇異に聞こえるおそれがあるためである。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、例えば前記電子早見本装置68等により、前記電気楽器76から入力される演奏音を目立たせる設定が行われている場合には、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に関して、前記電気楽器76の演奏音に相当する周波数帯域におけるゲインを設定(補正)する。例えば、前記電気楽器76がエレキギターである場合には、エレキギターに対応する例えば1.6〜6.4kHz程度の周波数帯域における前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るゲインの補正を行う。或いは、前記出力周波数特性設定手段108は、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音を目立たせる設定が行われている場合には、前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)による前記楽曲データに基づく演奏出力の補正を非実行とする。
また、前記電気楽器76から入力される演奏音の周波数特性に基づく、前記出力周波数特性設定手段108による前記楽曲データに基づく演奏出力の補正の態様としては、他にも種々のものが考えられる。例えば、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の特徴が、ストロークが目立つ、輪郭のある乾いた音、硬質な音、或いは歯切れが良い音である場合、すなわち中音域及び高音域の音圧レベルが比較的大きい演奏音である場合には、前記楽曲データに基づく演奏出力に係る、前記中音域及び高音域のゲインを高くする(演奏出力全体を硬質な音にする)補正が行われる。また、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の特徴が、暖かい音、しなやかな音、音が太い、或いは丸みがある音である場合、すなわち低音域及び中音域の音圧レベルが比較的大きい演奏音である場合には、前記楽曲データに基づく演奏出力に係る、前記低音域及び中音域のゲインを高くする(演奏音全体を暖かい音や丸みを帯びるようにする)補正が行われる。また、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音の特徴が、クリアで抜けの良いしまった音、或いは歯切れが良い音である場合には、前記楽曲データに基づく演奏出力に係る、前記電気楽器76から入力される演奏音において比較的音圧レベルの高い周波数帯域のゲインを相対的に低下させる。また、好適には、前記電気楽器76から入力される演奏音において、局所的に音圧レベルが低い周波数帯域が存在する場合には、前記楽曲データに基づく演奏出力に係る、その周波数帯域のゲインを相対的に増加させる。
図9は、前記カラオケ装置10のCPU12による出力周波数特性設定制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、前記カラオケ装置10における出力周波数特性の設定が行われるか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SA1の判断が肯定される場合には、SA2において、前記楽曲データベース78に記憶された出力周波数特性設定用のノイズ音(ホワイトノイズやピンクノイズをデジタル符号化したデータ)が読み出され、そのノイズ音の演奏出力が開始される。次に、SA3において、前記マイクロフォン48により集音されたそのノイズ音に対応する音情報が、よく知られた周波数解析アルゴリズムに従って周波数解析され、その音情報に係る複数の周波数帯域毎の音圧レベルが算出される。次に、SA4において、SA3にて算出される音情報の周波数特性が、前記ハードディスク18等に予め記憶された推奨周波数特性と一致するように前記楽曲の演奏出力に係る周波数特性が設定された後、本ルーチンが終了させられる。
図10は、前記カラオケ装置10のCPU12による演奏音周波数特性算出制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、SB1において、前記電気楽器76から入力される演奏音の周波数特性の算出(登録)が行われるか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SB1の判断が肯定される場合には、SB2において、前記電気楽器76から入力される演奏音がよく知られた周波数解析アルゴリズムに従って周波数解析され、その演奏音に係る複数の周波数帯域毎の音圧レベルが算出される。次に、SB3において、SB2にて算出された演奏音の周波数特性が、前記電気楽器76の識別情報或いはその電気楽器76の所有者である利用者(電気楽器76の演奏主体)のユーザIDと対応付けられて前記特性データベース80に記憶された後、本ルーチンが終了させられる。
図11は、前記カラオケ装置10のCPU12による出力周波数特性補正制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、SC1において、前記カラオケ装置10による所定の楽曲のカラオケ演奏が開始されるか否かが判断される。好適には、前記楽曲データベース78に記憶された所定の楽曲データに基づく、その楽曲データにおける前記電気楽器76に対応する楽譜情報に基づく演奏音の出力を行わず、余の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏出力を行うマイナスワン演奏が開始されるか否かが判断される。このSC1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SC1の判断が肯定される場合には、SC2において、演奏開始に係る楽曲の演奏出力と併行して、前記サウンドエフェクタ74等を介して演奏音を入力する電気楽器76、或いはその電気楽器76の所有者である利用者に対応付けられて前記特性データベース80に記憶された演奏音の周波数特性が読み出され、前記RAM16等に展開される。次に、SC3において、例えば図9に示すSA1〜SA3等の処理により前記カラオケ装置10において設定された楽曲の演奏出力に係る周波数特性が、SC2にて読み出された演奏音の周波数特性に基づいて補正された後、本ルーチンが終了させられる。
以上の制御において、SC1が前記楽曲演奏出力制御手段100(マイナスワン演奏制御手段102)の動作に、SB2が前記外部入力受付手段104の動作に、SB1〜SB3が前記演奏音周波数特性算出手段106の動作に、SA1〜SA4、及びSC3が前記出力周波数特性設定手段108の動作に、それぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、前記電気楽器76による演奏と併行して、その電気楽器76による演奏対象となる楽曲に対応する楽曲データに基づく演奏出力を行う楽曲演奏出力制御手段100(SC1)と、前記電気楽器76から入力される演奏音の周波数解析を行うことで、その演奏音の周波数特性として、その演奏音の複数の周波数帯域毎の音圧レベルを算出する演奏音周波数特性算出手段106(SB1〜SB3)と、前記楽曲演奏出力制御手段100による前記楽曲データに基づく演奏出力に係る周波数特性として、その演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性に基づいて設定する出力周波数特性設定手段108(SA1〜SA4、及びSC3)とを、備えたものであることから、前記電気楽器76のメーカーによる演奏音の厚み、音の伸び、及び音の大きさ等の個性を反映して、前記電気楽器76による演奏と併行して出力される楽曲の演奏出力に係る周波数特性を設定することができる。すなわち、演奏楽器に適した音場を簡便に設定する楽器音出力装置としてのカラオケ装置10を提供することができる。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性における、予め定められた低音域の音圧レベルに基づいて、前記楽曲演奏出力制御手段100による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域のゲインを設定するものであるため、前記電気楽器76のメーカーによる個性が出やすい低音域の音場に関して、その演奏楽器に適した音場を簡便に設定することができる。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性における前記低音域の音圧レベルが、予め定められた基準未満である場合には、前記楽曲演奏出力制御手段100による前記楽曲データに基づく演奏出力に係るその低音域のゲインを増加させるものであるため、低音域の出力レベルが比較的低い電気楽器76の演奏音が入力された際、前記楽曲データに基づく演奏出力によりその低音域を補うことができ、前記電気楽器76のメーカーによる個性が出やすい低音域の音場に関して、その演奏楽器76に適した音場を簡便に設定することができる。
また、前記楽曲データに定められた複数種類の楽器にそれぞれ対応する楽譜情報のうち、前記電気楽器76に対応する楽譜情報に基づく演奏音の出力を行わず、余の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏出力を行うマイナスワン演奏制御手段102(SC1)を備え、前記出力周波数特性設定手段108は、そのマイナスワン演奏制御手段102による前記余の楽器に対応する楽譜情報に基づく演奏出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを、前記演奏音周波数特性算出手段106により算出された前記演奏音の周波数特性に基づいて設定するものであるため、前記カラオケ装置10にエレキギター等の電気楽器76を接続し、そのカラオケ装置10による演奏出力に合わせて利用者が斯かる電気楽器76の演奏を行う等の利用形態において、演奏楽器76に適した音場を簡便に設定することができる。
また、前記楽器音周波数特性算出手段100により算出された前記演奏音の周波数特性を、その演奏音に対応する電気楽器76と対応付けて特性データベース80に記憶させるものであり、前記出力周波数特性設定手段108は、前記楽曲の演奏出力に際して、前記出力周波数特性設定手段108により設定された周波数特性を、その演奏出力と併行して演奏音の入力を行う前記電気楽器76に対応して前記特性データベース80に記憶されたその電気楽器76の演奏音の周波数特性に基づいて補正するものであるため、演奏楽器に適した音場を簡便且つ実用的な態様で設定することができる。
また、前記出力周波数特性設定手段108は、前記カラオケ装置10が利用される環境においてそのカラオケ装置10から出力された音情報を音声入力装置であるマイクロフォン48により集音し、その音情報の複数の周波数帯域毎の音圧レベルが予め定められた推奨周波数特性と一致するように前記演奏出力に係る周波数特性を設定するものであるため、前記カラオケ装置10が利用される環境に合わせて自動設定された前記楽曲の演奏出力に係る周波数特性を、電気楽器76の演奏音の周波数特性に基づいて補正することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例においては、前記カラオケ装置10に接続される前記電気楽器76として、エレキギター及びベースギター等の演奏音に係る制御について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、楽器音出力装置に接続され、その楽器音出力装置を介して演奏音を電気信号として出力させる種々の電気楽器に広く適用される。例えば、電子ピアノ(エレクトーン)等の電気楽器も、メーカーによってその演奏音の響き、奥行き、余韻等に個性がある。従って、電子ピアノに接続され、その電子ピアノによる演奏に応じて入力される演奏音を出力させる楽器音出力装置に本発明が適用されることで、本発明の一応の効果を奏する。その他、電子ドラムやウインドシンセサイザ等の電気楽器が接続される楽器音出力装置にも、本発明は好適に適用されるものである。
例えば、前述の実施例においては、電気楽器に接続され、その電気楽器による演奏に応じてその電気楽器から入力される演奏音を出力させる楽器音出力装置の一例として、多数の楽曲データのうちから選択される楽曲データの演奏出力を行うと共に、その楽曲の歌詞文字映像を映像表示装置に表示させるカラオケ装置10に本発明が適用された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、別の形態の楽器音出力装置にも適用され得る。例えば、専らバンド演奏を練習するために用いられる楽器演奏練習装置や、所謂音ゲー等のゲームを実行するコンシューマゲーム機等にも、本発明は好適に適用されるものである。また、所謂スマートフォン等の携帯電話機や、タブレット端末が楽器音出力装置として用いられる場合にも、本発明は好適に適用されるものである。
また、前述の実施例において、前記出力周波数特性設定手段108は、例えば、前記楽曲データベース78に記憶された楽曲データ(MIDIデータ)に基づいて前記音声処理部22から出力される演奏音を一括して、その演奏音の出力に係る複数の周波数帯域毎のゲインを補正するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記MIDIデータにおける各楽器に対応するトラック乃至チャンネル毎の出力特性を補正するものであってもよい。
また、前述の実施例では、前記出力周波数特性設定手段108による出力周波数特性の設定に関して、前記楽曲データベース78に記憶された出力周波数特性設定用のノイズ音を出力させ、そのノイズ音を前記マイクロフォン48により集音して解析することでその周波数特性が前記推奨周波数特性と一致するように設定を行う例を説明したが、前記ノイズ音を出力させて前記マイクロフォン48による集音を実行することなく、予め定められた内部的な処理が実行されることでその出力特性が設定されるものであってもよい。このようにすれば、出力周波数特性の設定を実行する度に前記ノイズ音を出力させずに済み、ユーザがカラオケ演奏を行っている場合であっても演奏の合間に音場補正を実行できるという利点がある。
また、前述の実施例において、前記出力周波数特性設定手段108は、前記ノイズ音の周波数特性が前記推奨周波数特性と一致するように自動的にその出力特性を変更するものであったが、例えば前記ディスプレイ44に前記ノイズ音の周波数特性を示す曲線90を表示させると共に前記推奨周波数特性を示す曲線92を表示させ、マニュアル操作によりその出力特性を変更する態様であっても構わない。斯かる態様によっても、音場設定を行うために音響に関する専門的な知識を一切要せず、使用条件に応じた最適な音場を容易に実現できる。
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記出力周波数特性設定手段108は、カラオケボックス等の屋内利用環境における音場を設定するものであってもよいし、屋外利用環境における音場を設定するものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。