JP2017139592A - 音響処理方法および音響処理装置 - Google Patents

音響処理方法および音響処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】調整内容や音響特性に関する専門的な知識を必要とせずに、音響信号を適切に調整する方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】音響処理装置100は、音響信号x[n]が表す演奏音に対応する楽器の種類A[n]を特定する特定部32と、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に応じて目標特性に基づいて音響信号x[n]を調整する調整部34とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響信号を処理する技術に関する。
音響信号を処理する各種の技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、アルゴリズムを選択するパラメータやオペレータ(FM合成器)の波形を選択するパラメータ等を利用者が指定することで音響信号を処理する技術が開示されている。
特開2011−197429号公報
しかし、特許文献1の技術では、音響信号を処理するためのパラメータを指定するにあたり調整内容や音響特性に関する専門的な知識や経験が利用者に必要であり、専門的な知識や経験がない利用者にとっては音響信号を適切に処理することが困難であった。以上の事情を考慮して、本発明は、調整内容や音響特性に関する専門的な知識を必要とせずに、音響信号を適切に調整することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の音響処理方法は、コンピュータが、音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類を特定し、特定した楽器の種類に応じて音響信号を調整する。以上の方法では、特定した楽器の種類に応じて音響信号が調整される。したがって、音響信号に対する調整内容を利用者が指示する方法と比較して、調整内容や音響特性に関する専門的な知識を必要とせずに、音響信号を適切に調整することが可能である。
本発明の好適な態様において、音響信号の調整では、特定した楽器の種類に対応する目標特性に音響信号の周波数特性を近付ける第1処理を、音響信号に対して実行する。以上の方法では、音響信号の周波数特性が目標特性に近付くように(両者間の相違に応じて)各帯域通過フィルタの特性を制御する。したがって、音響信号を処理するフィルタの特性が固定された方法(音響信号の周波数特性に依存しない方法)と比較して、音響信号が既に目標特性に近い場合は、音響信号を調整する度合が小さくなる。つまり、本来の音響信号の周波数特性を生かしつつ目標特性に音響信号を近付けることが可能である。
本発明の好適な態様において、楽器の種類の特定では、第1音響信号および第2音響信号の各々について楽器の種類を特定し、音響信号の調整では、特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が第1音響信号と第2音響信号との間で重なる場合に、第1音響信号および第2音響信号の一方における当該周波数帯域の音響成分を他方に対して相対的に抑制する第2処理を、音響信号に対して実行する。以上の方法では、特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が第1音響信号と第2音響信号との間で重なる場合に、第1音響信号および第2音響信号の一方における当該周波数帯域の音響成分が他方に対して相対的に抑制される。したがって、相対的に抑制された音響成分に対応する演奏音に対して他方の音響成分に対応する演奏音が聞き取りやすくなるという利点がある。
本発明の好適な態様において、楽器の種類の特定では、第1音響信号および第2音響信号の各々について楽器の種類を特定し、音響信号の調整では、特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が第1音響信号と第2音響信号との間で重なる場合に、第1音響信号および第2音響信号の一方において時間軸上で他方と重なる音響成分を相対的に抑制する第3処理を、音響信号に対して実行する。以上の方法では、特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が第1音響信号と第2音響信号との間で重なる場合に、第1音響信号および第2音響信号の一方において時間軸上で他方と重なる音響成分が相対的に抑制される。したがって、相対的に抑制された音響成分に対応する演奏音に対して他方の音響成分に対応する演奏音が聞き取りやすくなるという利点がある。
本発明の好適な態様において、音響信号の調整では、楽器の種類毎に優先度を指定する優先度情報を参照し、第1音響信号および第2音響信号のうち、特定した楽器の種類について優先度情報が指定する優先度が低い方を他方に対して相対的に抑制する。以上の方法では、第1音響信号および第2音響信号のうち、特定した楽器の種類について優先度情報が指定する優先度が低い方が他方に対して相対的に抑制される。したがって、優先度情報を参照せずに第1音響信号および第2音響信号の一方における音響成分が他方に対して相対的に抑制される方法と比較して、音響信号の調整をより適切に行うことが可能である。
本発明の好適な態様において、楽器の種類の特定では、音響信号の解析により楽器の種類を特定する。以上の方法では、音響信号の解析により楽器の種類が特定されるから、例えば利用者からの指示に応じて楽器の種類を特定する方法と比較して、利用者の負担を軽減することが可能である。また、利用者が演奏音に対応する楽器の種類を認識していないときでも、楽器の種類を特定することができるという利点がある。
本発明の好適な態様において、音響信号の調整では、楽器の種類を特定した結果の信頼度に応じて音響信号の調整を制御する。以上の方法では、楽器の種類を特定した結果の信頼度に応じて音響信号の調整が抑制される。したがって、例えば、楽器の種類の信頼度が高い場合にはその楽器に好適な音響特性の付加を優先させる一方、楽器の種類の信頼度が低い場合(楽器の種類の特定結果が過誤である可能性が想定される場合)には、その楽器について用意された音響特性が音響信号について妥当であるとは限らないから当該音響特性の付加を抑制する、というように、楽器の種類の特定結果に応じた適切な調整を実現することが可能である。
本発明の好適な態様に係る音響処理装置は、音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類を特定する特定部と、特定部が特定した楽器の種類に応じて音響信号を調整する調整部とを具備する。以上の構成では、特定部が特定した楽器の種類に応じて音響信号が調整される。したがって、音響信号に対する調整内容を利用者が指示する構成と比較して、調整内容や音響特性に関する専門的な知識を必要とせずに、音響信号を適切に調整することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る音響処理装置の構成図である。 第1処理の説明図である。 第1処理部の構成図である。 特性付与部の処理の説明図である。 音響処置装置全体の処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る音響処理装置の構成図である。 帯域情報の説明図である。 優先度情報の説明図である。 第2処理部の構成図である。 第2処理の説明図である。 音響処置装置全体の処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る音響処理装置の構成図である。 優先度情報の説明図である。 第3処理の説明図である。 音響処置装置全体の処理のフローチャートである。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響処理装置100の構成図である。図1に例示される通り、第1実施形態の音響処理装置100には複数(N個)の信号供給装置12[n](n=1〜N)と放音装置14とが接続される。信号供給装置12[n]は、音響信号x[n]を音響処理装置100に供給する。音響信号x[n]は、楽器10[n]の演奏音の波形を示す時間領域信号である。具体的には、信号供給装置12は、楽器10[n]の演奏音を収音して音響信号x[n]を生成する収音装置である。なお、例えば弦等の発音源の振動を検出するピックアップを信号供給装置12として内蔵した電気楽器を楽器10[n]として利用することも可能である。また、可搬型または内蔵型の記録媒体から楽器10[n]の演奏音に対応する音響信号x[n]を取得して音響処理装置100に供給する再生装置や、通信網から楽器10[n]の演奏音に対応する音響信号x[n]を受信して音響処理装置100に供給する通信装置を信号供給装置12として採用することも可能である。なお、音響信号x[n]をアナログからデジタルに変換するA/D変換器の図示は便宜的に省略した。
第1実施形態の音響処理装置100は、信号供給装置12[n]から供給される複数の音響信号x[n]の各々に対する調整で生成された音響信号y[n]を混合して音響信号zを生成する。放音装置14(例えばスピーカやヘッドホン)は、音響処理装置100が生成した音響信号zに応じた音波を放射する。なお、音響信号zをデジタルからアナログに変換するD/A変換器や音響信号zを増幅する増幅器等の図示は便宜的に省略した。なお、第1実施形態では音響信号zを放音装置14に供給して再生する場合を例示するが、記憶装置24に音響信号zを格納することや音響処理装置100とは別個の再生装置等に音響信号zを送信することも可能である。
図1に例示される通り、音響処理装置100は、演算処理装置22と記憶装置24とを具備するコンピュータシステムで実現される。記憶装置24は、演算処理装置22が実行するプログラムや演算処理装置22が使用する各種のデータを記憶する。半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の記録媒体または複数種の記録媒体の組合せが記憶装置24として任意に採用され得る。音響信号x[n]を記憶装置24に記憶した構成(したがって信号供給装置12[n]は省略される)も好適である。
第1実施形態の記憶装置24は、相異なる楽器の種類に対応する複数の目標特性Rを記憶する。楽器の種類は、例えば発音源の名称(具体的には楽器名や演奏パート名)である。第1実施形態では、ギターやバスドラム等の楽器名を楽器の種類として例示する。第1実施形態の目標特性Rは、周波数特性である。具体的には、楽器の任意の1種類に対応する目標特性Rは、その種類の楽器の演奏音の特性として目標となる好適な音響特性である。目標特性Rの生成方法は任意であり、例えば、音楽CD等の記録媒体に記録された既存の音響データを解析することで目標特性Rが生成される。また、音響技術者等の制作者が手動で目標特性Rを生成することも可能である。
演算処理装置22は、記憶装置24に記憶されたプログラムを実行することで、複数の音響信号x[n]の各々から音響信号zを生成するための複数の機能(特定部32,調整部34)を実現する。なお、演算処理装置22の各機能を複数の装置に分散した構成や、専用の電子回路(例えばDSP)が演算処理装置22の一部の機能を実現する構成も採用され得る。
特定部32は、信号供給装置12[n]から供給される複数の音響信号x[n]の各々を解析することで、音響信号x[n]が表す演奏音に対応する楽器の種類A[n]を特定する。具体的には、特定部32は、音響信号x[n]から解析される特徴量を、相異なる楽器の種類について事前に用意された参照用の複数の特徴量の各々と比較し、参照用の複数の特徴量のうち音響信号x[n]の特徴量に類似する特徴量に対応する楽器の種類を楽器10[n]の種類A[n]として特定する。種類A[n]の特定に利用される特徴量としては、例えば楽器の演奏音の音色の特性を表すMFCC(Mel-Frequency Cepstrum Coefficient)が好適である。楽器の種類A[n]の特定には、特願2015−191026および特願2015−191928に記載された技術が採用される。例えば、例えばSVM(Support Vector Machine)等のパターン認識アルゴリズムが種類A[n]の特定に利用され得る。
調整部34は、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に応じて複数の音響信号x[n]を調整することで音響信号zを生成する。第1実施形態の調整部34は、相異なる音響信号x[n]に対応する複数(N個)の第1処理部341[n]と、混合部343とを具備する。第1処理部341[n]は、図2に例示される通り、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する目標特性R(点線)に音響信号x[n]の周波数特性X[n](実線)を近付ける第1処理を、音響信号x[n]に対して実行する。
図3は、任意の1個の第1処理部341[n]の構成図である。第1処理部341[n]は、周波数解析部40と特性付与部50と波形生成部60とを具備し、音響信号x[n](第1音響信号の例示)に対して第1処理を実行することで音響信号y[n](第2音響信号の例示)を生成する。つまり、音響信号y[n]は、楽器の種類A[n]に対応する目標特性Rに近い音響特性を有する。
図3の周波数解析部40は、信号供給装置12[n]から供給される音響信号x[n]を解析することで、音響信号x[n]の周波数特性(周波数スペクトル)X[n]を時間軸上の単位区間(フレーム)毎に順次に生成する。周波数特性X[n]の算定には、短時間フーリエ変換等の公知の周波数解析が任意に採用され得る。なお、通過帯域が相違する複数の帯域通過フィルタの系列(フィルタバンク)を周波数解析部40として利用することも可能である。
特性付与部50は、音響信号x[n]の周波数特性X[n]を、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する目標特性Rに近付けることで、音響信号y[n]の周波数特性(周波数スペクトル)Y[n]を単位区間毎に順次に生成する。
図4は、特性付与部50の処理の説明図である。具体的には、特性付与部50は、図4に例示される通り、特性が相違する複数の帯域通過フィルタにより音響信号x[n]の周波数特性X[n]を目標特性Rに近付けるイコライジング処理を第1処理として実行する。各帯域通過フィルタの特性は、周波数ポイント(例えば中心周波数)、ゲインおよびQ値等のパラメータで規定される。特性付与部50は、周波数特性X[n]が目標特性Rに近づくように複数の帯域通過フィルタの各々のパラメータを計算したうえで周波数特性Xに各帯域通過フィルタを作用させることで音響信号y[n]の周波数特性Y[n]を生成する。なお、帯域通過フィルタの総数は任意である。総数を多くすれば音響信号x[n]を調整する能力は向上するが、調整部34(特性付与部50)の処理負荷、ひいては音響処理装置100全体の処理負荷が大きくなるため、第1実施形態では4つとしている。帯域通過フィルタの総数を可変に制御することも可能である。
図3の波形生成部60は、特性付与部50が単位区間毎に生成した周波数特性Y[n]から時間領域の音響信号y[n]を生成する。音響信号y[n]の生成には短時間逆フーリエ変換が好適に利用される。
図1の混合部343は、各第1処理部341[n](波形生成部60)が生成した音響信号y[n]を混合することで音響信号zを生成する。すなわち、相異なる種類のN個の楽器10[1]〜10[N]の演奏音の混合音を表す音響信号zが生成される。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する。
図5は、音響処理装置100全体の処理のフローチャートである。演奏者による楽器(例えばバスドラム)の演奏開始を契機として、図5の処理が開始される。第1処理部341[n]は、バスドラムの演奏音を収音して生成された音響信号x[n]を取得する(SA1)。特定部32は、複数の音響信号x[1]〜x[N]の各々について、音響信号x[n]が表す演奏音に対応する楽器の種類A[n]を特定する(SA2)。例えば、楽器10[2]が生成した音響信号x[2]の解析で「バスドラム」という種類が特定され、楽器10[3]が生成した音響信号x[3]の解析で「ベース」という種類が特定される。第1処理部341[n](周波数解析部40)は、音響信号x[n]の解析により、相異なる周波数(周波数帯域)に対応する複数の周波数特性(周波数スペクトル)X[n]を時間軸上の単位区間(フレーム)毎に順次に生成する(SA3)。第1処理部341[n](特性付与部50)は、音響信号x[n]の各周波数特性X[n]を特定部32が特定した楽器の種類A[n](バスドラム)に対応する目標特性Rに近付ける第1処理を実行することで、音響信号y[n]の各周波数の周波数特性(周波数スペクトル)Y[n]を単位区間毎に順次に生成する(S4)。第1処理部341[n](波形生成部60)は、特性付与部50が生成した各周波数特性Y[n]から時間領域の音響信号y[n]を生成する(SA5)。つまり、楽器の種類A[n](バスドラム)の目標特性Rが表す周波数特性に近い周波数特性を持つ音響信号y[n]が生成される。調整部34(混合部343)は、各第1処理部341[n]の各々が生成した音響信号y[n]を混合することで音響信号zを生成する(SA6)。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する(SA7)。
以上の説明から理解される通り、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に応じて音響信号x[n]が調整される。したがって、音響信号x[n]に対する調整内容を利用者が指示する構成と比較して、調整内容や音響特性に関する専門的な知識を必要とせずに、音響信号x[n]を適切に調整することが可能である。また、第1実施形態では特に、音響信号x[n]の周波数特性X[n]が目標特性Rに近付くように(両者間の相違に応じて)各帯域通過フィルタの特性を制御する。したがって、音響信号x[n]を処理するフィルタの特性が固定された構成(音響信号x[n]の周波数特性X[n]に依存しない構成)と比較して、音響信号x[n]が既に目標特性Rに近い場合は、音響信号x[n]を調整する度合が小さくなる。つまり、本来の音響信号x[n]の周波数特性X[n]を生かしつつ目標特性Rに音響信号x[n]を近付けることが可能である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図6は、第2実施形態に係る音響処理装置100の構成図である。第2実施形態の調整部34は、第1実施形態と同様の複数(N個)の第1処理部341[1]〜341[N]および混合部343に第2処理部345を追加した構成である。第1処理部341[n]は、第1実施形態と同様に、音響信号x[n]に対する第1処理で音響信号y[n]を生成する。第2処理部345は、各第1処理部341[n]による処理後の音響信号y[n]から音響信号w[n](w[1]〜w[N])を生成する。混合部343は、第2処理部345による処理後の複数の音響信号w[n](w[1]〜w[N])を混合することで音響信号zを生成する。
第2実施形態の記憶装置24は、目標特性Rと帯域情報Tと優先度情報P1とを記憶する。目標特性Rは、第1実施形態と同様である。図7は、帯域情報Tの説明図である。帯域情報Tは、種類A[n]の楽器の演奏音が優勢に含む音響成分の周波数帯域(以下「発音帯域」という)を指定する。具体的には、帯域情報Tは、図7に例示される通り、「低域」「中域」「高域」の何れかを発音帯域として指定する。例えば、楽器の種類A[n]が「ベース」の場合、「ベース」に対応する発音帯域は「低域」である。
図8は、優先度情報P1の説明図である。優先度情報P1は、周波数軸上の複数の帯域B1〜BMの各々について楽器の種類毎に優先度を指定する。具体的には、優先度情報P1は、図8に例示される通り、例えば整数で優先度を指定する。例えば、帯域B1では優先度は「キーボード=1,バスドラム=3,ベース=4,ギター=2,…」と指定されているので、「…>ベース>バスドラム>ギター>キーボード…」の順で優先度は高い。なお、各帯域B1〜BMの帯域幅や総数は任意である。例えば、複数の帯域B1〜BMを3つの帯域B1〜B3とし、各帯域B1〜B3を帯域情報Tで示す各発音帯域「低域」「中域」「高域」に対応させることも可能である。
第2処理部345は、複数の音響信号y[1]〜y[N]のうち、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する発音帯域が重なる音響信号y[n1](第1音響信号の例示)と音響信号y[n2](第2音響信号の例示)(n1≠n2)とについて、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方の音響成分を他方に対して相対的に抑制する第2処理を、音響信号y[n1]または音響信号y[n2]に対して実行することで、音響信号w[n1]または音響信号w[n2]を生成する。
図9は、第2処理部345の構成図である。第2処理部345は、周波数解析部70と抑制部80と波形生成部90とを具備する。周波数解析部70は、各第1処理部341[n]が生成した音響信号y[n]を解析することで、周波数解析部40が周波数特性X[n]を生成するのと同様に、音響信号y[n]の周波数特性Y[n]を時間軸上の単位区間毎に順次に生成する。なお、各第1処理部341[n]の特性付与部50が生成した周波数特性Y[n]を抑制部80に供給すること(したがって、各第1処理部341[n]の波形生成部60と第2処理部345の周波数解析部70とは省略される)も可能である。
抑制部80は、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する発音帯域が音響信号y[n1]と音響信号y[n2]との間で重なる場合(例えば双方とも「低域」である場合)に、音響信号y[n1]または音響信号y[n2]に対して第2処理を実行することで、音響信号w[n1]の周波数特性W[n1]または音響信号w[n2]の周波数特性W[n2]とを単位区間毎に順次に生成する。第2実施形態では、発音帯域が相互に重なる音響信号y[n1]および音響信号y[n2]のうちの一方である音響信号y[n1]に対して第2処理を実行することで、音響信号w[n1]の周波数特性W[n1]を生成する構成を例示する。音響信号y[n2]と、発音帯域が他の楽器と重複しない楽器の各音響信号y[n]とは、そのまま音響信号w[n]として第2処理部345から混合部343に供給される。
具体的には、抑制部80は、発音帯域が相互に重なる音響信号y[n1]および音響信号y[n2]のうち、優先度が低い楽器の種類に対応する音響成分を優先度が高い楽器の種類に対応する音響成分に対して相対的に抑制するための第2処理を、音響信号y[n1]の周波数特性Y[n1]に対して帯域B1〜BMの各々について行う。第2処理のうち、音響信号y[n1]の周波数特性Y[n1]を調整する処理には、公知の技術が任意に採用され得る。例えば、帯域B1〜BM毎に周波数特性Y[n1]のゲインを特性が相違する複数の帯域通過フィルタにより調整するイコライジング処理である。
発音帯域が他の楽器と重複する音響信号y[n1]の周波数特性Y[n1]に対する第2処理で生成された周波数特性W[n1]が波形生成部90に出力されるとともに、それ以外の音響信号y[n]の周波数特性Y[n]が周波数特性W[n]として波形生成部90に出力される。波形生成部90は、抑制部80が単位区間毎に生成した周波数特性W[n]から時間領域の音響信号w[n]を生成する。音響信号w[n]の生成には短時間逆フーリエ変換が好適に利用される。
図10は、第2処理の説明図である。音響信号y[n1]と音響信号y[n2]とで発音帯域が重なる場合(つまり、楽器の種類A[n1]の帯域情報T[n1]と楽器の種類A[n2]の帯域情報T[n2]とが同じ場合)、抑制部80は、優先度情報P1を参照して第2処理を行う。第2処理は、図10に例示される通り、音響信号y[n1]の各帯域B1〜BMの音響成分を、音響信号y[n1]の優先度と音響信号y[n2]の優先度との高低に応じて抑制または強調する処理である。具体的には、楽器の種類A[n1]の優先度が楽器の種類A[n2]の優先度を下回る帯域B1では、周波数特性Y[n1]の調整により音響信号y[n1]の音響成分が抑制される。他方、楽器の種類A[n1]の優先度が楽器の種類A[n2]の優先度を上回る帯域B2および帯域B3では、周波数特性Y[n1]の調整により音響信号y[n1]の音響成分が強調される。つまり、周波数特性Y[n2]を周波数特性Y[n1]に対して抑制している。すなわち、音響成分(周波数特性)の相対的な抑制とは、一方の音響成分を他方の音響成分に対して抑制する場合と、他方の音響成分を一方の音響成分に対して強調する場合との双方を含む。
以上の説明から理解される通り、楽器の種類A[n1]と楽器の種類A[n2]との間で発音帯域が重なる場合でも、楽器の種類A[n1]に対応し第2処理により周波数特性Y[n1]から生成された周波数特性W[n1]および楽器の種類A[n2]に対応する周波数特性Y[n2]の一方における周波数特性は、他方に対して相対的に抑制される。周波数特性Y[n1]のピークと周波数特性Y[n2]のピークとは、第2処理の実行前には周波数軸上で相互に近接した位置にあるが、第2処理の結果、両者のピークは周波数軸上で相互にずれた位置に移動する。
図6の混合部343は、第2処理部345(抑制部80)が生成した複数の音響信号w[n]を混合することで音響信号zを生成する。すなわち、相異なる種類のN個の楽器10[1]〜10[N]の演奏音の混合音を表す音響信号zが生成される。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する。
図11は、第2実施形態における音響処理装置100全体の処理のフローチャートである。各演奏者による楽器(例えばバスドラムとベースとを含む)の演奏開始を契機として、図11の処理が開始される。第1処理部341[n]による音響信号x[n]を取得する処理(SA1)から音響信号y[n]を生成する処理(SA5)までは第1実施形態と同様である。楽器の種類A[n]を特定する処理(SA2)では、例えば、楽器10[2]が生成した音響信号x[2]の解析から「バスドラム」という種類が特定され、楽器10[3]が生成した音響信号x[3]の解析から「ベース」という種類が特定される。なお、種類A[2]が示す楽器「バスドラム」の発音帯域と種類A[3]が示す楽器「ベース」の発音帯域とは双方とも「低域」であり、その他の複数の種類A[n]が示す楽器の中には、同じ発音帯域の楽器は含まれないものとする。
第2処理部345(周波数解析部70)は、第1処理部341[n]が生成した各音響信号y[n]の周波数特性Y[n]を単位区間毎に順次に生成する(SB1)。第2処理部345(抑制部80)は、発音帯域が同じ楽器の種類A[2]および種類A[3]の一方の種類A[2]に対応する周波数特性Y[2]に対して、優先度情報P1を参照して第2処理を実行することで周波数特性W[2]を単位区間毎に順次に生成するとともに、周波数特性Y[3]および発音帯域が他の楽器と重複しない楽器の音響信号y[n]の周波数特性Y[n]を、そのまま周波数特性W[n]として出力する(SB2)。したがって、種類A[2]が示す楽器「バスドラム」と種類A[3]が示す楽器「ベース」との間で発音帯域が重なる場合でも、種類A[2](バスドラム)に対応する周波数特性W[2]と種類A[3](ベース)に対応する周波数特性Y[3]との一方が他方に対して相対的に抑制される。第2処理部345(波形生成部90)は、抑制部80が生成した周波数特性W[n]から時間領域の音響信号w[n]を生成する(SB3)。調整部34(混合部343)は、第2処理部345が生成した複数の音響信号w[n]を混合することで音響信号zを生成する(SA6)。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する(SA7)。なお、発音帯域が同じ楽器(バスドラムおよびベース)以外の楽器を示す種類A[n]に対応する音響信号y[n]については、ステップSB1〜SB3の処理を省略して、そのまま音響信号w[n]として供給することも可能である(SA6)。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第2実施形態では特に、特定部32が特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が音響信号y[n1]と音響信号y[n2]との間で重なる場合に、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方における当該周波数帯域の音響成分が他方に対して相対的に抑制されるように音響信号w[n1]が生成される。したがって、相対的に抑制された音響成分に対応する演奏音に対して他方の音響成分に対応する演奏音が聞き取りやすくなるという利点がある。また、優先度情報P1を参照して第2処理を行っているので、音響信号y[n1]の調整、すなわち音響信号w[n1]の生成を適切に行うことが可能である。
<第3実施形態>
図12は、第2実施形態に係る音響処理装置100の構成図である。第3実施形態の調整部34は、第1実施形態と同様の複数(N個)の第1処理部341[1]〜341[N]および混合部343に第3処理部347を追加した構成である。第1処理部341[n]は、第1実施形態と同様に、音響信号x[n]に対する第1処理で音響信号y[n]を生成する。第3処理部347は、各第1処理部341[n]による処理後の音響信号y[n]から音響信号v[n](v[1]〜v[N])を生成する。混合部343は、第3処理部347による処理後の複数の音響信号v[n](v[1]〜v[N])を混合することで音響信号zを生成する。
第3実施形態の記憶装置24は、目標特性Rと帯域情報Tと優先度情報P2とを記憶する。目標特性Rは、第1実施形態と同様であり、帯域情報Tは、第2実施形態と同様である。図13は、優先度情報P2の説明図である。優先度情報P2は、図13に例示される通り、帯域情報Tが示す複数の発音帯域(具体的には「低域」「中域」「高域」)の各々について楽器の種類A[n]毎に優先度を指定する。具体的には、優先度情報P2は、第2実施形態の優先度情報P1の場合と同様に、例えば整数で優先度を指定する。
第3処理部347は、複数の音響信号y[1]〜y[N]のうち、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する発音帯域が重なる(例えば双方とも「低域」である)音響信号y[n1](第1音響信号の例示)と音響信号y[n2](第2音響信号の例示)(n1≠n2)とについて、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方において時間軸上で他方と重なる音響成分を相対的に抑制する第3処理を実行することで、音響信号v[n1]または音響信号v[n2]を生成する。
具体的には、第3処理部347は、優先度が低い楽器の種類に対応する音響信号を優先度が高い楽器の種類に対応する音響信号に対して相対的に抑制するための第3処理を、音響信号y[n1]または音響信号y[n2]に対して優先度情報P2を参照して行う。第3実施形態では、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]のうち、優先度情報P2が示す優先度が低い音響信号を第3処理の対象として抑制する。音響信号y[n]の優先度の高低は、例えば、音響信号y[n1]に対応する種類A[n1]の発音帯域と音響信号y[n2]に対応する種類A[n2]の発音帯域とが「低域」で同じ場合、図13の優先度情報P2の発音帯域「低域」での種類A[n1]と種類A[n2]との各々が表す優先度を参照する。第3実施形態では、優先度が低い音響信号y[n1]に対して第3処理を実行することで、音響信号v[n1]を生成する構成を例示する。なお、音響信号y[n2]と、発音帯域が他の楽器と重複しない楽器の各音響信号y[n]とは、そのまま音響信号v[n]として混合部343に供給される。
図14は、第3処理の説明図である。第3処理は、上述した通り、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方において時間軸上で他方と重なる音響信号y[n1]を相対的に抑制する処理である。音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方において時間軸上で他方と重なる場合とは、図14に例示される通り、音響信号y[n1]の時間波形のピークと音響信号y[n2]の時間波形のピークとが時間軸上で相互に重なる場合である。ピークが重なる場合とは、例えば双方のピークが時間軸上で一致している場合のほか、時間軸上で所定の期間内に双方のピークが位置している場合を包含する。時間波形のピークが相互に重なる場合には、音響信号y[n1]が表す演奏音と音響信号y[n2]が表す演奏音とが同時に発音されており、受聴者が双方の演奏音を聴取し難いという傾向がある。以上の説明から理解される通り、第3処理は、音響信号y[n1]に対応する種類A[n1]の発音帯域と音響信号y[n2]に対応する種類A[n2]の発音帯域とが同じで、かつ、音響信号y[n1]の時間波形のピークと音響信号y[n2]の時間波形のピークとが時間軸上で重なる場合に実行される。
音響信号y[n1]を抑制する第3処理には、公知の技術が任意に採用され得る。例えば、音響信号y[n1]の信号レベルを圧縮させるコンプレッサ処理が第3処理の好例である。図14に例示される通り、音響信号y[n1]の信号レベルが閾値Zを上回る部分を圧縮することで、音響信号y[n2]に対して音響信号y[n1]の音響成分を相対的に抑制する。閾値Zは、実験的または統計的に選定される。なお、音響信号y[n1]の信号レベルが閾値Zを下回る区間については、音響信号y[n1]が音響信号v[n1]として混合部343に供給される。
以上の説明から理解される通り、楽器の種類A[n1]と楽器の種類A[n2]との間で発音帯域が重なる場合でも、音響信号y[n2]と時間軸上で重なる音響信号y[n1]は、音響信号y[n2]に対して相対的に抑制される。第3処理部347は、音響信号y[n1]に対してコンプレッサ処理(第3処理)を行うことで、図14に例示される通り、音響信号y[n1]において閾値を上回る音響成分を圧縮した音響信号v[n1]を生成する。
図12の混合部343は、第3処理部347が生成した複数の音響信号w[n]を混合することで音響信号zを生成する。すなわち、相異なる種類のN個の楽器10[1]〜10[N]の演奏音の混合音を表す音響信号zが生成される。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する。
図15は、第3実施形態における音響処理装置100全体の処理のフローチャートである。各演奏者による楽器(例えばバスドラムとベースとを含む)の演奏開始を契機として、図15の処理が開始される。第1処理部341[n]による音響信号x[n]を取得する処理(SA1)から音響信号y[n]を生成する処理(SA5)までは第1実施形態と同様である。楽器の種類A[n]を特定する処理(SA2)では、例えば、楽器10[2]が生成した音響信号x[2]の解析から「バスドラム」という種類が特定され、楽器10[3]が生成した音響信号x[3]の解析から「ベース」という種類が特定される。なお、種類A[2]が示す楽器「バスドラム」の発音帯域と種類A[3]が示す楽器「ベース」の発音帯域とは双方とも「低域」であり、優先度情報P2が示す「低域」における優先度は、種類A[3]が示す「ベース」の優先度が種類A[2]が示す「バスドラム」の優先度を上回る。その他の複数の種類A[n]が示す楽器の中には、同じ発音帯域の楽器は含まれないものとする。
第3処理部347は、発音帯域が同じ楽器の種類A[2]および種類A[3]の一方の種類A[2]に対応する音響信号y[2]に対して、第3処理を実行することで音響信号v[2]を生成するとともに、音響信号y[3]および発音帯域が他の楽器と重複しない楽器の音響信号y[n]を、そのまま音響信号v[n]として出力する(SC1)。したがって、種類A[2]が示す楽器「バスドラム」と種類A[3]が示す楽器「ベース」との間で発音帯域が重なる場合でも、音響信号y[3]と時間軸上で重なる音響信号y[2]は、音響信号y[3]に対して相対的に抑制される。調整部34(混合部343)は、第3処理部347が生成した複数の音響信号w[n]を混合することで音響信号zを生成する(SA6)。放音装置14は、音響信号zに応じた音響、つまり楽器10[1]〜10[N]の演奏音に応じた音響を放音する(SA7)。
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では特に、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応する周波数帯域が音響信号y[n1]と音響信号y[n2]との間で重なる場合に、音響信号y[n2]と時間軸上で重なる音響信号y[n1]の音響成分が相対的に抑制される。したがって、相対的に抑制された音響成分を含む音響信号y[n1]に対応する演奏音に対して他方の音響成分を含む音響信号y[n2]に対応する演奏音が聞き取りやすくなるという利点がある。また、優先度情報P2を参照して第3処理を行っているので、音響信号y[n1]の調整、すなわち音響信号v[n1]の生成を適切に行うことが可能である。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)前述の各形態では、楽器10[n]に対応する音響信号x[n]を解析することで楽器の種類A[n]を特定したが、楽器の種類A[n]の特定方法は音響信号x[n]の解析に限定されない。例えば、特定部32は、利用者が入力装置を使用して楽器を指示する操作(例えば複数の候補から楽器を選択する操作)を検知し、当該操作で指示された楽器の種類A[n]を特定する。この場合、特定部32は、音響処理装置100に対して楽器の種類A[n]を特定する指示ができて利用者が操作する操作機器である。なお、音響信号x[n]の解析により楽器の種類A[n]を特定する前述の各形態によれば、利用者の指示により直接的に楽器の種類A[n]を特定する構成と比較して、利用者の負担を軽減することが可能である。また、利用者が演奏音に対応する楽器の種類を認識していないときでも、楽器の種類A[n]を特定することができるという利点がある。
(2)前述の各形態では、特定部32が特定した楽器の種類に応じた処理として第1処理、第2処理および第3処理を例示したが、調整部34が音響信号を調整する処理は以上の例示に限定されない。すなわち、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に対応して音響信号を調整する処理であれば処理の内容は任意である。したがって、例えば、調整部34が第1処理の後に第2処理と第3処理との双方の処理を行う構成や第2処理と第3処理との各々を単独で行う構成も可能である。
(3)前述の各形態では、楽器名を楽器の種類とする構成を例示したが、楽器の種類は楽器名に限定されない。楽器の種類は音響信号が表す演奏音がどのような音響であるかを示した情報であればその内容は任意であり、例えば、調波性の有無や発音帯域((「低域」、「中域」または「高域」の何れか)を示す情報を楽器の種類とすることも可能である。
(4)前述の各形態では、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に応じて音響信号x[n]を調整する構成を例示したが、音響信号x[n]の調整に楽器の種類A[n]の信頼度を加味することも可能である。信頼度は、特定部32が特定した楽器の種類A[n]の確度(識別結果の精度)である。例えば、相異なる楽器の種類について事前に用意された複数の特徴量の各々について音響信号x[n]の特徴量との類似度(例えば距離または相関)を算定し、類似度が高い(距離が小さいまたは相関が大きい)楽器の種類A[n]を音響信号x[n]について特定する構成では、特定部32は、類似度に応じて識別結果の信頼度を設定する。例えば、類似度を信頼度として使用する構成や、類似度を適用した所定の演算で信頼度を算定する構成が例示される。
調整部34は、特定部32が特定した楽器の種類A[n]の信頼度によって音響信号x[n]の調整の度合を制御する。例えば、音響信号x[n]について特定された種類A[n]の信頼度が高いほど、当該音響信号x[n]に対する調整の度合が増加する(あるいは信頼度が低いほど調整の度合が減少する)ように、調整部34は音響信号x[n]の調整の度合を制御する。以上の構成では、楽器の種類A[n]を特定した結果の信頼度に応じて音響信号x[n]の調整が抑制される。したがって、例えば、楽器の種類A[n]の信頼度が高い場合にはその楽器に好適な音響特性の付加を優先させる一方、楽器の種類A[n]の信頼度が低い場合(種類A[n]の特定結果が過誤である可能性が想定される場合)には、その楽器について用意された音響特性が音響信号x[n]について妥当であるとは限らないから当該音響特性の付加を抑制する、というように、楽器の種類A[n]の特定結果に応じた適切な調整を実現することが可能である。また、第2実施形態と第3実施形態でも同様に、音響信号x[n]に加えて音響信号y[n]の調整に信頼度を加味することも可能である。
(5)第2実施形態では、発音帯域が相互に重なる音響信号y[n1]および音響信号y[n2]のうちの一方である音響信号y[n1]に対して第2処理を行ったが、第2処理の対象は音響信号y[n1]に限定されない。例えば、音響信号y[n2]に対して第2処理を行うことや音響信号y[n1]と音響信号y[n2]との双方に対して第2処理を行うことも可能である。また、帯域B1〜B3ごとに第2処理を行う周波数特性を変えることも可能である。以上の説明から理解される通り、優先度が低い楽器の種類に対応する音響成分を優先度が高い楽器の種類に対応する音響成分に対して相対的に抑制するための処理であれば、第2処理の対象は任意である。第3実施形態でも同様に、第3処理の対象は任意である。
また、第2実施形態および第3実施形態において、音響信号y[n1]および音響信号y[n2]の一方の音響成分Aを他方の音響成分Bに対して相対的に抑制する処理には、音響成分Aを音響成分Bに対して抑制する処理のほか、音響成分Bを音響成分Aに対して強調する処理も包含される。
(6)第2実施形態および第3実施形態において、音響信号y[n1]の周波数帯域と音響信号y[n2]の周波数帯域とが重なる場合に第2処理(第3実施形態では第3処理)を行う構成を例示したが、3つ以上の音響信号y[n]の周波数帯域が重なる場合においても同様に第2処理(第3実施形態では第3処理)を行う。
(7)前述の各形態で例示した音響処理装置100は、前述の通り演算処理装置22とプログラムとの協働により好適に実現される。具体的には、本発明の好適な態様に係るプログラムは、コンピュータを、音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類A[n]を特定する特定部32、および、特定部32が特定した楽器の種類A[n]に応じて音響信号を調整する調整部34として機能させる。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。
また、前述の各形態に係る音響処理装置100の動作方法(音響処理方法)としても本発明は特定される。本発明の好適な態様に係る音響処理方法は、コンピュータ(単体のコンピュータまたは複数のコンピュータで構成されるコンピュータシステム)が、音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類A[n]を特定し、特定した楽器の種類A[n]に応じて音響信号を調整する。
10……楽器、100…音響処理装置、12……信号供給装置、14……放音装置、22……演算処理装置、24……記憶装置、32……特定部、34……調整部、40……周波数解析部、50……特性付与部、60……波形生成部、70……周波数解析部、80……抑制部、90……波形生成部、341……第1処理部、343……混合部、345……第2処理部、347……第3処理部。

Claims (8)

  1. コンピュータが、
    音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類を特定し、
    前記特定した楽器の種類に応じて前記音響信号を調整する
    音響処理方法。
  2. 前記音響信号の調整においては、前記特定した楽器の種類に対応する目標特性に前記音響信号の周波数特性を近付ける第1処理を、前記音響信号に対して実行する
    請求項1の音響処理方法。
  3. 前記楽器の種類の特定においては、第1音響信号および第2音響信号の各々について楽器の種類を特定し、
    前記音響信号の調整においては、前記特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が前記第1音響信号と前記第2音響信号との間で重なる場合に、前記第1音響信号および前記第2音響信号の一方における当該周波数帯域の音響成分を他方に対して相対的に抑制する第2処理を、前記音響信号に対して実行する
    請求項1または請求項2の音響処理方法。
  4. 前記楽器の種類の特定においては、第1音響信号および第2音響信号の各々について楽器の種類を特定し、
    前記音響信号の調整においては、前記特定した楽器の種類に対応する周波数帯域が前記第1音響信号と前記第2音響信号との間で重なる場合に、前記第1音響信号および前記第2音響信号の一方において時間軸上で他方と重なる音響成分を相対的に抑制する第3処理を、前記音響信号に対して実行する
    請求項1または請求項2の音響処理方法。
  5. 前記音響信号の調整においては、前記楽器の種類毎に優先度を指定する優先度情報を参照し、前記第1音響信号および前記第2音響信号のうち、前記特定した楽器の種類について前記優先度情報が指定する優先度が低い方を他方に対して相対的に抑制する
    請求項3または請求項4の音響処理方法。
  6. 前記楽器の種類の特定においては、音響信号の解析により前記楽器の種類を特定する
    請求項1から請求項5の何れかの音響処理方法。
  7. 前記音響信号の調整においては、前記楽器の種類を特定した結果の信頼度に応じて前記音響信号の調整を制御する
    請求項6の音響処理方法。
  8. 音響信号が表す演奏音に対応する楽器の種類を特定する特定部と、
    前記特定部が特定した楽器の種類に応じて前記音響信号を調整する調整部と
    を具備する音響処理装置。
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