JP6235198B2 - 音声信号処理方法、音声信号処理装置およびプログラム - Google Patents

音声信号処理方法、音声信号処理装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、楽曲中の打楽器音を制御する音声信号処理方法、音声信号処理装置およびプログラムに関する。
従来、楽曲中の各楽器の音を制御する方法として、アイソレータ(バンド分割フィルタを用いたイコライザの一種)を用いた方法が知られている。ところが、アイソレータを用いて中域のレベルを下げると、打楽器音の場合、バスドラム、スネアドラム、ハイハットの音が同時に削れてしまう。つまり、スネアドラム音だけの減衰、またはハイハット音だけの減衰など、楽器別の制御はできない。
これに対し、楽曲中の楽器音を制御する技術として、特許文献1ないし特許文献3が知られている。特許文献1は、スペクトログラムとテンプレート(プロファイルスペクトル)を照合することにより、キックドラムやハイハットなどの打楽器音を検出する。また、特許文献2は、テンプレートや反復推定を用いることなく、スペクトログラムの周波数と時間方向の成分の異方性に着目して、打楽器音とそれ以外の楽器音とを分離する。また、特許文献3では、楽曲データの波形を事前解析することで、その楽曲データに含まれる個々の楽器音を抽出する。具体的には、時系列にラベル付けされたログスペクトルを予め用意し、当該ログスペクトルを所定時間単位で切り出した部分ログスペクトルを用いて楽器音毎に存在確率の時系列分布を求め、当該時系列分布に基づいて音素材を切り出す。
特表2007−536587号公報 特開2009−210888号公報 特開2010−134231号公報
ところが、特許文献1の技術は、事前情報としてテンプレートが必要となる。また、特許文献2の技術は、打楽器音とそれ以外の楽器音とを分離することができるものの、打楽器音を種類別に判定することができない。すなわち、スペクトログラムの打楽器別の形状分析までは行っていない。さらに、特許文献3の技術は、楽曲データの事前解析が必要であり、楽曲を再生しながらリアルタイムに楽器音を抽出することができない。
本発明は、上記の問題点に鑑み、テンプレートを用いることなく且つ事前解析を必要とすることなく、楽曲中の打楽器音の種類(スネアドラム音、ハイハット音など)を判定可能な、音声信号処理方法、音声信号処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の音声信号処理方法は、音声信号から、アタックを検出するアタック検出ステップと、時間を横軸とし、周波数を縦軸とした音声信号の周波数スペクトルにおいて、アタックの位置を開始位置とした発音区間に、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域に複数の周波数binを割り当て、周波数binの各々における所定時間分の振幅の積算データを計算し、各周波数binの積算データから近似直線を求め、当該近似直線の傾きを検出する区間形状検出ステップと、検出された前記近似直線の傾きが、スネアドラムのアタックの傾きであるか、ハイハットのアタックの傾きであるか、を判定するスネア・ハイハット判定ステップと、を実行することを特徴とする。
本発明の音声信号処理装置は、音声信号から、アタックを検出するアタック検出手段と、時間を横軸とし、周波数を縦軸とした音声信号の周波数スペクトルにおいて、アタックの位置を開始位置とした発音区間に、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域に複数の周波数binを割り当て、周波数binの各々における所定時間分の振幅の積算データを計算し、各周波数binの積算データから近似直線を求め、当該近似直線の傾きを検出する区間形状検出手段と、検出された近似直線の傾きが、スネアドラムの傾きであるか、ハイハットの傾きであるか、を判定するスネア・ハイハット判定手段と、を備えたことを特徴とする。
区間形状検出ステップまたは区間形状検出手段においては、前記各周波数binの積算データから最小二乗法で近似直線を求めることができる。
これらの構成によれば、周波数スペクトルのスペクトル形状に基づいて、検出されたアタックが、スネアドラムのアタックであるか、ハイハットのアタックであるかを判定することができる。つまり、テンプレートを用いることなく、楽曲中の打楽器音の種類を判定することができる。さらに、楽曲全体の事前解析を必要としないため、楽曲を再生しながらリアルタイムに打楽器音を判定・分離することができる。
さらに、この構成によれば、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域に複数の周波数binを割り当て、周波数binの各々における所定時間分の振幅の積算データを計算し、各周波数binの積算データから近似直線を求め、当該近似直線の傾きを求めることができる。
この際、特定周波数帯域として6k〜12kHzの帯域を用いることで、スネアドラムおよびハイハット以外の音の成分から受ける影響を低減できる。また、発音区間の近似直線は、最小二乗法を用いることにより、容易に検出することができる。
なお、「スネアドラム」は、「ハンドクラップ」と読み替えることも可能である。つまり、検出されたアタックが、ハンドクラップのアタックであるか、ハイハットのアタックであるかを判定しても良い。
上記の音声信号処理方法において、スネア・ハイハット判定ステップは、区間形状検出ステップで検出した発音区間における前記近似直線がマイナスの傾きを有する場合、スネアドラムのアタックであると判定し、プラスの傾きを有する場合、ハイハットのアタックであると判定することを特徴とする。
この構成によれば、発音区間の近似直線がマイナスの傾きを有するか、プラスの傾きを有するかの違いにより、容易に打楽器音の種類を判定することができる。
上記の音声信号処理方法において、スネア・ハイハット判定ステップは、区間形状検出ステップで検出した発音区間における前記近似直線の傾きが、同一楽曲内においてそれまで検出された各発音区間の傾きの移動平均値をとった変動閾値よりも小さい場合、スネアドラムの発音区間であると判定し、そうでない場合、ハイハットのアタックであると判定する第1スネア・ハイハット判定ステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、ハイハットであっても発音区間がマイナスの傾きを有する場合があるが、スネアドラムより傾きが小さくなることは無いため、各発音区間の傾きの移動平均値をとった変動閾値で判定を行うことにより、誤判定を防ぐことができる。
上記の音声信号処理方法において、スネア・ハイハット判定ステップは、第1スネア・ハイハット判定ステップにより、スネアドラムの発音区間であると判定され、且つ周波数スペクトルのスネアドラムに対応する特定周波数帯域における所定時間分の振幅積算値が、同一楽曲内においてそれまで検出された振幅積算値の最大値の所定割合より大きい場合、スネアドラムのアタックであると判定し、そうでない場合、スネアドラムのアタックでないと判定する第2スネア判定ステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、スネアドラムが鳴っている箇所は、スネアドラムに対応する特定周波数帯域(例えば、1.5k〜4.2kHz)の振幅積算値の合計値が安定して大きくなるため、その最大値の所定割合を閾値とすることで、誤判定を防ぐことができる。
上記の音声信号処理方法において、スネア・ハイハット判定ステップは、第1スネア・ハイハット判定ステップにより、ハイハットの発音区間であると判定され、且つ周波数スペクトルのハイハットに対応する特定周波数帯域における所定時間分の振幅積算値が、同一楽曲内においてそれまで検出された各発音区間のハイハットに対応する特定周波数帯域における振幅積算値の移動平均値をとった変動閾値より大きい場合、ハイハットのアタックであると判定し、そうでない場合、ハイハットのアタックでないと判定する第2ハイハット判定ステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、ハイハットはオープンとクローズがあり、ハイハットに対応する特定周波数帯域の振幅積算値が安定して大きくなる訳ではないため、振幅積算値の移動平均値をとった変動閾値で判定を行うことにより、誤判定を防ぐことができる。
上記の音声信号処理方法において、周波数帯域をN個に分割した各部分周波数帯域で、発音区間における近似直線から区間長の平均値をとり、当該各部分周波数帯域における区間長の平均値を、フィルタリング対象となる基本区間として決定する基本区間決定ステップと、基本区間に対し、スネアおよびハイハットを含む打楽器種類ごと且つ部分周波数帯域ごとに定められた固定係数を乗算し、各打楽器のフィルタリング区間を決定するフィルタリング区間決定ステップと、フィルタリング区間を対象として、各打楽器の音を分離する分離ステップと、をさらに実行することを特徴とする。
この構成によれば、発音区間の区間形状に基づく基本区間に、打楽器種類ごと且つ部分周波数帯域ごとに定められた固定係数を乗算することで、打楽器種類に応じた適切なフィルタリング区間を決定し、当該フィルタリング区間を対象として、特定の打楽器音を違和感無く且つ正確に分離することができる。
上記の音声信号処理方法において、周波数スペクトルの複数フレーム分の移動平均値が、検出されたアタック位置付近の低域の音量をLPFに通した変動閾値より大きい状態が、所定時間以上継続した場合、検出されたアタックが、バスドラムのアタックであると判定するバスドラム判定ステップをさらに実行することを特徴とする。
この構成によれば、スネアドラム音とハイハット音だけでなく、バスドラム音の判定も行うことができる。
上記の音声信号処理方法において、フィタリング区間決定ステップは、バスドラムの低域におけるフィルタリング区間として、移動平均値が変動閾値より小さくなった時間までを決定し、バスドラムの中・高域におけるフィルタリング区間として、基本区間決定ステップによって決定された基本区間に基づく所定時間分以上の区間を決定することを特徴とする。
この構成によれば、バスドラムについては、低域と、中・高域に分けてフィルタリング区間を決定することで、より違和感無く且つ正確にバスドラム音の分離を行うことができる。
上記の音声信号処理方法において、周波数帯域をM個に分割した各部分周波数帯域の振幅成分の値をLPFに通し、各部分周波数帯域について、「1.0−(LPFの出力値/振幅の値)」の計算式により抽出率を算出する抽出率算出ステップをさらに実行し、分離ステップは、抽出率決定ステップによって算出されたM個の部分周波数帯域の各抽出率に基づいて、各打楽器の音を分離することを特徴とする。
この構成によれば、打楽器音を分離する際、打楽器音の形状を全て無音にしてしまうと違和感があるため、時間方向の移動平均値(LPFの出力値)と振幅の値を用いて抽出率を変動させることで、特定の打楽器音をより違和感無く且つ正確に分離することができる。
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の音声信号処理方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
このプログラムを用いることにより、テンプレートを用いることなく且つ事前解析を必要とすることなく、楽曲中に含まれるスネアドラム音とハイハット音を判定可能な音声信号処理方法を実現できる。
本発明の一実施形態に係る再生装置の全体ブロック図である。 音声処理部の詳細ブロック図である。 アタック解析アルゴリズムの説明図である。 全体処理を示すフローチャートである。 区間検出処理を示すフローチャートである。 (a)〜(e)は、区間検出アルゴリズムの説明図である。 (a)は、発音区間および基本区間の説明図であり、(b)は、発音区間の傾きに関する説明図である。 第1スネア・ハイハット判定処理を示すフローチャートである。 第2スネア判定処理を示すフローチャートである。 (a)は、第2スネア判定処理の振幅成分を積算する領域の説明図であり、(b)は、第2ハイハット判定処理の振幅成分を積算する領域の説明図である。 第2ハイハット判定処理を示すフローチャートである。 バスドラム判定処理を示すフローチャートである。 バスドラムの発音区間の説明図である。 バスドラム低域区間検出処理を示すフローチャートである。 打楽器音分離処理を示すフローチャートである。 フィルタリング処理のアルゴリズムの説明図である。 打楽器音の調節に関する説明図である。 打楽器音の譜面表示の一例を示す図である。
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係る音声信号処理方法、音声信号処理装置およびプログラムについて説明する。本発明は、楽曲の再生に伴って、楽曲中の特定の打楽器音を判定・分離することを特徴とする。そこで、特定の打楽器音としてバスドラム音、スネアドラム音、ハイハット音を判定・分離する場合について説明する。
図1は、再生装置1の全体ブロック図である。再生装置1は、楽曲の音声信号を入力する音声入力部11と、音声信号に対して各種音声処理を行う音声処理部12と、音声処理後の音声信号を出力する音声出力部13と、ユーザーが各種操作を行う操作部14と、を備えている。なお、再生装置1としては、DJ機器(DJプレーヤー、DJミキサーなど)、オーディオ機器(CDプレーヤー、DVDプレーヤーなど)、携帯型オーディオプレーヤー、スマートフォン、エフェクター、録音機器、放送機器、などを採用可能である。また、請求項における「音声処理装置」は、音声処理部12を指す。
音声入力部11は、再生装置1が光ディスクを再生する装置である場合、光ディスクドライブから出力された音声信号を入力する。また、USBメモリ等の記憶媒体から音声信号の読み出しが可能である場合、当該記憶媒体から音声信号を入力する。さらに、インターネット等のネットワークを介して音声信号を入力しても良い。また、音声出力部13は、再生装置1がスピーカー内蔵の場合、アンプおよびスピーカーを指し、スピーカー内蔵ではない場合は、音声信号の出力インターフェースを指す。
音声処理部12は、A/Dコンバーター21、DSP22(Digital Signal Processor)およびD/Aコンバーター23を含む。但し、音声入力部11がデジタル信号を取得する場合、A/Dコンバーター21およびD/Aコンバーター23は不要である。
操作部14は、各種操作子を指し、分離・抽出対象となる打楽器音の選択、抽出率の調整、各打楽器音の音量調整、各打楽器音に付加するエフェクト付与率の調整等に用いられる。詳細については、後述する。
図2は、音声処理部12の詳細ブロック図である。音声処理部12は、主な機能構成として、FFT(Fast Fourier Transform)部31、アタック検出部32、区間検出部33、バスドラム判定部34、スネア・ハイハット判定部35および打楽器音分離部36を有している。なお、これら音声処理部12内の各部は、DSP22(図1参照)を主要部とする。
FFT部31は、音声信号に対して高速フーリエ変換を行い、解析データ(振幅情報)を生成する。なお、本実施形態では、FFTサイズ512サンプル、オーバーラップ4回とする。つまり、1フレーム(FFTの処理間隔)は、128サンプルとする。
アタック検出部32は、当該解析データから、打楽器音のアタック(発音タイミング)を検出する。具体的には、図3に示すように、全周波数帯域(500〜15kHz)の振幅成分の過去1フレームとの差分をとった変動閾値(点線にて図示)により判定する。つまり、変動閾値を超えたタイミング(星印にて図示)を、アタック位置として検出する。このように、変動閾値を用いることで、長時間鳴っている音の影響を少なくし、アタック位置の誤検出を防止することができる。なお、アタック位置の検出は、当該変動閾値を用いた方法に限らず、公知の技術を用いても良い。
区間検出部33は、アタック後における時間軸上の音の長さ(発音区間)を検出するものであり、後述する区間検出処理(図5参照)を行う。また、区間検出部33は、区間形状検出部33aおよび基本区間決定部33bを含む。区間形状検出部33aは、音声信号をフーリエ変換した周波数スペクトル(図6(a)参照)の、アタックの位置を開始位置とした発音区間の区間形状を検出する。また、基本区間決定部33bは、検出された発音区間に基づいて、各打楽器音を分離する際のフィルタリング対象となる基本区間を決定する。
バスドラム判定部34は、検出されたアタックが、バスドラムのアタックであるか否かを判定するバスドラム判定処理(図12参照)と、バスドラムの低域における発音区間(≒フィルタリング区間)を検出するバスドラム低域区間検出処理(図14参照)を行う。
スネア・ハイハット判定部35は、検出されたアタックが、スネアドラムのアタックであるか、ハイハットのアタックであるか、そのいずれでもないかを判定する。また、スネア・ハイハット判定部35は、第1スネア・ハイハット判定部35a、第2スネア判定部35bおよび第2ハイハット判定部35cを含み、それぞれ第1スネア・ハイハット処理(図8参照)、第2スネア判定処理(図9参照)および第2ハイハット判定処理(図11参照)を行う。
打楽器音分離部36は、楽曲から特定の打楽器音を分離するものであり、打楽器音分離処理(図15参照)を行う。また、打楽器音分離部36は、抽出率算出部36a、フィルタリング区間決定部36bおよび分離部36cを含む。抽出率算出部36aは、打楽器音を分離する際の抽出率(除去率)を、時間方向の移動平均値と振幅の値を用いて周波数帯域別(M個の部分周波数帯域,本実施形態では5バンド)に算出する。フィルタリング区間決定部36bは、上記の基本区間に、打楽器音(スネアドラムまたはハイハット)別且つ周波数帯域別(N個の部分周波数帯域,本実施形態では3バンド)の固定係数を乗算し、打楽器音を分離する際の最終的なフィルタリング区間を決定する。分離部36cは、決定されたフィルタリング区間を対象とし、算出された抽出率に基づいて、各打楽器の音を分離する。なお、打楽器音分離処理の結果は、FFT部31により得られた位相情報を逆フーリエ変換した時間波形に反映され、出力される。
図4は、全体処理を示すフローチャートである。当該フローチャートは、音声信号(楽曲データ)が入力されている限り、128サンプルごとに繰り返される。つまり、本実施形態では、楽曲を再生しながらリアルタイムに打楽器音の判定を行うことが可能である。まず、高速フーリエ変換を行い、FFTサイズ512サンプルの解析データを生成し(S01)、これをモノラル化する(S02)。さらに、実数・虚数を振幅変換して(S03)、アタックを検出する(S04)。
アタックを検出すると、周波数bin3以上(200Hz以上)について、区間検出処理(S05)を行う。さらに、第1スネア・ハイハット処理(S06)で大まかな打楽器種類の目安をつけ(スネアドラムまたはハイハットの可能性を探り)、第2ステア判定処理(S07)および第2ハイハット判定処理(S08)で、スネアドラムまたはハイハットの判定を確定する。一方、周波数bin0〜2(200Hz以下)について、バスドラム判定処理(S09)およびバスドラム低域区間検出処理(S10)を行う。さらに、S07,S08,S10の後、各打楽器音を分離する打楽器音分離処理を行う(S11)。以下、S05〜S11の各処理について、詳細に説明する。
図5は、区間検出処理を示すフローチャートである。また、図6は、区間検出アルゴリズムの説明図である。図6は、時間を横軸とし、周波数を縦軸とした周波数スペクトル(打楽器音の振幅特性)を示している(同図(a)参照)。図5に示すように、区間検出処理では、前処理1として、周波数スペクトルの時間軸方向の平均値の差分をとる(S21)。S21の前処理により、打楽器音以外の、継続して鳴っている音を除去することができる(簡易残響処理,図6(b)参照)。これにより、音数が多い楽曲でも、打楽器音の振幅特性を把握しやすくすることができる。
次に、前処理2として、前処理1を通した振幅でマイナス70dBよりも大きい振幅を持つものをマイナス70dBに揃える(S22)。つまり、前処理1で見やすくした周波数スペクトルに対して、レベルを十分小さい値に揃える(図6(c)参照)。これにより、アタックやピークの特別強い成分が、他の成分と同一になり、想定される最大音量を簡易的に求めることができる。
次に、前処理3として、前処理2を通した振幅を周波数binごとに、例えば250ms積算する(S23)。積算する長さを250msとしたのは、大抵のスネアドラムおよびハイハットの発音区間は、250ms以内であると仮定できるためである。図6(d)は、各周波数binを5つの矩形領域で示している。このように積算処理を行うことにより、積算した成分が、想定される最大の発音区間の何%に相当するかを計算し、それを使って発音区間を求めることができる。なお、図6(d)では、簡易的に5つの矩形領域を示しているが、実際の区間検出では、6k〜12kHzの各周波数binについて積算を行っている。
次に、アタックを検出してから250ms経過したか、若しくは次のアタックが来たかを判別し(S24)、S24:Noの場合はS21〜S23を繰り返す。一方、S24:Yesの場合は、6k〜12kHzの積算データから、最小二乗法で近似直線を求める(S25)。図6(e)は、最小二乗法で求めた近似直線(y切片と傾き)を点線にて示している。このように、最小二乗法で傾きを求めたことにより、簡易にスネアドラムおよびハイハットのスペクトル形状を推定・判別することができる。また、スネアドラムおよびハイハットの成分が強く、且つコード楽器の影響の少ない6k〜12kHzの帯域のデータを用いて、中・低域の発音区間を類推することで、コード楽器(スネアドラムおよびハイハット以外の楽器)による音の影響を軽減することができる。なお、本実施形態では、0〜200Hz付近を「低域」、200Hz〜6000Hz付近を「中域」、6000〜22050Hz付近を「高域」と定義する。
次に、周波数帯域を3つ(N個)に分割した各部分周波数帯域の長さの平均値で、FFTフィルタリングの基本区間を決定する(S26)。本実施形態では、200〜3kHz、3〜8kHz、8〜22kHzの3つの部分周波数帯域別に基本区間を決定する。図7(a)は、発音区間および基本区間の説明図である。同図に示すように、最小二乗法で求めた発音区間の区間形状(同図斜線は、近似直線を示す)から、3つの部分周波数帯域ごとに区間長さの平均値をとり、矩形のフィルタリング形状に丸め込むことで基本区間を決定する。このように、帯域幅をある程度まとめることにより、FFTフィルタリング時(スネアドラム・ハイハット音の抽出時)に発生する異音を防止できる。
図8は、第1スネア・ハイハット判定処理を示すフローチャートである。第1スネア・ハイハット判定処理は、図5に示した区間検出処理で検出した発音区間の区間形状を取得し(S31)、その傾きの値が0未満であるか否か(マイナスであるか否か)を判別する(S32)。なお、図7(b)に示すように、発音区間の傾きがマイナスである場合、スネアドラムの発音区間である可能性が高く、発音区間の傾きがプラスである場合、ハイハットの発音区間である可能性が高いと、大まかな判定ができる。但し、本実施形態では、正確性を期すため、以下の処理を行う。
S32により、発音区間の傾きがマイナスであると判定した場合(S32:Yes)、検出された各アタックに対して傾きを求め、その移動平均値を変動閾値とする(S33)。そして、変動閾値よりも取得した区間形状の傾きの方が小さい場合(S34:Yes)、検出したアタックが(取得した区間形状が)スネアドラムのアタックであると判定し(S35)、取得した区間形状の傾きが変動閾値以上の場合(S34:No)、ハイハットのアタックであると判定する(S36)。このように、変動閾値で打楽器音の判別を行うことで、スネアドラムとハイハットの誤判定を防止できる(ハイハットであっても、楽曲によってはマイナスの傾きになる場合があるため)。
図9は、第2スネア判定処理を示すフローチャートである。第2スネア判定処理では、まず1.5k〜4.2kHzの各周波数binを積算する(S41)。ここで、1.5k〜4.2kHzは、スネアドラムの成分が強い帯域(スネアドラムに対応する特定周波数帯域)である。また、アタックを検出してから100ms経過したか、若しくは次のアタックが来たかを判別し(S42)、S42:Noの場合はS41に戻る。一方、S42:Yesの場合は、1.5k〜4.2kHzの振幅積算値を合計する(S43)。図10(a)は、S43により振幅成分を積算する領域を示している。
次に、その積算値の最大値を更新する(S44)。そして、図8に示した第1スネア・ハイハット判定処理でスネアドラムと判定されているか否かを判別し(S45)、判定されている場合は(S45:Yes)、さらにS43で算出した積算値がS44で算出した最大値の80%(所定割合)より大きいか否かを判別し(S46)、大きい場合(S46:Yes)は、スネアドラムのアタックであると確定する(S47)。一方、S45:NoおよびS46:Noの場合は、スネアドラムのアタックではないと判定する(S48)。このように、スネアドラムが鳴っている箇所は、1.5k〜4.2kHzの振幅成分の合計値が安定して大きくなるため、その最大値の所定割合を閾値として判定することで、より正確な判定結果が期待できる。
図11は、第2ハイハット判定処理を示すフローチャートである。第2ハイハット判定処理では、まず6k〜17kHzの各周波数binを積算する(S51)。ここで、6k〜17kHzは、ハイハットの成分が強い帯域(ハイハットに対応する特定周波数帯域)である。また、アタックを検出してから100ms経過したか、若しくは次のアタックが来たかを判別し(S52)、S52:Noの場合はS51に戻る。一方、S52:Yesの場合は、6k〜17kHzの振幅積算値を合計する(S53)。図10(b)は、S53により振幅成分を積算する領域を示している。
次に、検出された各アタックに対して、特定領域(6k〜17kHz)で100msの積算値をとり、その移動平均値を変動閾値とする(S54)。そして、図8に示した第1スネア・ハイハット判定処理でハイハットと判定されているか否かを判別し(S55)、判定されている場合は(S55:Yes)、さらにS53で算出した積算値がS54で算出した変動閾値より大きいか否かを判別し(S56)、大きい場合は(S56:Yes)、ハイハットのアタックであると確定する(S57)。一方、S55:NoおよびS56:Noの場合は、ハイハットのアタックではないと判定する(S58)。このように、ハイハットはオープンとクローズがあり、常に6k〜17kHzが安定して大きいわけではないため、積算値の移動平均値を変動閾値として判定することで(また、比較的時定数の大きいLPF(Low Pass Filter)により算出することで)、より正確な判定結果が期待できる。
図12は、バスドラム判定処理を示すフローチャートである。なお、当該バスドラム判定処理は、周波数bin0,1,2(200Hz以下の低域区間)を対象とし、バスドラムの胴なりの有無でバスドラムのアタックであるか否かを判定する(図13参照)。バスドラム判定処理では、まず比較的時定数の大きい(例えばカットオフ周波数1Hzの)LPFからアタック付近の平均値を算出し、変動閾値とする(S61)。つまり、ベース音との誤判定を避けるため、定常的に鳴っているベースの音量を検出して閾値とする。次に、アタックから150ms以内であるか否かを判別し(S62)、S62:Noの場合は、バスドラムのアタックではないと判定する(S67)。つまり、非常に短い時間間隔(150ms以内)でバスドラムが発音されることは無いため、当該判定により誤検出を防止できる。
また、S62:Yesの場合は、4フレーム分の移動平均を取る(S63)。これは、FFTサイズが小さいと、周波数分解能が低く、低域の波形が乱れるためである(FFTサイズを大きくすることで、その乱れを低減できる)。そして、変動閾値よりも移動平均値の方が大きいか否かを判別し(S64)、大きい場合は(S64:Yes)、上記の状態が60ms以上続いたか否かを判別し(S65)、続いている場合は(S65:Yes)、バスドラムのアタックと判定する(S66)。一方、S64:NoおよびS65:Noの場合は、バスドラムのアタックではないと判定する(S67)。このように、変動閾値を用いて判定を行うことで、ベース音との誤検出を防止できる。また、その状態が60ms以上続いたか否かを判別することで、バスドラムのアタックの盛り上がり区間を判定でき(胴なりが60ms以上続いたか否かを判定でき)、より正確な判定結果が期待できる。
図14は、バスドラム低域区間検出処理を示すフローチャートである。当該処理では、200Hz以下の低域区間におけるバスドラムの発音区間(以下、「バスドラム低域区間」と称する)を判定する(図13参照)。中・高域区間の発音区間については、図5に示した区間検出処理の結果を用いて判定する。バスドラム低域区間検出処理では、S61と同様に、比較的時定数の大きい(例えばカットオフ周波数1Hzの)LPFからアタック付近の平均値を算出し、変動閾値とする(S71)。次に、図12のバスドラム判定処理でバスドラムのアタックであると判定されたか否かを判別し(S72)、判定されていない場合は(S72:No)、バスドラム低域区間検出処理を終了する。
また、S72:Yesの場合は、バスドラムを確定した時間から500ms以内であるか否かを判別し(S73)、500msを超えた場合は(S73:No)、バスドラムの区間を確定する(S76)。つまり、バスドラムの最大発音区間を500msとして規定する。また、S73:Yesの場合は、S63と同様に、4フレーム分の移動平均を取り(S74)、変動閾値よりも移動平均値の方が小さいか否かを判別する(S75)。変動閾値よりも移動平均値の方が小さい場合は(S75:Yes)、その時点でバスドラムの区間を確定する(S76)。つまり、変動閾値よりも移動平均値の方が小さくなったところを、バスドラム低域区間の終わりとみなす。一方、S75:Noの場合は、S73,S74を繰り返す。このように、変動閾値を用いて判定を行うことで、ベース音と誤検出することなく、バスドラム低域区間を正確に検出することができる。
図15は、打楽器音分離処理を示すフローチャートである。打楽器音分離処理では、周波数帯域を5つ(M個)に分割した各部分周波数帯域の振幅成分の値を、それぞれカットオフ周波数1.5HzのLPFに通す(S81)。本実施形態では、0〜991Hz、991〜2972Hz、2972〜5039Hz、5039〜7957Hz、7957〜22050Hzの各部分周波数帯域に分割する。このように、帯域幅をある程度まとめることによって、スネアドラムおよびハイハット音抽出時の異音を軽減することができる。
次に、各部分周波数帯域で、1.0−(LPFの出力値/振幅の値)の計算式に基づき、抽出率を求める(S82)。図16は、フィルタリング処理アルゴリズムの説明図である。同図に示すように、LPFの出力値と振幅の値の差が大きい場合、抽出率を大きくし、LPFの出力値と振幅の値の差が小さい場合、抽出率を小さくする。このように、LPFの出力値と振幅の値を用いて除去率を変動させることにより、特定の打楽器音を違和感無く且つ正確に分離することができる。
次に、各部分周波数帯域における抽出率が0以上であるか否かを判別し(S83)、0以下の場合は(S83:No)、抽出率を0にする(S84)。つまり、LPFの出力値の方が振幅の値より大きい場合は、抽出率を0にする。続いて、これまでの判定処理により、アタックがバスドラムであると判定されたか否かを判別し(S85)、判定されている場合は(S85:Yes)、中・高域区間(図13参照)のフィルタリング区間として、区間検出処理で検出された基本区間に基づく最低帯域幅24ms以上の区間を決定する(S86)。つまり、中・高域区間のフィルタリング区間は、区間検出処理で検出された基本区間を用いるが、3つ(N個)の各部分周波数帯のうち、区間長さが24msに満たない帯域幅については24msとする。また、低域区間のフィルタリング区間は、図14のバスドラム低域区間検出処理で検出したバスドラム低域区間を用いる。
次に、アタックがスネアドラムであるか否かを判別する(S87)。スネアドラムと判定されている場合は(S87:Yes)、区間形状に、スネアドラム固有のN個の部分周波数帯域別固定係数を乗算して、フィルタリング区間を決定する(S88)。また、アタックがスネアドラムでないと判定されている場合は(S87:No)、アタックがハイハットであるか否かを判別する(S89)。ハイハットと判定されている場合は(S89:Yes)、区間形状に、ハイハット固有のN個の部分周波数帯域別固定係数を乗算して、フィルタリング区間を決定する(S90)。なお、ハイハットの部分周波数帯域別固定係数は、スネアドラムと比較して、低・中域の固定係数が小さく、高域の固定係数が大きく設定される。
次に、アタックがいずれの打楽器音(バスドラム、スネアドラム、ハイハット)でもない場合は、N個の部分周波数帯域別固定係数を全て0(ゼロ)とする(S91)。以上の工程により、フィルタリング区間を決定した後は、N個の部分周波数帯域別フィルタリング区間と、M個の部分周波数帯域別抽出率に基づいて、各打楽器音を分離する(S92)。
次に、分離した各打楽器音の応用例について説明する。図17は、各打楽器音の調節に関する説明図である。同図に示すように、バスドラム、スネアドラム、ハイハット、3音以外の、それぞれの音量を、ロータリー型操作子51(操作部14の一部,図1参照)を用いて調節しても良い。また、音量ではなく、それぞれの抽出率を調節可能としても良い。この場合、調節可能な抽出率の最大値は、図15のS82で算出した抽出率であっても良いし、その実数倍の値としても良い。また、調節可能な抽出率の最小値は、0(ゼロ)とすることが好ましい。
その他、バスドラム、スネアドラム、ハイハット、3音以外の、それぞれの音に対し、異なるエフェクトをかけても良い。また、そのエフェクト付与率(加工処理量)を、ロータリー型操作子51を用いて調節可能としても良い。エフェクトとしては、ディレイ、リバーブ、エコーなど、DJ機器のエフェクター等で用いられる各種音響効果を適用可能である。操作方法としては、例えばバスドラムに対応したロータリー型操作子51を右側に回転させると、バスドラム音の数を徐々に増加させ(ディレイをかけて足していき)、左側に回転させると、バスドラム音の数を徐々に減衰させる、などが考えられる。なお、操作子の形態は、ロータリー型操作子51に限らず、フェーダー型操作子やタッチパネルなどその種類を問わない。
また、図18に示すように、抽出した打楽器音を譜面表示しても良い。つまり、バスドラム、スネアドラム、ハイハットの判別結果をMIDI(Musical Instrument Digital Interface)化し、ドラム譜面52として用いても良い。この場合、ハイハットについては、オープンハイハットとクローズハイハットに分けて表示することが好ましい。また、スネアドラムに代えて、ハンドクラップを譜面表示しても良い。ハンドクラップは、スネアドラムと同様の処理工程により、判定・分離可能である。
また、特に図示しないが、ドラムをMIDIで鳴らし、音色を切り替えても良い。つまり、判定した各打楽器音のアタックのタイミングで、別の音(アコースティックドラムなど)を出力しても良い。また、抽出した打楽器音をサンプリングし、ユーザーが入力したシーケンスにしたがって(若しくはユーザーが指定した出力タイミングで)、各打楽器音を出力しても良い。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、音声信号をフーリエ変換した周波数スペクトルのスペクトル形状に基づいて、検出されたアタックが、スネアドラムのアタックであるか、ハイハットのアタックであるかを判定することができる。つまり、テンプレートを用いることなく、楽曲中の打楽器音の種類を判定することができる。さらに、楽曲全体の事前解析を必要としないため、楽曲を再生しながらリアルタイムに打楽器音を判定・分離することができる。
また、第1スネア・ハイハット判定処理では、発音区間の近似直線の傾きが、同一楽曲内においてそれまで検出された各発音区間の傾きの移動平均値をとった変動閾値よりも小さいか否かに応じて、スネアドラムとハイハットを区別する。つまり、単純に発音区間の傾きのみで判定すると、ハイハット音をスネアドラム音と誤判定する可能性があるが、ハイハットの場合、傾きがマイナスになることはあってもスネアドラムよりその傾きが小さくなることは無いため、各発音区間の傾きの移動平均値をとった変動閾値で判定を行うことにより、誤判定を防ぐことができる。
また、第2スネア判定処理では、スネアドラムが鳴っている箇所は、スネアドラムに対応する特定周波数帯域(例えば、1.5k〜4.2kHz)の振幅積算値の合計値が安定して大きくなるため、その最大値の所定割合を閾値とすることで、誤判定を防ぐことができる。これに対し第2ハイハット判定処理では、ハイハットにオープンとクローズがあることから、ハイハットに対応する特定周波数帯域(例えば、6k〜17kHz)の振幅積算値の合計が安定して大きくなる訳ではないため、振幅積算値の移動平均値をとった変動閾値で判定を行うことにより、誤判定を防ぐことができる。
また、区間検出処理では、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域(6k〜12kHz)における所定時間分の積算データから区間形状を求めることで、スネアドラムおよびハイハット以外の音の成分から受ける影響を低減できる。また、最小二乗法を用いることにより、発音区間の区間形状を容易に検出することができる。
また、打楽器音分離処理では、スネアドラム音またはハイハット音の発音区間の区間形状に基づく基本区間に、打楽器種類ごと且つ部分周波数帯域ごとに定められた固定係数を乗算することで、打楽器種類に応じた適切なフィルタリング区間を決定するため、スネアドラム音またはハイハット音を違和感無く且つ正確に分離することができる。
また、スネアドラム音とハイハット音だけでなく、バスドラム音の判定・抽出も行うことができるため、抽出した各打楽器音の応用範囲を広げることができる。また、打楽器音分離処理では、打楽器音を分離する際、打楽器音の形状を全て無音にしてしまうと違和感があるため、時間方向の移動平均値(LPFの出力値)と振幅の値を用いて抽出率を変動させることで、各打楽器音を違和感無く且つ正確に分離することができる。
なお、上記の実施形態では、スネアドラムとハイハットを、2段階の判定処理を経て判別したが(第1スネア・ハイハット判定処理、第2スネア判定処理および第2ハイハット判定処理)、単純に区間形状だけで、スネアドラムとハイハットを判定しても良い。つまり、発音区間がマイナスの傾きを有する場合、スネアドラムのアタックであると判定し、プラスの傾きを有する場合、ハイハットのアタックであると判定しても良い。この構成によれば、少ない演算量で、容易に打楽器音を区別することができる。
また、上記の各実施形態に示した再生装置1における各部および各機能をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを、再生装置1の各部として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
また、上記の実施形態では、本発明の音声処理装置(音声処理部12)を再生装置1に適用した場合を例示したが、ネットワーク上のサーバーで本発明の音声処理装置を実現しても良い。この場合、サーバーと、当該サーバーとネットワークを介して接続されたユーザー端末と、によって、本発明を実現するための通信システムが構築され、サーバーが、上記の実施形態における音声処理部12を実現し、ユーザー端末が、操作部14を実現する。また、クラウドコンピューティングにも、本発明を適用可能である。つまり、サーバー上のアプリケーションを利用した仮想端末により、本発明の再生装置1または音声処理部12を実現しても良い。
また、PCアプリケーションやスマートフォンアプリケーションで本発明の音声処理装置を実現しても良い。この場合、当該PCアプリケーションをインストールしたコンピューター、またはスマートフォンアプリケーションをインストールしたスマートフォンにより再生装置1を実現可能である。その他、再生装置1の装置構成や処理工程など、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
1…再生装置 11…音声入力部 12…音声処理部 13…音声出力部 14…操作部 21…A/Dコンバーター 22…DSP 23…D/Aコンバーター 31…FFT部 32…アタック検出部 33…区間検出部 33a…区間形状検出部 33b…基本区間決定部 34…バスドラム判定部 35…スネア・ハイハット判定部 35a…第1スネア・ハイハット判定部 35b…第2スネア判定部 35c…第2ハイハット判定部 36…打楽器音分離部 36a…抽出率算出部 36b…フィルタリング区間決定部 36c…分離部 51…ロータリー型操作子 52…ドラム譜面

Claims (13)

  1. 音声信号から、アタックを検出するアタック検出ステップと、
    時間を横軸とし、周波数を縦軸とした前記音声信号の周波数スペクトルにおいて、前記アタックの位置を開始位置とした発音区間に、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域に複数の周波数binを割り当て、周波数binの各々における所定時間分の振幅の積算データを計算し、各周波数binの積算データから近似直線を求め、当該近似直線の傾きを検出する区間形状検出ステップと、
    出された前記近似直線の傾きが、スネアドラムの傾きであるか、ハイハットの傾きであるか、を判定するスネア・ハイハット判定ステップと、を実行することを特徴とする音声信号処理方法。
  2. 前記区間形状検出ステップは、前記各周波数binの積算データから最小二乗法で近似直線を求めることを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理方法。
  3. 前記スネア・ハイハット判定ステップは、前記区間形状検出ステップで検出した前記発音区間における前記近似直線がマイナスの傾きを有する場合、前記スネアドラムのアタックであると判定し、プラスの傾きを有する場合、前記ハイハットのアタックであると判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声信号処理方法。
  4. 前記スネア・ハイハット判定ステップは、前記区間形状検出ステップで検出した前記発音区間における前記近似直線の傾きが、同一楽曲内においてそれまで検出された各発音区間の傾きの移動平均値をとった変動閾値よりも小さい場合、前記スネアドラムの発音区間であると判定し、そうでない場合、前記ハイハットのアタックであると判定する第1スネア・ハイハット判定ステップを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声信号処理方法。
  5. 前記スネア・ハイハット判定ステップは、前記第1スネア・ハイハット判定ステップにより、前記スネアドラムの発音区間であると判定され、且つ前記周波数スペクトルの前記スネアドラムに対応する特定周波数帯域における所定時間分の振幅積算値が、同一楽曲内においてそれまで検出された振幅積算値の最大値の所定割合より大きい場合、前記スネアドラムのアタックであると判定し、そうでない場合、前記スネアドラムのアタックでないと判定する第2スネア判定ステップを含むことを特徴とする請求項に記載の音声信号処理方法。
  6. 前記スネア・ハイハット判定ステップは、前記第1スネア・ハイハット判定ステップにより、前記ハイハットの発音区間であると判定され、且つ前記周波数スペクトルの前記ハイハットに対応する特定周波数帯域における所定時間分の振幅積算値が、同一楽曲内においてそれまで検出された各発音区間の前記ハイハットに対応する特定周波数帯域における振幅積算値の移動平均値をとった変動閾値より大きい場合、前記ハイハットのアタックであると判定し、そうでない場合、前記ハイハットのアタックでないと判定する第2ハイハット判定ステップを含むことを特徴とする請求項またはに記載の音声信号処理方法。
  7. 周波数帯域をN個に分割した各部分周波数帯域で、前記発音区間における前記近似直線から区間長の平均値をとり、当該各部分周波数帯域における区間長の平均値を、フィルタリング対象となる基本区間として決定する基本区間決定ステップと、
    前記基本区間に対し、スネアおよびハイハットを含む打楽器種類ごと且つ前記部分周波数帯域ごとに定められた固定係数を乗算し、各打楽器のフィルタリング区間を決定するフィルタリング区間決定ステップと、
    前記フィルタリング区間を対象として、各打楽器の音を分離する分離ステップと、をさらに実行することを特徴とする請求項6に記載の音声信号処理方法。
  8. 前記周波数スペクトルの複数フレーム分の移動平均値が、検出された前記アタック位置付近の低域の音量をLPFに通した変動閾値より大きい状態が、所定時間以上継続した場合、検出された前記アタックが、バスドラムのアタックであると判定するバスドラム判定ステップをさらに実行することを特徴とする請求項7に記載の音声信号処理方法。
  9. 前記フィタリング区間決定ステップは、バスドラムの低域におけるフィルタリング区間として、前記移動平均値が前記変動閾値より小さくなった時間までを決定し、バスドラムの中・高域におけるフィルタリング区間として、前記基本区間決定ステップによって決定された基本区間に基づく所定時間分以上の区間を決定することを特徴とする請求項8に記載の音声信号処理方法。
  10. 周波数帯域をM個に分割した各部分周波数帯域の振幅成分の値をLPFに通し、各部分周波数帯域について、「1.0−(LPFの出力値/振幅の値)」の計算式により抽出率を算出する抽出率算出ステップをさらに実行し、
    前記分離ステップは、前記抽出率決定ステップによって算出されたM個の部分周波数帯域の各抽出率に基づいて、各打楽器の音を分離することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の音声信号処理方法。
  11. 音声信号から、アタックを検出するアタック検出手段と、
    時間を横軸とし、周波数を縦軸とした前記音声信号の周波数スペクトルにおいて、前記アタックの位置を開始位置とした発音区間に、スネアドラムおよびハイハットに対応する特定周波数帯域に複数の周波数binを割り当て、周波数binの各々における所定時間分の振幅の積算データを計算し、各周波数binの積算データから近似直線を求め、当該近似直線の傾きを検出する区間形状検出手段と、
    出された前記近似直線の傾きが、スネアドラムの傾きであるか、ハイハットの傾きであるか、を判定するスネア・ハイハット判定手段と、を備えたことを特徴とする音声信号処理装置。
  12. 前記区間形状検出手段は、前記各周波数binの積算データから最小二乗法で近似直線を求めることを特徴とする請求項11に記載の音声信号処理装置。
  13. コンピューターに、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の音声信号処理方法における各ステップを実行させるためのプログラム。
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