JP5960021B2 - 半導体発光装置用封止剤、これを用いた半導体発光装置用封止材及び半導体発光装置 - Google Patents
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Description
〔1〕下記式(i)で表されるイソシアヌレート化合物αを含んでなる半導体発光装置用封止剤。
〔2〕式(i)において、A1〜A3のうち少なくとも二つが式(ii)で表される基である〔1〕に記載の半導体発光装置用封止剤。
〔3〕式(i)において、A1〜A3のすべてが式(ii)で表される基である〔1〕に記載の半導体発光装置用封止剤。
〔4〕式(ii)において、R11、R12がそれぞれ下記式(iii)で表される〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔5〕式(ii)において、Xがエステル基であり、Y1、Y2がともにエチレン基である〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔6〕前記A 1 〜A 3 が前記式(ii)で表される構造でないとき、下記式(iia)で表される構造である〔1〕または〔2〕に記載の半導体発光装置用封止剤。
〔7〕前記式(ii)の−Y1−X−Y2−において、その連結に関与する原子の数(連結原子数)が1以上10以下である〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔8〕式(i)で表される化合物が、下記式(iv−a)、(iv−b)、または(iv−c)で表される化合物である〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
(式中、R14は水素原子またはメチル基を表す。A11、A12はそれぞれ、水酸基含有基、カルボキシル基含有基、アシルオキシ基含有基、又はアルコキシ基含有基である。)
〔9〕さらに、下記式(1)で表されるイソシアヌレート化合物βを含む〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔10〕イソシアヌレート化合物βが下記式(2)で表される化合物である〔9〕に記載の半導体発光装置用封止剤。
(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。*は結合手を表す。)
(式中、R8は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。*は結合手を表す。)
〔11〕イソシアヌレート化合物αまたはこれとイソシアヌレート化合物βとを樹脂組成物中の有機硬化成分に対し80質量%以上含む〔9〕または〔10〕に記載の半導体発光装置用封止剤。
〔12〕式(1)で表されるイソシアヌレート化合物が下記式(4)で表される水酸基含有イソシアヌレート化合物を含む〔9〕〜〔11〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔13〕さらに、封止剤の有機硬化成分100質量部に対し蛍光体1〜40質量部を配合してなる〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤。
〔14〕〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の半導体発光装置用封止剤を硬化してなる半導体発光装置用封止材。
〔15〕〔14〕に記載の封止材と封止材で封止された半導体発光素子とを具備する半導体発光装置。
〔16〕下記式で表されるイソシアヌレート化合物γ。
本発明の半導体発光装置用封止剤は、下記式(i)で表されるイソシアヌレート化合物αを含んでなる。
式中、A1〜A3はそれぞれ水素原子または置換基を表し、そのうち少なくとも一つは下記式(ii)の構造を有する。A1〜A3が下記式(ii)で表される置換基でないとき、後記置換基Tの例が挙げられ、中でも、水酸基含有基(好ましくは炭素数0〜6)、カルボキシル基含有基(好ましくは炭素数2〜12)、アシルオキシ基含有基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシ基含有基(好ましくは炭素数2〜12)が挙げられる。アシルオキシ基としては後記式(II)が好ましい。当該A1〜A3で式(ii)以外の基は下記式(iia)で表されることが好ましい。
式中A10は水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、複素環基(炭素数1〜6の非芳香族複素環基が好ましく、オキセタン基またはエポキシ基がより好ましい)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜12)、又はアルコキシ基(好ましくは炭素数2〜12)である。
Lbは連結基又は単結合である。連結基としては、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。ただし、このアルキレン基は置換基Tを有していてもよく、あるいは酸素原子、硫黄原子、イミノ基(好ましくは炭素数0〜4)、カルボニル基を介在していてもよい。
式(ii)中、Xは、単結合、エステル基(−C(=O)O−)、またはエーテル基(−O−)を表す。Xがエステル基であるときその向きは特に限定されないが、Y1側にカルボニル基がくる向きが好ましい。Xは中でも、エステル基であることが好ましい。
Y1、Y2はそれぞれ炭素数1以上4以下でヒドロキシル基により置換されていてもよいアルキレン基または単結合を表す。Y1、Y2は、なかでも、両者ともにエチレン基である化合物が好ましい。
−Y1−X−Y2−の連結基(以下、連結基LXという)は上記の原子群で構成されていることが好ましいが、その連結原子数は10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。下限としては、1以上であり、2以上が好ましい。上記連結原子数とは所定の構造部間を結ぶ経路に位置し連結に関与する最少の原子数を言う。たとえば、−CH2−C(=O)−O−の場合、連結原子数は3となる。
R11、R12はそれぞれ置換基を表し、少なくとも一方はアクリロイル基を含む置換基を表す。本明細書においてアクリロイル基とは、α位の炭素原子に付加した元素が水素原子のアクリロイル基のほか、α位にメチル基やシアノ基などの任意の基が置換したものを含む意味である。なかでも、α位が水素原子のアクリロイル基、α位がメチル基のメタクリロイル基が好ましい。
式中、R14は水素原子またはメチル基を表す。
A11,A12はそれぞれ置換基である。なかでも好ましくは、前記式(iia)で表される基である。
本発明においては、さらに下記式(1)で表される特定イソシアヌレート化合物βを併用することも好ましい。
式中のR4、R5、R6は、それぞれ独立に、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリール基、下記式(I)で表されるアクリロイルオキシ基、又は下記式(II)で表されるアシルオキシ基を表す。Laは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基を表す。ただし、R4、R5、及びR6の少なくとも1つは前記アクリロイルオキシ基である。
R9は、水素原子またはメチル基である。R10は、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、式(I)で表されるアクリロイルオキシ基、および式(II)で表されるアシルオキシ基のいずれか1種である。R10について中でも好ましくは、式(I)で表されるアクリロイルオキシ基である。
本発明の封止剤においては、上記イソシアヌレート化合物(イソシアヌレート構造を有する化合物の総称。イソシアヌレート化合物α(γを含む)及びβを含む。)の濃度は、封止剤の有機硬化成分全量に対して70質量%超であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。上限は特になく、実質的に100質量%程度であることが特に好ましい。ここで実質的にとしたのは、トルエンなどの残溶媒が、0〜10質量%程度の割合で混入してしまうことがあり、本発明の効果を損ねない範囲でそのような不可避混入物の存在を許容するものである。あるいは、封止剤の粘度を下げる必要がある場合などには、必要量の添加剤を付与してもよい。また、本発明の封止剤は、必須成分に加え後記重合禁止剤など必要に応じて任意成分を含んでもよいが、溶媒量が10%以下であることが好ましく、無溶媒で用いることが好ましい。このように無溶媒もしくは少量の溶媒でありながら十分な流動性と好適な粘性を有するため、半導体発光素子の封止剤の成形性に優れる。とりわけポッティングによる成形に効果的に対応することができ、モールド成形などと比し、大幅な製造効率の改善にも資するものである。なお、封止剤の有機硬化成分とは炭素原子を含む化合物からなる硬化成分(重合等により直接硬化に寄与する成分)をさすが、炭素原子を含んでいても蛍光体や重合開始剤、トルエンなどの有機溶媒は含まない意味である。その他、厳密に対比する必要がある場合には、水や無機塩などの微量成分も除く意味である。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、ヒドロキシル基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
本発明の封止剤には、重合開始剤を含有させることが好ましい。
なかでもラジカル重合開始剤を配合することが挙げられる。
熱によって開裂して開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びm−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチル)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン及び2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α−クミルペルオキシネオジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオジカーボネート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート及びジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類;ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1−ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート及び1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類;1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン及び(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられる。
アゾ系(AIBN等)の重合開始剤として使用するアゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等が挙げられる(特開2010−189471など参照)。
このようなラジカル重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン〔IRGACURE651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔DAROCUR1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔IRGACURE2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン〔IRGACURE127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1〔IRGACURE369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モノホリニル)フェニル]−1−ブタノン〔IRGACURE379、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド〔DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド〔IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム〔IRGACURE784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]〔IRGACURE OXE 01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔IRGACURE OXE 02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕などを挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも好ましくは、パーオキサイド化合物が挙げられ、パーブチルO(t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、日油(株)社製)などを用いることができる。
重合開始剤の含有量は先に述べた量で適用することが好ましい。
本発明の封止剤には、重合禁止剤を添加してもよい。前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類等を用いることができる。
重合禁止剤の含有量は特に限定されないが、有機硬化成分1部に対して0〜20000ppm(質量部基準)、好ましくは100〜10000ppm、更に好ましくは300〜8000ppmで添加することが好ましい。
本発明においては、封止剤の有機硬化成分100質量部に対し蛍光体1〜40質量部を配合してなることが好ましく、2質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることが特に好ましい。蛍光体としては、半導体発光素子からの光を吸収して蛍光を発することにより波長を変換するものであればよく、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体または酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類硫化物蛍光体、アルカリ土類チオガレート蛍光体、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体、又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくとも1以上であることが好ましい。より好ましくは、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce、(Ca,Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu、CaAlSiN3:Euなどが使用される。
本発明の封止剤には必要に応じて酸化防止剤を含有させることが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、チオエーテル酸化防止剤、ビタミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の封止剤には、前記の酸化防止剤の他に、必要に応じて、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分などを配合することができる。滑剤としては、高級ジカルボン酸金属塩及び高級カルボン酸エステル等を使用することができる。
酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分としては、シラン化合物のメタクリオキシ基やアクリロキシ基を含むシランカップリング剤などが挙げられる。これを上記封止剤に含有させ、重合、成形してもよい。
(封止方式)
封止剤の封止方式としては通常半導体発光素子の封止で用いられている手法や一般的な熱硬化性樹脂の成形と同様の方法を用いることができる。例えば、ポッティング(ディスペンス)、印刷、コーティング、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形及びインサート成形などが挙げられる。ポッティングとは、パッケージのキャビティ(凹状空間)の内部に前記封止剤を吐出して内部を埋める操作を表す。また、印刷とはマスクを用いて目的の部位に封止剤を配置する操作を表し、目的に応じて周囲の圧力を減圧するいわゆる真空印刷の方式も採用できる。コーティングは各種のコーティング方式を採用することができ、例えばダム材と呼ばれる封止剤を留める堰を予め作製しておき、その内側に封止剤をコーティングする方法も採用できる。また、各種モールド成形においてはモールドの内側に封止剤を充填しそのまま熱硬化する方法が挙げられる。また、封止後の硬化は熱硬化、UV硬化などやそれらを組み合わせて用いることができる。
本発明の好ましい実施形態における半導体発光装置は、上記の封止剤を硬化することによって作製した封止材を具備してなる。硬化方法としては通常の熱硬化性樹脂の成形と同様の方法を用いることができる。例えば、上記の封止剤(原料組成物)又はその予備重合物を用い、これらの液状樹脂の射出成形、圧縮成形、トランスファー成形及びインサート成形などで、重合・成形する方法が挙げられる。また、ポッティング加工やコーティング加工で成形体を得ることもできる。さらに、例えばUV硬化成形など光硬化樹脂の成形と同様の方法によっても成形体を得ることができる。
ここでポッティングについて説明する。ポッティングとは、前記リフレクターパッケージ基材のキャビティ(凹状空間)W(図1)の内部に前記封止液を吐出して内部を埋める操作を表す。硬化プロセスはポッティング後に封止液を充填されたリフレクタパッケージ(リフレクタパッケージ基材のほか、素子、ボンディングワイヤ、電極を含むパッケージ)をオーブンなどの一般的な加熱装置に入れて硬化できるため、システムとしてはディスペンサと加熱装置だけの非常に単純な構成で済む。また、金型やマスクを必要としないため、デバイスの形状などの変更の際にも迅速かつ安価に対応することが可能であり、汎用性の高い封止方式といえる。更に、コンプレッションモールド成形やトランスファーモールド成形などのモールド成形方式においては金型に対する離型性の悪さ、封止液の廃棄率の高さ、粘度の制限などが問題であるが、ポッティング方式ではこれらの問題がない。
半導体発光素子としては、窒化ガリウム(GaN)系半導体からなる青色発光のLEDチップや、紫外発光のLEDチップ、レーザダイオードなどが用いられる。その他、例えば、MOCVD法等によって基板上にInN、AlN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体を発光層として形成させたものも使用できる。フェースアップ実装される半導体発光素子や、フリップチップ実装される半導体発光素子のいずれも使用することができる。半導体発光素子は、同一平面上にn側電極とp側電極を持つ半導体発光素子の例であるが、一方の面にn側電極、反対の面にp側電極を持つ半導体発光素子も使用することができる。
パッケージとしては電極が一体成型されているもの、及びパッケージを成型した後にメッキなどにより回路配線として電極を設けたものを用いることができる。パッケージの形状としては、円柱、楕円柱、立方体、直方体、直方体と楕円柱の間の形状やこれらの組み合わせなど任意の形状を採用することができる。内壁部の形状は底部に対して任意の角度を選択でき底面に対して直角になる箱型形状や鈍角になるすり鉢形状を選択することができる。凹部の底の形状は平面状や凹み形状などの任意の形状が選択できる。また、実装方式としてトップビュー、サイドビューなど任意の実装方式に対応したパッケージを用いることができる。
パッケージを構成する素材としては、耐光性、耐熱性に優れた電気絶縁性のものが好適に用いられ、例えばポリフタルアミド(PPA)などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ガラスエポキシ、セラミックスなどを用いることができる。また、半導体発光素子からの光を効率よく反射させるためにこれらの樹脂に酸化チタンなどの白色顔料などを混合させることができる。パッケージの成形法としては、前記電極を予め金型内に設置して行うインサート成形、射出成形、押出成形、トランスファ成型などを用いることができる。
電極は、半導体発光素子と電気的に接続され、例えば、パッケージにインサートされた板状の電極や、ガラスエポキシやセラミックなどの基板に形成された導電パターンであってよい。電極の材質は、銀若しくは銀を含有した合金の他、銅や鉄などを主成分とする電極の一部上に銀若しくは銀を含有した合金がメッキされているものを用いることができる。
半導体発光装置は従来の試験方法において評価することができる。例えば電気特性、光特性、温度特性、熱特性、寿命、信頼性、安全性などが挙げられる。手法としては、例えば書籍『LED照明ハンドブック LED照明推進協議会編 株式会社オーム社発行』の第2章71ページから84ページに記載の手法や基準を採用することができる。
半導体発光装置は、光度の維持が要求される各種用途、例えば液晶ディスプレイ、携帯電話または情報端末等のバックライト、LEDディスプレイ、フラッシュライト、及び屋内外照明などに利用することができる。
特にアクリル系の硬化剤は一般に好気下での硬化性の改善が難しいと解される。つまり、空気中に存在する酸素は、ラジカルを補足する性質を有しているため、空気下ではラジカル重合は阻害を受ける。その結果、空気下、開放系で硬化をする限り、酸素との接触を避けられず、硬化不良を完全に防ぐことが困難となる。
これに対し、本発明及びその好ましい実施形態ではこうした点を改善ないし克服し、硬化に係る品質のバラツキを抑え、具体的には、表面タック性による汚れの付着や、表面硬度不足による傷の発生などの改良に資すものである。その上で、例えばシリコーン系封止剤の欠点(ガスバリア性)等を改善し、優れた性能を発揮させることができる。
イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)30g、M−1を101.8g、トリエチルアミン65.9g、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージド 79.9gをジクロロメタン300mL中で混合し、窒素下、室温にて2時間攪拌した。反応物に酢酸エチルを1L加え、蒸留水1Lで2回洗浄した。さらに、カラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、いずれも無色液体の化1、化6、化8をそれぞれ18.5g、12.5g、6.5g得た。
イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル) 300g とトリエチルアミン256gをN−メチルピロリドン2200mL中で攪拌し、メタクリル酸クロリド264gを滴下し、室温で1時間攪拌した。アクリル酸2モル付加体(p2)のみをカラムクロマトグラフィーにて分離した。次に、得られたp2を使用し、化1と同様の方法で化2を得た。
イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)と2−ヒドロキシエチルアクリレートを使用し、化6と同様の方法でアクリル2官能体(p3)を得た。さらにP3とイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル) により、化1、化8と同様の手順でそれぞれ化3、化7を得た。
アセトニトリル中、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)とヨウ化カリウムを室温にて反応させ、トリヨウ化体(p4)を得た後、p4とm−2を水素化カリウム存在下で加熱、さらにカラムクロマトグラフィーにより精製し、化4を得た。
p3を27.3g、イソシアヌル酸トリグリシジルを4.8g、テトラブチルアンモニウムブロミドを1.2g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1g、メチルイソブチルケトン30mLを混合し、窒素化80℃で5時間加熱した。反応物に酢酸エチルを50mLを加え、蒸留水50mLで2回洗浄した。さらに、カラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、無色液体の化5を6.5g得た。
アロニックスM−215(東亞合成社製、商品名)をカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物M−1を得た。
ジシクロペンタニルメタクリレート 日立化成社製 FA−513M を用いた。
和光純薬工業社製 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(商品名:V−60)を用いた。
表1に示す硬化性樹脂組成物を、図1に示すPPA樹脂パッケージ(商品名:FLASH LED 6PIN BASE(トップビュー用円形パッケージ)、株式会社エノモト製)([キャビティサイズ:深さ0.65mm、幅4.4mm、直径4.4mm])を具備するLEDパッケージにポッティング封止した後、大気下で70℃30分、130℃30分、150℃5時間の熱を与え、熱硬化した。加熱後の樹脂をピンセットにより触り、以下基準によりランクづけした。
AA:ガラス状(表面まで固まっている)
A:ゴム状(表面のみ柔らかい)
B:表面が一部液状
C:全体が液状
表1に示す硬化性樹脂組成物を、図1に示すPPA樹脂パッケージ(商品名:FLASH LED 6PIN BASE(トップビュー用円形パッケージ)、株式会社エノモト製)([キャビティサイズ:深さ0.65mm、幅4.4mm、直径4.4mm])を具備するLEDパッケージにポッティング封止した後、大気下で70℃30分、130℃30分、150℃5時間の熱を与え、熱硬化した後、IRヒーターを具備したリフロー炉に前記硬化性樹脂組成物で封止されたLEDパッケージを入れ、260℃30秒の加熱処理を3回行うことより評価用発光ダイオードを作製した。次に、浜松ホトニクス製 外部量子効率測定装置 C9920−12を用いて、室温下で1mAの定電流を注入した際の評価用発光ダイオードの発光スペクトルを測定し、450nmにおける発光量を解析することにより、初期発光量を測定した。(なお、本装置では積分球にて測定を行っているため、発光角度に依存しない発光量が測定できる。)ついで、この評価サンプルを150℃、300時間の高温下に放置した後、再び、浜松ホトニクス製 外部量子効率測定装置 C9920−12を用いて、室温下で1mAの定電流を注入した際の評価用発光ダイオードの発光スペクトルを測定し、450nmにおける発行量を解析することにより、150℃エージング後発光量を測定した。
上記150℃エージング後発光量/初期発光量 × 100=150℃耐熱性とし、以下の基準でランクづけを行った。
AA:150℃耐熱性が80以上
A:150℃耐熱性が75以上80未満
B:150℃耐熱性が65以上75未満
C:150℃耐熱性が65未満
表1に示す硬化性樹脂組成物、銀パッケージ(商品名:KD−LA9R48(トップビュー用円形パッケージ)、京セラ株式会社製)[キャビティサイズ:深さ0.55mm、直径3.04mm]を具備するLEDパッケージにポッティング封止した後、大気下で70℃30分、130℃30分、150℃5時間の熱を与え、熱硬化した後、IRヒーターを具備したリフロー炉に前記半導体発光装置封止剤で封止されたLEDパッケージを入れ、260℃30秒の加熱処理を3回行うことより評価用発光ダイオードを作製した。次に、23cm×16cm×23cm程度の密閉缶を準備し、その底部に0.5gずつ硫黄粉末を乗せたPFA製小型シャーレを5つ、均等にならべた。その上に約10cmの距離が空くように脚を付けた網板を取り付けた。評価用発光ダイオードをn=3ずつその網の隙間からパッケージが下向きに覗くように並べ、その状態で密閉缶の蓋をした。密閉缶を予め80°に設定しておいたオーブンに入れ、15時間反応させた。この時、硫黄粉末を熱することで硫黄原子が連なった化合物がガス状に放出される。この硫黄ガスが封止材を透過するとリフレクターの銀を硫化して黒変させ、発光量が低下する。発光量の低下率=耐変色性の指標とし、以下基準により、ランクづけをおこなった。
AA: 低下率が10%未満
A: 低下率が10%以上15%未満
B: 低下率が15%以上30%未満
C: 低下率が30%以上
c01・・・WO06−51803号公報の実施例4に相当
c02:信越シリコーン社製 KER2500(商品名)
c03:信越シリコーン社製 KER6110(商品名)
c04:信越シリコーン社製 SCR1011(商品名)
[化3] 6.40,6.10,5.82,4.28,4.23,4.20,4.18,4.16,4.11,2.64,2.62
[化4] 6.39,6.11,5.83,4.39,4.18,4.11,4.06,2.63
[化6] 11.0,6.39,6.10,5.82,4.39,4.30,4.28,4.23,4.19,4.11,2.63,2.61
[化7] 6.38,6.10,5.82,4.41,4.29,4.27,4.23,4.19,4.12,4.05,4.01,3.65,2.63,2.61
[化9] 6.39,6.11,5.81,4.28,4.23,4.19,4.11,4.05,2.53,2.08
[化10]6.39,6.10,5.82,4.38,4.27,4.22,4.17,4.10,3.30,2.63
[化12]6.40,6.10,5.82,4.39,4.11,4.05
2 リフレクターパッケージ基材
3 封止材
4 電極
6 ボンディングワイヤ
8 導電性接着剤
10 半導体発光装置(Semiconductor Light Emitting Device)
Claims (17)
- 前記式(i)において、A1〜A3のうち少なくとも二つが前記式(ii)で表される基である請求項1に記載の半導体発光装置用封止剤。
- 前記式(i)において、A1〜A3のすべてが前記式(ii)で表される基である請求項1に記載の半導体発光装置用封止剤。
- 前記式(ii)において、Xがエステル基であり、Y1、Y2がともにエチレン基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置用封止剤。
- 前記式(ii)の−Y1−X−Y2−において、その連結に関与する原子の数(連結原子数)が1以上10以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置用封止剤。
- 前記イソシアヌレート化合物βが下記式(2)で表される化合物である請求項9に記載の半導体発光装置用封止剤。
(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。*は結合手を表す。)
(式中、R8は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。*は結合手を表す。) - 前記イソシアヌレート化合物αまたはこれと前記イソシアヌレート化合物βとを樹脂組成物中の有機硬化成分に対し80質量%以上含む請求項9または10に記載の半導体発光装置用封止剤。
- さらに、封止剤の有機硬化成分100質量部に対し蛍光体1〜40質量部を配合してなる請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体発光装置用封止剤。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体発光装置用封止剤を硬化してなる半導体発光装置用封止材。
- 請求項14に記載の封止材と該封止材で封止された半導体発光素子とを具備する半導体発光装置。
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