JP5959248B2 - 細胞間相互作用を検出する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞間相互作用を検出する方法に関する。
細胞同士が相互作用する場合、細胞表面に存在する表面抗原を介して行う場合がある。表面抗原を検出する従来の方法として、フローサイトメトリによる方法および免疫組織化学による方法が存在する。これらの方法では、表面抗原に対する特異的な抗体に対して直接的または間接的に色素標識を施したものを用いて表面抗原を検出する。
フローサイトメトリによる方法では、特定の表面抗原を蛍光標識した細胞の懸濁液をサンプルとして用いる。フローセルを通過する細胞に励起光を照射し、個々の細胞の側方散乱および蛍光を検出してヒストグラムを作成し、細胞集団中の特定の性状を有するものの割合を予測する。この方法は、大量且つ高速にサンプル処理することが可能であるものの、表面抗原同士の相互作用による細胞活性および細胞内局在の検出には適さない。
免疫組織化学による方法では、ホルマリン等で固定した培養細胞および組織等を対象とする。表面抗原の細胞または組織における局在を観察する方法としては有効であるものの、表面抗原の密度および活性を検出することは出来ない。また、しばしば、固定操作によるペプチド架橋による抗原のマスキング、表面抗原の破壊および局在変化等が問題となる。
非特許文献1には、細胞間の相互作用を、特定の色素から放射される光として検出する方法が開示されている。この方法では、カルシウムイオン応答性の色素を用いる。細胞間相互作用によって、細胞内へカルシウムイオンが流入し、これに起因して色素が活性化され、光を放射することが可能となる。
Journal of Cell Science, 2001, Vol.114, 1156-1167
本発明の目的は、優れた細胞間相互作用を検出する方法を提供することにある。
本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法は、細胞表面に存在する第1タンパク質と、前記第1タンパク質の活性化に起因して活性化される、細胞内に存在する転写因子と、前記活性化された転写因子が結合する転写因子結合配列およびその下流に位置し前記転写因子の結合に起因して発現誘導される第1発光タンパク質の遺伝子を含む核酸とを含む第1細胞を、前記第1タンパク質と相互作用可能であり、細胞表面に存在する第2タンパク質を含む第2細胞に接触させること、および前記第1タンパク質と前記第2タンパク質との相互作用に起因して発現誘導された第1発光タンパク質によって触媒される発光反応において放射される第1光を検出することを含む。
本発明によれば、優れた細胞間相互作用を検出する方法が提供される。
図1は、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法を概略的に示す図である。 図2は、第1細胞内で生じる細胞内シグナル伝達の一例を示す図である。 図3は、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法によって経時的に取得された第1細胞および第2細胞を含むカラー写真をモノクロで示した写真である。 図4は、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法において、第1細胞から放射される光の量の時間に対する変化を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法を概略的に示す図である。
図1(a)に示されるように、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法は、第1細胞1と第2細胞4とを接触させることを含む。図1(a)には、一例として、シャーレ10中に存在する複数の第2細胞4aおよび4bに対して、複数の第1細胞1が添加される様子が示されている。第1細胞1は、第1細胞本体2とその表面に存在する第1タンパク質3とから成る。第2細胞としては、第2細胞本体5およびその表面に存在する第2タンパク質6から成る第2細胞4aと、第2細胞本体5のみから成る第2細胞4bとの2種が存在する。
図1(b)に示されるように、本発明に係る細胞間相互作用を検出する方法は、第1細胞1から放射される第1光を検出することを含む。図1(b)では、一例として、第2細胞4aと接触した第1細胞1aにおいて、第1細胞本体2から第1光が放射されている様子が示されている。一方、第2細胞4aと接触できなかった第1細胞1bは、第1光を放射していない。
第1細胞は、細胞表面に存在する第1タンパク質と、細胞内に存在する転写因子と、転写因子が結合する転写因子結合配列およびその下流に位置する第1発光タンパク質の遺伝子を含む核酸とを含む。第1細胞は、任意の生細胞であってよく、例えば動物細胞であってよい。第1細胞は、浮遊性の細胞または接着性の細胞であってよい。第1細胞は、第2細胞と相互作用することが既知のものでよく、または未知のものでもよい。
第1細胞の具体的な例は白血球である。白血球の例は、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージおよび樹状細胞である。また、第1細胞の別の例は、腫瘍細胞である。
第1タンパク質は、例えば膜タンパク質である。第1タンパク質は、第1細胞において本来発現しているタンパク質であってよく、または第1細胞において強制的に発現されるタンパク質であってよい。
第1タンパク質は、第2タンパク質との相互作用によって活性化される。ここにおける「活性化」とは、エネルギー状態が変化すること、構造が変化すること等を含む。活性化された第1タンパク質は、その下流の細胞内シグナル伝達を介して、転写因子を活性化する。
第1タンパク質の例は、相互作用することが既知である2種の膜タンパク質のうちの一方である。そのような2種の膜タンパク質は、特に、それぞれ異なる細胞の表面に存在した状態で相互作用できる。そのような2種の膜タンパク質の具体的な例は、CD40およびCD40リガンド(CD154)、MHCおよびTCR/CD3複合体、CD80およびCD28、LFA−3(CD58)およびLFA−2(CD2)、並びにICAM−1(CD54)およびLFA−1(CD11a/CD18)である。また、第1タンパク質のその他の具体的な例は、CD−4、VLA−4、CD45およびCD43である。
転写因子は、第1タンパク質の活性化に起因して活性化され、その後、転写因子結合配列に結合する。転写因子は、例えば活性化すると核内移行するものであってよく、または常に核内に存在するものであってよい。転写因子は、第1細胞内において本来発現しているタンパク質であってよく、または第1細胞内に強制的に発現されるものであってよい。転写因子は、第1タンパク質に応じて選択することができる。転写因子の具体的な例は、NF−κB、AP−1(Activator protein−1)、STAT(signal transducers and activators of transcription)1、3、4、5、6等、NFAT(nuclear factor of activated T cell)、IRF(interferon regulatory factor)、c−Maf、c−fosmおよびJunである。
転写因子結合配列は、その下流に位置する発光タンパク質の遺伝子の発現を制御する。特に、活性化した転写因子が転写因子結合配列に結合した場合、下流の遺伝子の発現が誘導される。転写因子結合配列は、例えばプロモータまたはエンハンサーである。転写因子結合配列は、転写因子に応じて選択される。転写因子としてNF−κBを使用する場合、転写因子結合配列は、配列番号1に示される塩基配列である。
転写因子結合配列の下流に位置する遺伝子から発現される発光タンパク質は、発光が生じる化学反応を触媒する酵素である。発光タンパク質の例は、ルシフェラーゼである。ルシフェラーゼの基質となる物質の例は、ルシフェリンである。ATPの存在下、ルシフェラーゼの触媒作用により、ルシフェリンが化学変化を起こす際に発光する。ルシフェラーゼは、ホタルに由来するものであってよく、またはバクテリアに由来するものであってよい。ルシフェラーゼの具体的な例は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するものである。
転写因子結合配列および第1発光タンパク質の遺伝子は、第1細胞に含まれる核酸に含まれる。転写因子結合配列と第1発光タンパク質の遺伝子とは、転写因子結合配列に転写因子が結合した際にこの遺伝子の発現誘導が生じるように、この核酸上に配置されている。この核酸は、第1細胞が本来有するゲノム内に組み込まれている。あるいは、この核酸は、第1細胞が保持するベクター内に組み込まれている。この核酸は、既知の方法に基づいて作製し、既知の方法に基づいて第1細胞に導入することができる。
第2細胞は、細胞表面に存在する第2タンパク質を含む。第2細胞は、任意の細胞であってよく、例えば動物の細胞であってよい。第2細胞は、浮遊性の細胞または接着性の細胞であってよい。第1細胞として浮遊性の細胞を使用する場合、第2細胞は接着性の細胞を使用することが好ましい。
第2細胞の具体的な例は、白血球である。白血球の例は、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞である。また、第2細胞の別の例は、腫瘍細胞である。
第2タンパク質は、例えば膜タンパク質である。第2タンパク質は、第2細胞において本来発現しているタンパク質であってよく、または第2細胞において強制的に発現されるタンパク質であってよい。第2タンパク質は、第1タンパク質と相互作用し、第1タンパク質を活性化する。
第2タンパク質は、例えば、第1タンパク質と相互作用することが既知のものである。第2タンパク質の具体的な例は、上述したような相互作用することが既知である2種の膜タンパク質の一方である。この場合、2種の膜タンパク質のうち、一方を第1タンパク質として使用し、他方を第2タンパク質として使用できる。また、第2タンパク質のその他の具体的な例は、CD−4、VLA−4、CD45およびCD43である。
第1細胞と第2細胞との接触は、既知の方法に基づいて行うことができる。例えば、それぞれの細胞を含む2つの培地を混合することにより、細胞同士の接触を促すことができる。第1細胞として浮遊性の細胞を使用し、第2細胞として接着性の細胞を使用する場合、例えば、底面に第2細胞が接着しているシャーレに対して、第1細胞を含む培養液を添加することで、細胞同士の接触を促すことができる。
第1光の検出は、既知の方法に基づいて行うことができる。例えば、第1細胞を含む培地に対して、第1発光タンパク質に対する基質を添加し、生じた第1光をフォトンカウンターまたは後述するような蛍光顕微鏡を用いて検出する。細胞同士の接触から第1光の検出までの時間といった各種条件は、適宜設定することができる。例えば、細胞同士の接触と第1光の検出との間に基質を添加することもできる。
図2に基づいて、細胞間の相互作用を検出する機構の一例を説明する。図2は、第1細胞内で生じる細胞内シグナル伝達の一例を示す図である。図2に示される第1細胞1は、第1タンパク質として細胞膜7にCD40を有し、転写因子として細胞内にNF−κBを含み、NF−κBに対する転写因子結合配列とルシフェラーゼ遺伝子とを含む核酸を核8の内部に有している。また、第1細胞1の細胞内には、細胞内シグナル伝達に関与するIKK、IκBキナーゼおよびIκBといったタンパク質が存在している。IKKへの刺激がない状態では、NF−kBは細胞質でIκBと結合し、活性が抑制されている。一方、第2細胞4は、第2タンパク質として細胞膜7にCD40リガンド(CD154)が存在している。
第1細胞1と第2細胞4とが接近し、更にそれらの細胞表面にそれぞれ存在するCD40とCD40リガンドとが相互作用すると、CD40が活性化する。CD40の活性化に続き、細胞内に存在するCD40の下流の分子が順次活性化され、IKKの活性化により、IκBがリン酸化を受けプロテアソームで分解されるとNF−κBが核内に移行し、転写因子結合配列に結合する。その結果、ルシフェラーゼ遺伝子の発現が誘導され、第1細胞1内にルシフェラーゼが作られる。ルシフェラーゼは、細胞内において基質であるルシフェリンの化学変化を触媒し、その際にルシフェリンから第1光が放射される。
本発明に係る方法によれば、従来の方法と比較して、優れた細胞間相互作用の検出を行うことができる。本発明に係る方法によれば、例えば、細胞間相互作用を正確に把握し、細胞の応答を正確に解析することができる。
例えば、非特許文献1に示される従来の方法では、細胞間の相互作用を、特定の色素から放射される光として検出する。したがって、この色素を細胞に導入する際に使用される界面活性剤といった化合物に起因する細胞毒性、およびこの色素自体の細胞毒性が細胞に悪影響を及ぼす可能性がある。また、この色素から光を放射させるために、紫外光といった励起光を細胞に照射する必要があり、この励起光の細胞毒性が細胞に悪影響を及ぼす可能性がある。また、放射する光が次第に低下する退色の問題を考慮する必要がある。また、細胞自体の自家蛍光が問題となる場合がある。さらに、この色素はカルシウムイオンに応答して光を放射する活性を獲得するため、自発的な細胞内カルシウム濃度変化がある細胞では適切に細胞間相互作用を検出できない可能性がある。
これに対し、本発明に係る方法では、第1発光タンパク質の遺伝子をトランスフェクション等によって細胞に導入することができ、界面活性剤等の細胞毒性の強い化合物の使用を避けることができる。また、本発明に係る方法では、ルシフェラーゼといった発光タンパク質による化学発光を利用するので、必ずしも励起光を使用する必要が無く、励起光による細胞毒性を回避することができる。また、化学発光を利用することにより、光が退色する問題を回避することができる。また、化学発光を利用することにより、細胞自体の自家蛍光の問題を回避することができる。さらに、第1発光タンパク質の発現にはカルシウムイオンが直接的に関与しないと考えられるため、カルシウムイオンの流入および流出が活発な細胞に対しても本発明に係る方法を適用することができる。
本発明に係る方法は、種々の研究に応用できる。また、本発明に係る方法は、抗腫瘍免疫反応の研究に応用できる。抗腫瘍免疫反応の中心は、キラーT細胞が担っている。キラーT細胞は表面にCD40を表出するが、ヘルパーT細胞上のCD40リガンド(CD154)のCD40への結合が、キラーT細胞を活性化し、抗腫瘍活性を増強させる。本発明に係る方法を応用することで、これらの細胞の相互作用の研究の進展が期待できる。さらに、免疫細胞治療への応用も期待できる。免疫細胞治療では、例えば、患者から取得した免疫細胞をインビトロにおいて抗腫瘍活性を増強させ、それを治療に用いる。ここにおいて、本発明に係る方法を、免疫細胞の抗腫瘍活性の評価に用いることができる。
本発明の別の実施形態では、第2細胞は、第1光とは異なる波長の第2光を放射する蛍光タンパク質またはそのような第2光を放射する発光反応を触媒する第2発光タンパク質を細胞内に更に含む。
蛍光タンパク質は、励起光を受けて第2光を放射するタンパク質である。蛍光タンパク質は、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)およびDsRedである。第2発光タンパク質は、第1発光タンパク質とは異なる発光タンパク質である。第2発光タンパク質は、例えばルシフェラーゼである。第1光の波長と第2光の波長とは、それらを検出する手段によって区別可能な程度に異なっている。蛍光タンパク質または第2発光タンパク質は、第2タンパク質と融合されたものであってもよい。
蛍光タンパク質または第2発光タンパク質の遺伝子を第2細胞に予め導入し、第1細胞と第2細胞との接触および/または第1光の検出の際に蛍光タンパク質または第2発光タンパク質を第2細胞中に発現させることができる。第2光の検出は、第1光の検出と同時に行うことができる。
この実施形態に係る方法によれば、第2光に基づいて第2細胞を確認することが可能となる。それにより、第1細胞と第2細胞との区別が容易となる。
本発明のまた別の実施形態では、光学顕微鏡を使用して、第1細胞と第2細胞との接触の観察および第1光の検出が行われる。
光学顕微鏡は、既知のものであってよい。光学顕微鏡は、第1光を検出するためのフィルタ等を適宜備える。蛍光タンパク質を発現する第2細胞を使用する場合には、光学顕微鏡は、励起光を照射するための光源、励起フィルタ、蛍光フィルタ等を備える。
光学顕微鏡を用いて、細胞同士の接触の様子および第1光の検出を目視することができる。あるいは、細胞同士の接触の様子および第1光の検出を、光学顕微鏡に備え付けた撮像のための装置を用いて撮像することができる。また、第1細胞と第2細胞とが接触している様子を明視野にて確認し、さらに第1細胞から放射される第1光を検出することができる。さらに、第2細胞に第2光を放出するための蛍光タンパク質または第2発光タンパク質を導入している場合には、第2光に基づいて第2細胞の位置を確認することができる。
このように、光学顕微鏡を用いることで、細胞単位で細胞間の相互作用を可視化することが可能となる。また、この実施形態によれば、接触した細胞同士に着目して観察することが可能となる。そのため、接触から第1光の放射までの時間的研究を行うことも可能となる。
本発明の更に別の実施形態によれば、上述のような光学顕微鏡によって得られる画像が経時的に取得される。
この実施形態では、光学顕微鏡は撮像のための装置を備えている。この装置は、光学顕微鏡によって観察される視野の画像を特定のタイミングで取得する。例えば、第1細胞と第2細胞との接触の開始時から、第1細胞から第1光が放射されるときまでの間、一定間隔で画像を取得する。得られた複数の画像から、動画を作製することもできる。
光学顕微鏡によって得られる画像を経時的に取得することにより、細胞の変化を捉えること、およびそのような変化を記録することが容易となる。例えば、形態が変化する細胞を使用する場合には、細胞間相互作用と形態変化との関係を調べることが可能となる。
<実施例1>
CD40、NF−κBおよびルシフェラーゼを強制発現させたマウスミエローマ細胞を第1細胞として用い、CD40リガンドを発現する第2細胞との相互作用を可視化した。その詳細を以下に記す。
[1.第1細胞の作製]
系統細胞P3X63Ag8.653細胞(マウスミエローマ細胞、抗体非産生)に対し、ヒトCD40遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子の配列を含むベクターと、TransLucent NFkB(1) Reporter Vector (Panomics)の配列のルシフェラーゼ部分にpEluc−test(東洋紡)のEmerald Luc(以下Eluc)配列部分(配列番号2)を挿入して得られたベクターとを同時に導入した。
その後、G418を用いて、遺伝子導入された細胞を選択的に培養し、細胞クローンを樹立した。
実験に用いる細胞クローンの選択の指標として、ヒトCD40の発現を免疫組織化学で確認した。さらに、NF−κBプロモータ配列およびELuc遺伝子の導入効率を、水溶性リガンド刺激による発光量の増大に基づいて確認した。
[2.第2細胞の作製]
ヒトCD40リガンド(CD154)とGFPとの融合タンパク質の遺伝子を含むベクターをCHO細胞に導入した。
その細胞を、観察のために、1〜2x10/mlx0.5mlの細胞密度となるようにガラスボトムディッシュに播種し、単層培養した。
[3.細胞間相互作用の検出]
第2細胞を培養したガラスボトムディッシュを、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)にセットした。明視野にて細胞の形態および位置を確認した。GFPによる光およびルシフェラーゼによる光を検出するための条件を設定した。ガラスボトムディッシュに含まれる第2細胞の単層に対して、第1細胞を含む培養液を重層し、さらに発光基質D−luciferinを100uM程度の濃度で添加した。
その後、以下に示す順序で、15分間隔で撮影した。
1.明視野(擬似カラー:グレイ)
2.蛍光(GFP)(擬似カラー:緑)(励起フィルタ BP470−490、蛍光フィルタ 510AF23)
3.発光(擬似カラー:赤)
このようにしてカラーで撮影された画像をモノクロの写真として図3に示す。取得された順に、画像が(a)、(b)および(c)に示される。矢頭で示される細胞は第2細胞であり、矢印で示される細胞は第1細胞である。第2細胞は、緑色の光を放射している様子が観察された。
図3から、第1細胞が第2細胞に対して接近し(図3a)、第1細胞と第2細胞とが接触した後(図3b)、第1細胞が黄色の光を放出する様子が観察される(図3c)。
さらに、図4に、第1細胞から放出された光の発光量を経時的に測定した結果を示す(図中「CHOgfpCD154」として示されるグラフ)。比較として、第1細胞を、CD40リガンド(CD154)を発現していない第2細胞と接触させた場合に検出される発光量を示す(図中「CHO」として示されるグラフ)。また、CHOと接触した場合に得られる発光量に対する、CHOgfpCD154と接触した場合に得られる発光量の相対値を示す(「relative intensity」として示されるグラフ)。
図4から、第1細胞の発光量は、CD40リガンド(CD154)を発現する第2細胞との接触から一定時間経過した後に増大し、さらに一定時間経過した後に低下することがわかる。また、第1細胞の発光量は、CD40リガンド(CD154)を発現しない第2細胞と比較して、CD40リガンド(CD154)を発現する細胞と接触させた場合に高くなることがわかる。
<実施例2>
第1細胞として、P3X63Ag8.653の代わりに、PC12(ラット副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫)クローン)を使用して、実施例1と同様の実験を行った。
その結果、PC12を使用した場合でも、第2細胞との接触により、第1細胞からの発光量が増大することが確認された。
なお、Kronos(ATTO)を用いて培養ディッシュ全体の発光量を計測した結果、PC12を使用した場合、細胞同士の接触から発光量の増大の開始までの時間が約3時間であったのに対し、P3X63Ag8.653を使用した場合、その時間は約40分であった。
1、1aおよび1b…第1細胞、2…第1細胞本体、3…第1タンパク質、4、4aおよび4b…第2細胞、5…第2細胞本体、6…第2タンパク質、7…細胞膜、8…核、10…シャーレ。

Claims (3)

  1. 細胞表面に存在する第1タンパク質と、前記第1タンパク質の活性化に起因して活性化される、細胞内に存在する転写因子と、前記活性化された転写因子が結合する転写因子結合配列およびその下流に位置し前記転写因子の結合に起因して発現誘導される第1発光タンパク質の遺伝子を含む核酸とを含む複数の第1細胞を、前記第1タンパク質と相互作用可能であり、細胞表面に存在する第2タンパク質を含む複数の第2細胞に接触させること、
    前記第1タンパク質と前記第2タンパク質との相互作用に起因して発現誘導された第1発光タンパク質によって触媒される発光反応において放射される第1光を検出すること、および
    光学顕微鏡を使用して、前記第1細胞と前記第2細胞との接触および/または前記第1光の放射を観察することと、前記光学顕微鏡によって得られる画像を経時的に取得することを含む、細胞間相互作用を検出する方法であって、
    前記第2細胞は、前記第1光とは異なる波長の第2光を放射する蛍光タンパク質または前記第2光を放射する発光反応を触媒する第2発光タンパク質を細胞内に更に含む、上記方法
  2. 前記第2細胞は接着性の細胞であり、浮遊性の第1細胞と混合することで細胞同士の接触を行う請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2細胞は、前記第1光とは異なる波長の第2光を放射する蛍光タンパク質を細胞内に含む請求項記載の方法。
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