JP6081226B2 - 発光量を補正する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光量を補正する方法に関する。
発光酵素は、発光が生じる化学反応を触媒する。発光酵素は、しばしば定量的実験に使用される。例えば、あるプロモーターの下流に発光酵素遺伝子を配置し、このプロモーターの活性の程度、すなわちこの遺伝子の発現の程度を、発光酵素に由来して生じる発光量として測定することが可能となる。
発光酵素による発光を細胞の観察等に使用する場合、(1)得られる発光シグナルの有無または強弱は、観察対象の状態を示すものであること、および(2)発光シグナルの時間的な変化は観察対象の状態の変化を反映していることが前提となる。
しかしながら、発光酵素による発光量は、時間の経過とともに変動することも知られている。例えば、一定量のホタルルシフェラーゼに対して、十分な量のホタルルシフェリンおよびATPを供給しても、常に一定の発光量を示すわけではなく、時間の経過とともに少しずつ発光量が低下する場合がある(非特許文献1の特にFig.2)。また、セレンテラジンを基質とする発光酵素は、反応開始直後に高い発光量を示すものの、その後発光量は急激に低下する(特許文献1の特にFig.2)。
発光の変動を安定化させるために、DTTといった薬剤を使用する方法も存在するが、このような薬剤は、生きた細胞に対して毒性があったり、生物活性に影響を与える可能性があったりするため、正確な解析には適さない。
このような、時間の経過に応じた発光量の変動は、特に上述の項目(2)の前提に影響する。発光酵素を使用した正確な観察のために、このような問題の解決が求められている。
米国特許第7268229号明細書
"APPLICATION OF LUMINESCENCE MICROSCOPE WITH NOVEL OPTICAL SYSTEM FOR DETECTION OF GENE EXPRESSION PATTERN OF INDIVIDUAL CELLS", Proceedings of the 14th International Symposium on BIOLUMINESCENCE AND CHEMILUMINESCENCE, 2006, p.45-48
本発明の目的は、定量性の高い発光観察方法を提供することにある。
本発明に係る発光量を補正する方法は、
第1発光酵素の遺伝子を発現する観察細胞と、発光量の増減について前記第1発光酵素と同じ特性を有する第2発光酵素を提示する基準物とを含む培養液を用意することと、
前記第1発光酵素と前記第2発光酵素とで共通する発光基質を前記培養液に投与して、前記観察細胞および前記基準物において発光反応を生じさせることと、
1つの視野の中に前記観察細胞および前記基準物を少なくとも1つずつ含む発光画像を経時的に2回以上取得することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量および前記基準物からの発光量を定量することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量を前記基準物からの発光量によって標準化することと
を含む。
本発明によれば、定量性の高い発光観察方法が提供される。
図1は、ホタルルシフェリンおよびセレンテラジンをそれぞれ基質とする発光反応における、時間と発光量との関係を概略的に示す図である。 図2は、プロモーター活性を反映する理想的な発光シグナルと、実際の発光シグナルとの差異を概略的に示す図である。 図3は、観察細胞から検出される発光シグナルと、補正後の発光シグナルとの関係を概略的に示す図である。 図4(a)および(b)は、実施例において作製したベクターの構成を概略的に示す図であり、図4(c)は、実施例において検出した発光スペクトルを示す図である。 図5(a)および(b)は、実施例において取得した明視野画像および発光画像を示す図であり、図5(c)は、実施例において測定した発光強度の時間変化を示す図である。 図6は、実施例において取得した、補正後の観察細胞の発光強度の時間変化を示す図である。
本発明に係る発光量を補正する方法は、
第1発光酵素の遺伝子を発現する観察細胞と、発光量の増減について前記第1発光酵素と同じ特性を有する第2発光酵素を提示する基準物とを含む培養液を用意することと、
前記第1発光酵素と前記第2発光酵素とで共通する発光基質を前記培養液に投与して、前記観察細胞および前記基準物において発光反応を生じさせることと、
1つの視野の中に前記観察細胞および前記基準物を少なくとも1つずつ含む発光画像を経時的に2回以上取得することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量および前記基準物からの発光量を定量することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量を前記基準物からの発光量によって標準化することと
を含む。
以下に上記方法に含まれる各工程に関して、順に説明する。
最初の工程として、第1発光酵素の遺伝子を発現する観察細胞と、発光量の増減について第1発光酵素と同じ特性を有する第2発光酵素を提示する基準物とを含む培養液が用意される。
観察細胞は、観察の対象となる細胞である。観察細胞の種類は、動物細胞、植物細胞および微生物細胞等、あらゆるものであってよい。また、観察細胞は、培養細胞、組織に含まれる細胞の1つ、または個体に含まれる細胞の1つであってよい。
観察細胞は、例えば、発現の状態を調べようとする遺伝子と、第1発光酵素の遺伝子とが置換されるような遺伝子組み替えを行うことで得られる。こうすることで、第1発光酵素の遺伝子は、元の遺伝子のための発現制御領域の作用により、元の遺伝子の発現パターンと同様のパターンで発現することになる。
基準物は、例えば細胞である。この場合、この細胞中において、第2発光酵素の遺伝子が発現している。基準物としての細胞は、観察細胞とは異なる細胞である。但し、基準物としての細胞は、観察細胞と同種の細胞であってもよい。例えば、同種の細胞群の中らから、一部の細胞を観察細胞とし、その他の一部を基準物として選択してもよい。基準物となる細胞は、動物細胞、植物細胞および微生物細胞等、あらゆるものであってよい。また、基準となる細胞は、培養細胞、組織に含まれる細胞の1つ、または個体に含まれる細胞の1つであってよい。
基準物の別の例は、第2発光酵素が表面に固定された基体である。基体とは、例えば、微小なビーズ、または培養液を入れる容器の壁面である。
第1発光酵素および第2発光酵素は、発光が生じる化学反応を触媒する酵素を意味する。これらは同種の発光酵素であってよく、あるいは異種の発光酵素であってもよい。但し、異種の発光酵素の場合であっても、第1発光酵素および第2発光酵素は、発光量の増減に関して同一または類似した特性を有する。互いに異種であり且つ発光量の増減に関して同一または類似した特性を有するような発光酵素の例は、本来同一の発光酵素に由来するものであるものの、一部のアミノ酸配列が変更された結果、互いにアミノ酸配列がわずかに異なる2つの発光酵素である。このような発光酵素では、例えば、発光量の増減についてはほぼ同じ特性を示すものの、互いに異なる色の発光をそれぞれ示す。
第1発光酵素および第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が変動するという特性を有する発光酵素であってよい。このような変動とは、例えば、発光量の減少である。このような発光酵素では、基質は十分に存在するにもかかわらず、時間の経過に従って発光量が減少する。また、このような変動とは、例えば、発光量の増大である。
発光量が減少するという特性を示す発光酵素の例は、ホタルルシフェラーゼである。ホタルルシフェラーゼは、ホタルルシフェリンを発光基質とする。また、そのような発光酵素の別の例は、イミダゾピラジン骨格を有する化合物を発光基質とする、海洋生物に由来するルシフェラーゼである。
図1には、上記のホタルルシフェラーゼおよび海洋生物に由来するルシフェラーゼについての、発光量の時間変化が示される。この図では、一定量の発光酵素に対して、それに対応する発光基質およびATPを十分に添加して、発光反応を誘導したときの発光量の時間の進行に伴う変化が示される。図中、「ホタルルシフェリン系」と付された実線が、ホタルルシフェリンおよびホタルルシフェラーゼによる発光反応の様子を表しており、「セレンテラジン系」と付された破線が、海洋生物に由来するルシフェラーゼによる発光反応の様子を表している。
図1から、ホタルルシフェラーゼによる発光反応では、反応開始直後に発光量は急増し、その後少しずつ減少する様子がわかる。一方、海洋生物に由来するルシフェラーゼによる発光反応では、反応開始直後に発光量が急増するが、その直後に急激に減少する様子がわかる。すなわち、海洋生物に由来するルシフェラーゼによる発光反応では、時間の経過に伴う発光量の減少が、ホタルルシフェラーゼによる発光反応と比較して大きいことがわかる。なお、米国特許第6,060,261号には、ホタルルシフェラーゼによる発光反応の半減期が8時間まで延長されたことが報告されている。また、米国特許第7,268,229号の図2によれば、海洋生物に由来するルシフェラーゼによる発光反応の半減期が20分程度であることがわかる。
海洋生物に由来するルシフェラーゼの発光基質となる、イミダゾピラジン骨格を有する化合物は、以下の式1の骨格を有する。
この式1において、置換基Rは、
である。
この式1において、置換基Rは、
である。
この式1において、置換基Rは、
である。
このようなイミダゾピラジン骨格を有した発光基質は、3種のアミノ酸から合成されると考えられている(Bioscience, Biotechnology and Biochemistry, 70(6), 1528-1532, 2006)。
イミダゾピラジン骨格を有した発光基質の例は、セレンテラジンである。これは、ウミサボテン(刺胞動物)、ウミシイタケ(刺胞動物)、オワンクラゲ(刺胞動物)、ヒオドシエビ(節足動物)、Gaussia princeps(節足動物)等の有する発光酵素に対する基質である。セレンテラジンは、次の構造式を有する。
イミダゾピラジン骨格を有した発光基質の別の例は、ウミホタルルシフェリンである。これは、ウミホタル(節足動物)、イシモチの仲間(魚類)等の有する発光酵素に対する基質である。ウミホタルルシフェリンは、次の構造式を有する。
イミダゾピラジン骨格を有した発光基質のまた別の例は、ホタルイカルシフェリンである。これは、ホタルイカ(軟体動物)等の有する発光酵素に対する基質である。ホタルイカルシフェリンは、次の構造式を有する。
第1発光酵素は、観察細胞中に存在する。観察細胞は核酸上に第1発光酵素の遺伝子を有しており、それが発現されることで細胞中に第1発光酵素が生成される。第1発光酵素の遺伝子の付近には、種々の発現制御領域が存在している。第1発光酵素の遺伝子は、この発現制御領域の作用により発現する。例えば、発現制御領域がプロモーターである場合、このプロモーターが活性化されると第1発光酵素の遺伝子発現も向上し、逆に、プロモーターの活性が低下すると遺伝子発現も低下する。
第1発光酵素の遺伝子は、観察細胞の核酸上において別のタンパク質の遺伝子と連続して存在していてもよい。この場合、これらの遺伝子が発現すると、第1発光酵素と別のタンパク質との融合タンパク質が細胞内に生成される。
第2発光酵素は、基準物において提示されている。基準物が細胞である場合、第2発光酵素は、その細胞中に存在する。一方、基準物が基体である場合、第2発光酵素は、基体の表面に固定されている。
基準物が細胞である場合、その細胞は、核酸上に第2発光酵素の遺伝子を有しており、それが発現されることで細胞中に第2発光酵素が生成される。第2発光酵素の遺伝子の付近には、種々の発現制御領域が存在している。そのような発現制御領域の例は、第2発光酵素の遺伝子の上流に位置するプロモーターである。このプロモーターは、遺伝子発現を恒常的に誘導するものであってよい。恒常的とは、発現誘導される遺伝子の発現量が、細胞の状態や周囲の状態に依らず、一定となることを意味する。特に、観察細胞に刺激を与えて観察する場合に、基準物となる細胞がその刺激を受けたとしても、その細胞内の第2発光酵素遺伝子の発現量は一定を保つ。
このような第2発光酵素の遺伝子を含む細胞は、例えば、恒常的に発現していることが既知の遺伝子と、第2発光酵素の遺伝子とが置き換わるように遺伝子組み替えを行うことで得ることができる。
上述のような基準物となる細胞中において、恒常的に発現を誘導するプロモーターの例は、アクチン遺伝子のプロモーター、チューブリン遺伝子のプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびヒトポリペプチド鎖伸長因子遺伝子(EF1α)プロモーターである。
培養液を用意する工程に続き、第1発光酵素と第2発光酵素とで共通する発光基質を培養液に投与して、観察細胞および基準物において発光反応を生じさせる。
発光基質とは、発光酵素による酵素反応を通じて酸化され光を放つ物質を意味する。発光基質は、第1発光酵素および第2発光酵素に共通してこれらに対応する1種の発光基質が使用される。発光反応を生じさせるために必須となる、ATP、金属イオンといった物質も発光基質と同時に適宜投与することができる。発光基質は、任意のタイミングで培養液に投与することができる。例えば、観察細胞を観察する直前投与してもよい。あるいは、培養液を作製する段階において発光基質を投与してもよい。
発光反応を生じさせる工程に続き、1つの視野の中に観察細胞および基準物を少なくとも1つずつ含む発光画像が経時的に2回以上取得される。
発光画像とは、観察細胞および基準物からの発光を撮像することにより得られる画像である。発光画像は、例えば、発光に応じた特定の波長を有した光のみを主に透過させるフィルターと、光を電気信号に変換する撮像素子と、電気信号から発光画像を作り出す処理手段とを含む装置を用いて取得することができる。発光画像を取得するための装置の例は発光顕微鏡、発光イメージングシステム等であり、この具体例は、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)である。
発光画像の取得は経時的に2回以上行われる。すなわち、発光画像の取得は、任意の間隔で連続的に2回以上行われる。
発光画像を取得する工程に続き、取得された画像毎に、観察細胞からの発光量および基準物からの発光量が定量される。
好ましくは、画像に含まれる観察細胞毎または基準物毎に、発光量の定量が行われる。異なる時間に取得された2つ以上の画像の中で、同一の細胞の発光量の変化を調べることができる。
発光量を定量する工程に続き、取得された画像毎に、観察細胞からの発光量が基準物からの発光量によって標準化される。
標準化とは、測定された観察細胞の発光量から、発光酵素の発光量の時間の進行に伴う変動を差し引くことを意味する。例えば、観察細胞からの発光量の値を基準物からの発光量の値により割ることで標準化される。本願では、標準化することを、補正するとも称する。
発光酵素の発光量の時間の進行に伴う変動の程度は、発光画像中の複数の基準物の発光量に基づいて決定することができる。例えば、複数の基準物について発光量を測定し、それらの平均から変動の程度を決定することができる。
本発明に係る方法において、任意の手段により観察細胞と基準物とを区別することができる。このような区別は、任意の工程において行うことができる。例えば、発光画像を取得する工程において、または取得した発光画像から発光量を定量する工程において行うことができる。
そのような区別は、例えば、観察細胞と基準物との間の形態の違いに基づいて行うことができる。基準物が基体である場合には、例えば、明視野画像に基づいて容易に細胞から区別することができる。一方、基準物が細胞である場合には、細胞の形状、刺激に対する応答や、動き等に基づいて区別することができる。また、使用する基準物としての細胞を、観察細胞とは明確に形態が異なる細胞としてもよい。
別の区別する手段として、基準物を標識することができる。例えば、第1発光酵素および第2発光酵素による発光と区別することが可能な光を放つ標識物質を基準物に提示させることができる。この場合、例えば、第1発光酵素および第2発光酵素による発光と、標識物質からの光とは、最大波長が互いに異なる。そのような標識物質の例は、第1発光酵素および第2発光酵素とは異なる第3発光酵素、蛍光タンパク質、蛍光物質および色素である。基準物が細胞である場合には、例えば、第3発光酵素および蛍光タンパク質は遺伝子から発現され、蛍光物質および色素は、細胞に取り込ませたり、物理的に細胞内に入れたりすることで導入することができる。基準物が基体である場合には、基体の表面にそのような標識物質が固定される。
さらに別の区別する手段として、互いに異なる最大発光波長を有する第1発光酵素および第2発光酵素を使用し、それらの光の色に基づいて区別することができる。
本発明に係る方法は、既存の種々の測定手法に応用することができる。
例えば、本発明に係る方法は、生物発光共鳴エネルギー移動(Bioluminescence resonance energy transfer:BRET)を利用した手法に応用することができる。この場合、例えば、観察細胞は、蛍光タンパク質または蛍光物質を更に含んでおり、第1発光酵素による発光が生じると、この蛍光タンパク質または蛍光物質は励起された後、蛍光を放つ。この場合、基準物から生じる光は全て発光酵素に由来する発光である一方、観察細胞から生じる光は、蛍光タンパク質からの蛍光と、BRETに供されずに漏れ出た発光酵素からの発光とから成り得る。
BRETを利用する具体例として、観察細胞に、あるタンパク質Aと第1発光酵素との融合タンパク質を発現させ、さらに、タンパク質Aに結合し得るタンパク質Bと蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現させる。タンパク質Aとタンパク質Bとの結合が誘導されると、第1発光酵素と蛍光タンパク質とが接近し、BRETが生じうる状態となる。この状態で、発光酵素の発光を誘導し蛍光を検出することにより、2つのタンパク質同士が結合または接近していることを確認できる。
また、本発明に係る方法は、いわゆるスプリットルシフェラーゼアッセイに応用することができる。この場合、第1発光酵素は、少なくとも2つの部分に分かれて観察細胞中に存在している。これらの部分は、第1発光酵素の互いに異なる領域をそれぞれ含んでおり、これらの部分が組み合わさった際に発光反応を触媒することができるようになる。これらの分かれた部分は、1つの融合タンパク質の中に含まれていてもよく、または部分ごとに異なるタンパク質と融合していてよい。
スプリットルシフェラーゼアッセイの具体例として、観察細胞に、あるタンパク質のN末端側に第1発光酵素の一部分が融合しており、C末端側に第1発光酵素の残る部分が融合しているような融合タンパク質を発現させる。あるタンパク質に構造変化が生じ、そのN末端とC末端とが接近した場合、第1発光酵素の部分同士が集合し、酵素活性が回復する。このとき発光反応を生じ得る環境にしておくことで、あるタンパク質の構造変化を、第1発光酵素からの発光により検出することが可能となる。
従来の方法では、基準細胞を設けず、観察細胞からの発光のみを測定する。この場合、発光量の時間の進行に伴う変動により、発光量が発光酵素の存在量、すなわち発光酵素遺伝子のプロモーター活性の程度を正しく反映できない。図2には、プロモーター活性を反映する理想的な発光シグナルと、実際に検出される発光シグナルとの差異が概略的に示される。薬剤の投与によりプロモーターが活性化される様子が、点線により示されている。このプロモーターの活性化により生成される発光酵素からの発光量の曲線は、理想的には、破線のようにプロモーター活性と同じ形状となるべきである。しかしながら、使用する発光酵素によっては、時間の進行に伴う発光量の低下が生じ、実際に測定される発光シグナルとしては、実線のように、薬剤投与直後に上昇した後、すぐに低下する。
これに対し、本発明に係る方法によれば、観察細胞と同一種の発光酵素を発現する基準物を設けて、観察細胞からの発光量の測定と同時に、基準物からの発光量を測定して、時間に伴う変動の程度を決定する。そして、発光量の時間に伴う変動を差し引くことで、より正確な観察細胞からの発光量を定量することができる。特に同一視野内に存在する基準物を使用するため、基準物の測定と観察細胞の測定との間で培養環境および測定機器の条件を揃えることができ、より正確さが高まる。
また、セレンテラジン、ウミホタルルシフェリンおよびホタルイカルシフェリンといった基質による発光は、その他の発光反応による発光と比較して、一般的に波長が短い。このため、これらの基質の使用は、発光のための色のバリエーションを増やすとともに、エネルギーが高いことによりBRETへの応用が可能となる。また、これらの基質における発光は明るいといった利点もある。一方で、これらの基質による発光反応は、発光量が時間の進行とともに急激に低下するという欠点がある。本発明によれば、このような欠点が克服される結果、このような欠点を理由に使用が避けられていた用途への利用が広がる。さらに、これらの基質は本来有している上記のような利点があるため、その他の基質では実現できなかった実験も可能となる。
本発明の別の実施形態は、上記方法を行うためのキットである。このようなキットは、例えば、第1発光酵素を含む観察細胞、第2発光酵素を提示する基準物等を含む。
[例1:BRETによるRafおよびRasの相互作用の観察]
(0)予備実験
予備実験として、本発明に係る補正方法を用いることなく、Rafタンパク質とRasタンパク質との相互作用をBRETにより検出した。
既知の文献(蛋白質核酸酵素 Vol.43 No.1(1998) 25−34 G蛋白質Rhoファミリーを活性化する癌遺伝子 三木徹)に示されるように、野生型Ras遺伝子(Accession No:NM_005343)に遺伝子変異を加えたRasN17は非活性型として、RasV12は活性型としてよく知られている。非活性型RasN17または活性型RasV12と蛍光タンパク質とを融合させた融合タンパク質、およびRaf−RBDタンパク質(Accession No:NM_002880)と発光タンパク質とを融合させた融合タンパク質を利用して、RasとRaf−RBDとの間における相互作用をBRETで確認することができる。なお、Raf−RBDタンパク質とはRaf遺伝子(Accession No:NM_002880)で翻訳されるアミノ酸残基において1番目から150番目の部位を示す。
予備実験として、活性型RasV12とRaf−RBDとの間の相互作用、および非活性型RasN17とRaf−RBDとの間の相互作用をBRETにより確認する。まず、pcDNA3.1ベクター(インビトロジェン社)のマルチクローニングサイトに対して、図4(a)および図4(b)に示されるように、これらの遺伝子を挿入し、プラスミドを作製した。図4(a)の「蛍光タンパク質」にはEGFPをコードする遺伝子が、図4(b)の「発光タンパク質」にはレニーラルシフェラーゼ(プロメガ社)をコードする遺伝子がそれぞれ挿入される。この蛍光タンパク質EGFP(GE社)は、発光酵素レニーラルシフェラーゼとの間でBRETが生じるものである。一方、図4(a)の「Ras」の位置には非活性型RasN17または活性型RasV12を挿入した。これにより、活性型RasV12の遺伝子を含むベクターとRaf−RBDの遺伝子を含むベクターとのセット、および非活性型RasN17の遺伝子を含むベクターとRaf−RBDの遺伝子を含むベクターとのセットを作製した。
これらの2つのベクターセットをそれぞれ哺乳類細胞であるHeLa細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入の方法はLipofectamine 2000 Reagent(インビトロジェン社)を用いてマニュアルに従って実施した。細胞に遺伝子導入してから24時間後、培地をPBSに置換して、発光基質セレンテラジン(プロメガ社)を最終濃度50μMとなるように添加した。これを発光スペクトル測定装置LumiFlSpectroCapture(ATTO)(ATTO)を用いて発光スペクトルを測定した。
図4(c)には、発光スペクトルの結果が示される。活性型RasV12についての発光スペクトルは黒い実線により示され、非活性型RasN17についての発光スペクトルは灰色の実線により示される。図4(c)によると、活性型RasV12についての発光スペクトルでは、510nm付近が極大となっているのに対し、非活性型RasN17についての発光スペクトルでは、490nm付近が極大となっている。510nmの波長は、EGFPからの蛍光が反映されており、490nmの波長は、レニーラルシフェラーゼによる発光が反映されていると考えられる。この結果から、活性型RasV12とRaf−RBDとの間でBRETが生じたこと、すなわち、これらのタンパク質が相互作用したことがわかり、非活性型RasN17とRaf−RBDとの間ではBRETが生じていないこと、すなわちこれらのタンパク質が相互作用しなかったことがわかる。
(1)観察細胞および基準となる細胞の作製
次に、本発明に係る方法を利用して、Raf−RBDとRasとの間における相互作用を発光イメージングする。特に、細胞をEGFにより刺激すると、MAPキナーゼ経路の下で、Raf−RBDタンパク質とRasタンパク質とが相互作用することが知られているため、EGF刺激時からの相互作用の変化を調べる。
観察細胞に、Raf−RBDと第1発光酵素との融合タンパク質、およびRasと蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現させるため、次のプラスミドを作製した。pcDNA3.1ベクター(インビトロジェン社)のマルチクローニングサイトに対して、遺伝子を含む核酸断片を挿入した。すなわち、図4(a)の「蛍光タンパク質」の位置にはEYFP(GE社)の遺伝子を、図4(b)の「発光タンパク質」の位置には発光酵素レニーラルシフェラーゼ遺伝子を導入した。この蛍光タンパク質EYFPは、発光酵素レニーラルシフェラーゼとの間でBRETが生じるものである。これら2つのプラスミドを同時に哺乳類細胞であるHeLa細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入の方法はLipofectamine 2000 Reagent(インビトロジェン社)を用いてマニュアルに従って実施した。この細胞を観察細胞とする。
一方、基準細胞においても観察細胞と同じ発光基質と反応する第2発光酵素を発現させるため、次のプラスミドを作製した。pcDNA3.1ベクター(インビトロジェン社)のマルチクローニングサイトに発光酵素レニーラルシフェラーゼ遺伝子を挿入した。観察細胞と基準細胞を識別するため、基準細胞には赤色蛍光タンパク質mKate2(和光純薬工業)が発現するようにpcDNA3.1ベクター(インビトロジェン社)のマルチクローニングサイトにこの蛍光タンパク質遺伝子を挿入したプラスミドも作製した。これら2つのプラスミドを同時に哺乳類細胞であるHeLa細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入の方法はLipofectamine 2000 Reagent(インビトロジェン社)を用いてマニュアルに従って実施した。この細胞を基準細胞とする。
24時間後、観察細胞および基準細胞をトリプシン処理で遊離させ、1つの35mmガラスボトムディッシュに混ぜ合わせて播種した。播種の24時間後に発光イメージングを実施した。
(2)同視野内での観察細胞および基準細胞の同定
同視野内において観察細胞および基準細胞を同定することで、これらを区別した。これは、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)を用いた蛍光観察により実施した。
観察細胞および基準細胞を同定するため2回の蛍光観察を実施した。赤色蛍光タンパク質を発現している細胞を基準細胞とした。基準細胞の識別は、545nmから580nmの光を透過させるバンドパスフィルターによる緑色光で赤色蛍光タンパク質を励起し、635nmロングパスフィルターを使用して蛍光を観察して実施した。黄色蛍光タンパク質を発現している細胞を観察細胞とした。観察細胞の識別は、490nmから500nmの光を透過させるバンドパスフィルターによる青色光で黄色蛍光タンパク質を励起し、515nmから555nmの光を透過させるバンドパスフィルターを使用して蛍光を観察して実施した。これら2回の蛍光観察によって観察細胞および基準細胞を特定した。
(3)同視野での観察細胞および基準細胞の発光観察
同視野での観察細胞および基準細胞の発光観察には、発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)を用いて実施した。
上記方法によって作製した野生型RasとRaf−RBDとを同時に発現する観察細胞は、EGFなどの薬剤刺激によってRasが活性化されRaf−RBDと結合する。この相互作用によってBRETが生じるため、発光色が青色(最大発光波長490nm付近)から黄色(最大発光波長525nm付近)へと変化する。青色の発光観察には470nmから490nmの光を透過させるバンドパスフィルター、黄色の発光観察には519nmロングパスフィルターを使用する。これら2種類の光学フィルターを発光イメージングシステムLV200(オリンパス株式会社製)に取り付けて発光観察を実施した。
発光観察のため、発光基質セレンテラジン(プロメガ社)を最終濃度50μMとなるように添加した。Rasを薬剤刺激するためEGF(終濃度50ng/ml)を添加して、RasとRaf−RBDとの相互作用を発光観察した。青色発光観察時間2分、黄色発光観察時間30秒、インターバル3分、撮影回数12回の条件で撮像した。
観察結果を、図5に示す。図5(a)は黄色発光観察、(b)は青色発光観察、(c)は各観察で設定した観察区画(ROI)での発光強度の経時的変化を示す。図5(a)および(b)のa−1およびb−1は明視野像、a−2およびb−2は発光像を示す。ROIの位置は図5(a)および(b)中に矢印で示し、発光強度は丸で囲まれた範囲を測定した。図5(a)に図示した黄色発光観察において観察細胞としてROI−Y1を設定し、図5(b)に図示した青色発光観察において基準細胞としてROI−B1とROI−B2を設定した。図5(c)に示すように、3つの各ROIの発光強度は測定開始から徐々に減少した。
(4)基準細胞による観察細胞の発光強度の補正
取得された発光画像の各々について、1つの観察細胞からの発光量および1つの基準細胞からの発光量をそれぞれ定量した。そして、観察細胞からの発光量を、各時点において基準細胞からの発光量に基づいて補正した。
図6には、図5(c)に示される基準細胞(ROI−B1)の経時的な発光強度変化に基づいて補正した観察細胞(ROI−Y1)の発光強度の経時変化を図示した。基準細胞による補正方法の評価のため、基準細胞(ROI−B2)についても同様に基準細胞(ROI−B1)の発光強度変化を基に補正を実施した。式1には、補正に用いた式を示す。
図6に示されるように、観察細胞(ROI−Y1)の補正した発光強度はEGF刺激してから約15分後に増加することがわかった。これは、活性化した野生型RasとRaf−RBDとの結合が約15分で活発化していることを示している。EGFの刺激に応答してRasが活性化する様子は非特許文献(Nature 2001年 Vol411 pp1065−1068, Spatio−temporal images of growth factor−induced activation of Ras and Rap1., Mochizuki, N., Yamashita, S., Kurokawa, K., Ohba, Y., Nagai, T., Miyawaki, A. and Matsuda, M.)に示された結果と一致する。
これに対して、基準細胞(ROI−B2)の補正した発光強度は経時的な変化を確認することはできなかった。このように、基準細胞の発光に基づいて補正を行ったことにより、時間の進行に伴う発光量の低下が差し引かれ、刺激による発光強度の変化を観察することができた。
本発明によれば、時間の進行に伴う発光量の低下が大きい発光酵素をプローブとして用いても、経時的で定量的な実験に使用できることが示された。
[実施例2]
本発明において、発光酵素としてホタルルシフェラーゼを使用して、生物時計プロモーターの働きを調べる。
生物時計プロモーターとして、例えば、一定の周期で活性が増減するものを使用する。
ホタルルシフェラーゼは、D−Luciferinを基質とする。これらの発光反応は、図1に「ホタルルシフェリン系」と付された実線のように、半減期は「セレンテラジン系」と比較すると長いが、数日の発光観察の下では徐々に発光強度は低下する。
生物時計プロモーターの下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子が配置された核酸を含む観察細胞を用意する。また、恒常的に発現を誘導するプロモーターの下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子が配置された核酸を含む基準細胞を用意する。
観察細胞および基準細胞、ならびに十分量のホタルルシフェリンを含む培養液(ATPやマグネシウムイオンなど発光反応に必須な因子、CoAなど発光強度を増強する因子を含んでもよい)を発光顕微鏡にセットする。一視野内に観察細胞および基準細胞の両方が含まれるように発光画像を撮影する。さらに、同一の視野にて、定期的に複数回発光画像を撮影する。
取得された発光画像の各々について、1つの観察細胞からの発光量および1つの基準細胞からの発光量をそれぞれ定量する。定量した結果を、時間を横軸とし、発光量を縦軸とする平面にプロットする。図3には、その結果が概略的に示される。図中、基準細胞および観察細胞における実際の測定結果が、ともに実線で示されている。基準細胞の発光量は、開始時に最大となり、時間の進行とともに低下する様子がわかる。一方、観察細胞の発光量は、増減を繰り返すものの、時間の進行とともに減衰する様子がわかる。
次に、基準細胞の測定結果に基づいて、観察細胞の測定結果を補正する。まず、基準細胞の発光量が、常に一定の値となるように補正する。それに倣い、観察細胞の測定結果を補正する。その結果、図3中に破線で示されるように、基準細胞の発光量は一定となり、一方、観察細胞の発光量は、一定の周期且つ一定の振幅で増減する。
このように、本発明を使用することで、生物時計プロモーターの活性の状態を的確に知ることができる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
第1発光酵素の遺伝子を発現する観察細胞と、発光量の増減について前記第1発光酵素と同じ特性を有する第2発光酵素を提示する基準物とを含む培養液を用意することと、
前記第1発光酵素と前記第2発光酵素とで共通する発光基質を前記培養液に投与して、前記観察細胞および前記基準物において発光反応を生じさせることと、
1つの視野の中に前記観察細胞および前記基準物を少なくとも1つずつ含む発光画像を経時的に2回以上取得することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量および前記基準物からの発光量を定量することと、
取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量を前記基準物からの発光量によって標準化することと
を含む発光量を補正する方法。
[2]
前記基準物は、前記第2発光酵素の遺伝子を発現する、前記観察細胞とは異なる細胞である項1に記載の方法。
[3]
前記基準物は、前記第2発光酵素が表面に固定された基体である項1に記載の方法。
[4]
前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が変動するという特性を有する発光酵素である項1から3の何れか1項に記載の方法。
[5]
前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が減少するという特性を有する発光酵素である項4に記載の方法。
[6]
前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が増大するという特性を有する発光酵素である項4に記載の方法。
[7]
前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、次の化学式1
(化学式1中、R は、
であり、
は、
であり、
は、
である)
で表される構造式を有する化合物を発光基質とする発光酵素である項1から6の何れか1項に記載の方法。
[8]
前記観察細胞と前記基準物との間における形態の違いに基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される項1から7の何れか1項に記載の方法。
[9]
前記基準物は、第3発光酵素、第1蛍光タンパク質、第1蛍光物質および色素から成る群から選択される標識物質であって、前記第1発光酵素および前記第2発光酵素による発光とは異なる最大発光波長を有する光を放つ標識物質を更に提示し、前記光に基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される項1から7の何れか1項に記載の方法。
[10]
前記第1発光酵素による発光と前記第2発光酵素による発光とは、互いに異なる最大発光波長を有し、これらの発光に基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される項1から7の何れか1項に記載の方法。
[11]
前記基準物は、前記第2発光酵素の遺伝子を発現する、前記観察細胞とは異なる細胞であり、
前記基準物となる前記細胞において、前記第2発光酵素の遺伝子は、恒常的な遺伝子発現を誘導するプロモーターの下流に存在し、前記第2発光酵素の遺伝子は前記細胞中に恒常的に発現している項1に記載の方法。
[12]
前記プロモーターは、アクチン遺伝子のプロモーター、チューブリン遺伝子のプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびヒトポリペプチド鎖伸長因子遺伝子(EF1α)プロモーターから成る群から選択される請求項11に記載の方法。
[13]
前記観察細胞は第2蛍光タンパク質または第2蛍光物質を含み、前記第2蛍光タンパク質または第2蛍光物質は前記第1発光酵素による発光によって励起され、蛍光を放つ項1から12の何れか1項に記載の方法。
[14]
前記第1発光酵素は、少なくとも2つの部分に分かれて前記観察細胞中に存在しており、これらの部分は、前記第1発光酵素の互いに異なる領域をそれぞれ含み、これらの部分が組み合わさった際に前記発光反応を触媒することができる項1から12の何れか1項に記載の方法。

Claims (13)

  1. 第1発光酵素の遺伝子を発現する観察細胞と、発光量の増減について前記第1発光酵素と同じ特性を有する第2発光酵素の遺伝子を発現する、前記観察細胞とは異なる細胞である基準物とを含む培養液に対し、前記第1発光酵素と前記第2発光酵素とで共通する発光基質が投与された状態で、前記観察細胞および前記基準物において発光反応を生じさせることと、
    1つの視野の中に前記観察細胞および前記基準物を少なくとも1つずつ含む発光画像を経時的に2回以上取得することと、
    取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量および前記基準物からの発光量を定量することと、
    取得された画像毎に、前記観察細胞からの発光量を前記基準物からの発光量によって標準化することと
    を含む発光量を補正する方法。
  2. 前記基準物となる前記細胞において、前記第2発光酵素の遺伝子は、恒常的な遺伝子発現を誘導するプロモーターの下流に存在し、前記第2発光酵素の遺伝子は前記細胞中に恒常的に発現している請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロモーターは、アクチン遺伝子のプロモーター、チューブリン遺伝子のプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびヒトポリペプチド鎖伸長因子遺伝子(EF1α)プロモーターから成る群から選択される請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が変動するという特性を有する発光酵素である請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が減少するという特性を有する発光酵素である請求項4に記載の方法。
  6. 前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、十分量の基質の存在下において発光反応を触媒させた場合に、時間の経過に伴い発光量が増大するという特性を有する発光酵素である請求項4に記載の方法。
  7. 前記第1発光酵素および前記第2発光酵素は、次の化学式1
    (化学式1中、Rは、
    であり、
    は、
    であり、
    は、
    である)
    で表される構造式を有する化合物を発光基質とする発光酵素である請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記観察細胞と前記基準物との間における形態の違いに基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記基準物は、第3発光酵素、第1蛍光タンパク質、第1蛍光物質および色素から成る群から選択される標識物質であって、前記第1発光酵素および前記第2発光酵素による発光とは異なる最大発光波長を有する光を放つ標識物質を更に提示し、前記光に基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記第1発光酵素による発光と前記第2発光酵素による発光とは、互いに異なる最大発光波長を有し、これらの発光に基づいて、前記観察細胞と前記基準物とが区別される請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
  11. 前記観察細胞は第2蛍光タンパク質または第2蛍光物質を含み、前記第2蛍光タンパク質または第2蛍光物質は前記第1発光酵素による発光によって励起され、蛍光を放つ請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記第1発光酵素は、少なくとも2つの部分に分かれて前記観察細胞中に存在しており、これらの部分は、前記第1発光酵素の互いに異なる領域をそれぞれ含み、これらの部分が組み合わさった際に前記発光反応を触媒することができる請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
  13. 前記基準物の発光量が常に一定の値となるように補正し、該基準物の補正に応じて前記観察細胞の測定結果を補正する請求項1から12の何れか1項に記載の方法。
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