JP5957299B2 - 情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム - Google Patents
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Description
また、製造装置は、その状態が徐々に変化する(ドリフトする)ものの、ある範囲における特定方向のドリフトは、製造装置の健常性を損なうものではない。したがって、健常性を診断する場合には、正常なドリフト量に応じたデータの取り扱いが必要となる。
また、第1のモデルは必ずしも一つではなく、候補として二つ以上あって、複数あるメンテナンスの履歴からの距離が、現在と最も類似している部分の状態を表すデータを用いて作成したモデル式から距離をずらした状態を表すデータを用いて作成したモデル式との関係から最も現在の状態に近い状態を抽出する機能を備えていても良いし、現在の状態に最も近い過去のメンテナンスとの距離の状態を表すデータを、複数のメンテナンス分遡って抽出したモデル式を適用する機能を備えていても良い。
また、製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとをデータ記憶部に記憶させることによって、アクセス速度が律速する様ないわゆるリレーショナルデータベースの使用を極力少なくしたので、製造装置の健常性を、非常に効率的に実用可能な短時間で評価することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置は、製造プロセスの状態を表す状態データをその製造プロセスを特定するコンテキストデータと関連付けて記憶するとともに、メンテナンス作業が行われていた場合には、そのメンテナンス作業の影響を考慮して製造プロセスに用いられた製造装置の健常性に関する指標を演算するものである。
1−1−1.情報処理装置のハードウェアの構成
図1は、本実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。図1において、情報処理装置3は、製造装置10に取り付けられた1または複数のセンサ1−1〜1−N(Nは1以上の整数)とセンサ用通信ネットワーク(図示せず。)を介して通信可能に接続される。
なお、CPU31の代わりに、MPU(Micro Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Processor)を用いてもよい。
図2に示すように、情報処理装置3の機能は、記憶装置34に対する各種データの書き込みおよび読み出しを制御する制御部310と、記憶装置34上に構成されて、各種データを記憶するデータ記憶部340と、制御部310の制御の下でデータ記憶部340から所望の条件を満たすデータを抽出する抽出部350と、抽出されたデータを用いて所定の演算を行う演算部360と、演算部360による演算結果を出力する出力部370とに大別できる。
上述したように、情報処理プログラムによる制御の下でCPU31がRAM32、ROM33、記憶装置34および各種入出力装置と協働することよって、情報処理装置3の制御部310、データ記憶部340、抽出部350、演算部360および出力部370を実現することができる。
まず、制御部310は、サンプリング処理部311と記憶制御部312を含む。
サンプリング処理部311は、受信したセンサ信号をサンプリングする。サンプリングの期間および周期は、例えば記憶制御部312から与えられる。このセンサ信号は、製造プロセスの状態を表す状態データに相当する。
サンプリング周期は、半導体製造装置等の機器の状態(使用状況)を診断するのに足りる十分な短さを有するデータ取得周期である。例えば、特定の処理を実施する期間が3分間であるならば、サンプリング周期は1秒または0.1秒といった、処理の実施期間よりも遙かに短い期間が設定される。
特定の処理の一例としては、機器が半導体製造装置であれば、ウエハーの製造工程における露光処理等の各種製造プロセスが挙げられる。サンプリング処理部311でセンサ信号をサンプリングして得られた信号データは、製造プロセスまたはその製造プロセスに用いられている製造装置の状態を表す状態データの一例である。
以下、本明細書においては、状態データを「サンプリングデータ」ということがある。
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置3のデータ記憶部340の一構成例について説明する。
データ記憶部340は、製造装置およびこの製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、製造プロセスの状態を表す状態データ(具体的には、サンプリングデータ)と、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶している。
「コンテキストデータ」は、例えば製造プロセスごとの半導体製造装置等の機器の使用状況を表すデータであり、製造装置10およびその製造装置10を用いた製造プロセスを特定するデータである。コンテキストデータは、例えば、生産管理システム20から取得することができる。本実施の形態においては、コンテキストデータは、コンテキストデータファイル401に記憶される。また、状態データ(サンプリングデータ)は、サンプリングデータファイル402−1〜402−Nに記憶される。
本実施の形態に係る情報処理装置3においては、フォルダ制御部312aによって製造プロセスごとにデータフォルダ340−1〜340−nが生成される。
これらデータフォルダ340−1〜340−nは、図3および図4に示すように、それぞれ、製造プロセスごとのコンテキストデータを記録したデータファイル(以下、「コンテキストデータファイル」という。)401と、コンテキストデータファイルによって特定される製造プロセス(サンプリング期間)において各センサ1−1〜1−Nからのセンサ信号をサンプリングして得られたサンプリングデータをセンサ別にそれぞれ記録したサンプリングデータファイル402−1〜402−Nとを格納している。サンプリングデータファイル402−1〜402−Nには、サンプリングデータとともに、サンプリング周期(Sampling Rate)411−1〜411−Nやサンプリング時刻が格納されている。
なお、後述するように、製造プロセスごとにデータフォルダ340−1〜340−nに分散して格納されたコンテキストデータファイル401は、コンテキストデータ管理部400によって管理されている。
なお、典型的には、「機器名」、「レシピ名」は、生産管理システム20から取得することができ、また、「開始時刻」、「終了時刻」は、プロセスを実施する製造装置10から取得することができる。
一方、サンプリングデータファイル402−1〜402−Nは、センサ#1〜#N毎に、サンプリングレート411−1〜411−Nとサンプリングデータを記憶する。
したがって、センサの数や種類が変更されても、変更後の製造プロセスについてのみコンテキストデータを変更し、このコンテキストデータと関連付けてサンプリングデータを1つのフォルダに格納すればよいので、システムの構造を大きく変更する必要はない。
上述したように、製造プロセスごとに生成されたデータフォルダ340−1〜340−nに、コンテキストデータファイル401とサンプリングデータファイル402−1〜402−Nを製造プロセスごとに関連付けて分散して格納する。したがって、データ記憶部340には、データ記憶部340に記憶されているすべてのコンテキストデータを把握するために、コンテキストデータ管理部400が設けられている(図3、図5参照。)。
複数のデータフォルダ340−1〜340−3にそれぞれ格納されているコンテキストデータファイル401には、データフォルダ340−1〜340−3と対応付けられる製造プロセスを特定する情報(コンテキストデータ)が記録されている。図5は、複数のデータフォルダ340−1〜340−3に格納されたコンテキストデータファイル401に記憶されたコンテキストデータは、コンテキストデータ管理部400においてコンテキストデータセットとして統一的に管理されている様子を示している。
また、記憶領域をより効率的に使用するためには、例えば、図6に示すように、各コンテキストデータファイル401に対してユニークな識別子(例えば、ロット番号(Lot Number)など)を付与し、この識別子と、参照すべきコンテキストデータファイル401を特定する情報(例えば、コンテキストデータファイル401が記憶されている記憶領域のアドレス等)とを対応付けて記憶してもよい。
演算方法定義ファイル403は、サンプリングデータに適用する演算方法を定義したデータファイルである。この演算は、サンプリングデータ(状態データ)を用いて製造装置の健常性を評価するために用いられる指標を算出するためのものである。指標の例としては、サンプリングデータの特徴量、代表値、平均値、最大値、最小値、平均値、および標準偏差等が挙げられるが、これらはあくまでも例であって、本発明においては、どのような値を指標として採用するかは任意であり、その演算方法も任意に定義してもよい。
製造装置の健常性を評価するために用いられる指標を算出するためのモデルは、メンテナンス作業に近い(メンテナンス作業後すぐの)製造プロセスを重視し、遠い製造プロセスは軽く見るように重み付けしてもよい。具体的な手法としては、指数重み付移動平均(Exponentially Weighted Moving Average: EWMA)を用いて、時間的距離に応じた重み付け演算モデルを構築することができる。
メンテナンス情報ファイル405は、製造装置のメンテナンス作業に関する情報を記録したデータファイルである。メンテナンス情報ファイル405は、例えば、図7に示すように、メンテナンス作業の識別子(「Maintenance #」)に対してそのメンテナンス作業の種別と実施日時を対応付けて記憶してもよい。
図7に示す例は、2種類のメンテナンス作業M#1およびM#2がそれぞれ2回実施されてことを示している。
ここで、「時間的距離」とは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的な間隔である。その具体的な例としては、メンテナンス作業と製造プロセスとの間の時間を表すデータ、例えば、物理的な時間で表してもよいし、メンテナンス作業後に行われた複数の製造プロセスの順番を表すデータ、例えば、製造プロセスのバッチ数で表してもよい。
本実施の形態においては、繰り返し行われる各製造プロセスをそれぞれ1バッチとして、ある製造プロセスがメンテナンス作業が完了した後の何バッチ目の製造プロセスかを表すデータ、すなわち、メンテナンス作業後に行われた複数の製造プロセスの順番を表すデータを「時間的距離」とする。
なお、本発明において、「時間的距離」は、メンテナンス作業から製造プロセスまでの経過時間または製造プロセスの回数に応じて単調性を示すものであれば、任意に定義することができる。
図8Aおよび図8Bは、メンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離の概念を説明する図である。
このとき、メンテナンス作業M#1から製造プロセスまでの時間的距離は、各回のメンテナンス作業、すなわち、「M#1(1)」および「M#1(2)」の後の製造プロセスの順番で表すことができる。具体的には、ロット番号「1001」の製造プロセスの時間的距離は、1回目のメンテナンス作業「M#1(1)」後の順番である「1」、ロット番号「1002」の製造プロセスの時間的距離は「2」、ロット番号「1000+k+1」の製造プロセスの時間的距離は、2回目のメンテナンス作業「M#1(2)」後の順番である「1」となる。
また、1回目のメンテナンス作業「M#1(1)」後の製造プロセス(1001〜1000+k)と、2回目のメンテナンス作業「M#1(2)」後の製造プロセス(1000+k+1〜1000+k+3)は、メンテナンス作業1回分だけ時間的距離が離れていると考えることができる。
このような場合でも、各種のメンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離は、メンテナンス作業から各製造プロセスまでの時間や、メンテナンス作業後の製造プロセスの順番によって表すことができる。
この場合、メンテナンス作業ごとに製造プロセスの時間的距離が把握される。この例においては、ロット番号「1003」により特定される製造プロセスは、第1のメンテナンス作業M#1(1)からの時間的距離は「3」となる一方、第2のメンテナンス作業M#2(1)からの時間的距離は「1」となる。これを距離(1003:M#1,M#2)=(3,1)と表してもよい。また、ロット番号「1000+k」(kは4以上の自然数)の製造プロセスのについては、距離(1000+k:M#1,M#2)=(k,k−2)となる。
このようなメンテナンス作業と製造プロセスとの時間的距離は、予め計算して、その結果をコンテキストデータ管理部400内に設けられた距離データファイル406に記憶させておく。
例えば、各製造プロセスと各メンテナンス作業との時間的距離を表すデータ(以下、「時間的距離データ」という。)を、図9に示すように、テーブル形式でデータ記憶部340の距離データファイル406に記憶させてもよい。
予め計算しておくことによって、後述する健常性に関する指標の計算を効率的に行うことができる。
抽出部350は、距離データファイル406を参照して、データ記憶部340に記憶されたサンプリングデータのうち、メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する製造プロセスから得られたものを抽出する。
なお、本実施の形態においては、時間的距離データを予め計算しておくものとして説明したが、抽出部350がデータの抽出を行う度に時間的距離を計算してもよい。
また、抽出部350は、時間的距離の他、メンテナンスの累積回数や、製品の良否に応じてサンプリングデータを抽出することもできる。例えば、同じメンテナンスM#1でも、2回目のM#1(2)以降のサンプリングデータを抽出するようにしてもよいし、コンテキストデータと関連付けて製品検査の結果(合格または不合格)を記憶しておくことによって、合格または不合格だった製品を製造した製造プロセスのサンプリングデータを抽出することもできる。
演算部360は、演算方法定義ファイル403に記憶されたモデルを参照し、データ記憶部340に記憶されたサンプリングデータを用いて製造装置の健常性に関する指標、例えば、サンプリングデータの特徴量、代表値、平均値、最大値、最小値、平均値、および標準偏差等を演算する。
このような演算部360は、一般には、データ記憶部340に記憶された任意のサンプリングデータを用いて演算を行うことができるが、本実施の形態においては、さらに、次に述べるように、上述した抽出部350によって抽出されたサンプリングデータに対して演算を行う。
次に、図10を参照して、情報処理装置3における状態データ(サンプリングデータ)の抽出から演算までの動作の一例を説明する。
まず、抽出動作を開始するにあたっては、抽出条件として、時間的距離の規準となるメンテナンス作業またはメンテナンス作業の種類と、そのメンテナンス作業からの時間的距離を指定する(S10)。時間的距離の指定は、特定の種類のメンテナンス作業から数えたときの順序を指定することによって行ってもよいし、順序の範囲を指定してもよい。図8Aの概念図に基づくならば、例えば、「メンテナンスM#1から3番目の製造プロセス」を指定した場合は、M#1(1)から3番目の製造プロセス(ロット番号:1003)と、M#1(2)から3番目の製造プロセス(ロット番号:1000+k+3)が抽出されることになるし、「メンテナンスM#1から1〜3番目の製造プロセス」を指定した場合は、M#1(1)から1〜3番目の製造プロセス(ロット番号:1001〜1003)と、M#1(2)から1〜3番目の製造プロセス(ロット番号:1000+k+1〜1000+k+3)が抽出されることになる。
なお、抽出条件の指定は、例えば、キーボード37等からマニュアル入力してもよいし、別途、プログラム等によって自動で指定してもよい。
このデータフォルダ340−jが特定されたら、このデータフォルダ340−jに格納されているサンプリングデータファイル402−1〜402−Nからサンプリングデータを読み出して、演算部360に出力する(S04)。
しかし、本発明においては、これらのデータを、上述したファイル構成に代えて、他の構成、例えば、リレーショナル・モデルに基づくリレーショナルデータベースに格納してもよい。
本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置は、情報処理装置自体が、健常性を評価するために用いられる指標の演算に用いるモデルを、状態データに基づいて作成するものである。
図11に、本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す。なお、以下の説明において、上述した第1の実施の形態に係る情報処理装置と同様の構成要素には、同一の符号を用い、その詳細な説明は省略する。
(1−1)モデルの作成
本実施の形態に係る情報処理装置は、図11に示すように、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータの一部または全部に基づいてモデルを作成するモデル作成部361を備えている。このモデル作成部361によって作成されたモデルは、データ記憶部340のモデル記憶部403aに記憶される。このモデル記憶部403aは、第1の実施の形態に係る情報処理装置における演算方法定義ファイル403相当するものである。モデル記憶部403aに記憶されたモデルは、演算部360によって参照されて、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータ(状態データ)から指標を演算するために用いられる。
モデルの更新は、データ記憶部340のモデル記憶部403aにすでにモデルが記憶されている状態で、モデル作成部361において作成した新たなモデルをモデル記憶部403aにすでに記憶されているモデルと置き換える処理である。
モデルの更新に先立って、モデル作成部361は、新たに作成したモデルの妥当性の評価を行ってもよい。
モデルの評価は、例えば、演算部360に、2種類のモデル、すなわち、すでにモデル記憶部403aに記憶されているモデルと新たに作成したモデルとを用いて、新たなモデルの作成に用いた状態データとは異なる状態データから健常性に関する指標をそれぞれ演算させ、それら差と予め定められた閾値を比較することによって実現することができる。すなわち、2種類のモデルに基づく指標の差が閾値以下であれば、新しいモデルをモデル記憶部403aに記憶させ、すでに記憶されているモデルと置き換える一方、2つの指標の差が閾値を超えている場合は、新しいモデルは採用せず、モデルの更新を見合わせるのである。
なお、2つの指標の差が閾値を超えており、モデルの更新を見合わせる場合は、異なる条件で抽出した状態データを用いて改めてモデルを作成するようにしてもよい。
判定部380は、製造装置の現在の状態を表す状態データから演算部360によって演算された健常性に関する指標に基づいて、製造装置に異常がないか否かを判定する機能部である。
このとき演算部360が用いるモデルは、モデル記憶部403aに記憶されたモデルである。したがって、上述したモデルの評価を経ている場合は、ここで用いられるモデルは、妥当なものと評価されたモデルである。
判定部380は、製造装置の現在の状態を表す状態データから演算部360によって演算された健常性に関する指標に基づいて製造装置に異常があると判断される場合は、生産管理システムを通じてオペレータに対しロットの検査の実施および次ロット処理の禁止等の措置をとることを促し、製造装置が正常と判断される場合は、正常と判断されたチャンバにおける次ロット処理やそのチャンバで処理されたロットに対する次工程の開始を許可する。
2−2−1.状態データの抽出およびモデル作成
図12Aにモデル作成部361によるモデル作成の手順の一例を示す。
まず、抽出条件が設定されると(S11:Yes)、指定されたメンテナンス作業後の各製造プロセスの順序を求め(S12)、抽出条件を満たす製造プロセスを特定し、さらにコンテキストデータ管理部400を参照して、特定された製造プロセスに対応するデータフォルダ340−jを特定する(S13)。
・特定のメンテナンス作業または特定種類のメンテナンス作業からの所定の時間的距離を有する製造プロセスを抽出する;
・直近のメンテナンス作業後の製造プロセスを抽出する;
・特定種類のメンテナンス作業について、累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセスを抽出する;
・製品検査の結果、合格(または不合格)となった製品を製造した製造プロセスを抽出する。
特に、「特定のメンテナンス作業からの所定の時間的距離を有する製造プロセス」の数や「直近のメンテナンス作業後の製造プロセス」の数が、モデルの作成には少なすぎる場合等には、「累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセスを抽出する」という条件に切り替えればよい。
また、これらの条件のうち、複数の条件を組み合わせてもよい。例えば、「累積回数が所定数となる過去のメンテナンス作業以降の製造プロセス」のうち、「製品検査の結果、合格(または不合格)となった製品を製造した製造プロセス」を抽出してもよい。
モデル作成部361は、抽出部350によって抽出されたサンプリングデータからモデルを作成する(S15)。
2−2−2.モデルの評価および更新
上述のようにして新たなモデルが作成されると、この新たなモデルの作成に用いた状態データとは異なる過去の状態データから、新たなモデルを用いて健常性に関する指標を演算する一方、同じ過去の状態データから、すでにモデル記憶部403aに記憶されているモデルを用いて健常性に関する指標を演算する(S16)。
そして、新旧2つのモデルを用いてそれぞれ演算した健常性に関する指標の差が所定の閾値以下であれば(S17:Yes)、新たなモデルをモデル記憶部403aに記憶して、モデルを更新する(S18)。
一方、これらの指標の差が所定の閾値を超えていれば(S17:No)、モデルの作成に用いる状態データを選び直して(S13)、再度、モデルの作成を行う(S14−S15)。
例えば、モデル作成部361は、直近のメンテナンス作業より過去のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて作成された第1のモデルを、直近のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データを用いて更新して第2のモデルを作成してもよい。この場合、指標を演算に用いられるモデルは、製造プロセスが実施されて新しい状態データが得られるたびに、その新しい状態データを用いて更新される。したがって、状態データをx、メンテナンス作業後のプロセスの順番(メンテナンス作業からの時間的距離)をk、k番目の製造プロセスを表す状態データxから指標を演算するモデルをf(x)kとすると、メンテナンス作業が実施された直後から製造プロセスがk回目、k+1、k+2、、、と進むたびに、モデルは直近のメンテナンス作業後の製造プロセスを表す状態データを考慮して、f(x)k、f(x)k+1、f(x)k+2、、、と更新されて、最新の状態に追従する。
2−2−3.指標に基づく判定
次に、図12Bを参照して、指標に基づく判定の手順を説明する。
モデルが更新されると(図12A、S18)、演算部360は、このモデルを用いて現在の製造装置の現在の状態を表す状態データから健常性に関する指標を演算する(S19)。判定部380は、この健常性に関する指標に基づいて製造装置に異常があるか否かを判断し(S20)、製造装置が正常と判断される場合は(S20:Yes)、正常と判断されたチャンバにおける次ロット処理やそのチャンバで処理されたロットに対する次工程の開始を許可する(S21)。一方、製造装置に異常ありと判断される場合は(S20:No)、生産管理システムを通じてオペレータに対しロットの検査の実施および次ロット処理の禁止等の措置をとることを促す(S22)。
また、新たに作成したモデルと既存のモデルとを、過去の状態データによる健常性の指標の演算結果に基づいて比較することによって、新たに作成したモデルを評価するので、更新されたモデルの妥当性を担保することが可能となる。
また、判定部380を設け、現在の状態データに基づく健常性に関する指標に基づいて製造装置の健常性を監視判定することによって、製品の信頼性と生産性の向上を図ることが可能となる。
モデルは、必ずしも1つとは限らず、例えば、異なる状態データを抽出したうえでモデルを複数作成し、これらのモデルの中から、製造装置の現状に最も即している指標を与える最適なモデルを決めるようにしてもよい。
本発明の第3の実施の形態は、上述した第2の実施の形態において、複数のモデルを作成し、それらのモデルを評価する機構を有するものである。
本実施の形態に係る情報処理装置は、データ記憶部340内のモデル記憶部403aに複数のモデルを記憶することができ、さらに、それらのモデルを比較・評価する評価部390を備えている。
例えば、モデル作成部361が、直近のメンテナンス作業より以前の(過去の)メンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて第1のモデルを作成した後、直近のメンテナンス作業後に行われた製造プロセスの状態を表す状態データを用いて第2のモデルを作成した場合を考える。
この場合、評価部390は、モデル記憶部403aに記憶された第1のモデルに基づく指標の演算結果と第2のモデルに基づく指標の演算結果とを比較して、第1のモデルに基づく指標の演算結果と第2のモデルに基づく指標の演算結果との差が所定の範囲内のときは、第2のモデルに基づく指標の演算結果を製造装置の健常性に関する指標とし、所定の範囲外のときは、第1のモデルに基づく指標の演算結果を製造装置の健常性に関する指標とするようにしてもよい。
また、得られたモデルがその前の状態を表すかどうかを判断するために、多変量解析の手法を用いて、複数あるパラメータの因子負荷量等を算出し、状態が崩れていないかを簡便に判断する等の手法を用いてもよい。
また、メンテナンス作業後、製造プロセスを充分な回数を重ねた後は、それ以前のメンテナンス作業後のサンプリングデータは必ずしも用いなくてもよい。
Claims (9)
- 製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、
前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出する抽出部と、
抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算する演算部と
を備えたことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載された情報処理装置において、
前記時間的距離は、前記メンテナンス作業後に行われた複数の前記製造プロセスの順番を表すデータである
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1または2に記載された情報処理装置において、
前記演算部は、抽出された前記状態データに対して前記時間的距離に応じた重み付けをして前記指標を演算する
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記データ記憶部は、
前記時間的距離を前記メンテナンス作業および前記製造プロセスと関連付けて記憶する距離データ記憶部を有し、
前記抽出部は、
前記距離データ記憶部を参照して、特定種類の前記メンテナンス作業から前記所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出すること
を特徴とする情報処理装置。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記データ記憶部において前記コンテキストデータを含むコンテキストデータファイルと前記状態データを含む状態データファイルとを前記製造プロセスごとに一つのフォルダに格納する記憶制御部をさらに備える
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載された情報処理装置において、
前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて、前記指標の演算に用いるモデルを作成するモデル作成部をさらに備え、
前記演算部は、
前記抽出部によって抽出された前記状態データと前記モデルとに基づいて前記指標を演算する
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項6に記載された情報処理装置において、
直近のメンテナンス作業より過去のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データに基づいて作成された前記指標の演算に用いる第1のモデルと、前記直近のメンテナンス作業後に行われた前記製造プロセスの状態を表す状態データを用いて作成された前記指標の演算に用いる第2のモデルとを記憶するモデル記憶部と、
前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果とを比較して、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲内のときは、前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とし、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果と前記第2のモデルに基づく前記指標の演算結果との差が所定の範囲外のときは、前記第1のモデルに基づく前記指標の演算結果を前記製造装置の健常性に関する指標とする評価部と
をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。 - 製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータが、前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、
前記コンピュータが、抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップと
を備えたことを特徴とする情報処理方法。 - 製造装置および前記製造装置を用いた製造プロセスを特定するコンテキストデータと、前記製造プロセスの状態を表す状態データと、前記製造装置に対して行われたメンテナンス作業の履歴を示すメンテナンスデータとを記憶したデータ記憶部と、演算装置とを含むコンピュータに、
前記状態データのうち、前記メンテナンス作業から所定の時間的距離を有する前記製造プロセスの状態を表す状態データを抽出するステップと、
抽出された前記状態データを用いて前記製造装置の健常性に関する指標を演算するステップと
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
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