JP5955745B2 - 旋回流曝気槽 - Google Patents

旋回流曝気槽 Download PDF

Info

Publication number
JP5955745B2
JP5955745B2 JP2012240251A JP2012240251A JP5955745B2 JP 5955745 B2 JP5955745 B2 JP 5955745B2 JP 2012240251 A JP2012240251 A JP 2012240251A JP 2012240251 A JP2012240251 A JP 2012240251A JP 5955745 B2 JP5955745 B2 JP 5955745B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diffuser
panel
water
tank
air
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012240251A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014087763A (ja
Inventor
一栄 柴田
一栄 柴田
孝太朗 重松
孝太朗 重松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanki Engineering Co Ltd
Original Assignee
Sanki Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanki Engineering Co Ltd filed Critical Sanki Engineering Co Ltd
Priority to JP2012240251A priority Critical patent/JP5955745B2/ja
Publication of JP2014087763A publication Critical patent/JP2014087763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5955745B2 publication Critical patent/JP5955745B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Aeration Devices For Treatment Of Activated Polluted Sludge (AREA)

Description

本発明は、中央部に垂直方向に仕切壁を設けた好気性反応槽の一方側に散気装置を設置して成る旋回流曝気槽に関する。
下水、し尿、産業排水などの有機性汚水を好気性微生物により生物学的に処理して浄化する好気性生物処理においては、曝気槽内に、曝気槽内の被処理水中に気泡状の空気を吹き込んで曝気するための散気装置が設置されている。曝気槽へ供給する空気の送風に要する動力は、下水処理場で消費する電力の4割〜5割といわれており、下水処理場からのCO2排出量を削減するには送風動力の削減が必須である。
送風動力の削減方法の1つとして、近年導入が進んでいるのが超微細散気装置である。超微細散気装置の1つであるパネル型のメンブレン式散気装置は、反応タンクのエアレーションに使用する装置である(例えば、特許文献1参照)。
パネル型のメンブレン式散気装置の散気パネルは、平板状を為す金属製又は合成樹脂製のベースプレートの一面に散気膜を配置し、散気膜の四辺縁部とベースプレートの四辺縁部とをパッキンを介して金属製の枠体に固定している。散気膜は多数の小孔を有し、その材質は、ポリウレタン、シリコン、エチレンプロピレンゴムなどの適度の弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムから成る。
パネル型のメンブレン式散気装置は、発生する気泡の直径が、例えば、1mm程度の微細気泡(超微細気泡)を発生することができるので、従来の散気装置に比べ小さく、比表面積が大きくなるため、水中への酸素移動効率が高く、同じ酸素移動を水中へ行うための曝気を行うなら好気反応槽への送風量が少なくなり、電力削減と同時に温室効果ガスの排出量を抑制することが期待できる。
また、パネル型のメンブレン式散気装置は、水中に多数設置される散気パネル毎にレベル差があると、それぞれの散気パネルに掛かる水頭差が生じ、掛かる水圧の低い、つまりレベルが高い箇所に設置される散気パネルから偏って気泡が吹き出されることが考えられる。微小な水圧差でも気泡発生度合いが異なると考えられ、従来、好気反応槽中で散気装置の各散気膜は、水平に且つレベルを揃えて全膜面が発泡に寄与するように設置されている。
ところで、下水処理設備などで用いられる好気性処理槽として、散気装置から吹き出される水中への溶存酸素供給のための微細気泡が、水中を上昇することで生じる力であるエアリフト効果も有することを利用し、被処理水に旋回流を発生させて、被処理水に添加した微生物を沈澱させることなく被処理水中に分散させ、被処理水を生物処理するようにした旋回流曝気槽が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2には、中央部に垂直方向に仕切壁を設けた好気性反応槽において、仕切りで分離された一方側にのみ散気面を水平(水面に平行)として散気装置を設置した旋回流曝気槽が示されている。
従来のパネル型のメンブレン式散気装置を用いた旋回流曝気槽では、槽内にメンブレン膜の細長い散気装置を配置し、その曝気空気により溶存酸素を付加しながら、その空気泡上昇力により槽内処理水を同伴流動させて槽内循環を行うように構成されている。
また、有効散気面積を大きく、SS(suspended solids:浮遊物質)の堆積が生じにくく、槽内の水流循環の妨げになりにくくするために、多数の気泡噴出孔を備えた散気膜を、その散気膜が水面に対して垂直になるように配置した旋回流曝気槽が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3は、槽内で散気面を水面に対して垂直にすることによって、従来の水平設置型の散気装置に比べてSSの堆積が生じにくいうえ、水平投影面積が小さいので気泡の浮上力による槽内の水流循環を妨げにくいため、膜面近傍を通過する水流による洗浄効果も得ることができ、長期間使用しても通気抵抗の増加がないこと、このように垂直設置された散気膜は水圧の比較的小さい上半部からのみならず、比較的水圧の大きい下半部からも気泡を発生することを開示している。
特開2004−313938号公報 特開2002−35785号公報 特許第4268768号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に示す従来の旋回流曝気槽におけるパネル型のメンブレン式散気装置では、他の形式の散気装置より微細気泡となり酸素溶解効率は高まるものの、旋回流をエアリフト効果で与えることと必要酸素吹き込み量を確保するためには、水平設置する散気装置設置レベルでは設置密度が高くなって旋回流が流れる隙間が狭くなり、被処理水の循環力を与えながら酸素溶解効率を向上させるのは容易ではなかった。
また、従来の旋回流曝気槽におけるパネル型のメンブレン式散気装置では、発生する気泡の直径が小さくとも、旋回流を起こしつつ必要な酸素吹き込み量を確保するため、ブロワで送る全体空気量が多く、散気装置の上方の槽内で気泡同士が合体して直径が大きな気泡になってしまい、槽全体での気泡表面積が小さくなり酸素溶解効率が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献3では、槽内で水面に対して散気膜を垂直に設置するので、例えば、図29(1)〜(3)に示すように、散気膜の発泡面の無数の気孔a,b,cから発生する気泡は、散気膜の発泡面の上部側にある気孔aから発生する気泡よりもその下部側にある気孔bから発生する気泡の方が先に離脱、上昇する場合もある。そのため、図29(2)から図29(3)へ移行する過程で、散気膜の発泡面の上部側にある気孔aで成長途中の気泡Xに散気膜の発泡面の下部側にある気孔bから発生する気泡Yが接触して合体し、図29(3)の上部に示すように、図29(2)に示す離脱した気泡Yの径に比し大きな径となった気泡Zになるという問題が生じる。つまり、特許文献1の問題点であった、多量の全体空気吹き込み量の場合に散気装置の上方の槽内で気泡同士が合体して直径が大きな気泡になる事柄と似た現象を引き起こしている。
さらに、特許文献3は、高価な散気膜をパネル両面に張っているにもかかわらず、槽内に吹き出される気泡は、平面視で散気膜の膨らみ分である小さな平面積を立ち上ることとなり、槽内に気泡が均一に分散されにくい方式である。折角の大きな散気膜面で微細気泡を生じても有効に利用されず、大きな気泡に合体され、且つ分散が不良で旋回流の発生力も偏りが生じやすいので、槽内に滞留域が生じやすく、且つ気液接触も不良な部分が生じやすい方式である。当然、槽全体での良好な酸素溶解効率を望めないやり方である。
このように、特許文献3では、槽内で水面に対して散気膜を垂直に設置するため、気泡の径が大きくなりやすく、酸素溶解効率が悪くなるという課題がある。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、散気膜で発生する微細気泡を、槽内での気泡同士の合体を抑制し、且つ旋回流を生じさせながら、槽内全体の酸素溶解効率の向上が達成可能な旋回流曝気槽を提供することにある。
請求項1に係る発明は、被処理水を保持する水槽と、前記水槽の中央部に水槽下部は仕切らずに垂直方向に水没して設置される導流壁と、前記導流壁によって分けられる前記水槽内の一方の側の前記導流壁があるレベルに設置され、前記水槽内に空気を散出するパネル型のメンブレン式散気装置とを備え、前記パネル型のメンブレン式散気装置は、前記水槽内の一方の側の所定の同一水平レベルに、散気パネルの長さ方向を前記導流壁の水平幅方向と同方向に延長して複数の散気パネルを等間隔に配置すると共に、前記複数の散気パネルの前記導流壁側の端部側を前記水槽の水平方向から持ち上げ傾けて設置して成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の旋回流曝気槽において、前記複数の散気パネルの設置角度は、15度〜60度であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の旋回流曝気槽において、前記複数の散気パネルの設置角度は、30度であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の旋回流曝気槽において、前記散気パネル1枚の幅は、0.1m〜0.3mであることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の旋回流曝気槽において、前記散気パネル1枚の幅は、0.15mであることを特徴とする。
本発明によれば、パネル型のメンブレン式散気装置を構成する複数の散気パネルの導流壁側の端部側を、水槽の水平方向から持ち上げ傾けて設置することによって、各散気パネルの気孔から発生する気泡の合体を抑制し、酸素溶解効率を向上させることが可能となった。
また、本発明によれば、各散気パネルの気孔から発生する気泡の槽内分散が良好で旋回流の発生力も偏りが生じず、槽内に滞留域が生じず気液接触の不良な部位が生じにくい装置を提供できる。
また、本発明によれば、酸素溶解効率の向上に伴い、送風量が削減されて溶存酸素供給に必要な電力の削減が可能となった。
本発明の一実施形態に係る旋回流曝気槽を示す説明図である。 図1に示す旋回流曝気槽内に配置するパネル型のメンブレン式散気装置の散気パネルの設置角度を示す説明図である。 流体シミュレーションによる検証のための深槽曝気槽の形状、寸法を示す図である。 図3に示す10枚の散気パネルの設置角度を水平(0度)から15度ずつ60度まで変化させたときのΚLa(20)を示すグラフである。 散気パネルを水平設置時の気泡径分布を示す分析図である。 散気パネルを15度設置時の気泡径分布を示す分析図である。 散気パネルを30度設置時の気泡径分布を示す分析図である。 散気パネルを45度設置時の気泡径分布を示す分析図である。 散気パネルを60度設置時の気泡径分布を示す分析図である。 水槽形状の影響検証のための深槽曝気槽の形状、寸法を示す図である。 散気パネルを水平設置時の気泡状態を示す図である。 散気パネルを30度設置時の気泡状態を示す図である。 散気パネルを60度設置時の気泡状態を示す図である。 深槽曝気槽内の平均気泡径が変化した要因を調査するために、散気パネルの気孔から空気が噴出して、球形になり、気泡として離脱するまでの過程(1)〜(5)を、高速度ビデオカメラで撮影した結果を示す図である。 発泡面に平行な水流を与えると、(1)〜(4)に示す過程によって気泡が発生することを高速度ビデオカメラで撮影した結果を示す図である。 通気流量5.0mL/min時のせん断流速と気泡径との関係を示すグラフである。 散気パネルを水平設置した場合のせん断流を示す図である。 散気パネルを15度傾斜設置した場合のせん断流を示す図である。 散気パネルを30度傾斜設置した場合のせん断流を示す図である。 散気パネルを45度傾斜設置した場合のせん断流を示す図である。 散気パネルを60度傾斜設置した場合のせん断流を示す図である。 通気流量5.0mL/min時のせん断流速と気泡離脱角度との関係を示すグラフである。 実験に用いた水槽を示す図である。 図23の実験に使用した水槽の形状を示す図である。 図23の実験における旋回流エアレーション方式の概念図である。 図23の実験におけるDO(溶存酸素濃度)測定場所を示す図である。 シミュレーションにおける曝気槽の形状、寸法を示す図である。 散気パネルを30度の傾斜で設置した場合について、シミュレーンによって算出したΚLa(20)と実測によるΚLa(20)とを示す図である。 散気膜の発泡面を水面に対して垂直に設置した場合に気泡の合体が生じる原理を説明する図である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る旋回流曝気槽1を示す。
本実施形態に係る旋回流曝気槽1は、水槽2内のほぼ中央部に垂直方向に導流壁3が設置され、水槽2内を二分している。導流壁3は、上端部3aが水槽2の水面位置Lよりも下方になるように配置され、下端部3bは水槽2の底面2cに達しておらず、仕切られた二つの区分7,8は上下でそれぞれ連通している。
水槽2の一方の壁面2aと導流壁3との間の区分7にパネル型のメンブレン式散気装置4が設置されている。
本実施形態では、パネル型のメンブレン式散気装置4は、例えば、10枚の散気パネル5を水平方向に等間隔に配置することによって構成されている。各散気パネル5の寸法は、例えば、幅0.15m×長さ2mである。この散気パネル5の寸法のうち、幅寸法については、傾けた場合の均一発泡を担保するためにはあまり大きくすることは好ましくなく、0.5m以下であるべきで、散気パネル5の強度や散気膜の膨らみ自由度などから実用的な幅寸法は0.1m〜0.3m程度が好ましい。散気パネル5の長さ寸法は、旋回流曝気槽1の旋回流の駆動や水槽2内の均一な気泡拡散などの面から、旋回流曝気槽1の図1紙面奥行き長さに略同じ長さ寸法が望ましい。水槽2の形状によっては旋回流曝気槽1の奥行きよりも短い場合もある。
実際の下水処理場などでは、この長さは数十m乃至60m〜70mなど長きに亘ることが常であり、曝気槽長さを、パネル型のメンブレン式散気装置4の10m以下の最大長さで分割し、長さ方向へほぼ均一な気泡拡散を行うこととなる。
各散気パネル5の散気膜は、例えば、特殊ポリウレタン膜を使用し、発生する気泡の直径が1mm程度としてある。
パネル型のメンブレン式散気装置4の各散気パネル5は、平板状を為す金属製又は合成樹脂製のベースプレートの一面に散気膜を配置し、散気膜の四辺縁部とベースプレートの四辺縁部とをパッキンを介して金属製の枠体に固定している。散気膜は多数の小孔を有し、その材質は、ポリウレタン、シリコン、エチレンプロピレンゴムなどの適度の弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムから成る。従って、各散気パネル5の散気面は、片面である。そして、各散気パネル5は、散気面を水面側に向けて設置される。
また、各散気パネル5は、図2に示すように、各散気パネル5の一方の壁面2a側の端部5a側を固定した状態で各散気パネル5の導流壁3側の端部5b側を水槽2の水平面に対して設置角度αが15度〜60度となるように持ち上げ傾け移動(回転)して設置されている。
なお、各散気パネル5は、送気管6に接続され、送気管6には系外に設置した圧縮空気供給装置が接続されている。なお、図1では、1つの散気パネル5に送気管6を接続して示したが、残りの散気パネル5にも同様に送気管6が接続されている。
本実施形態によれば、図示しない圧縮空気供給装置から送気管6を介して圧縮空気が各散気パネル5に供給されると、各散気パネル5の散気膜の無数の気孔から超微細気泡となって被処理水中に散気され、気泡として浮上させられる。
この際、図1に示すように、パネル型のメンブレン式散気装置4の各散気パネル5の無数の気孔から吹き出される微細気泡のエアリフト効果により、区分7から区分8へ被処理水に旋回流を発生させて、微生物を被処理水中に分散させ、被処理水を生物処理する。
なお、本発明において、旋回流曝気槽1の水槽2としては、水深4m〜15m、パネル型のメンブレン式散気装置4の水深は3m〜7mが望ましい。
本実施形態では、各散気パネル5は、図2に示すように、各散気パネル5の一方の壁面2a側の端部5a側を固定した状態で各散気パネル5の導流壁3側の端部5b側を水槽2の水平面に対して設置角度αが15度〜60度となるように持ち上げ傾け移動(回転)して設置されているので、導流壁3の下端部3bを潜り区分7で広がった後、導流壁3の上端部3aを乗り越える旋回流の大きな流れに対して、各散気パネル5の間に大きな隙間を提供するので、旋回流の流れが各散気パネル5に沿って少ない抵抗で移動することができる。
そして、後述する流体シミュレーション及び実機による実験結果から明らかなように、パネル型のメンブレン式散気装置4の散気パネル5を水槽2の水平面に対して設置角度αが15度〜60度で設置してあり、散気面に沿った水流により膜面近傍に一時的に滞留する発生気泡をうまく流すので、各散気パネル5の無数の気孔から発生する気泡の合体が抑制される。
また、パネル型のメンブレン式散気装置4の上方水面下までの領域に微細気泡が満たされれば満たされるほど、気液接触機会が増加し酸素溶解効率も向上するのは、気泡が旋回流に乗って下方へ回るのが少ないことから理解しやすいのだが、このパネル型のメンブレン式散気装置4の上方水面下までの領域の気泡径が微細であることも流体シミュレーションの結果でも明らかで、旋回流曝気槽1全体の総括物質移動容量係数を向上させることができる。
その結果、パネル型のメンブレン式散気装置4の散気パネル5を水槽2の水平面に対しする設置角度α=0度と比較して、水槽2内の流動状態が最適化され、水槽2内の平均気泡径が小さくなり、酸素溶解効率が向上した。
また、酸素溶解効率の向上に伴い、送風量が削減されて溶存酸素供給に必要な電力の削減が可能となった。
なお、パネル型のメンブレン式散気装置4の散気パネル5を水槽2の水平面に対する設置角度αが90度になると、図29で説明したように、例えば、図29(1)〜(3)に示すように、散気膜の発泡面の無数の気孔a,b,cから発生する気泡は、散気膜の発泡面の上部側にある気孔aから発生する気泡よりもその下部側にある気孔bから発生する気泡の方が先に離脱、上昇する場合もある。そのため、図29(2)から図29(3)へ移行する過程で、散気膜の発泡面の上部側にある気孔aで成長途中の気泡Xに散気膜の発泡面の下部側にある気孔bから発生する気泡Yが接触して合体し、図29(3)の上部に示すように、図29(2)に示す離脱した気泡Yの径に比し大きな径となった気泡Zになる。
このように、パネル型のメンブレン式散気装置4の散気パネル5を水槽2の水平面に対して設置角度αを90度にすると、気泡の径が大きくなり易く、酸素溶解効率が悪くなる。
次に、本発明に係る旋回流曝気槽の各散気パネルの傾斜設置の効果を流体シミュレーションによる計算結果によって検証する。
(A)シミュレーション条件
(a)解析形状
図3は、流体シミュレーションによる検証のための深槽曝気槽10の形状、寸法を示す。
図3において、深槽曝気槽10を構成する水槽11は、幅10.0m、水深12.0mである。水槽11内にはほぼ中央部に垂直方向に導流壁12が設置され、水槽11内を二分している。
導流壁12は、上端部12aが水槽11の水面位置Lよりも下方に成るように配置され、下端部12bは水槽11の底面11cに達しておらず、仕切られた二つの区分15,16は上下でそれぞれ連通している。
水槽11の図3紙面奥行き方向の長さは、単位長さとして1.0mに設定されている。
水槽11の一方の壁面11aと導流壁12との間の区分15にパネル型のメンブレン式散気装置13が水深5.5mの位置(散気水深)に散気面を水面側にして設置されている。
ここで、パネル型のメンブレン式散気装置13は、10枚の散気パネル14を水平方向に等間隔に配置することによって構成されている。各散気パネル14の寸法は、幅0.15m×長さ1mである。
また、散気パネル14の設置角度αは、図2に示す散気パネル5と同様に、各散気パネル14の一方の壁面11a側の端部側を固定した状態で各散気パネル14の導流壁12側の端部側を水槽11の水平面に対して設置角度αが0度、15度、45度、60度となるように持ち上げ傾け移動(回転)して設置されている。
なお、各散気パネル14は、図示しない送気管に接続され、送気管には系外に設置した圧縮空気供給装置が接続されている。
(b)解析条件(初期条件)
解析モデル:2次元、倍精度、非定常解析
混相流モデル:Euler-Eulerモデル
乱流モデル:Standard Κ-ε乱流モデル(水相のみ)、標準壁関数
流体:空気、水
気泡径:気泡の合体・分裂を考慮して0.63mm〜6.3mmの範囲で分布と仮定
気泡抵抗則:気泡径と形状を考慮したIshii-Zuberモデルを適用
メッシュサイズ:50mm角(水面付近とパネル近傍はより精細)
タイムステップ:0.002秒
入口条件(Velocity-inlet)
風量:40Nm3/m2・hr×1/3600×10m/(10m+5.5m)
=0.00717m/sec
気泡体積分率:1.0(100%)
気泡径:1.0mm
出口条件(Pressure-outlet)
圧力:大気圧
逆流時の空気体積分率:1.0(100%)
気泡径:6.3mm
壁面条件:水→非すべり壁、空気→すべり壁
収束判定:水槽の底部から0.1m高さ部分での流速の時間変化及びΚLa(20)の 時間変化がなくなり、ほぼ一定値となったとき。
なお、Ishii-Zuberモデルは、Ishii,M., Zuber,N."Drag Coefficient and Relative Velocity in Bubbly, Droplet or Particulate Flows"AIChE J.,25,843-855(1979)の記載に基づく。
(c)総括物質移動容量係数(ΚLa(20))算出式
数式(1)〜数式(3)において、
ΚLa:総括物質移動容量係数(1/sec)
ΚL:総括物質移動係数(m/sec)
a:単位体積当たり気泡表面積(m2/m3
κ:補正係数(−)
εL:水の乱流エネルギー拡散率(m2/sec3
ρL:水の密度(kg/m3
μL:水の粘度(Pa・sec)
π:円周率(−)
B:気泡径(m)
φ:気泡の体積分率(−)
ここで、κ=1.24(実験値)、DL 02=2.0×10-92/sec(文献値)とした。
それぞれの計算格子ごとにΚLaを算出して、水槽全体について計算格子の体積加重平均したΚLaを水槽全体のΚLaとした。
なお、ΚLa算出式に使用した物性値は、20℃での値としたので、ここで算出したΚLaがΚLa(20)となる。
ΚLaの算出式は、Lamont,J.C., Scott,D.S."An Eddy Cell Model of Mass Transfer into the Surface of a Turbulent Liquid" AIChE J.,16,513-519(1970)の記載に基づく。
(B)パネル設置角度の影響
図3に示す10枚の散気パネル14の設置角度αを水平(0度)から15度ずつ60度まで変化させたときのΚLa(20)を表1、図4に示す。
表1、図4から明らかなように、10枚の散気パネル14の設置角度αが30度のときにΚLa(20)が最も高くなっている。
表1は、散気パネル14の設置角度とΚLa(20)との関係を示す。
図4は、散気パネル14の設置角度とΚLa(20)及び平均気泡径との関係を示すグラフである。
総括物質移動容量係数KLa(20)は、移動速度と類似の総括物質移動係数に、単位体積当たりの気液接触面積を乗じた値でさらに水槽全体について体積加重平均した、つまり水槽を代表する単位体積での物質移動度合いを表す値である。よって、酸素溶解効率と比例関係になっているべきもので、この値が大きいということは、酸素溶解効率が良いということに読み替え可能である。
水槽11内の平均気泡径を算出すると、散気パネル14の設置角度αが30度、45度のときに最も小さくなっていることがわかった。
数式(1)で示されるKLa(20)=KL(20)・aのうち、a:単位体積当たり気泡表面積と比例関係であることが自明の平均気泡径と、KLa(20)が、図4を見て判るとおり、反比例的関係にあり、つまり、設置角度αで変化する平均気泡径で大きくKLaが変化し、他のKLaを変化させる要因は、設置角度の変化ではほとんど寄与していないことがわかる。
そこで、図3の水槽11内に設けた区分15の上部の気泡径分布を確認するために、図3に示す10枚の散気パネル14の設置角度αを水平(0度)から15度ずつ60度まで変化させた。その結果を図5〜図9に示す。
図5は、散気パネル14を水平設置時の気泡径分布を示す。
図6は、散気パネル14を15度設置時の気泡径分布を示す。
図7は、散気パネル14を30度設置時の気泡径分布を示す。
図8は、散気パネル14を45度設置時の気泡径分布を示す。
図9は、散気パネル14を60度設置時の気泡径分布を示す。
図5〜図9から明らかなように、散気パネル14の設置角度αによって気泡径の分布に差異が認められた。
そして、水槽11内の平均気泡径は、上述の算出結果と同様に、散気パネル14の設置角度αが30度、45度の場合が最も小さくなっているのは表1に示されているが、図5〜図9からもその小さい気泡径の分布とその面積により明白にわかる。
散気パネル14の設置角度αが0度、つまり水平設置の場合、散気パネル14の上方の水面下領域で、散気装置の気孔部分で径1mmで発生された発生気泡が、水面までの中間レベル領域で気泡径3.8mm部分が大部分となり、水面近くでは大部分が気泡径4.5mmにまで会合して大きくなっているところ、散気パネル14の設置角度αが30度では、水面近くでも気泡径3.8mmの領域が迫っていること、散気パネル14の水面までの領域において、明らかに気泡径3.5mm以下の領域が明白に大きいことがわかる。
(C)水槽形状の影響
以上から、散気パネル14を斜めに設置することで、水槽11内の平均気泡径が小さくなり、ΚLa(20)が向上する効果が得られることを確認した。
次に、この効果が他の水槽形状でも得られるか否かについて確認した。
(a)水槽形状
図10は、水槽形状の影響検証の流体シミュレーションにおける曝気槽20の形状、寸法を示す。比較的浅い曝気槽20を構成する水槽21は、幅8.75m、水深6.97mである。図10紙面奥行き方向の槽長さは、単位長さの1mとする。水槽21内にはほぼ中央に導流壁22を設置した。導流壁22の上部には梁23を設けた。水深3.72mの位置(散気水深)で導流壁22の一方側と水槽21の一側壁21aとの間の区分27に5枚の散気パネル25を設置すると共に、導流壁22の他方側と水槽21の他側壁21bとの間の区分28に1枚の散気パネル26を設置することで、散気装置24を構成した。
ここで、各散気パネル25,26の寸法は、幅0.15m×長さ1mである。
また、散気パネル25,26の設置角度αは、水平面に対して0度、15度、45度、60度とした。
なお、各散気パネル25,26は、図示しない送気管に接続され、送気管には系外に設置した圧縮空気供給装置が接続されている。
(b)解析結果
シミュレーション結果を表2に示す。
比較的浅い曝気槽20でも深槽曝気槽10と同様に散気パネル25,26の設置角度αが30度のときKLa(20)が最も高くなり、平均気泡径が最も小さくなっている。
このことから、旋回流曝気槽20において、散気パネル25,26の設置角度αを30度や45度のような斜めに傾けて設置することで、KLa(20)が水平設置より向上する効果は、水槽形状の多少の変化に関係なく得られると考えられる。
(c)散気パネルを斜めに設置した場合の発泡状況
散気パネル14,25,26を斜めにすると、水圧の影響によって水深の深い部分からの発泡が減少して、水深の浅い部分からの発泡が多くなると予測された。
しかし、図11〜図13に示すように、実際には散気パネル14,25,26の設置角度αが30度の場合も、60度の場合も、水平に設置した場合と同様に、散気パネル14,25,26の全面から発泡していることがわかった。
図11は、散気パネル14,25,26を水平設置時の気泡状態を示す。
図12は、散気パネル14,25,26を30度設置時の気泡状態を示す。
図13は、散気パネル14,25,26を60度設置時の気泡状態を示す。
なお、図11〜図13の撮影時の風量はいずれも25Nm3/m2/hrで、使用したパネルは幅0.15m、長さ2.0mの同一パネルである。30度の傾斜設置時には、水深の浅い発泡部分と深い発泡部分の水深差は約50mmであり、60度の傾斜設置時には約120mmの水深差となっている。
(D)考察
(a)ΚLa(20)が向上した理由
散気装置13の散気パネル14を斜めに設置することでΚLa(20)が大きくなる要因を調査するために、表面更新説に基づくΚLa(20)算出式を使って、各種パラメータを抽出した。その結果を表3に示す。
表3は、深槽曝気槽10におけるΚLa(20)と各種パラメータの散気パネル14の設置角度αとによる変化を示す。
その結果、総括酸素移動係数ΚLは散気パネル14の設置角度αによらずほぼ一定であるのに対して、比表面積aは大きく変化している。さらに、比表面積aの変化は気泡の平均径の変化が大きく影響していることがわかった。
(b)気泡の発生過程
深槽曝気槽10内の平均気泡径が変化した要因を調査するために、散気パネル14の気孔から空気が噴出して、球形になり、気泡として離脱するまでの過程を、高速度ビデオカメラで撮影した。その結果を、図14に示す。
図14は、水平に設置した散気パネル14から発生する気泡を示す。
図14(1)〜(5)に示すように、水平に設置した散気パネル14から発生する気泡は、以下のような過程を経ていることがわかった。
(1)気孔から押し出された空気が、表面張力によって球形を形成する。
(2)球形になった空気が離脱して気泡となる。また、気孔から押し出された空気が山を形成する。
(3)気孔部分にできた空気の山が成長して、先にできた気泡に接近する。
(4)空気の山と先にできた気泡が接触する。(2)〜(4)を繰り返し、気泡は大きくなる。
(5)先にできた気泡と接触しなくなった空気の山が、球形を形成する。
なお、気孔からの通気速度が小さい場合は、離脱した気泡に空気の山が接触することはない。
また、発泡面に平行な水流を与えると、図15(1)〜(4)に示す過程によって気泡が発生することを高速度ビデオカメラでの撮影によって確認した。
(1)気孔から押し出された空気が、表面張力によって球形を形成する。
(2)球形になった空気が離脱して気泡となる。また、気孔から押し出された空気が山を形成する。
(3)気孔部分にできた空気の山が成長して、先にできた気泡に接近(ただし、気泡は横に移動)する。
(4)先にできた気泡が水流によって押し流されるため、空気の山と接触せずに上昇する。
このとき、図15に示す水流がある場合は、図14に示す水流がない場合とを比べると、図16に示すように、気泡径は6割〜8割に縮小しており、流速が大きいほど気泡径が小さくなる傾向にあった。
図16は、通気流量5.0mL/min時のせん断流速と気泡径との関係を示すグラフで、発泡面と平行の水流と気泡気泡径(単一気孔)との関係を示す。
シミュレーション結果において、深層曝気槽10内の流速分布(水)のうち散気パネル14に平行な角度の速度成分のみを抽出した。その結果を図17〜図21に示す。
図17〜図21に示すように、平均気泡径が最も小さくなった30度傾斜時の水流が、最も高くなっていることが確認できる。
図17は、散気パネル14を水平設置した場合のせん断流を示す。
図18は、散気パネル14を15度傾斜設置した場合のせん断流を示す。
図19は、散気パネル14を30度傾斜設置した場合のせん断流を示す。
図20は、散気パネル14を45度傾斜設置した場合のせん断流を示す。
図21は、散気パネル14を60度傾斜設置した場合のせん断流を示す。
発泡面に平行な水流の速度が高いほうが、気泡径は小さくなることがシミュレーション及び実験で確認できた。
しかし、速度が大きいほど気泡離脱時の進行方向が水流と平行に近づく。図22は、流速5mL/min時のせん断流速と気泡離脱角度との関係を示すグラフで、発泡面と平行な水流と気泡離脱角度(単一気孔)との関係を示す。
このため、先行する気泡や隣接した気孔から発生した気泡とが合体して、気泡径は大きくなる。
散気装置13を垂直及び垂直に近い角度で設置した場合も同様に、散気装置13の表面付近での気泡の合体によって気泡径が大きくなる。また、円筒形の散気装置においても同様の現象が発生すると予測される。
(E)シミュレーション結果の妥当性検証
(a)酸素溶解効率の測定
(i)実験装置
本実験では、「標準槽」と呼ばれる水深5m、幅5m、長さ5mの水槽30を用いて、旋回流エアレーション方式によって酸素を水中へ供給した。
図23は、実験に使用した水槽30の形状を示す。
図24は、水槽30内に旋回流エアレーションのパネルとして6枚の散気パネル32が配置されている。6枚の散気パネル32が散気装置31を構成する。
図25は、旋回流エアレーション方式の概念図を示す。
(ii)測定条件
酸素溶解効率測定条件を表4に示す。
表4における非定常法による酸素溶解効率の測定方法について説明する。
1.測定要領
清水における酸素溶解効率は、非定常法(日本上下水道協会発行:下水試験方法上巻P276)により求めた総括酸素移動容量係数(ΚLa)より算出する。
1.1 実測での酸素溶解効率の測定方法
(1)所定の条件となるように散気パネルを設置する。
(2)試験槽が所定の水深となるよう清水を張る。
(3)校正を行ったDO(溶存酸素濃度)計を水槽内に設置する。
(4)水槽内の溶存酸素濃度をN2ガスにより0mg/L付近に低下させる。
(5)所定風量にて曝気を開始し、溶存酸素の経時変化を連続記録する。同時に水温、曝気空気温度、圧力も記録する。
(6)溶存酸素がほぼ飽和に達したら測定を終了する。
(7)得られたΚLaより酸素溶解効率を算出する。
1.2 実測による総括酸素移動容量係数(ΚLa)及び酸素溶解効率の算出方法
(a)実測でのΚLaの算出
酸素の水への溶解速度は、次数式(4)で表される。
数式(4)において、
ΚLa:総括酸素移動容量係数(1/hr)
S :液相の飽和溶存酸素濃度(mg/L)
C :液相の溶存酸素濃度(mg/L)
数式(4)を積分すると、数式5となる。
数式(5)において、
1 :t1時間後の液相の溶存酸素濃度(mg/L)
2 :t2時間後の液相の溶存酸素濃度(mg/L)
曝気開始後の各時間における(CS−C)と時間tとの関係を片対数グラフに図示すると直線が得られ、この直線の傾きがΚLaとなる。
清水の基準状態(20℃、DO=0mg/L)における酸素溶解効率(Ea)は、以下の数式(6)を用いて算出する。
数式(6)において、
ΚLa(20): 水温20℃における総括酸素移動容量係数(1/hr)
S(20) : 水温20℃における液相の飽和溶存酸素濃度(mg/L)
V : 試験槽の容積(m3
S : 送風量(Nm3/hr)
ρ : 空気密度(=1.293kg/Nm3
W : 空気中の酸素含有重量(=0.232kgO2/kg空気)
ΚLa(20)及びCS(20)は、以下の数式(7)より求める。
数式(7)において、
T:ΚLa測定時の水温(℃)
S(20)は、下記に示すO1dshueの式(数式(8))より算出する。
数式(8)において、
H:散気水深(m)
sa(20):大気圧下、20℃における飽和溶存酸素濃度=8.84mg/L
送風量(GS)は、流量計読み値より、数式(9)で求めた実風量を用いる。
数式(9)において、
S':風量計指示値
1 :圧力計指示値
1 :温度計指示値
1.3 DO測定場所
DO(溶存酸素濃度)の測定は4点で行い。4点での測定結果の平均値を最終結果とした。測定場所を図26に示す。
酸素溶解効率は数式(6)において、ΚLa(20)より算出されるが、水槽容量、送風量などの運転条件と空気密度や空気中の酸素濃度などの物性値が、実験中にほとんど変わらないと考えられるので、以下においては酸素溶解効率の評価は、ΚLa(20)で行なうものとする。
(b)測定結果
標準槽旋回流エアレーション時の散気パネル31の単位面積当たりの散気風量をパラメータとしてΚLa(20)を測定した測定結果を表5に示す。
これまで述べてきたシミュレーション結果で良好であった30度傾斜して曝気した場合のデータを実際に測定した結果である。
(c)シミュレーション
散気パネルの傾斜設置の状況を数値流体シミュレーションで解析した。
(1)シミュレーション条件
(i)解析形状
図27は、曝気槽の形状、寸法を示す。曝気槽を構成する水槽40内には散気装置41が配置されている。散気装置41は、6枚の散気パネル42を水平配置したとして0.4m間隔で配置し、図27の紙面で右上がりに30度持ち上げて傾けて配置することによって構成されている。
水槽:5m×5m
水深:5.0m
散気水深:4.0m
散気装置:0.15m×1m
6枚
設置幅:60%
上部空間高さ:0.6m
(ii)解析条件(初期条件)
解析モデル:2次元、倍精度、非定常解析
混相流モデル:Euler-Eulerモデル
乱流モデル:Standard Κ-ε乱流モデル(水相のみ)、標準壁関数
流体:空気、水
気泡径:気泡の合体・分裂を考慮して0.63mm〜6.3mmの範囲で分布と仮定
気泡抵抗則:気泡径と形状を考慮したIshii-Zuberモデルを適用
メッシュサイズ:50mm角(水面付近とパネル近傍はより精細)
タイムステップ:0.002秒
入口条件(Velocity-inlet)
風量:0.0048m/sec〜00123m/sec
気泡体積分率:1.0(100%)
気泡径:1.0mm
出口条件(Pressure-outlet)
圧力:大気圧
逆流時の空気体積分率:1.0(100%)
気泡径:6.3mm
壁面条件:水→非すべり壁、空気→すべり壁
収束判定:水槽の底部から0.1m高さ部分での流速の時間変化及びΚLa(20)の 時間変化がなくなり、ほぼ一定値となったとき。
(d)シミュレーション結果と実測結果の比較
散気パネルを30度の傾斜で設置した場合に、シミュレーションによって算出したΚLa(20)について、散気パネル31の単位面積当たりの散気風量をパラメータとして振った算出結果を表5の下段に示す。
また、シミュレーションによって算出したΚLa(20)の値を縦軸に、実測によるΚLa(20)の値を横軸に、散気風量をパラメータとして振った計算結果の3点をプロットした図が図28である。
図28に示すように、実測値とシミュレーションによる算出結果とが良く一致している。この結果から、シミュレーション結果の妥当性は十分に確保できていると考える。
以上のように、本発明は、水平で同レベル設置が常識であったパネル型のメンブレン式散気装置を、15度〜60度傾けて設置することで、散気の不具合が発生せずに、旋回流曝気槽内の空気と水の接触度合いが向上することを、実機及びシミュレーションで解析できた。
なお、上記説明では、パネル型のメンブレン式散気装置は、水槽の水平方向に複数の散気パネルを配置すると共に、複数の散気パネルの導流壁側の端部側を水槽の水平方向に対して傾けて設置した場合について説明した。
しかし、複数の散気パネルの導流壁側とは反対側の端部側を水槽の水平方向に対して傾けて設置した場合には、各散気パネルが水流の流れに合わせることができず、散気の不具合が発生し、旋回流曝気槽内の空気と水の接触度合いが低下することが確認された。
1 旋回流曝気槽
2,11,21 水槽
3,12,22 導流壁
4,13,24 パネル型のメンブレン式散気装置
5,14,25,26 散気パネル
6 送気管
7,8,15,16,27,28 区分
10,20 深槽曝気槽

Claims (5)

  1. 被処理水を保持する水槽と、
    前記水槽の中央部に水槽下部は仕切らずに垂直方向に水没して設置される導流壁と、
    前記導流壁によって分けられる前記水槽内の一方の側の前記導流壁があるレベルに設置され、前記水槽内に空気を散出するパネル型のメンブレン式散気装置と
    を備え、
    前記パネル型のメンブレン式散気装置は、
    前記水槽内の一方の側の所定の同一水平レベルに、散気パネルの長さ方向を前記導流壁の水平幅方向と同方向に延長して複数の散気パネルを等間隔に配置すると共に、前記複数の散気パネルの前記導流壁側の端部側を前記水槽の水平方向から持ち上げ傾けて設置して成る
    ことを特徴とする旋回流曝気槽。
  2. 請求項1に記載の旋回流曝気槽において、
    前記複数の散気パネルの設置角度は、15度〜60度である
    ことを特徴とする旋回流曝気槽。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の旋回流曝気槽において、
    前記複数の散気パネルの設置角度は、30度である
    ことを特徴とする旋回流曝気槽。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の旋回流曝気槽において、
    前記散気パネル1枚の幅は、0.1m〜0.3mである
    ことを特徴とする旋回流曝気槽。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の旋回流曝気槽において、
    前記散気パネル1枚の幅は、0.15mである
    ことを特徴とする旋回流曝気槽。
JP2012240251A 2012-10-31 2012-10-31 旋回流曝気槽 Active JP5955745B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012240251A JP5955745B2 (ja) 2012-10-31 2012-10-31 旋回流曝気槽

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012240251A JP5955745B2 (ja) 2012-10-31 2012-10-31 旋回流曝気槽

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014087763A JP2014087763A (ja) 2014-05-15
JP5955745B2 true JP5955745B2 (ja) 2016-07-20

Family

ID=50790172

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012240251A Active JP5955745B2 (ja) 2012-10-31 2012-10-31 旋回流曝気槽

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5955745B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7259399B2 (ja) * 2019-02-26 2023-04-18 住友金属鉱山株式会社 気液界面積の算出方法及びガス吹込み口の位置設計方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01148397A (ja) * 1987-12-04 1989-06-09 Ngk Insulators Ltd 散気装置の目詰り防止方法
JP2740062B2 (ja) * 1991-09-21 1998-04-15 株式会社クボタ 浄化槽
JP2649320B2 (ja) * 1994-02-04 1997-09-03 麒麟麦酒株式会社 浄化槽の散気装置
JP2002282887A (ja) * 2001-03-28 2002-10-02 Sumitomo Heavy Ind Ltd 曝気槽
JP3900997B2 (ja) * 2002-04-09 2007-04-04 株式会社日立プラントテクノロジー 旋回流曝気装置
JP4383542B2 (ja) * 2003-05-07 2009-12-16 三重県 浄水用ブロックとその製造方法および該浄水用ブロックを用いた浄水装置
JP2007237006A (ja) * 2006-03-03 2007-09-20 Ebara Corp 気泡散気装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014087763A (ja) 2014-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2136897B1 (en) Systems and methods for liquid separation
WO2014065268A1 (ja) 散気装置とその運転方法、及び水処理装置
JP2006218371A (ja) 排水処理装置および方法
RU2004126245A (ru) Установка для флотационной очистки воды
Karn et al. Mass transfer studies across ventilated hydrofoils: A step towards hydroturbine aeration
JP5955745B2 (ja) 旋回流曝気槽
CN101142006B (zh) 用于将工业用水引入排水渠中的自流槽
Capela et al. Transfer number in fine bubble diffused aeration systems
KR101163971B1 (ko) 수질 개선용 미세기포 발생장치
TWI567028B (zh) 在一廢水處理槽中產生液流的裝置與方法
JP6929749B2 (ja) 酸素供給システム、水処理システム及び酸素供給方法
JP4979716B2 (ja) 閉鎖水域の貧酸素改善装置
JP2010264449A (ja) 浮上分離装置
CN205653229U (zh) 一种曝气生物滤池装置
Zoheidi et al. Experimental investigation of the protein foam flow structure in horizontal channels: Flow regime and corresponding bubble size distribution
JP2002035785A (ja) 旋回流式曝気装置
JP6845064B2 (ja) 水処理システム及び水処理システムの改良方法
CN206671320U (zh) 一种水环境监测装置
JP2008049236A (ja) 加圧浮上分離装置
JP2013144272A (ja) 液膜式酸素供給装置
US10258904B2 (en) System and method for removing sulfur from hydrocarbon fluids
Ardalan et al. Double diffusive effect on geometrical characteristics of inclined thermal-saline negatively buoyant jets
Hamad et al. Performance evaluation of spray aeration in a pilot scale model
CN115854737B (zh) 一种水浴换热器溢水板冗余临界高度确定方法
US20240269632A1 (en) Apparatus and methods for treating a fluid mixture

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5955745

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250