以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、車両Vのフードパネル10の後端10c近傍に配置される歩行者保護用のエアバッグ装置Mを、例に採り説明をする。なお、本明細書では、特に断らない限り、前後、上下、及び、左右の方向は、それぞれ、車両Vの前後、上下、及び、左右の方向と一致させて説明する。
実施形態の場合、車両Vのフロントバンパ6(図1参照)には、歩行者との衝突を検知可能な図示しないセンサが、配設されており、センサからの信号を入力させている図示しない作動回路が、センサからの信号に基づいて車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、エアバッグ装置Mのインフレーター26を作動させるように構成されている。また、実施形態の車両Vには、エアバッグ装置Mの左右両側の近傍となるフードパネル10の後端10c近傍の左縁10d,右縁10e側に、フードパネル10の後端10c側を上昇させるアクチュエータ21が、配設されている(図1〜3参照)。このアクチュエータ21は、作動回路によって車両Vの歩行者との衝突が検知された際に、インフレーター26の作動と略同時に、作動されて、フードパネル10の後端10cを押し上げ、フードパネル10の後端10cとカウル7との間にエアバッグ突出用の隙間OSを形成することとなる(図7参照)。
フードパネル10は、図1,2に示すように、車両VにおけるエンジンルームERの上方を覆うように配設されるもので、左右方向の両縁側における後端10c近傍に配置されるヒンジ部11により、車両Vのボディ1側に対して、前開きで開閉可能に連結されている。フードパネル10は、実施形態の場合、アルミニウム(アルミニウム合金)等の板材からなり、図3,4に示すように、上面側のアウタパネル10aと、下面側に位置してアウタパネル10aより強度を向上させたインナパネル10bと、から構成されている。フードパネル10は、図1に示すように、後端10cを、左右の中央を前方に位置させ、左右両端側を後方に位置させるように、左右方向に対して湾曲させて構成されている。フードパネル10の後方には、図3,4に示すように、ボディ1側の剛性の高いカウルパネル7aと、カウルパネル7aの上方の合成樹脂製のカウルルーバ7bと、からなるカウル7が、配設されている。カウルルーバ7bは、後端側をフロントウィンドシールド4の下部4a側に連ならせるように、配設されている(図3,4参照)。また、フロントウィンドシールド4の左右の外方には、図1,2に示すように、フロントピラー5,5が、配設されている。フードパネル10は、アクチュエータ21の作動時に、後端10c側を押し上げられることとなるが、この後端10cの上昇時には、フードパネル10の前端10f側は、前端に配置されている通常閉塞用の図示しないフードロックストライカを係止するラッチ機構により、ボディ1側から外れることはない。
ヒンジ部11は、フードパネル10の後端10c側における左縁10dと右縁10eとに配設され(図1,2参照)、それぞれ、ボディ1側の部材であるフードリッジリインホース2に連結される取付フランジ3に固定されるヒンジベース12と、フードパネル10側に固定されるヒンジアーム14と、を備えて構成されている(図3参照)。各ヒンジアーム14は、図3に示すように、板金製のアングル材を下向きに突出させるように略半円弧状に湾曲させた形状として構成され、ヒンジベース12側の元部端14aが、支持軸13を利用してヒンジベース12に対して回動可能に連結されている。また、各ヒンジアーム14は、図2,3に示すように、元部端14aから離れる先端14b側に、先端14bからフードパネル10の下面に略沿うように延びる連結板部15を備える構成とされ、この連結板部15が、フードパネル10の後端10cにおける下面側に溶接等を利用して結合されている。また、ヒンジアーム14の先端14b付近には、図3に示すように、下縁を略円形状に切り欠くように構成される切欠凹部14cが、形成されており、この切欠凹部14cの周囲の部位が、アクチュエータ21の作動時においてピストンロッド23がフードパネル10の後端10cを押し上げた際に、塑性変形する塑性変形部14dとされて、フードパネル10の後端10cの上昇を許容することとなる(図7参照)。各支持軸13は、図2,3に示すように、それらの軸方向を、車両Vの左右方向に沿わせるように、配設されている。そして、フードパネル10を開く際には、フードパネル10の前端10f側(図1参照)を前開きで上昇させれば、各支持軸13を回転中心として、フードパネル10を前開きで開くことができる(図3の二点鎖線参照)。
アクチュエータ21は、図1,2に示すように、エアバッグ装置M(ケース36)の左右両側となる位置に配置されるもので、詳細には、フードリッジリインホース2に連結された取付フランジ2aに対してボルト20止めされる断面略U字形状の取付ブラケット19により保持されて、フードパネル10の後端10c側における左縁10d,右縁10eの下方となる各ヒンジ部11の下方に配設されている(図2,3参照)。具体的には、各アクチュエータ21は、駆動源として、図示しないガス発生器を使用しており、シリンダ22と、シリンダ22から上方へ突出するように配設されるピストンロッド23と、を備えている。このアクチュエータ21では、シリンダ22の下端側に内蔵される図示しないガス発生器を作動させて発生する作動ガスにより、シリンダ22内に収納されるピストンロッド23の図示しないピストンを押し上げて、ピストンロッド23を上昇移動させる構成である。そして、アクチュエータ21の作動時に、上昇移動するピストンロッド23の上端23aが、フードパネル10の後端10cの下面側に配設されるヒンジアーム14の先端14b側に設けられる連結板部15の下面に当接することとなり、この上昇移動するピストンロッド23の上端23aにより、フードパネル10の後端10cが上方に押し上げられて、カウル7とフードパネル10の後端10cとの間に、エアバッグ31を突出させるための隙間OSが形成されることとなる(図7参照)。
エアバッグ装置Mは、図4,5に示すように、エアバッグ31と、エアバッグ31に膨張用ガスを供給するインフレーター26と、エアバッグ31とインフレーター26とを収納するケース36と、を備えている。
インフレーター26は、図4,5に示すように、外形形状を略円柱状としたシリンダタイプの本体27と、本体27を保持してケース36に取り付けるリテーナ28と、を備える構成とされるもので、実施形態の場合、軸方向を左右方向に沿わせるようにして、ケース36の左右の略中央となる位置に、配設されている(図1参照)。インフレーター26の本体27には、エアバッグ31の内部に膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口が、形成されている。インフレーター26は、図示しないリード線を介して、作動回路と電気的に接続されている。実施形態の場合、インフレーター26は、エアバッグ31の内部に収納された状態で、エアバッグ31とともにケース36に取り付けられるもので、リテーナ28の軸方向に沿って複数配置される各ボルト28aを、図4,5に示すように、エアバッグ31から突出させた状態で、ケース36の後述する前壁41から突出させてナット29止めすることにより、エアバッグ31とともに、ケース36に取り付けられている。
エアバッグ31は、インフレーター26から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて展開膨張するもので、実施形態の場合、ポリエステル糸やポリアミド糸等を使用した織布から形成された袋状としている。エアバッグ31は、図1の二点鎖線に示すように、膨張完了時の形状を、正面から見て、左右方向に幅広とした略U字形状に形成されるもので、膨張完了時にカウル7の上方を覆うように左右方向に略沿って配置されるカウルカバー部32と、カウルカバー部32の左右両端から後方に延びるように配置されてフロントピラー5,5の下部5a側を覆うピラーカバー部33,33と、を備えて構成されている。また、実施形態の場合、図示を省略するが、エアバッグ31は、インフレーター26から左右方向に離れたケース36の左右方向の両端近傍となる位置(ケース本体37の後述する左側部位37b,右側部位37cの位置)において、膨張完了時のカウルカバー部32の前端側から延びるテザーをケース36の前壁41に取り付けることにより、カウルカバー部32の左右両端近傍となる位置においても、ケース36側に取り付けられている。そして、エアバッグ31は、ケース36内に収納可能に、前後左右の幅寸法を縮められるようにして、折り畳まれてケース36内に収納されている。実施形態の場合、エアバッグ31は、図4,5に示すように、後端側を下側に向かって巻くようなロール折りによって、前後方向の幅寸法を縮められて、ケース36内に収納されている。
ケース36は、図4〜6に示すように、合成樹脂製の略箱形状とされるケース本体37と、ケース本体37の挿入用開口38を閉塞する板金製のカバー56と、カバー56をケース本体37に取り付けるための板金製のリテーナ64と、を備えて構成されている。ケース36は、左右の中心を、フードパネル10の後端10c側における左右の中心に略一致させるように配置されるもので、実施形態の場合、左右方向の幅寸法を、フードパネル10の後端10c側の部位の左右方向の幅寸法より小さく設定される長尺状とされている(図1参照)。
ケース本体37は、図4,5に示すように、下面側を開口させた略箱形状として構成されるもので、この下面側の開口を、折り畳まれたエアバッグ31とインフレーター26とを内部に挿入させるための挿入用開口38としている。また、ケース本体37は、エアバッグ31とインフレーター26とを収納させる略箱形状の収納部本体39と、収納部本体39の下面側の挿入用開口38の周縁から外方に延びるように形成されるシール用周縁部50と、を備えて構成されている。実施形態の場合、ケース本体37は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の軟質合成樹脂から形成されている。また、ケース本体37は、左右の幅寸法を、フードパネル10の後端10c側の部位の左右の幅寸法より小さく設定される長尺状とされており、実施形態の場合、フードパネル10の後端10c側の湾曲形状に合わせるように、左右の中央側に配置される中央側部位37aを、長手方向を左右方向に略沿わせるように構成され、中央側部位37aの左右両側に配置される左側部位37b及び右側部位37cを、それぞれ、中央側部位37aから離れた左右の端部側を後方に向けるように、長手方向を左右方向に対して傾斜させて構成されている(図1参照)。また、実施形態の場合、ケース本体37は、図1に示すように、エアバッグ31のみを収納させる左側部位37b,右側部位37cの短手方向側の幅寸法を、エアバッグ31とインフレーター26とを収納させる中央側部位37aの短手方向側(前後方向側)の幅寸法より、小さく設定した左右対称形として、構成されている。
収納部本体39は、下面側を開口させた略箱形状とされるもので、詳細には、略四角筒状の周壁部40と、周壁部40の上面側を塞ぐように配置される天井壁部44と、を備えている。周壁部40において、折り畳まれたエアバッグ31の前方に配置される前壁41は、インフレーター26とともに折り畳まれたエアバッグ31を取り付ける取付壁を構成している。周壁部40において、折り畳まれたエアバッグ31の後方に配置される後壁42には、エアバッグ31の膨張時に破断可能な破断予定部43が、上下の略中央となる位置に、左右方向に沿って連続的に形成されている(図5参照)。この破断予定部43は、インフレーター26の作動時に、膨張用ガスを内部に流入させて膨張するエアバッグ31によって押されて破断されることとなり、破断予定部43の破断によって上下に分離された後壁42が、図5の二点鎖線及び図8に示すように、先端を相互に離隔させるように開いて、エアバッグ31を突出させるための突出用開口39aが、形成されることとなる。
また、周壁部40の上端側には、周壁部40から連なるように天井壁部44の上方に延びて、先端側を前後左右の外方に向けるように屈曲される取付片部46が、配設されている。この取付片部46は、周壁部40の全周にわたって、連続的若しくは断続的に形成されている。この取付片部46は、ケース36を、フードパネル10のインナパネル10bに取り付けるためのもので、この取付片部46に複数のボルト54を挿通させて、インナパネル10bの上面側に固着されているナット10gに締結させることにより、ケース36がボディ1側の部材であるインナパネル10bに取り付けられることとなる。また、取付片部46と天井壁部44との境界部位付近(天井壁部44の周縁部位)には、取付片部46と天井壁部44とを連結するように、略三角板状の補強リブ47が、断続的に多数配置されている。また、実施形態では、ケース本体37の天井壁部44は、フードパネル10のインナパネル10bに下方に突出するように形成される突出部10hの下面側に近接して配置され(図5参照)、エアバッグ31の展開膨張時に、天井壁部44は、この突出部10hにより支持されることとなる。
シール用周縁部50は、挿入用開口38の周縁を構成する周壁部40の下端(先端)側の領域の周囲の全周にわたって、形成されるもので、周壁部40よりも一段外方となる位置においてカバー56側となる下方に向かって突出するように形成されるシール用突出部51と、シール用突出部51の外周側に位置してリテーナ64側となる上方に向かって突出するように形成されるリブ部52と、を備えている。シール用突出部51とリブ部52とは、それぞれ、挿入用開口38の周縁の全周にわたって連続的に形成されるもので、それぞれ、図5に示すように、先端51a,52a側を、断面略半円状として、構成されている。実施形態の場合、シール用突出部51及びリブ部52は、周壁部40から連なって、肉厚を、周壁部40の肉厚と略一致させて構成されるもので、換言すれば、リブ部52は、周壁部40の先端から外方に向かいつつ反転されて天井壁部44側(上側)に向かうように延びて形成され、シール用突出部51は、このリブ部52と周壁部40との間の領域から、下方に向かって突出するように、形成されている。そして、実施形態では、ケース本体37にカバー56を取り付けた際に、シール用突出部51の先端51aが、カバー56に形成される収納凹部60の下端60aに圧接されて、線状のシール部51bを構成することとなる。シール用突出部51が挿入用開口38の周縁の全周にわたって連続的に形成されていることから、シール用突出部51の先端51aから構成されるシール部51bも、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成される。また、実施形態では、ケース本体37にカバー56を取り付けた際に、リブ部52の先端52aも、リテーナ64に形成される挿入凹部66の上端66aに圧接されて、線状の補助シール部52bを構成することとなる。この補助シール部52bも、リブ部52が挿入用開口38の周縁の全周にわたって連続的に形成されていることから、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成されることとなる。
カバー56は、板金製として、ケース本体37の下側に配置されるもので、図5,6に示すように、挿入用開口38を覆うカバー本体57と、カバー本体57の外周縁の領域に全周にわたって配置されるシール用環状部58と、を備えている。シール用環状部58は、リテーナ64の後述するリテーナ本体65と当接される平板状の環状取付部59と、環状取付部59とカバー本体57との間に配置されてシール用突出部51を収納可能な収納凹部60と、を備える構成とされている。環状取付部59は、挿入用開口38の開口面OF(図5参照)に沿って配置されるもので、環状取付部59には、締結手段としてのボルト70を挿通させるための挿通孔59aが、多数形成されている(図6参照)。収納凹部60は、シール用突出部51全体を収納可能に、シール用環状部58を下方に凹ませるようにして形成されるもので、内部に収納させたシール用突出部51を保持可能に、シール用環状部58の全周にわたって連続的に形成されている。この収納凹部60の内周面には、シール用突出部51を収納させた際のシール性を良好とするために、ゴム状弾性体からなるシール剤層61が、略全面にわたって配置されている(図5参照)。
リテーナ64は、板金製として、ケース本体37における挿入用開口38の周囲の略全周にわたって配置される略四角環状とされるもので、実施形態の場合、ケース本体37及びカバー56への取り付けを容易とするために、前側分割体64Fと後側分割体64Rとに前後で2分割されて構成されている(図1参照)。リテーナ64(前側分割体64F,後側分割体64R)は、カバー56の上側に配置されるもので、図5,6に示すように、カバー56の環状取付部59と上下で対向する位置に配置される略環状のリテーナ本体65と、リテーナ本体65の内周縁側から延びるように形成されてシール用周縁部50に形成されるリブ部52を挿入可能な挿入凹部66と、挿入凹部66を構成する部位の内周縁側から延びて反転しつつ収納部本体39の周壁部40の外周面に沿うように上方に延びる当接壁部68と、を備えている。そして、実施形態のリテーナ64では、挿入凹部66の内縁側の部位(当接壁部68に向かうように反転される部位)が、シール用突出部51の直上に配置されて、リテーナ64によるカバー56のケース本体37への取付時にシール用突出部51を押圧する押え部67を、構成している。
リテーナ本体65は、カバー56における環状取付部59と当接するように重なる部位であり、挿入用開口38の開口面OFに沿って配置されるもので、環状取付部59に形成される挿通孔59aに対応する位置の上面側に、締結手段としてのボルト70を締結させるナット65aを、固着させている。挿入凹部66は、リブ部52全体を収納可能に、リテーナ本体65の内縁側を上方に凹ませるようにして構成されるとともに、内部に収納させたリブ部52を保持可能に、リテーナ本体65の全周にわたって連続的に形成されている。押え部67は、挿入凹部66に連なって、リテーナ本体65の全周にわたって連続的に形成されるもので、先端側を、断面略半円状として構成されている。押え部67の突出頂部67aは、ボルト70のナット65aへの締結時に、収納凹部60の下端60a及びシール用突出部51の先端51aと上下で対応する位置に、配置されている。当接壁部68は、リテーナ64を用いてカバー56をケース本体37に取り付けた際に、収納部本体39の周壁部40の外周面側を覆って、周壁部40に当接するように、構成されている。この当接壁部68も、リテーナ本体65の全周にわたって連続的に形成されている。そして、実施形態のリテーナ64では、挿入凹部66の内周面から、押え部67の下面を経て、当接壁部68の周壁部40側の面にかけて、シール性を良好とするために、ゴム状弾性体からなるシール剤層69が、略全面にわたって配置されている(図5参照)。
そして、実施形態では、リテーナ64は、挿入凹部66にリブ部52を挿入させるようにして、リテーナ本体65を、収納凹部60内にシール用突出部51を収納させてケース本体37の挿入用開口38を覆っているカバー56の環状取付部59に重ね、カバー56のシール用環状部58との間で、ケース本体37のシール用周縁部50を挟持しつつ、締結手段としてのボルト70を、挿入用開口38の開口面OF(図5参照)と略直交させるように、上方に向けつつ、環状取付部59に形成される挿通孔59aに挿入させて、リテーナ本体65に固着されるナット65aに締結させることにより、カバー56をケース本体37に取り付ける構成である。そして、ボルト70をナット65aに締結させれば、シール用周縁部50に形成されるシール用突出部51の先端51aが、リテーナ64における押え部67の突出頂部67aに押されて、シール用環状部58の収納凹部60の下端60aに圧接されることとなり、このシール用突出部51の先端51aにより、線状のシール部51bが、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成されることとなる。また、実施形態では、このボルト70のナット65aへの締結時に、リブ部52の先端52aも、リテーナ64に形成される挿入凹部66の上端66aに圧接されることとなって、このリブ部52の先端52aにより、線状の補助シール部52bが、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成されることとなる。
次に、実施形態のエアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明すると、まず、ボルト28aを突出させるようにしてインフレーター26を内部に収納させた状態のエアバッグ31を、ケース本体37における収納部本体39内に収納可能に折り畳み、周囲を折り崩れ防止用の図示しないラッピング材によってくるんでおく。そして、折り畳んだエアバッグ31とインフレーター26とを、挿入用開口38からケース本体37(収納部本体39)内に収納させ、収納部本体39の前壁41から、インフレーター26のボルト28aを突出させてナット29止めし、インフレーター26とエアバッグ31とをケース本体37に取り付ける。また、エアバッグ31の図示しないテザーも、前壁41にボルト止めしておく。その後、カバー56を、収納凹部60にケース本体37のシール用突出部51を収納させるようにして、挿入用開口38を覆うように配置させる。次いで、リテーナ64を構成する各前側分割体64F,後側分割体64Rを、それぞれ、挿入凹部66にケース本体37のリブ部52を挿入させつつ、リテーナ本体65をカバー56の環状取付部59上に載置させて、ボルト70を、シール用環状部58の環状取付部59に形成される挿通孔59aに挿通させつつ、リテーナ本体65に固着されるナット65aに締結させれば、リテーナ64によって、カバー56をケース本体37に取り付けることができて、エアバッグ組付体を製造することができる。
その後、車両Vに組み付けられた状態のフードパネル10のインナパネル10bに、ケース本体37の取付片部46をボルト54止めし、インフレーター26を図示しない作動回路に電気的に接続させれば、エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、図示しない作動回路が、フロントバンパ6に配置される図示しないセンサからの信号に基づいて、車両Vの歩行者との衝突を検知した際に、アクチュエータ21が、ピストンロッド23によりフードパネル10の後端10cを押し上げるように作動されて、フードパネル10の後端10cとカウル7との間に、エアバッグ突出用の隙間OSが形成されることとなる(図7参照)。略同時に、インフレーター26が作動されて、内部に膨張用ガスを流入させてエアバッグ31が膨張することとなり、膨張するエアバッグ31が、ケース本体37における後壁42に形成される破断予定部43を破断させつつ、後壁42を押し開き、後壁42を押し開いて形成された突出用開口39aから後斜め上方に向かって突出しつつ、カウル7の上面と、フロントピラー5の下部5a前面と、を覆うように、膨張を完了させることとなる(図1の二点鎖線及び図8参照)。
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、内部に折り畳まれたエアバッグ31とインフレーター26とを収納させる合成樹脂製のケース本体37が、挿入用開口38の周縁に形成されるシール用周縁部50を、挿入用開口38を覆うように配置させた板金製のカバー56のシール用環状部58と、板金製のリテーナ64と、の間で、挟持させるようにして、締結手段としてのボルト70をナット65aに締結させて、ケース本体37にカバー56を取り付けている。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、内部にインフレーター26とエアバッグ31とを収納させた状態のケース本体37の挿入用開口38を覆うようにカバー56を配置させて、リテーナ64を使用して、挿入用開口38の周縁に配置される複数のボルト70をリテーナ64に形成されるナット65aに締結させれば、ケース本体37にカバー56を取り付けることができることから、実施形態のエアバッグ装置Mの如く、ケース本体37が左右に長尺とされて大きくても、容易に、ケース本体37にカバー56を取り付けることができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー56のケース本体37への取付時に、シール用周縁部50とシール用環状部58との間に、線状のシール部51bが、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成されており、このシール部51bは、シール用周縁部50にシール用環状部58側に向かって突出するシール用突出部51を設け、このシール用突出部51をシール用環状部58の収納凹部60に接触させることにより、形成されることから、合成樹脂製のシール用周縁部50を板金製のシール用環状部58とリテーナ64とによって挟持させるように、挿入用開口38の開口面OFと直交するように配置されるボルト70をナット65aに締結させることにより、このシール用突出部51の収納凹部60との接触状態を強固に維持することができて、シール性を良好に確保することができる。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ケース本体37の挿入用開口38の周縁のシール性を、挿入用開口38の全周にわたって良好に確保することができて、ケース36内への雨水等の侵入を的確に防止することができる。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、合成樹脂製のケース本体37を、板金製のカバー56とリテーナ64とによって挟持させて、シール性を確保しており、従来のエアバッグ装置のごとく、溶着を使用していないことから、インフレーター26の作動時に、膨張するエアバッグ31によって、ケース本体37の後壁42に形成される破断予定部43を円滑に破断させることができて、エアバッグ31を破断予定部43の破断時に形成される突出用開口39aから、迅速に突出させることができる。
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、簡便な構成として、ケース36内への雨水等の侵入を的確に防止することができ、また、作動時に、ケース36内に収納されたエアバッグ31を円滑にケース36から突出させることができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、シール用周縁部50に形成されるシール用突出部51が、カバー56に形成される収納凹部60に収納される構成であることから、シール用突出部51が、板金製のシール用環状部58に形成される収納凹部60を構成する部位に、周囲を覆われることとなり、シール用突出部51の先端51a側に形成されるシール部51bが、シール用環状部58に対して位置ずれを生じることを抑制でき、換言すれば、収納凹部60を構成する部位によって、シール用突出部51を保持させることができて、シール性を一層良好とすることができる。また、ケース本体37の挿入用開口38周縁の部位が、開口面OFに沿ってずれ難く、ケース本体37のシール用周縁部50を、カバー56とリテーナ64とによって安定して挟持させることができて、エアバッグ31の展開膨張時にもカバー56がケース本体37から外れるように位置ずれすることを抑制できる。さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、カバー56にシール用突出部51を収納させる収納凹部60が形成されていることから、カバー56の剛性が向上することとなり、エアバッグ31の展開膨張時にも、カバー56によって挿入用開口38を安定して閉塞させることができる。
勿論、このような点を考慮しなければ、シール用環状部に、シール用突出部を収納させる収納凹部を形成しない構成としてもよい。また、シール用環状部側に、シール用周縁部側に突出するような突出部を設けて、この突出部のシール用周縁部との接触部位により、シール部を構成してもよい。このような構成とする場合にも、シール用周縁部には、シール用環状部に形成される突出部を収納させるような凹部を形成してもよいし、形成しなくともよい。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、シール用周縁部50においてシール部51bの外周側となる位置に、リテーナ64側に向かって突出するリブ部52が、全周にわたって連続的に形成され、リテーナ64に、リブ部52を挿入可能な挿入凹部66が、形成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、リブ部52の外周側を、板金製のリテーナ64に形成される挿入凹部66を構成する部位に保持させることができることから、エアバッグ31の展開膨張時に、このリブ部52が、ケース本体37の変形を抑制することとなり、また、ケース本体37の挿入用開口38周縁の部位が、開口面OFに沿って一層ずれ難く、ケース本体37のシール用周縁部50を、カバー56とリテーナ64とによって安定して挟持させることが可能となって、エアバッグ31を、破断予定部43を破断させて形成された突出用開口39aから、一層円滑に突出させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、シール用周縁部にリブ部を形成しない構成としてもよい。
特に、実施形態のエアバッグ装置Mでは、リテーナ64が、リブ部52を挿入させる挿入凹部66の内周側に、ケース本体37における周壁部40の外周面と当接するような当接壁部68を有していることから、この当接壁部68によって、エアバッグ31膨張時のケース本体37の変形を一層抑制することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、リブ部52の先端52aと挿入凹部66との接触部位に、線状の補助シール部52bが形成されることとなり、この補助シール部52bも、挿入用開口38の周囲の全周にわたって、連続的に形成されることから、挿入用開口38の周囲を、シール部51bと補助シール部52bとの二重で全周にわたってシールすることができて、ケース本体37の挿入用開口38の周縁のシール性を、挿入用開口38の全周にわたって一層良好に確保することができる。さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、挿入用開口38の周縁から下方に突出するシール用突出部51と、反転して上方に突出するリブ部52と、を、配設させ、各シール用突出部51,リブ部52を、それぞれ、カバー56の収納凹部60とリテーナ64の挿入凹部66とに保持させていることから、二重で、ケース本体37における挿入用開口38周縁の部位の開口面OFに沿うずれを抑制できて、ケース本体37のシール用周縁部50を、カバー56とリテーナ64とによって強固に挟持させることができ、カバー56によって挿入用開口38を安定して閉塞させることができる。特に、実施形態のエアバッグ装置Mでは、シール用突出部51を収納させる収納凹部60の内周面と、リブ部52を挿入させる挿入凹部66の内周面と、に、シール剤層61,68が配置されていることから、シール部51b及び補助シール部52bのシール性を一層良好として、ケース36内への雨水の侵入を確実に防止することができる。
なお、実施形態では、フードパネルの後端側に搭載される歩行者保護用のエアバッグ装置を例に採り説明しているが、本発明を適用可能なエアバッグ装置は歩行者保護用に限られるものではなく、車両の車室外の領域に搭載されるエアバッグ装置であれば、適用可能である。