JP2010083173A - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】グラブドア内に収納される構成であっても、エアバッグ突出時のケースの変形を抑えて、エアバッグの後方へ突出する挙動を安定させることが可能な膝保護用エアバッグ装置の提供。
【解決手段】本発明の膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ40と、エアバッグ40内に配設されるインフレーター42と、をグラブドア20内に取り付けられるケース54内に収納保持させている。インフレーター42が、略円柱状の本体部43と、本体部43からエアバッグ40を貫通して突出して本体部43をケース54に固定する固定部47と、を備える。ケース54が、左右方向に沿った全域にわたって形成される補強部56を備える。インフレーター42が、本体部43の軸方向を左右方向に沿わせて配置され、補強部56の部位において、固定部47を利用して、補強部56の後面側に支持され、かつ、固定されている。
【選択図】図4
【解決手段】本発明の膝保護用エアバッグ装置Sは、折り畳まれたエアバッグ40と、エアバッグ40内に配設されるインフレーター42と、をグラブドア20内に取り付けられるケース54内に収納保持させている。インフレーター42が、略円柱状の本体部43と、本体部43からエアバッグ40を貫通して突出して本体部43をケース54に固定する固定部47と、を備える。ケース54が、左右方向に沿った全域にわたって形成される補強部56を備える。インフレーター42が、本体部43の軸方向を左右方向に沿わせて配置され、補強部56の部位において、固定部47を利用して、補強部56の後面側に支持され、かつ、固定されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、グラブボックスのボックス本体における後部側に配置された開口を開閉可能に塞ぐグラブドアに搭載されて、着座した乗員の前方側に配設される膝保護用エアバッグ装置に関する。
従来、グラブボックスに搭載される膝保護用エアバッグ装置としては、いわゆるビンタイプのグラブボックスに搭載されているものがあった。ビンタイプのグラブボックスでは、上端側に開口を有するボックス本体が、下端側を回転中心とした構成とされて、後方側への引き出し時に、下端側を回転中心として回転し、上端側の開口を車内側に配置させる構成であった。そして、従来の膝保護用エアバッグ装置は、このビンタイプのグラブボックスにおけるボックス本体の後壁側に搭載されるもので、後壁から後方に突出して膨張を完了させるエアバッグと、エアバッグ内に配設されてエアバッグに膨張用ガスを供給する略円柱状のインフレーターと、を、備える構成であった(例えば、特許文献1参照)。さらに、このエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを収納保持して、ボックス本体の後壁に取り付けられ、後部側にエアバッグの突出用開口を有したケースを、備える構成とされていた。また、このエアバッグ装置は、ケースの突出用開口の後方を覆うように、ボックス本体の後壁に配置されて、膨張するエアバッグに押されて開くエアバッグカバーを備えていた。
特開2007−161090公報
この従来の膝保護用エアバッグ装置では、ケースに、エアバッグ収納部と、エアバッグ収納部における左右方向の一部を部分的に略半円弧状に凹ませて構成されるインフレーター収納部と、を設けて、ケース内にインフレーターと折り畳まれたエアバッグとを収納させて、ケースの四隅をボックス本体の後壁に取付固定させていた。また、従来の膝保護用エアバッグ装置では、乗員の左右の両膝に対応させてエアバッグを左右に広く迅速に展開させるために、エアバッグを、上下方向の幅寸法を大きく縮めるように、左右方向に沿った横長状として折り畳んでおり、ケースも、左右方向に沿った長尺状としていた。すなわち、従来の膝保護用エアバッグ装置では、ケースを左右方向に沿った長尺状として、左右方向の一部に、部分的にへこませたインフレーター収納部を設けていることから、エアバッグの展開膨張時に、ケースにおけるインフレーター収納部の周囲の部位が、エアバッグ突出時の引張力を受けて、インフレーターを後方へ移動させるように変形しやすく、このインフレーターの後方への突出に伴って、エアバッグが乗員の膝保護位置を超えて後方へ大きく突出するように膨張することを防止する点に、改善の余地があった。
また、このような構成の膝保護用エアバッグ装置を、グラブボックスのボックス本体における後部側の開口を、開閉可能なグラブドアによって塞ぐボックスタイプ(若しくはドアタイプ)のグラブボックスのグラブドア内に搭載する場合には、ボックスタイプのグラブボックスでは、グラブドアのみを開閉させる構成であることから、グラブドアの厚さを厚くすることができず、ケースの強度を確保しつつ、グラブドア内に収納されるエアバッグ装置の厚さ寸法の増加を極力抑制することが望ましい。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、グラブドア内に収納される構成であっても、エアバッグ突出時のケースの変形を抑えて、エアバッグの後方へ突出する挙動を安定させることが可能な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、グラブドアのボックス本体における後部側に配置された開口を開閉可能に塞ぐグラブドアに搭載されて、着座した乗員の前方側に配設され、作動時、乗員の膝を保護可能なエアバッグを、グラブドアから後方側に展開膨張させる構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前後方向を、ボックス本体の開口を閉じている状態のグラブドアの厚さ方向に沿う方向とし、上下方向を、グラブドアの厚さ方向と直交する方向として、
グラブドアから後方に突出して膨張を完了させるエアバッグと、
エアバッグ内に配設されるとともに、エアバッグに膨張用ガスを供給する略円柱状のインフレーターと、
折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを収納保持して、グラブドア内に取り付けられ、後部側にエアバッグの突出用開口を有したケースと、
ケースの突出用開口の後方を覆うように、グラブドアの後面に配設されて、膨張するエアバッグに押されて開くエアバッグカバーと、
を備えて構成されるとともに、
インフレーターが、作動時に膨張用ガスを吐出するガス吐出口を有した略円柱状の本体部と、本体部からエアバッグを貫通して突出して、エアバッグとともに本体部を前記ケースに固定する固定部と、を備えて構成され、
ケースが、左右方向に沿った全域にわたって形成される補強部を、備える構成とされ、
インフレーターが、本体部の軸方向を左右方向に沿わせて配置されるとともに、ケースにおける補強部の部位において、固定部を利用して、補強部の後面側に支持され、かつ、固定されていることを特徴とする。
前後方向を、ボックス本体の開口を閉じている状態のグラブドアの厚さ方向に沿う方向とし、上下方向を、グラブドアの厚さ方向と直交する方向として、
グラブドアから後方に突出して膨張を完了させるエアバッグと、
エアバッグ内に配設されるとともに、エアバッグに膨張用ガスを供給する略円柱状のインフレーターと、
折り畳まれたエアバッグとインフレーターとを収納保持して、グラブドア内に取り付けられ、後部側にエアバッグの突出用開口を有したケースと、
ケースの突出用開口の後方を覆うように、グラブドアの後面に配設されて、膨張するエアバッグに押されて開くエアバッグカバーと、
を備えて構成されるとともに、
インフレーターが、作動時に膨張用ガスを吐出するガス吐出口を有した略円柱状の本体部と、本体部からエアバッグを貫通して突出して、エアバッグとともに本体部を前記ケースに固定する固定部と、を備えて構成され、
ケースが、左右方向に沿った全域にわたって形成される補強部を、備える構成とされ、
インフレーターが、本体部の軸方向を左右方向に沿わせて配置されるとともに、ケースにおける補強部の部位において、固定部を利用して、補強部の後面側に支持され、かつ、固定されていることを特徴とする。
本発明の膝保護用エアバッグ装置では、ケースが、左右方向に沿った全域にわたって、補強部を配設させており、この補強部の部位に、インフレーターを固定させていることから、ケースが左右方向に沿った長尺状とされていても、エアバッグの展開膨張時に、ケースが、エアバッグ突出時の引張力を受けて、インフレーターを後方へ移動させるように変形しがたく、エアバッグが乗員の膝保護位置を超えて後方へ大きく突出するように膨張することも防止することができる。また、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、ケースの補強部が左右方向に沿った全域にわたって、形成されていることから、グラブドア内部に収納可能に、厚さ寸法を薄くして、かつ、左右方向に沿って長尺状としたケースであっても充分な強度を確保することができて、エアバッグの展開膨張時に、ケースが変形することを極力防止することができる。
したがって、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、グラブドア内に収納される構成であっても、エアバッグ突出時のケースの変形を抑えて、エアバッグの後方へ突出する挙動を安定させることが可能である。
また、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、ケースが、左右方向に沿った全域にわたって補強部を配設させていることから、この補強部から連なるように相互に離れたケースの左右両側だけにグラブドア側への取付部位を設けても、ケースを安定してグラブドア側に固定させることができ、ケースを、上下方向側で嵩張らせない構成としても、グラブドア側に安定して取り付けることができる。
さらに、本発明の膝保護用エアバッグ装置において、補強部を、前後方向側に突出させるように形成されて、左右方向に沿って配置されるリブから、構成すれば、ケースを板金製として、一部をプレス加工等により曲げ変形するだけで補強部を形成でき、ケースに補強部材を別途配置させなくともよい。そのため、製造コストを低減させることができるとともに、ケースを軽量化することができ、装置自体を軽量化することができて、グラブドアに搭載する膝保護用エアバッグ装置として好適となる。
さらに、上記構成の膝保護用エアバッグ装置において、補強部を構成するリブを、上下方向に離れた2箇所に、並設させ、
インフレーターを、リブ間の部位に配置させた構成とすることが好ましい。
インフレーターを、リブ間の部位に配置させた構成とすることが好ましい。
上記構成の膝保護用エアバッグ装置では、補強用のリブが、インフレーターを間にして、上下方向に沿った2箇所で並設されていることから、補強エリアを上下で幅広く確保できて、ケースの強度を一層向上させることができる。
さらにまた、上記構成の膝保護用エアバッグ装置において、インフレーターの固定部が、本体部から突出してケースに固定される突出部位の元部側から先端側に向かう突出方向を、前方向から斜め上方あるいは斜め下方にずらすように、配置させて、ケースに固定される構成とすれば、インフレーターの固定部における突出部位が、前後方向の長さ寸法を、突出部位自体の突出長さ寸法における突出方向の斜め上方あるいは斜め下方にずれた角度の余弦とするように、短くできることから、装置自体の厚さ寸法の増加を抑制できて、グラブドアの厚さ寸法の増加を抑制できて、好ましい。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sは、図1,2に示すように、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と省略する)4の下部側に装着されたグラブボックス13のグラブドア20内に搭載されて、助手席に着座した乗員Mの前方側に配設されている。
なお、本明細書では、左右、前後、上下の各方向に関し、特に断らない限り、膝保護用エアバッグ装置Sを搭載したグラブドア20がグラブボックス13の開口14aを閉じている傾斜した状態(上端20a側を下端20b側より水平方向に沿って前方側に配置させた状態、図2参照)を基準に、左右方向は、直進時の車両の左右方向に対応し、前後方向は、直進時の車両の前後の方向であって、グラブドア20の厚さ方向TDに沿う方向を基準とし、上下方向VDは、直進時の車両の上下の方向であって、グラブドア20の厚さ方向TDと直交する方向を基準とするものである(図3参照)。
膝保護用エアバッグ装置Sが配設されるグラブボックス13は、ボックスタイプ(若しくはドアタイプ)として、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成されるボックス本体14と、ボックス本体14の後部側の開口14aを開閉可能に塞ぐグラブドア20と、を備えて構成されている。ボックス本体14は、下壁15、下壁15の上方で下壁15に対向するように配設される上壁16、下壁15と上壁16との左右両端を相互に連結して相互に左右方向で対向する左右の側壁17,17、及び、前壁18、を備えて、後部側に長方形状の開口14aを有した略直方体の箱形状としている。前壁18は、下壁15、上壁16、及び、左右の側壁17,17の前縁側に連結されて、開口14aに対向するように、略上下方向に沿って配設されている。そして、左右の側壁17,17には、下端の後端側に、グラブドア20の開閉時のヒンジ部を構成するヒンジピン19が配設されるとともに、ボディ1側に固定される図示しないブラケット部が配設されている。また、左右の側壁17には、上端の後端側に、グラブドア20を閉じた際にグラブドア20側から突出するラッチを係止する図示しない係止凹部も、形成されている。
なお、上壁16には、インパネ4の連結部4aにボルト5止めされる連結片16aが配設されている。このボルト5止め部位は、装飾パネル6によって覆われている。また、グラブボックス13の下方には、アンダーカバー11が配設されている。
グラブドア20は、ボックス本体14の開口14aを閉じた際に、図示しないラッチを、ばね等の付勢手段により、左右の側壁17,17の係止凹部に挿入させて、略上下方向に沿って開口を塞いだ状態を維持されることとなる。そして、レバー36(図1参照)を引いて、ラッチを係止凹部から離脱させるように引き込ませれば、グラブドア20の上端20a側を、ヒンジピン19に軸支された下端20b側を回転中心として、後方側に回転させることができて、グラブドア20が開き、開口14aを開口させることとなる。なお、グラブドア20の開き時には、下端20b付近に設けられた図示しない突片が、ボックス本体14側に設けられたストッパに当接して、開き前の前面20c側を略水平方向に沿わせるようにして、配置されることとなる。また、ヒンジピン19の周囲には、グラブドア20の急激な開きを規制するダンパ機構が配設されている。
ちなみに、上記のヒンジピン19、レバー36、図示しないラッチ、突片、ストッパ、ダンパ機構等は、この種のグラブボックスにおいて公知の構成である。
そして、実施形態のグラブドア20は、開口14aを閉口させるように閉じた際の後面20d側のアウタパネル部21と、前面20c側のインナパネル部27と、の間に、膝保護用エアバッグ装置Sを配設させている。実施形態の場合、アウタパネル部21とインナパネル部27とは、外周縁の端部を相互に付き合わせるように、上下方向に略沿って前後方向で相互に対向するように配設され、そして、それぞれの外表面側には、ひけや見切り線を覆うように、意匠性を考慮して、不織布やファブリック等からなる表皮37,38が貼着されている(図4参照)。
アウタパネル部21は、図4に示すように、グラブドア20の後面20d側における外表面側に配置されるもので、フィラー入りのポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成されている。アウタパネル部21における膝保護用エアバッグ装置Sの上下の部位には、インナパネル部27側に延びてインナパネル部27側に固着される多数の板状若しくは棒状の補強リブ22が、配設されている。また、アウタパネル部21における膝保護用エアバッグ装置Sの後方側の領域には、それぞれ長方形板状とした上ドア部23と下ドア部24とが配設されている。上ドア部23と下ドア部24とには、周囲に、膨張するエアバッグ40に押されて破断する薄肉の破断予定部25が形成されている。破断予定部25は、アウタパネル部21の前面側に、連続的若しくは断続的に形成される凹溝から構成されるもので、後方から見て、「日」の字形状に形成されている(図1参照)。そして、上ドア部23は、前面側を後述するハウジング部31の上ドア部33に溶着され、膨張するエアバッグ40に押された際、破断予定部25を破断させて、周囲から分離されて、上ドア部33とともに、上開きで開くように構成されている。下ドア部24は、上ドア部23の下方に配設されて、前面側をハウジング部31の下ドア部34に溶着され、膨張するエアバッグ40に押された際、破断予定部25を破断させて、周囲から分離されて、下ドア部34とともに、下開きで開くように構成されている。
インナパネル部27は、膝保護用エアバッグ装置Sの前方側に配置されるカバーパネル29と、その周囲のグラブドア20の前面側に配置される前面壁部28と、を備えて構成されている。カバーパネル29は、フィラー入りのポリプロピレン等の硬質合成樹脂から形成され、前面壁部28は、オレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されている。実施形態の場合、アウタパネル部21とインナパネル部27とは、補強リブ22、上ドア部23、及び、下ドア部24の部位を利用した振動溶着により、結合され、カバーパネル29は、膝保護用エアバッグ装置Sをグラブドア20内に搭載した際に、適宜、接着剤やファスナ構造等を利用して、前面壁部28の結合溝28aに嵌合させて、前面壁部28に結合されている。なお、カバーパネル29は、前面壁部28に結合された際、前面壁部28とともに、グラブドア20の前面20c側を面一とするように、設定されている。
前面壁部28は、膝保護用エアバッグ装置Sの上下左右と後方側とを囲うハウジング部31を、備える構成とされている。ハウジング部31は、膝保護用エアバッグ装置Sの上下左右を覆う筒状の周壁部32を備え、周壁部32の上下で対向する上壁部32aと下壁部32bとには、上下方向に貫通する複数の係止孔32cが、左右方向に沿って並設されている。これらの係止孔32cには、膝保護用エアバッグ装置Sのケース54の各係止爪61a,62aが挿入されて、係止爪61a,62aに周縁を係止されることとなる。
ハウジング部31における膝保護用エアバッグ装置Sの後方側には、上ドア部23や下ドア部24と同様に、それぞれ長方形板状とした上ドア部33と下ドア部34とが配設されている。上ドア部33は、上端側に開き時のヒンジ部33aとなるU字状に湾曲した部位を設けて、上開きで開くように構成されている。下ドア部34は、上ドア部33の下方に配設されるもので、下端側に開き時のヒンジ部34aとなるU字状に湾曲した部位を設けて、下開きで開くように構成されている。また、上ドア部33の下端と下ドア部34の上端との間には、膨張するエアバッグ40に押されて破断する薄肉の破断予定部35が、形成されている。破断予定部35は、後方から見て、一文字状に形成されている。そして、上ドア部33と下ドア部34との左右両側は、ハウジング部31の周壁部32と分離されている。なお、上ドア部33の下端と下ドア部34の上端との間には、破断予定部35を設けずに、予め、隙間を設けるようにして、上下に分離させておいてもよい。
膝保護用エアバッグ装置Sは、図4〜6に示すように、エアバッグ40、インフレーター42、ケース54、及び、エアバッグカバー69、を備えて構成されている。エアバッグカバー69は、グラブドア20の後面20d側に配置される扉配設部70と、ケース54の周壁部60の周囲に配置される周壁部73と、を備えて構成されている。扉配設部70は、アウタパネル部21とインナパネル部27のハウジング部31との上ドア部23,33や下ドア部24,34、及び、その周縁の破断予定部25,35やヒンジ部33a,34a付近から構成されている。そして、このエアバッグカバー69の扉配設部70は、振動溶着により一体的に結合された上ドア部23,33相互からなる上扉部71と、振動溶着により一体的に結合された下ドア部24,34相互からなる下扉部72と、を備えて構成されている。そして、膨張するエアバッグ40に押されれば、図4の二点鎖線に示すように、上扉部71は、上ドア部23,33の周囲の破断予定部25,35を破断させて、上ドア部33のヒンジ部33aを回転中心として、上開きで開き、下扉部72は、下ドア部24,34の周囲の破断予定部25,35を破断させて、下ドア部34のヒンジ部34aを回転中心として、下開きで開くこととなる。エアバッグカバー69の周壁部73は、ハウジング部31の周壁部32から構成されている。
エアバッグ40は、膨張時、グラブドア20の後面20d側から、エアバッグカバー69の上扉部71と下扉部72とを押し開いて、後方に突出して膨張を完了させる構成とされるもので、膨張完了形状を、乗員Mの左右の膝Kの前方側に配置可能に、前後方向側で厚く、後方側から見て左右方向側に長い略長方形板状としている(図1,3の二点鎖線参照)。また、エアバッグ40は、ケース54内におけるインフレーター42の上方側と下方側となる位置に、それぞれ、折塊部を配置させるように折り畳まれて、ケース54内に収納されている。
インフレーター42は、エアバッグ40に膨張用ガスを供給するもので、外形形状を略円柱状として、軸方向を左右方向に沿わせて、エアバッグ40内に配設されている。実施形態の場合、インフレーター42は、略円柱状の本体部43と、本体部43をケース54に固定する固定部47と、を備えて構成されている。本体部43は、略円柱状の大径部44と、大径部44の先端側に形成されて大径部44より小径とされる小径部45と、を備えて構成され、小径部45に、インフレーター42の作動時に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口45aを配設させている。大径部44における小径部45から離れた端部44dの端面には、図5に示すように、所定のエアバッグ作動回路から延びるリード線RのコネクタCを結合させた図示しないターミナルが、配設されている。
固定部47は、本体部43の略二倍弱の長さ寸法として左右方向に延びる略長方形板状のベース部48と、円環状のベルト部49と、略六角筒形状の筒状部50と、を備えて構成され、ベース部48には、複数の固定ボルト51が、配設されている。実施形態の場合、ベース部48は、左右方向の幅寸法を、ケース54において、インフレーター42を取り付ける取付座57の左右方向の幅寸法より、若干、小さくするように、構成されている。また、実施形態の場合、固定ボルト51は、本体部43から突出するように延びてケース54に固定される突出部位47aを構成するものである。この固定ボルト51は、実施形態の場合、ベース部48の左右両端付近と中央付近との3箇所に、配設されている。筒状部50は、ベース部48における左右方向の中央付近において、本体部43の小径部45の周囲を覆うように、配設されており、ベルト部49は、ベース部48の右端側であって、本体部43の端部44d近傍となる位置に、配設されている。
また、固定部47は、図5に示すように、エアバッグ40を介して、ベース部48の前面を、全域にわたって、取付座57の後面57bに当接させるようにしている。そして、固定部47は、本体部43の大径部44における小径部45から離れた元部(端部44d)側における前上側の外周面44aを、ケース54の挿通孔の内周面に当接させた状態とし、かつ、ベルト部49付近の固定ボルト51をケース54の取付座57にナット53止めしている。そのため、固定部47は、ベルト部49の内周面で大径部44の後下側の外周面44bを前上側に押すこととなり、大径部44の先端側の前上側の外周面44cをベース部48や固定ボルト51の頭部51aに当接支持させて、本体部43を、安定してケース54に取付固定している。また、このインフレーター42のケース54への取付固定時に、固定部47におけるベース部48が、全域にわたって、取付座57の後面57bに支持されることとなる。そして、インフレーター42は、取付座57に取り付けられて、ケース54における後述する補強リブ部56,59間の部位に、配置されることとなる。
さらに、実施形態の場合、膝保護用エアバッグ装置Sをグラブドア20に搭載した状態において、ケース54におけるインフレーター42を取り付ける取付座57が、上下方向に対して傾斜して形成されており、固定部47における各固定ボルト51の頭部51aからねじ部51bの突出する方向、すなわち、本体部43から突出する固定ボルト51の元部側(頭部51a側)から先端51c側(ねじ部51b側)に向かう突出方向CDは、本体部43の軸心Oを中心としたグラブドア20の厚さ方向TDに沿った前方向から、角度θ(図例では約60°)分ずらして、軸心Oから斜め前上方に向かう方向としている(図3参照)。
ケース54は、折り畳まれたエアバッグ40とインフレーター42とを収納保持して、グラブドア20内に取り付けられるもので、後部側にエアバッグ40の突出用開口54aを設けた箱形状としている。実施形態の場合、ケース54は、左右方向に沿った長尺状として、かつ、厚さ寸法を薄くした扁平な直方体形状とされている。ケース54は、板金素材をプレス加工して形成されるもので、略四角筒形状の周壁部60と、周壁部60の前面側を塞ぐように配置される前面壁55と、を備えて構成されている。
前面壁55は、略上下方向に沿って配設されるもので、周壁部60の上壁61近傍となる上端近傍部位に、前方側から後方側へ略「く」字状に突出する山形の補強リブ部56を、左右方向に沿った全域にわたって配設させている。また、前面壁55における上下の中央より若干下方となる位置にも、前方側から後方側へ略「U」字形状に突出する補強リブ部59が、左右方向に沿った全域にわたって、形成されている。これらの補強リブ部56,59は、ケース54の強度補強のために、形成されている。そして、実施形態の場合、補強リブ部56において、上下方向に対して傾斜して配置される下側の壁部56aが、インフレーター42を取り付ける取付座57を、構成している。この取付座57には、インフレーター42の各固定ボルト51を挿通可能な取付孔57aが、固定ボルト51に対応して、左右方向に沿った3箇所に、形成されている。そして、実施形態の場合、インフレーター42は、補強リブ部56の取付座57に取り付けられて、補強リブ部56,59間の部位に、収納されている。また、実施形態の場合、取付座57は、インフレーター42を取付固定させた際に、各固定ボルト51のねじ部51bの先端51cを、ケース54の前面(前面壁の前面55a)から前方に突出させないように、構成されている。
周壁部60は、前面壁55の外周縁の上縁から直交するように後方側に延びる上壁61、前面壁55の外周縁の下縁から直交しつつ上壁61と対向するように後方側に延びる下壁62、及び、前面壁55の外周縁の左右の縁から直交しつつそれぞれ相互に対向するように後方側へ延びる側壁63,64(図5,6参照)、を備えて構成されている。実施形態の場合、上壁61及び下壁62は、前面壁55と一体的に構成されて前面壁55から延びるように形成されており、側壁63,64は、前面壁55と別体の部材を溶着させて、構成されており、詳細には、側壁63,64は、補強リブ部56における下側の壁部56a(取付座57)と、前面壁55における補強リブ56,59間となる中間部位55bと、から連なるように、構成されている(図6参照)。
周壁部60における上壁61と下壁62とには、インナパネル部27におけるハウジング部31の上壁部32aと下壁部32bとに設けられた係止孔32cに挿入されて、係止孔32cの周縁を係止する係止爪61a,62aが、後端付近から上下の外側に向き、さらに、前方側に向かって反転するような断面略J字形状に形成されている。これらの係止爪61a,62aは、膨張するエアバッグ40に押されて開くエアバッグカバー69の上扉部71と下扉部72との開き時に、ヒンジ部33a,34a付近の後方移動を規制して、破断予定部25,35を円滑に破断させるように、上壁部32aと下壁部32bとを係止して保持するために配設されている。また、下壁62には、軽量化の観点から、上下方向に貫通する肉盗み孔62bが、左右方向に沿って複数箇所に、形成されている(図6参照)。
また、周壁部60における左右の側壁63,64の後方側には、図6に示すように、ケース54をグラブドア20側となるアウタパネル部21側に固定するための取付片63a,64aが、形成されている。各取付片63a,64aには、取付ボルト65を挿通させるための取付孔63b,64bが、形成されている。アウタパネル部21における各取付片63a,64aに対応した位置には、図7に示すように、インナパネル部27に前面側を覆われるようにして、後面側にナット66aを固着させた板金製の取付パネル部66が、アウタパネル21に固定されて配置されている。そして、各取付片63a,64aは、間にインナパネル部27を介在させた状態で、取付パネル部66に重ねられた状態で、取付ボルト65をナット66aに締結させることにより、取付パネル部66に取付固定され、アウタパネル部21側に固定されている。また、右側の側壁64には、インフレーター42の本体部43の元部側の端部44dをケース54から突出させる挿通孔64cが形成されている。
この膝保護用エアバッグ装置Sは、車両への搭載時、まず、固定ボルト51をエアバッグ40外に突出させるようにして、エアバッグ40内にインフレーター42の固定部47を収納し、エアバッグ40を折り畳む。この折り畳みは、膨張完了時のエアバッグ40の前後の壁部を相互に重ねて平らに展開し、上下の幅寸法を狭めるように中央側に巻くようにロール折りし、さらに、左右の幅寸法を狭めるように、左右の縁を中央側に折り畳んで、行なわれる。エアバッグ40の折り畳み完了後には、エアバッグ40の折り崩れを防止するように、ラッピング材を巻いておく。
その後、各固定ボルト51を、取付座57の取付孔57aから突出させつつ、折り畳んだエアバッグ40をケース54内に収納する。さらに、インフレーター42の本体部43を、ケース54の挿通孔64cを経て、エアバッグ40内の固定部47のベルト部49内と筒状部50内とに挿入させ、ついで、各固定ボルト51にナット53を締結する。このとき、既述したように、ベルト部49付近の固定ボルト51がケース54の取付座57にナット53止めされれば、本体部43の大径部44における小径部45から離れた元部側の前上側の外周面44aが、ケース54の挿通孔64cの内周面64dに当接されており、ベルト部49の内周面が大径部44の後下側の外周面44bを前上側に押し、大径部44の先端側の前上側の外周面44cがベース部48や固定ボルト51の頭部51aに当接支持されて、本体部43が安定してケース54に取付固定される。その結果、エアバッグ組付体39が形成される(図5参照)。なお、エアバッグ組付体39は、膝保護用エアバッグ装置Sのエアバッグカバー69を除いた部位から構成されている。
そして、エアバッグ組付体39を、カバーパネル29を取り外した状態のグラブドア20のハウジング部31における周壁部32(エアバッグカバー69の周壁部73)内に、挿入させて、ケース54の各係止爪61a,62aをエアバッグカバー69の周壁部73(ハウジング部31の周壁部32)における各係止孔32cに挿入させて、その周縁に係止させる。その後、インナパネル部27に当接しているケース54の各取付片63a,64aの取付孔63b,64bに取付ボルト65を挿通させ、インナパネル部27の後面側に配置される取付パネル部66に配設されたナット66aに締結させることにより、ケース54をアウタパネル部21側に取付固定させれば、膝保護用エアバッグ装置Sをグラブドア20に組み付けることができる。なお、グラブドア20は、予め、間に取付パネル部66を介在させた状態で、アウタパネル部21と、インナパネル部27のハウジング部31及び前面壁部28と、を、振動溶着で結合させておく。
膝保護用エアバッグ装置Sをグラブドア20に組み付けた後には、カバーパネル29を、膝保護用エアバッグ装置Sの前方側を覆うように、結合溝28aに嵌合させて、インナパネル部27の前面壁部28に結合させ、表皮37,38を貼着させれば、膝保護用エアバッグ装置Sを内蔵したグラブドア20を製造することができる。なお、表皮38は、アウタパネル部21とインナパネル部27との振動溶着前、あるいは、振動溶着後におけるカバーパネル29のインナパネル部27への結合前に、アウタパネル部21に貼着してもよい。
その後、グラブドア20をボックス本体14に組み付けて、ボックス本体14を車両に取り付けるとともに、ボックス本体14とインナパネル部27とに設けた図示しない挿通孔を経て、インフレーター42の本体部43にエアバッグ作動回路から延びるリード線Rを結線すれば、グラブボックス13とともに膝保護用エアバッグ装置Sを車両に搭載することができる。
実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、車両の搭載後、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号が、リード線Rからインフレーター42の本体部43に入力されれば、インフレーター42が、本体部43のガス吐出口45aから膨張用ガスを吐出する。すると、エアバッグ40が、膨張して、エアバッグカバー69の上扉部71と下扉部72とを押して、上下方向に両開きで開かせ、ケース54の突出用開口54aから後方側へ突出し、さらに、折りを解消しつつ展開膨張して、乗員Mの左右の膝Kの前方側で膨張を完了させる(図1,3の二点鎖線参照)。そして、膨張を完了させたエアバッグ40によって、前進移動してくる乗員Mの左右の膝Kを的確に受け止めて保護することができる。なお、膨張を完了したエアバッグ40は、前面側を、グラブドア20の開いた上扉部71や下扉部72の裏面側と、アウタパネル部21におけるエアバッグカバー69の左右両側における部位の後面と、によって支持されることとなる。
また、実施形態の場合、グラブボックス13の上方には、乗員Mの上半身を受け止めて保護可能なエアバッグ8aを備えた助手席用エアバッグ装置8が配設されている。この助手席用エアバッグ装置8は、インパネ4の上面側に搭載されて、エアバッグ8a、エアバッグ8aに膨張用ガスを供給するインフレーター8b、エアバッグ8aとインフレーター8bとを収納保持するケース8c、及び、ケース8cの上方を覆って膨張するエアバッグ8aに押されて開く扉部8eを有したエアバッグカバー8dを、備えて構成されている。エアバッグカバー8dは、図例の場合、インパネ4と一体的に形成されている。そして、この助手席用エアバッグ装置8は、ケース8cから伸びるブラケット8fを、ボディ1側のインパネリインフォースメント2に固定されたブラケット2aにボルト9止めして、インパネ4の上面側に配設されている。この助手席用エアバッグ装置8は、膝保護用エアバッグ装置Sの作動時に、同時に作動されて、エアバッグ8aが、助手席に着座した乗員Mの上半身を保護可能に、エアバッグカバー8dを押し開いて、展開膨張することとなる、
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54が、折り畳まれて収納されるエアバッグ40の前方に配置される前面壁55に、左右方向に沿った全域にわたって、補強部としての補強リブ部56,59を配設させており、この補強リブ部56における下側の壁部56aを、インフレーター42を取り付けるための取付座57として、この取付座57に、インフレーター42を固定させていることから、ケース54が左右方向に沿った長尺状とされていても、エアバッグ40の展開膨張時に、ケース54が、エアバッグ40突出時の引張力を受けて、インフレーター42を後方へ移動させるように変形しがたく、エアバッグ40が乗員Mの膝保護位置を超えて後方へ大きく突出するように膨張することも防止することができる。また、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54の補強部(補強リブ部56,59)が左右方向に沿った全域にわたって、形成されていることから、グラブドア20内部に収納可能に、厚さ寸法を薄くし、かつ、左右方向に沿って長尺状としたケース54であっても、充分な強度を確保することができて、エアバッグ40の展開膨張時にケース54が変形することを、極力防止することができる。
そして、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54が、折り畳まれて収納されるエアバッグ40の前方に配置される前面壁55に、左右方向に沿った全域にわたって、補強部としての補強リブ部56,59を配設させており、この補強リブ部56における下側の壁部56aを、インフレーター42を取り付けるための取付座57として、この取付座57に、インフレーター42を固定させていることから、ケース54が左右方向に沿った長尺状とされていても、エアバッグ40の展開膨張時に、ケース54が、エアバッグ40突出時の引張力を受けて、インフレーター42を後方へ移動させるように変形しがたく、エアバッグ40が乗員Mの膝保護位置を超えて後方へ大きく突出するように膨張することも防止することができる。また、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54の補強部(補強リブ部56,59)が左右方向に沿った全域にわたって、形成されていることから、グラブドア20内部に収納可能に、厚さ寸法を薄くし、かつ、左右方向に沿って長尺状としたケース54であっても、充分な強度を確保することができて、エアバッグ40の展開膨張時にケース54が変形することを、極力防止することができる。
したがって、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、グラブドア20内に収納される構成であっても、エアバッグ40突出時のケース54の変形を抑えて、エアバッグ40の後方へ突出する挙動を安定させることが可能である。
また、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54が、左右方向に沿った全域にわたって、補強部(補強リブ部56,59)を配設させていることから、実施形態のごとく、補強リブ部56から連なるように形成されて、相互に離れたケース54の左右両側に位置する側壁63,64のみに、アウタパネル部21側へ取り付けられる取付片63a,64aを設けても、ケース54を安定してアウタパネル部21側(グラブドア20側)に固定させることができ、ケース54を、上下方向側で嵩張らせない構成としても、アウタパネル部21側に安定して取り付けることができる。
さらに、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54に形成される補強部が、折り畳まれたエアバッグ40の前側に位置する前面壁55を後方向側に突出させるように形成して、左右方向に沿って配置される補強リブ部56,59から、構成されていることから、ケース54を板金製として、前面壁55の一部をプレス加工等により曲げ変形するだけで補強部を形成でき、ケースに補強部材を別途配置させなくともよい。そのため、製造コストを低減させることができるとともに、ケースを軽量化することができ、装置自体を軽量化することができて、グラブドア20に搭載する膝保護用エアバッグ装置として好適となる。勿論、このような点を考慮しなければ、ケースと別体からなる補強部材を、ケースに結合させたものを使用してもよい。
さらに、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、補強リブ部56,59を、上下方向に離れた2箇所に、並設させて、インフレーター42を、補強リブ部56,59間の部位に配置させている。すなわち、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、補強リブ部56,59が、インフレーター42を間にして、上下方向に離れた2箇所で並設されていることから、補強エリアを上下で幅広く確保できて、ケース54の強度を一層向上させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、補強リブ部を、1箇所のみに配設させた構成のケースを使用してもよい。
さらにまた、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、インフレーター42の固定部47が、本体部43から突出してケース54に固定される突出部位としての固定ボルト51の元部(頭部51a)側から先端51c側に向かう突出方向CDを、前方向から斜め上方にずらすように、配置させて、ケース54に固定されている。そのため、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、インフレーター42の固定部47における固定ボルト51が、前後方向の長さ寸法を、固定ボルト51自体の突出長さ寸法における突出方向の斜め上方にずれた角度θの余弦とするように、短くできることから、装置自体(エアバッグ組付体39)の厚さ寸法の増加を抑制できて、グラブドア20の厚さ寸法の増加を抑制できる。詳細に説明すれば、固定ボルト51のベース部48から突出するねじ部51bでは、その前後方向の長さ寸法HL(図4参照)が、ベース部48から突出するねじ部51b自体の長さ寸法SLの角度θ分の余弦、換言すれば、HL=SL×cosθ(実施形態では、θ=60°であり、HL=SL×0.5)となって、cosθを乗ずることから、短くすることができる。
勿論、このような点を考慮しなければ、固定ボルトを、前後方向に略沿わせるようにして、インフレーターをケースに取り付ける構成としてもよい。
特に、実施形態の膝保護用エアバッグ装置Sでは、ケース54における補強リブ部56(取付座57)が、インフレーター42における各固定ボルト51のねじ部51bの先端51cを、ケース54の前面(前面壁の前面55a)から前方に突出させないように、構成されていることから、ケース54の前面側に部分的に突出する部位が生じず、ケース54からカバーパネル部29までの離隔距離を極力小さく設定することができて、グラブドア20の厚さ寸法を極力小さくすることができる。
なお、実施形態では、ケース54をアウタパネル部21側(グラブドア20側)に取り付ける取付片63a,64aを、ケース54の左右両側に、それぞれ一箇所ずつ配置させている構成であるが、取付片の配置数はこれに限られるものではなく、例えば、ケースの左右両側に配置される側壁を二又状として、後端側に、それぞれ取付片を配置させ、4つの取付片によってケースをグラブドア側に取り付ける構成としてもよい。なお、このように取付片を4つ配置させる場合にも、ケースをコンパクトにする観点から、ケースの上下方向に沿った幅寸法を広げないように構成することが望ましく、取付片を、周壁部における上壁や下壁より上方側あるいは下方側に突出させないように形成することが好ましい。
また、実施形態では、グラブドア20として、上端20aを下端20bより後方に配置させるように傾斜させた構成のものを例示したが、本発明の膝保護用エアバッグ装置を搭載させるグラブドアはこれに限られるものではなく、傾斜させずに、厚さ方向を車両の前後方向に沿わせて、厚さ方向と直交する上下方向を、鉛直方向に沿わせるような構成のグラブドアに、膝保護用エアバッグ装置を搭載させてもよい。
13…グラブボックス、
14…ボックス本体、
14a…開口、
20…グラブドア、
40…エアバッグ、
42…インフレーター、
43…本体部、
45a…ガス吐出口、
47…固定部、
47a…固定部位、
51…固定ボルト、
54…ケース、
56,59…補強リブ部(補強部)、
57…取付座、
69…エアバッグカバー、
K…膝、
M…乗員、
S…膝保護用エアバッグ装置。
14…ボックス本体、
14a…開口、
20…グラブドア、
40…エアバッグ、
42…インフレーター、
43…本体部、
45a…ガス吐出口、
47…固定部、
47a…固定部位、
51…固定ボルト、
54…ケース、
56,59…補強リブ部(補強部)、
57…取付座、
69…エアバッグカバー、
K…膝、
M…乗員、
S…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (4)
- グラブドアのボックス本体における後部側に配置された開口を開閉可能に塞ぐグラブドアに搭載されて、着座した乗員の前方側に配設され、作動時、乗員の膝を保護可能なエアバッグを、前記グラブドアから後方側に展開膨張させる構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前後方向を、前記ボックス本体の開口を閉じている状態の前記グラブドアの厚さ方向に沿う方向とし、上下方向を、前記グラブドアの厚さ方向と直交する方向として、
前記グラブドアから後方に突出して膨張を完了させる前記エアバッグと、
前記エアバッグ内に配設されるとともに、前記エアバッグに膨張用ガスを供給する略円柱状のインフレーターと、
折り畳まれた前記エアバッグと前記インフレーターとを収納保持して、前記グラブドア内に取り付けられ、後部側に前記エアバッグの突出用開口を有したケースと、
前記ケースの突出用開口の後方を覆うように、前記グラブドアの後面に配設されて、膨張する前記エアバッグに押されて開くエアバッグカバーと、
を備えて構成されるとともに、
前記インフレーターが、作動時に前記膨張用ガスを吐出するガス吐出口を有した略円柱状の本体部と、該本体部から前記エアバッグを貫通して突出して、前記エアバッグとともに前記本体部を前記ケースに固定する固定部と、を備えて構成され、
前記ケースが、左右方向に沿った全域にわたって形成される補強部を、備える構成とされ、
前記インフレーターが、前記本体部の軸方向を左右方向に沿わせて配置されるとともに、前記ケースにおける前記補強部の部位において、前記固定部を利用して、前記補強部の後面側に支持され、かつ、固定されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 前記補強部が、前後方向側に突出させるように形成されて、左右方向に沿って配置されるリブから、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
- 前記補強部を構成するリブが、上下方向に離れた2箇所に、並設され、
前記インフレーターが、前記リブ間の部位に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の膝保護用エアバッグ装置。 - 前記インフレーターの固定部が、前記本体部から突出して前記ケースに固定される突出部位の元部側から先端側に向かう突出方向を、前方向から斜め上方あるいは斜め下方にずらすように、配置させて、前記ケースに固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の膝保護用エアバッグ装置。
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JP2008251172A JP2010083173A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 膝保護用エアバッグ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102022111506A1 (de) | 2022-05-09 | 2023-11-09 | Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft | Personenkraftwagen mit Knieairbagmodul |
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-
2008
- 2008-09-29 JP JP2008251172A patent/JP2010083173A/ja not_active Withdrawn
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