JP4444263B2 - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両衝突時に運転者の膝を、直接、膨張したエアバッグにより受け止めて保護する膝保護用エアバッグ装置に関し、特に、ステアリングコラムを覆うように配設されるコラムカバー内に、折り畳んだエアバッグを収納するステアリングコラム付けの膝保護用エアバッグ装置に関する。
従来、ステアリングコラム付けの膝保護用エアバッグ装置では、折り畳まれたエアバッグが、コラムカバー内の下部側に収納され、作動時、エアバッグに膨張用ガスが供給されて、エアバッグが、展開膨張しつつ、運転者の膝の前方側に配置されるように、コラムカバーの下部から斜め後下方側へ突出する構成としていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平09−104317号公報 特開平10−071911号公報
しかし、従来の膝保護用エアバッグ装置では、折り畳まれて収納されたエアバッグが、コラムカバーに一体的に設けられたエアバッグカバーを押し開いて突出していた。そして、このエアバッグカバーは、展開膨張するエアバッグに押された際に、周囲の薄肉の破断予定部(ティアライン)を破断させて開き、エアバッグの突出用開口を形成し、その突出用開口から、エアバッグを、運転者の膝の前方側に配置させるように、突出させていた。
そのため、エアバッグは、展開膨張時、エアバッグカバーの周囲の破断予定部を破断させつつ展開膨張する必要があり、迅速に、運転者の膝の前方側に配置させる上で、エアバッグカバーの開き時の抵抗を抑制させる点に課題があった。
なお、エアバッグカバーの開きを迅速にさせるため、膨張初期のエアバッグの内圧を高めるように、膨張用ガスを供給するインフレーターの出力を大きくすることが考えられるが、このような対策では、確かにエアバッグカバーの開きが迅速となるものの、コラムカバー付けの膝保護用エアバッグ装置では、コラムカバー自体が、運転者の膝に接近して配設されており、開き時のエアバッグカバーや膨張初期のエアバッグに、膝が接触する場合もあり、その場合の対処のために、膝の保護を図れるように、別途、エアバッグの内圧を抑制する手段等が、必要となって、容易に対処できない。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、収納されたエアバッグを覆うエアバッグカバーの開き抵抗を抑制できて、膨張初期のエアバッグの内圧を必要以上に高めることなく、収納部位からの迅速なエアバッグの展開膨張を確保できる膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、ステアリングコラムを覆うコラムカバーの下部側に搭載され、
折り畳まれて収納されて、作動時、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、運転者の膝を受け止め可能に、運転者の膝の前方側に配置されるエアバッグと、
収納されたエアバッグを覆うように配設され、膨張時のエアバッグに押されてドア部を開かせて、コラムカバーにエアバッグの突出用開口を形成するエアバッグカバーと、
を備えて構成される膝保護用エアバッグ装置であって、
エアバッグカバーが、ドア部の開き時の抵抗を抑制可能に、ドア部の外周縁の部位に、コラムカバーにおける突出用開口の周縁に対して開き前の状態から予め分離させている分離面を備えて、コラムカバーに配設されていることを特徴とする。
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグに膨張用ガスが流入すれば、エアバッグが膨張し、そして、膨張するエアバッグに押されてエアバッグカバーのドア部が開き、コラムカバーにエアバッグの突出用開口が形成されることから、エアバッグは、突出用開口から突出して、展開しつつ膨張し、運転者の膝の前方側に配置されることとなる。
その際、予め、エアバッグカバーのドア部は、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁の部位に、コラムカバーにおける突出用開口の周縁に対し、開き前の状態から予め分離された分離面を設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ自体が、押し開くこととなっても、エアバッグカバーのドア部には、開き時の抵抗を高める破断部位が無い、若しくは、破断部位を少なくできることから、膨張初期のエアバッグの内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバーのドア部は、膨張するエアバッグに押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグは、収納部位から迅速に突出して、展開膨張することができる。
したがって、本発明に係る膝保護用エアバッグ装置では、収納されたエアバッグを覆うエアバッグカバーの開き抵抗を抑制できて、膨張初期のエアバッグの内圧を必要以上に高めることなく、収納部位からの迅速なエアバッグの展開膨張を確保することができる。
なお、エアバッグカバーは、コラムカバーとともに、合成樹脂製の一体成形品として形成したり、あるいは、コラムカバーと別体とすることができる。
そして、エアバッグカバーが、合成樹脂製としたコラムカバーとともに一体成形されて形成される場合には、エアバッグカバーのドア部は、開き時のヒンジ部をインテグラルヒンジとして配設させ、インテグラルヒンジを除くドア部の外周縁には、コラムカバーにおける突出用開口の周縁との間に、分離面を形成するスリットを設けて、コラムカバーに配設してもよい。
このような構成では、膨張時のエアバッグに押されて、エアバッグカバーのドア部は、インテグラルヒンジを撓ませて開き、突出用開口を形成して、エアバッグを突出させることとなる。そして、このような構成では、インテグラルヒンジの部位以外のドア部の外周縁に、コラムカバーと予め分離されているスリットが形成されており、膨張するエアバッグに押されたドア部は、迅速な開きを確保できる。また、上記の構成では、エアバッグカバーをコラムカバーと一体成形できるため、容易にエアバッグカバーを製造することができる。
また、エアバッグカバーが、コラムカバーと別体として形成されている場合には、ドア部の開き時の回転中心側を形成するヒンジ部の部位を、コラムカバーと連結させることが望ましい。
このような構成では、エアバッグカバーが、コラムカバーと別体として、コラムカバーに連結される構造としていても、コラムカバーとの連結部位を、ドア部の開き時の回転中心側を形成するヒンジ部の一部として構成できて、極力、連結部位の部品点数を低減することができる。勿論、エアバッグカバーのドア部は、開いて突出用開口を形成しても、ヒンジ部の部位をコラムカバーとの連結部位としていることから、コラムカバーから外れて飛散することはない。
この場合、ヒンジ部は、ドア部の開き時の回転中心となる回転中心軸と、回転中心軸を回転可能に支持する軸支部と、を具備して構成することができる。回転中心軸と軸支部とは、それぞれ、対応させて、コラムカバー側若しくはエアバッグカバーのドア部側のどちらかに形成することができる。
また、この場合のヒンジ部は、一方の端部をドア部に連結固定させ、他方の端部をコラムカバーにおける突出用開口の周縁に連結固定させた可撓性を有する帯片から、構成してもよい。
さらに、エアバッグカバーのドア部の開き構造は、ヒンジ部を設けて、回転させて開く構造の他、スライドさせて開くように、エアバッグカバーを構成してもよい。すなわち、エアバッグカバーが、コラムカバーと別体として形成される場合には、エアバッグの膨張時、ドア部を突出用開口の開口面に沿って移動させて(スライド移動させて)突出用開口を形成可能に、エアバッグカバーは、コラムカバーに保持させて配設させてもよい。この場合、エアバッグカバーのドア部のスライド移動の駆動力は、エアバッグの膨張時の押圧力を利用したり、あるいは、別途配設するアクチュエータを併用してもよい。
さらにまた、エアバッグカバーが、コラムカバーと別体として形成される場合には、ドア部を、膨張時のエアバッグに押されて突出用開口を形成するように開き可能に、コラムカバーにおける突出用開口の配設部位に配置させて、エアバッグカバーをステアリングコラムに取り付けてもよい。
そして、突出用開口は、コラムカバーの下面側とコラムカバーの左右両側とのいずれか一方に、若しくは、コラムカバーの下面側からコラムカバーの左右両側に連なるように、形成することができる。
なお、突出用開口がコラムカバーの下面側に形成される場合には、ドア部の外周縁に開口幅の広いスリットが形成されても、そのスリットが目視し難いコラムカバーの下面側に配置されるため、コラムカバーの外観意匠を低下させ難い。また、突出用開口がコラムカバーの下面側に形成される場合には、左右方向に沿う回転中心を備えたヒンジ部を利用し、下方へ回転して開いて突出用開口を形成するドア部を配設する構造では、開き前のドア部の保持は、突出用開口の周縁に対して下方への開きを防止する係止脚等の手段を、ドア部の外周縁側から突出用開口の周縁を係止するように、あるいは、突出用開口の周縁側からドア部の外周縁を係止するように設けるだけでよい。そして、上方への移動を防止する手段としては、その移動方向がコラムカバーの内部側となって、折り畳まれたエアバッグに規制されることから、不要となる。
また、コラムカバーの下部側の左右両側に突出用開口が形成される構成であれば、エアバッグの左右方向両側への展開が促成されて、運転者の膝側となる後方側への突出を抑えて、展開膨張時のエアバッグの左右方向の保護エリアを広く確保することができる。
さらに、コラムカバーの下面側から連なる左側面や右側面にわたるエリアに、突出用開口が形成される場合には、展開膨張時のエアバッグの左右方向の保護エリアを広く確保することができるとともに、コラムカバーの下面側の左右方向の中央付近に、容易に、展開膨張させたエアバッグの部位を配置させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1は、図2に示すように、折り畳んだエアバッグ45をコラムカバー16内の下部16a側に収納させて、構成されている。この膝保護用エアバッグ装置M1は、折り畳まれたエアバッグ45と、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター51と、エアバッグ45とインフレーター51とを収納するケース56と、を備えて構成され、膨張時のエアバッグ45が、コラムカバー16に設けたエアバッグカバー33のドア部(前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、後ドア部38)を押し開いて、着座した運転者Dの左右の膝K(KL,KR)の前方側に配置されるように、構成されている(図6参照)。
コラムカバー16は、図1,2、図6に示すように、ステアリングコラム3を覆うような略四角筒形状の合成樹脂製として、図示しない部位でステアリングコラム3のコラムチューブ5に取り付けられ、インストルメントパネル(以下、インパネとする)7の収納用開口10から後方側へ突出するように、着座した運転者Dの前方に配設されている。なお、ステアリングコラム3は、メインシャフト4とその周囲に配置されるコラムチューブ5とを備えて構成され、メインシャフト4には、ステアリングホイール1が接続されている。インパネ7は、上部側のアッパパネル8と下部側のロアパネル9とから構成されている。
エアバッグ45は、図1、図5,6の二点鎖線や実線に示すように、膨張完了時の形状を、左右方向を長くした横長の長方形板状とするように構成され、膨張完了時に運転者D側に配置される運転者側壁部46と、コラムカバー16側に配置されるコラム側壁部47とを備えて構成されている。これらの運転者側壁部46とコラム側壁部47とは、ポリエステルやポリアミド等の織布から外形を同形状として裁断され、外周縁相互を縫合してエアバッグ45を形成している。また、コラム側壁部47には、エアバッグ45内に収納したインフレーター51の各ボルト53b(図2,10参照)を突出させるための取付孔48が複数箇所(実施形態では二箇所)に形成されている。
そして、エアバッグ45は、展開膨張完了時、運転者Dの膝KL,KRに対して、インパネ7から後方へ突出したコラムカバー16の下面18a側と、インパネ7のロアパネル9の後面7aにおけるコラムカバー16の下方と左右両側との収納用開口の周縁11と、を覆い可能な形状に構成されている(図6参照)。
なお、エアバッグ45は、運転者側壁部46とコラム側壁部47とが周縁の一部で連結された一枚の布材を、二つ折りして、外周縁を縫合して形成してもよい。また、エアバッグ45は、内部に、膨張完了時の板形状を維持可能に、運転者側壁部46とコラム側壁部47とを連結して厚さを規制する図示しないテザーを、配設させている。
インフレーター51は、図2に示すように、複数のガス吐出口52aから膨張用ガスを吐出させるシリンダタイプの本体52と、本体52を保持する略円筒状のディフューザー53と、から構成されている。ディフューザー53は、膨張用ガスを流出させる複数の開口53aを備えている。そして、ディフューザー53は、エアバッグ45やケース56とともに、インフレーター51をコラムチューブ5に取り付けるための2本のボルト53bを備えている(図10参照)。各ボルト53bは、コラムチューブ5のブラケット5aにナット54止めされている。
ケース56は、図2に示すように、断面逆U字形とした板金製として、天井壁57と、天井壁57の前後の縁から下方に延びる側壁58,59とを備えて構成されており、各側壁58,59には、コラムカバー16の取付壁19,20に設けた各係止孔19a,20aに挿入されて、取付壁19,20と連結される複数の係止爪58a,59aが形成されている。天井壁57には、インフレーター51の各ボルト53bを貫通させる貫通孔57aが形成されている。
そして、コラムカバー16には、図3〜6に示すように、外周面18の下面18a側から左側面18bと右側面18cとにわたるエリアに、エアバッグ45の突出時における一つの突出用開口22を形成可能に、エアバッグ45に押されて開くドア部(前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、後ドア部38)を備えたエアバッグカバー33が配設されている。実施形態の場合、エアバッグカバー33は、合成樹脂製のコラムカバー16と一体成形されている。
第1実施形態の場合、エアバッグカバー33は、膨張時のエアバッグ45に押されて開く4枚の前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38から構成されている。前下ドア部34は、コラムカバー16の下壁17aに配設され、前左ドア部35は、コラムカバー16の左側壁17bに配設され、前右ドア部36は、コラムカバー16の右側壁17cに配設されている。そして、前下ドア部34、前左ドア部35、及び、前右ドア部36は、それぞれ、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部34a,35a,36aとして、後縁34b,35b,36bを前方側に向けるように、開く構成としている。また、後ドア部38は、コラムカバー16の下壁17aから左側壁17bと右側壁17cとの左右両側に延びるように配設され、後縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部38aとして、前縁38bを後方側に向けるように、開く構成としている。
これらのエアバッグカバー33の前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38は、開き時のヒンジ部34a,35a,36a,38aをインテグラルヒンジ41として形成されて、このインテグラルヒンジ41を連結部位として、コラムカバー16と連結されている。そして、インテグラルヒンジ41を除くエアバッグカバー33の各前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38の外周縁は、コラムカバー16における突出用開口22の周縁との間に、分離面SPを形成するように、スリット24を設けて、配設されている。
スリット24は、コラムカバー16の略四角筒状の周壁17の内外周を貫通する穴を連続的な線状に設けて、形成されている。第1実施形態の場合、スリット24は、隣接するドア部の間を含めて配設され、中央線部25、上左線部26、下左線部27、上右線部28、下右線部29、後左線部30、及び、後右線部31を備えて構成されている。中央線部25は、三枚の前下ドア部34、前左ドア部35、及び、前右ドア部36の各後縁34b,35b,36bと、後ドア部38の前縁38bと、を前後に区画するように配設されている。上左線部26は、突出用開口22の周縁における前左ドア部35の上縁側に位置して、中央線部25の左上端から前方に延びるように配設されている。下左線部27は、前下ドア部34と前左ドア部35との間に配置されて、中央線部25における周壁17の下壁17aと左側壁17bとの交差部位の稜線に略沿って前方側に延びるように配設されている。上右線部28は、突出用開口22の周縁における前右ドア部36の上縁側に位置して、中央線部25の右上端から前方に延びるように配設されている。下右線部29は、前下ドア部34と前右ドア部36との間に配置されて、中央線部25における周壁17の下壁17aと右側壁17cとの交差部位の稜線に略沿って前方側に延びるように配設されている。後左線部30は、突出用開口22の周縁における中央線部25の左上端から斜め後下方の下壁17aまで延びるように配設され、後右線部31は、突出用開口22の周縁における中央線部25の右上端から斜め後下方の下壁17aまで延びるように配設されている。
なお、各ヒンジ部34a,35a,36aが容易に撓んで、前下ドア部34、前左ドア部35、及び、前右ドア部36が開き易いように、上左線部26と上右線部28との前端は、下方へ屈曲し、下左線部27と下右線部29との前端は、二又状に分岐して、それぞれ、ヒンジ部34a,35a,36a側に向かって、配設されている。
第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1では、作動時、インフレーター51がガス吐出口52aから膨張用ガスGを吐出し、折り畳まれて収納されたエアバッグ45が膨張用ガスGを供給されて膨張すれば、図3,5に示すように、膨張するエアバッグ45に押されて、前下ドア部34、前左ドア部35、及び、前右ドア部36が、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部34a,35a,36aとして、後縁34b,35b,36bを前方側に向けるように、開き、また、後ドア部38が、後縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部38aとして、前縁38bを後方側に向けるように、開いて、コラムカバー16の下面18aから左側面18bと右側面18cとにわたるエリアに、突出用開口22を形成し、膨張するエアバッグ45は、突出用開口22から突出して、前方移動する運転者Dの膝KL,KRを保護可能に、運転者Dの膝KL,KRに対して、インパネ7から後方へ突出したコラムカバー16の下面18a側と、インパネ7におけるコラムカバー16の下方と左右両側との後面7a側と、を覆うように、展開膨張する。
そして、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1では、予め、エアバッグカバー33の前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38が、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁の部位に、コラムカバー16における突出用開口22の周縁に対し、さらに、実施形態の場合には、隣接するドア部に対しても、開き前の状態から予め分離された分離面SPを設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ45自体が、押し開くこととなっても、前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38には、開き時の抵抗を高める破断部位が無いことから、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバー33の前下ドア部34、前左ドア部35、前右ドア部36、及び、後ドア部38は、膨張するエアバッグ45に押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグ45は、収納部位としてのケース56から迅速に突出して、展開膨張することができる。
したがって、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1では、収納されたエアバッグ45を覆うエアバッグカバー33の開き抵抗を抑制できて、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、ケース56からの迅速なエアバッグ45の展開膨張を確保することができる。
そして、第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1では、エアバッグカバー33が、合成樹脂製としたコラムカバー16とともに一体成形されて形成されており、容易にエアバッグカバー33を製造することができる。
なお、第1実施形態では、コラムカバー16の周壁17の下壁17aから左側壁17bと右側壁17cとにわたるように、前左ドア部35と前右ドア部36とを設け、後ドア部38も、左側壁17bと右側壁17cとにわたるように、配設した。しかし、周囲にスリット24を設けたドア部として、前下ドア部34と、その後方側の下壁17aの領域だけで構成した後ドア部38と、から構成したり、あるいは、面積を広くした前下ドア部34や下壁17a側だけの後ドア部38との一方から構成してもよい。このような場合、突出用開口がコラムカバー16の下面18a側に形成され、ドア部の外周縁に開口幅の広いスリットが形成されても、そのスリットが目視し難いコラムカバー16の下面18a側に配置されるため、コラムカバー16の外観意匠を低下させ難い。
また、エアバッグカバーは、コラムカバーと別体として形成されていてもよい。図7〜12に示す第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置M2は、コラムカバー16Aにおける突出用開口22Aの形成部位に、コラムカバー16Aと別体のエアバッグカバー63が配設されている。第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置M2では、コラムカバー16Aとエアバッグカバー63とが第1実施形態のものと相違しているものの、他の構成部品であるエアバッグ45、インフレーター51、及び、ケース56等は、第1実施形態と同様のものが使用されている。
第2実施形態のコラムカバー16Aは、周壁17の下壁17aに長方形状の開口の突出用開口22Aを配設させ、下面18a側だけから、エアバッグ45を突出させるように構成されている。
エアバッグカバー63は、図8〜11に示すように、コラムカバー16Aと同様な合成樹脂材料から形成され、エアバッグカバー63のドア部64は、突出用開口22Aを塞ぎ可能な長方形板状として、後縁64b側に、膨張時のエアバッグ45に押されて開く際の回転中心側を形成するヒンジ部65を配設させて、開き時、前縁64c側を下向きの後側に向けて回転するように、配設されている。このヒンジ部65は、ドア部64の開き時の回転中心となる回転中心軸66と、回転中心軸66を回転可能に支持する軸支部67と、を具備して構成されている。回転中心軸66は、ドア部64の後縁64b側の左右両側面で左右両側に突出するように配設され、軸支部67は、コラムカバー16Aの突出用開口22Aの後縁側の周縁に、回転中心軸66,66に対応して、回転中心軸66を挿入させる挿入穴を設けて配設されている。すなわち、ドア部64は、ヒンジ部65の部位を除く前後左右の外周縁64aを分離面SPとして、コラムカバー16における突出用開口22Aの内周面22aと分離されている。
また、ドア部64の外周縁64aには、コラムカバー16Aの内周面側における突出用開口22Aの周縁23に係止可能な複数の係止脚68が形成されている。係止脚68の係止力は、膨張するエアバッグ45にドア部64が押されれば、容易に撓んで、周縁23から係止脚68が外れる程度のものである。
この第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置M2でも、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグ45に膨張用ガスGが流入すれば、図8,12に示すように、エアバッグ45が膨張し、そして、膨張するエアバッグ45に押されて、係止脚68を突出用開口22Aの周縁23から外しつつ、エアバッグカバー63のドア部64が、ヒンジ部65の回転中心軸66を回転中心として、後ろ下開きで開き、コラムカバー16Aにエアバッグ45の突出用開口22Aが形成されることから、エアバッグ45は、突出用開口22Aから突出して、展開しつつ膨張し、運転者Dの膝K(KL、KR)の前方側に配置されることとなる(図7の二点鎖線参照)。
その際、予め、エアバッグカバー63のドア部64は、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁64aの部位に、コラムカバー16Aにおける突出用開口22Aの周縁に対し、開き前の状態から予め分離された分離面SPを設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ45自体が、押し開くこととなっても、エアバッグカバー63のドア部64には、開き時の抵抗を高める破断部位が無いことから、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバー63のドア部64は、膨張するエアバッグ45に押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグ45は、折り畳まれて収納された収納部位としてのケース56から迅速に突出して、展開膨張することができ、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
そして、この第2実施形態では、エアバッグカバー63が、コラムカバー16Aと別体として、コラムカバー16Aに連結される構造としていても、コラムカバー16Aとの連結部位を、ドア部64の開き時の回転中心側を形成するヒンジ部65の一部として構成できて、極力、連結部位の部品点数を低減することができる。勿論、エアバッグカバー63のドア部64は、開いて突出用開口22Aを形成しても、ヒンジ部65の部位をコラムカバー16Aとの連結部位としていることから、コラムカバー16Aから外れて飛散することはない。
なお、第2実施形態では、ドア部64のヒンジ部65が、ピン状の回転中心軸66をドア部64側に設け、回転中心軸66を挿入させる穴部を備えた軸支部67をコラムカバー16A側に設けたが、ピン状の回転中心軸66をコラムカバー16A側に設け、ドア部64側に軸支部67を設けてもよい。
また、エアバッグカバーが、コラムカバーと別体として形成されて、エアバッグカバーのドア部の開き時の回転中心側を形成するヒンジ部の部位を、コラムカバーと連結させる場合、図13〜15に示す第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置M3のように構成してもよい。この第3実施形態では、エアバッグカバー63におけるドア部64のヒンジ部65Aの構成が、第2実施形態のものと相違しているだけで、他の構成部品は、第2実施形態と同じものが使用されている。
そして、第3実施形態のヒンジ部65Aは、一方の端部70aをドア部64に連結固定させ、他方の端部70bをコラムカバー16Aにおける突出用開口22Aの周縁23に連結固定させた可撓性を有する帯片70から、構成されている。帯片70は、実施形態の場合、ポリアミド等の織布から形成されて、ドア部64の後縁64b側の左右の2箇所に配設されている。
この第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置M3でも、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグ45に膨張用ガスGが流入すれば、図13,15に示すように、エアバッグ45が膨張し、そして、膨張するエアバッグ45に押されて、係止脚68を突出用開口22Aの周縁23から外しつつ、エアバッグカバー63のドア部64が、ヒンジ部65Aの帯片70を撓ませ、帯片70付近を回転中心として、後ろ下開きで開き、コラムカバー16Aにエアバッグ45の突出用開口22Aが形成されることから、エアバッグ45は、突出用開口22Aから突出して、展開しつつ膨張し、運転者の膝の前方側に配置され、第2実施形態の同様な作用・効果を得ることができる。
なお、第2,3実施形態では、ドア部64の外周縁64aに、コラムカバー16Aの突出用開口22Aの周縁23に係止可能な複数の係止脚68を形成したが、図9,13の二点鎖線に示すように、コラムカバー16Aにドア部64の外周縁64aを係止可能に係止脚68Aを配設させてもよい。勿論、この係止脚68Aの係止力は、膨張するエアバッグ45にドア部64が押されれば、容易に撓んで、係止脚68Aからドア部64の外周縁64aが外れる程度のものである。
また、第2,3実施形態のように、突出用開口22Aがコラムカバー16Aの下面側に形成される場合には、左右方向や前後方向等に沿う回転中心を備えたヒンジ部65,65Aを利用し、下方へ回転して開いて突出用開口22Aを形成するドア部64を配設する構造では、開き前のドア部64の位置規制において、突出用開口22Aの周縁23に形成されて下方への開きを防止する係止脚68,68A等の手段をドア部64の外周縁に設けるだけでよく、上方への移動を防止する手段としては、その移動方向がコラムカバー16Aの内部側となって、折り畳まれたエアバッグ45に規制されることから、不要となる。
さらに、エアバッグカバーのドア部の開き構造は、ヒンジ部を設けて、回転させて開く構造の他、スライドさせて開くように、エアバッグカバーを構成してもよい。すなわち、図16〜20に示す第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置M4のように、エアバッグカバー73は、コラムカバー16Bと別体として形成されて、コラムカバー16Bの突出用開口22Bを塞ぐドア部74を、突出用開口22Bの開口面OPに沿うようにステアリングコラム3の軸方向に沿う後方移動させて(スライド移動させて)、突出用開口22Bを開口させるように、コラムカバー16Bに配設されている。コラムカバー16Bの突出用開口22Bは、周壁17の下壁17aから左側壁17bと右側壁17cとにわたるエリアに、配設されている。
なお、第4実施形態では、コラムカバー16B、エアバッグカバー73、及び、ケース56Bが第1実施形態のものと相違しているものの、他の構成部品であるエアバッグ45、インフレーター51等は、第1実施形態と略同じものが使用されている。
エアバッグカバー73は、図17〜19に示すように、形状保持性を有する合成樹脂材料から形成され、底壁部75と底壁部75の左右両側から上方に延びる側壁部77,77とを備えた断面略U字形状のドア部74を備え、側壁部77,77の上端には、左右方向の外側へ突出するガイド片部78が、配設されている。底壁部75は、突出用開口22Bにおけるコラムカバー16Bの下面18a側を覆う部位であり、左右の側壁部77は、それぞれ、突出用開口22Bにおけるコラムカバー16Bの左側面18b側と右側面18c側を覆う部位としている。また、底壁部75の後部付近の上面には、前後方向に沿う三角板状の受圧部76が、左右方向に沿って並設されて、突設されている。左右のガイド片部78,78は、コラムカバー16Bの内周面側における左側壁17bと右側壁17cにおける突出用開口22Bの上縁近傍付近から、ステアリングコラム3の軸方向に沿って後方側に延びるガイド溝80に、摺動可能に嵌挿されている。受圧部76は、前面76a側を膨張するエアバッグ45に後方側へ押される部位として、前面76aが、底壁部75の後部側に向かうにしたがって底壁部75から上方に高くなる略テーパ状に形成されている。
なお、ケース56Bは、図17,19に示すように、断面逆U字形とした板金製として、天井壁57と、天井壁57の前後の縁から下方に延びる側壁58,59とを備えて構成されている。そして、第4実施形態のケース56Bは、第1実施形態のケース56と相違して、側壁58,59が下方へ延びる長さを長くして、係止爪を備えていない。また、後方側の側壁59には、各受圧部76を後方側からケース56B内に挿入可能なスリット59bが、下縁側から上方に延びるように配設されている。
この第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置M4では、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグ45に膨張用ガスGが流入すれば、図17,20に示すように、エアバッグ45が膨張し、そして、膨張するエアバッグ45に受圧部76の前面76aが押されて、ガイド片部78がガイド溝80を摺動して、ドア部74が後方側へ移動し、コラムカバー16Bにエアバッグ45の突出用開口22Bが形成される。この突出用開口22Bの形成は、ケース56B内で膨張するエアバッグ45に受圧部76の前面76aが押される際の駆動力と、底壁部75の前縁75aと突出用開口22Bの周縁23の前縁23aとの間の隙間Hに侵入するエアバッグ45が、前縁23aを後方へ押す駆動力と、により、ドア部74が後方移動し、突出用開口22Bが形成されることとなる。そして、エアバッグ45は、突出用開口22Bから突出して、展開しつつ膨張し、運転者Dの膝K(KL,KR)の前方側に配置されることとなる(図16の二点鎖線参照)。
そして、この第4実施形態でも、予め、エアバッグカバー73のドア部74は、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁74aの部位に、コラムカバー16Bにおける突出用開口22Bの周縁23に対し、開き前の状態から予め分離された分離面SPを設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ45自体が、押し開くこととなっても、エアバッグカバー73のドア部74には、開き時の抵抗を高める破断部位が無いことから、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバー73のドア部74は、膨張するエアバッグ45に押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグ45は、ケース56Bから迅速に突出して、展開膨張することができる。
なお、第4実施形態において、エアバッグカバー73のドア部74のスライド移動を一層迅速に行えるように、図17の二点鎖線に示すように、ドア部74の後方移動を補助するマイクロガスジェネレータ等を利用したアクチュエータ81と、アクチュエータ81から延びてドア部74に連結される牽引材82と、を使用し、アクチュエータ81の駆動力(牽引力)とエアバッグ45の膨張時の押圧力とを併用してもよい。
また、エアバッグカバー73のスライド移動させるドア部74としては、エアバッグ45の突出用開口の開口面積を確保できれば、コラムカバー16Bの下面18a側だけに、設けてもよい。
さらにまた、エアバッグカバーがコラムカバーと別体として形成される場合には、図21〜24に示す第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置M5のように、ドア部84を、膨張時のエアバッグ45に押されて突出用開口22Cを形成するように開き可能に、コラムカバー16Cにおける突出用開口22Cの配設部位に配置させて、エアバッグカバー83をステアリングコラム3に取り付けてもよい。コラムカバー16Cの突出用開口22Cは、周壁17の下壁17aから左側壁17bと右側壁17cとにわたるエリアに、配設されている。
なお、第5実施形態では、コラムカバー16C、エアバッグカバー83、及び、ケース56Cが第1実施形態のものと相違しているものの、他の構成部品であるエアバッグ45、インフレーター51等は、第1実施形態と同様のものが使用されている。
エアバッグカバー83は、ドア部84と取付片部88とを備えて構成されて、ドア部84がエアバッグ45の膨張時に撓んで開き可能な熱可塑性エラストマー等の合成樹脂材料から形成されている。ドア部84は、突出用開口22Cにおけるコラムカバー16Cの下面18a側の部位の下方を覆う底壁部85、及び、底壁部85の左右両側から上方に延びて、突出用開口22Cにおけるコラムカバー16Cの左側面18b側と右側面18c側との外方を覆う側壁部86,86を備えた断面略U字形状としている。
取付片部88は、底壁部85の後部側の上面から左右方向に沿って上方に延びる連結板部89と、連結板部89の上端から前方に延びる取付板部90と、を備えた断面逆L字状に構成され、取付板部90には、ケース56Cと共締めされて、ステアリングコラム3のコラムチューブ5のブラケット5aにナット54止めされるように、インフレーター51のディフューザー53におけるボルト53bを挿通させる取付孔90a,90aが形成されている。
そして、ドア部84は、膨張するエアバッグ45に押されて突出用開口22Cを形成するように開く際、底壁部85における連結板部89の前側近傍をヒンジ部87として、底壁部85と下開きで後方向へ回転させるように開き、左右の各側壁部86,86が、コラムカバー16の左側面18bと右側面18cとに接触するように裏返って開くこととなる。
なお、ケース56Cは、断面L字形とした板金製として、天井壁57と、天井壁57の前縁から下方に延びる側壁58と、を備えて構成されている。
この第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置M5では、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグ45に膨張用ガスGが流入すれば、図21,24に示すように、エアバッグ45が膨張し、そして、膨張するエアバッグ45に押されて、ドア部84が、ヒンジ部87を回転中心として下開きの後方側へ回転するように開いて、コラムカバー16Cにエアバッグ45の突出用開口22Cが形成されることから、エアバッグ45は、突出用開口22Cから突出して、展開しつつ膨張し、運転者Dの膝K(KL、KR)の前方側に配置されることとなる(図21の二点鎖線参照)。
その際、予め、エアバッグカバー83のドア部84が、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁84aの部位に、コラムカバー16Cにおける突出用開口22Cの周縁に対し、開き前の状態から予め分離された分離面SPを設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ45自体が、押し開くこととなっても、エアバッグカバー83のドア部84には、開き時の抵抗を高める破断部位が無いことから、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバー83のドア部84は、膨張するエアバッグ45に押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグ45は、折り畳まれて収納された収納部位としてのケース56Cから迅速に突出して、展開膨張することができ、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、第5実施形態では、コラムカバー16Cと別体のエアバッグカバー83が、エアバッグ45、インフレーター51、及び、ケース56Cとともに、ステアリングコラム3に、強固に固定されており、ドア部84の開き状態を安定させることができる。
さらに、第5実施形態では、ドア部84の外周縁84aが、コラムカバー16Cの突出用開口22Cの周縁23における外周面18側に、重なり、その重なり部位に分離面SPを配設させている。すなわち、第1〜3実施形態のように、前下ドア部34やドア部64がコラムカバー16,16Aの外周面18と略面一となるように、分離面SPを、コラムカバー16,16Aの周壁17における突出用開口22,22Aの内周面に突き合わせるように、配置させている構成(図2,8,13参照)と相違して、第5実施形態のドア部84は、コラムカバー16Cの外周面18の下面18a、左側面18b、右側面18cから段差を設けるように、突出して配置されている。しかし、このドア部84は、コラムカバー16Cの下面18a側から左側面18bや右側面18cの下部側、すなわち、コラムカバー16Cの下面18a側(下部16a側)の領域に配置されていることから、運転者Dから目視し難く、コラムカバー16Cの意匠性を損なうこととはならない。
また、コラムカバーと別体のエアバッグカバーをステアリングコラムに取り付ける場合、図25〜27に示す第6実施形態の膝保護用エアバッグ装置M6のように、エアバッグカバー83Dのドア部84が、コラムカバー16Dの突出用開口22Dにおける下面18a側の部位を覆うように、底壁部85だけから構成されていてもよい。
さらに、この第6実施形態では、図26,27に示すように、エアバッグカバー83Dのドア部84が開く際に形成される突出用開口22Dの開口面積を広げるように、コラムカバー16Dの左側壁17bと右側壁17cとに、それぞれ、ドア部91が配設されている。第6実施形態の場合、各ドア部91は、前後の縁に薄肉の破断予定部21を設けて配設されており、膨張時のエアバッグ45に押されて、上開きで開くこととなる。なお、これらのドア部91は、突出用開口22Dの開口面積を広げるように、補助的に設けられるものであり、膨張初期のエアバッグ45の迅速な展開膨張を阻害しない状態として配設されることとなる。勿論、この破断予定部21は、コラムカバー16Dの内外周を貫通するスリットに変更してもよい。
また、コラムカバーに形成する突出用開口は、コラムカバーの下面側から左右の側面にわたるエリアに設けたり、あるいは、コラムカバーの下面側だけに設ける場合の他、図28〜31に示す第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置M7のように、コラムカバー16Eの左右の左側面18bと右側面18cとだけに、突出用開口22Eを形成するようにしてもよい。
この第7実施形態では、エアバッグカバー103が、合成樹脂製のコラムカバー16Eと一体成形されるものであり、周囲にスリット94を配設させた長方形板状のドア部104を、コラムカバー16Eの左右の左側壁17bと右側壁17cとに配設させて、構成されている。各スリット94は、横置きの略U字状として、ドア部104が、開き時、後縁側をインテグラルヒンジ41からなるヒンジ部104aとし、前縁104b側を外向きの後側方向に回転させるように配設されている。
なお、第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置M7では、インフレーター51Eにおける円筒状のディフューザー53が、膨張用ガスGを流出させる開口53aを左右の両端に配置させて構成され、展開膨張時のエアバッグ45が、左右のドア部104を左右方向の外方へ押し易いように構成されている。
この第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置M7でも、作動時、インフレーター51Eがガス吐出口52aから膨張用ガスGを吐出し、折り畳まれて収納されたエアバッグ45が膨張用ガスGを供給されて膨張すれば、図30,31に示すように、膨張するエアバッグ45に押されて、ドア部104が、後縁側のヒンジ部104aを回転中心として、前縁104b側を後方側に向けるように、開き、コラムカバー16Eの左側面18bと右側面18cとに、突出用開口22Eを形成することから、膨張するエアバッグ45は、突出用開口22Eから突出して、運転者Dの膝K(KL,KR)の前方側に配置されることとなる(図28の二点鎖線参照)。
そして、第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置M7でも、ドア部104が、開き時の抵抗を抑制可能に、外周縁の部位に、スリット94により、コラムカバー16Eにおける突出用開口22Eの周縁に対し、開き前の状態から予め分離された分離面SPを設けて、配設されているため、膨張するエアバッグ45自体が、押し開くこととなっても、ドア部104には、開き時の抵抗を高める破断部位が無いことから、膨張初期のエアバッグ45の内圧を必要以上に高めることなく、エアバッグカバー103のドア部104は、膨張するエアバッグ45に押されて、迅速かつ円滑に開き、その結果、エアバッグ45は、収納部位としてのケース56から迅速に突出して、展開膨張することができる。
なお、第7実施形態では、コラムカバー16Eの下部16a側の左右両側に突出用開口22E,22Eが形成されており、エアバッグ45の左右方向両側への展開が促成されて、運転者Dの膝K側となる後方側への突出を抑えて、展開膨張時のエアバッグ45の左右方向の保護エリアを広く確保することができる。勿論、第1,4,5実施形態のコラムカバー16,16B,16Cのように、下面18aから左側面18bや右側面18cにわたるエリアに、突出用開口22,22B,22Cが形成されている場合には、展開膨張時のエアバッグ45の左右方向の保護エリアを広く確保することができるとともに、コラムカバー16,16B,16Cの下面18a側の左右方向の中央付近に、容易に、展開膨張させたエアバッグ45の部位を配置させることができる。
本発明に係る第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されているステアリングコラムの前後方向に沿った拡大概略縦断面図である。 第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するコラムカバーの突出用開口を形成する開き前と開き後の状態とを示す概略部分斜視図である。 第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するコラムカバーの概略横断面図である。 第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す拡大概略縦断面図である。 第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時におけるコラムカバー付近を車両後方側から見た際の概略正面図である。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されているステアリングコラムの前後方向に沿った拡大概略縦断面図である。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置の拡大概略縦断面図であり、図8のIX−IX部位が対応する。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置の拡大概略縦断面図であり、図8のX−X部位が対応する。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するドア部の斜視図である。 第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す拡大概略縦断面図である。 第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置の拡大概略縦断面図である。 第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するドア部の斜視図である。 第3実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す拡大概略縦断面図である。 第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されているステアリングコラムの前後方向に沿った拡大概略縦断面図である。 第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するエアバッグカバーの斜視図である。 第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置の拡大概略縦断面図であり、図17のXIX−XIX部位が対応する。 第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す拡大概略縦断面図である。 第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されているステアリングコラムの前後方向に沿った拡大概略縦断面図である。 第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するエアバッグカバーの斜視図である。 第5実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す拡大概略縦断面図である。 第6実施形態の膝保護用エアバッグ装置に使用するエアバッグカバーの斜視図である。 第6実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第6実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す概略側面図である。 第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置が搭載されたコラムカバー付近の概略側面図である。 第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置の左右方向に沿った拡大概略縦断面図であり、図28のXXIX−XXIX部位に対応する。 第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時を示す概略側面図である。 第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置の作動時における左右方向に沿った拡大概略縦断面図である。
符号の説明
3…ステアリングコラム、
16・16A・16B・16C・16D・16E…コラムカバー、
22・22A・22B・22C・22D・22E…突出用開口、
24・104…スリット、
33・63・73・83・103…エアバッグカバー、
34・35・36・38・64・74・84・91・92・104…ドア部、
41…インテグラルヒンジ、
45…エアバッグ、
51…インフレーター、
56・56B・56C…(収納部位)ケース、
65・65A…ヒンジ部、
66…回転中心軸、
67…軸支部、
70…帯片、
SP…分離面、
D…運転者、
K・KL・KR…膝、
M1・M2・M3・M4・M5・M6・M7…膝保護用エアバッグ装置。

Claims (6)

  1. ステアリングコラムを覆うコラムカバーの下部側に搭載され、
    折り畳まれて収納されて、作動時、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、運転者の膝を受け止め可能に、運転者の膝の前方側に配置されるエアバッグと、
    収納された前記エアバッグを覆うように配設され、膨張時の前記エアバッグに押されてドア部を開かせて、前記コラムカバーに前記エアバッグの突出用開口を形成するエアバッグカバーと、
    を備えて構成される膝保護用エアバッグ装置であって、
    前記突出用開口が、前記コラムカバーの下面から左側面と右側面とにわたるエリアに、一つ形成される構成として、
    前記エアバッグカバーが、前記ドア部の開き時の抵抗を抑制可能に、前記ドア部の外周縁の部位に、前記コラムカバーにおける前記突出用開口の周縁に対して開き前の状態から予め分離させている分離面を備えて、合成樹脂製とした前記コラムカバーとともに一体成形されて、前記コラムカバーに配設され
    前記エアバッグカバーの前記ドア部が、前記エアバッグに押されてヒンジ部を回転中心として、開く構成とするとともに、前記ヒンジ部をインテグラルヒンジとして配設され、
    前記インテグラルヒンジを除く前記ドア部の外周縁が、前記コラムカバーにおける前記突出用開口の周縁との間に、前記分離面を形成するスリットを設けて、配設されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。
  2. 前記ドア部が、後縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、前縁を後方側に向けるように開く構成として、前記コラムカバーの下壁から左側壁と右側壁との左右両側に延びるように、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
  3. 前記ドア部が、それぞれ、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、後縁を前方側に向けるように開く構成として、
    前記コラムカバーの下壁に配設される下ドア部、前記コラムカバーの左側壁に配設される左ドア部、及び、前記コラムカバーの右側壁に配設される右ドア部、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
  4. 前記ドア部が、一つの突出用開口を形成可能な前下ドア部、前左ドア部、前右ドア部、及び、後ドア部の4枚から構成され、
    前記前下ドア部が、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、後縁を前方側に向けるように開く構成として、前記コラムカバーの下壁に配設され、
    前記前左ドア部が、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、後縁を前方側に向けるように開く構成として、前記コラムカバーの左側壁に配設され、
    前記前右ドア部が、前縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、後縁を前方側に向けるように開く構成として、前記コラムカバーの右側壁に配設され、
    前記後ドア部が、
    後縁側を開き時の回転中心を構成するヒンジ部とし、前縁を後方側に向けるように開く構成とするとともに、前記前下ドア部、前記前左ドア部、及び、前記前右ドア部の各後縁の後方に前記後ドア部の前縁を配設させて、前記コラムカバーの前記下壁から前記左側壁と前記右側壁との左右両側に延びるように、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の膝保護用エアバッグ装置。
  5. ステアリングコラムを覆うコラムカバーの下部側に搭載され、
    折り畳まれて収納されて、作動時、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、運転者の膝を受け止め可能に、運転者の膝の前方側に配置されるエアバッグと、
    収納された前記エアバッグを覆うように配設され、膨張時の前記エアバッグに押されてドア部を開かせて、前記コラムカバーに前記エアバッグの突出用開口を形成するエアバッグカバーと、
    を備えて構成される膝保護用エアバッグ装置であって、
    前記突出用開口が、前記コラムカバーの下面から左側面と右側面とにわたるエリアに、一つ形成される構成として、
    前記エアバッグカバーが、
    前記ドア部の開き時の抵抗を抑制可能に、前記ドア部の外周縁の部位に、前記コラムカバーにおける前記突出用開口の周縁に対して開き前の状態から予め分離させている分離面を備えて、前記コラムカバーと別体として形成されるとともに、
    前記ドア部を前記突出用開口の開口面に沿って移動させて、前記突出用開口を形成可能に、前記コラムカバーに保持され、かつ、
    前記ドア部の前記開口面に沿って移動させる駆動力に、膨張時の前記エアバッグを利用可能に、膨張時の前記エアバッグに押圧される受圧部、を備えて構成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。
  6. ステアリングコラムを覆うコラムカバーの下部側に搭載され、
    折り畳まれて収納されて、作動時、膨張用ガスを流入させて展開膨張し、運転者の膝を受け止め可能に、運転者の膝の前方側に配置されるエアバッグと、
    収納された前記エアバッグを覆うように配設され、膨張時の前記エアバッグに押されてドア部を開かせて、前記コラムカバーに前記エアバッグの突出用開口を形成するエアバッグカバーと、
    を備えて構成される膝保護用エアバッグ装置であって、
    前記突出用開口が、前記コラムカバーの下面から左側面と右側面とにわたるエリアに、一つ形成される構成として、
    前記エアバッグカバーが、
    前記ドア部の開き時の抵抗を抑制可能に、前記ドア部の外周縁の部位に、前記コラムカバーにおける前記突出用開口の周縁に対して開き前の状態から予め分離させている分離面を備えて、前記コラムカバーと別体として形成されるとともに、
    前記ドア部を、前記エアバッグに押されてヒンジ部を回転中心として開く構成として、前記コラムカバーにおける前記突出用開口の配設部位に配置させて、
    前記ステアリングコラムに取り付けられていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。
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