以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における印刷制御システム1の一構成例を示す図である。この印刷制御システム1は、プリントサーバー2と、管理者Mの使用する情報処理装置3mと、複数のユーザーAa〜Cbのそれぞれに割当てられた複数の情報処理装置3Aa〜3Cbと、複数の画像形成装置4a〜4cとがLAN(Local Area Network)などのネットワーク5に接続された構成である。
管理者Mは、例えば印刷制御システム1を管理するシステム管理者であり、後述する印刷ルールを管理する。ユーザーAa〜Cbのそれぞれは、自身に割当てられた情報処理装置3Aa〜3Cbのいずれかを使用してドキュメントなどの編集作業を行ったり、そのドキュメントの印刷指示を行ったりする。また、各ユーザーAa〜Cbのそれぞれは、例えば一企業において異なる事業所、フロアー又は居室などに位置しており、上述した管理者Mによってグループ単位で管理される。図1は、複数のユーザー毎にグループA〜Cに分類されている場合を例示している。すなわちグループAにはユーザーAa,Abが属し、グループBにはユーザーBa,Bbが属し、そして、グループCにはユーザーCa,Cbが属している。
尚、以下においては、各ユーザーAa〜Cbを区別する必要がない場合には、単に「ユーザー」と称し、同様に、画像形成装置4a〜4cについても「画像形成装置4」と称する。また、ユーザーが使用する情報処理装置3Aa〜3Cbと、管理者Mが使用する情報処理装置3mとは、基本的に同様の構成であるため両者について区別する必要がない場合には単に「情報処理装置3」と称する。そして情報処理装置3の基本構成についての説明は、主にユーザーが使用する情報処理装置3Aa〜3Cbについて行い、管理者Mが使用する情報処理装置3mについては、ユーザーが使用する情報処理装置3Aa〜3Cbとは異なる構成についてのみ説明する。
情報処理装置3は、例えば一般的なパーソナルコンピュータによって構成される。情報処理装置3は、ユーザーによる操作指示を検知する操作入力部と、その操作入力部が検知する操作指示や外部から入力するデータなどに基づいて各種情報を表示する表示部とを備えている。情報処理装置3は、上記操作入力部による検知結果に基づいて、プリントサーバー2に対して画像データを送信する。例えば、情報処理装置3は、ユーザーによる操作指示に基づいて表示部に各種画像を表示させ、その状態でユーザーによる印刷指示を検知すると、表示画像に基づく画像データを生成し、ネットワーク5を介してプリントサーバー2に送信する。
プリントサーバー2は、情報処理装置3から送信される画像データを入力すると、その画像データを複数の画像形成装置4a〜4cのうちいずれか1つに振り分けて出力する構成である。プリントサーバー2は、画像データを入力すると、その画像データの発行元ユーザーがいずれのグループに属するのかを特定する。例えば、プリントサーバー2は、各ユーザーと、各ユーザーが属するグループと、各ユーザーによって使用される情報処理装置3との対応関係を記録したユーザー管理情報を所定の記憶領域に記憶している。そして、プリントサーバー2は、画像データを入力すると、その画像データを発行した情報処理装置3を特定すると共に、上記ユーザー管理情報に基づいて画像データの発行元ユーザーと発行元グループとを特定する。
プリントサーバー2は、入力する画像データの出力先をネットワーク5に接続されている複数の画像形成装置4a〜4cの中から選択して特定する。ここで、プリントサーバー2は、ハードディスク装置などで構成される記憶装置7を備えており、その記憶装置7に予めルール情報8が記憶されている。ルール情報8は、複数の印刷ルールを登録しておくための情報である。プリントサーバー2は、画像データを受信すると、ルール情報8を読出し、その受信した画像データに基づいて複数の印刷ルールのうち一の印刷ルールを適用する。そしてプリントサーバー2は、その印刷ルール適用結果に基づいてその画像データの出力先となる一の画像形成装置4を決定し、その画像形成装置4に対して画像データを出力する。
画像形成装置4は、プリントサーバー2から画像データを取得し、その画像データに基づく印刷出力を行う装置である。画像形成装置4は、画像データを受信すると、例えば、その画像データに対するRIP(Raster Image Processing)処理を行った後、印刷用紙などに画像形成を行うことによって印刷出力を行うように構成される。このような画像形成装置4は、印刷出力を行うプリント機能のみを備えた装置であっても良いし、プリント機能の他にスキャン機能やFAX機能などを備えたMFP(Multifunction Peripheral)として構成される装置であっても良い。以下においては、画像形成装置4がMFPで構成される場合を例示する。
管理者Mの使用する情報処理装置3mは、上述したユーザーが使用する情報処理装置3が備える機能の他に、印刷ルールを管理するための機能が搭載されている。すなわち、情報処理装置3mには、印刷ルールの作成、編集、登録及び削除など印刷ルールを管理するための管理プログラムが予めインストールされており、その管理プログラムを起動させることによって、管理者Mは、自身の操作指示に基づいて印刷ルールを作成したり、編集したりすることができる。例えば、情報処理装置3mは、管理プログラムが起動している状態で、管理者Mによって新規に作成された印刷ルールの登録指示を検知すると、プリントサーバー2に記憶されているルール情報8にその印刷ルールを新規登録する。また、情報処理装置3mは、管理者Mによる印刷ルールの変更指示を検知すると、修正後の印刷ルールをルール情報8に上書き保存する。
図2は、プリントサーバー2に予め記憶されるルール情報8の一例を示す図である。図2に示すルール情報8には、5つの印刷ルールが登録されている。これらの印刷ルールは、予め管理者Mによって作成されルール情報8に登録される。但し、印刷ルールの登録数は図例に限定されない。
ルール情報8に登録される印刷ルールのそれぞれには、入力する画像データに応じてその印刷ルールを適用するための条件が定義された入力ルールと、その印刷ルールを適用することによって特定される画像データの処理内容が定義された適用結果とが登録される。尚、図2では、各印刷ルールにおいて条件や処理内容が定義されていない項目には「−」が記録されている。入力ルールには、画像データを発行したユーザーが属するグループと、その画像データのカラー/モノクロ属性を示す画像属性とが登録されている。また、適用結果には、画像データの出力先となる一の画像形成装置4(出力先MFP)と、その画像形成装置4における出力態様とが登録されている。
プリントサーバー2は、入力する画像データに基づいて、ルール情報8に登録されている複数の印刷ルールのうち入力ルールが合致する一の印刷ルールを特定する。すなわち、プリントサーバー2は、入力する画像データの発行元ユーザーを特定し、その発行元ユーザーが属するグループを特定する。また、プリントサーバー2は、画像データを解析して、その画像データがカラーか或いはモノクロのいずれであるかを示す画像属性を特定する。そして、プリントサーバー2は、その特定結果に合致する入力ルールが定義された印刷ルールを特定する。続いてプリントサーバー2は、その印刷ルールの適用結果に従って画像データの出力先となる一の画像形成装置4と、その画像データの出力態様とを決定する。
例えば、ルールNo1の印刷ルールには、その印刷ルールを適用するための入力ルールとして、画像データの発行元ユーザーがグループAに属すること、及び、画像データの画像属性がカラーであることの2つの条件が定義されている。したがって、プリントサーバー2は、これら2つの条件に合致する画像データを受信すると、その画像データに対してルールNo1の印刷ルールを適用する。
またルールNo1の印刷ルールには、その印刷ルールを適用することによって特定される画像データの処理内容として、その画像データの出力先がMFPa(つまり図1での画像形成装置4a)であること、及び、その画像データの出力態様がカラー印刷出力であることの2つの処理内容が定義されている。したがって、プリントサーバー2は、受信した画像データに対してルールNo1の印刷ルールを適用すると、上記のような処理内容を決定する。
また、上記とは別の例として、ルールNo3の印刷ルールには、入力ルールにグループ種別のみが登録されており画像属性は登録されていない。この場合、グループBに属するユーザーからの画像データを入力した場合には、画像属性に関わらずルールNo3の印刷ルールが適用されることになる。したがって、プリントサーバー2は、受信した画像データに対してルールNo3の印刷ルールを適用すると、その画像データの出力先がMFPb(図1に示す画像形成装置4b)であることを決定する。但し、図例に示す印刷ルールは、一例であり、これに限定されない。例えば、入力ルールをグループ毎に登録するのではなくユーザー毎に登録しても良い。また、出力態様の欄には、図例に示すカラー/モノクロ印刷以外に、片面印刷、両面印刷、印刷用紙の片面に複数ページを割り付けるNin1印刷など各種印刷態様が登録されても良いし、そのような印刷態様の他に、印刷出力時におけるパンチやステープル留めなどの製本態様が登録されても良い。
図3は、プリントサーバー2において、上述したルールNo1,No3の印刷ルールが適用される場合の処理概念を示す図である。グループAに属するユーザーAa,Abのうち例えばユーザーAaが情報処理装置3Aaを操作することによってドキュメントを編集し、そのドキュメントの印刷指示を行う。
このとき、本実施形態では、上述したように、プリントサーバー2が印刷ルールに基づいて出力先となる画像形成装置4や出力態様などの出力設定を自動で決定するため、ユーザーが出力設定を行う必要はない。そこで、情報処理装置3は、ユーザーによる印刷指示を検知すると、ユーザーに出力設定を行わせることなく、そのユーザーによって指定された画像データをプリントサーバー2に出力する。
具体的な構成としては、情報処理装置3には、プリントサーバー2に対して画像データを送信するためのプログラムが予め格納されている。このプログラムは、主としてユーザーの印刷指示に基づいて画像データをプリントサーバー2に対して送信するためのプログラムであり、ユーザーに出力設定を行わせる一般的なプリンタードライバーとは異なる。プリンタードライバーに上記プログラムのような機能を実装することも可能であるが、説明を簡潔にするために、以下においては、情報処理装置3にプリンタードライバーはインストールされておらず、上記プログラムによって情報処理装置3が動作する場合を例示する。
情報処理装置3は、例えば電源投入時にそのプログラムを起動させることで画像データ送信部として機能する。そして情報処理装置3は、ユーザーによる画像データの印刷指示を検知すると上記画像データをプリントサーバー2に対して送信する。一例を挙げると、情報処理装置3がドキュメント編集画面を表示している状態で、そのドキュメント編集画面のツールバーなどに埋め込まれた印刷ボタンがユーザーによって選択操作されたことを検知すると、情報処理装置3は、ユーザーに対して出力設定を行わせることなくそのドキュメントに基づく画像データを直ちにプリントサーバー2に送信する。
プリントサーバー2は、上記のようにして情報処理装置3Aaから出力される画像データD1を入力すると、その画像データD1に基づいて複数の印刷ルールのうち一の印刷ルールを決定する。図3に示す例では、画像データD1の発行元がグループAであり、画像データD1の画像属性がカラーであるため、プリントサーバー2は、ルールNo1の印刷ルール(図2参照)を適用し、画像データD1の出力先として画像形成装置4aを特定する。そしてプリントサーバー2は、その特定した画像形成装置4aに対して画像データD1を出力する。また、プリントサーバー2は、ルールNo1の出力態様に従ってその画像データD1にカラー印刷指示を含めて出力する。これにより、画像形成装置4aにおいてカラー印刷とモノクロ印刷との両方が実行可能である場合であっても画像データD1に基づくカラー印刷出力が行われる。
上記とは別に、グループBに属するユーザーBa,Bbのうち、例えばユーザーBaがドキュメントの送信指示を行う例について説明する。この場合、情報処理装置3Baは、そのドキュメントに基づく画像データD2をプリントサーバー2に出力する。プリントサーバー2は、その画像データD2を入力すると、ルールNo3の印刷ルールを適用することによって、その画像データD2の画像属性に関わらず、その画像データD2をモノクロ印刷機である画像形成装置4bに出力する。これにより、画像形成装置4bにおいては、画像データD2に基づくモノクロ印刷出力が行われる。尚、以下においては、画像データD1,D2を区別する必要がない場合には、単に「画像データ」と称する。
ところで、画像形成装置4a〜4cのいずれかに印刷障害が生じている場合、単に印刷ルールに基づき出力先を決定すると、その印刷障害が生じている画像形成装置4に対して画像データが送信されてしまうという不具合が生じうる。例えば、画像形成装置4aに印刷障害が生じている場合、上記と同様にユーザーAaからの画像データD1を入力すると、プリントサーバー2は、ルールNo1の印刷ルールを適用することにより、印刷障害の生じている画像形成装置4aに対して画像データD1を出力してしまう。画像形成装置4aでは、その印刷障害により画像データD1を印刷出力することができないため印刷エラーとなってしまう。
この場合、画像データD1を印刷出力することができるようにユーザーが印刷ルールを変更すれば良いとも考えられるが、印刷ルールは、ワークフローの効率化や印刷コストを低減することを目的として規定されているため、ユーザーが安易に変更することは上記目的が損なわれてしまう。それ故、一般的に印刷ルールは、管理者のみが設定変更を行う権限を有し、ユーザーが設定変更できないようになっている。そのため、本実施形態においても、上述した管理プログラムは、管理者Mの使用する情報処理装置3mだけにインストールされており、各ユーザーの使用する情報処理装置3Aa〜3Cbにはインストールされていない。従って、この場合、ユーザーAaは、管理者Mに対して印刷障害を報告した後、その管理者MがルールNo1の印刷ルールを変更するまで待つか、或いは、画像形成装置4aにおける印刷障害が復旧するまで待つことになる。前者の場合、ユーザーAaにとっては管理者Mに報告する手間がかかると共に、管理者Mにとっても印刷ルールを変更する際、印刷障害のある画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを自身で探し出す必要があるので手間となる。またルール情報8に多数の印刷ルールが登録されている場合、管理者Mが変更対象となる印刷ルールを探し出すまでに時間がかかるので、その分、ユーザーAaが長時間待たされてしまう可能性がある。後者の場合も、画像形成装置4aの復旧が長期に及ぶ場合には、その分、ユーザーAaが長時間待たされてしまう。
そこで、本実施形態では、上記のように複数の画像形成装置4a〜4cのうち一又は複数の画像形成装置4において印刷障害が生じている場合、プリントサーバー2は、その印刷障害が生じている画像形成装置4を特定すると共に、その特定した画像形成装置4が出力先として規定されている印刷ルールを特定する。そして、プリントサーバー2は、その印刷ルールを管理者M及びユーザーのいずれか一方又は両方に対して通知する。これにより、管理者M又はユーザーは、いずれかの画像形成装置4で印刷障害が発生していることを把握することができると共に、不具合のある印刷ルール、つまり印刷障害の発生している画像形成装置4が出力先となる印刷ルールを把握することができるので早期に回避策を講じることができる。例えば、管理者Mは、その印刷ルールに規定されている出力先を変更する。この場合、管理者Mは、上記のような不具合のある印刷ルールを自身で探し出す必要がないので早期に印刷ルールの変更を完了させることができる。これにより、新たな出力先の画像形成装置4において早期に印刷出力が行われるようになるのでユーザーが長時間待たされずに済むようになる。また、上記通知を受領したユーザーは、例えば、画像データの画像属性を変更するなど、不具合のある印刷ルールを回避して別の印刷ルールが適用されるための回避措置を、管理者Mに頼らず自身で講じることができるようになるので、早期に印刷出力させることが可能になる。以下、上記のように動作するプリントサーバー2について詳しく説明する。
図4は、プリントサーバー2のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、プリントサーバー2は、制御部15と、ネットワークインタフェース16と、上述した記憶装置7とを備え、これらがデータバス23を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
制御部15は、CPU15aとメモリ15bとを備えている。CPU15aは、記憶装置7に予め記憶されているプログラム18を読出して実行する。プログラム18は、制御部15を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ15bは、CPU15aがプログラム18に基づく処理を実行する際に一時的なデータなどを記憶する。ネットワークインタフェース16は、情報処理装置3をネットワーク5に接続するためのものである。記憶装置7は、例えばハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶手段である。この記憶装置7には、上述したプログラム18とルール情報8とが予め記憶されている。また記憶装置7には、情報処理装置3から入力する画像データを記憶するためのデータ記憶部20が設けられている。
図5は、CPU15aがプログラム18を実行することによって実現される機能構成の一例を示すブロック図である。例えばプリントサーバー2は、電源投入時にプログラム18を実行することで図5に示す各処理部として機能する。すなわち、CPU15aは、通信部31、ルール適用部32、印刷ジョブ生成部33、障害検知部34、通知部36およびルール更新部37として機能する。また、障害検知部34は、抽出部35を備えている。
通信部31は、ネットワークインタフェース16を介して情報処理装置3及び画像形成装置4とのデータ通信を行う処理部である。例えば、通信部31は、情報処理装置3から送信される画像データを入力し、その画像データをデータ記憶部20に記憶させる。このとき通信部31は、画像データ入力部として機能する。また、通信部31は、後述する印刷ジョブ生成部33によって生成される印刷ジョブを画像形成装置4a〜4cのうち一の画像形成装置4に対して出力する。このとき通信部31は、出力部として機能する。
ルール適用部32は、通信部31が入力する画像データに印刷ルールを適用することによって、出力先となる一の画像形成装置4を特定する処理部である。すなわち、ルール適用部32は、上記のようにして通信部31によって画像データがデータ記憶部20に記憶されると、その画像データの発行元ユーザーを特定すると共に、その画像データを解析して画像属性を特定する。そして、ルール適用部32は、記憶装置7からルール情報8を読出して、その画像データの発行元ユーザーが属するグループと画像属性とに合致する一の印刷ルールを特定する。そして、その印刷ルールを特定すると、その印刷ルールにおいて出力先として規定されている画像形成装置4を特定する。また、このとき、ルール適用部32は、特定した印刷ルールに規定されている出力態様を特定する。尚、図2の例では、ルールNo2,No3の出力態様が規定されていないが、このような場合、ルール適用部32は、出力先となる画像形成装置4bがモノクロ印刷機であるので、その画像形成装置4bの機能特性に応じた出力態様を自動判別してモノクロ印刷出力を出力態様として特定しても良い。
印刷ジョブ生成部33は、画像データに基づく印刷ジョブを生成する処理部である。すなわち、印刷ジョブ生成部33は、ルール適用部32によって出力先となる画像形成装置4と出力態様とが決定されると、データ記憶部20から画像データを読出して、その画像データに対して出力先となる画像形成装置4と出力態様とを指定した印刷ジョブを生成する。例えば、上記ルール適用部32によって、ルールNo1の印刷ルールが適用された場合、印刷ジョブ生成部33は、画像形成装置4を出力先として指定すると共に、カラー印刷を出力態様として指定した印刷ジョブを生成する。そして、印刷ジョブ生成部33は、その印刷ジョブを通信部31に出力する。
通信部31は、印刷ジョブ生成部33からの印刷ジョブを受信すると、出力先として指定されている画像形成装置4に対して、ネットワーク5を介してその印刷ジョブを出力する。これにより、出力先となる画像形成装置4において画像データに基づく印刷出力が行われる。
障害検知部34は、複数の画像形成装置4a〜4cのいずれかにおいて発生する印刷障害を検知する処理部である。画像形成装置4の障害発生を検知するための手法として一例を挙げると、障害検知部34は、一定周期間隔で複数の画像形成装置4a〜4cのそれぞれに対して障害情報の送信要求を送信し、各画像形成装置4a〜4cから障害情報を受け取ることによって障害発生を検知する。
具体的には、各画像形成装置4a〜4cは、プリントサーバー2から上記障害情報の送信要求を受信すると、そのときの装置状態に応じて障害発生の有無をプリントサーバー2に返信する。すなわち画像形成装置4は、自機に障害が発生していない場合には、「障害無し」を示す情報を生成してプリントサーバー2に出力する。一方、画像形成装置4は、自機に障害が発生している場合、「障害あり」を示す情報と、印刷障害の詳細に関する詳細情報とを含めた障害情報を生成してプリントサーバー2に出力する。詳細情報には、例えば、カラー又はモノクロのトナー切れ、用紙切れ、紙詰まりのような印刷出力に関する具体的な障害内容が含まれる。但し、これに限定されず、障害情報には、「ステープル針の残量なし」のような製本処理に関する障害内容が含まれても良い。
ここで、例えば画像形成装置4の電源がダウンしていたり通信障害が発生していたりすると、画像形成装置4とプリントサーバー2とのデータ通信が行えないため上記手法を用いることができない。そこで、障害検知部34は、画像形成装置4とのデータ通信が行えない状態のとき、その画像形成装置4との通信確立を所定時間試みてタイムアウトになった場合に、その画像形成装置4に印刷障害が発生していると判断しても良い。
障害検知部34は、上記のようにして画像形成装置4からの障害情報に基づいて画像形成装置4における印刷障害を検知する。障害検知部34によって画像形成装置4の障害発生が検知されると、次に抽出部35が機能する。抽出部35は、障害の発生している画像形成装置4が出力先となる印刷ルールをルール情報8から抽出する処理部である。すなわち、抽出部35は、上記のようにして障害検知部34によって印刷障害の発生している画像形成装置4が特定されると、記憶装置7に記憶されているルール情報8を読出して検索することにより、そのルール情報8に登録されている複数の印刷ルールから、印刷障害が発生している画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを抽出する。また、抽出部35は、印刷障害の発生している画像形成装置4が出力先となる複数の印刷ルールを抽出することもある。
抽出部35によって少なくとも1つの印刷ルールが抽出されると、次に、通知部36が機能する。通知部36は、抽出部35によって抽出された印刷ルールを管理者M及びユーザーのうちいずれか一方又は両方に通知する処理部である。通知先を一方又は両方のいずれにするかは任意であり、管理者Mなどによって予め設定される。そして通知部36は、予め設定された通知先に対してその印刷ルールを通知する。
このとき通知部36は、障害検知部34が障害発生を検知したタイミングで上記通知を行うことが好ましい。すなわち、本実施形態では、一定周期間隔で障害発生を検知しているので、障害発生を検知したタイミングで通知を行うことにより、管理者Mは、障害発生検知時にリアルタイムで不具合のある印刷ルールを把握することができる。これにより、管理者Mは、早期に印刷ルールの更新作業を開始することができる。また、ユーザーにとっても、不具合の生じた印刷ルールを早期に把握することで、その印刷ルールを回避して別の印刷ルールを適用すべく画像属性の変更作業などを行うことができる。いずれの場合にも、その後に行われるユーザーによる印刷指示に基づいて印刷出力が行われるようになるのでユーザーの作業効率低下を防止することができる。
通知先が管理者Mに設定されている場合、通知部36は、抽出部35によって印刷ルールが抽出されると、その印刷ルールを報知するための案内画面を生成して、その案内画面を管理者Mの使用する情報処理装置3mに送信する。これにより、情報処理装置3mは、その案内画面を表示部にポップアップ表示する。情報処理装置3において案内画面をポップアップ表示させるための具体的な構成の一例を挙げると、例えば、上述した、情報処理装置3に格納されているプログラムには、上記案内画面の表示制御を行う機能が実装されている。そして、情報処理装置3は、そのプログラムを実行している状態で、プリントサーバー2から案内画面を受信すると、その案内画面を表示部にポップアップ表示する。また、上記ポップアップ表示とは異なる例として、案内画面を管理者Mの保持するスマートフォンなどの携帯端末に送信しても良いし、管理者Mの電子メールアドレスに対して電子メール送信により上記通知を行っても良い。
通知先がユーザーに設定されている場合にも、基本的には上記と同様であり、案内画面をユーザーが使用する情報処理装置3にポップアップ表示させる。案内画面の通知先は、複数ユーザーが存在する場合には全ユーザーであっても構わないが、そのような場合には、不具合のある印刷ルールとは無関係のユーザーに対しても上記通知が行われてしまうことになる。そこで、通知先がユーザーに設定されている場合において通知対象となるユーザーは、不具合のある印刷ルールにおいて入力ルールに登録されているグループに属する全ユーザーであっても良い。これにより、不具合のある印刷ルールに関係するユーザーだけに通知を行うので、他のユーザーに煩わしい思いをさせずに済む。また、後述するように、画像データの受信時に通知を行うように構成することも可能であり、その場合には、画像データの送信ユーザーに対してのみ通知する構成とすることが好ましい。
ルール更新部37は、管理者Mによる設定変更指示に基づいてルール情報8を更新する処理部である。ルール更新部37は、管理者Mが使用する情報処理装置3mからの設定変更指示を入力すると、その設定変更指示に基づいてルール情報8に含まれる印刷ルールに新たな設定を上書きして登録する。そのため、管理者Mが、不具合のある印刷ルールに規定されている出力先を印刷障害のない画像形成装置4に変更する指示を行えば、それまでの不具合のある印刷ルールから不具合のない印刷ルールに書き換えることができる。これにより、印刷障害の生じていない画像形成装置4を出力先とする印刷ルールに設定変更されるので、その後に入力する画像データは、その変更後の印刷ルールに従って新たな出力先となる画像形成装置4に送信される。そして、その画像形成装置4において印刷出力が正常に行われるので、ユーザーが印刷物を取得することができる。
次に、上記のように構成される各処理部が連携して実行する具体的な動作の一例を説明する。尚、以下においては、通知先が管理者Mに設定されている場合を最初に説明し、次に、通知先がユーザーに設定されている場合を説明する。
図6は、管理者Mに対して案内画面T1が通知される場合の処理を模式的に示す図である。図6に示すように、例えば画像形成装置4aにおいて印刷障害が発生すると、プリントサーバー2は、その障害発生を検知する。そして、プリントサーバー2は、記憶装置7に記憶されているルール情報8を参照して、上記印刷障害が発生している画像形成装置4aが出力先となる印刷ルールを特定する。図2に示すルール情報8を例に挙げると、プリントサーバー2は、画像形成装置4aを出力先として規定しているルールNo1の印刷ルールを特定する。この場合、プリントサーバー2は、その印刷ルールに基づく案内画面T1を生成して管理者Mが使用する情報処理装置3mに出力する。
図7は、管理者Mが使用する情報処理装置3mにおいて表示される案内画面T1の一例を示す図である。図7に示す案内画面T1では、印刷障害の発生している画像形成装置4aが出力先となるルールNo1の印刷ルールが表示されている。これにより、管理者Mは、画像形成装置4aでの障害発生を把握することができると共に、その障害に起因して不具合の生じた印刷ルールを確認することができる。その結果、管理者Mは、複数の印刷ルールのうち、不具合のある印刷ルールを自身で探し出す必要がないので早期に回避策を講じることができる。また図例に示すように、本実施形態では、管理者Mが自身で回避策を判断せずに済むようにプリントサーバー2が自動で回避策の有無を判断し、回避策がある場合には、プリントサーバー2は、「回避策あり」を示す情報を含む案内画面T1を生成する。一方、回避策を検知することができなかった場合には、プリントサーバー2は、「回避策なし」を示す情報を含む案内画面T1を生成する。
次に回避策を特定するための手法について説明する。例えば、プリントサーバー2において障害検知部34は、障害が生じている画像形成装置4に代わって印刷出力を行うことが可能な代替機が存在するか否かを判断し、代替機が存在する場合には、「回避策あり」と判断する。具体的には、障害検知部34は、各画像形成装置4a〜4cからの障害情報に基づいて、印刷障害のない画像形成装置4b,4cが検知されている場合に、それら画像形成装置4b,4cを代替機として特定する。このとき、障害検知部34は、不具合のある印刷ルールに規定されている出力態様に関わらず、単に印刷障害のない画像形成装置4を代替機として特定しても良いし、その出力態様で印刷出力することができる画像形成装置4を優先的に代替機として特定しても良い。また、上記のように複数の代替機が特定された場合、障害検知部34は、予め設定される優先順位に基づいて一の代替機を特定しても構わない。この場合、印刷障害が発生している画像形成装置4aの近くに設置されている画像形成装置4から順に優先順位が高くなるようにしても良い。以下においては、説明を簡潔にするため、画像形成装置4bのみが代替機として特定される場合を例示する。
図7は、上記のようにして回避策が特定される場合を例示しており、案内画面T1には、その回避策を確認するか否かを択一的に選択するためのラジオボタンが表示されている。そして「確認する」にチェックが付された状態でOKボタンT1aが選択操作されると、情報処理装置3がその操作情報をプリントサーバー2に対して送信することにより、プリントサーバー2において通信部31は、その操作情報を検知する。プリントサーバー2において通知部36は、通信部31を介して上記操作情報を検知すると案内画面T1を次画面に遷移させる。
図8は、図7における案内画面T1に対して次画面となる案内画面T2の一例を示す図である。案内画面T2は、上記のようにして特定された回避策を管理者Mに対して具体的に案内する画面構成となる。つまり図8に示すように、案内画面T2では、印刷障害のある画像形成装置4a(MFPa)から、上記代替機として特定された印刷障害のない画像形成装置4b(MFPb)に出力先を変更する設定変更案が表示される。仮に、複数の代替機が特定されている場合には、プリントサーバー2は、それら複数の代替機が出力先となる複数の設定変更案を表示し、管理者Mに一の設定変更案を選択させても良い。また、通知部36は、案内画面T2を生成する際、図例に示すように、設定変更対象となる部分を強調表示させても良い。
ここで、障害検知部34は、通知部36により案内画面T2が生成されるに先立って、以下のように処理を行っても良い。すなわち、障害検知部34は、不具合のある印刷ルールに規定されている出力態様を特定し、代替機においてその出力態様で印刷出力することができるか否かを判断する。そして、通知部36は、障害検知部34による判断結果に基づいて、代替機においてその出力態様で印刷出力することができる場合には、設定変更案にその出力態様を記録して案内画面T2を生成する。これにより、最小限のルール変更で印刷出力を行うことが可能になる。但し、本実施形態のように、モノクロ印刷機である画像形成装置4bを代替機とするような場合には、ルールNo1の印刷ルールにおいて出力態様として規定されているカラー印刷出力を行うことは不可能であるので、通知部36は、設定変更案の出力態様の欄に「−」を記録する。
また案内画面T2には、印刷ルールの変更を承諾するか否かを択一的に選択するラジオボタンが表示される。そして、「承諾する」にチェックが付された状態でOKボタンT2aが選択操作されると、プリントサーバー2において変更後の印刷ルールが上書き保存される。具体的には、管理者Mによって案内画面T2に対するOKボタンT2aが選択操作されると、図6に示すように、情報処理装置3mは、その選択操作に基づく設定変更指示P1をプリントサーバー2に出力する。情報処理装置3mからの設定変更指示P1は、プリントサーバー2において通信部31を介して印刷ルール更新部37に入力される。このとき印刷ルール更新部37は、その設定変更指示P1に基づいて、記憶装置7に記憶されている不具合のある印刷ルールを新たな印刷ルールで上書き保存する。上記の例では、印刷ルール更新部37は、記憶装置7に記憶されているルールNo1の印刷ルールに対して、出力先が画像形成装置4bとなる新たな印刷ルールを上書き保存する。このようにして、図例に示すように、記憶装置7には、更新後のルール情報8が記憶された状態となる。
図9は、管理者Mによってルール情報8が更新された後において、プリントサーバー2が入力する画像データD1の処理内容を模式的に示す図である。図9に示すように、例えば、ユーザーAaがカラーの画像データD1の印刷指示を行うと、プリントサーバー2は、情報処理装置3mからの上記画像データD1を入力する。上述したように、更新後の印刷ルールにおいては、発行元がグループAであって且つカラーである画像データD1の出力先は、画像形成装置4bに変更されている。したがって、プリントサーバー2は、その画像データD1を画像形成装置4bに対して送信する。これにより、ユーザーAaは、画像形成装置4bにおいて印刷出力された印刷物を取得することができる。但し、この場合、ユーザーAaは、管理者Mによって印刷ルールが変更されたことを知らずに通常通りに画像形成装置4aに移動して印刷出力を待つ可能性がある。また、上記の例ではモノクロ印刷が行われるので、ユーザーAaが通常通りカラー印刷されることを意図して画像データD1を発行したような場合には、ユーザーAaの意図に沿わない可能性もある。そこで、プリントサーバー2は、印刷ルールが変更されることによって出力先が変更されたり、或いは、出力態様が変更されたりする場合には、印刷ルールの変更履歴を所定の記憶領域に記憶しても良い。そして、プリントサーバー2は、画像データD1を入力した際、上記変更履歴を参照し、画像データD1に対応する印刷ルール(ルールNo1)の出力先や出力態様などが過去に変更されていることを検知した場合には、代替機に画像データD1を出力する前に、その画像データD1を発行したユーザーAaに対して印刷出力の可不可を確認し、その確認結果に基づいて上記代替機での印刷出力を行っても良い。
ところで、上記においては、印刷ルールの設定変更案を案内する際、出力先となる画像形成装置4を代替機に変更する案内例を説明した。但し、これに限られず、出力先の画像形成装置4を代替機に変更することなく、印刷障害が発生している画像形成装置4において、出力態様を変更することによって印刷出力が可能になるような場合には、そのような設定変更案を案内しても良い。つまり、印刷ルールの設定変更前後で同一の画像形成装置4において印刷出力を行わせるように設定変更案を案内することで、ユーザーが通常通りの画像形成装置4から印刷物を取得することができるようになる。以下、具体的な処理について説明する。
障害検知部34は、画像形成装置4の障害発生を検知すると、上記と同様にして、その画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを特定する。更に、障害検知手段は、障害情報に含まれる印刷障害の詳細に基づいて、画像形成装置4における印刷障害を特定する。一例を挙げると、障害検知部34は、画像形成装置4aにおけるカラートナー切れを特定する。
次に、障害検知部34は、上記特定した印刷ルールに規定される出力態様での印刷出力が、その印刷障害によって実行不可能であるか否かを判断する。例えば、ルールNo1の出力態様は、カラー印刷出力と規定されている。そして、画像形成装置4aにおける障害内容がカラートナー切れであるとすると、その印刷障害によってカラー印刷出力は実行不可能になる。また、印刷障害が用紙切れや紙詰まりなど印刷出力自体が行えないような状態である場合にも、障害検知部34は、印刷ルールに規定される出力態様での印刷出力が実行不可能であると判断する。障害検知部34は、上記のように、判断対象となる印刷ルールに規定されている出力態様が印刷障害によって実行不可能となる場合に、その印刷障害を回避して出力することのできる別の出力態様の有無を判別する。例えば、印刷障害がカラートナー切れであるとすると、カラー印刷出力を行うことはできなくても、モノクロトナーを使用することでモノクロ印刷出力を行うことが可能になる場合がある。このような場合には、印刷障害が発生している画像形成装置4aにおいても出力態様をモノクロ印刷に変更すれば印刷出力が可能となるため、障害検知部34は、印刷ルールにおいて規定されている出力態様が、それまでのカラー印刷出力から印刷出力可能な別の出力態様であるモノクロ印刷出力に変更可能であることを特定する。
通知部36は、上記のようにして障害検知部34によって別の出力態様が特定されると、その別の出力態様を規定した設定変更案を案内画面T2に記録して管理者Mの情報処理装置3mに表示させる。その後の処理は、上記と同様であり、管理者Mによる設定変更案の承諾を受けると、印刷ルール更新部37が設定変更後の印刷ルールを上書き保存する。この場合、ルールNo1の印刷ルールにおいて出力態様が「モノクロ印刷」に変更されることになる。これにより、例えばユーザーAaが発行したカラーの画像データD1は、印刷ルールの変更前後で同一となる画像形成装置4aにおいてモノクロ印刷出力されることになる。その結果、ユーザーAaは、いつも通りの画像形成装置4aで自身の印刷物を取得することができるので便利である。尚、出力態様を変更する設定変更案と、上述した出力先の画像形成装置4aを変更する設定変更案とが共に検知される場合には、予めの設定に基づきいずれか一方の設定変更案を案内しても良いし、両方を案内して管理者Mに一の設定変更案を選択させても良い。
次に、案内画面T1,T2をユーザーに対して通知する場合について説明する。案内画面T1,T2は、管理者Mに対してのみ、或いは、ユーザーに対してのみ通知しても良いが、前者の場合、管理者Mが不在であると印刷ルールが長時間変更されなくなり、印刷出力が可能になるまでユーザーが長時間待たされる可能性がある。後者の場合、例えば印刷障害のある画像形成装置4が復旧するまでユーザーが常に画像属性をモノクロにするなどの回避策を意識してドキュメントを作成する必要があるので、ユーザーが煩わしさを感じる可能性がある。従って、通知先は、管理者Mとユーザーの双方に設定することが好ましい。
但し、上述した障害発生の検知タイミングで管理者Mとユーザーとに対して案内画面T1,T2を同時に通知すると、そのとき印刷予定がないユーザーにとっては、通知に関心がなく通知内容を直ぐに忘れてしまう可能性がある。その後、そのユーザーは、例えば印刷指示を行う段階になってから回避措置が分からずに印刷出力を行うことができない事態になる可能性がある。そのため、ユーザーへの通知タイミングは、ユーザーが印刷指示を行ったタイミングであることが好ましい。これにより、ユーザーは、印刷指示を行うときに不具合のある印刷ルールを把握することができるので回避策を講じることができる。一方、管理者Mは、印刷ルールを管理する業務を行う者であり、印刷ルールを変更する権限を有しているので、そのような権限のないユーザーと比べると、管理者Mに対する通知の重要度はユーザーへの通知よりも高い。また、管理者Mが早期に印刷ルールの設定変更を行うことができれば、その後にユーザーが回避措置を行う必要がなくなるので、管理者Mへの通知はできるだけ早いタイミングであることが好ましい。つまり管理者Mへの通知タイミングは、上記と同様に障害検知部34によって印刷障害が検知されたタイミングであることが好ましい。管理者Mへの通知タイミングとユーザーへの通知タイミングとを上記のように設定することにより、管理者Mによる早期の改善措置を期待することができると共に、ユーザーが印刷指示を行うときに未だ管理者Mによる改善措置が行われていない場合に、管理者Mによらずにユーザー自身で改善措置を行うことができるようになる。以下においては、そのような好ましい形態について例示する。但し、ユーザーへの通知タイミングと管理者Mへの通知タイミングとが同時であることを排除する趣旨ではない。
図10は、ユーザーに対して案内画面T1,T2を通知する場合の処理を模式的に示す図である。図例に示すように、例えば、ユーザーAaがカラーの画像データD1の印刷指示を行うと、上記と同様にして情報処理装置3mからの画像データD1がプリントサーバー2に入力される。プリントサーバー2は、その画像データD1に基づいて、適用すべき印刷ルールを特定する。図2に示すルール情報8の例では、画像データの発行元がグループAであり、且つ、画像データD1の属性がカラーであるので、ルールNo1の印刷ルールが特定される。
印刷ルールが特定されると、プリントサーバー2は、その印刷ルールにおいて出力先として規定されている画像形成装置4aに印刷障害が発生しているか否かを判断する。具体的には、プリントサーバー2において障害検知部34は、一定周期間隔で画像形成装置4aから取得している最新の障害情報に基づいて上記判断を行う。但し、これに限定されず、障害検知部34は、画像データD1を入力したタイミングで、その画像データD1に印刷ルールを適用することによって出力先となる画像形成装置4aに対して障害情報の送信要求を行い、その画像形成装置4aが応答することによって取得した障害情報に基づいて上記判断を行っても良い。
プリントサーバー2は、上記のようにして取得する障害情報に基づいて画像形成装置4aにおける印刷障害を検知すると、その画像形成装置4aが出力先となる印刷ルール(ルールNo1)の通知先を特定する。この通知先は、全ユーザーAa〜Cbであっても良いし、画像データD1の発行元グループAに属する全ユーザーAa,Abであっても良い。但し、そのとき印刷障害によって影響を受けているユーザーAa以外に対して案内画面T1を通知すると、ユーザーAa以外のユーザーが煩わしい思いをする可能性がある。そこで、この場合、プリントサーバー2は、画像データD1の発行元であるユーザーAaだけを通知先として特定しても良い。以下においては、ユーザーAaだけが通知先となる場合を例示する。
プリントサーバー2は、上記のようにして通知先を特定すると、その通知先に対して案内画面T1,T2を通知する。すなわちプリントサーバー2は、上記と同様の画面構成の案内画面T1(図7)を生成して、その案内画面T1をユーザーAaが使用する情報処理装置3Aaにポップアップ表示させる。そして、この場合も、プリントサーバー2は、回避策が存在するか否かを判断して、回避策が存在する場合には、その回避策を示す案内画面T2を更に通知する。但し、上述したように、ユーザーAaは、印刷ルールの設定変更を行う権限を有しないので、ユーザーAaに対する案内画面T2は、以下に説明するように、管理者Mへの案内画面T2とは異なる画面構成となる。
図11は、ユーザーAaに通知される案内画面T2の一例を示す図である。図例に示すように、ユーザーAaに通知される案内画面T2は、上述した管理者Mに通知される案内画面T2とは異なり、印刷ルールを変更する設定変更案は表示されない。図11に示す案内画面T2には、不具合のある印刷ルールとは別の印刷ルールが適用されるように、画像データD1の画像属性を変更する設定変更案が案内される。図例は、画像データD1の画像属性を「カラー」から「モノクロ」に変更する設定変更案が表示されている場合を例示している。また、図例に示すように、ユーザーAaが設定変更後の印刷ルールを具体的に把握することができるように、現在適用されている印刷ルールと、画像属性の設定変更後に適用される印刷ルールとが対比可能な画面構成にしても良い。
図12は、ユーザーAaによる画像属性の設定変更後に行われる処理を模式的に示す図である。上記のようにして案内画面T2が表示されると、ユーザーAaは、回避策を把握することができるので、例えば案内画面T2に表示されている回避策に従って、画像データD1の画像属性をそれまでのカラーからモノクロに変更する。例えば、ユーザーAaは、ドキュメント編集画面を開いてカラーの記載をモノクロの記載へ修正したり、ドキュメント編集画面に属性変更機能がある場合には、その機能を使用することによりカラー属性をモノクロ属性へ変更したりする。そして、ユーザーAaは、ドキュメントの属性を変更すると再度印刷指示を行う。
ユーザーAaにより印刷指示が再び行われると、情報処理装置3Aaは、属性変更後の画像データD1(モノクロ)をプリントサーバー2に対して出力する。プリントサーバー2は、新たに入力する画像データD1のモノクロ属性に対応して、ルールNo2の印刷ルール(図2参照)を適用することにより、その画像データD1を画像形成装置4bに出力する。これにより、画像形成装置4bにおいて印刷出力が行われるようになるので、ユーザーAaは、自身の印刷物を取得することができる。尚、プリントサーバー2は、ユーザーAaによる設定変更前に入力したカラーの画像データD1については、自動で削除しても良いし、画像形成装置4aの復旧後に改めてカラー印刷出力しても良い。
ところで、上記においては、設定変更前後で異なる画像形成装置4が出力先となる設定変更案をユーザーに提案する場合を例示した。但し、これに限定されず、設定変更前後で同一の画像形成装置4において出力態様が異なる設定変更案をユーザーに提案しても良い。但し、この場合、上述した管理者Mに対して出力態様の設定変更案を案内する場合とは異なる処理を行う。すなわち、管理者Mに対して出力態様の設定変更案を案内する場合、管理者Mが印刷ルールの設定変更権限を有するので、その印刷ルールに登録されている実行不可能な出力態様を実行可能な出力態様に変更する設定変更案を案内することが可能である。しかし、ユーザーは、そのような設定変更権限を有しないので上記と同様の処理を行うことができない。そこで、この場合、プリントサーバー2は、不具合のある印刷ルールとは異なる印刷ルールが適用されるように、画像データの画像属性を変更する設定変更案をユーザーに対して案内する処理を行う。
例えば、図2に示すルールNo4,No5のように、ルール情報8において、複数の印刷ルールが同一の画像形成装置4c(MFPc)を出力先として規定している場合がある。また、ルールNo4,No5では、画像データの画像属性に対応して互いに異なる出力態様が規定されている。ルールNo4では、画像データの画像属性が「カラー」であることに対応して出力態様が「カラー印刷」であり、ルールNo5では、画像データの画像属性が「モノクロ」であることに対応して出力態様が「モノクロ印刷」である。上記のように複数の印刷ルールが同一の画像形成装置4を出力先として規定し、且つ、それらの印刷ルールが画像データの画像属性に対応して互いに異なる出力態様を規定している場合、設定変更前後で出力態様が異なるように画像データの属性変更を提案することで、出力先となる画像形成装置4cを変更せずに印刷出力させることが可能になる場合がある。
一例を挙げて説明すると、図1に示すグループCに属するユーザーCa,Cbのうち、ユーザーCaがカラーの画像データの送信指示を行うと、情報処理装置3Caからプリントサーバー2に対して画像データが出力される。プリントサーバー2において通信部31がその画像データを入力すると、次にルール適用部32は、その画像データに基づいて適用すべき印刷ルールを特定する。この場合、画像データの発行元がグループCであり、且つ、画像データがカラーであるので、図2に示すルール情報8の例に従うと、ルール適用部32は、ルールNo4の印刷ルールを特定する。
このとき、障害検知部34は、その印刷ルールにおいて出力先として規定されている画像形成装置4c(MFPc)に印刷障害が発生しているか否かを判断する。障害検知部34は、その画像形成装置4cに印刷障害が発生していることを検知すると、その印刷障害が発生している画像形成装置4cを出力先として規定しているルールNo4の印刷ルールにおいて、更に出力態様が規定されているか否かを判断する。そして、障害検知部34は、その印刷ルールに出力態様が規定されている場合、画像形成装置4cからの障害情報の詳細に基づいて、画像形成装置4cにおいて発生している印刷障害によって、その出力態様での出力が実行不可能であるか否かを判断する。例えば、印刷障害がカラートナー切れである場合において、且つ、ルールNo4のように出力態様がカラー印刷である場合、障害検知部34は、印刷障害によって印刷ルールに規定されている出力態様での出力が実行不可能であると判断する。
これに対して、例えば、画像形成装置4cにおいて発生している印刷障害がモノクロトナー切れなど、カラー印刷出力に影響を与えない印刷障害である場合、障害検知部34は、印刷ルールに規定されている出力態様での出力が可能であると判断する。この場合、プリントサーバー2は、そのルールNo4の印刷ルールの適用結果に基づいて出力先と出力態様とを決定して画像形成装置4cにカラー印刷出力を行わせる。
印刷ルールに規定されている出力態様での出力が不可能である場合、次に障害検知部34は、ルール情報8を参照して、その画像形成装置4cを出力先として規定しているルールNo4とは別に同一の画像形成装置4cを出力先として規定している別の印刷ルールが登録されているか否かを判断する。図2の例では、障害検知部34は、ルールNo5の印刷ルールが登録されていることを検知する。障害検知部34は、上記のようにして別の印刷ルールを特定すると、その別の印刷ルールにおいて規定されている出力態様を特定し、その出力態様での出力が印刷障害によって実行可能であるか否かを判断する。
ルールNo5の例では、出力態様としてモノクロ印刷出力が規定されており、また、画像形成装置4cでの印刷障害がカラートナー切れであるため、障害検知部34は、モノクロ印刷出力が実行可能であると判断する。そしてこの場合、障害検知部34は、そのルールNo5の印刷ルールを代替案として特定する。次に、障害検知部34は、その代替案となる印刷ルールの画像属性を特定する。図2の例では、障害検知部34は、代替案であるルールNo5に登録されている画像属性が「モノクロ」であることを特定する。
通知部36は、障害検知部34によって特定された画像属性に変更する設定変更案を記録した案内画面T2をユーザーCaの使用する情報処理装置3Caに表示させる。これによりユーザーCaは、画像データの画像特性をモノクロに設定変更して印刷指示を再び行うようになる。その場合、プリントサーバー2においては、ルールNo5の印刷ルールが適用されるので、画像形成装置4cにおいてモノクロトナーを用いたモノクロ印刷出力が行われることになる。これによりユーザーは通常通りの画像形成装置4cから印刷物を取得することができる。尚、設定変更前後で出力態様が異なる印刷ルールを適用させるための設定変更案と、上述した設定変更前後で出力先の画像形成装置4が異なる印刷ルールを適用させるための設定変更案とが共に検知される場合には、予めの設定に基づくいずれか一方をユーザーに提案しても良いし、両方をユーザーに提案して一の設定変更案を選択させても良い。
図13,図14は、プリントサーバー2において実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。図13は、プログラム18が起動することに伴って開始される処理であり、図14は、情報処理装置3からの画像データを受信することに伴って開始される処理である。
図13に示すように、プリントサーバー2は、プログラム18が起動すると、ネットワーク5を介して接続されている全ての画像形成装置4a〜4cに対して障害情報の送信要求を行う(ステップS1)。そして、プリントサーバー2は、印刷障害を検知するまで(ステップS2のNO)、一定周期間隔で障害情報の送信要求を繰り返して行う。
プリントサーバー2は、複数の画像形成装置4のうちいずれかの印刷障害を検知すると(ステップS2のYES)、記憶装置7に記憶されているルール情報8を読出して(ステップS3)、その印刷障害の発生している画像形成装置4が出力先となる印刷ルールを特定する(ステップS4)。そしてプリントサーバー2は、上記特定した印刷ルールのうち印刷障害によって印刷出力が不可能となる印刷ルールを抽出する(ステップS5)。この処理は、例えば、図2に示すルールNo4,No5のように同一の画像形成装置4を出力先として規定している複数の印刷ルールのうち不具合のある印刷ルールを特定するための処理である。次に、プリントサーバー2は、回避策があるか否かを判断する(ステップS6)。具体的には、プリントサーバー2は、印刷障害が発生している画像形成装置4の代替機が存在するか否かを判断したり、或いは、印刷障害が発生している画像形成装置4において実行可能な出力態様が存在するか否かを判断したりする。そして、プリントサーバー2は、回避策がある場合(ステップS6のYES)、回避策を含む案内画面T1,T2を生成して管理者Mの使用する情報処理装置3mに送信する(ステップS7)。尚、このタイミングでユーザーへの通知を行う場合には、プリントサーバー2は、ユーザーの使用する情報処理装置3に回避策を含む案内画面T1,T2を送信する。但し、ここでの処理は、入力画像データに基づいて回避策を判断する処理ではないので、入力画像データに基づいてユーザーに具体的な回避策を案内する図11に示す案内画面T2とは異なる画面構成となる。例えばこの場合、プリントサーバー2は、不具合のある印刷ルールに対して該当する回避策を一覧表示した画面構成の案内画面T2を生成する。これにより、印刷指示を行う予定のあるユーザーは、自身に該当する一の回避策を選択して、その回避策を講じることができる。
プリントサーバー2は、管理者Mによる設定変更案の承諾を検知すると(ステップS8のYES)、その設定変更案に基づく印刷ルールを上書き保存することにより印刷ルールの設定変更を行う(ステップS9)。そして、プリントサーバー2は、所定時間が経過するまで待機して(ステップS10のNO)、ステップS1まで戻って上記と同様の処理を行う。所定時間は、管理者Mが回避措置を行っている間に再び同一内容の通知が頻繁に行われないようにするための時間であり、例えば数分程度である。一方、回避策がない場合(ステップS6のNO)、プリントサーバー2は、回避策を含まない案内画面T1、つまり「回避策なし」と表示する案内画面T1を生成して管理者Mが使用する情報処理装置3mに送信する(ステップS11)。また、管理者Mが案内画面T1,T2に表示されるキャンセルボタンを選択操作するなどルール変更を承諾しない場合(ステップS8のNO)、プリントサーバー2は、ステップS9に進む。尚、この場合、管理者Mは、自身で印刷ルールの修正作業を行うことになる。
次に図14を参照して、情報処理装置3からの画像データを受信することに伴って開始される処理について説明する。まずプリントサーバー2は、情報処理装置3からの画像データを受信すると、ルール情報8を読出して(ステップS21)、その画像データを発行したユーザーが属するグループと、画像属性に合致する入力ルールを特定する(ステップS22)。次に、プリントサーバー2は、その入力ルールに適合する印刷ルールを特定し、その印刷ルールにおいて出力先として規定されている画像形成装置4を特定する(ステップS23)。
次に、プリントサーバー2は、画像形成装置4からの障害情報に基づいて、出力先となる画像形成装置4に印刷障害が発生しているか否かを判断する(ステップS24)。出力先となる画像形成装置4に印刷障害が発生している場合(ステップS24のYES)、プリントサーバー2は、適用される印刷ルールに規定されている出力態様での出力が上記印刷障害によって実行不可能であるとき(ステップS25のYES)、回避策があるか否かを判断する(ステップS26)。例えば、プリントサーバー2は、そのとき適用されている印刷ルールとは異なる別の印刷ルールが適用される画像属性が存在するか否かを判断する。
回避策がある場合(ステップS26のYES)、プリントサーバー2は、回避策を含む案内画面T1,T2を生成して、画像データを発行したユーザーが使用する情報処理装置3に対して送信し(ステップS27)、処理を終了する。一方、ステップS26において回避策がない場合(ステップS26のNO)、プリントサーバー2は、回避策を含まない案内画面T1を生成して、画像データを発行したユーザーが使用する情報処理装置3に対して送信し(ステップS28)、処理を終了する。
また、プリントサーバー2は、出力先となる画像形成装置4に印刷障害が発生していない場合(ステップS24のNO)、出力先となる画像形成装置4に対して画像データを出力し(ステップS29)、処理を終了する。ここで、ステップS26において回避策を含めた案内画面T1,T2を送信した後、ユーザーが案内画面T1,T2に従って例えば画像属性を変更するなどの回避措置を施して再び画像データの送信指示を行った場合、ステップS24においては、先に適用された印刷ルールとは異なる印刷ルールが適用されるため、その出力先の画像形成装置4に印刷障害が発生していないことを条件として(ステップS24のNO)、その画像形成装置4に対して画像データが送信されることになる(ステップS29)。これにより、ユーザーは、管理者Mによる回避措置が行われないような場合であっても、その管理者Mによらずにユーザー自身の回避措置によって印刷物を取得することができる。以上により画像データを受信した場合の処理は終了する。
ところで、上記においては、情報処理装置3にプリンタードライバーがインストールされていないため、情報処理装置3においては出力設定が行われない場合を例示した。但し、これに限定されず、情報処理装置3にプリンタードライバーがインストールされており各種出力設定が行われた後に画像データに基づく印刷ジョブがプリントサーバー2に出力されるように構成しても良い。
すなわちこの場合、情報処理装置3は、ユーザーによる印刷指示を検知すると、複数の画像形成装置4a〜4cのうち一の画像形成装置4をユーザーに選択させる。そして、情報処理装置3は、ユーザーが選択した一の画像形成装置4に対応するプリンタードライバーを実行し、その画像形成装置4に対する出力設定を行わせる。そして、情報処理装置3は、その出力設定に基づく印刷ジョブを生成してプリントサーバー2に対して出力する。
プリントサーバー2は、情報処理装置3からその印刷ジョブを入力すると、上記と同様にして複数の印刷ルールのうち一の印刷ルールを決定する。このときプリントサーバー2は、仮に印刷ジョブに印刷ルールとは異なる出力設定が行われていたとしても、その出力設定を無視して印刷ルールに従った新たな出力設定を行う。すなわち、ユーザーが出力先として指定した画像形成装置4とは異なる画像形成装置4が新たな出力先として指定されることもあるし、ユーザーが出力先として指定した画像形成装置4が受け入れられることもある。出力態様についても同様である。そして、プリントサーバー2は、出力先となる画像形成装置4に対して印刷ジョブを出力する。画像形成装置4は、印刷ジョブを入力するとその印刷ジョブに基づいて印刷出力を行う。
また、プリントサーバー2は、画像形成装置4の印刷障害を検知すると、上記と同様にして、その画像形成装置4が出力先となる印刷ルールを管理者Mおよびユーザーのいずれか一方又は両方に通知する。ユーザーへの通知を行う際、情報処理装置3にはプリンタードライバーがインストールされているので、ユーザーは、出力設定画面において画像属性を比較的簡易に変更することができる。例えば、ユーザーは、出力設定画面において出力設定をそれまでのカラーからモノクロに変更して送信指示を行うだけで良く、上記のようにドキュメントを編集することにより画像属性を変更するような作業を行わずに済む。
以上により、本実施形態において、プリントサーバー2の記憶装置7には、通信部31を介して入力する画像データに基づいて複数の画像形成装置4a〜4cのうち画像データの出力先となる一の画像形成装置4を決定するための複数の印刷ルールが記憶されている。また、プリントサーバー2は、複数の画像形成装置4a〜4cのうちいずれかにおいて発生する印刷障害を監視している。そして、プリントサーバー2は、画像形成装置4の印刷障害が検知された場合、その印刷障害が発生している画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを上記記憶装置7から抽出し、その印刷ルールを、管理者M及びユーザーのいずれか一方又は両方に通知する構成である。
このような構成によれば、印刷障害が発生している画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを管理者M及びユーザーのいずれか一方又は両方に通知するので、管理者M又はユーザーは、その印刷ルールに対する回避措置を早期に講じることができる。その結果、印刷障害のある画像形成装置4が復旧するまでユーザーを長時間待たせずに済むことができるので、ユーザーの作業効率低下を防止することができる。
また、本実施形態においては、管理者Mによる設定変更指示に基づいて記憶装置7に記憶されている印刷ルールの設定変更を行うルール更新部37を更に備える構成である。このような構成によれば、管理者Mによる印刷ルールの設定変更が行われることで印刷障害のない画像形成装置4において印刷出力が行われるようになる。これによりユーザーは、自身の印刷物を取得することができる。
更に、本実施形態において通知部36は、管理者Mが使用する情報処理装置3mに対して案内画面T1,T2を表示させることにより、印刷ルールにおいて規定されている出力先を、印刷障害のある画像形成装置4から印刷障害のない画像形成装置4に変更する設定変更案を管理者Mに案内する構成である。このような構成によれば、管理者Mは、具体的な設定変更内容を自身で探し出す必要ないので、作業負担が軽減される。
また、本実施形態においては、ルール情報8に登録されている複数の印刷ルールのうち少なくとも1つは、出力先となる画像形成装置4における印刷出力時の出力態様を更に規定している。そして、障害検知部34は、そのような出力態様を規定している印刷ルールにおいて出力先となる画像形成装置4からの障害情報に基づいて、その画像形成装置4における印刷障害を特定すると共に、その印刷障害によって該画像形成装置4において上記出力態様での出力ができない場合に、その印刷障害を回避して出力することのできる別の出力態様を特定する。そして通知部36は、その別の出力態様への設定変更案を管理者Mに更に通知する。
このような構成によれば、印刷障害を回避する出力態様への設定変更案を管理者Mに通知するので、管理者Mがその出力態様に設定変更することを条件として、出力先を一の画像形成装置4から他の画像形成装置に変更することなく印刷出力を行うことができるようになる。これによりユーザーは、いつも通りの画像形成装置4から印刷物を取得することができるので便利である。
また、本実施形態において障害検知部34は、一定周期間隔で複数の画像形成装置4a〜4cのそれぞれについて印刷障害が発生しているか否かを監視し、通知部36は、障害検知部34が画像形成装置4の障害発生を検知したタイミングで、その画像形成装置4を出力先として規定している印刷ルールを管理者Mに通知する構成である。このような構成によれば、管理者Mは、リアルタイムで障害発生を把握することができるので、最も早い段階で改善措置を開始することができる。
更に、本実施形態において複数の印刷ルールのそれぞれは、画像データの画像属性に対応してその画像データの出力先となる一の画像形成装置4を規定している。そして通知部36は、通信部31を介して案内画面T1,T2をユーザーが使用する情報処理装置3に対して表示させることにより、印刷障害が発生していない画像形成装置4が出力先となる印刷ルールに適合する画像属性への設定変更案をユーザーに対して通知する構成である。このような構成によれば、印刷障害が発生していない画像形成装置4が出力先となる印刷ルールに適合する画像属性への設定変更案をユーザーに対して通知するので、ユーザーは、管理者Mによらずに自身で改善装置を講じることができる。これにより、例えば、管理者Mによる回避措置が完了するまで待たされずに済むようになると共に、具体的な設定変更内容を自身で判断することなく把握できるので作業負担が軽減される。
また、本実施形態において、例えばルールNo4,No5のように、複数の印刷ルールのうち少なくとも2つは、同一の画像形成装置4cを出力先として規定し、且つ、画像データの画像属性に対応して互いに異なる出力態様を規定している。障害検知部34は、上記ルールNo4,No5のように、互いに異なる出力態様が規定されている複数の印刷ルールにおいて、同一の出力先として規定されている画像形成装置4cからの障害情報を検知すると、その障害情報に基づいてその画像形成装置4cにおける印刷障害を特定する。そして障害検知部34は、それらルールNo4,No5の印刷ルールのうちから、その印刷障害によって出力できない出力態様を規定しているルールNo4とは異なるルールNo5の印刷ルールを特定する。そして、通知部36は、上記障害検知部34により特定されたルールNo5の印刷ルールに適合する画像属性への設定変更案をユーザーに通知する。これにより、通知を受けたユーザーは、印刷障害のある画像形成装置4cにおいて、その印刷障害を回避して印刷出力することのできる画像属性に変更した後に画像データを再発行することで、いつも通りの画像形成装置4cから印刷物を取得することができるので便利である。
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上述した実施形態では、ユーザーによる回避策がカラーからモノクロへの設定変更である場合を例示したがこれに限られない。例えば、ファイル名やファイル形式の変更を行う設定変更案を案内しても良い。或いは、印刷ルールにおいて所定ページ以下の場合には画像形成装置4a(カラー印刷機)を出力対象とし、所定ページを超える場合には画像形成装置4b(モノクロ印刷機)を出力対象とするように規定されている場合、所定ページ以下に収まるように、或いは、所定ページを超えるように文字数や行数などを変更する設定変更案を案内しても良い。
また、上述した実施形態においては、画像形成装置4aがカラートナー切れに起因してカラー印刷出力を行うことができない場合、障害検知部34は、その印刷障害が生じている印刷ルールにおいて出力先として規定されている画像形成装置4aにおいて、その印刷障害を回避して印刷出力することのできる別の出力態様(例えばモノクロ印刷出力)を案内する場合を例示した。また、それとは別の例として、印刷ルールの出力対象としてステープル留めなどの製本処理が規定されている場合において、ステープル針の残量がなくなったことなどに起因して画像形成装置4aでの印刷出力が一時的に中断されているような場合には、印刷ルールからステープル留めを削除するなど製本処理を行わない設定変更案を案内しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置4において画像データのRIP処理が行われる場合を例示したがこれに限られない。例えば、プリントサーバー2において画像データのRIP処理が行われる構成であっても構わない。すなわちこの場合、プリントサーバー2には、ネットワーク5を介して通信可能な画像形成装置4a〜4cのそれぞれに対応するプリンタードライバーが格納されている。そして、プリントサーバー2は、情報処理装置3からの画像データを入力した後、印刷ルールを適用することによってその画像データの出力先となる画像形成装置4を決定すると、その画像形成装置4に対応するプリンタードライバーを実行してRIP処理を行う。そして、プリントサーバー2は、RIP処理後の印刷ジョブ(画像データ)を生成して、出力先となる画像形成装置4に対してその印刷ジョブを出力する。この場合、画像形成装置4においてRIP処理が行われないので、画像形成装置4においては処理負担が軽減される。
また、上述した実施形態では、情報処理装置3が、画像データの属性変更をユーザーの指示操作に基づいて実行する場合を例示したが、これに限られず、プリントサーバー2が属性変更を実行しても良い。例えば、ユーザーに対する案内画面T2には、画像データの属性変更を承諾するか否かを選択させる選択ボタンが表示される。そして、属性変更することが選択されると、プリントサーバー2は、不具合のある画像データの画像属性を自動でカラーからモノクロに変更した後、その変更後の画像データに基づいて印刷ルールを決定する。これによりユーザー自身で画像データの属性変更を行う必要がなくなると共に、ユーザーが画像データの印刷指示を複数回行わずに済む。
また、上述した実施形態では、管理者Mとユーザーとの双方に通知が行われる場合を例示した。この場合、管理者Mによる回避措置が完了した後、そのことを知らずにユーザーがドキュメント作成時に回避措置を行う可能性があるので、プリントサーバー2は、印刷ルールの設定変更が完了した場合には、ユーザーに対して印刷ルールの設定変更が完了したことを示す完了通知を行っても良い。これにより、ユーザーが不要な回避措置を行ってしまうことを防止できる。