JP5952656B2 - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ用ガラス母材の製造方法に関する。
光ファイバ用ガラス母材は、例えば、VAD法で作製した石英ガラスロッドの表面に、石英ガラス微粒子を堆積させて外付けすることで、光ファイバ用石英多孔質母材とし、これを焼結処理して透明ガラス化することで、製造できる。さらに通常は、石英ガラス微粒子の堆積直前に、石英ガラスロッドの表面を火炎によりエッチング処理して、異物を除去する。
前記エッチング処理は、通常、石英ガラスロッドの長手方向に沿って、火炎を生成するトーチ又はバーナを前記ロッドに対して相対移動させることで行う。そして、火炎としては、プラズマ火炎又は酸水素火炎が利用される。特に、プラズマ火炎は、酸水素火炎とは異なり生成時に水素ガスを用いる必要がない(特許文献1参照)ため、エッチング処理時に水が発生せず、石英ガラスロッドのエッチング処理面における水酸基(−OH)の残存を低水準に抑制できるという利点を有する。水酸基の残存が抑制されると、得られる光ファイバは、これに起因する伝送損失(以下、OH損失と略記することがある)が低減され、より好ましい光学特性を有する。
一方、石英ガラスロッドでのエッチング量が目的値に到達するように、十分にエッチングするためには、火炎の種類によらず、上記のエッチング処理を一回だけでなく、二回以上(複数回)繰り返して行うことが必要になることがある。
特公平4−79981号公報
しかし、上記のエッチング処理を複数回繰り返して行った場合、石英ガラスロッドの長手方向においてエッチング量にばらつきが生じ、エッチング処理後の石英ガラスロッドは、長手方向において外径が大きく変動することがあるという問題点があった。このように外径が変動している石英ガラスロッドのエッチング処理面に、石英ガラス微粒子を堆積させた場合、該微粒子の堆積量は、外径が細い部位では少なくなり、外径が太い部位では多くなる傾向にある。その結果、最終的に得られた光ファイバ用ガラス母材は、コアの外径とクラッドの外径との比(コアの外径/クラッドの外径)が、その長手方向において大きく変動してしまうため、これから得られる光ファイバも同様に、コアの外径とクラッドの外径との比が、その長手方向において大きく変動しているものとなってしまう。このような光ファイバは、カットオフ波長の変動量が大きく、望ましくない光学特性を有するものとなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、石英ガラスロッドを、その長手方向において、表面のエッチング量の変動を抑制してエッチング処理する工程を有する、光ファイバ用ガラス母材の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、石英ガラスロッドの表面を火炎でエッチング処理した後、該エッチング処理面に石英ガラス微粒子を堆積させて光ファイバ用石英多孔質母材とし、該光ファイバ用石英多孔質母材を透明ガラス化する工程を有する、光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、前記エッチング処理は、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチを一方向のみに複数回相対移動させ、前記トーチの前記石英ガラスロッドに対する相対移動を、前記石英ガラスロッドの一端から開始して、他端へ向けて行うことを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法を提供する。
かかる製造方法によれば、石英ガラスロッドは、その長手方向において表面のエッチング量(外径)の変動が抑制され、得られた光ファイバ用ガラス母材は、その長手方向において、コアの外径とクラッドの外径との比(コアの外径/クラッドの外径)の変動が抑制される。そして、かかる母材から得られた光ファイバは、カットオフ波長の変動値が抑制される。
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法においては、前記エッチング処理は、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチを一方向のみに複数回相対移動させ、一回の相対移動で、前記石英ガラスロッドの一端から他端まで、前記トーチを相対移動させることで行うことが好ましい。
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法においては、前記エッチング処理の前後において、前記石英ガラスロッドの外径を測定し、エッチング量を算出することが好ましい。
エッチング量を算出することで、その値を目的値と比較して、目的とする程度にまでエッチングされているか否かを、その都度判断できる。
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法においては、前記エッチング量を算出後、その値を目的値と比較し、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記トーチを一方向のみに相対移動させることで行う、エッチング処理の追加の有無を判断することが好ましい。
エッチング処理の追加の有無を判断し、必要に応じてエッチング処理を追加することで、石英ガラスロッドに対して、目的とする程度にまでエッチング処理を確実に行うことができる。
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法においては、前記火炎がプラズマ火炎であることが好ましい。
プラズマ火炎を用いることで、エッチング処理時における水の発生が抑制され、石英ガラスロッドのエッチング処理面における水酸基の残存が抑制されて、OH損失がより低減された光ファイバが得られる。
本発明によれば、石英ガラスロッドを、その長手方向において、表面のエッチング量の変動を抑制してエッチング処理する工程を有する、光ファイバ用ガラス母材の製造方法が提供される。
本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法を説明するための模式図である。 本発明により得られた光ファイバ用ガラス母材と、該母材を構成する各層の屈折率の関係と、を例示する概略断面図である。 本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法の一実施形態を説明するためのフロー図である。 実験例1及び2における、二回のエッチング処理によって生じた石英ガラスロッドの外径差の算出結果を示すグラフである。
本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法は、石英ガラスロッドの表面を火炎でエッチング処理した後、該エッチング処理面に石英ガラス微粒子を堆積させて光ファイバ用石英多孔質母材とし、該光ファイバ用石英多孔質母材を透明ガラス化する工程を有する、光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、前記エッチング処理は、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチを一方向のみに複数回相対移動させることで行うことを特徴とする。
かかる製造方法によれば、エッチング処理中、石英ガラスロッドは、その長手方向において、エッチング処理されるときの表面の温度がより均一となるため、表面のエッチング量(石英ガラスロッドの表面からのエッチング距離)の変動が抑制される。その結果、得られた光ファイバ用ガラス母材は、その長手方向において、コアの外径とクラッドの外径との比(コアの外径/クラッドの外径)の変動が抑制されたものとなる。したがって、このような光ファイバ用ガラス母材から得られた光ファイバは、カットオフ波長の変動値が抑制された、優れた光学特性を有するものとなる。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。図1は、本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法を説明するための模式図である。
本発明においては、まず、石英ガラスロッドの表面を火炎でエッチング処理する。エッチング処理により、石英ガラスロッドの表面に予め存在している、水をはじめとする各種異物が除去される。
石英ガラスロッドは、最終的に光ファイバ用ガラス母材及び光ファイバにおいて、コア及び一部のクラッドを構成するものでもよいし、コア、一部のクラッド、及びトレンチ層を構成するものでもよく、コアのみを構成するものでもよく、目的に応じて、任意に選択できる。
石英ガラスロッドの大きさは特に限定されない。
石英ガラスロッドは、VAD法等、公知の方法で作製できる。
エッチング処理するための火炎としては、酸水素火炎、プラズマ火炎が例示できる。これらのうち、プラズマ火炎は、酸水素火炎とは異なり生成時に水素ガスを用いる必要がないため、エッチング処理時に水が発生せず、石英ガラスロッドのエッチング処理面における水酸基の残存が抑制される点で好ましい。
プラズマ火炎の生成方法は、取扱性、安全性、熱源の種類等を考慮して適宜選択すればよいが、プラズマ源となるガスに電圧を加えて、スパークさせることでプラズマ火炎を発生させる方法が好ましい。
プラズマ源となるガスとしては、アルゴン(Ar)ガスが例示できる。
プラズマ火炎の生成時に加える電圧は、高周波電圧であることが好ましく、電圧の周波数は2MHz〜2.45GHzであることが好ましい。
プラズマ火炎に添加するエッチングガスは、フッ素含有ガスであることが好ましい。
前記フッ素含有ガスは、化学構造中にフッ素原子を含有するガスであればよく、エッチング能力及びコストの面から好ましいものとしては、六フッ化硫黄(SF)、六フッ化エタン(C)、四フッ化ケイ素(SiF)、四フッ化メタン(CF)が例示できる。
フッ素含有ガスは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
プラズマ火炎には、エッチングガスの種類に応じて、さらに支燃性ガスとして酸素(O)ガスを添加することにより、エッチングガスの分解を促進してもよい。例えば、エッチングガスとしてCガスを用いる場合には、酸素ガスを併用することが好ましい。
本発明においては、アルゴンガスを用いて生成されたプラズマ火炎に、フッ素含有ガスを添加して、エッチング処理を行うことが好ましく、プラズマ火炎に、さらに必要に応じて酸素ガスを添加して、エッチング処理を行うことがより好ましい。
エッチング処理は、石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチ(火炎生成手段)を相対移動させることで行う。ここで、「石英ガラスロッドに対してトーチを相対移動させる」とは、(I)石英ガラスロッドを固定してトーチを移動させる、(II)トーチを固定して石英ガラスロッドを移動させる、(III)石英ガラスロッド及びトーチを共に移動させる(ただし、移動速度の絶対値と移動方向が共に同じである場合を除く)、のいずれかを意味する。
石英ガラスロッド及びトーチは、いずれも石英ガラスロッドの長手方向(中心軸方向)に沿って移動させる。このときの移動方向は二方向あるが、いずれの方向であってもよい。例えば、前記(III)の場合、石英ガラスロッド及びトーチは、同一方向に移動させてもよいし、反対方向に移動させてもよい。
そして、本発明においては、石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、トーチを一方向のみに複数回相対移動させることで、エッチング処理を行う。このようにすることで、エッチング処理中、石英ガラスロッドは、その長手方向において、エッチング処理されるときの表面の温度がより均一となるため、エッチング量がより均一となり、表面のエッチング量の変動が抑制される。
図1(a)は、上記のエッチング処理の一実施形態を例示するものである。
石英ガラスロッド10は、両端部にダミー母材9が同軸状に接続され、これらダミー母材9は、一対の回転チャック8,8で把持されている。すなわち、石英ガラスロッド10は、矢印Aで示すように軸回りに回転可能とされ、反応容器7内に設置されている。
反応容器7の片側は排気ダクト(図示略)に接続されており、排気ダクト内は通常、20〜300Pa程度の陰圧とされ、反応容器7の外部からクリーンエアを供給することで、反応容器7が置かれたブース(図示略)内が、3〜30Pa程度の陽圧となるように調整される。
ここでは、石英ガラスロッド10を矢印A方向に回転させ、石英ガラスロッド10をその長手方向においては固定し、その長手方向に沿って、トーチ6を矢印B方向(左側)に移動させることで、エッチング処理を行う場合を例示している。符号4は火炎である。石英ガラスロッド10は、同じ軸回りに矢印A方向に対して反対方向に回転させてもよく、トーチ6は、矢印B方向に対して反対方向である矢印C方向(右側)に移動させてもよい。石英ガラスロッド10の前記回転の回転数は、例えば、15〜40rpmとすることが好ましい。
本発明では、図1(a)の場合、エッチング処理時に、トーチ6を矢印C方向へ相対移動させることなく、矢印B方向のみに複数回相対移動させるか、又はトーチ6を矢印B方向へ相対移動させることなく、矢印C方向のみに複数回相対移動させる。
トーチ6は、矢印B方向への一回の相対移動では、例えば、石英ガラスロッド10の長手方向において、石英ガラスロッド10の一端10aから他端10bまで相対移動させ、矢印C方向への一回の相対移動では、例えば、石英ガラスロッド10の長手方向において、石英ガラスロッド10の他端10bから一端10aまで相対移動させるなど、石英ガラスロッド10の長手方向における所望の領域で相対移動させる。そして、トーチ6の相対移動の開始位置及び終了位置は、目的に応じて適宜選択すればよい。
トーチ6を一方向のみではなく、二方向(矢印B方向及びC方向)に相対移動させた場合、相対移動の方向を反転させる前後において、この反転部位近傍の石英ガラスロッド10の表面は、トーチ6の反転に伴って火炎4による連続加熱時間が、他の表面よりも長くなる。例えば、トーチ6を矢印B方向へ相対移動させて、石英ガラスロッド10の他端10bの近傍に到達させた後、方向を反転させて、矢印C方向へ相対移動させた場合には、前記反転部位近傍の石英ガラスロッド10の表面(他端10bの近傍の表面)は、例えば、石英ガラスロッド10の長手方向における中央部やその近傍の表面よりも、火炎4による連続加熱時間が長くなる。そして、前記反転部位近傍の石英ガラスロッド10の表面は、前記中央部等の他の領域の表面よりも、予熱された状態でエッチングされるために、エッチングが促進されて、エッチング量が増加する。その結果、石英ガラスロッド10の他端10b、すなわちトーチ6の反転部位近傍は、前記中央部等の他の領域よりも外径が細くなる。これは、上記とは反対に、トーチ6を矢印C方向へ相対移動させて、石英ガラスロッド10の一端10aの近傍に到達させた後、方向を反転させて、矢印B方向へ相対移動させた場合も同様である。この場合には、前記反転部位近傍の石英ガラスロッド10の表面(一端10aの近傍の表面)は、前記中央部等の他の領域の表面よりも、火炎4による連続加熱時間が長くなり、石英ガラスロッド10の一端10a、すなわちトーチ6の反転部位近傍は、前記中央部等の他の領域よりも外径が細くなる。
石英ガラスロッド10の長手方向の長さが短く、例えば、エッチングの対象領域の長さが500mm程度である場合には、上記の連続加熱時間(予熱の程度)の影響が強く現れ、石英ガラスロッド10の外径は、長手方向の全域で変動が大きくなる。
一方、石英ガラスロッド10の長手方向の長さが長く、例えば、エッチングの対象領域の長さが1500mm程度である場合には、トーチ6が一回の相対移動の完了に要する時間が長くなるため、石英ガラスロッド10の長手方向における中央部やその周辺の領域は、トーチ6の次回の相対移動によるエッチング処理までに、比較的長い時間を要し、冷却によって温度が安定し易い。その結果、石英ガラスロッド10のこの領域は、一回のエッチング処理によるエッチング量が安定して、外径の変動が抑制される。しかし、トーチ6の反転部位近傍にある石英ガラスロッド10の領域は、上記の連続加熱時間の影響によって、前記中央部やその周辺の領域よりも外径が細くなることに変わりはなく、外径の変動が大きくなる。
このように、トーチ6を二方向に相対移動させた場合には、石英ガラスロッド10の長手方向の長さによらず、エッチング処理後の石英ガラスロッド10は、その長手方向において外径の変動が大きくなる。
これに対して、本発明では、トーチ6を矢印B方向のみ、又は矢印C方向のみに複数回相対移動させることで、上記のような反転部位が生じないので、石英ガラスロッド10は、その長手方向において、エッチング処理されるときの表面の温度がより均一となり、エッチング量が均一となる。その結果、石英ガラスロッド10は、その長手方向において外径の変動が抑制され、均一となる。
トーチは、一回の相対移動を終了してから次回の相対移動を開始するまでのエッチング処理間において、エッチング処理の終了位置から開始位置までの移動時に、火炎による加熱の影響を石英ガラスロッドが受けないように適宜調節する。ここで、「加熱の影響」とは、「石英ガラスロッドの長手方向におけるエッチング量の変動」を意味する。
例えば、エッチング処理間において、エッチング処理の終了位置から開始位置まで、火炎を消火してトーチ6を移動させることが好ましい。また、火炎を消火しない場合には、エッチング処理間において、エッチング処理の終了位置から開始位置まで、火炎が石英ガラスロッドから十分に離間するように、トーチを移動させる。
エッチング処理の開始から終了までの間において、トーチの前記相対移動の速度の絶対値は、一定としてもよいし、変動させてもよいが、一定とすることが好ましい。一定とすることで、石英ガラスロッドの長手方向におけるエッチング量の変動を抑制する効果が高くなる。
エッチング処理における、トーチの前記相対移動の速度の絶対値は、他の工程の影響を受けることなく、所望のエッチング量となるように任意に設定できる。
本発明においては、前記エッチング処理の前後において、前記石英ガラスロッドの外径を測定することが好ましい。そして、エッチング処理前後の石英ガラスロッドの外径から、エッチング処理に伴うエッチング量を算出することが好ましい。エッチング量を算出することで、その値を目的値と比較して、目的とする程度にまでエッチングされているか否か、すなわち、エッチング処理の追加の有無をその都度判断でき、エッチング量が目的値に到達していない場合には、さらに追加でエッチング処理を行えばよい。一回のエッチング処理によるエッチング量が予め判明していても、用いる石英ガラスロッドの大きさ、石英ガラスの粘度、設備トラブルの有無等によっては、一回のエッチング処理によるエッチング量が予想値とは異なることがあり、その場合には、追加でエッチング処理を行うように制御するとよい。このようにすることで、石英ガラスロッドに対して、目的とする程度にまでエッチング処理を確実に行うことができる。
追加で行うエッチング処理における、トーチの前記相対移動の方向は、これよりも前に行ったエッチング処理の場合と同じでもよいし、異なってもよいが、同じであることが好ましい。
石英ガラスロッドの外径は、例えば、レーザ外径測定機等を用いる公知の方法で測定できる。
エッチング処理後は、これ(エッチング処理)とは別途に、石英ガラスロッドのエッチング処理面を予熱処理することが好ましい。このように予熱処理することにより、後述する石英ガラス微粒子は、熱を帯びた状態の、石英ガラスロッドのエッチング処理面に堆積されるので、該処理面との密着度が向上し、石英ガラスロッドと外付け層との間で剥離及びずれの発生が抑制される。なお、石英ガラス微粒子の堆積を複数回行う場合には、石英ガラス微粒子の堆積に温度が高い火炎を用いることで、二回目以降に堆積される石英ガラス微粒子は、その堆積される表面(石英ガラス微粒子の堆積層表面)の温度が十分に高いので、該表面との密着度が高い。
前記予熱処理は、プラズマ火炎を用いて行うことが好ましい。予熱処理においても、プラズマ火炎を用いることで、石英ガラスロッドのエッチング処理面における水酸基の残存が抑制される。
さらに、プラズマ火炎は、熱容量が小さく、赤外線波長域の光を含まないため、酸水素火炎よりも輻射熱の発生が非常に少ない。したがって、プラズマ火炎で石英ガラスロッドを加熱しても、表面が広範囲に渡って、高温で長時間熱を帯びた(予熱された)状態とはならないので、エッチング処理面は、水が結合(反応)する前に十分に冷却される。通常は、エッチング処理面の温度が高いほど、水はエッチング処理面と結合(反応)し易くなる。このような効果も相まって、プラズマ火炎を用いて予熱処理することにより、石英ガラスロッドのエッチング処理面における水酸基の残存は、高度に抑制される。
予熱処理は、対象となる石英ガラス微粒子の堆積箇所(エッチング箇所)に対して、一回行うだけでもよいし、二回以上(複数回)繰り返して行ってもよい。ただし、通常は、一回行うだけでも十分な効果が得られる。
予熱処理時の火炎は、エッチング処理時のものと同様の方法で生成されたものでよい。例えば、プラズマ火炎は、アルゴンガス、窒素(N)ガス又は酸素ガスを用いて生成されたものが好ましい。このようなプラズマ火炎を用いることで、予熱処理をより効果的に行うことができる。
予熱処理は、石英ガラスロッド(エッチング面が形成された石英ガラスロッド)に対して、その長手方向に沿ってトーチ(火炎生成手段)を相対移動させることで行うのが好ましく、例えば、用いるガスの種類が異なり、トーチの相対移動の方向が一方向のみに限定されない点以外は、上記のエッチング処理の場合と同様の方法で行うことができる。
予熱処理時におけるトーチの移動方向は、石英ガラスロッドの長手方向(中心軸方向)に沿って二方向あるが、いずれの方向でもよく、エッチング処理時におけるトーチの移動方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
予熱処理の開始から終了までの間において、プラズマトーチの前記相対移動の速度の絶対値は、一定としてもよいし、変動させてもよいが、一定とすることが好ましい。一定とすることで、後述する光ファイバ用ガラス母材において、石英ガラスロッドと外付け層との間で剥離及びずれを抑制する効果がより高くなる。
予熱処理は、エッチング処理がすべて終了してから行ってもよいし、エッチング処理がすべて終了する前に、エッチング処理済みの部位から行うことで、エッチング処理と並行して行ってもよい。
エッチング処理後は、石英ガラスロッドのエッチング処理面に、石英ガラス微粒子を堆積させて、光ファイバ用石英多孔質母材とする。予熱処理を行った場合には、予熱処理により熱を帯びた状態とした、石英ガラスロッドのエッチング処理面に、石英ガラス微粒子を堆積させればよい。
石英ガラス微粒子の堆積は、公知の方法で行うことができる。
石英ガラス微粒子の堆積は、一回行うだけでもよいし、二回以上(複数回)繰り返して行ってもよいが、通常は、複数回繰り返して行うことにより、十分な量の石英ガラス微粒子を堆積させることが好ましい。このときの繰り返し数は、目的とする光ファイバ用ガラス母材の大きさに応じて適宜調節すればよく、例えば、数百回程度等、千回以下とすることがある。
堆積させる石英ガラス微粒子は、石英ガラス原料ガス、水素(H)ガス、酸素ガス及び不活性ガスを用いて、酸水素火炎中で生成させることが好ましい。
前記石英ガラス原料ガスとしては、四塩化ケイ素(SiCl)ガス、四塩化ゲルマニウム(GeC1)ガス等が例示できる。
前記不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガスが例示できる。
石英ガラス微粒子の堆積温度(デポジション温度)は、500〜1100℃であることが好ましく、650〜1050℃であることがより好ましい。
石英ガラス微粒子の堆積は、石英ガラスロッド(エッチング処理された石英ガラスロッド)に対して、その長手方向に沿って、石英ガラス微粒子を生成する石英ガラスバーナを相対移動させることで行うのが好ましい。ここで、「石英ガラスロッドに対して石英ガラスバーナを相対移動させる」とは、上記のトーチの場合と同様であり、(i)石英ガラスロッドを固定して石英ガラスバーナを移動させる、(ii)石英ガラスバーナを固定して石英ガラスロッドを移動させる、(iii)石英ガラスロッド及び石英ガラスバーナを共に移動させる(ただし、移動速度の絶対値と移動方向が共に同じである場合を除く)、のいずれかを意味する。
石英ガラスロッド及び石英ガラスバーナは、いずれも石英ガラスロッドの長手方向(中心軸方向)に沿って移動させる。このときの移動方向は二方向あるが、いずれの方向であってもよい。例えば、前記(iii)の場合、石英ガラスロッド及び石英ガラスバーナは、同一方向に移動させてもよいし、反対方向に移動させてもよい。
そして、石英ガラス微粒子の堆積を複数回繰り返して行う場合に、前記移動方向は、すべての回で同一方向であってもよいし、すべての回で異なる方向であっても(一方向ずつ二回行っても)よく、一部の回のみ異なる方向であってもよい。
石英ガラス微粒子の堆積の開始から終了までの間において、石英ガラスバーナの前記相対移動の速度の絶対値は、一定としてもよいし、変動させてもよいが、一定とすることが好ましい。一定とすることで、石英ガラス微粒子の堆積層(スート堆積層)の厚さが、石英ガラスロッドの長手方向においてより均一となる。
予熱処理を行った場合には、石英ガラス微粒子の堆積は、予熱処理がすべて終了してから行ってもよいし、予熱処理がすべて終了する前に、予熱処理済みの部位から行うことで、予熱処理と並行して行ってもよい。そして、光ファイバ用ガラス母材において、石英ガラスロッドと外付け層との間で剥離及びずれを抑制する効果がより高くなることから、予熱処理と並行して行うことが好ましい。このようにすることにより、予熱処理後の放熱(温度の低下)度が低い状態のエッチング処理面に、石英ガラス微粒子を堆積させることができる。
図1(b)は、予熱処理を行った場合の石英ガラス微粒子の堆積について、好ましい一実施形態を例示するものである。
ここでは、石英ガラスロッド10をその長手方向においては固定し、その長手方向に沿って、トーチ6及び石英ガラスバーナ5を同一方向、すなわち矢印B方向(左側)に移動させることで、予熱処理及び石英ガラス微粒子の堆積を行う場合を例示している。このとき、石英ガラスロッド10は矢印A方向に回転させる。石英ガラスバーナ5は、トーチ6を追いかけるように移動させる。火炎4にエッチングガスは添加しないが、トーチ6は、ここでの予熱処理だけでなく、前記エッチング処理も行うものであってよい。
排気ダクト内と、反応容器7が置かれたブース内の圧力は、図1(a)の場合と同様である。
石英ガラス微粒子の堆積を複数回行う場合には、二回目以降においては、石英ガラスバーナ5のみを移動させることで、堆積させることができる。
また、石英ガラスロッド10は、同じ軸回りに矢印A方向に対して反対方向に回転させてもよく、トーチ6及び石英ガラスバーナ5は、矢印B方向に対して反対方向(右側)に移動させてもよい。石英ガラスロッド10の前記回転の回転数は、図1(a)の場合と同様である。
なお、ここでは石英ガラスバーナ5が、石英ガラスロッド10の長手方向に沿って2個直列に配置された例を示しているが、石英ガラスバーナ5の数及び配置形態は、これに限定されず、適宜調節できる。
石英ガラスロッドのエッチング処理面に石英ガラス微粒子を堆積させた後は、得られた光ファイバ用石英多孔質母材を透明ガラス化する。
透明ガラス化は公知の方法で行えばよく、光ファイバ用石英多孔質母材を脱水及び焼結処理することで行うことができるが、かかる母材が水酸基の量が十分に低減されたものである場合には、脱水処理は省略してもよい。
前記脱水処理は、塩素含有ガスの存在下で行うことが好ましい。
前記焼結処理は、ヘリウムガス等の不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。
また、脱水及び焼結処理をフッ素含有ガスの存在下で行うことにより、フッ素添加を行い、透明ガラス化した層(外付け層)の屈折率を低下させることができる。このときのフッ素含有ガスとしては、前記エッチング処理においてエッチングガスとして用いるフッ素含有ガスと同じものが例示でき、かかるフッ素含有ガスは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
透明ガラス化した後は、得られたものを光ファイバ用ガラス母材としてもよいし、形成した透明ガラス化層(外付け層)の外側に、さらに外付け層を追加形成して光ファイバ用ガラス母材としてもよい。
追加形成する外付け層は、公知の方法で形成してもよいし、上記の透明ガラス化で得られたものを、あらたに石英ガラスロッドとして用い、上記の本発明の製造方法を適用して形成してもよい。
追加形成する外付け層の数及び種類は、目的とする光ファイバ用ガラス母材の構造に応じて、任意に設定できる。
本発明においては、長手方向において外径の変動が抑制された、エッチング処理済みの石英ガラスロッドを用いているため、形成した透明ガラス化層は、長手方向において厚さの変動が抑制されたものとなる。
図2は、本発明により得られた光ファイバ用ガラス母材と、該母材を構成する各層の屈折率の関係と、を例示する概略断面図である。図2(a)は、コア11、内側クラッド12及び外側クラッド13がこの順に設けられた光ファイバ用ガラス母材1を示し、図2(b)は、コア11、内側クラッド12、トレンチ層14及び外側クラッド13がこの順に設けられた光ファイバ用ガラス母材2を示す。
図2中、Dは外側クラッドの外径を、dは内側クラッドの外径を、dはトレンチ層の外径を、それぞれ示す。
なお、ここに示す光ファイバ用ガラス母材は、本発明により得られるものの一例を示すに過ぎず、本発明により得られる光ファイバ用ガラス母材は、これに限定されるものではない。
光ファイバ用ガラス母材1は、例えば、石英ガラスロッドとしてコア11及び内側クラッド12を構成するものを用い、外側クラッド13の形成時に本発明を適用することで製造できる。
また、光ファイバ用ガラス母材2は、例えば、石英ガラスロッドとしてコア11及び内側クラッド12を構成するものを用い、トレンチ層14の形成時に本発明を適用することで製造できる。
図3に、本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法の一実施形態を説明するためのフロー図を例示する。ここに示すもののうち、点線枠で囲った工程は、状況によって省略することも可能である。
本発明によれば、光ファイバ用ガラス母材の製造過程において、エッチング処理済みの石英ガラスロッドは、その長手方向における外径の変動が抑制される。例えば、外径が20〜45mm、長さが300〜2000mmの石英ガラスロッドをエッチング処理に供した場合、石英ガラスロッドの長手方向における、エッチング処理前後での外径差(エッチング量の2倍の値)の変動値を好ましくは0.06mm以下、より好ましくは0.05mm以下に抑制できる。
そして、このようなエッチング処理済みの石英ガラスロッドを用いることにより、得られる光ファイバ用ガラス母材は、外付けされた透明ガラス化層の長手方向における厚さの変動が抑制される。すなわち、長手方向において、コアの外径とクラッドの外径との比(コアの外径/クラッドの外径)の変動が抑制される。そして、この特性を反映して、かかる光ファイバ用ガラス母材から得られた光ファイバは、その長手方向においてカットオフ波長の変動値が抑制された、優れた光学特性を有するものとなる。例えば、光ファイバとして、カットオフ波長の標準偏差(σ)が好ましくは21.5nm以下、より好ましくは20.0nm以下のものが得られる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<石英ガラスロッドの表面のエッチング処理とエッチング量(外径差)の算出>
[実験例1]
図1(a)を参照して説明した方法により、石英ガラスロッドの表面をエッチング処理した。具体的には、以下の通りである。
VAD法で作製した石英ガラスロッドの両端部にダミー母材を同軸状に接続し、反応容器内でこれを一対の回転チャックで把持した後、石英ガラスロッドを軸回りに回転数25rpmで回転させた。石英ガラスロッドとしては、長手方法の長さが約500mmのものを用いた。また、反応容器には外部からクリーンエアを供給し、反応容器が置かれたブース内の圧力を、3〜30Paの範囲内に収まるように調整した。
次いで、石英ガラスロッドをその長手方向においては固定し、その長手方向に沿って、プラズマトーチを15mm/分の速度で移動させることで、石英ガラスロッドの表面をプラズマ火炎でエッチング処理した。このとき、アルゴンガスを30SLMの流量でプラズマトーチに供給し、高周波電源を用いて13.56MHz、6KWの条件で電圧を加えることで、高周波プラズマ火炎を生成させた。そして、生成されたプラズマ火炎に、SFガスを2.5SLMの流量で添加することで、エッチング処理を行った。エッチング処理は、ガラスロッドの一端から他端へ向けてプラズマトーチを一方向のみに二回繰り返して移動させることで、二回行った。なお、エッチング処理の前後において、レーザ外径測定機(キーエンス社製LS−3000シリーズ)を用いて、石英ガラスロッドの外径を長手方向全域において測定した。
そして、一回目のエッチング処理前における石英ガラスロッドの外径の測定値と、二回目のエッチング処理後における石英ガラスロッドの外径の測定値との差(二回のエッチング処理によって生じた石英ガラスロッドの外径差)を、石英ガラスロッドの長手方向全域に渡って算出した。このときの結果を図4に示す。二回のエッチング処理による、石英ガラスロッドの表面のエッチング量は、この外径差の1/2の値となる。
[実験例2]
プラズマトーチを石英ガラスロッドの一端から他端へ向けて一回移動させた後、直ちに方向を反転させて、逆方向に一端へ向けて一回移動させることで、二方向に一回ずつ移動させたこと以外は、実験例1と同様にエッチング処理し、二回のエッチング処理によって生じた石英ガラスロッドの外径差を算出した。このときの結果を図4に示す。
図4に示すように、実験例1では、石英ガラスロッドは一端(一回のエッチング処理開始位置、図中の横軸が0mm近傍の部位)から他端(一回のエッチング処理終了位置、図中の横軸が500mm近傍の部位)へかけて、長手方向における全域で、外径差の変動が抑制されていた。
これに対して、実験例2では、石英ガラスロッドは一端から他端へかけて、長手方向における全域で、外径差が変動していた。具体的には、石英ガラスロッドは概ね、一端から他端へ向かうにつれて、外径差が増大していた。これは、他端がプラズマトーチの反転部位近傍に位置するために、他端に近いほど石英ガラスロッドの表面は、火炎による連続加熱時間が長くなり、二回目のエッチング処理が予熱された状態で行われ、エッチングが促進されたためであった。なお、実験例2では、横軸が0mm及び500mmの近傍の領域で外径差が特に大きく変動して、ノイズが出ているが、これは、ダミー母材の外径を測定したためである。
[実施例1]
<光ファイバ用ガラス母材の製造>
図1を参照して説明した方法により、表1に示す条件で、図2(b)に示す構造の光ファイバ用ガラス母材を製造した。具体的には、以下の通りである。
VAD法で作製した石英ガラスロッドの両端部にダミー母材を同軸状に接続し、反応容器内でこれを一対の回転チャックで把持した後、石英ガラスロッドを軸回りに回転数25rpmで回転させた。石英ガラスロッドとしては、長手方法の長さが1500mmであり、コア及び内側クラッドを構成するものを用いた。また、反応容器には外部からクリーンエアを供給し、反応容器が置かれたブース内の圧力を、3〜30Paの範囲内に収まるように調整した。
次いで、石英ガラスロッドをその長手方向においては固定し、その長手方向に沿って、プラズマトーチを移動させることで、石英ガラスロッドの表面をプラズマ火炎でエッチング処理した。このとき、アルゴンガスを30SLMの流量でプラズマトーチに供給し、高周波電源を用いて13.56MHz、6KWの条件で電圧を加えることで、高周波プラズマ火炎を生成させた。そして、生成されたプラズマ火炎に、SFガスを2.5SLMの流量で添加することで、エッチング処理を行った。エッチング処理は、ガラスロッドの一端から他端へ向けてプラズマトーチを一方向のみに二回繰り返して移動させることで、二回行った。なお、エッチング処理の前後において、レーザ外径測定機(キーエンス社製LS−3000シリーズ)を用いて、石英ガラスロッドの外径を長手方向全域において測定した。
そして、一回目のエッチング処理前における石英ガラスロッドの外径の測定値と、二回目のエッチング処理後における石英ガラスロッドの外径の測定値との差(二回のエッチング処理によって生じた石英ガラスロッドの外径差)を、石英ガラスロッドの長手方向全域に渡って算出した。
次いで、エッチング処理がすべて終了した後、石英ガラスロッドをその長手方向においては固定し、その長手方向に沿って、プラズマトーチ及び石英ガラスバーナを同一方向に移動させる(プラズマトーチを追いかけるように石英ガラスバーナを移動させる)ことで、予熱処理及び石英ガラス微粒子の堆積を並行して一回行った。予熱処理は、SFガスを添加しなかったこと以外は、エッチング処理の場合と同様に高周波プラズマ火炎を生成させ、これを用いて行った。また、石英ガラス微粒子は、石英ガラス原料ガス、水素ガス及び酸素ガスを用い、さらに不活性ガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用いて、酸水素火炎中で生成させることで堆積させた。予熱処理及び石英ガラス微粒子の堆積は、ガラスロッドの一端から他端に向けてプラズマトーチ及び石英ガラスバーナを一方向に一回移動させることで行った。
次いで、石英ガラスバーナの移動を妨げない位置にプラズマトーチを退避させた後、一回目と同方向に石英ガラスバーナのみを複数回繰り返して移動させることにより、石英ガラス微粒子の堆積を複数回行った。
ここまでの工程で、光ファイバ用石英多孔質母材を作製した。
次いで、得られた光ファイバ用石英多孔質母材を焼結炉に入れて、塩素含有ガス雰囲気下で脱水処理した後、SiFとヘリウムの混合ガス中で焼結処理とフッ素添加を同時に行った。
ここまでの工程で、図2(b)に示す構造の光ファイバ用ガラス母材のうち、コア〜トレンチ層の部分を作製した。
次いで、塩素含有ガス雰囲気下での脱水処理を含む、従来の外付け法で、外側クラッドを形成した。
ここまでの工程で、図2(b)に示す構造の光ファイバ用ガラス母材を製造した。
<光ファイバの製造>
得られた光ファイバ用ガラス母材を、従来法により素線化して、外側クラッドの外径が125μmの光ファイバを製造した。そして、得られた光ファイバについて、カットオフ波長及びOH損失を測定し、カットオフ波長の標準偏差(σ)を求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
表1に示すように、石英ガラスロッドとして、長手方法の長さが500mmであるものを用いたこと以外は、実施例1と同様に、光ファイバ用ガラス母材を製造し、さらに光ファイバを製造した。
得られた光ファイバの、カットオフ波長の標準偏差(σ)及びOH損失を表1に示す。
[実施例3]
表1に示すように、石英ガラスロッドとして、外径が40mmであるものを用い、エッチング処理時に、トーチの移動速度を55mm/分として酸水素火炎を用いたこと以外は、実施例1と同様に、光ファイバ用ガラス母材を製造し、さらに光ファイバを製造した。
得られた光ファイバの、カットオフ波長の標準偏差(σ)及びOH損失を表1に示す。
[比較例1]
表2に示すように、エッチング処理時に、プラズマトーチを石英ガラスロッドの一端から他端へ向けて一回移動させた後、直ちに方向を反転させて、逆方向に一端へ向けて一回移動させることで、二方向に一回ずつ移動させたこと以外は、実施例1と同様に、光ファイバ用ガラス母材を製造し、さらに光ファイバを製造した。
得られた光ファイバの、カットオフ波長の標準偏差(σ)及びOH損失を表2に示す。
[比較例2]
表2に示すように、エッチング処理時に、プラズマトーチの移動速度を80mm/分とし、プラズマトーチを石英ガラスロッドの一端から他端へ向けて一回移動させた後、直ちに方向を反転させて、逆方向に一端へ向けて一回移動させることで、二方向に一回ずつ移動させ、さらに、この操作を一回繰り返して、エッチング処理を合計で4回行ったこと以外は、実施例1と同様に、光ファイバ用ガラス母材を製造し、さらに光ファイバを製造した。
得られた光ファイバの、カットオフ波長の標準偏差(σ)及びOH損失を表2に示す。
[比較例3]
表1に示すように、石英ガラスロッドとして、外径が40mmであるものを用い、エッチング処理時に、トーチの移動速度を55mm/分として酸水素火炎を用い、トーチを石英ガラスロッドの一端から他端へ向けて一回移動させた後、直ちに方向を反転させて、逆方向に一端へ向けて一回移動させることで、二方向に一回ずつ移動させたこと以外は、実施例1と同様に、光ファイバ用ガラス母材を製造し、さらに光ファイバを製造した。
得られた光ファイバの、カットオフ波長の標準偏差(σ)及びOH損失を表2に示す。
Figure 0005952656
Figure 0005952656
表1及び2に示すように、実施例1〜3では、石英ガラスロッドの外径差の変動値が0.02〜0.03mm(エッチング量の変動値が0.01〜0.015mm)に抑制されており、その結果、得られた光ファイバは、カットオフ波長の標準偏差(σ)、すなわち変動値が抑制され、優れた光学特性を有していた。
これに対し、比較例1〜3では、石英ガラスロッドの外径差の変動値が0.08〜0.10mm(エッチング量の変動値が0.04〜0.05mm)と大きく、その結果、得られた光ファイバは、カットオフ波長の変動値が大きかった。
光ファイバのOH損失は、実施例1〜3と比較例1〜3とでは、同等であった。
以上のように、本発明は顕著に優れた効果を奏することが確認できた。これは、実施例1と比較例1及び2との比較、並びに実施例3と比較例3との比較から、より明らかである。
本発明は、光ファイバの製造に利用可能である。
1,2・・・光ファイバ用ガラス母材、10・・・石英ガラスロッド、11・・・コア、12・・・内側クラッド、13・・・外側クラッド、14・・・トレンチ層、4・・・火炎、5・・・石英ガラスバーナ、6・・・トーチ、7・・・反応容器、8・・・回転チャック、9・・・ダミー母材

Claims (5)

  1. 石英ガラスロッドの表面を火炎でエッチング処理した後、該エッチング処理面に石英ガラス微粒子を堆積させて光ファイバ用石英多孔質母材とし、該光ファイバ用石英多孔質母材を透明ガラス化する工程を有する、光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、
    前記エッチング処理は、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチを一方向のみに複数回相対移動させ、前記トーチの前記石英ガラスロッドに対する相対移動を、前記石英ガラスロッドの一端から開始して、他端へ向けて行うことを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
  2. 前記エッチング処理は、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記火炎を生成するトーチを一方向のみに複数回相対移動させ、一回の相対移動で、前記石英ガラスロッドの一端から他端まで、前記トーチを相対移動させることで行うことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
  3. 前記エッチング処理の前後において、前記石英ガラスロッドの外径を測定し、エッチング量を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
  4. 前記エッチング量を算出後、その値を目的値と比較し、前記石英ガラスロッドに対して、その長手方向に沿って、前記トーチを一方向のみに相対移動させることで行う、エッチング処理の追加の有無を判断することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
  5. 前記火炎がプラズマ火炎であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
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