JP2005239444A - 多孔質ガラス母材、多孔質ガラス母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脱水処理によって出発部材近傍の水酸基を大幅に低減でき、かつ透明ガラス化する際に、出発部材と堆積されたガラス微粒子とにおいてズレや剥離がほとんど発生しない多孔質ガラス母材と、この多孔質ガラス母材を歩留まり良く製造できる多孔質ガラス母材の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の多孔質ガラス母材1は、出発部材11と、該出発部材11に堆積されたガラス微粒子層12とから構成された多孔質ガラス母材において、前記ガラス微粒子層12の半径方向の嵩密度プロファイルが、凸状である構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の多孔質ガラス母材1は、出発部材11と、該出発部材11に堆積されたガラス微粒子層12とから構成された多孔質ガラス母材において、前記ガラス微粒子層12の半径方向の嵩密度プロファイルが、凸状である構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、多孔質ガラス母材とその製造方法に関するものである。
従来より、光ファイバの出発原料となる光ファイバ母材は、直接法やスート法等によって形成された多孔質ガラス母材を焼結して透明ガラス化することによって製造される。
VAD法やOVD法に代表されるスート法により多孔質ガラス母材を製造するには、ターゲットとなる出発部材をその軸周りに回転させながら、ガラス合成用バーナから四塩化ケイ素(SiCl4)等のガラス原料ガスを、水素等の可燃性ガス、酸素等の助燃性ガスとともに噴出し、ガラス原料ガスを酸水素火炎中で加水分解反応又は酸化反応させてガラス微粒子(スート)を合成し、回転する出発部材の外周部の径方向に堆積させて、多孔質ガラス母材を得る。
VAD法やOVD法に代表されるスート法により多孔質ガラス母材を製造するには、ターゲットとなる出発部材をその軸周りに回転させながら、ガラス合成用バーナから四塩化ケイ素(SiCl4)等のガラス原料ガスを、水素等の可燃性ガス、酸素等の助燃性ガスとともに噴出し、ガラス原料ガスを酸水素火炎中で加水分解反応又は酸化反応させてガラス微粒子(スート)を合成し、回転する出発部材の外周部の径方向に堆積させて、多孔質ガラス母材を得る。
前記多孔質ガラス母材の製造工程において、予め出発部材を形成する際や、出発部材に直接、ガラス微粒子を堆積させる際に、酸水素火炎によって、出発部材には表面層として水酸基(OH基)含有層が形成される。
また、ガラス微粒子は、酸水素炎中で合成されるため、水酸基を含有している。
この水酸基は、1.38μm帯に光吸収ピークを有するため、多孔質ガラス母材中に水酸基が含有されていると、この多孔質ガラス母材から製造された光ファイバ中に水酸基が残留し、光損失の原因となってしまう。
このため、脱水剤として塩素ガス等の塩素系化合物ガスを用い、この塩素系化合物ガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材を加熱し、多孔質ガラス母材中に吸着している水酸基を除去する脱水処理が行われている。
また、ガラス微粒子は、酸水素炎中で合成されるため、水酸基を含有している。
この水酸基は、1.38μm帯に光吸収ピークを有するため、多孔質ガラス母材中に水酸基が含有されていると、この多孔質ガラス母材から製造された光ファイバ中に水酸基が残留し、光損失の原因となってしまう。
このため、脱水剤として塩素ガス等の塩素系化合物ガスを用い、この塩素系化合物ガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材を加熱し、多孔質ガラス母材中に吸着している水酸基を除去する脱水処理が行われている。
ところで、多孔質ガラス母材の製造工程において、通常、出発部材に直接、ガラス微粒子を堆積する際、嵩密度の高いガラス微粒子を堆積させ、出発部材とガラス微粒子との嵩密度の差が小さくなるように多孔質ガラス母材を製造している。
図5は、従来の多孔質ガラス母材の嵩密度プロファイルの一例を示す図である。
この多孔質ガラス母材では、出発部材近傍のガラス微粒子の嵩密度が高いため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に、出発部材と堆積されたガラス微粒子とにおいて、両者のガラスの収縮度の差によるズレや剥離の発生を抑制できる。
図5は、従来の多孔質ガラス母材の嵩密度プロファイルの一例を示す図である。
この多孔質ガラス母材では、出発部材近傍のガラス微粒子の嵩密度が高いため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に、出発部材と堆積されたガラス微粒子とにおいて、両者のガラスの収縮度の差によるズレや剥離の発生を抑制できる。
しかし、多孔質ガラス母材の製造工程において、出発部材に直接、ガラス微粒子を堆積させる際、嵩密度の高いガラス微粒子を堆積させるためには、酸水素炎の温度を高くしてガラス微粒子の堆積温度を高くする必要がある。このため、この温度の高い酸水素炎によって、出発部材には、表面層として厚い水酸基含有層が形成されてしまう。
また、得られた多孔質ガラス母材では、その外周部に比べて出発部材に近くなるほど、ガラス微粒子の嵩密度が高いために、多孔質ガラス母材を脱水する際、塩素ガス等の脱水剤のガスは、多孔質ガラス母材中、出発部材に近くなるほど、拡散され難い。
更に、多孔質ガラス母材を脱水する際、多孔質ガラス母材の外周側から加熱するため、多孔質ガラス母材の外周部に比べて出発部材に近くなるほど、熱が伝わり難く加熱温度が低くなってしまう。
また、得られた多孔質ガラス母材では、その外周部に比べて出発部材に近くなるほど、ガラス微粒子の嵩密度が高いために、多孔質ガラス母材を脱水する際、塩素ガス等の脱水剤のガスは、多孔質ガラス母材中、出発部材に近くなるほど、拡散され難い。
更に、多孔質ガラス母材を脱水する際、多孔質ガラス母材の外周側から加熱するため、多孔質ガラス母材の外周部に比べて出発部材に近くなるほど、熱が伝わり難く加熱温度が低くなってしまう。
このため、多孔質ガラス母材を脱水する際、ガラス微粒子の嵩密度の高い領域ほど脱水され難い。特に、出発部材の水酸基含有層では、水酸基の含有量が多いだけでなく、熱が最も伝わり難く、かつ脱水剤のガスが最も拡散され難いため、脱水が十分に行われず、水酸基が多量に残留してしまう。
そこで、水酸基濃度の低い多孔質ガラス母材を製造する方法として、主バーナと共に補助バーナを用い、この補助バーナによって出発部材の表面温度を350〜850℃に保ちつつ嵩密度の低い第1ガラス微粒子層を出発部材に直接、形成し、かつ主バーナによって嵩密度の高い第2ガラス微粒子層を、前記第1ガラス微粒子層の全体を覆うように形成する方法が開示されている(特許文献1参照。)。
この製造方法によると、出発部材に直接、ガラス微粒子を堆積させる際の出発部材の表面温度を350〜850℃の低温度とすることによって、出発部材への水酸基含有層の形成を抑制できる。
更に、嵩密度の高い第2ガラス微粒子層によって第1ガラス微粒子層の全体を被覆することによって、多孔質ガラス母材の製造中のガラス微粒子に割れが発生することを抑制できる。また、得られた多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に堆積されたガラス微粒子が剥離することを抑制できる。
この製造方法によると、出発部材に直接、ガラス微粒子を堆積させる際の出発部材の表面温度を350〜850℃の低温度とすることによって、出発部材への水酸基含有層の形成を抑制できる。
更に、嵩密度の高い第2ガラス微粒子層によって第1ガラス微粒子層の全体を被覆することによって、多孔質ガラス母材の製造中のガラス微粒子に割れが発生することを抑制できる。また、得られた多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に堆積されたガラス微粒子が剥離することを抑制できる。
しかし、多孔質ガラス母材が大型化すると、第1ガラス微粒子層と第2ガラス微粒子層との嵩密度の差によって生じるガラス微粒子の割れや、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に生じるガラス微粒子の剥離を十分に抑制できず、歩留まりが低下してしまう。
また、出発部材に直接、嵩密度の低い第1ガラス微粒子層が形成されているため、出発部材と第1ガラス微粒子層との嵩密度には大きな差がある。このため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際、出発部材と第1ガラス微粒子層とにおいて、嵩密度の違いによってガラスの収縮率に差が生じ、出発部材に対するガラス微粒子層の相対位置にズレが生じる場合があった。
同様に、第1ガラス微粒子層の嵩密度と第2ガラス微粒子層の嵩密度が異なるため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際、第1ガラス微粒子層から第2ガラス微粒子層が剥れる場合もあった。
また、出発部材に直接、嵩密度の低い第1ガラス微粒子層が形成されているため、出発部材と第1ガラス微粒子層との嵩密度には大きな差がある。このため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際、出発部材と第1ガラス微粒子層とにおいて、嵩密度の違いによってガラスの収縮率に差が生じ、出発部材に対するガラス微粒子層の相対位置にズレが生じる場合があった。
同様に、第1ガラス微粒子層の嵩密度と第2ガラス微粒子層の嵩密度が異なるため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際、第1ガラス微粒子層から第2ガラス微粒子層が剥れる場合もあった。
前記スート法以外の多孔質ガラス母材の製造方法として、出発部材を延伸した後、この出発部材を水酸基濃度の低いガラス管に挿入し、加熱しながらガラス管を潰して石英ガラス母材を得る方法が開示されている(特許文献2参照。)。
しかし、この方法では、水酸基濃度の低い石英ガラス母材が得られるが、大径のガラス管を作製することが難しく、石英ガラス母材の大径化が困難である。また、ガラス管を潰す工程を必要とし、製造工程が複雑化すると共に製造コストが増加してしまう問題がある。
特開2001−335339号公報
特開平11−171575号公報
しかし、この方法では、水酸基濃度の低い石英ガラス母材が得られるが、大径のガラス管を作製することが難しく、石英ガラス母材の大径化が困難である。また、ガラス管を潰す工程を必要とし、製造工程が複雑化すると共に製造コストが増加してしまう問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、脱水処理によって出発部材近傍の水酸基を大幅に低減でき、かつ透明ガラス化する際に、出発部材と堆積されたガラス微粒子とにおいてズレや剥離がほとんど発生しない多孔質ガラス母材と、この多孔質ガラス母材を歩留まり良く製造できる多孔質ガラス母材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を提供するものである。
請求項1に係る発明は、出発部材と、該出発部材に堆積されたガラス微粒子層とから構成された多孔質ガラス母材において、前記ガラス微粒子層の半径方向の嵩密度プロファイルが、凸状であることを特徴とする多孔質ガラス母材である。
請求項2に係る発明は、前記出発部材に第一のガラス微粒子層が設けられ、該第一のガラス微粒子層上に第二のガラス微粒子層が設けられ、前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有し、前記第一のガラス微粒子層の堆積厚さ(Lm)と、前記ガラス微粒子層の総堆積厚さ(Lf)とが、関係式Lm/Lf≦0.2を満たし、かつ出発部材と前記第一のガラス微粒子層とを含めた領域の直径(Dm)と、前記出発部材の直径(Dt)とが、関係式Dm/Dt≧1.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス母材である。
請求項3に係る発明は、前記ガラス微粒子層の最大嵩密度(dm)が、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質ガラス母材である。
請求項4に係る発明は、前記出発部材に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)が、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔質ガラス母材である。
請求項5に係る発明は、出発部材と、該出発部材に堆積された第一のガラス微粒子層と、該第一のガラス微粒子層上に堆積された第二のガラス微粒子層とから構成され、前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有する多孔質ガラス母材の製造方法であって、ガラス合成用バーナに、酸水素炎をつくるための燃料ガスを供給すると共にガラス原料ガスを供給してガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子の堆積温度を徐々に高くしながら、ガラス微粒子を出発部材に堆積させて第一のガラス微粒子層を形成する第一の工程と、前記ガラス微粒子の堆積温度を徐々に低くしながら、ガラス微粒子を前記第一のガラス微粒子層上に堆積させて第二のガラス微粒子層を形成する第二の工程とを有することを特徴とする多孔質ガラス母材の製造方法である。
請求項1に係る発明は、出発部材と、該出発部材に堆積されたガラス微粒子層とから構成された多孔質ガラス母材において、前記ガラス微粒子層の半径方向の嵩密度プロファイルが、凸状であることを特徴とする多孔質ガラス母材である。
請求項2に係る発明は、前記出発部材に第一のガラス微粒子層が設けられ、該第一のガラス微粒子層上に第二のガラス微粒子層が設けられ、前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有し、前記第一のガラス微粒子層の堆積厚さ(Lm)と、前記ガラス微粒子層の総堆積厚さ(Lf)とが、関係式Lm/Lf≦0.2を満たし、かつ出発部材と前記第一のガラス微粒子層とを含めた領域の直径(Dm)と、前記出発部材の直径(Dt)とが、関係式Dm/Dt≧1.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス母材である。
請求項3に係る発明は、前記ガラス微粒子層の最大嵩密度(dm)が、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質ガラス母材である。
請求項4に係る発明は、前記出発部材に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)が、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔質ガラス母材である。
請求項5に係る発明は、出発部材と、該出発部材に堆積された第一のガラス微粒子層と、該第一のガラス微粒子層上に堆積された第二のガラス微粒子層とから構成され、前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有する多孔質ガラス母材の製造方法であって、ガラス合成用バーナに、酸水素炎をつくるための燃料ガスを供給すると共にガラス原料ガスを供給してガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子の堆積温度を徐々に高くしながら、ガラス微粒子を出発部材に堆積させて第一のガラス微粒子層を形成する第一の工程と、前記ガラス微粒子の堆積温度を徐々に低くしながら、ガラス微粒子を前記第一のガラス微粒子層上に堆積させて第二のガラス微粒子層を形成する第二の工程とを有することを特徴とする多孔質ガラス母材の製造方法である。
本発明の多孔質ガラス母材によると、多孔質ガラス母材の外周から加熱すると、出発部材近傍に比べて、最大嵩密度を有するガラス微粒子は、外周側に位置するため熱が伝わりやすく、温度が上昇し易い。
これにより、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材を加熱して脱水する際、最大嵩密度を有する領域に脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、出発部材近傍では、最大嵩密度を有するガラス微粒子に比べて嵩密度が低く、脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材の水酸基含有層まで脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、多孔質ガラス母材を十分に脱水できる。
これにより、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材を加熱して脱水する際、最大嵩密度を有する領域に脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、出発部材近傍では、最大嵩密度を有するガラス微粒子に比べて嵩密度が低く、脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材の水酸基含有層まで脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、多孔質ガラス母材を十分に脱水できる。
また、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際、最大嵩密度を有するガラス微粒子は収縮し難いため、この最大嵩密度を有するガラス微粒子によって、出発部材に直接、堆積されたガラス微粒子の収縮を抑えることができる。
このため、出発部材と第一のガラス微粒子層とのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層のズレを抑制できる。
このため、出発部材と第一のガラス微粒子層とのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層のズレを抑制できる。
また、ガラス微粒子層では、径方向に対して嵩密度が徐々に変化しているため、ガラス微粒子層の内部において、嵩密度が大きく変化していない。
このため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によってガラス微粒子層に割れが生じたり、ガラス微粒子層が剥離することがほとんどない。
このため、多孔質ガラス母材を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によってガラス微粒子層に割れが生じたり、ガラス微粒子層が剥離することがほとんどない。
本発明の多孔質ガラス母材の製造方法によると、ガラス微粒子の堆積温度を調整してガラス微粒子の薄い層を出発部材の外周に積層することによって、前記した本発明の多孔質ガラス母材を製造できる。
ガラス微粒子の堆積温度は、バーナに供給する水素ガスや酸素ガスの供給量を調整することによって、容易にかつ精度良く調整できる。
このため、ガラス微粒子層の嵩密度プロファイルが精度良く調整された多孔質ガラス母材を容易に製造できる。
ガラス微粒子の堆積温度は、バーナに供給する水素ガスや酸素ガスの供給量を調整することによって、容易にかつ精度良く調整できる。
このため、ガラス微粒子層の嵩密度プロファイルが精度良く調整された多孔質ガラス母材を容易に製造できる。
以下、本発明を実施した多孔質ガラス母材とその製造方法について、図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の多孔質ガラス母材の一例を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中、AA線断面図である。
この多孔質ガラス母材1は、出発部材11と、この出発部材11に堆積されたガラス微粒子層12とから構成されている。
図1(a)は、本発明の多孔質ガラス母材の一例を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中、AA線断面図である。
この多孔質ガラス母材1は、出発部材11と、この出発部材11に堆積されたガラス微粒子層12とから構成されている。
出発部材11とガラス微粒子層12は、石英ガラス単独、又は石英ガラスを主成分としこれに屈折率等を調整するためのゲルマニウム等が添加されたものである。
多孔質ガラス母材1が透明ガラス化されて光ファイバ母材となった際、前記出発部材11が光ファイバ母材のコア部とクラッド部の一部となり、ガラス微粒子層12が光ファイバ母材のクラッド部の一部となるように、出発部材11とガラス微粒子層12の屈折率が調整されている。
出発部材11は、例えば、VAD法でコア部となるガラス微粒子と、クラッド部の一部となるガラス微粒子を生成して多孔質ガラス母材とし、これを焼結してガラス母材とし、更に延伸することによって製造される。
多孔質ガラス母材1が透明ガラス化されて光ファイバ母材となった際、前記出発部材11が光ファイバ母材のコア部とクラッド部の一部となり、ガラス微粒子層12が光ファイバ母材のクラッド部の一部となるように、出発部材11とガラス微粒子層12の屈折率が調整されている。
出発部材11は、例えば、VAD法でコア部となるガラス微粒子と、クラッド部の一部となるガラス微粒子を生成して多孔質ガラス母材とし、これを焼結してガラス母材とし、更に延伸することによって製造される。
図2は、ガラス微粒子層12の半径方向の嵩密度プロファイルの一例を示す図である。
ここで、嵩密度プロファイルとは、ガラス微粒子層12の嵩密度を多孔質ガラス母材1の半径方向に対してプロットしたものである。
ガラス微粒子層12は、出発部材11の外周に設けられた第一のガラス微粒子層12aと、この第一のガラス微粒子層12a上に設けられた第二のガラス微粒子層12bとから構成されている。
第一のガラス微粒子層12aでは、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルをもっている。また、第二のガラス微粒子層12bでは、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルをもっている。
ガラス微粒子層12の嵩密度プロファイルは、凸状であり、第一のガラス微粒子層12aと第二のガラス微粒子層12bとの界面において最大嵩密度となっている。
ここで、本明細書中、第一のガラス微粒子層12aと第二のガラス微粒子層12bとの界面近傍を最大嵩密度を有する領域と言い、この界面近傍のガラス微粒子を最大嵩密度を有するガラス微粒子と言う。
ここで、嵩密度プロファイルとは、ガラス微粒子層12の嵩密度を多孔質ガラス母材1の半径方向に対してプロットしたものである。
ガラス微粒子層12は、出発部材11の外周に設けられた第一のガラス微粒子層12aと、この第一のガラス微粒子層12a上に設けられた第二のガラス微粒子層12bとから構成されている。
第一のガラス微粒子層12aでは、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルをもっている。また、第二のガラス微粒子層12bでは、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルをもっている。
ガラス微粒子層12の嵩密度プロファイルは、凸状であり、第一のガラス微粒子層12aと第二のガラス微粒子層12bとの界面において最大嵩密度となっている。
ここで、本明細書中、第一のガラス微粒子層12aと第二のガラス微粒子層12bとの界面近傍を最大嵩密度を有する領域と言い、この界面近傍のガラス微粒子を最大嵩密度を有するガラス微粒子と言う。
第一のガラス微粒子層12aの堆積厚さ(Lm)と、ガラス微粒子層12の総堆積厚さ(Lf)とが、関係式Lm/Lf≦0.2を満たし、かつ出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとを含めた領域の直径(Dm)と、出発部材11の直径(Dt)とが、関係式Dm/Dt≧1.5を満たすことが好ましい。
これにより、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルが最適化され、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくできる。このため、この収縮度の差が原因となって、出発部材11に対する第一のガラス微粒子層12aの相対位置にズレが生じたり、出発部材11から第一のガラス微粒子12aが剥離することを抑制できる。
これにより、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルが最適化され、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくできる。このため、この収縮度の差が原因となって、出発部材11に対する第一のガラス微粒子層12aの相対位置にズレが生じたり、出発部材11から第一のガラス微粒子12aが剥離することを抑制できる。
また、最大嵩密度を有するガラス微粒子が、出発部材11から適度に離れた位置に堆積されているため、多孔質ガラス母材1の外周から加熱すると、出発部材11近傍に比べて、この最大嵩密度を有するガラス微粒子には熱が伝わりやすく、温度が上昇し易い。
このため、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材1を加熱して水酸基を除去する際、最大嵩密度を有する領域を脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルが最適化されたことによって、出発部材11近傍においても脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材11の水酸基含有層まで、十分な濃度の脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、十分に多孔質ガラス母材1を脱水できる。
このため、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材1を加熱して水酸基を除去する際、最大嵩密度を有する領域を脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルが最適化されたことによって、出発部材11近傍においても脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材11の水酸基含有層まで、十分な濃度の脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、十分に多孔質ガラス母材1を脱水できる。
前記Lm/Lfが0.2よりも大きい場合、第一のガラス微粒子層12aが厚くなってしまい、出発部材11の表面近傍に、嵩密度の低いガラス微粒子が厚く堆積された状態となる。このため、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとにおいて、両者のガラスの収縮度の差が大きくなってしまい、この収縮度の差によってズレや剥離が生じるため、好ましくない。
前記Dm/Dtが1.5よりも小さい場合、第一のガラス微粒子層12aが薄く、出発部材11近傍に、最大嵩密度を有するガラス微粒子が位置してしまう。このため、出発部材11近傍においてガラス微粒子の嵩密度が高くなってしまい、多孔質ガラス母材1を脱水する際、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し難く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水することが難しい。
また、最大嵩密度を有するガラス微粒子が出発部材11近傍に位置するため、多孔質ガラス母材1の外周から加熱すると、最大嵩密度を有するガラス微粒子まで熱が伝わり難く温度が上昇し難い。このため、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を除去することが難しくなってしまう。
以上により、多孔質ガラス母材1を十分に脱水し難くなるため、好ましくない。
前記Dm/Dtが1.5よりも小さい場合、第一のガラス微粒子層12aが薄く、出発部材11近傍に、最大嵩密度を有するガラス微粒子が位置してしまう。このため、出発部材11近傍においてガラス微粒子の嵩密度が高くなってしまい、多孔質ガラス母材1を脱水する際、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し難く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水することが難しい。
また、最大嵩密度を有するガラス微粒子が出発部材11近傍に位置するため、多孔質ガラス母材1の外周から加熱すると、最大嵩密度を有するガラス微粒子まで熱が伝わり難く温度が上昇し難い。このため、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を除去することが難しくなってしまう。
以上により、多孔質ガラス母材1を十分に脱水し難くなるため、好ましくない。
ガラス微粒子層12の最大嵩密度(dm)が、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たすことが好ましい。これにより、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、最大嵩密度を有するガラス微粒子が収縮し難くなり、この最大嵩密度を有するガラス微粒子によって、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の収縮を十分に抑えることができる。
このため、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレを抑制できる。
また、半径方向の嵩密度の変化量が最適化され、これにより多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によるガラス微粒子層12の剥離を抑制できる。
このため、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレを抑制できる。
また、半径方向の嵩密度の変化量が最適化され、これにより多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によるガラス微粒子層12の剥離を抑制できる。
前記dmが0.8g/cm3以下の場合、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の収縮が、最大嵩密度を有するガラス微粒子によって十分に抑えられず、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差が大きくなり、この収縮度の差によって第一のガラス微粒子層12aのズレが生じるため、好ましくない。
前記dmが1.15g/cm3以上の場合、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルにおいて、半径方向の嵩密度の変化量が大きくなり、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子と、最大嵩密度を有するガラス微粒子との嵩密度の差が大きくなってしまう。
このため、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、第一のガラス微粒子層12a内において嵩密度の差によってガラスの収縮度に大きな差が生じ、これによりガラス微粒子の剥離が生じてしまうため、好ましくない。
前記dmが1.15g/cm3以上の場合、第一のガラス微粒子層12aの嵩密度プロファイルにおいて、半径方向の嵩密度の変化量が大きくなり、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子と、最大嵩密度を有するガラス微粒子との嵩密度の差が大きくなってしまう。
このため、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、第一のガラス微粒子層12a内において嵩密度の差によってガラスの収縮度に大きな差が生じ、これによりガラス微粒子の剥離が生じてしまうため、好ましくない。
ガラス微粒子層12のうち、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)が、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たすことが好ましい。
出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度が最適化されたことによって、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとにおいて、両者のガラスの収縮度の差を抑え、この収縮差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレや剥離を抑制できる。
更に、多孔質ガラス母材1を脱水する際に、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し易く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水できる。
出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度が最適化されたことによって、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとにおいて、両者のガラスの収縮度の差を抑え、この収縮差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレや剥離を抑制できる。
更に、多孔質ガラス母材1を脱水する際に、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し易く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水できる。
前記dsが0.5g/cm3以下の場合、出発部材11と、この出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子とにおいて、嵩密度の差が大きくなってしまう。このため、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとにおいて、両者のガラスの収縮度の差が大きく、この収縮度の差によって第一のガラス微粒子層12aのズレや剥離が生じるため、好ましくない。
前記dsが0.75g/cm3以上の場合、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度が高く、多孔質ガラス母材1を脱水する際、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し難く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水することが難しくなってしまうため、好ましくない。
前記dsが0.75g/cm3以上の場合、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度が高く、多孔質ガラス母材1を脱水する際、出発部材11近傍において脱水剤のガスが拡散し難く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水することが難しくなってしまうため、好ましくない。
次に、多孔質ガラス母材1の製造方法について説明する。
図3は、本発明の多孔質ガラス母材の製造方法の一例を示す概略構成図である。
出発部材11は、その両端部が専用の把持具2で回転自在に把持され、軸回りに回転できるようになっている。
また、符号3はガラス合成用バーナ(以下、単にバーナとも言う。)を示す。このバーナ3には、四塩化珪素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)等のガラス原料ガスや、燃料ガスの水素ガス、助燃ガスの酸素ガス、不活性ガスのアルゴンガスや窒素ガス等が供給されるようになっている。
このバーナ3は、図示するように、出発部材11の長手方向に沿って移動できるようになっている。
図3は、本発明の多孔質ガラス母材の製造方法の一例を示す概略構成図である。
出発部材11は、その両端部が専用の把持具2で回転自在に把持され、軸回りに回転できるようになっている。
また、符号3はガラス合成用バーナ(以下、単にバーナとも言う。)を示す。このバーナ3には、四塩化珪素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)等のガラス原料ガスや、燃料ガスの水素ガス、助燃ガスの酸素ガス、不活性ガスのアルゴンガスや窒素ガス等が供給されるようになっている。
このバーナ3は、図示するように、出発部材11の長手方向に沿って移動できるようになっている。
この例の多孔質ガラス母材1の製造方法では、まず、出発部材11を用意する。出発部材11は、例えば、VAD法でコア部となるガラス微粒子と、クラッド部の一部となるガラス微粒子を生成して多孔質ガラス母材とし、これを焼結してガラス母材とし、更に延伸することによって製造される。
この出発部材11の両端部を専用の把持具2で把持し、出発部材11を水平に配置する。
この出発部材11の両端部を専用の把持具2で把持し、出発部材11を水平に配置する。
次に、第一の工程として、以下に示されたようにしてガラス微粒子を出発部材11に堆積させる。
バーナ3の酸水素炎中に、四塩化珪素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)等のガラス原料ガスと共に水素ガス、酸素ガス等を供給し、酸水素炎中における加水分解反応(火炎加水分解反応)により、ガラス微粒子を合成する。
出発部材11を水平に配置した状態で、その中心軸を中心にして回転させながら、バーナ3から酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させ、ガラス微粒子を、回転する出発部材11に半焼結状態で付着させて半径方向に堆積させる。
バーナ3の酸水素炎中に、四塩化珪素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)等のガラス原料ガスと共に水素ガス、酸素ガス等を供給し、酸水素炎中における加水分解反応(火炎加水分解反応)により、ガラス微粒子を合成する。
出発部材11を水平に配置した状態で、その中心軸を中心にして回転させながら、バーナ3から酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させ、ガラス微粒子を、回転する出発部材11に半焼結状態で付着させて半径方向に堆積させる。
この第一の工程では、ガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、出発部材11の全周に渡ってガラス微粒子の薄い層(1層目)を形成する。
そして、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整して、1層目の薄い層を形成したときよりもガラス微粒子の堆積温度を高くした後に、このガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、再度、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、1層目のガラス微粒子の薄い層の表面に、この1層目よりも嵩密度の高いガラス微粒子の薄い層(2層目)を形成する。
このように、徐々にガラス微粒子の堆積温度を高くしてガラス微粒子の薄い層を複数、積層することによって、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルをもった第一のガラス微粒子層12aを形成する。
そして、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整して、1層目の薄い層を形成したときよりもガラス微粒子の堆積温度を高くした後に、このガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、再度、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、1層目のガラス微粒子の薄い層の表面に、この1層目よりも嵩密度の高いガラス微粒子の薄い層(2層目)を形成する。
このように、徐々にガラス微粒子の堆積温度を高くしてガラス微粒子の薄い層を複数、積層することによって、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルをもった第一のガラス微粒子層12aを形成する。
次に、第二の工程として、第一の工程と同様に、ガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、第一のガラス微粒子層12aの表面にガラス微粒子の薄い層(1層目)を形成する。
そして、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整して、1層目の薄い層を形成したときよりもガラス微粒子の堆積温度を低くした後に、このガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、再度、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、1層目のガラス微粒子の薄い層の表面に、この1層目よりも嵩密度の低いガラス微粒子の薄い層(2層目)を形成する。
このように、徐々にガラス微粒子の堆積温度を低くしてガラス微粒子の薄い層を複数、積層することによって、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が低下する嵩密度プロファイルをもった第二のガラス微粒子層12bを形成する。
そして、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整して、1層目の薄い層を形成したときよりもガラス微粒子の堆積温度を低くした後に、このガラス微粒子の堆積温度を一定にして酸水素炎を出発部材11に向けて噴射させながら、再度、バーナー3を出発部材11の長手方向と平行に移動させ、1層目のガラス微粒子の薄い層の表面に、この1層目よりも嵩密度の低いガラス微粒子の薄い層(2層目)を形成する。
このように、徐々にガラス微粒子の堆積温度を低くしてガラス微粒子の薄い層を複数、積層することによって、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が低下する嵩密度プロファイルをもった第二のガラス微粒子層12bを形成する。
バーナ3に供給するガラス原料ガスの供給量や、出発部材11の回転数やバーナ3の移動速度を調整したり、ガラス微粒子の薄い層の積層回数等を調整することによって、ガラス微粒子層12の堆積厚さを調整できる。これにより、第一の工程にて堆積するガラス微粒子の堆積厚さ、すなわち第一のガラス微粒子層12aの厚さ(Lm)や、第一の工程と前記第二の工程にて堆積するガラス微粒子の総堆積厚さ、すなわちガラス微粒子層12の厚さ(Lf)や、第一の工程にてガラス微粒子を堆積した後の多孔質ガラス母材の直径、すなわち出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとを含めた領域の直径(Dm)を所望の値とすることができる。
また、ガラス微粒子の堆積温度を調整することによって、ガラス微粒子の嵩密度を調整でき、ガラス微粒子層12の最大嵩密度(dm)や、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)を所望の値とすることができる。
また、ガラス微粒子の堆積温度を調整することによって、ガラス微粒子の嵩密度を調整でき、ガラス微粒子層12の最大嵩密度(dm)や、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)を所望の値とすることができる。
以上により、凸状の嵩密度プロファイルをもったガラス微粒子層12を出発部材11の外周に形成でき、多孔質ガラス母材1が得られる。
なお、ガラス微粒子の堆積温度を調整する方法としては、特に限定されず、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整する以外に、出発部材11の回転数やバーナ3の移動速度を調整する方法であっても構わない。
なお、ガラス微粒子の堆積温度を調整する方法としては、特に限定されず、バーナ3に供給する水素ガス、酸素ガス等の供給量を調整する以外に、出発部材11の回転数やバーナ3の移動速度を調整する方法であっても構わない。
前述した多孔質ガラス母材1は、常法の脱水処理、透明ガラス化によって、光ファイバ母材となる。多孔質ガラス母材1を脱水処理、透明ガラス化する方法の一例を以下に示す。
図4は、脱水焼結装置4の一例を示す概略構成図である。
この脱水焼結装置4は、多孔質ガラス母材1を収容する円筒形の炉心管41と熱源42とが少なくとも備えられた炉本体43と、前記炉心管41内に脱水剤や不活性ガス等を導入するため導入口(図示省略。)とから概略構成されている。
前記炉心管41は、カーボン等の耐熱性に優れた材質から構成され、その長手方向が鉛直方向に向いた状態で配置されている。炉心管41の上端には入り口側開口部41aが設けられており、この入り口側開口部41aより多孔質ガラス母材1を炉心管41内部に導入できるようになっている。
図4は、脱水焼結装置4の一例を示す概略構成図である。
この脱水焼結装置4は、多孔質ガラス母材1を収容する円筒形の炉心管41と熱源42とが少なくとも備えられた炉本体43と、前記炉心管41内に脱水剤や不活性ガス等を導入するため導入口(図示省略。)とから概略構成されている。
前記炉心管41は、カーボン等の耐熱性に優れた材質から構成され、その長手方向が鉛直方向に向いた状態で配置されている。炉心管41の上端には入り口側開口部41aが設けられており、この入り口側開口部41aより多孔質ガラス母材1を炉心管41内部に導入できるようになっている。
まず、多孔質ガラス母材1を入り口側開口部41aより炉心管41内部に導入する。そして、ガス導入口より炉心管41内部に、塩素(Cl2)、フッ素(F2)、塩素酸硫黄(SOCl2)、四塩化炭素(CCl4)等の脱水剤のガスを導入する。この脱水剤のガス雰囲気中にて、多孔質ガラス母材1を、その長手方向に移動させながら抵抗線(ヒータ線)等の熱源42によって加熱する。
多孔質ガラス母材1をおよそ1200℃で加熱した状態で、脱水剤のガスに接触させることによって、多孔質ガラス母材1中の水酸基が減少し、多孔質ガラス母材1は脱水される。
多孔質ガラス母材1をおよそ1200℃で加熱した状態で、脱水剤のガスに接触させることによって、多孔質ガラス母材1中の水酸基が減少し、多孔質ガラス母材1は脱水される。
次に、ガス導入口より炉心管41内部にヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを導入する。この不活性ガス雰囲気中にて、多孔質ガラス母材1を、その長手方向に移動させながら熱源42によって加熱する。
多孔質ガラス母材1を不活性ガス雰囲気中にて、およそ1500℃で加熱して焼結することによって、多孔質ガラス母材1は、透明ガラス化され、光ファイバ母材となる。
多孔質ガラス母材1を不活性ガス雰囲気中にて、およそ1500℃で加熱して焼結することによって、多孔質ガラス母材1は、透明ガラス化され、光ファイバ母材となる。
本発明の多孔質ガラス母材1によると、ガラス微粒子層12の嵩密度プロファイルが、凸状であることによって、最大嵩密度を有するガラス微粒子が、出発部材11よりも外周側に位置することになる。このため、多孔質ガラス母材1の外周から加熱すると、出発部材11近傍に比べて、この最大嵩密度を有するガラス微粒子には熱が伝わりやすく、温度が上昇し易い。
これにより、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材1を加熱して水酸基を除去する際、最大嵩密度を有する領域に脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、出発部材11近傍では、最大嵩密度を有するガラス微粒子に比べて嵩密度が低く、脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材11の水酸基含有層まで脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、多孔質ガラス母材1を十分に脱水できる。
これにより、塩素ガス等の脱水剤のガス雰囲気中にて多孔質ガラス母材1を加熱して水酸基を除去する際、最大嵩密度を有する領域に脱水剤のガスが拡散しやすく、最大嵩密度を有するガラス微粒子の水酸基を十分に除去できる。
更に、出発部材11近傍では、最大嵩密度を有するガラス微粒子に比べて嵩密度が低く、脱水剤のガスが拡散し易い。このため、出発部材11の水酸基含有層まで脱水剤のガスを行き渡らせることができ、これにより水酸基含有層と脱水剤のガスとの接触確率を高めることができ、多孔質ガラス母材1を十分に脱水できる。
また、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、最大嵩密度を有するガラス微粒子は収縮し難いため、この最大嵩密度を有するガラス微粒子によって、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の収縮を抑えることができる。
このため、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレを抑制できる。
また、従来のように、ガラス微粒子層12が、嵩密度の異なる2層からなり、この2層の界面で嵩密度が大きく変化する場合とは異なり、本発明におけるガラス微粒子層12では、径方向に対して嵩密度が徐々に変化している。このため、ガラス微粒子層12の内部において、嵩密度が大きく変化しておらず、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によってガラス微粒子層12に割れが生じたり、ガラス微粒子層12が剥離することがほとんどない。
このため、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差を小さくでき、この収縮度の差によって生じる第一のガラス微粒子層12aのズレを抑制できる。
また、従来のように、ガラス微粒子層12が、嵩密度の異なる2層からなり、この2層の界面で嵩密度が大きく変化する場合とは異なり、本発明におけるガラス微粒子層12では、径方向に対して嵩密度が徐々に変化している。このため、ガラス微粒子層12の内部において、嵩密度が大きく変化しておらず、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際に、嵩密度の差によってガラス微粒子層12に割れが生じたり、ガラス微粒子層12が剥離することがほとんどない。
本発明の多孔質ガラス母材1の製造方法によると、ガラス微粒子の堆積温度を調整してガラス微粒子の薄い層を出発部材11の外周に積層することによって、前記した本発明の多孔質ガラス母材1を製造できる。
ガラス微粒子の堆積温度は、バーナ3に供給する水素ガスや酸素ガスの供給量を調整することによって、容易にかつ精度良く調整できる。
このため、ガラス微粒子層12の嵩密度プロファイルが精度良く調整された多孔質ガラス母材1を容易に製造できる。
ガラス微粒子の堆積温度は、バーナ3に供給する水素ガスや酸素ガスの供給量を調整することによって、容易にかつ精度良く調整できる。
このため、ガラス微粒子層12の嵩密度プロファイルが精度良く調整された多孔質ガラス母材1を容易に製造できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
VAD法でコア部となるガラス微粒子と、クラッド部の一部となるガラス微粒子を生成して多孔質ガラス母材とし、これを焼結してガラス母材とし、更に延伸することによって、石英ガラスを主成分とする出発部材11を用意した。
VAD法でコア部となるガラス微粒子と、クラッド部の一部となるガラス微粒子を生成して多孔質ガラス母材とし、これを焼結してガラス母材とし、更に延伸することによって、石英ガラスを主成分とする出発部材11を用意した。
図3に示されたように出発部材11の両端部を専用の把持具2で把持し、出発部材11を水平に配置した。
バーナ3の酸水素炎中に、ガラス原料ガスとして四塩化珪素(SiCl4)、燃料ガスとして水素ガス、助燃ガスとして酸素ガス、不活性ガスの窒素ガスを供給し、酸水素炎中における加水分解反応(火炎加水分解反応)により、ガラス微粒子を合成した。ここで、酸素ガスは、キャリヤガスとしても機能する。
バーナ3の酸水素炎中に、ガラス原料ガスとして四塩化珪素(SiCl4)、燃料ガスとして水素ガス、助燃ガスとして酸素ガス、不活性ガスの窒素ガスを供給し、酸水素炎中における加水分解反応(火炎加水分解反応)により、ガラス微粒子を合成した。ここで、酸素ガスは、キャリヤガスとしても機能する。
第一の工程として、徐々にガラス微粒子の堆積温度を高くしならがら、出発部材にガラス微粒子を堆積し、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルをもった第一のガラス微粒子層12aを形成した。
次に、第二の工程として、徐々にガラス微粒子の堆積温度を低くしながら、第一のガラス微粒子層12a上にガラス微粒子を堆積し、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が低下する嵩密度プロファイルをもった第二のガラス微粒子層12bを形成した。
次に、第二の工程として、徐々にガラス微粒子の堆積温度を低くしながら、第一のガラス微粒子層12a上にガラス微粒子を堆積し、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が低下する嵩密度プロファイルをもった第二のガラス微粒子層12bを形成した。
バーナ3に供給する各種ガスの供給量、出発部材11の回転数やバーナ3の移動速度、ガラス微粒子の堆積量、ガラス微粒子の堆積温度等の製造条件を調整し、表1に示された多孔質ガラス母材1を製造した。
ガラス微粒子層12の半径方向の嵩密度プロファイルを測定した結果、全ての多孔質ガラス母材1について、図2に示されたように凸状の嵩密度プロファイルをもったガラス微粒子層12が形成されていることがわかった。
ここで、図2では、具体例2で得られた多孔質ガラス母材1の嵩密度プロファイを示している。
ここで、図2では、具体例2で得られた多孔質ガラス母材1の嵩密度プロファイを示している。
図4に示された脱水焼結装置4を用いて、以下に示されたように、表1の多孔質ガラス母材1を脱水、透明ガラス化して光ファイバ母材とした。
まず、脱水焼結装置4の炉心管41内に、多孔質ガラス母材1を導入した。そして炉心管内41に脱水剤として塩素ガスとヘリウムガスの混合ガスを導入し、この脱水剤のガス雰囲気中にて、多孔質ガラス母材1を1200℃で加熱し、脱水した。
まず、脱水焼結装置4の炉心管41内に、多孔質ガラス母材1を導入した。そして炉心管内41に脱水剤として塩素ガスとヘリウムガスの混合ガスを導入し、この脱水剤のガス雰囲気中にて、多孔質ガラス母材1を1200℃で加熱し、脱水した。
次に、炉心管41内を不活性ガス雰囲気とし、この不活性ガス雰囲気中にて、多孔質ガラス母材1を1500℃で加熱し、透明ガラス化して光ファイバ母材を得た。
ここで、多孔質ガラス母材1の出発部材11は、光ファイバ母材ではコア部とクラッド部の一部となり、多孔質ガラス母材1のガラス微粒子層12は、光ファイバ母材ではクラッド部の一部となる。
得られた光ファイバ母材に剥離がないかどうか、またコア部に対するクラッド部の相対位置にズレがないかどうか観察した。また、吸光光度計を用いて、光ファイバ母材中の水酸基の特性吸収波長の光吸収量を測定し、光ファイバ母材中の水酸基含有量を求めた。測定結果を表2に示す。
ここで、多孔質ガラス母材1の出発部材11は、光ファイバ母材ではコア部とクラッド部の一部となり、多孔質ガラス母材1のガラス微粒子層12は、光ファイバ母材ではクラッド部の一部となる。
得られた光ファイバ母材に剥離がないかどうか、またコア部に対するクラッド部の相対位置にズレがないかどうか観察した。また、吸光光度計を用いて、光ファイバ母材中の水酸基の特性吸収波長の光吸収量を測定し、光ファイバ母材中の水酸基含有量を求めた。測定結果を表2に示す。
具体例1,2で得られた多孔質ガラス母材1では、関係式Lm/Lf≦0.2と、Dm/Dt≧1.5とを満たす。
更に、ガラス微粒子層12の最大嵩密度(dm)は、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たし、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)は、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たす。
この多孔質ガラス母材1を脱水、透明ガラス化して得られた光ファイバ母材では、水酸基含有量は、測定限界以下であった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離が見られなかった。
このように多孔質ガラス母材1では、前記した関係式を満たすことによって、この多孔質ガラス母材1を脱水する際、脱水剤のガスが出発部材11にまで拡散しやすく、十分に水酸基を除去できる。また、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、出発部材11に対するガラス微粒子層12の相対位置にズレが生じたり、出発部材11からガラス微粒子層12が剥離することを抑制できる。
更に、ガラス微粒子層12の最大嵩密度(dm)は、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たし、出発部材11に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)は、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たす。
この多孔質ガラス母材1を脱水、透明ガラス化して得られた光ファイバ母材では、水酸基含有量は、測定限界以下であった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離が見られなかった。
このように多孔質ガラス母材1では、前記した関係式を満たすことによって、この多孔質ガラス母材1を脱水する際、脱水剤のガスが出発部材11にまで拡散しやすく、十分に水酸基を除去できる。また、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、出発部材11に対するガラス微粒子層12の相対位置にズレが生じたり、出発部材11からガラス微粒子層12が剥離することを抑制できる。
具体例5と具体例10で得られた多孔質ガラス母材1を比較すると、共に関係式Lm/Lf=0.08、Dm/Dt=1.4を満たす。
具体例5で得られた多孔質ガラス母材1は、関係式ds≦0.5g/cm3と、dm≦0.8g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量は、測定限界値以下であった。しかし、コア部に対するクラッド部の相対位置にズレがみられた。
これに対して、具体例10で得られた多孔質ガラス母材1は、関係式ds≧0.75g/cm3と、dm≧1.15g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量が180ppmであり、脱水が十分に行われなかった。コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離はみられなかった。
具体例5で得られた多孔質ガラス母材1は、関係式ds≦0.5g/cm3と、dm≦0.8g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量は、測定限界値以下であった。しかし、コア部に対するクラッド部の相対位置にズレがみられた。
これに対して、具体例10で得られた多孔質ガラス母材1は、関係式ds≧0.75g/cm3と、dm≧1.15g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量が180ppmであり、脱水が十分に行われなかった。コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離はみられなかった。
また、具体例2と具体例8で得られた多孔質ガラス母材1を比較すると、共に関係式Lm/Lf=0.10、Dm/Dt=1.5を満たす。
具体例2で得られた多孔質ガラス母材1では、前記したように関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3と、0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たし、水酸基含有量は、測定限界以下であった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離が見られなかった。
これに対して、具体例8で得られた多孔質ガラス母材1では、関係式ds≧0.75g/cm3と、dm≦0.8g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量が100ppmであり、脱水が十分に行われなかった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置にズレがみられた。
具体例2で得られた多孔質ガラス母材1では、前記したように関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3と、0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たし、水酸基含有量は、測定限界以下であった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置のズレやガラスの剥離が見られなかった。
これに対して、具体例8で得られた多孔質ガラス母材1では、関係式ds≧0.75g/cm3と、dm≦0.8g/cm3とを満たし、この多孔質ガラス母材1を用いて形成された光ファイバ母材では、水酸基含有量が100ppmであり、脱水が十分に行われなかった。また、コア部に対するクラッド部の相対位置にズレがみられた。
具体例8,10のように、多孔質ガラス母材1が、関係式ds≧0.75g/cm3、又はdm≧1.15g/cm3を満たす場合、多孔質ガラス母材1を脱水する際、脱水剤のガスが拡散し難く、出発部材11の水酸基含有層を十分に脱水することが難しく、水酸基が残留してしまう。
また、具体例5,8のように、多孔質ガラス母材1が、関係式ds≦0.5g/cm3、又はdm≦0.8g/cm3とを満たす場合、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差が大きくなり、この収縮度の差によって第一のガラス微粒子層12aのズレや剥離が生じてしまう。
また、具体例5,8のように、多孔質ガラス母材1が、関係式ds≦0.5g/cm3、又はdm≦0.8g/cm3とを満たす場合、多孔質ガラス母材1を透明ガラス化する際、出発部材11と第一のガラス微粒子層12aとのガラスの収縮度の差が大きくなり、この収縮度の差によって第一のガラス微粒子層12aのズレや剥離が生じてしまう。
本発明によると、1.3μm帯域で低損失が要求される長距離伝送用光ファイバ等のシングルモード光ファイバや、分散補償光ファイバ等のマルチモード光ファイバ等の出発原料となる多孔質ガラス母材として利用できる。
1‥‥多孔質ガラス母材、3‥‥ガラス合成用バーナ、11‥‥出発部材、12‥‥ガラス微粒子層、12a‥‥第一のガラス微粒子層、12b‥‥第二のガラス微粒子層
Claims (5)
- 出発部材と、該出発部材に堆積されたガラス微粒子層とから構成された多孔質ガラス母材において、
前記ガラス微粒子層の半径方向の嵩密度プロファイルが、凸状であることを特徴とする多孔質ガラス母材。 - 前記出発部材に第一のガラス微粒子層が設けられ、該第一のガラス微粒子層上に第二のガラス微粒子層が設けられ、
前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有し、
前記第一のガラス微粒子層の堆積厚さ(Lm)と、前記ガラス微粒子層の総堆積厚さ(Lf)とが、関係式Lm/Lf≦0.2を満たし、
かつ出発部材と前記第一のガラス微粒子層とを含めた領域の直径(Dm)と、前記出発部材の直径(Dt)とが、関係式Dm/Dt≧1.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス母材。 - 前記ガラス微粒子層の最大嵩密度(dm)が、関係式0.8g/cm3<dm<1.15g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質ガラス母材。
- 前記出発部材に直接、堆積されたガラス微粒子の嵩密度(ds)が、関係式0.5g/cm3<ds<0.75g/cm3を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔質ガラス母材。
- 出発部材と、該出発部材に堆積された第一のガラス微粒子層と、該第一のガラス微粒子層上に堆積された第二のガラス微粒子層とから構成され、
前記第一のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が増加する嵩密度プロファイルを有し、
前記第二のガラス微粒子層は、堆積厚さが増加すると共に嵩密度が減少する嵩密度プロファイルを有する多孔質ガラス母材の製造方法であって、
ガラス合成用バーナに、酸水素炎をつくるための燃料ガスを供給すると共にガラス原料ガスを供給してガラス微粒子を合成し、該ガラス微粒子の堆積温度を徐々に高くしながら、ガラス微粒子を出発部材に堆積させて第一のガラス微粒子層を形成する第一の工程と、
前記ガラス微粒子の堆積温度を徐々に低くしながら、ガラス微粒子を前記第一のガラス微粒子層上に堆積させて第二のガラス微粒子層を形成する第二の工程とを有することを特徴とする多孔質ガラス母材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004047819A JP2005239444A (ja) | 2004-02-24 | 2004-02-24 | 多孔質ガラス母材、多孔質ガラス母材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004047819A JP2005239444A (ja) | 2004-02-24 | 2004-02-24 | 多孔質ガラス母材、多孔質ガラス母材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=35021580
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JP (1) | JP2005239444A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014099645A1 (en) * | 2012-12-20 | 2014-06-26 | Corning Incorporated | Methods for forming optical fiber preforms with selective diffusion layers |
EP2789589A1 (en) * | 2013-04-08 | 2014-10-15 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Glass optical fibre preform and method for its manufacture |
-
2004
- 2004-02-24 JP JP2004047819A patent/JP2005239444A/ja not_active Withdrawn
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WO2014099645A1 (en) * | 2012-12-20 | 2014-06-26 | Corning Incorporated | Methods for forming optical fiber preforms with selective diffusion layers |
EP2789589A1 (en) * | 2013-04-08 | 2014-10-15 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Glass optical fibre preform and method for its manufacture |
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