JP5950805B2 - パンタグラフの接触力変動低減方法及びパンタグラフ - Google Patents

パンタグラフの接触力変動低減方法及びパンタグラフ Download PDF

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Description

本発明は、電気鉄道におけるカテナリちょう架式電車線や剛体ちょう架式電車線(架線)とパンタグラフとの間に作用する接触力の変動を低減する方法、及び、接触力変動の低減が可能なパンタグラフに関する。
現状の電気鉄道においては、トロリ線(架線)から車体屋根に搭載されたパンタグラフを介して車両に電力を送る方式が一般的である。このようなパンタグラフは、トロリ線に押し当てられる舟体(すり板を含む)や、舟体を昇降可能に支持するとともに、トロリ線に押し当てる押上力を与える支持機構(枠組み)、支持機構と舟体との間に介装された復元バネ等を備えている。
トロリ線とパンタグラフの舟体との接触力は、トロリ線の高さ変動や車両・パンタグラフの振動によって変動する。この接触力の変動を低減することは、架線の過大な押上や、パンタグラフの舟体がトロリ線から離れる離線の発生を防止する点で非常に重要である。また、すり板や架線の摩耗量を低減するためにも、接触力の変動を低減することが必要である。
トロリ線とパンタグラフの舟体との間に作用する接触力を計測する装置及び方法は、いくつか提案されている(特許文献1、2、3参照)。
特許文献1には、舟体の左右2か所の支持部に歪ゲージを取り付けて、左右の復元バネの位置における断面力(せん断力)を測定して該舟体を支持する支持部材が舟体を押し上げる押上力を測定するとともに、舟体上におけるトロリ線の左右の偏位と前記断面力とから舟体に作用する揚力を求め、この揚力に押上力と舟体の慣性力を加えて接触力を求める装置及び方法が開示されている。
特許文献2には、舟体にn個(n≧2)の加速度計を取り付けて、舟体のn次以下の振動モードを判定し、このn次以下の振動モードに基づき、舟体上のm箇所(m≧n)に作用する接触力を推定し、この推定接触力から接触力を求める方法及び装置が開示されている。
特許文献3には、舟体の前後面に各々2個ずつ歪ゲージを取り付けるとともに、中央に上下方向加速度計及び前後方向加速度計を取り付け、舟体のねじりモーメントを求めて、これから接触力を得る方法及び装置が開示されている。
また、この接触力を低減する技術として、舟体をトロリ線に押し当てるアクチュエータを備え、このアクチュエータを動的に制御するアクティブ方式のものが提案されている(特許文献4、5参照)。
特許文献4には、制御したい物理量である接触力、あるいは、接触力を推定するために必要な物理量(例えば、歪ゲージで計測した舟体や支持機構にかかっている荷重など)の内の低周波数成分(例えば、2〜3Hz以下)をゼロに近づけるようにアクチュエータを制御する。
特許文献5には、復元バネに作用する力を測定するとともに、すり板近傍の空気の相対速度を測定し、この相対速度に対応して予め試験により求められたすり板の揚力を、測定された復元バネのバネ力に加算して接触力を求め、接触力を一定にするようにアクチュエータを制御する方法が開示されている。
いずれの方法においても、アクチュエータの制御技術としてPID制御技術が適用されている。PID制御は、比例動作に積分動作と微分動作を加えた制御を行い、残留残差をなくすようにアクチュエータの出力を制御するものである。
特許第4012108号 特許第3930299号 特許第3722463号公報 特開2005−287209号公報 特許第4782597号
本発明は、パンタグラフとトロリ線との接触力の信号のうち、信号強度の卓越した周波数(卓越周波数)を考慮して接触力変動を低減する方法、及び、接触力変動の低減が可能なパンタグラフを提供することを目的とする。
本発明の第1のパンタグラフは、 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、 前記架線に押し当てられるすり板を有する舟体と、 前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、 前記架線と前記すり板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、 前記接触力を測定する手段と、 測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、 前記制御器が、 前記接触力信号のうち、卓越周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、 該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、該接触力信号の卓越周波数とほぼ一致した波形が出力される位相同期回路と、 該位相同期回路から出力された波形が入力され、該波形を、ある時間間隔ずれた波形として出力する遅延要素と、 該遅延要素から出力された波形の信号のゲインを調節するアンプと、を有することを特徴とする。
遅延要素の時間ずれを、例えば、接触力信号の波形の周期の半分(位相で180°)程度の時間に設定すると、あるいは、後述するようにパラメータ調整部により時間のずれを最適化すれば、パンタグラフの接触力変動を打ち消すようにアクチュエータが作動し、パンタグラフの接触力変動を低減できる。遅延要素の遅延時間の最適化は、数値シュミュレーションや実車試験などにより行う。
卓越周波数の例としては、パンタグラフが支持柱を通過する際に接触力が変動することを考慮して、パンタグラフが支持柱間を通過する周期(T)に対応する周波数(1/T)とできる。あるいは、パンタグラフが吊架線のハンガを通過する際の接触力変動を考慮して、パンタグラフがハンガ間を通過する周期に対応する周波数とできる。その場合の車両の速度は、営業運転の最高速度などを用いる。
本発明の第1のパンタグラフの接触力変動低減方法は、 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフにおける接触力変動低減方法であって、 前記パンタグラフは、 前記架線に押し当てられるすり板を有する舟体と、 前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、 前記架線と前記すり板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、 前記接触力を測定する手段と、 測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、 前記接触力信号のうち、信号強度の卓越した卓越周波数付近の信号成分を位相同期回路に入力して、該信号成分の周波数とほぼ一致した位相同期波形を前記位相同期回路から出力し、該位相同期波形をある時間間隔ずらして遅延波形とし、該遅延波形の信号のゲインを調節して前記制御指令信号とすることを特徴とする。
本発明の第2のパンタグラフは、 所定間隔で架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、 前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、 前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、 前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、 前記接触力を測定する手段と、 測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、 前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在し、 前記接触力は、前記架線変動に起因する周期的外乱の影響を受け、 前記制御器が、 前記接触力信号のうち、前記外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、 該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記外乱の周波数とほぼ一致した正弦波形が出力される位相同期回路と、 該位相同期回路又は後記アンプから出力された波形が入力され、該波形を、ある時間間隔ずれた波形として出力する遅延要素と、 該遅延要素又は前記位相同期回路から出力された波形の信号の振幅を調節するアンプと、 前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、パラメータ調整部で、アンプの振幅と遅延要素の位相差を最適化し、最適化された値を使用してフィードフォワード制御を行うので、パンタグラフの接触力変動をより確実に低減できる。
架線は、剛体ちょう架式電車線や、シンプルカテナリ式やコンパウンドカテナリ式、直接ちょう架式電車線等のカテナリちょう架式電車線を含む。
摺動導電部とは、剛体ちょう架式電車線やカテナリちょう架式電車線の下面を示す。
架線支持点とは、剛体ちょう架式電車線の場合、トンネルの天井に、碍子によって設置された吊下金具などを示す。支持点間隔は、一例で5mである。カテナリちょう架式電車線の場合は、支柱(電柱)やビーム、あるいはそこから碍子を介して吊るされた吊下金具などを示す。支持点間隔は、一例で50mである。
接触力を動的に制御するアクチュエータは、空気圧シリンダや油圧シリンダ、モータなどを使用できる。
接触力を測定する手段は、特許文献1〜5のものなどを使用できる。
架線における所定間隔で繰り返す構造とは、カテナリちょう架式電車線のシンプルカテナリ式におけるハンガ(間隔例;5m)、支持点(間隔例:50m)、コンパウンドカテナリ式における支持点(間隔例;50m)、ドロッパ(間隔例;10m)、ハンガ(間隔例;5m)などを示す。周期的外乱とは、このような周期的な架線の変位に起因してパンタグラフにかかる力や強制変位などを示す。
摺動導電部の位置(高さ)は、架線の高さの変動等によって変動する。例えば、剛体ちょう架式電車線の場合には、支持点では支持点間中央部に比べて5mm程度高くなることがある。
架線の機械的特性の繰り返し変動とは、例えば、支持点と支持点以外でのバネ定数の変動を示す。バネ定数は、支持点で比較的高く、支持点間中央部で比較的低い。
位相同期回路は、接触力変動(外乱)が複数の周波数成分を有する場合には、それぞれに対応した正弦波、矩形波、のこぎり波などの周期波形を出力する。遅れのない理想的なバンドパスフィルタが位相同期回路の役割を果たし、このようなフィルタ回路も広い意味での「位相同期回路」に含まれる。
遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅Aのどちらか一方を調整するだけでも、接触力変動を抑制できる場合もありうる。
位相差φは、アクチュエータの遅れや、パンタグラフ各部の摩擦・粘性などの影響により変わってくる。
振幅Aは、パンタグラフの各部の質量、剛性、摩擦、粘性及びトロリ線の弛度や波動伝播特性によって決定される。
本発明においては、 前記車両が走行しながら、前記制御パラメータ調整部が前記A及び/又は前記φを調整して、前記接触力の変動を抑制することが好ましい。
本願発明のパンタグラフを有する車両を実際に走行させながら、制御パラメータ調整部がアンプの振幅A及び/又は遅延要素の位相差φを調整するので、実際の架線やパンタグラフの状態に応じた調整を行うことができる。
本発明においては、 前記車両の速度及び前記外乱の周波数に対応した、前記A及び/又前記φの好適値を記憶しておく記憶部を、前記制御パラメータ調整部が有することもできる。
この場合、予め、該当区間に試験車両を所定の速度で走行させて、アンプの振幅Aと遅延要素の位相差φの好適値を前述の方法で求めておく。この好適値を、営業車両のパラメータ記憶部に記憶させておき、営業者が該当区間を走行する際に、線路の位置情報と対応させてこれらのパラメータ好適値を用いてアクチュエータを制御することもできる。
本発明においては、 前記パンタグラフの加振試験を行い、前記パンタグラフの伝達関数を用いて、次式から前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φを決定することができる:
A=X/G
φ=−θ
ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅を示し、
Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値を示し、
θは伝達関数の位相を示す。
この場合、予め該当するパンタグラフの加振試験を行うとともに、試験車両を該当区間を走行させてパンタグラフに作用する外乱の振幅を求めておき、これらの結果からパンタグラフの伝達関数を用いて前記A及び/又はφを決定しておく。そしてこの値を、営業車両のパラメータ記憶部に記憶させておき、営業者が該当区間を走行する際に、線路の位置情報と対応させてこれらの値を用いてアクチュエータを制御することもできる。
本発明においては、 前記パンタグラフの振動特性、摩擦特性及び/又は動作遅れ特性を加振試験により把握して前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることとすれば、パンタグラフの機械的な特性に基づいた値が得られる。
前記加振試験の具体的方法は、 前記パンタグラフの舟体を、突放状態よりも低い位置で対象物に押し当てて強制変位加振することにより、接触力から該舟体変位までの伝達関数G1を測定し、 次に、前記舟体を前記対象物に押し当てた状態で、前記制御アクチュエータを用いて加振することにより、制御力から接触力までの伝達関数をG2を測定し、 以下の式により、制御指令信号から前記舟体変位までの伝達関数の絶対値Gを求めることとできる:
G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力)。
本発明においては、 営業線を試験車両を走行させることにより、前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることが好ましい。
本発明においては、 制御パラメータとしての前記アンプの振幅A及び前記遅延要素の位相差φを交互に摂動させて接触力変動が小さくなる制御パラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じた上で制御パラメータの更新を行い、この制御パラメータ摂動と更新を繰り返し行う手法を使用することができる。
制御パラメータの好適値を得るまでの時間が比較的短いので、最急降下法を適用することが好ましい。
前記手法の制御パラメータの初期値として前記の加振試験で得た値を用いることとすれば、より実際に即した値を初期値として用いるので、最急降下法の収束が早くなる。
本発明の第2のパンタグラフの接触力を低減する方法は、 所定間隔で架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフの接触力変動を低減する方法であって、 前記パンタグラフは、 前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、 前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、 前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、 前記接触力を測定する手段と、 測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、 前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在し、 前記接触力は、前記架線変動に起因する周期的外乱の影響を受け、 前記制御器が、 前記接触力信号のうち、前記外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、 該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記外乱の周波数とほぼ一致した正弦波形が出力される位相同期回路と、 該位相同期回路又は後記アンプから出力された波形が入力され、該波形を、ある時間間隔ずれた波形として出力する遅延要素と、 該遅延要素又は前記位相同期回路から出力された波形の信号の振幅を調節するアンプと、 前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、を有し、 前記制御パラメータ調整部で、前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を最適化し、最適化された位相差φ及び/又は振幅Aを前記遅延要素及び/又は前記アンプに出力して、前記アクチュエータをフィードフォワード制御することを特徴とする。
本発明の電気鉄道車両は、前記のいずれかに記載のパンタグラフを備えることを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、接触力信号のうち卓越周波数付近の信号成分の周波数とほぼ一致した波形を、ある時間ずれた波形としてアクチュエータの制御器に入力してアクチュエータを制御する。時間のずれを、接触力信号の波形の周期の半分(位相で180°)程度の時間に設定した場合、パンタグラフの接触力変動を打ち消すようにアクチュエータが作動し、パンタグラフの接触力変動を低減できる。さらに、遅延要素やアンプのゲイン(振幅)を最適化した場合、接触力変動をより確実に低減できる。
本発明の第1の実施の形態に係るパンタグラフの構成を説明する図である。 架線(シンプルカテナリ式)の配設例を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態に係るパンタグラフの構成を説明する図である。 架線(剛体ちょう架式電車線)の配設例を説明する図である。 接触力変動を計測した結果の一例を示すグラフであり、図5(A)は接触力の変動を示すグラフ、図5(B)はアンプの振幅A(ゲイン)を示すグラフ、図5(C)は遅延要素の位相差φを示すグラフである。 加振試験時のパンタグラフの状態を説明する図であり、図6(A)は突放状態、図6(B)は舟体が剛体に押し当てられた状態を示す。 パンタグラフの力学モデルを示す図である。 シミュレーションに使用した架線とパンタグラフのモデルを示す図であり、図8(A)は、シンプルカテナリ式(主に在来線)の架線、図8(B)は、コンパウンドカテナリ式(主に新幹線)の架線を示す。 走行速度100km/hの場合に得られた接触力波形を示すグラフであり、最急降下法適用している様子を示すものである。 接触力の時系列波形を示すグラフであり、図10(A)は、走行速度100km/h、図10(B)は、走行速度270km/hの場合を示す。 加振試験装置を模式的に説明する図である。 接触力変動を濃淡で示したマップである。 接触力の変動を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図2を参照して、電気車両に電力を供給する架線の構成の一例(シンプルカテナリ式)を説明する。
架線30は、電気車両のレールに並列して配設されている。この例の架線30は、レールに沿って所定の間隔で立設された支持柱35に支持される吊架線31と、吊架線31からハンガ37で吊り下げられているトロリ線33とを含む。支持柱間隔Lsは、一例で40〜60m、ハンガ間隔Lhは、一例で5mである。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るパンタグラフの制御装置の構成を説明する。
パンタグラフ1は、トロリ線33に押し当てられるすり板3を有する舟体4と、車両の屋根上に舟体を昇降可能に支持する枠組み5と、枠組み5に舟体4を略一定の力で押し上げる押上力を与える主バネ6と、を主に備える。他に、舟体4の下面の左右寄りの位置に取り付けられる復元バネや、復元バネが収容されて、枠組みの上端に取り付けられた舟支え等を備える(図示されず)。
さらに、舟体4には、該舟体4とトロリ線33との間の上下方向の接触力を測定する手段10が備えられている。接触力測定手段10は、具体的には、前述の特許文献1、2、3の手段を用いることができ、舟体等に取り付けられるセンサと、センサの出力が入力されて接触力を推定する処理部とを備える。
特許文献1の場合は、接触力測定手段は、舟体の左右の復元バネの位置に取り付けられる歪ゲージと、歪ゲージで計測された値を処理する処理部とを有する。歪ゲージにより、左右の復元バネの位置における断面力(せん断力)を測定して該舟体を支持する支持部材が舟体を押し上げる押上力を測定する。そして、舟体上のトロリ線の左右の偏位と前記断面力とから舟体に作用する揚力を求め、この揚力に押上力と舟体の慣性力を加えて接触力を求める。
特許文献2の場合は、接触力測定手段は、舟体に取り付けられるn個(n≧2)の加速度計と、加速度計で計測された値を処理する処理部とを有する。加速度計で計測された加速度から舟体のn次以下の振動モードを判定し、このn次以下の振動モードに基づき、舟体上のm箇所(m≧n)に作用する接触力を推定し、この推定接触力から接触力を求める。
さらに、パンタグラフ1には、枠組み5に力を与えてパンタグラフ1をアクティブ制御するアクチュエータ13が備えられている。アクチュエータ13にはコントローラ14が接続されており、コントローラ14によって、すり板3をトロリ線33に押し当てる押上力を制御することができる。アクチュエータ13としては例えばエアシリンダを使用できる。
パンタグラフ1に取り付けられた接触力測定手段10の処理部は、制御器20を介してアクチュエータ13のコントローラ14に接続している。制御器20は、接触力測定手段10の処理部から、信号の送られる順に、バンドパスフィルタ21、位相同期回路22、遅延要素23、及び、アンプ24によって主に構成される。
バンドパスフィルタ21は、接触力測定手段10で計測された接触力信号のうち、信号強度の卓越した卓越周波数付近の信号成分を透過させる。卓越周波数は、例えば、図2に示す吊架線31が支持柱35に支持されている部分で接触力の変動が特に大きくなるので、パンタグラフ1が支持柱35間を通過する周期(T、支持柱間隔Ls/車両の走行速度V)に対応する周波数(1/T)とできる。
あるいは、トロリ線33がハンガ37で吊り下げられている部分での接触力変動を考慮して、パンタグラフ1がハンガ37間を通過する周期に対応する周波数としてもよい。
バンドパスフィルタ21を設置することにより、接触力変動低減にあまり寄与しないだけでなく、制御に外乱を与える高周波成分や低周波成分をカットすることができる。
位相同期回路22とは、基本的に、2つの信号の位相差を比較してその差の信号を発生する位相比較器や、交流成分をカットするループフィルタ、電圧制御発振器で構成され、入力信号に同期した出力を得るものである。発振器の周波数は、前述の卓越周波数に設定されている。同回路22には、バンドパスフィルタ21を透過した卓越周波数付近の信号成分が入力されて、この信号成分と同期した信号(正弦波)が出力される。卓越周波数は、車両速度や支持柱間隔によって変わる場合がある。この場合、バンドパスフィルタ通過後の接触力信号の周波数と、位相同期回路の発振器の周波数とがある程度ずれるが、位相同期回路からは、入力信号の卓越周波数にほぼ一致した正弦波が出力される。なお、卓越周波数の変動に対応するために、バンドパスフィルタで通過可能な周波数範囲を広げることもできる。しかし、制御に有害な周波数成分も含んでしまうこととなると好ましくない。
遅延要素23には、位相同期回路22から出力された信号(正弦波)が入力され、ある時間遅延させて出力する。この遅延時間は、例えば、入力された波形の位相が180°ずれた波形となる時間である、位相同期回路から出力された波形の周期の半分の時間に、適当な修正を加えた時間とすることができる。修正時間は、予め数値シミュレーションや実車試験等によって求めておくことができる。
アンプ24は、遅延要素から出力された信号成分のゲインを調節する。ゲイン調節後、信号成分は、パンタグラフ1のアクチュエータ13のコントローラ14に入力される。
この例では、アクチュエータ14には、接触力信号の波形の位相を180°ずらした波形の制御力が加えられる。これにより、パンタグラフ1に作用する接触力の逆方向の力がアクチュエータ14からパンタグラフ1に与えられることになるので、パンタグラフ1の接触力の変動が打ち消され、変動を低減できる。
一例として、支持柱間隔Lsが50m、ハンガ間隔Lhが5m、車両時速Vが300km/hの場合を考える。
卓越周波数が支持柱間隔Lsにのみ起因するとした場合、パンタグラフが支持柱間を通過する周期TはLs/Vであり、この周期Tに対応する周波数(1/T)は、V/Lsである。つまり、支持柱間隔に起因する卓越周波数は、300(km/h)/50(m)であり、約1.6Hzである。
この場合、バンドパスフィルタの透過帯域を1.1Hz〜2.1Hzとすることが好ましい。
支持柱間隔に加えてハンガ間隔も考慮する場合、ハンガ間隔Lhに起因する卓越周波数は、約16.6Hzとなる。この場合、バンドパスフィルタの透過帯域を16.1Hz〜17.1Hzとすることが好ましい。
図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るパンタグラフの制御装置の構成を説明する。
この例では、電気車両に電力を供給する架線が剛体ちょう架式電車線の場合を説明する。剛体ちょう架式電車線の例を図4を参照して説明する。剛体ちょう架式電車線50は、主にトンネル等に使用されているもので、トロリ線53をT字型支持部材で支持し、これらをトンネルの天井に碍子51によって支持している。T字型部材は、アルミ合金製や銅製のものを使用できる。また、トロリ線を使用しない導電鋼レール方式のものもある。碍子51は、図4に示すように一定の間隔Ltで配置されており、カテナリちょう架式電車線の場合と同様に、この周期に起因した外乱がパンタグラフに作用する。一例で、間隔Ltは5mである。
図3に示すように、本発明のパンタグラフも、トロリ線に押し当てられるすり板3を有する舟体4と、車両の屋根上に舟体を昇降可能に支持する枠組み5と、枠組み5に舟体4を略一定の力で押し上げる押上力を与える主バネ6と、を主に備える。さらに、舟体4の下面の左右寄りの位置に取り付けられる復元バネや、復元バネが収容されて、枠組みの上端に取り付けられた舟支え等を備える(図示されず)。これらはベース上に設置されている。
図3に示すように、舟体4には、該舟体4とトロリ線との間の上下方向の接触力を測定する手段10が備えられている。接触力測定手段10は、前述のものを使用できる。
さらに、パンタグラフ1には、枠組み5に力を与えてパンタグラフ1をアクティブ制御するアクチュエータ13が備えられている。アクチュエータ13にはコントローラ14が接続されており、コントローラ14によって、すり板3をトロリ線に押し当てる押上力を制御することができる。アクチュエータ13としては例えばエアシリンダを使用できる。
パンタグラフ1に取り付けられた接触力測定手段10の処理部は、制御器20Aを介してアクチュエータ13のコントローラ14に接続している。
制御器20Aは、接触力測定手段10の処理部から、信号の送られる順に、バンドパスフィルタ21、位相同期回路22、遅延要素23、及び、アンプ24に加えて、遅延要素の位相差φとアンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部25をさらに備える。
制御パラメータ調整部25では、遅延要素23の位相差φとアンプ24の振幅Aとを最適化する。このような、あるパラメータを最適化する手法として、例えば、最急降下法を適用することができる。最急降下法とは、パラメータ(この例では位相差φと振幅A)を交互に摂動(少しずつ変動させる)ことにより、目的関数(この例では接触力変動)の減少が最大となる方向に向かってパラメータを修正する方法である。この例では、車両を走行させながら、アンプの振幅Aと遅延要素の位相差φとを交互に摂動させ、その都度、接触力測定手段10で測定される接触力の変動を求める。そして、接触力の変動が小さくなるような各パラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じてパラメータを更新しながら、接触力変動の減少が最大となるまで繰り返す。
この方法による接触力変動を計測した結果の一例を図5に示す。図5(A)は計測された接触力の変動を示すグラフ、図5(B)はアンプの振幅A(ゲイン)を示すグラフ、図5(C)は遅延要素の位相差φを示すグラフである。各グラフにおいて横軸は時間(秒)、縦軸は、図5(A)は接触力(N)、図5(B)は電圧(V)、図5(C)は位相差(deg)を示す。
この例は、接触力変動の2Hz成分を示す。
時間がゼロ以前は、アンプの振幅A、遅延要素の位相差φともゼロである。計測開始後は、図5(A)のグラフから、接触力変動値は約25(N)程度である。
位相差φと振幅Aを交互に摂動させるステップkを約90秒とし、そのステップ中の最初の30秒間は両パラメータを変化させず、次の30秒間に所定値の振幅Aをアンプに入力し、次の30秒間に所定値の位相差φを遅延要素に入力する。
ステップk=1では、図5(A)に示すように、振幅0.5Vをアンプに入力した間、接触力変動値が20N程度に低下した。
ステップk=2から、入力する振幅A及び位相差φを徐々に所定の量だけ増加させていくと、図5(A)に示すように、明らかに接触力の変動値はステップ毎に低下していき、ステップk=9においては、接触力変動値が1N程度に低下した。つまり、接触力変動の対象となる周波数成分を、制御なしの場合と比べて90%以上低減することができた。
なお、各ステップ毎に、振幅及び位相差のベースとなる値が増加しているのは、制御パラメータを各ステップ終了時に逐次更新しているためである。
この例では、車両を走行させながら各パラメータを調整したが、予め各パラメータの好適値を求めておき、その好適値を制御パラメータ調整部に記憶させておくこともできる。この場合、予め、該当区間に試験車両を所定の速度で走行させて、アンプの振幅Aと遅延要素の位相差φの好適値を前述の方法で求めておく。この好適値を、営業車両のパラメータ記憶部に記憶させておき、営業者が該当区間を走行する際に、線路の位置情報と対応させてこれらのパラメータ好適値を用いてアクチュエータを制御する。
次に、パラメータを決定するために、パンタグラフ単体の加振試験を行ってパンタグラフの伝達関数を用いる方法の一例を説明する。
パラメータであるアンプの振幅Aと遅延要素の位相φは、式1、式2で表わされる。
A=X/G (1)
φ=−θ (2)
ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅、Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値、θは伝達関数の位相を示す。Gとθは、事前に加振試験を行って求めておき、Xは、実際に試験車両もしくは舟体変位を測定可能な営業車両を走行させて計測する。
伝達関数の求め方の一例を説明する。
パンタグラフには静押上力が作用しているので、折り畳んだ状態以外では、図6(A)に示すように、常に可動範囲の上限に舟体4が位置している(この状態を突放という)。このため、制御力から舟体変位までの伝達関数を直接測定することはできない。そこで、図6(B)に示すように、舟体4が突放状態よりも低い位置で剛体53に押し当て、この状態で、強制変位加振することにより、接触力から舟体変位までの伝達関数G1を測定する。次に、舟体4を剛体53に押し当てた状態で、制御アクチュエータを用いて加振することにより、制御力から接触力までの伝達関数をG2を測定する。
これらから、式(3)に示すように、制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値Gを求めることができる。つまり、
G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力) (3)
となる。
この伝達関数を使用する方法で求められたパラメータの値を、前述の最適化方法の初期値として使用すると、結果の収束が速くなるので好ましい。
次に、本発明のアンプの振幅Aと遅延要素の位相差φの最適化手法を、カテナリちょう架式電車線に適用する場合について説明する。カテナリちょう架式電車線の場合は、トロリ線の弛度や波動伝搬特性も加味されるため、前述の剛体ちょう架式電車線の場合よりも事前の決定が難しい。
図7を参照して、パンタグラフの力学モデルを説明する。
図7は、図3のパンタグラフに示されている要素をモデル化したものである。図7の各パラメータを以下に示す。
:すり板及び舟体の質量、
:枠組みの質量、
:復元バネ(図示されず)のばね定数、
:舟体と枠組み間の減衰要素の減衰定数、
:枠組みとベース間の減衰要素の減衰定数、
:すり板及び舟体の変位、
:枠組みの変位、
:主ばねによって加えられる静押上力、
:質量m1に作用する架線との接触力。
枠組みに相当する質量mに、式4で示される制御力faを作用させるとする。
(4)
ここで、iは、支持点間隔に起因する外乱の種類を表す。
本実施例では、周波数ωiの外乱が作用する場合に、位相をφi進めた正弦波を制御力として質量m(枠組み)に作用させるフィードフォワード制御を行う。このために、接触力の変動を効果的に低減できるように、正弦波の振幅Aiと位相差φiを最適化する。
最適化方法として、最急降下法を用いた場合について説明する。
最急降下法とは、前述のように、各反復において目的関数の減少が最大となる方向に向かってパラメータを修正する方法である。今回の場合も、目的関数は接触力変動であり、制御パラメータは、正弦波の振幅Aと位相差φである。走行中にこれらのパラメータを交互に摂動させる(少しずつ変動させる)ことで、接触力変動が小さくなるようなパラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じた上でパラメータの更新を行う。ステップkにおけるパラメータの変更は式5で表わされる。

(5)
ここで、α、βは、パラメータ更新時の任意の倍率を示す。Fc(ω)は、接触力における周波数ωの成分を表し、これらの感度は、実際にAiとφiを摂動させることによって、式6、式7で得られる。
(6)
(7)
ここで、δA、δφは、kステップからのパラメータの増分であり、任意に設定される。
次に、前述の方法を検討するために、シミュレーションソフト(Simulink)を用いて、架線・パンタグラフ間の相互作用を考慮したパンタグラフの走行シミュレーションを行い、制御パラメータを最適化した結果を説明する。
シミュレーションに使用した架線とパンタグラフのモデルを図8に示す。いずれも走行するパンタグラフは1台とし、図8(A)は、シンプルカテナリ式(主に在来線)の架線において、走行速度を100km/hとしたもの、図8(B)は、コンパウンドカテナリ式(主に新幹線)の架線において、走行速度を270km/hとしたものである。
いずれの架線も0.5m間隔の質点で離散化し、隣り合う質点同士をばね・減衰要素で結合する。支持点Sの間隔を50m、ドロッパDの間隔を10m、ハンガHの間隔を5mとし,ドロッパ・ハンガの剛性を10N/mとした。吊架線Cは10N/mのばねで50m毎に支持されているとした。また、トロリ線Tとパンタグラフの接触は10N/mの剛性を有するばね要素を用いたペナルティ法によって表現し、逐次積分の時間間隔を1/1000secとした。架線の減衰要素は、ばね要素と並列して配置されており、式(8)で表される比例粘性減衰を仮定した。
[C]=0.005[K] (8)
ここで、[C]は減衰行列、[K]は剛性行列である。
使用したパンタグラフの定数を表1に示す。
ハンガやドロッパは浮かないものとし、その他支持金具の質量は考慮しないものとする。また、感度を求めるためには接触力における特定の周波数成分が必要であり、本例ではロックインアンプを用いてこれをリアルタイムに抽出した。
次に感度の算出法について述べる。図9は、走行速度100km/hの場合に得られた接触力波形を示すグラフである。グラフの横軸は時間(秒)、縦軸は接触力(N)を示す。
シミュレーション開始からの3秒間(約3径間半)は架線が過渡的な状態であるため接触力の評価には用いず、3秒から1.8秒間(1径間)においてA(k)、φ(k)のパラメータを用いて制御した場合の接触力を評価する。次に、AをδAだけ増加させてから架線が定常状態になるまでの1秒間は接触力の評価をせず、その後の1径間分の接触力を用いてAに関する感度を式6に基づいて算出し、最後にφをδφだけ増加させて同様にφに関する感度を式7から算出する。こうして得られた差分感度を用いて、式5に基づいてAとφを同時に更新する。
本シミュレーションでは、パンタグラフが第1径間から約6径間の架線を走行する計算を1回行うごとにパラメータを更新し、再び同じ架線を第1径間目から走行し直すという過程をパラメータが収束するまで繰り返し実行した。なお本例では、8径間の径間長を有する架線モデルを使用し、シミュレーション開始3秒後から1.8秒間(1径間)における接触力のp−p値が低減されなくなったら計算が収束したものと判断した。
本例のシミュレーションでは、シンプル架線・コンパウンド架線ともに支持点間隔とハンガ間隔に起因した接触力変動を低減させることを目標とする。
反復計算によって与えられる制御の効果(1径間を走行する間の接触力の時系列波形)を図10を参照して説明する。図10(A)は、走行速度100km/h、図10(B)は、走行速度270km/hの場合を示す。各グラフの横軸は時間(秒)、縦軸は接触力(N)を示す。グラフの実線は制御なし、破線は制御ありを示す。
得られたパラメータの値と、これらの制御パラメータを用いて制御を行なった場合の接触力のp−p値・標準偏差を表2、表3に示す。表2は走行速度100km/h、表3は走行速度270km/hを示す。
表中の添え字supは径間周期、hgはハンガ周期に関するパラメータであることを示す。
図10、表2、3から、いずれも、接触力変動が概ね低減されていることがわかる。
次に、これらの結果をパンタグラフの加振試験を行って検証した。
本試験では、架線を剛体とし、舟体に強制変位を与えた際に生じる接触力変動を低減させる実験を行なう。本例では、パンタグラフ実機に対するパラメータの収束性に関する基礎検討を行なうため、単一周波数の正弦波を入力変位とする。以下、Aは空気圧アクチュエータへの指令電圧(V)とし、指令電圧から接触力へ換算する校正係数は29.1N/Vとした。
図11に、加振試験装置を示す。
図7に示した力学モデルと等価の空気圧アクチュエータ13を備えたアクティブ制御パンタグラフを用い、舟体4にロードセル30を装着して接触力を測定した。加振器33による加振位置は舟体4の幅方向の中央とした。振幅10mm、周波数2Hzの正弦波で舟体4を加振したときの接触力をロードセル30で測定し、最急降下法を用いて最適な制御パラメータを探索する。
制御パラメータであるアンプの振幅Aと遅延要素の位相差φの初期値をそれぞれ0とし、感度を求める際の式7におけるδφを2.5°とした。式6のδAについては、接触力の大きさに応じて可変とした。これは、Aの値が小さい場合にはδAを大きくしないとアクチュエータの摩擦の影響で接触力変動に変化が生じず、また最適解近傍ではδAを小さく設定しないと正確な感度を評価できないためである。本試験では接触力Fcが15NのときにδAが0.5V、Fcが2NのときにδAが0.05Vとし、この2点間において線形関係が成り立つようにしてδAを設定した。
試験結果を説明する。
最初、φを−180°から10°間隔で180°、Aを0Vから0.1V間隔で1Vまでそれぞれ変化させたときの接触力変動の2Hz成分をすべて測定した。パラメータの初期条件(A=0V、φ=0°)での接触力変動が0Nとなるようにしたマップ上に、各反復計算によって得られた制御パラメータをプロットしたものを図12に示す。図12は、縦軸が振幅A、横軸が位相差φとしたマップに、接触力変動を濃淡で示したものである。図12中の実線の矢印はパラメータの軌跡を示しており、×印で示す最適解の方向へ向かっていることが分かる。
制御パラメータの初期値近傍ではアクチュエータの摩擦等の影響によってAの感度が低いためδAを大きくすることでパラメータが最適解へ向かうように移動している。一方、パラメータが最適解へ近づくほどδAが小さくなるため、最適解近傍においてもパラメータは収束する方向へ向かっている。
得られたパラメータによる制御効果を図13に示す。図13は、接触力の変動波形に、透過領域が1.5Hz〜2.5Hzのバンドパスフィルタをかけた波形を示すグラフであり、横軸が時間、縦軸が接触力を示す。実線は制御あり、破線は制御なしを示す。
グラフより、接触力の2Hz成分が15.9Nから1.2Nに低減されていることが分かる。
剛体ちょう架式電車線の場合は、前述したように加振試験によるパンタグラフの伝達関数に基づいてパラメータを決定することが可能であるが、カテナリちょう架式電車線の場合は、剛体ちょう架式電車線と異なるため、前述した伝達関数からパラメータを決定する方法は適用できない。
なお、最適化手法としては、最急降下法の他に、最適勾配法、共役勾配法、シンプレックス法、遺伝的アルゴリズム法、ニューラルネットワーク等を使用することができる。
1 パンタグラフ 3 すり板
4 舟体 5 枠組み
6 主バネ 10 接触力測定手段
13 アクチュエータ 14 コントローラ
20 制御器 21 バンドパスフィルタ
22 位相同期回路 23 遅延要素
24 アンプ 25 制御パラメータ調整部
30、50 架線 31 吊架線
33、53 トロリ線 35 支持支柱
37 ハンガ
51 碍子

Claims (13)

  1. 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、
    前記架線に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
    前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
    前記枠組みを駆動することにより前記架線と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
    前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
    記接触力信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
    前記制御器が、
    前記接触力信号のうち、前記架線支持点に起因する信号強度の卓越した卓越周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
    該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、該接触力信号の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
    前記周波数信号を元に生成された正弦波形を、ある時間間隔ずれた遅延波形として出力する遅延要素と、
    該遅延波形の信号のゲインを調節するアンプと、
    を有して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号を生成することを特徴とするパンタグラフ。
  2. 所定間隔で電柱などの架線支持点により支持された架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフにおける接触力変動低減方法であって、
    前記パンタグラフは、
    前記架線に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
    前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
    前記枠組みを駆動することにより前記架線と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
    前記接触力を測定する手段と、
    測定された前記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え、
    前記接触力信号のうち前記架線支持点に起因する信号強度の卓越した卓越周波数成分とほぼ一致した周波数信号を出力し、該周波数信号を元に生成された正弦波をある時間間隔ずらして遅延波形とし、該遅延波形の信号のゲインを調節して前記アクチュエータに前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号として供給することを特徴とするパンタグラフにおける接触力変動低減方法。
  3. 所定間隔で架線支持点により支持されて、前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在する架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフであって、
    前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
    前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
    前記枠組みを駆動することにより前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
    前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
    記接触力信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え
    記制御器が、
    前記接触力信号のうち、前記架線変動に起因する周期的外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
    該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記周期的外乱の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
    入力された波形をある時間間隔ずれた波形として出力する遅延要素と入力された波形の信号の振幅を調節して出力するアンプとの直列結合であって、前記位相同期回路から出力された周波数信号を入力して制御指令信号を出力する回路と、
    前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、
    を有して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させる制御指令信号を生成することを特徴とするパンタグラフ。
  4. 前記車両が走行しながら、前記制御パラメータ調整部が前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φを調整して、前記接触力の変動を抑制することを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ。
  5. 前記制御パラメータ調整部が、前記車両の速度及び前記外乱の周波数に対応した、前記アンプの振幅A及び/又前記遅延要素の位相差φの好適値を記憶しておく記憶部を有することを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ。
  6. 前記パンタグラフの加振試験を行い、前記パンタグラフの伝達関数を用いて、次式から前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φが決定されることを特徴とする請求項3に記載のパンタグラフ:
    A=X/G
    φ=−θ
    ここで、Xはパンタグラフに作用する外乱の振幅を示し、
    Gは制御指令信号から舟体変位までの伝達関数の絶対値を示し、
    θは伝達関数の位相を示す。
  7. 前記パンタグラフの振動特性、摩擦特性及び/又は動作遅れ特性を加振試験により把握して前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることを特徴とする請求項5に記載のパンタグラフ。
  8. 前記パンタグラフの舟体を、突放状態よりも低い位置で対象物に押し当てて強制変位加振することにより、接触力から該舟体変位までの伝達関数G1を測定し、
    また、前記舟体を前記対象物に押し当てた状態で、前記制御アクチュエータを用いて加振することにより、制御力から接触力までの伝達関数をG2を測定し、
    以下の式により、制御指令信号から前記舟体変位までの伝達関数の絶対値Gを求めることを特徴とする請求項6又は7に記載のパンタグラフ:
    G(舟体変位/制御力)=G1(舟体変位/接触力)×G2(接触力/制御力)。
  9. 営業線試験車両を走行させることにより、前記アンプの振幅A及び/又は前記遅延要素の位相差φの好適値が得られていることを特徴とする請求項5に記載のパンタグラフ。
  10. 制御パラメータとしての前記アンプの振幅A及び前記遅延要素の位相差φを交互に摂動させて接触力変動が小さくなる制御パラメータの変更量を求め、この変更量に任意の倍率を乗じた上で制御パラメータの更新を行い、この制御パラメータ摂動と更新を繰り返し行う手法によることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のパンタグラフ。
  11. 前記請求項10記載の手法の制御パラメータの初期値として請求項6又は8記載の加振試験で得た値を用いることを特徴とする請求項10に記載のパンタグラフ。
  12. 所定間隔で架線支持点により支持された架線であって、前記架線支持点及び/又は前記架線における所定間隔で繰り返す構造に起因して、前記摺動導電部の位置及び/又は前記架線の機械的特性の繰り返し変動(架線変動)が存在する前記架線から、電気鉄道の車両に電力供給するパンタグラフの接触力変動を低減する方法であって、
    前記パンタグラフは、
    前記架線の摺動導電部に押し当てられる摺り板を有する舟体と、
    前記車両の屋根上に前記舟体を昇降可能に支持する枠組みと、
    前記枠組みを駆動することにより前記摺動導電部と前記摺り板との間の上下方向接触力を動的に制御するアクチュエータと、
    前記接触力を測定して接触力信号を出力する手段と、
    記接触力の信号を入力され、前記アクチュエータの制御指令信号を出力する制御器と、を備え
    前記制御器が、
    前記接触力信号のうち、前記架線変動に起因する周期的外乱の周波数付近の信号成分を透過させるバンドパスフィルタと、
    該バンドパスフィルタを透過した接触力信号が入力され、前記周期的外乱の周波数とほぼ一致した周波数信号が出力される位相同期回路と、
    入力された波形をある時間間隔ずれた遅延波形として出力する遅延要素と入力された波形の信号の振幅を調節するアンプとの直列結合で、前記位相同期回路から出力された正弦波形を入力して制御指令信号を出力する回路と、
    前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を調整する制御パラメータ調整部と、
    を有し、
    前記制御パラメータ調整部で、前記遅延要素の位相差φ及び/又は前記アンプの振幅A(制御パラメータ)を最適化し、最適化された位相差φ及び/又は振幅Aを前記遅延要素及び/又は前記アンプに出力して、前記アクチュエータをフィードフォワード制御して、前記卓越周波数付近の接触力変動を低減させることを特徴とするパンタグラフの接触力変動低減方法。
  13. 請求項1、3〜11のいずれか1項記載のパンタグラフを備えることを特徴とする電気鉄道車両。
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