JP5949472B2 - 空気流量測定装置 - Google Patents
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従来から、この種の空気流量測定装置としては、種々の構成のものが提案され、実用に供されているが、空気ダクト内に配置されて空気流量を測定するものであるため、空気中に含まれる塵埃等のダストやバックファイヤ等による逆流の影響を受けないように工夫した空気流量測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
つまり、空気ダクト100自体に絞り部101を設けると共に、この絞り部101直近の上流側に卵型の流量計本体102を配置し、かかる流量計本体102には中心に軸方向に貫通する空気通路103とこの通路103から外径方向に分岐する測定通路104とを設け、測定通路104に流量センサ105を配設している。
これにより、空気ダクト100内を流れる主流A(実線の矢印)は、絞り部101および流量計本体102によって絞られ、この絞り効果によって測定通路104に矢印Sのごときバイパス流れを形成し、空気流量を測定するものである。
上記構成によれば、空気通路103に侵入してくるダストは、その慣性によりこの通路103を突き抜けるため、測定通路104へ侵入するのを抑止することができ、また、バックファイヤ等による逆流D(破線の矢印)も、真っ直ぐな空気通路103を優先して流れ、測定通路104に煤等のダストが侵入するのを抑止することができる。
しかしながら、上記構成の空気流量測定装置は、空気ダクト100自体に絞り部101を設けているために、空気ダクト100を流れる主流Aの圧力損失が大きく、流量特性をそれだけ犠牲にせざるを得なく、しかも、空気ダクト100を含めた全体で装置が完成される構成であるために、流量特性に応じて空気ダクト100を変更せねばならず、汎用性に乏しい。とりわけ、内燃機関の吸気量を測定する場合には、内燃機関の流量特性が多岐にわたるため、多種の装置が必要となり、しかも、内燃機関の周りの搭載スペースも非常に厳しくなっているため、体格面で搭載上に制限が生じる恐れがあった。
請求項1に記載の発明(空気流量測定装置)は、測定対象の空気が流れる主流路を有する空気ダクトと、この空気ダクトに対しその外部から主流路を横切るように組付けられ、第1流路、第2流路および第3流路を有する流路形成部材と、第3流路に配設され、この第3流路を流れる空気の流量を測定する流量センサとを備えている。
そして、第1流路および第2流路は、主流路を流れる空気(主流)の一部を取り込んでバイパス流として流すバイパス流路をなすと共に、第1流路は、上流側に位置し流路断面積が大きい第1大流路と下流側に位置し流路断面積が小さい第1小流路とで構成され、第1小流路が第2流路を流れるバイパス流より流速が大きくなるバイパス流を流すバイパス流路を形成しており、第1流路の第1小流路と第2流路とを第3流路にて連通させることで、主流路から第2流路、第3流路、第1流路を経て主流路に至る順方向のバイパス流を形成していることを特徴としている。
また、空気ダクト自体を絞り構造にしないため、空気ダクトでの圧力損失も軽減することができる。
したがって、小型、安価な構成で、汎用性に優れ、空気ダクトにおける圧力損失をも軽減することができ、内燃機関のような厳しい環境下で使用される装置として好適な空気流量測定装置を提供することができる。
なお、各実施例は、本発明の空気流量測定装置の代表例として、内燃機関の吸入空気の流量(吸気量)を測定するための空気流量測定装置(内燃機関用吸気量測定装置)への適用例を示している。
なお、各実施例において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
まず、本発明の空気流量測定装置の全体的な構成および機能について、図1および図2に基づいて説明する。
空気流量測定装置1は、空気ダクト2に配置され、エアクリーナ等の空気取入口3から内燃機関4に吸入される吸入空気の流量(吸気量)を測定するためのものであって、吸気量を測定する流量センサ5を内蔵している。そして、流量センサ5からの吸気量信号を、内燃機関4の運転状態を制御する電子装置(ECU)6に対して入力信号の1つとして供給することにより、内燃機関4の運転状態が適正に制御されるようにしている点では、従来周知の装置と同じである。
なお、以下の説明では、空気ダクト2(主流路2a)を流れる空気について、空気取入口3側から内燃機関4側へ向かう流れ(実線の矢印)を、「順方向の流れ」もしくは「順流」と称し、その反対方向の流れ(破線の矢印)を、「逆方向の流れ」もしくは「逆流」と称する。ただし、「上流側」、「下流側」の用語は、常に順流を基準としての呼称であって、例えば、図1においては左端(空気取入口3側)が上流側、右端(内燃機関4側)が下流側を意味している。
そして、空気流量測定装置1は、上記の流量センサ5の配置構造を含め、以下のような具体的構成を有している。
この装置本体10は、空気ダクト2に対し、流路形成部10bの長辺側が主流Aと平行になるように主流路2a内に配置される。
第1流路11および第2流路12は、長辺側に沿って上下に離隔して配置されており、それぞれ流路形成部10bを貫通している。したがって、第1流路11および第2流路12は、主流路2aを流れる空気(主流A)の一部を取り込んでバイパス流B、Cとして流すバイパス流路をなしている。
なお、第2流路12は全長にわたって同一径で同一の流路断面積を有しており、第1流路11は第1小流路11bのみが第2流路12と同一径で同じ流路断面積を有している。
そして、第3流路13には、ここを通過する空気の流量(吸気量)を計測する流量センサ5が配設されている。流量センサ5は、計測した吸気量信号に所定の処理を施す信号処理部(図示せず)を介して電子装置(ECU)6に電気的接続される。
次に、上記構成の空気流量測定装置1の作用・効果について説明する。
ここで、第1流路11の第1小流路11bと第2流路12とは、同一径で同じ流路断面積であるが、絞り14による絞り効果によって第1小流路11bのバイパス流Bの方が第2流路12を流れるバイパス流Cよりも流速が大きくなる。
これにより、空気ダクト2の主流路2aから第2流路12、第3流路13、第1流路11の第1小流路11bを経て主流路2aに至る順方向のバイパス流B1が形成される。
このバイパス流B1は主流Aよりも空気の流れが安定しているため、流量センサ5によって吸気量を正確に計測することができる。
また、内燃機関4にバックファイヤ等が発生し、逆流Dが生じた場合には、逆流Dの一部が第1流路(第1小流路11b)および第2流路12に侵入するが、この逆流Dに含まれる煤等のダストは、慣性力で第3流路13、流量センサ5に向かうことなく、第1流路11(第1大流路11a)および第2流路12を突き抜けて、主流路2aに戻る。
また、空気流量測定装置1は、装置本体10(流路形成部10bおよび流量センサ5)で空気流量測定機能を完結することができ、しかもこの当該装置1の中枢部品をなす装置本体10を空気ダクト2に着脱自在に組み込むことができるため、空気ダクト2には空気流量特性に応じた加工、構造(絞り)を特別に要しなく、空気ダクト2の汎用性を高めることができる。
しかも、空気ダクト2自体を絞り構造にしないため、空気ダクト2での圧力損失も軽減することができる。
次に、本発明の実施例2について、上述の実施例1との相違点を中心に図3に基づいて説明する。
そして、この第2小流路12aおよび第2大流路12bは、第1流路11の第1小流路11bおよび第1大流路11aとそれぞれ同一径で同じ流路断面積を有しているが、逆流Dがそれぞれの流路に侵入するときには、絞り15による絞り効果によって、第2流路12の第2小流路12aを流れる空気流D1の方が、第1流路11の第1小流路11bを流れる空気流D2より流速が大きくなる。
そして、第3流路13には、流量センサとして、逆流検知機能(手段)を有する流量センサ5Aを配設している。
なお、順流と逆流とを区別して検知する流量センサとしては、例えば、半導体式チップセンサが知られており、かかる周知のセンサを、逆流検知機能(手段)付き流量センサ5Aとして活用することができる。
なお、逆流Dの発生時にバイパス流D2、D1と共に第1流路11および第2流路12へ侵入してくる煤等のダストは、慣性力で、第3流路13、流量センサ5Aに向かうことなく、第1流路11および第2流路12を突き抜け、主流路2aに戻るため、流量センサ5Aにはダストにより悪影響が及ぶことはない。
したがって、この実施例2においても、実施例1と同様の作用・効果を得ることができることは勿論である。
次に、本発明の実施例3について、前述の実施例1との相違点を中心に図4に基づいて説明する。
したがって、第3流路13にはダストがより一層侵入しにくくなり、流量センサ5をダストからより確実に保護することができる。
なお、この実施例3においても、空気流量測定装置1の所期の作用・効果について、実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
次に、本発明の実施例4について、前述の実施例1との相違点を中心に図5に基づいて説明する。
以上、本発明の実施形態を4つの実施例について説明したが、本発明装置の中枢機能を司る、例えば、第1流路11、第2流路12、第3流路13などの態様は、上述した実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
(1)装置本体10は、流路部分を半割り形状にした一対の樹脂成型品を張り合わせるようにして作製するため、各流路11、12、13の横断面形状を円形以外の例えば矩形状にしても、製作面で何ら支障を生じることなく、各流路11、12、13を形成することができる。
(2)第1流路11と第2流路12とに流速差を生じさせる絞り手段として、整流効果を期待できるテーパ状の絞り14、15を採用したが、流路断面積を大小に区分する手段であることが肝要であって、例えば大径の流路部分と小径の流路部分とを単に連接する段差手段を当該絞り手段として採用することもできる。
(3)実施例2においては、順流と逆流とを区別して検知することができる逆流検知機能(手段)付き流量センサ5Aを用いたが、逆流検知手段として逆流検知専用のセンサを流量センサ5と併用するようにしても良い。
(4)実施例3における順流時のダスト対策は、順流時における第3流路13の空気流れを考慮し、第3流路13の入口13a側のみに中流路部分12cを設けることによっても所望の効果を得ることができる。
(5)第3流路13を、第1流路11と第2流路12もしくは主流路2aに対し直交するように配設したが、所望する流量測定機能やダスト対策機能に応じて、例えば、第3流路13を下流側に傾けて配設(図6参照)したり、逆に上流側に傾けて配設しても良い。
請求項1に記載の空気流量測定装置1において、
第2通路12は、上流側に位置し流路断面積が小さい第2小流路12aと下流側に位置し流路断面積が大きい第2大流路12bとで構成されており、第3流路13で、第1流路11の第1小流路11bと第2流路12の第2小流路12aとを連通して、下流側から上流側に向かって流れる逆方向の空気流が、第2流路12から第3流路13を経て第1流路11に流れるようにすると共に、第3流路13には、逆流検知機能付き流量センサ5A(逆流検知手段)を配設していることを特徴としている(例えば実施例2)。
上記手段によれば、流量センサ5Aによって逆流が生じたことを検知することができ、この逆流検知信号を内燃機関4の制御に有効活用することができる。
請求項1に記載の空気流量測定装置1において、
第1流路11の第1小流路11bおよび第2流路12には、第3流路13との連結部に、第1小流路11bおよび第2流路12よりも流路断面積が大きくなる中流路部分11c、12cを設けており、第3流路13の両端開口部(入口13aおよび出口13b)が、第1流路11および第2流路12に対して下流側に指向して開口していることを特徴としている(例えば実施例3)。
上記手段によれば、順流時におけるダストから流量センサ5をより確実に保護することができる。
空気流量測定装置1は、測定対象の空気が流れる主流路2aを有する空気ダクト2と、この空気ダクト2に対しその外部から主流路2aを横切るように組付けられ、第1流路11および第3流路13を有する流路形成部(流路形成部材)10bと、第3流路13に配設され、この第3流路13を流れる空気の流量を測定する流量センサ5とを備えるものであって、第1流路11は、主流路2aを流れる主流Aの一部を取り込むと共に、上流側に位置し流路断面積が大きい第1大流路11aと下流側に位置し流路断面積が小さい第1小流路11bとで構成され、第1小流路11bが主流路2aを流れる主流Aより流速が大きくなるバイパス流Bを流すバイパス流路を形成している。そして、第1流路11の第1小流路11bと主流路2aとを第3流路13にて直接連通することで、主流路2aから第3流路13、第1流路11を経て主流路2aに至る順方向のバイパス流を形成していることを特徴としている(例えば実施例4)。
上記手段によれば、流路形成部10bには第1流路11と第3流路13との2つの流路を設けるだけでよく、極めて小型・簡潔な構造の空気流量測定装置1とすることができる。
Claims (4)
- 測定対象の空気が流れる主流路(2a)を有する空気ダクト(2)と、
この空気ダクト(2)に対しその外部から前記主流路(2a)を横切るように組付けられ、第1流路(11)、第2流路(12)および第3流路(13)を有する流路形成部材(10b)と、
前記第3流路(13)に配設され、この第3流路(13)を流れる空気の流量を測定する流量センサ(5)と
を備える空気流量測定装置(1)であって、
前記第1流路(11)および前記第2流路(12)は、前記主流路(2a)を流れる主流(A)の一部を取り込んでバイパス流(B、C)として流すバイパス流路をなすと共に、
前記第1流路(11)は、上流側に位置し流路断面積が大きい第1大流路(11a)と下流側に位置し流路断面積が小さい第1小流路(11b)とで構成され、前記第1小流路(11b)が前記第2流路(12)を流れる前記バイパス流(C)より流速が大きくなる前記バイパス流(B)を流すバイパス流路を形成しており、
前記第1流路(11)の前記第1小流路(11b)と前記第2流路(12)とを前記第3流路(13)にて連通させることで、前記主流路(2a)から前記第2流路(12)、前記第3流路(13)、前記第1流路(11)を経て前記主流路(2a)に至る順方向のバイパス流(B1)を形成していることを特徴とする空気流量測定装置(1)。 - 請求項1に記載の空気流量測定装置(1)において、
前記第2通路(12)は、上流側に位置し流路断面積が小さい第2小流路(12a)と下流側に位置し流路断面積が大きい第2大流路(12b)とで構成されており、
前記第3流路(13)で、前記第1流路(11)の前記第1小流路(11b)と前記第2流路(12)の前記第2小流路(12a)とを連通して、下流側から上流側に向かって流れる逆方向の空気流(D)が、前記第2流路(12)から前記第3流路(13)を経て前記第1流路(11)に流れるようにすると共に、
前記第3流路(13)には、逆流検知手段(5A)を配設していることを特徴とする空気流量測定装置(1)。 - 請求項1に記載の空気流量測定装置(1)において、
前記第1流路(11)の前記第1小流路(11b)および前記第2流路(12)には、前記第3流路(13)との連結部に、前記第1小流路(11b)および前記第2流路(12)よりも流路断面積が大きくなる中流路部分(11c、12c)を設けており、前記第3流路(13)の両端開口部(13a、13b)が、前記第1流路(11)および前記第2流路(12)に対して下流側に指向して開口していることを特徴とする空気流量測定装置(1)。 - 測定対象の空気が流れる主流路(2a)を有する空気ダクト(2)と、
この空気ダクト(2)に対しその外部から前記主流路(2a)を横切るように組付けられ、第1流路(11)および第3流路(13)を有する流路形成部材(10b)と、
前記第3流路(13)に配設され、この第3流路(13)を流れる空気の流量を測定する流量センサ(5)と
を備える空気流量測定装置(1)であって、
前記第1流路(11)は、前記主流路(2a)を流れる主流(A)の一部を取り込むと共に、上流側に位置し流路断面積が大きい第1大流路(11a)と下流側に位置し流路断面積が小さい第1小流路(11b)とで構成され、前記第1小流路(11b)が前記主流路(2a)を流れる主流(A)より流速が大きくなるバイパス流(B)を流すバイパス流路を形成しており、
前記第1流路(11)の前記第1小流路(11b)と前記主流路(2a)とを前記第3流路(13)にて連通することで、前記主流路(2a)から前記第3流路(13)、前記第1流路(11)を経て前記主流路(2a)に至る順方向のバイパス流(A1)を形成していることを特徴とする空気流量測定装置(1)。
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