JP5948640B2 - マイクロチャンネル反応器における粒子状物質の充填及び除去 - Google Patents

マイクロチャンネル反応器における粒子状物質の充填及び除去 Download PDF

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Description

本発明は、2007年11月5日付で提出された米国仮特許出願番号第60/985,628号及び2008年9月5日付で提出された同第61/094,859号の優先権の利益を主張するものである。
本発明は契約W56HZV−07−C−0276に基づく政府基金により成されたものであり、合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
マイクロチャンネルで粒子状物質(粉末とも称する)を使用する際に3つの重要な様相がある。即ち、マイクロチャンネル内への粒子状物質のチャージまたは充填、充填プロセス中の品質管理及び品質保証、マイクロチャンネルからの粒子状物質の除去またはアンロードである。
マイクロチャンネル内への粒子状物質充填に関する重要なパラメータの中には、1)各チャンネルが均一に充填されること、2)2つ以上の別個の粒子状物質が各マイクロチャンネル内に充填され得、各粒子状物質がその所望の位置に配置されること、3)充填後のマイクロチャンネルが、充填後の見掛嵩密度に達し(ユニット運転中または輸送中の追加的沈下回避のため)且つ、充填触媒床内に空隙または含有物が含まれないこと、がある。これらのパラメータは圧力損失や流体の不均衡分布を生じさせることから、多チャンネル型装置ではチャンネル毎の床高及び床密度を十分に一様化させることが重要になる。
流れ分布に変化または影響を与えるよう密度または高さを不均一化した床を製造可能であるが、その目的は一般に、チャンネル間流れの偏差が20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である十分に一様な流れ分布を生じさせることである。
仮に、反応プロセス中に十分な熱が生成または消費される場合は触媒をヒートシンク(例えば、冷却剤を担持する隣接チャンネル)に十分接近させる必要が生じることから、各チャンネルには触媒及びまたは不活性粒子状物質を正確に充填することが重要である。吸熱反応に際しては、触媒を熱源に十分接近させて反応を維持させる必要がある。触媒及びまたは不活性粒子状物質の配置が不正確であると、副産物形成量の増大または変換量低下による反応器生産性の損失を招き得る。
米国仮特許出願番号第60/985,628号 米国仮特許出願番号第61/094,859号
ASTM D4164−03(2008)、"Standard Test Method for Mechanically Tapped Packing Density of Formed Catalyst and Catalyst Carriers using the alternative method involving a vibrating table" Unit Operations of Chemical Engineering,4th Edition,McCabe,Smith & McGraw−Hill Publishing Company,c1985 pg137 Lapple and Shepherd,Ind.Chem.Eng.Chem 32,605(1940) G.Comte−Bellot,"The Handbook of Fluid Dynamics",CRC Press,1998,Section 34,R.W.Johnson,editor
粒子状物質を含む数百または数千の平行なプロセスチャンネルを有するマイクロチャンネル装置を急速、正確且つ反復して充填することである。
マイクロチャンネルから粒状触媒を除去する方法にして、2つ以上の用途に対する反応器ハードウェアの再使用を可能とする方法も記載される。ある実施例では、反応器が数十回または数百回再使用され得る。反応器は各再充填サイクルに際して同一または異なる触媒を充填して再使用され得る。触媒は、通常運転条件下では負の影響を受けず、その機能終了時において尚、自由な粒子または粉末が重力またはその他の弱い物理的刺激の影響下に流動して反応器を出る如きものであることが理想的である。触媒除去を困難化させ得る要因には、圧縮、焼結、凝集、が含まれる。
圧縮は床密度の物理変化により生じ、本来、床を充填後の見掛嵩密度に適正設定することで回避され得る。しかし当該状況は、触媒または不活性物質が物理的に分解すると悪化され得る。焼結は、隣接する触媒粒子の熱による接着により生じ、一般に高温時に発生する。反応器は焼結が生じ得る温度付近で動作させざるを得ないが、運転不調時または無制御反応状況下において問題となるに過ぎない。粒子または粉末の凝集には、個々の粒子と異物、例えば、Fischer−Tropsch合成の場合では高分子重量パラフィンワックスとの相互粘着が関与する。当該プロセスを物理的、化学的、熱的またはそれらの組み合わせにより逆転させることが、ここで説明する各実施例の幾つかにおける焦点とされる。
本発明の1様相において、マイクロチャンネル化学反応器または分離器内への粒子状物質充填方法であって、少なくとも10のマイクロチャンネル(好ましくは少なくとも100本、より好ましくは少なくとも1000のマイクロチャンネル)を含むマイクロチャンネル装置を提供すること、化学反応器または分離器内の前記少なくとも10のマイクロチャンネル(好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000のマイクロチャンネル)内に粒子状物質を追加すること、粒子状物質を含む反応器を振動させ、かくして、マイクロチャンネル合計数の一部を通して流動する流体の圧力損失(全入口位置における圧力が等しい場合)変動が、全マイクロチャンネルまたはマイクロチャンネルの別の一部を通して流動する流体における圧力損失のそれの20%またはそれ未満とする方法が提供される。平均圧力損失の5%以内であればより好ましく、同2%以内であれば尚良い。マイクロチャンネル内における触媒長さは平均の10%またはそれ未満であることが好ましく、5%またはそれ未満であればより好ましく、2%またはそれ未満であれば尚好ましい。当該方法では、“一部”とはマイクロチャンネル装置内のマイクロチャンネルアレイにおける少なくとも10の隣り合うマイクロチャンネル(または“少なくとも100”等)、また、直線アレイの場合では連続する10の隣り合うチャンネルに対して参照されるものとする。全チャンネルを充填する代替法として、ある群(または一部)内のチャンネルの90%について一様性を測定し、分布の各端部におけるチャンネルの5%を切り捨て得る。当該方法では、マイクロチャンネル装置における“少なくとも10のマイクロチャンネル”とは、化学反応器内の全てのマイクロチャンネルが必ず粒子状物質で充填されることを意味せず、少なくとも10が充填されることを意味するものとする。例えば、反応器または分離器は200のマイクロチャンネルを含み、その20が充填され得る。本発明は圧力損失をその特徴とし、当該圧力損失はある流量下に測定され、当該流量は、全チャンネルに渡る平均圧力損失が20%(例えば、入口位置の圧力がゲージ圧での10atmである場合は出口位置での圧力はゲージ圧での8atm)であるように調節される。
幾つかの好ましい実施例において、“振動”は超音波発生装置により供給され、幾つかの好ましい実施例では超音波発生用ヘッド(超音波発生用ホーンとも称する)が、マイクロチャンネル反応器または分離器の断面よりも小さいフェース(好ましくは矩形フェース)を有する。幾つかの好ましい実施例において、各チャンネルは波形状を有する。波形状は、平行なマイクロチャンネルアレイを構成する3次元構造であり、連結されるに先立ち積層体内に配置される。代表的実施例において、各チャンネルは振動段階中に振動される。装置はその内部に少なくとも10(好ましくは100マイクロチャンネル)のマイクロチャンネルを有し、各マイクロチャンネルは、平行なマイクロチャンネルからなる単一の直線アレイ内に含まれることが好ましい。
本発明の1様相において、マイクロチャンネル装置内の複数のマイクロチャンネル中に充填する粒子状物質の充填密度の増大方法であって、粒子状物質を含む複数のマイクロチャンネルを含むマイクロチャンネル装置を提供すること、複数のマイクロチャンネルの一端に超音波発生用ヘッドを位置決めし、該ヘッドを複数のマイクロチャンネルとの超音波接触状況下に配置すること、超音波発生用ヘッドから複数のマイクロチャンネルに超音波エネルギーを付与すること、を含む方法が提供される。幾つかの好ましい実施例において、本方法発明は以下の特徴、即ち、超音波発生用ヘッドと複数のマイクロチャンネルとの間に超音波伝導物質を配置すること、超音波エネルギーが20〜40kHzの周波数を有すること、の1つまたは任意の組み合わせにより更に特徴付けられ得、前記超音波発生用ヘッドは、200kPa(30psi)〜280kPa(40psi)の接触圧で装置に押し付けられ、超音波エネルギーが、30秒またはそれ未満、より好ましくは1〜10秒、ある実施例では1〜3秒間において超音波エネルギーが発射され、複数のマイクロチャンネル内の各マイクロチャンネルが少なくとも10cmの長さを有し且つ少なくとも2mmまたはそれ未満の一次元寸法を有し、マイクロチャンネル装置が少なくとも1000のマイクロチャンネルを有し且つ超音波発生用ヘッドが前記少なくとも1000のマイクロチャンネルの500を超えないマイクロチャンネルに渡り伸延され、マイクロチャンネル装置が、マイクロチャンネルの長さ方向に沿って伸延するインサートを含み、該インサートが、マイクロチャンネルの長さ方向に沿って超音波エネルギーを伝達し、マイクロチャンネル装置が、波形インサート(波形の構造例は図9に示される)の壁により少なくとも部分的に画定されるチャンネルを含み、マイクロチャンネル装置が、複数のマイクロチャンネルの長さ方向に沿って伸延する複数のインサートを含み、該インサートが複数のマイクロチャンネルの長さ方向に沿って超音波エネルギーを伝達し、更に以下の段階、即ち、超音波エネルギーを付与する段階に続く段階としての、複数のマイクロチャンネルの各端部を覆うマニホルドを取り付けて複数のマイクロチャンネルの内外への流体流路を創出させること、を含む。好ましいある実施例では、マイクロチャンネルが第1の壁及び第2の壁により画定され、インサートの質量が前記第1の壁または第2の壁の何れかのそれよりも小さく、該質量が代表的には前記第1の壁または第2の壁の何れかのそれの50%またはそれ未満の厚さを有する。インサートは、波形、またはスパイラルの如き形状を有し得る。“長さ方向に沿って伸延する”とは、インサートがマイクロチャンネルの長さと同じ方向の長さを有することを意味する。マイクロチャンネル長さは代表的にはインサート長さよりも長い。好ましい実施例ではインサート長さはマイクロチャンネルのそれの少なくとも50%であり、ある実施例ではマイクロチャンネル長さの少なくとも90%である。
本発明の他の様相において、マイクロチャンネル装置からの粒子状物質の除去方法が提供され、該方法には、粒子状物質を含む複数のマイクロチャンネルを含むマイクロチャンネル装置を提供すること、複数のマイクロチャンネルの一端に超音波発生用ヘッドを位置決めし且つ該超音波発生用ヘッドを複数のマイクロチャンネルとの超音波接触状況下に配置すること、超音波発生用ヘッドから複数のマイクロチャンネルに超音波エネルギーを印加すること、を含み、前記超音波エネルギーの印加が、複数のマイクロチャンネルがドライ(“ドライ”とは、チャンネルが液体の容積以上の大きなガス容積を含むことを意味する)である状態下に実施されること、が含まれる。
本発明の他の様相において、化学反応器の充填方法が提供され、該方法には、少なくとも100のマイクロチャンネルを含む化学反応器を提供すること、化学反応器内の少なくとも100のマイクロチャンネル内に粒子状物質を追加すること、各チャンネルにガスを通して粒子状物質を流動化させ、かくして粒子状物質をマイクロチャンネル外に移動させること、次いで、ガス流量を減少させることにより、粒子状物質をマイクロチャンネルに再充填させること、が含まれる。
本発明の他の様相において、化学反応器の充填方法が提供され、該方法には、少なくとも100のマイクロチャンネルを含む化学反応器を提供すること、化学反応器内のマイクロチャンネルの直線アレイにおける少なくとも10のマイクロチャンネル内に粒子状物質を追加すること、マイクロチャンネルの直線アレイにおける少なくとも10のマイクロチャンネルの各々が間隙(即ち、チャンネル開口)を有し、リザーバを粒子状物質で充填し、該リザーバがスライドドアを有し、該スライドドアが移動することにより実質的(マイクロチャンネルの単一アレイのみに渡りフィットするように“実質的”)に矩形の開口が形成され、前記開口が、マイクロチャンネルの前記間隙よりも小さく、前記スライドドアを移動させてリザーバの前記開口をマイクロチャンネルの直線アレイにおける少なくとも10のマイクロチャンネルのチャンネル開口と合致させること、リザーバからマイクロチャンネルの直線アレイにおける少なくとも10のマイクロチャンネル粒子状物質を移行させること、が含まれる。ある実施例では粒子状物質はリザーバからマイクロチャンネルの直線アレイにおける少なくとも100のマイクロチャンネルに移行される。
本発明の他の様相において、マイクロチャンネル反応器内における、粒子状物質を含む少なくとも10のマイクロチャンネルアレイから粒子状物質を除去する方法が提供され、該方法には、少なくとも10のホーン枝アレイを含む超音波発生装置を提供すること、各ホーン枝を少なくとも10のマイクロチャンネル内に位置決めすること、少なくとも10のマイクロチャンネル内の粒子状物質に超音波を当てること、が含まれる。
本発明の他の様相において、粒子状物質を充填した少なくとも100のマイクロチャンネルを含む充填床マイクロチャンネル化学反応器または分離器にして、空隙率(粒子状物質を充填した少なくとも100のマイクロチャンネルに渡る平均値)が0.50またはそれ未満であり、チャンネルの任意の一部における充填密度が10%未満、好ましくは5%未満、尚好ましくは2%未満である充填床マイクロチャンネル化学反応器または分離器が提供される。
本発明には、ここで説明する方法または装置の任意のものも含まれる。例えば、本発明には、ここで説明した方法の任意のものが含まれる。
“含む”とは追加のまたは複数の構成部品の存在を除外するものではない。例えば、装置が薄膜、シート等を含む場合、本発明の装置は多数の薄膜、シート等を含み得るものとする。他の実施例では、“含む”は“本来〜から成る”または“〜から構成される”で代替され得る。
“間隙”とは、マイクロチャンネルの最小寸法を意味するものとする。代表的には、積層化装置において、間隙は積層方向(即ち高さ)におけるものとする。“間隙”を使用する場合、“間隙”は、好ましい実施例におけるマイクロチャンネルの高さに代えて説明され得るものとする。
“マイクロチャンネル”とは、10mmまたはそれ未満、好ましくは2mmまたはそれ未満であり、且つ1μm以上(好ましくは10μm以上)であって、ある実施例では50〜500μmである少なくとも1つの内側寸法(壁から壁、触媒、を算入しない)を有し、好ましくは少なくとも1cm、好ましくは少なくとも20cmの長さに渡り当該寸法範囲内が維持されるチャンネルを言うものとする。ある実施例では前記寸法範囲は5〜100cmであり、他の実施例では10〜60cmである。マイクロチャンネルは、少なくとも1つの出口とは別個に少なくとも1つの入口を持つものとしても定義され得る。マイクロチャンネルは単にゼオライトまたはメソポーラスな材料を貫くチャンネルではない。マイクロチャンネルの長さはマイクロチャンネルを貫く流れ方向に相当する。マイクロチャンネルの高さ及び幅はチャンネルを貫く流れ方向に実質的に直交する。マイクロチャンネルが2つの主表面(例えば、積層し且つ接着したシートにより形成した各表面)を有する場合、前記高さは主表面間距離であり、前記幅は当該高さに直交する。本発明の好ましい実施例では、マイクロチャンネルは直線状、または実質的に直線状である。つまり、マイクロチャンネルを貫く直線状の、障害の無い(“障害の無い”とは、粒子状物質を充填する以前を意味する)線を引くことができる。装置は代表的には、共通のヘッダ及びフッタを共有する多数のマイクロチャンネルを含む。単一のヘッダ及びフッタを有する装置もあるが、マイクロチャンネル装置は多数のヘッダ及びフッタを有し得る。
“超音波接触”とは、超音波発生用ヘッドが装置と直接または固形媒体(好ましくは0.5cmまたはそれ未満、好ましくは2mmまたはそれ未満の厚さを有する)を介して接触することを意味するものとする。
マイクロチャンネルまたはマニホルドの容積は開放空間に基づく。チャンネル壁は容積計算に含まない。
粒子状物質とは、マイクロチャンネル内に充填する触媒粒子等の粒子に対して参照される。粒子は(最大で)2mmまたはそれ未満、ある実施例では1mmまたはそれ未満の寸法を有することが好ましい。粒子サイズは篩または顕微鏡法またはその他適宜の技法により測定され得る。比較的大きい粒子に対しては篩を使用する。粒子状物質は、触媒、吸着材、または不活性物質であり得る。
本発明には、本明細書で説明する装置内における単位操作の実施方法も含まれる。“単位操作”とは、化学反応、気化、圧縮、化学的分離、蒸留、凝縮、混合、加熱、または冷却を意味するものとする。“単位操作”は、単なる流体移送を意味しないが、単位操作に伴う移送はしばしば生じ得る。ある好ましい実施例では単位操作は単なる混合ではない。
マイクロチャンネル反応器は、少なくとも1つの反応マイクロチャンネルにして、1.0cmまたはそれ未満、好ましくは2mmまたはそれ未満(ある実施例では約1mmまたはそれ未満)であり且つ100nm以上(好ましくは1μm以上)であって、ある実施例では50〜500μmである少なくとも1つの寸法(壁から壁で、触媒を算入しない)を有する反応マイクロチャンネルを有することをその特徴とする。触媒を含むチャンネルは反応マイクロチャンネルである。より一般的には、反応マイクロチャンネルは内部で反応が生じるチャンネルである。マイクロチャンネル装置は、触媒を含む反応マイクロチャンネルを必要としない点を除き、反応マイクロチャンネルと同様の特徴を有する。反応器の高さ及び幅は共に、反応器を貫く反応体の流れ方向に実質的に直交する。マイクロチャンネルは、少なくとも1つの出口とは別個の少なくとも1つの入口を有することによっても定義され、マイクロチャンネルはゼオライトまたはメソポーラスな材料を単に貫くチャンネルではない。反応マイクロチャンネルの高さ及び又は幅は、好ましくは約2mmまたはそれ未満、より好ましくは1mmまたはそれ未満である。反応マイクロチャンネルの長さは代表的にはもっと長い。反応マイクロチャンネルの長さは1cm以上、ある実施例では50cm以上、他の実施例では20cm以上、更に他の実施例では1〜100cmの範囲であることが好ましい。マイクロチャンネルの側部は反応マイクロチャンネルの壁により画定される。各壁は、例えば、セラミック等の硬質材料、スチール等の鉄ベース合金、または、Ni−、CO−または、モネル等のFeベースのスーパーアロイ製であることが好ましい。反応マイクロチャンネルの壁材は、反応器において意図される反応に依存して選択し得る。ある実施例では反応マイクロチャンネル壁は、耐久性を有し且つ伝熱性の良好なステンレススチールまたはインコネル(商標名)である。反応マイクロチャンネル壁は代表的には、マイクロチャンネル装置に対する主たる構造的支持を提供する材料から形成する。マイクロチャンネル装置は既知の方法で作製し得、ある好ましい実施例では交互配置した積層プレート(“シム”としても知られる)により作製するのが好ましく、反応マイクロチャンネル用に設計したシムを熱交換器用に設計したシムと交互配置するのが好ましい。あるマイクロチャンネル装置には、装置内に積層した少なくとも10層(または少なくとも100層)が含まれ、各層が少なくとも10チャンネル(または少なくとも100チャンネル)を含み、装置が、前記各層におけるよりもチャンネル数の少ない他の層を含み得る。
熱交換流体が、プロセスチャンネル(好ましくは反応マイクロチャンネル)に隣り合う熱移行マイクロチャンネルを通して流動され得、ガスまたは液体が、蒸気、液体金属、または任意のその他の既知の熱交換流体を含み得、システムが、熱交換器における相変化を有するように最適化され得る。ある好ましい実施例では、多数の熱交換層に多数の反応マイクロチャンネルと交互配置される。例えば、少なくとも10の熱交換器が少なくとも10の反応マイクロチャンネルと交互配置され、好ましくは、熱交換用のマイクロチャンネルアレイの10層が、少なくとも10層の反応マイクロチャンネルと交互配置される。1層内に単なる直線状の単数または複数のチャンネルを含み得る前記各層はずっと複雑な形状寸法を有し得る。
図1aは、チャンネル充填のための流動化の例示図である。 図1bは、チャンネル充填のための流動化の例示図である。 図1cは、チャンネル充填のための流動化の例示図である。 図1dは、チャンネル充填のための流動化の例示図である。 図1eは、チャンネル充填のための流動化の例示図である。 図2は、試験粒子状物質の粒子寸法分布図である。 図3は、ホッパの例示図である。 図4aは、マイクロチャンネルのウェットクリーニング用の種々の形態を示す例示図である。 図4bは、マイクロチャンネルのウェットクリーニング用の種々の形態を示す例示図である。 図4cは、マイクロチャンネルのウェットクリーニング用の種々の形態を示す例示図である。 図4dは、マイクロチャンネルのウェットクリーニング用の種々の形態を示す例示図である。 図5は、反応器試験時の水素化処理中のメタン発生状況を示す、X軸を一日の時間(時、分)として表した例示図である。 図6は、較正ピンを使用して充填高さを決定する略例示図である。 図7は、“ドリルプレス”スタンドに取り付けた超音波ユニットに関連するWashington装置の、チャンネルを含むセグメントの方向を示す例示図であり、空気圧制御により垂直平面でのホーンアセンブリのホーニング及び位置調節が許容される状況が示される。 図8は、マイクロチャンネルFT反応器における、図で右側に示す垂直点線に関して内部対称性を有する反復ユニットの寸法形状を示す尺度非一致での例示図である。 図9は、チャンネルに沿って横向き(edge−on)の波形状を示す写真である。
好ましいある実施例において、粒子寸法は50ミクロン〜500ミクロンの範囲である。各粒子は代表的には、1〜100万のマイクロチャンネルを有するマイクロチャンネル反応器内に充填される。装置のチャンネル数の代表的範囲は10〜10000である。マイクロチャンネルの好ましい寸法範囲は2mm未満、より好ましくは1.5mm未満、最も好ましくは0.5mm〜1.5mmである。マイクロチャンネルの、反応器断面を含む第2寸法は第1寸法と等しいかまたはそれ以上である。第2寸法は約1mm〜5cmの範囲であり得る。矩形のマイクロチャンネルの第3寸法(長さ)は約1cm〜約1mであることが好ましい。マイクロチャンネルは矩形以外の形状を有し得るものとする。マイクロチャンネル形状は円筒状、楕円状またはその他任意の三次元形状であり得る。
例1.1:チャンネルへの投与によるマイクロチャンネル内への粒子状物質充填
マイクロ加工技術で使用するマイクロチャンネル装置内に充填する触媒は、作業を確実に成功させるべく、厳しい物理及び化学的基準を満たすべきである。高水準の性能を達成するには、触媒の粒子状物質の全体的品質のみならず、高さ及び床の一様性の管理を比較的狭い許容値ウィンドウ内に維持しつつ、装置のマイクロチャンネル内に材料を実装する能力に依存する。
チャンネル容積の測定及び必要量触媒のチャンネルへの充填に際しては、反応器組み立て用の製造プロセスによる個々のマイクロチャンネルの寸法形状上のばらつきが課題となる。チャンネル寸法形状の変動により、個別の各チャンネルに充填する触媒質量の、チャンネル間のばらつきを十分一様に維持する上で負の影響を与え得る。
また、マイクロチャンネル内に充填する際の触媒粉末の基本的な全体流れ特性は、部分的には、触媒粉末の骨格密度及び粒子形状により支配される。粒子流れはいろいろの物理特性及びまたは処理ヒストリーに影響され得、それら特性及びヒストリーには以下、即ち、
・含水量:特には吸湿性の触媒粉末はクランプまたは塊状化して流れを阻止する傾向が強い。これにより、触媒が狭いマイクロチャンネルの横断方向に“架橋”し、結局、触媒床全体に間隙を生じさせ得る。
・静電力:乾燥環境条件及び材料取り扱い設備は、特にプラスチック製である場合は帯電し易くなり得る。静電力は、粉末を、当該粉末が接触する表面に引き寄せまたははじくことで流れを妨害する。
・摩滅:粉末は、過剰な取り扱いにより、取り扱い設備、チャンネル壁、の表面との接触や各粒子間摩擦を介して摩滅して微粉化し、結局、空隙率低下及び、触媒床を横断してのΔP増大を招き得る。
・空隙率:密填触媒床を横断してのΔPに影響を与え、また、間隙接触及び触媒活性が生じ得る入手可能表面積に関する情報を提供する。
・見掛嵩密度(PABD):単位容積当たりの触媒質量決定に必要。
・粒径分布:やはり材料流れ及び粉末密度に影響を与える。
・化学組成:成分及び、クランピング低減または滑り(slippage)改善用の添加物の固有の特性もまた、粉末流れ特性に影響する。
・休止時間。
が含まれる。
試験触媒粉末の公称粒径は平均径300μmであり、流れ性能への影響は小さい。
以下の実験を実施し、多重チャンネルを成すマイクロチャンネル充填用の本発明を実証した。マイクロチャンネルハードウェアが平行な40のマイクロチャンネルから構成され、各マイクロチャンネルが約1〜3mmの断面寸法及び約18.7cmの深さ寸法を有していた。反応器が、同数のチャンネルから成る2つのチャンネルアレイ内に配置した270以上の個別のマイクロチャンネルを含んでいた。深さ寸法が約18.7cmであることから、触媒を16.8cmまで充填し、各マイクロチャンネルにおける触媒床の頂部の深さ位置をマイクロチャンネル頂部から約1.9cmの位置とするのが望ましい。これは、約1.9cmの深さ位置としたプロセスマイクロチャンネルの頂部が、当該プロセスマイクロチャンネルと平行な各平面を交差流れ形態下に通過する冷却剤マイクロチャンネルと隣接しないことによる。各プロセスマイクロチャンネルの冷却剤非隣接部分にはSiCを充填した。触媒床の端部位置での熱負荷は小さく、かくして、プロセスマイクロチャンネルの、冷却剤非隣接部分にはFT触媒を充填した。
反応器の合計容積を、既知のエタノール質量を計測し、当該エタノールをマイクロチャンネルに充填し、反応器に充填されたエタノールを除く部分を再計測することにより決定した。全マイクロチャンネル充填に要したエタノール質量は、前記部分の測定から119.53グラムであることが分かった。比重が0.789であることから、合計被触媒充填容積は151.5mlであることが分かった。マイクロチャンネルの出口をダクトテープで塞ぐことでエタノールを反応器内に保持した。
反応器容積を決定後、反応器内に充填する触媒のターゲット質量を決定する必要があった。これは、先ず、コバルト−シリカベースの触媒のPABDを決定することにより実施した。前記コバルト−シリカベースの触媒の粒径分布はMalvern Mastersizer2000を用いて決定され、図2に示される。PABDは、ASTM D4164−03(2008)、“Standard Test Method for Mechanically Tapped Packing Density of Formed Catalyst and Catalyst Carriers using the alternative method involving a vibrating table”により決定した。PABDは1.08グラム/mlであり、かくして、目標充填触媒量は147グラムであった。
触媒充填に先立ち、先ず、100ppiSS304メタルフォーム(厚さ約0.635cm)片を120×120SS304メッシュで覆うことで反応器脚部を閉鎖した。メタルフォーム及びメッシュをフッタに嵌着させ、次いでこれをボルト及びバネ負荷した“C”字状ガスケットにより反応器に固着し、かくして反応器条件下におけるシールを提供させた。メタルフォーム及びメッシュは、反応器内での触媒維持をその目的とするものである。前記シール提供後、147グラムの目標充填触媒量をビーカーからマイクロチャンネル内に注ぎ入れた。147グラムの触媒は丁度18.7cmの深さ全体においてマイクロチャンネルを充填した。触媒床を振動テーブル上で振動させ、反応器胴部をラバーヘッド付きマレットで叩いて高密度化した。触媒が、実施方法において達成し得る程度に突き固められたと判定された後、触媒床は平均で0.25cm高過ぎることが分かったため、ラバー球付きピペットを使用して各マイクロチャンネル内にエアを吹き込み、各マイクロチャンネルから約5.55グラムを除去した。各マイクロチャンネル内にピンを挿通し、当該挿通可能深さを決定することによりマイクロチャンネル深さを測定した。当該測定後の合計触媒充填量は約142グラムであり、PABDは1.06グラム/mlであった。次いで、触媒床を、触媒と粒径分布の類似するSiCで充填し、反応器頂部をフッタで使用したそれと同様にシールした。
・反応器容積の決定:正確な容積は設計上の形状寸法から、または反応器チャンネルを充填する液体量の物理的計測によって算出され得る(好ましくは、液体充填チャンネル内での気泡同伴及び間隙を大幅に低減させるエタノール等の流体を使用することによって)。
粒子状物質の特性には、見掛嵩密度(PABD)及び空隙率が含まれる。充填床の空隙率は以下の如く決定し得る。
図A:FT触媒Dp50の公称粒径分布は約260ミクロンである。
以下のプロセスは、公称チャンネル寸法が1016ミクロン×3175ミクロン(1.02mm×3.2mm)及び、1016ミクロン×5715ミクロン(1.02mm×5.7mm)である試験装置の波状マイクロチャンネル中に触媒粉末を一体形成(integrated)する上で有効であることが証明された。
1.〜30%までの重量を追加する。
2.触媒床を振動テーブル上で3600Hzで30〜60秒間振動させることで、または20kHz(振幅1mm)のドライ超音波処理を5〜10秒実施して高密度化する。
3.以上を2回反復する。
4.反応器を触媒で充填する(最後の10%)。
5.触媒床を振動テーブル上で3600Hzで30〜60秒間振動させることで、または20kHz(振幅1mm)のドライ超音波処理を5〜10秒実施して高密度化する。
100またはそれ以上の平行マイクロチャンネル用の触媒充填プロセス機器:
粒状材料の示す流れ形式は、バルク取り扱い機器により当該粒状材料に誘発される流れ形式と合致し得る。
・ろうと状流れ:進行粒子、自由流れ材料、非分解固形物に対して、また、粒子分離が問題とはならない用途に対して特に好適である。この種の粉末流れレジームでは、ある物質は、残余物質が停滞する間に移動する。
・質量流れ:質量流れは、凝集性固体、微粉末、分解性材料、凝集傾向を持つ固体、に対して有効である。当該レジームでは、そのある部分の放出時には常に、全ての材料が動きを生じる。
各例で説明した触媒は、(Unit Operations of Chemical Engineering,4th Edition, McCabe, Smith & McGraw−Hill Publishing Company,c1985 pg137)に定義される如き0.7〜1の範囲と測定される粒子真球度、非クランプ特性、及び高い摩耗抵抗、において利益を有する。しかしながら、その粒径分布は、比較的狭いものの、取り扱い及び充填中に寸法分離を生じ得る。従って、材料の当該固有の物理的性質は、格子状に接近配置したマイクロチャンネル内への位相及び分与に相性が良い。
フィードホッパ及び分与ファンネルの振動運動が、有効且つ調整下の材料流れを許容し、他方、無用の摩擦効果を最小化すると考えられる。
本明細書を通じ、方法及び装置はチャンネル充填の一様性または流れの一様性によっても特徴付けされ得る。前記一様性は、マイクロチャンネル反応器内のマイクロチャンネルアレイにおける少なくとも10の隣り合うマイクロチャンネルに渡り測定され、直線アレイ(即ち、ある平面内に一連の平行チャンネルが存在する)の場合は連続する10のチャンネル、ある実施例では少なくとも100の隣り合う(または連続する)チャンネル、他の実施例では触媒を含有する全ての平行チャンネルに渡り測定される。何れの場合でも、1つの群内の全チャンネル、または1つの郡内のチャンネルの90%に渡り測定され、各分布端における5%のチャンネルが切り捨てられる。何れかの測定を満足する装置は、平均圧力損失が20%であることを特徴とする本発明の要件に合致する。本明細書を通じ、“チャンネル”とはマイクロチャンネルに対して参照され、各チャンネルは、1cmまたはそれ未満、好ましくは2mmまたはそれ未満、である少なくとも高さまたは幅と、任意の長さとを有するものとする。
粉末搬送用ホッパは既知のものである。例えば、Schenck Solids Flow(商標名)Model 5000 Streamout Feeder は、制御された、カーテン状の一様な流れをフィードトレー出口を横断して送達し、20.3cm〜167.6cmの流れ幅を入手可能である。
例1.2:流動化を介してのマイクロチャンネルに粒子充填
マイクロチャンネルまたはマルチチャンネル反応器に粒子状物質を充填する方法の1つに流動化がある。顆粒状粒子が反応器上方に配置され得、または、図1aの如く、チャンネル内に部分的または完全に充填され得る。ヘッダは、粒子がチャンネルを離れ、チャンネルを覆い且つ出口配管から排出されない流動化懸濁物を達成するに必要十分な容積を持つ設計とされる。図1bには、本プロセスを用いた場合に想定し得る床充填例を示す。図1cに示す如く、ガスを上方に流動させ、その速度をホッパ内の、またはチャンネル上方の容積内の全粒状物質を完全に流動化させるための粒子終端速度に合致させる。図1dに示す如く、ガス速度を減少させて粒子状物質を降下またはチャンネル内に落下させる。二次的ステップを使用してチャンネル間で粒子を再分布させ、ガスを初期流動化ポイントまで流動させ、粒子の幾分かを反応器上部から排出させ且つ再分布させることで一様性を向上させ得る。当該二次的ステップは、図1eに示す如く、十分に一様な触媒充填を達成するための再分布を助成する。十分な一様性は、充填床を通しての不均衡分布割合が20%を超えないものとして定義され、10%未満であることが好ましく、5%未満であればより好ましく、2%未満であれば尚好ましい。不均衡分布は、チャンネル当たりの最大流量からチャンネル当たりの最小流量を減算した値をチャンネル当たりの最大流量で除算した値として定義され得る。あるいは、充填の不均衡分布は、チャンネル内の触媒の最大長さからチャンネル内の触媒の最小長さを減算した値をチャンネル内の触媒の最大長さで除算した値としても定義され得る。
全チャンネルを通してのガスの上方流れはチャンネル間において十分に一様化されるべきであり、当該一様化は、各チャンネルへの入口位置又はその近傍位置での追加的圧力損失を創出させることで達成し得る。入口部分を通しての圧力損失は、Ergun式で算出した場合の、充填床の圧力損失の130%以上であることが好ましい。流れの拘束は、オリフィス、流れ分布特徴、多孔質媒体または、十分な圧力損失を追加するための任意のその他手段の形態を取り得る。
初期流動化は、見掛け速度が流動化速度(Vf)と等しく、且つ床内の粒子が上昇し始める場合に生じ得る。
Figure 0005948640
ここで、
p[m]=床内の粒子径
ε[−]=床内の流体の空隙率
g[m/s2]=重力加速度
μ[kg/m/s]=流体粘度
Ρp[kg/m3]=粒子密度
Ρf[kg/m3]=流体密度
であり、
終端速度Vt[m/s]は以下の如く算出され得る。
Figure 0005948640
Ap[m2/s]=粒子の断面積
C[−]=粒子の抗力係数
mp[kg]=粒子質量
終端速度はチャンネルにおける速度であり、マニホルドにおける速度ではない。抗力係数は既知であり、Lapple and Shepherd,Ind. Chem.Eng.Chem 32,605(1940)等の文献に見い出し得る。
例1.3:マイクロチャンネル内への粒状物質の層状充填
触媒粉末の特定の一部を平行なマイクロチャンネル内に素早く且つ効率的に付着させ、反復アレイ状に配置させ、マイクロチャンネルの2次元平行アレイを創出するための機構を設計した。充填装置が一連の試行を通して評価された。次いで、反応器運転及び性能試験のための準備において、マイクロチャンネル反応器の波状チャンネル内に装置を使用して触媒粉末を成功裡に充填した。
全チャンネル容積の測定及び各チャンネルへの必要量触媒の充填は一見簡単そうであるが、チャンネル寸法形状の変動及びその他の処理上の変動により、チャンネル間の充填密度にばらつきが生じる恐れがある。以下の方法発明は、個別のチャンネル毎の充填を回避しつつ、平行な多数のチャンネルに粒子の一部を時間効率的に充填することに関するものである。
装置設計:
装置は矩形の胴部を含み、当該胴部は、理想的にはアルミニュームまたは任意のその他稠密材料から構成され、楔状長孔32(図3)が中央部に位置付けられる。楔状長孔は、1+nアレイのマイクロチャンネル(nは少なくとも1、好ましくは5、ある実施例では5〜500のマイクロチャンネル)の位置、長さ、幅、と合致するよう設計されるが、楔状長孔のカバー範囲が、当該楔状長孔に充填させるべく設計したチャンネル開口より大きい限り、その幅に限定されない。楔状長孔はその他形状を有し得る。装置の底部には“摺動床”が組み込まれる。当該摺動床は、長孔付きインサートリザーバの底部と接面する。本方法発明の他の形態では、摺動ドア33が、マイクロチャンネルと当該摺動ドアとの間の開放空間上に配置され得る。
また、マイクロチャンネルアレイの摺動ドアとマイクロチャンネルアレイとの間には、仮に1つのマイクロチャンネルアレイのみを使用する場合、当該マイクロチャンネルアレイの間隙よりも寸法形状が小さく且つマイクロチャンネルアレイの幅方向と直交するチャンネル間隙34を有する第2長孔をも有し得る。当該第2長孔の間隙はマイクロチャンネルアレイよりも狭いことから、トラップドアから落下する粒子に高い流れ抵抗を生じさせる。間隙が狭いと、トラップドアからマイクロチャンネルアレイに移動する際に粒子は当該狭い間隙を横断してより均等に分布されるため、マイクロチャンネルアレイに向かう粒子流れの、小断面積のマイクロチャンネルを超えての大断面積のマイクロチャンネルアレイへのチャネリングが起きにくくなる。前記第2長孔の間隙はマイクロチャンネルの間隙の70%であることが好ましく、50%であることがより好ましく、30%であればより好ましく、10%であれば尚好ましい。当該狭い間隙を有する第2長孔の長さはマイクロチャンネルアレイの25%であり、50%であればより好ましく、75%であれば更に好ましく、100%またはそれ以上であれば尚好ましい。
楔状長孔に随意的なインサートを組み込み、校正済みリザーバとして作用させ得る。当該インサートは実際は、一連の、個別の、長孔付きリザーバであり、各マイクロチャンネルアレイに1つを設け、完全充填状態において既知の材料質量または容積を保持する寸法形状を有する。
摺動床は、トラップドアと同様に、前記長孔付きリザーバ内の材料を、当該材料をマイクロチャンネルアレイ内に堆積させる準備状態となるまで保持するシールとして作用する。摺動床を素早く開放させると触媒粉末が重力により別のマイクロチャンネル内に滝状に流入する。触媒粉末の流れの質が高いと、全てのマイクロチャンネルに入る流れ模様を、一様な、調節状態に維持する上で有用である。充填プロセスは、触媒の合計算出負荷の増分量において達成され得る。または、組み込んだ長孔付きリザーバの寸法に依存して、単一ステップで実施され得る。機械的振動に対するタッピングの使用は、被負荷装置の寸法形状及び質量の関数である。粒子状物質は、全質量に対するその部分量を50%またはそれ未満(即ち、50%またはそれ未満の粒子状物質を一度に追加する場合)、より良好には30〜33%、尚良好には20〜25%とすることで、可能な限りにおいてチャンネルにしばしば最良に充填される。
粒子状物質の正確な質量の一部を手で、または、粉末取り扱い工業用に開発した方法でタッピングすることができる。チャンネル内での粉末分布は、トラップドアを開ける前の短期間、振動運動を与える(ホッパに対して)ことで一層均一化され得る。
触媒粉末が高い自由流れ特性を有さない限り、触媒を部分的に一体化させるのが最良である。材料追加後、床の充填品質改善及び空隙排除のために、材料をタッピングまたは機械的に振動させて高密度化させ得る。粒子状物質の床の所望の堅さ及び充填密度に基づき、3600Hzの周波数において30秒間、より良好には60秒間、尚良好には90秒間実行し得る。全てのチャンネルの重量部分が充填されるのを待って振動運動を印加し、最初に充填したマイクロチャンネルアレイがより強く振動することによる床の不均一圧密を回避するのが良策であり得る。
以下の方法は粉末触媒を、銅製の波状ベアリング136チャンネルから構成され且つ2枚のガラスプレート間に挟持したもっと小型のマイクロチャンネル反応器内に効率的に一体化させるための実証例である。透明構造により、各チャンネル内への粉末流れ、高密度化に際しての充填品質及び床充填特性を目視監視可能である。本方法は触媒を試験反応器内のマイクロチャンネル(図1、3、2参照)の隣り合う2層(先に説明したそれと類似の)内に触媒を成功裏に充填するためにも使用できる。
6.〜30重量%を追加充填。
7.少なくとも60回のタッピングによる床の高密度化。
8.以上を2回繰り返す。
9.反応器に触媒を最終充填する(最後の10%)
10.少なくとも60回のタッピングによる床高密度化。
11.必要量の触媒を除去し、保護床バックフィル用空間を設ける。
12.少なくとも30回のタッピングによる床再高密度化。
13.ピンゲージまたは深さ測定具を介して床深さを測定。
14.高さ一様性の条件である±3mmに合致しない任意のチャンネルを調整。
15.保護床(例えば、SiC)をチャンネル上部に追加。
16.少なくとも60回のタッピングによるSiC床高密度化。
例1.4:大量注入を介してのマイクロチャンネル内への触媒充填
反応器がプロセス側チャンネルを通る直線流れを含む場合、触媒または不活性粒子は全チャンネルを同時に流動され得る。粒子流れ確立後、金属フォームまたはセラミックフォームまたはワイヤメッシュまたはその他好適材料製の、粒子保持材を出口を横断して摺動させることで、チャンネル内の触媒または不活性粒子を捕捉し得る。余剰の粒子状材料を、掬い法、真空法、またはその他好適な方法により除去し得る。
例1.5:マイクロチャンネル内に不活性材料を充填することによる無反応ゾーンの提供
特定のプロセスマイクロチャンネル全体に活性触媒(または、吸着材等のその他活性材料)を充填することが望ましい場合と、望ましくない場合とがある。チャンネルの特定チャンネルまたはゾーンに触媒を配置しない理由には、能動伝熱(冷却剤への、隣り合う平面内で生じる第2反応への、または、隣り合う平面内で生じる反応からの)が生じないこと、または、プロセスマイクロチャンネルを異なる触媒を有する各ゾーンに分割する要望があることが含まれる。ある実施例では冷却剤チャンネルは、製造プロセス中に且つ反応器保護のために閉鎖され得、反応器は、これらの位置に相当するプロセスチャンネル内の不活性材料と共に動作され得る。他の例では、冷却剤チャンネルは入口及びまたは出口付近には設けられず、不活性材料が、触媒作用による熱偏倚またはホットスポット形成を防止するべく、プロセスマイクロチャンネルの相当位置に配置され得る。
使用する不活性材料は触媒担体として使用するそれと同じ材料であり得、例えば、シリカ、アルミナ、チタン、セリア、ゼオライトその他好適な触媒担体であり得る。他の実施例では、不活性材料は、例えばダイヤモンドまたはSiCである触媒担体とは異なる。使用する不活性材料の粒径分布は、触媒または層のそれと同一であり得、使用する触媒よりも粒径の小さいものから、使用する触媒の粒径より大きいものまでの範囲、またはその逆において寸法等級化され得る。
マイクロチャンネルからの粒子状物質の除去
例2.1:
FT反応器においてハイドロブラスチング処理を使用した。ハイドロブラスチング処理は、マイクロチャンネルからの触媒除去手段として、反応器の1100時間の運転時間に渡り運転された。内側リザーバ加熱容量及び、ゲージ厚での約20690000Pa(3000psig)の送り圧を有する工業用粉末洗浄機を使用した。反応器のヘッダ及びフッタは、水を反応器を通して完全に流動させるために取り外した。
反応器を208L(55ガロン)ドラム缶上に持ち上げ、当該ドラム缶内に垂直方向において半分沈め、水及び触媒を収集した。水を伝導洗浄器内で93℃に加熱し、ゲージ圧での2758kPag(400psig)の圧力下に反応器に搬送した。送り圧監視用の圧力ゲージを電動洗浄器のノズルに取り付けた。ハイドロブラスチング処理を、反応器からの触媒流出が止まるまで継続した。当該時間において、ステンレススチール製ワイヤ(種々の熱電対で使用する)をマイクロチャンネルに挿通して任意の残留触媒を遊離させた。反応器へのハイドロブラスチング処理を再開し、水を208L(55ガロン)ドラム缶に収集した。反応器からの触媒流れが減少した後、反応器と180°回転して垂直とした。反応器を新たな一方向からハイドロブラスチング処理した。反応器からの触媒流出が停止した後、ステンレススチール製ワイヤをマイクロチャンネルに挿通して触媒除去を促進させた。遊離した触媒をハイドロブラスチング処理により除去した。反応器からの触媒流れが無くなった後、反応器をラバーマレットで攪拌し、再度ハイドロブラチング処理した。
ハイドロブラスチング処理を介して回収した触媒合計量は20.4gであり、その他の除去法(主に重力投棄)試行後における反応器内の残量は250gであった。
ノズルは手動操作の必要はないが、移動式キャリッジまたはプログラム可能な軸方向位置決め装置上に配置され得る。また、ハイドロブラスチング溶媒の成分は水のみである必要はなく、溶媒、洗剤、粒子状物質、またはその他の、触媒破壊を促進する添加物であり得る。ある実施例ではブラスチング溶媒は水を含有しない。
例2.2:触媒除去用の振動テーブルの使用
ある実施例では粒子状触媒は操作後に自由流れ状況を維持する。他の実施例では、ある形態の熱化学処理により粒子状触媒を自由流れ状況に復帰させる必要がある。プロセスヘッダ、フッタの何れかまたは両方を取り外して、自由流れ状況の触媒粒子を除去可能とした後、反応器ブロックを、振動プラットフォーム上に取り付けた触媒受け用器の上部に配置する。配置後、プラットフォームまたはテーブルを1〜10000Hzの周波数及び0.1〜10cmの振幅下に振動するようセットし得る。触媒除去時間は0.1秒〜20時間の間であり得る。テーブルは、周波数及び振幅を共に、触媒質量または回収容積及びまたは時間の関数として変化させるべくプログラム可能である。
例2.3:マイクロチャンネルから使用済み触媒を除去するための浴及びチャンネル超音波処理
超音波理論及び超音波洗浄を介しての触媒除去:
水性媒体内の超音波は、マイクロチャンネル壁からの触媒またはクーポン除去用に有効な技法であること、また、液体中における顕微鏡的気泡の形成及び崩壊に直接貢献することが分かっている。液体中の当該“顕微鏡的気泡”の形成及び成長は揺動する正負圧力の影響によるものである。揺動サイクルの負圧ゾーンは減圧される。正圧ゾーンは加圧される。各ゾーンは、震動源またはトランスデューサから放出される移動音波形態下に発生する。
キャビテーション気泡は、その形成後、所定時間揺動し続け、最後に分解するかまたは、液体マトリクス特性により支配される支持不能サイズに成長し、結局、崩壊または内破する。気泡キャビティの内破により、崩壊点から個別の水柱状に放出される衝撃波が生ずる。単純揺動するキャビテーション気泡は”マイクロストリーミング”として知られる効果を生じ、当該マイクロストリーミングがその直近範囲内を単純攪拌する。逆に、キャビテーション気泡の内破は強い衝撃波を生じ、当該衝撃波が、代表的には超音波洗浄に関わる作業を実行する。課題は、この形式のエネルギーを大型装置の内部に直接持ち来すことである。
気泡内破により、気泡サイズに直接関係する強さの衝撃波が発生する。大きな気泡からはより強い衝撃波が発生する。発生し得る気泡寸法は周波数に逆関連する。大きいキャビテーション気泡は低い周波数で発生するが数は少ない。周波数が高いと気泡数は増えるが、その平均寸法は減少する。従って、超音波入力出力を一定に維持すれば低周波数入力下に少ないキャビテーション気泡が生じるが、各気泡はより大きなエネルギーを含み且つ内破時に当該エネルギーを放出する。または、高い周波数下には小エネルギー気泡の内破が増大する。液体の、当該液体が接触する表面付近における液体の相対動作が摩擦により制限される境界層現象もまた発生する。かくして、キャビテーション気泡は、当該キャビテーション気泡を発生する音波が、それらを発生させ得るに十分な自由度を持つ必要がある。高周波の音波の自由度は低周波の音波のそれに匹敵する大きさである必要はないが、より高い周波数は表面に近い位置で且つ狭い範囲内で気泡を貫いて気泡内破を発生させ得る。高い周波数は、不正形状で且つ小寸法形状のマイクロチャンネル装置内でのエネルギー発生上より有益であり得る。
小断面積の超音波トランスデューサは薬品工業から入手可能である。例えば、Omnisonics Medical Technologies社は、超音波エネルギーを用いて血流中の凝血を破壊するキャビテーション流れを発生させて血管閉塞症を消散させるシステムを製造する。
課題は、マイクロチャンネル反応器内に同伴されるクラスタに超音波出力を移行させることである。この目的上、超音波の振幅、周波数、伝搬方向を制御する必要がある。
種々の周波数(15〜40kHz)及び振幅(0〜±1mm)を持つトランスデューサが好ましい。トランスデューサの設計及び反応器胴部上の位置もまた、反応器のチャンネル内への超音波エネルギー移行量を最大化させる上で重要である。以下に、トランスデューサの方向及び設計に関する概念を示す。
1.図4aに1つの概念を示す:マイクロチャンネル反応器を大型の液体プール(例えば、水または任意の極性または非極性溶媒)内に配置し、平坦なトランスデューサプレートを、超音波がチャンネル内に配行されるようチャンネル軸と直交状態に配置した。
2.単数または複数のチャンネル内での超音波出力の入手可能性を高めるため、トランスデューサを、各チャンネル内にフィットする寸法の幾つかのホーン枝を持つフォークとして設計した。図4b及び4cには2つの方法における当該方策を例示す。
装置の一方側のみを溶媒(3a)中に浸漬させ、チャンネルを溶媒で満たす処置を施した。
装置を適宜の溶媒を含むプール内に完全浸漬させ、超音波を両側から各ホーン枝(3b)を介して装置内に移行させた。
図4dの例では、凝集クラスタ上に超音波出力が直接移行され得る。当該方策では各ホーン枝はマイクロチャンネル内に色々の距離で侵入して特定のクラスタに直接接触し、かくして周囲環境または溶媒媒体への超音波出力損失を最小化させる。
例2.4:溶媒洗浄を介しての触媒除去
プロセス条件下に製品が凝縮するプロセスでは、触媒粒子及び内側チャンネル壁が反応操作中にコーティングされ得る。触媒の除去または交換が所望される場合、コーティングは粒子の結合材として作用して粒子を然るべく保持する。結合粒子は新規の触媒粒子の如く円滑には流動せず、従って、単なる重力投棄または加圧ガスと共にマイクロチャンネルから吹き出すことによる除去はより困難である。
溶媒は、触媒粒子やチャンネル壁からのコーティング材料除去のために使用し得る。それらの溶媒は充填床を貫いて、液体として流動可能であり、またはある場合には圧縮ガスまたは超臨界相として押し通され得る。
触媒除去プロセス用に有益な溶媒には、軽質炭化水素、オレフィン、アルデヒド、ケトン、エステル、酸、香アンモニア精、またはそれらの混合物、が含まれる。超臨界CO2、NH3、アミン、または蒸気も使用できる。溶媒は、例えば、溶媒成分としての炭素化または臭素化化合物により、触媒より稠密であり得る。
溶媒は、操作中、プロセス流れの流れ方向とは逆方向において、充填床を貫いて流動することが好ましい。ある場合において、溶媒は沸点付近に加熱され、触媒床の直前で凝縮可能とされ、高温のまま床を貫いて流動する。
反応器は、代表的には下方であるプロセス流れ方向が、溶媒洗浄中は重力に関して逆向きとなるよう位置決めされ得る。この場合、反応器は、洗浄中は操作中のプロセス流れ方向とは逆方向で触媒を貫いて下方に流動するよう回転される。溶媒洗浄プロセス中に反応器から触媒を洗浄排出させ得る流れ模様が好ましい。
例2.5a:小型装置試験における触媒除去促進のためのハイドロトリーティング
水素処理式のワックス除去処理が、反応器から除去する使用済みFT触媒をどの程度うまく処理/遊離するのかを判定する試験を実施した。
当該反応器はFT条件(ゲージ圧での入口圧が2572kPag(373psig)、温度が220℃、水素対CO=2:1、4%アルゴン希釈)下においておよそ42時間動作された。反応器へのフィード流量は、接触時間が177ms(20,304hr−1 GHSV)、WHSVが5.0の如きものであった。プロセスチャンネル間隙は0.09525cmであった。プロセスチャンネル幅は0.762cmであった。
装置を、クラムシェル形の電気抵抗セラミックヒーターにより加熱し、出口流れを二重管で冷却し、冷却器からの外側シェル流動液体と熱交換させた。試験には少なくとも5000GHSVが必要とされたが、当該値は、充填容積が〜0.2ccである当該使用反応器装置では、約17sccmの流量に相当する。無人GC分析に必要な流量を収受するために、入口H2流量として50sccmを選択した(〜15,000GHSV)。この流量及びワックス充填を触媒重量の〜5%(即ち、0.2グラムの充填触媒の5%)、ワックス除去率を一定と仮定し、CH4の出口濃度及び合計ワックス除去時間を以下の表2.5.1に示した如く測定した。
Figure 0005948640
試験中、以下のステップを実施した。
1.初期低温流れ試験をアンビエントT及びP下に実施した。
a.試験中の反応器dPは、高圧下での試験中は入手可能な機器で測定し得ないほど小さかった。
2.不活性物質によるパージを実施値、次いで加圧及びニートH2をフィードした。
3.反応器をゆっくり加熱(毎分1℃)した。
4.1924kPag(279psig)の圧力及び450〜460℃の最大温度下にワックス除去処理を実施した。
a.15分毎に記録を取り、加温中(7時間)及びワックス除去中(夜通し、〜15時間)にメタンが放出された。
b.メタンが漸減するまで(または15時間後)最大温度を450℃に維持した。当該450℃で3.5時間経過後、出口流れ中にメタンはもはや検出されなくなったが、装置を夜通し(15時間)450℃の温度下に保持した。
5.装置を冷却及びシャットダウン(スタートアップの逆、しかし毎分3℃冷却される)した。反応器装置のワックス除去中に使用した条件を表2に示す。
Figure 0005948640
当該試験の結果によれば、触媒の大半は反応器から重力のみによって流出し、残余の触媒は弱いタッピングにより除去されたことが分かった。上述したこの技法で使用した圧力は、689Paa(0.1psia)〜6895kPaa(1000psia)の範囲であった。最大温度は150〜650℃の範囲であり得、加熱量は毎分0.01〜10℃、より好ましくは0.1〜5℃、他の実施例では0.5〜2℃の範囲であった。
例2.5b:大型装置試験における触媒除去促進のための水素処理
マイクロチャンネル反応器のアルミナFischer−Tropsch触媒上に、30重量%コバルト313.5g、5重量%のRe、1771.1gのSiC不活性物質を充填した。マイクロチャンネル反応器を交差流れモード下に運転し、部分沸騰水を冷却剤とした。マイクロチャンネル反応器は平行な平面内に20の入口プロセスマイクロチャンネルを2アレイ(冷却剤チャンネルを含む層により分離される)有する段付きタイプのものとした。各入口プロセスマイクロチャンネルは0.1016cm(0.040インチ)の間隙を有し、幅が1.364cm(0.537インチ)、プロセス流れ方向における長さは約29.5cm(11.6インチ)であった。入口プロセスマイクロチャンネルの29.5cm(11.6インチ)の位置に冷却剤チャンネルの終端位置をマーク付けし、各入口プロセスマイクロチャンネルを連結し、0.3010cm(0.122インチ)の間隙(ステンレスチールを波状に加工して形成した)と、29.5cm(11.6インチ)の長さとを有する1つの大型チャンネルを形成した。入口プロセスマイクロチャンネルの入口及び出口位置、及び冷却剤チャンネル終端位置(段)の上方及び下方にSiCを充填した。
触媒を、3つの還元ステップ及び2つの酸化ステップを含む処理を介して活性化させ、Fischer−Tropschの種々の温度及び圧力条件下に約1100時間の運転時間(time on stream)に渡るFischer−Tropsch合成用に使用した。運転終了時には、触媒除去支援のための触媒ワックス除去及び、自然発火性を有することに基づく触媒の再酸化が共に望まれる。
次いで、プロセス側、または触媒含有側を、10SLPMの流量で窒素を流動させることで、2651kpag(348.5psig)に加圧した。10SLPMの流量で窒素が流動する圧力下に、窒素を、10SLPMの流量で流動する100%水素で置換させた。水素流れが確立された後、反応器温度を反応器胴部に締着した電気ヒータを用いて毎分1℃の割合で室温から220℃に上昇させた。反応器を約12時間に渡り220℃に保持し、12時間の終了時に、10SLPMで流動する水素を5.4SLPMで流動する窒素で置換させた。窒素流れが確立された後、反応器を減圧し、かくして反応器は周囲温度に冷却された。全システムは48時間に渡り、窒素下にパージされた。当該時間は下流側機器のみならず反応器自体をパージするために必要とされた。
ワックス除去処理後、触媒を再酸化してその自然発火性を低減させた。先ず、窒素流れを975sccmに低下させ、次いで、流動する窒素にプロセス空気の25sccm部分(1000sccmの合計流量に対する)を追加した。10分後、プロセス空気の第2の25sccm部分を追加し、窒素流れを925sccm(975sccmの合計流量に対して)に低下させた。当該処理から30分間経過後、反応器を出るガスのサンプルをガスクロマトグラフに送り分析した。酸素の出口濃度が、入口濃度の、予定した90%である約1.8%(入口)に達した時点で空気の25sccm分を先に説明した方法を使用して更に2回追加した(合計で100sccmのプロセス空気を875sccmの窒素に追加した)。この時点から、プロセス空気の100sccmの増分を使用してプロセスを反復し、100sccmの窒素流れを引き続き除去して合計流れを975sccmに維持した。最終的な増分により、プロセス空気流量は質量流れコントローラの全目盛り値の95%となり、プロセス空気の最終流量は475sccmとなった。この時点から、プロセス空気のみが475sccm流量で流動するまで、窒素流量を30分間隔で100sccm単位で低減させた。
流れをプロセス空気のみとした状態で装置を毎分約0.5℃の割合で約80℃の平均温度に加熱した。80℃に達した後、反応器を約4.5時間に渡り当該80℃に維持し、次いで周囲温度に冷却させた。
ワックス除去及びパシベーション処理終了後、反応器を試験用インフラストラクチャから取り外し、反応器を回転可能な(かくして、反応器の入口または出口の各側の何れかから触媒を排出させ得る)様式下にフレーム上に取り付けた。次いでプロセスヘッダ及びプロセスフッタを取り外した。フッタ側または出口側を上にした状態において、マイクロチャンネル内に触媒を維持するために使用した多孔質のステンレススチールフォームを取り外し、反応器を回転させ、触媒及びSiCを重力下にステンレススチール製キャッチパン(自然発火性が残る場合に備えて部分的に水で充填した)内に重力落下させた。このプロセスを反応器の入口(ヘッダ)側でも反復した。次いで反応器の各側及び上部をラバーマレットでタッピングし、続けて金属ヘッド付きハンマーでタッピング(〜1Hzで)して触媒流れを促進させた。ラバーヘッド付きマレットによる効果は小さかった。タッピングに加え、アセンブリをホッパ振動機を使用して振動させた。最後に直径0.1016cm(0.040インチ)のエアクラフトドリルを使用して、結着した触媒をしごき且つこそいだ。上記方法では重力流れ及び金属ヘッド付きハンマのみが有益であった。装置から流出する触媒の大半は、純粋に重力の、または、重力と金属ヘッド付きハンマーによる低周波数での打撃との組み合わせ(この場合触媒はハンマー打撃により流動を開始し、打撃停止後に流動し続ける)の何れかにより装置から排出された。かくして約241gの材料を回収した(初期充填時の合計質量の約49%)。
これらの処理に続き、上述の反応器をセクション2.1で説明した如くハイドロブラスチング処理した。更に、且つ当該ハイドロブラスチング処理の後、反応器にヘキサンを充填し、数時間放置した。当該処置を2回反復し、次いで反応器を約48時間に渡りドライ処理し、反応器を金属ヘッド付きハンマーで打動させた。この処置により更に3.7gの材料を回収した。
例2.6:蒸気酸化によるコークス除去
炭化水素合成反応において酸性種を触媒として用いる、または高変換率下に操作する場合、通常、表面上には触媒活性を低下させるコークスが形成される。コークスは隣接する触媒粒子を結合させ、反応器を再生または触媒を交換したい場合に、反応器から除去しにくい凝集を創出させる傾向がある。高分子重量の炭化水素は通常プロセス操作中に触媒表面上に蓄積し、粒子を相互結合させるワックスを形成し得る。粒子凝集の何れのメカニズムも、触媒反応器がマイクロチャンネル寸法形状を有する場合は特に問題となり得る。
代表的には、コークスを、触媒表面から拭掃し得る揮発性成分に変換させる酸化環境が望ましい。蒸気はシンプル且つ安価な酸化用媒体である。蒸気は重い炭化水素を溶融及び又は揮発させるために好都合な熱源でもある。文献によれば、蒸気を特定触媒種に適用する場合、特に炭化水素合成反応にFischer−Tropschケミストリが関与する場合は注意が必要である。
触媒種の過剰酸化を促進し得る高温化を回避するため、除去すべき凝集化触媒上に蒸気を、通常運転圧力よりも低い圧力下に通過させ得る。低圧化により、ワックスも存在する場合の所望されざる炭化水素の揮発も容易化される。蒸気は気体であるから、例えば、液体溶媒を用いたワックス除去に際して必要となる特別形態の反応器は無用である。しかしながら、特定反応器及び触媒システムでは、通常運転中の流れ方向に直交する方向での蒸気フィードがより有益であり得る。
気体分が0.0〜1である飽和蒸気を120〜400℃の範囲で使用し得る。第2実施例では、120〜600℃の温度範囲内で過熱蒸気を使用し得る。蒸気を過酸化水素、空気、または純粋酸素等のその他酸化用化合物と共に、考え得る任意の割合において混合させ得る。
例2.7:流動化を介しての除去
触媒除去手段が、流動化充填プロセスに関して先のセクションで説明した、床に対するガス終端速度を提供し得る。図1cのシステムを使用する場合、流れを重力方向に向け、流体を追加的に重力加速させることが有益であり得る。
セクション3:マイクロチャンネル内への触媒または不活性材料の充填の品質管理に関する概念。
例3.1:圧力損失測定を介しての品質保証
各チャンネルの対流れ抵抗測定値は、マイクロチャンネル内粉末の充填密度の均等品質の他の目安となる。充填密度が均等なチャンネルは圧力損失が非常に類似し、充填床の通過流れに関するErgun式により以下の如く予測される。
Figure 0005948640
ここで、
p[m]=粒子径
ε=流体流れに対する空隙(開放)部分
φ=粒子の球形度
ΔL[m]=床長さ
μ[kg/m/s]=流体粘度
ΔP[Pa]=粒子床を横断しての圧力損失
ρ[kg/m3]=流体密度
U[m/s]=チャンネルに対する比速度
である。
第1及び第2の各部は粘度損失及び慣性損失に関する。粒子寸法(φDp)及び充填密度が同じであれば、マイクロチャンネル長さが同一の充填床の圧力損失は同じとなる。これに基づき、所定流量に対する圧力損失をチャンネル間の触媒充填比較に用い得る。
1つ以上のチャンネルにおける流体流動により粒子充填を確認し得る。課題は、流体源を各チャンネルに対する密封シールが形成されるよう装置に取り付けることである。流体源の取り付けは、管その他連結部を1つ以上のチャンネルに据え付ける開口のサイズ及び形状により、幾つかのチャンネルでは困難となり得る。当該取り付けを達成する1つの手段は、ガスケット材料を貫くマイクロチャンネル断面積のオーダーの小孔を利用して当該ガスケット材料を管または管連結部に被着させ、外部力を用いて表面に押し付けることである。前記連結部をアレイ状において全てのマイクロチャンネルに取り付け得、または代表的サンプル(例えば、平行チャンネルから成る直線アレイにおける連続する10の平行なチャンネル等の、10または100の隣り合うマイクロチャンネル)に対して取り付け得る。連結部を表面に一時取り付けする他の手段は当業者には明らかである。
チャンネルを薄い材料から作製する場合、大きな外部圧力を印加することなく密封シールを形成することが有益であり得る。かくして、Ergun式による慣性項からの圧力損失が10%またはそれ未満のみとなる如く小さいことが有益である。
充填分布は、圧力損失変動が平均の10%またはそれ未満であれば良好となり、平均の5%以内であれば更に良好となり、平均の2%以内であれば尚、良好となる。触媒の長さ変化に関する圧力損失変動も同水準であることが好ましい。先に説明した如く、これらの測定値は、少なくとも10の隣り合うマイクロチャンネルに基づくものであり、各セットからの最大変動(分布の各側から5%)は含まれない。
例3.2:ピン測定を介しての充填高さ保証
マイクロチャンネル内の粒子充填高さは、長さが既知のピンの使用を介して粒子床頂部を位置出しすることで直接決定する。当該状況は図3.2.1に例示され、長さ一様のピンが、触媒及び不活性粒状物を共に充填した2層のマイクロチャンネル内に挿通される。この特定ケースでは、マイクロチャンネルは0.09525cm(0.0375インチ)の公称間隙と、0.3023cm(0.119インチ)の公称幅とを有する。床をチャンネル内の所望の軸方向位置付近に持ち来すに十分な触媒及び不活性物質とが充填されたと判断されたらピンを挿通し、校正背景と比較する。このようにして各チャンネルにおける実際の充填高さを決定し、最終充填量を、所望の軸方向高さ及び一様度を生じさせるべく調整する。
上述例では、方法を手動で、しかも充填プロセスの終了時近くにおいてのみ実施した。他の実施例では、所定層または多重層内の全チャンネルを、ピンアレイを用いて同時に実施し得、高さを自動的方法(光学的またはその他の)を介して記録し得る。より大型のピンを使用することで、充填プロセス全体(床の0高さ〜全高さ)を通して測定を実施し得る。各ピンは隙間ゲージ形態である必要はなく、1〜1000μの間隙を通してマイクロチャンネルに好適に挿通する寸法形状を持つリボンまたはストリップ等の任意の好適形状を有し得る。仮に個別のマイクロチャンネルの幅が十分であれば、多数のピンまたは隙間ゲージを使用して任意の所定のチャンネル内の粒子床の頂部プロファイルを生成させ得る。
例3.3:X線検査によるマイクロチャンネル内触媒床充填高さ決定の概念
直接測定のためのアクセス性が無い場合、色々の画像処理法を用いてマイクロチャンネル装置内の触媒床高さを決定し得る。マイクロチャンネル装置は通常、触媒を組み入れる開放チャンネルを創出するべくリブで分割した金属プレートから構成される。
最も簡単なのは、印画紙または検出器と共にX線源を使用する方法であり、当該方法は配管や圧力容器における溶接検査で使用するそれと類似のものである。当該方法では、多数のマイクロチャンネル層を含む厚い装置を通して十分な解像度を達成するという制約がある。
その他の技法では、装置を貫くX線CT(コンピュータ断層撮影)スキャンを使用する。装置を貫く薄層がスキャンされ、次いで触媒高さ方向にスキャンを移動させ、別の層をスキャンする。このプロセスを反復することで、触媒が終端してチャンネルが開放状態となる位置を表す装置内部の3D画像を発生させ得る。例えば、5.08cm×10.16cmの断面を持つ薄層を450kV発生源を用いてスキャンし得る。装置がもっと厚い場合は、必要な解像度に依存して更に高出力のX線源が必要となり得る。
マイクロチャンネル装置はチャンネル内圧により発生する応力のため、装置外側に厚い金属プレートを有する場合がしばしばある。厚い金属プレートにより、X線その他を透過させるための必要出力は大きくなる。各端部プレート内の、触媒床の必要高さ位置に小ポケットを加工し得る。これらのポケットは測定位置における金属厚を減少させ、かくして、必要解像度を維持しつつ低出力源の使用を可能とする。
触媒床の高さ測定を提供するその他方法には、MRI(磁気共鳴映像法)、超音波検査法、蛍光透視画像法、がある。
例3.4:超音波検査法を介しての充填高さ及び充填密度保証
マイクロチャンネル内の粒子床の充填高さ及び密度は、不可聴音(約20Hz以下)、可聴音(約20Hz〜20kHz)、または超可聴音(20kHz以上の周波数)、の範囲内の移行音波を使用して測定され得る。固定かまたは可動の多数の送受信対を使用する装置を介して伝搬される音響が、チャンネル内に充填した粒子状物質により減衰される。第2実施例では、1台の送信機を数台の受信機と組み合わせて使用し得、各送信機及び受信機は固定または可動とされ得る。第3実施例では多数の送信機を1台のまたは多数の受信機と共に使用し、各送信機及び受信機は全てが固定または可動とされる。送信機からの放出物は連続的またはパルス状であり得、多数の送信機を使用する場合は異なる時間及びまたは異なる周波数及び強度下に伝搬される。
減衰レベルは特定充填密度に相関し、かくして品質管理用に使用される。強度の急変は粒子床の頂部及びまたは床内の何れかにおける空隙の存在を表す。減衰レベルの変化は、例えば、触媒に代えてSiCを充填したゾーンである、異質材料の配置及び高さの検出にも使用し得る。平行平面の被スキャン数増大に伴い、3D画像形成や、構造内の深部における空隙及び密度差検出が可能となる。音響の周波数及び強度の変動により追加の解像度も提供され得る。
例3.5:熱線流速計の使用を介しての充填高さ及び充填密度保証
マイクロチャンネルアレイの充填を決定するための非侵襲的手段は、熱線流速計(G.Comte−Bellot,“The Handbook of Fluid Dynamics”,CRC Press,1998,Section 34,R.W.Johnson,editor)の使用である。全チャンネルへの流れに関し、マニホルドを使用して流体流れをチャンネルの一端に分与する場合、校正済みの熱線流速計を使用することでチャンネル間流れ分布をより直接的に入手可能となる。
充填床を離れる各流れの速度プロファイルはプラグ流に近いので、出口に近い位置でのガス流れの測定値はチャンネル内の流れを反映する。熱線流速計による測定は出口と直交する方向で約1.3〜6.4mm(0.05〜0.25インチ)の範囲内で実施すべきである。全てのまたは代表数でのチャンネル出口速度を測定すべきである。個別の且つ平均速度を測定すべきである。良好な速度分布は、出口速度が±20%、より好ましくは±15%、より好ましくは±10%、更に好ましくは±5%、の範囲内とすべきである。分布が良好であれば、充填密度は当然、分布の一様性の度合いに対するものとなる。
ドライ超音波を使用する超音波負荷及び高密度化:
マイクロチャンネル反応器胴部の壁を通して超音波を伝播させる問題を解決するために、超音波源ホーン(オハイオ州グローブシティのToolTex社の製造する、2.54cm×20.3cmのチタン製ホーンを備えた、Ultra Sonic Seal,Model ST,1500ワット超音波電源(Broomall,PA)を、垂直配行させたチャンネルの入口位置に位置決めした。
ホーンをこのように位置決めすると、波状の各チャンネル(粒状触媒を含むマイクロチャンネル形態の)は、各チャンネルの壁を通して超音波振動を長手方向に伝達する横断方向波を創出し、かくして超音波エネルギー集束媒体として機能する。これは、マイクロチャンネルの全長(61cmの長さまでにおいて実証され、少なくとも1mまたはそれ以上の長さにおいて予測される)を通して振動周波数を伝達させる上で有効であることが分かった。この場合、超音波構成部品には1500Wの供給変圧器と、振幅ブースタと、長さ20.3cm、幅2.54cmのチタン製の調整した超音波ホーンとから構成された。当該アセンブリを、ドリルプレススタンド(図7)に類似する設計を有する丸形のスチールカラムに装着したプレナムに取り付けた。超音波ユニットはスチールカラムの長手方向に沿った垂直平面内で空気圧により調節自在であった。空気圧制御器は、装置表面に対するその接触圧の調節性を利用してホーンをチャンネル上縁部に直接位置決めした。チャンネルの頂部と、放出用のホーンとの間に金属スクリーンまたは薄い金属プレートの何れかを配置して、波状のチャンネルの各端部への接触損傷を防止した。この方策は、波情形態を用いないステンレススチール製のマイクロチャンネルに対しても有効であると考えられる。波情形態またはマイクロチャンネルの材料は、それらの材料は金属であることが好ましいものの、本方法の実施上臨界的なものであるとは思われない。
スチールプレート及びアクリルプレート間に粒子状物質を充填した試験装置超音波高密度化試験を実施した。超音波がスチールプレートを通してまたはチャンネル頂部位置の装置上部から伝達された。これらの初期試験中の装置に対するホーンのバースト時間及び接触圧が調整された。バースト時間は5〜20秒間であり、ホーンは振幅0.5mm、周波数20kHzに調整された。驚くべきことに、装置胴部に対するホーンの圧力は重要なパラメータであることが分かった。ホーンの圧力が低過ぎるとホーンはその入力周波数で接触表面を打撃し、ホーンフェースへの損傷の恐れが増大し、装置への超音波伝搬量は少ない。圧力が高過ぎるとホーンは装置に“カップリング”されて超音波エネルギーが減少し、プロセスの有効性が低下する。
高密度化は、機械的手段を使用した場合より10倍早く、しかもそれを上回るものであった。例えば、長さ61cmの波状形態部に平均粒径300μmの支持材料である粒子を充填し、装置胴部をラバーマレットで、最大高密度化が達成されたと感じられるまで〜400回以上、10分間に渡り打撃して高密度化させた。チャンネル頂部を通して超音波を5秒間のみ導入すると粉末床が約2.54cm(1インチ)沈下した。全チャンネルを横断する充填高さの一様性もまた、機械的振動におけるそれと比較して改善された。この場合、チャンネルに対するホーンの接触圧力は172400Pa(25psi)であった。過剰エネルギーを入力すると接触圧力は310300Pa(45psi)に増大し、各チャンネル内の粉末は流動化を通して分裂し、密度の一貫性が失われ、充填高さの一様性が低下した。
ドライ超音波を使用した触媒除去:
図8にはプロセスチャンネルの断面寸法形状が示される。図には主たる反復ユニットが示され、右側部には垂直の対称線を含んでいる。当該反復ユニットは実際のプロセスチャンネル(石及びセラミックテクスチャ)から成り、格納壁(灰色)と、冷却剤チャンネル(青色)とが、図示平面に関して内外に伸延するプロセス流れと直交する方向に整列する。プロセスチャンネルは2つの分離セクション、即ち、断面積が“段”変化する以前の、チャンネルの両側で除熱がなされる上流側セクションと、その下流側の、対称平面の一方側についてチャンネルの一方側のみにおいて除熱が成される反応器“段”セクションと、を有する。
上流側セクションは、高さ0.1cm長さ28.1cmの間隙を対称軸の一方側に1つ有する。当該上流側セクションでは、隣り合う部分沸騰冷却剤チャンネルにより、対称線に最も近い側の中央冷却剤チャンネルアレイの最後の0.64cm部分を除き、両側から除熱が成される。
下流側の反応器“段”セクションは長さが28.1cmであり、格納壁から対称線までは0.15cmである。先に説明した格納壁は、厚さ0.75mmの上流側セクションの端部位置を除き、厚さが0.25mmであった。
FT反応器を、頂部からの粉末追加により触媒を充填して高さ0.1cmのチャンネルとした。充填高さは既知の長さの直線状のワイヤ片により測定し、定規により床深さを決定した。
充填順序は以下の通りであった。
1.底部をSiC粉末で充填し且つ高密度化した。
2.“段”部の下方に触媒粉末を充填し且つ高密度化した。
3.段部の直上及び直下部分にSiC粉末を充填し且つ高密度化した。
4.反応器チャンネルの、チャンネル頂部の1.9cmまでに触媒粉末を充填し且つ高密度化した。
5.残余部分の頂部までにSiC粉末を充填し且つ高密度化した。
40のチャンネルを手動で充填し、高さを測定した。
頂部の0インチの開始位置から下方の1.95cmまでがSiC粉末であり、標準偏差は0.3cmであった。次いで触媒セクションが開始され、頂部から28.14cmまで伸延され、標準偏差は0.63cmであった。SiC層が0.1cm高さのセクション状態下に“段”部まで30.8cm伸延した。段部の0.31cm高さのセクションの下方は波状形態を有し、SiC層が、標準偏差1.31cmで35.3cm下方に伸延した。チャンネル底部は触媒粉末で55.37cm間で充填され、最後の4.47cmがSiC粉末で充填され、密度は1.80gm/ccであった。次セクションは頂部触媒セクションであり、幅1.36cm、高さ0.1cm、長さ26.2cmであり、145.198グラムの充填により平均充填密度は0.97gm/ccであった。次セクションは“段”SiC粉末層であり、“段“部上方長さが2.67cm、同下方長さが4.5cmであり、76.516グラムが充填され、密度は1.38gm/ccであった。当該セクションに172.291グラムを追加して密度を0.94gm/ccとした。底部位置の最終SiC層は67.596グラムを有し、密度は1.39gm/ccであった。セクションの高さ、重量、容積、密度、を下の表に示す。
Figure 0005948640
1170時間運転後、80℃の温度下にN2を酸素(空気)で漸次置換して不動態化した。200℃下に脱ワックス処理を実施した。冷却及び試験エンクロージャからの取り出しに際し、ヘッダ及びフッタを取り外した。触媒をチャンネル内に保持するために使用したヘッダ及びフッタフォームも取り外した。単なる重力誘起性排出によるチャンネルからの触媒流出は無かった。触媒は、明らかに、物理的錠止、脱ワックス処理中に除去されない残留ワックスによる粒子間接着にして、何らかの運転不調時に反応器に入り込んだ重合ポンプオイルにより更に悪化される粒子間接着により、チャンネル内に強く固定された。
反応器チャンネルから残留触媒を除去するための種々の方法が研究された。以下の方法はFTマイクロチャンネル反応器からの除去はできないが、マイクロチャンネル内のその他の粒子状触媒を除去するためには有効であり得る。
・ハンドツールを使用する手動的方法
・蒸気または高圧H2O(加熱した)
・振動テーブルによる触媒の機械的除去
溶媒
・d−リモネン
・n−ヘキサン
・トルエン
・n−デカン
・n−オクタン
・シクロヘキサン
・10%ダラクリン212
・20%KOH
ドライ超音波
・例えば、改変Sawzall(商標名) blade ♯5184を備えたUltraform(商標名)UF DME Ultrasonic Die Polisher等の個別のチャンネルまたはチャンネル小群からの触媒除去を目的とするカテーテル、または金属カテーテル。
除去の物理的方法には、約1.36〜2.26kg(3〜5ポンド)のスチール製スレッジハンマー、航空機用ドリルビット、デッドブローハンマー、ホッパ振動機の使用が含まれる。加圧高温水もまた意図され得る。高温水は、安全上のリスクがずっと高くなる蒸気に代えて使用された。水浴抽出した触媒の回収作業は面倒であることが知られているが、高温水法により追加回収される触媒の収率は〜20グラムに過ぎないことから、この点は問題とはならない。
ソックスレー抽出器を用いての、候補溶媒(上に列挙)のベンチスケールでの測定によれば、残留FTワックスの溶解及び凝集粒子の破壊に最も有効なのは温暖化したヘキサンであることが示された。しかしながら、温暖化した溶媒の連続流れ及び引き続く抽出に対する装置でのソックスレー法実施は、装置のサイズ及び設計形態から困難であった。代替法として、充填及び浸漬法を用いた。この方法は結局、反応器胴部内に導入した溶媒が急冷却されることから効果的ではないことが分かった。しかも、ヘキサン溶媒は残留ワックスを破壊するほど十分な深さで触媒に侵入しない。この方法を使用して除去された触媒は結局3.7グラムであった。
最終的に、取り扱いを容易化するため、放電加工を使用して反応器胴部からバルク構造を切断してその重量を最小化した。固化した床の強度測定のため、選択チャンネルへのアクセスを容易化するための特定的切断も実施し、チャンネルの充填程度を計測し、個別のチャンネルに対するドライ超音波理論を試験した。これを実施するために、反応器胴部の両側から冷却用ヘッダを取り外し、反応器の一方側の全フェースからバルク金属を平面切断により除去し、全チャンネルを露呈させるべく剥がすことのできる金属薄層のみを残した。一連の早期のドライ超音波試験を、改変Sawzall(商標名) blade ♯5184を備えたUltraform(商標名)UF DME Ultrasonic Die Polisherを用いて実施した。先に説明した如く、超音波は各チャンネルに挿通してブレードを通して伝達され、充填床をほぐした。露呈された4つのチャンネルをへらで清掃し、超音波カテーテル法を使用して材料の小パーセント分を幾つかのその他材料から成功裏に除去した。全てを含めた結果としての触媒の追加除去量は〜25グラムであった。しかしながら、チャンネル内部には〜200グラムの触媒が尚、堅く固着した状態で残存した。
結局、これらの技法の組み合わせにより、元の491グラムの合計充填量の245グラムが除去された。除去した触媒は、特には、反応器から除去する追加量の材料が、時間、コスト及び努力を続ける意味がないことが明らかとなった後、妥当な抽出ツールを用いて最終的に廃棄した。
初期の方法には、床高密度化を目的とする方法と類似の、装置全体を機械的に振動させて各チャンネルから触媒を除去するものがある。しかしながら、発生する機械的振動力は、強く捕捉された触媒を幾つかの装置チャンネルから除去するには不十分であり、超音波法とは異なり、振動エネルギーを特定位置に集中させ得ないことが分かった。
初期の充填試行時と同じシステムを完全除去用の主要システムとして使用した。超音波ユニットの位置を、スチールカラムの長さ方向に沿った垂直方向寸法において空気圧調整し、ホーンを、装置表面に選択可能な接触圧下に接触する状態でチャンネルの上縁部に直接位置決めした。ホーンを振幅0.5mmの周波数20kHzに調整し、137895.14〜206842.71Pa(20〜30psi)の圧力下に装置と接触状態に持ち来たした。5分間に渡り、10〜20秒間の超音波バーストを多数発生させた場合、反応器チャンネルから残余触媒が成功裡に除去された。ドライ超音波法により合計180グラムを収集した。反応器チャンネルを詳細に検査した結果、86チャンネルの3つを除く全てが完全に清浄化されたことが分かった。この時点でFTマイクロチャンネル反応器の超音波試験条件が最適化されず且つ実際は非常にロバストであった点は注目に値する。調節はバースト時間及び、装置に対するホーンの接触圧についてのみに実施した。
別の試行シミュレーションをモデル装置において実施した。当該モデル装置の目的は、波状チャンネル内の粉末捕捉と、引き続く、ドライ超音波法を使用した捕捉粉末除去であった。充填に際して床を完全に高密度化することで、粒子とチャンネル壁との間が機械的に強く相互結合されることは明らかであった。これにより、粉末は閉じ込まれ、重力その他の力によっては容易に除去され得なくなる。対照的に、超音波は充填床内部の剪断力や摩擦力を阻害し且つ流れを促進させ、かくして最小努力での素早い除去を生じさせる。
実効ベンチスケールでの触媒試験反応器をも使用して除去性能を評価した。これらの装置の幾つかは運転サイクル終了時点で標準の脱ワックスプロセスを受けなかった。これにより、製品ワックスがチャンネル内で触媒粉末と共に同伴残留され、かくして、触媒閉じ込みの最悪ケースのシナリオが本来シミュレートされた。乾燥反応器内における超音波伝達により、装置チャンネルから材料が成功裏に除去された。
超音波による粒子状物質の高密度化
以下の材料を用いて超音波試験を実施した。
・Engelhard社(BASF)により供給され指定された押し出し成型品A1−4126E。この材料をフライス削り及び篩い分けして50×80メッシュに粒子分布させた。
・上述のアルミナ担体材料から成り且つ30%コバルトを含浸させたFT触媒粉末。
・50×80メッシュのシリカ担体からなり且つ50%コバルトを含浸させたFT触媒粉末。
粉末は19.05cm及び61cmの各長さを有し、断面測定寸法が0.3175cm×0.1cm及び0.57cm×0.1cmのチャンネル内で高密度化された。粒子摩耗、充填床の長さを横断しての粒子分離凝集並びに、ASTM PABDとの関係を調査した。
触媒粉末の物理的完全性に対する影響を最小とする状態での充填及び高密度化効果を増大させるべく、以下の変数を求めた。
・超音波周波数
・超音波の振幅
・ホーンの、接触表面に対する圧力
・装置胴部のホーン位置
・バースト時間(装置に伝達される超音波エネルギーの単一または多数のバースト)
これらの試行を通し、超音波を用いた場合、従来のASTMタッピングまたは振動PABD法の場合と比較して粉末床の高密度化が4%向上したことが分かった。開放チャンネルの頂部付近が、沈下性能上、ホーンの物理的位置として理想的であることも分かった。先に説明した如く、ホーンをこのように位置決めすると波状チャンネルの壁の長手方向に且つ当該長手方向の横断方向における減衰量が小さい状態下に伝達させることで、超音波エネルギーのための集束媒体として機能する。装置頂部に対するホーンの接触圧は172400〜275800Pa(25〜40psi)であった。ホーンの位置及び圧力は、当該ホーンの充填及び高密度化等級に対して与え得る影響に関与する。ホーンの位置及びまたは圧力が不適切であると負の影響が生じ、触媒床は流動化を生じる程に超音波振動されることが示された。この場合、触媒のカラム内に捕捉される空気が触媒床内に空隙を発生させ、チャンネル横断方向での高密度化のムラや充填高さの一様性不良を招く。ホーンの周波数は代表的には、振幅0.5mmの20kHzに維持される。その他の超音波波長及び周波数も機能すると考えられる。
バースト時間測定値は3〜30秒であるが、3〜10秒でも十分であることが分かった。実際、バースト時間は適正な床高密度化を達成する上で最も有効であった。より短い、最適化されたバースト時間もまた、材料の物理的完全性に対する負の影響は小さかった。
バースト時間:
バースト時間とパルス時間とは区別され得る。本発明では超音波エネルギーは1〜30秒続く1またはそれ以上のバーストにおいて波状チャンネルに印加される。一連の非常に短い“パルス”を、一定バーストとは対照的な、所定期間に渡り装置に印加し得ると考えられる。これにより効率的な高密度化が、触媒に対する物理的損傷を最小化する状態下に提供され得ることは明白である。
適正な床高密度化は、1〜30秒、好ましくは3〜10秒、最も好ましくは3〜5秒の範囲のバースト時間を使用して達成し得る。超音波印加時間が30秒より大きい場合は床の追加的高密度化は生じない。超音波印加時間が30〜90秒の場合は床の若干の層化の形跡が示された。バースト時間が30秒未満である場合は摩損は問題にならなかった。ターゲット充填を達成するために必要な期間に渡る超音波エネルギー印加によって床が粒子サイズの異なる各部分に著しく分離することはなかった。触媒を過剰に加熱または物理的に劣化させることの無いバースト時間は、床充填の高密度化の度合い及び品質管理上最大の影響を持つパラメータである。
見掛け嵩密度(PABD):
・触媒または不活性物質に依存して達成された1〜1.8g/ccのPABDを評価した。
・ASTM PABD(タッピング/振動)をf=20kHzで3〜5秒以内に達成し得るか。
・20kHzでの5〜10秒のバースト時間により、長さ61cmの床の最大PABD(ASTM PABDより大きい)が達成された。
・超音波を使用するFT形式の触媒含有床の充填量は、ASTM PABDのそれに対して3〜5%多かった。
接触圧:
・ホーンの好ましい接触圧範囲は200kPa(30psi)〜280kPa(40psi)、より好ましくは23kPa〜248kPa(34〜36psi)である。
・円滑且つ有効な高密度化とは対照的に、過剰の接触圧及びまたは制御性の低いホーン配置は極めて所望されざる床流動化を生じ得る。
空隙部分
・充填床の、材料に依存して達成された空隙率31〜38%を評価した。
超音波を使用する大型装置:
波状インサートを持たない反応器:
Al23触媒担体材料を、長さ61cm、幅0.1cm、高さ0.57cmの寸法形状の単一チャンネルを含む異なるマイクロチャンネル反応器において超音波により高密度化した。チャンネルを完全充填し、床を振動テーブル上で達成可能な最大限まで予備高密度化し、次いで超音波により高密度化した。超音波ホーンをチャンネルの上端部位置(重力に関して)に配置した。周波数20kHzにおいて装置上部に10秒間の超音波バーストを3回印加し、2.54cm追加沈下させた。アルミナの見掛け嵩密度及びチャンネル容積が共に予め決定されたため、61cmのチャンネル長さに沿った予測沈下量算出は容易であった。実際、床はアルミナ粉末のASTM PABDに関して測定したそれとほぼ同等レベルに高密度化された。先に説明した如く、超音波ホーンは好ましくは推奨接触圧下に装置との超音波接触を維持すべきである。高密度化における良好な結果は、チャンネル(またはチャンネルの多数のアレイ)を反応器内部の薄い分離壁間に接近配置させる必要がないことの有力な証拠である。実際、当該実施例の反応器は、比較的重い反応器胴部(〜6kg)の中央に〜2.3cm×1.52cm厚のスチール壁を持つ単一のチャンネルから構成される。
32 楔状長孔
33 摺動ドア
34 チャンネル間隙

Claims (5)

  1. マイクロチャンネル装置から粒子状物質を除去するための方法であって、
    粒状物質を含む複数のマイクロチャンネルを含むマイクロチャンネル装置を提供すること、
    複数のマイクロチャンネルの一端に超音波発生用ヘッドを位置決めし、該超音波発生用ヘッドを複数のマイクロチャンネルと直接又は固形媒体を介して接触する状態の何れかに配置すること、
    前記超音波発生用ヘッドから複数のマイクロチャンネルに超音波エネルギーを印加させること、
    を含み、
    前記マイクロチャンネルが少なくとも50cmの長さを有し、
    前記超音波エネルギーの印加ステップが、前記マイクロチャンネルが液体の容積以上の大きなガス容積を含む状況下における前記複数のマイクロチャンネルに対して実施される方法。
  2. 粒状物質を含む少なくとも10のマイクロチャンネルのアレイからマイクロチャンネル反応器内に粒状物質を移動させる方法であって、
    少なくとも10のホーン枝アレイを含む超音波発生装置を提供すること、
    ホーン枝を前記少なくとも10のマイクロチャンネルの各々の内部に位置決めし、該少なくとも10のマイクロチャンネル内の粒状物質を超音波処理すること、
    を含む方法。
  3. 前記ホーン枝アレイが色々の長さにおいて前記マイクロチャンネル内部に侵入する請求項2に記載の方法。
  4. 前記複数のマイクロチャンネルが、波形状のシートを金属プレート間に挟持させることで形成される請求項1に記載の方法。
  5. 前記複数のマイクロチャンネルが残留FTワックスを含む請求項1又は4に記載の方法。
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