JP5947080B2 - エネルギ吸収ブラケット - Google Patents
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Description
このような車両用バンパ構造に関する従来技術として、例えば特許文献1には、バンパフェイスの下部(エアダム部)の内側に、水平に配置された上面部から下方に複数の前後方向リブ、車幅方向リブを下垂させたエネルギ吸収ブラケットを配置することが記載されている。
そして、前後端が固定された状態を維持させたまま、更なる圧縮を受けると、中央部が持ち上がり、2つ折れモードで変形する。
このような変形モードが生じると、初期ピーク荷重の発生後、急激に荷重が低下してしまう。
このような特性を得ようとした場合、エネルギ吸収ブラケットは衝突エネルギを比較的小さいストロークで受け止めることが必要となり、荷重波形は矩形波形となることが理想的である。
また、エネルギ吸収ブラケットを軽量化するためにも、効率よくエネルギ吸収することが必要とされ、座屈の連続により継続的に荷重を発生し、矩形波形に近づけることが要望されている。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、歩行者脚部保護性能を向上しかつ軽量化を図ったエネルギ吸収ブラケットを提供することである。
請求項1に係る発明は、前端部がバンパフェイスの後面部に対向して配置され、後端部が車体構造部材に固定されるエネルギ吸収ブラケットであって、上面部と、前記上面部から下方に突出し車幅方向に延びるとともに前後方向に分散して配列された複数の車幅方向下垂リブと、前記上面部から下方に突出し前後方向に延びるとともに車幅方向に分散して配列された複数の前後方向下垂リブと、該エネルギ吸収ブラケットの前端部及び後端部の少なくとも一方に設けられ、前後方向の圧縮荷重入力時に前記上面部を下方が凸となる方向に屈曲変形させるモーメントを発生させるモーメント発生部とを備え、前記モーメント発生部は、最前列の前記車幅方向下垂リブの下部から斜め上方かつ斜め前方に突き出して形成され、前記バンパフェイスの後面部に対向して配置された前側傾斜面部を有することを特徴とするエネルギ吸収ブラケットである。
(1)上面部を下方が凸となる方向に屈曲変形させるモーメントを発生させるモーメント発生部を設けたことによって、上面部が中央から2つ折れとなる変形モードを防止し、前後方向に突っ張らせて上面部等を連続的に座屈させることができ、荷重波形を矩形に近づけて歩行者脚部保護性能を向上するとともに、エネルギ吸収ブラケットの軽量化を図ることができる。
(2)エネルギ吸収ブラケットの前端部又は後端部に傾斜面部を形成することによって、前後方向荷重の入力時に傾斜面部が起き上がろうとする力を利用して、上述したようなモーメントを簡単な構成によって得ることができる。
(3)傾斜面部を隣接する車幅方向下垂リブと前後方向リブで連結することによって、傾斜面部が発生するモーメントをエネルギ吸収ブラケットの他部に効率よく伝達することができる。
実施例1のエネルギ吸収ブラケットは、例えば、乗用車等の自動車の車体前部に設けられる車両用バンパ構造の一部に設けられるものである。
図1は、実施例1のエネルギ吸収ブラケットを有する車両のバンパ部を車幅方向から見た断面図である。
バンパフェイス100は、本体部110、エアダム部120等を有している。
本体部110は、車両の最前端部を構成する部分であって、図示しないラジエータグリル及びヘッドランプの下部に隣接して配置されている。
本体部110とエアダム部120との間には、走行風を取り入れる開口Oが形成されている。
前面部121は、車両前方側に面して配置された部分である。前面部121は、本体部110に対して車両前後方向における位置が後方側に配置されている。
上面部122は、前面部121の上端部から、上方かつ後方に斜めに延びて形成された面部である。
下面部123は、前面部121の下端部から、下方かつ後方に斜めに延びて形成された面部である。
EAブラケット200は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料をインジェクション成型することによって一体に形成される。
第1車幅方向下垂リブ220、第2車幅方向下垂リブ230、第3車幅方向下垂リブ240、第4車幅方向下垂リブ250は、上面部210から下方へ突出して形成された平板状の部分であり、車幅方向にほぼ沿って配置されている。
第1車幅方向下垂リブ220、第2車幅方向下垂リブ230、第3車幅方向下垂リブ240、第4車幅方向下垂リブ250は、前後方向に分散して車両前方側から順次配列されている。
第1車幅方向下垂リブ220は、上面部210の前端部に設けられている。
第4車幅方向下垂リブ250は、上面部210の後端部に設けられている。
第2車幅方向下垂リブ230及び第3車幅方向下垂リブ240は、これらの中間部に配置されている。
また、これらの各車幅方向下垂リブの間は、下方に開口している。
後端部ボックス部260は、ラジエータロワクロスメンバ300の下部に配置されている。
前後方向下垂リブ270は、上面部210から下方へ突出して形成された平板状の部分であり、前後方向にほぼ沿って配置されるとともに、各車幅方向下垂リブを連結している。
前後方向下垂リブ270は、車幅方向に分散して複数設けられている。
前側傾斜面部280の上端部は、上面部210と実質的に同じ高さに配置されている。
前側傾斜面部280と第1車幅方向下垂リブ220との間は、上方に開口している。
傾斜面部連結前後リブ290は、前側傾斜面部280の後面部と第1車幅方向下垂リブ220の前面部との間を、前後方向に連結する部分であって、上下方向及び前後方向に沿って配置された平板状に形成されている。
傾斜面部連結前後リブ290は、車幅方向に分散して複数設けられている。
ラジエータロワクロスメンバ300は、上下2つ割りのアッパパネル310、ロワパネル320を接合して閉断面を有するように構成されている。
アッパパネル310とロワパネル320との車両前方側の接合部は、車両前方側にフランジ状に突き出して形成され、各パネルはこの接合部においてスポット溶接されている。
ラジエータロワクロスメンバ300の前面部は、第4車幅方向下垂リブ250の後面部における後端部ボックス部260よりも上方の領域に対向して配置されている。
ラジエータロワクロスメンバ300の下面部は、後端部ボックス部260の上面部に対向して配置されている。
なお、以下説明する比較例及び後述する実施例2において、上述した実施例1と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
比較例のEAブラケットは、実施例1における前側傾斜面部280及び傾斜面部連結前後リブ290を設けていないものである。
図2(a)は、比較例のEAブラケットをモデル化した図である。
このようなEAブラケットに対して、前後方向の圧縮荷重が作用すると、上下の耐荷重バランスに起因して、図2(b)に示すように中央部が持ち上がる方向の2つ折れとなる変形モードを示す。
図2(c)は、比較例のEAブラケットにおける荷重の推移を模式的に示すグラフである。
比較例の場合には、このような2つ折れの変形モードとなることによって、初期ピーク荷重の発生後、急激に荷重が低下し、維持されるため、効率よくエネルギ吸収を行うことができない。
実施例1においては、前後方向の圧縮荷重が作用すると、前側傾斜面部280が垂直に起き上がろうとするため、図3(b)に示すように、上面部210を中央部を下げる方向に曲げ変形させるモーメントが発生する。
このモーメントは、比較例と同様の中央部を上げる方向のモーメントと相殺される。
これによって、実施例1においては、EAブラケット200が前後方向で突っ張り、上面部210等が連続的に座屈する変形モードを実現することができる。
図3(c)は、実施例1のEAブラケット200における荷重の推移を模式的に示すグラフである。
実施例1においては、上面部210等が連続的に座屈することによって、初期ピーク荷重の発生後も荷重が高い状態に維持され、荷重波形が矩形に近づいて効率よくエネルギ吸収を行い、歩行者脚部を比較的短いストロークでエネルギ吸収しつつ跳ね飛ばして傷害値を軽減することができる。
また、エネルギ吸収を効率よく行えることによってEAブラケット200の軽量化も図ることができる。
(1)上面部210を下方が凸となる方向に屈曲変形させるモーメントを発生させる前側傾斜面部280を設けたことによって、上面部210が中央から2つ折れとなる変形モードを防止し、前後方向に突っ張らせて上面部210等を連続的に座屈させることができ、荷重波形を矩形に近づけて歩行者脚部保護性能を向上するとともに、EAブラケット200の軽量化を図ることができる。
(2)前側傾斜面部280を第1車幅方向下垂リブ220と傾斜面部連結前後リブ290で連結することによって、前側傾斜面部280が発生するモーメントをEAブラケット200の他部に効率よく伝達することができる。
図4は、実施例2のエネルギ吸収ブラケットを有する車両のバンパ部を車幅方向から見た断面図である。
実施例2におけるEAブラケット200Aは、実施例1のEAブラケット200の前側傾斜面部280及び傾斜面部連結前後リブ290に代えて、以下説明する。後側傾斜面部280A及び傾斜面部連結前後リブ290Aを設けたものである。
後側傾斜面部290Aの後面部は、ラジエータロワクロスメンバ300の前面部と対向して配置されている。
傾斜面部連結前後リブ290Aは、後側傾斜面部280Aの後面部と第4車幅方向下垂リブ250の後面部との間を、前後方向に連結する部分であって、上下方向及び前後方向に沿って配置された平板状に形成されている。
傾斜面部連結前後リブ290Aは、車幅方向に分散して複数設けられている。
これによって、実施例2においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
エネルギ吸収ブラケット及びこれが取り付けられる車体側構造部材、バンパフェイス等の形状、構造、材質、配置等は、上述した各実施例に限定されず、適宜変更することができる。
また、実施例1、2においては、エネルギ吸収ブラケットの前側又は後側にのみモーメント発生部を設けているが、前後ともにモーメント発生部を設けてもよい。
100 バンパフェイス 110 本体部
120 エアダム部 121 前面部
122 上面部 123 下面部
200,200A EAブラケット 210 上面部
220 第1車幅方向下垂リブ 230 第2車幅方向下垂リブ
240 第3車幅方向下垂リブ 250 第4車幅方向下垂リブ
260 後端部ボックス部 270 前後方向下垂リブ
280 前側傾斜面部 280A 後側傾斜面部
290,290A 傾斜面部連結前後リブ 300 ラジエータロワクロスメンバ
310 アッパパネル 320 ロワパネル
Claims (4)
- 前端部がバンパフェイスの後面部に対向して配置され、後端部が車体構造部材に固定されるエネルギ吸収ブラケットであって、
上面部と、
前記上面部から下方に突出し車幅方向に延びるとともに前後方向に分散して配列された複数の車幅方向下垂リブと、
前記上面部から下方に突出し前後方向に延びるとともに車幅方向に分散して配列された複数の前後方向下垂リブと、
該エネルギ吸収ブラケットの前端部及び後端部の少なくとも一方に設けられ、前後方向の圧縮荷重入力時に前記上面部を下方が凸となる方向に屈曲変形させるモーメントを発生させるモーメント発生部と
を備え、
前記モーメント発生部は、最前列の前記車幅方向下垂リブの下部から斜め上方かつ斜め前方に突き出して形成され、前記バンパフェイスの後面部に対向して配置された前側傾斜面部を有すること
を特徴とするエネルギ吸収ブラケット。 - 前記最前列の車幅方向下垂リブと前記前側傾斜面部との間を、車幅方向に分散して配置された複数の前後方向リブによって連結したこと
を特徴とする請求項1に記載のエネルギ吸収ブラケット。 - 前端部がバンパフェイスの後面部に対向して配置され、後端部が車体構造部材に固定されるエネルギ吸収ブラケットであって、
上面部と、
前記上面部から下方に突出し車幅方向に延びるとともに前後方向に分散して配列された複数の車幅方向下垂リブと、
前記上面部から下方に突出し前後方向に延びるとともに車幅方向に分散して配列された複数の前後方向下垂リブと、
該エネルギ吸収ブラケットの前端部及び後端部の少なくとも一方に設けられ、前後方向の圧縮荷重入力時に前記上面部を下方が凸となる方向に屈曲変形させるモーメントを発生させるモーメント発生部と
を備え、
前記モーメント発生部は、最後列の前記車幅方向下垂リブの後面部における中央部から斜め上方かつ斜め後方に突き出して形成され、前記車体構造部材の前面に対向して配置された後側傾斜面部を有すること
を特徴とするエネルギ吸収ブラケット。 - 前記最後列の車幅方向下垂リブと前記後側傾斜面部との間を、車幅方向に分散して配置された複数の前後方向リブによって連結したこと
を特徴とする請求項3に記載のエネルギ吸収ブラケット。
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