JP5946763B2 - 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細な気泡を有する熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
従来から軽量性及び弾性を付与するために熱可塑性樹脂を発泡させた熱可塑性樹脂発泡体が用いられている。熱可塑性樹脂発泡体は、例えば、熱可塑性樹脂を発泡剤の存在下にて押出機に供給して溶融混練して発泡性樹脂を押出し、この発泡性樹脂を発泡させることによって製造されている。
発泡体は、発泡倍率が同じである場合、気泡径が微細になればなるほど引張弾性率などの機械的強度が高くなる。上述の製造方法で製造される熱可塑性樹脂発泡体は、その気泡径が10μm程度と大きいことから、気泡径を小さくして機械的強度を向上させるべく、特許文献1には、2種類以上のモノマーの共重合体よりなるミクロ相分離構造を有する樹脂材料に、高圧ガスを接触させた後、発泡させる共重合樹脂発泡体の製造方法が提案されている。
しかしながら、上記製造方法で製造される共重合樹脂発泡体の気泡径は0.5〜2.2μmと大きなものであって、気泡径の微細化が不十分であるという問題点を有している。
特開2001−151924号公報
本発明は、気泡径が極めて微細であって引張弾性率などの機械的強度にも優れた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、互いに非相溶性である熱可塑性樹脂(A)100重量部及び熱可塑性樹脂(B)5〜70重量部を混合して、熱可塑性樹脂(A)を海部、熱可塑性樹脂(B)を島部とし且つ島部の大きさが10〜800nmである海島構造を有する樹脂組成物を製造する混合工程と、上記樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂組成物を製造する含浸工程と、上記発泡性樹脂組成物に超音波を照射しながら、上記発泡性樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度以上で且つガラス転移温度よりも35℃高い温度以下にて上記発泡性樹脂組成物を1〜60秒間に亘って保持し上記発泡性樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂組成物を製造する発泡工程と、上記発泡樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度未満に上記発泡樹脂組成物を冷却する冷却工程とを有する。
先ず、互いに非相溶性である熱可塑性樹脂(A)100重量部及び熱可塑性樹脂(B)5〜70重量部を混合して、熱可塑性樹脂(A)を海部、熱可塑性樹脂(B)を島部とし且つ島部の大きさが10〜800nmである海島構造を有する樹脂組成物を製造する(混合工程)。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂(A)及び(B)は、互いに非相溶性であって熱可塑性樹脂(A)を海部とし、熱可塑性樹脂(B)を島部とした海島構造を形成できればよい。熱可塑性樹脂(A)及び(B)が互いに非相溶性であるとは、熱可塑性樹脂(A)及び(B)を混合したときに単一相を形成しないことをいう。
熱可塑性樹脂(A)及び(B)としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂など)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−スチレン共重合体、超高分子量ポリオレフィン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、ブタジエン−スチレン共重合体(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など)、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなど)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとカルボン酸の縮合物など)、ポリウレタン系樹脂(熱可塑性ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなど)、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられ、互いに非相溶性を有し且つ海島構造を形成する熱可塑性樹脂を組み合わせて用いればよい。
熱可塑性樹脂(A)及び(B)の組合せとしては、ポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルの組合せが好ましく、熱可塑性樹脂(A)及び(B)が海島構造を形成し、海部を構成している熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネートであり且つ島部を構成している熱可塑性樹脂(B)がポリメタクリル酸メチルであることが好ましい。海島構造において、海部を構成している熱可塑性樹脂(A)と、島部を構成している熱可塑性樹脂(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(B)が少ないと、気泡の分布が偏在化し、多いと、海島構造が逆転するので、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して熱可塑性樹脂(B)5〜70重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましく、20〜30重量部が特に好ましい。
樹脂組成物を製造する方法としては、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合し、熱可塑性樹脂(A)及び(B)が特定の大きさの島部を有する海島構造を形成している樹脂組成物を製造することができればよく、例えば、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)を押出機に供給して溶融混練する方法が挙げられる。熱可塑性樹脂(A)及び(B)を押出機にて溶融混練する条件としては、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度よりも100℃以上高いシリンダー温度で剪断速度1000sec-1以上で混練することが好ましい。
樹脂組成物を所望形状に形成する方法としては、例えば、上述のように押出機を用いて製造された樹脂組成物を熱プレス機などの汎用の装置を用いて所望形状に成形する方法、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)を押出機に供給して溶融混練し、押出機の先端に取り付けたダイから押出して所望形状を有する樹脂組成物を製造する方法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法では、後述するように、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合して熱可塑性樹脂(A)及び(B)が海島構造を形成した樹脂組成物に発泡剤を含浸させた後、島部となっている熱可塑性樹脂(B)を発泡させることによって、極めて微細な気泡、好ましくは、平均気泡径が100nm以下の気泡を熱可塑性樹脂発泡体に全面的に生成させている。
従って、樹脂組成物の海島構造を構成している島部の大きさは、10nmより小さく分散させることは現状、技術的に困難であり、大きいと、気泡が粗大になるので、10〜800nmに限定され、10〜90nmがより好ましい。
樹脂組成物の海島構造を構成している島部の大きさは、樹脂組成物を染色し、輪郭を明確にした上で透過型電子顕微鏡によって測定し、島部を包囲し得る最小の真円の直径をいう。
島部となっている熱可塑性樹脂(B)を主に発泡させることから、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度の方が高いことが好ましい。
明確には解明されていないが、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度が、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度以上の温度であると、島部である熱可塑性樹脂(B)の発泡工程において、海部の熱可塑性樹脂(A)が島部の熱可塑性樹脂(B)と同等又は更に軟らかい状態となり、島部の熱可塑性樹脂(B)の発泡が海部の熱可塑性樹脂(A)によって規制されず、その結果、島部の熱可塑性樹脂(B)に生成される気泡径が粗大化する虞れがある。発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度との差が小さいと、島部の熱可塑性樹脂(B)の発泡を海部の熱可塑性樹脂(A)が十分に規制することができず、生成される気泡が粗大化することがあるので、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも20℃以上高いことが好ましく、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも25℃以上高いことがより好ましく、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも25〜50℃高いことが特に好ましい。なお、本発明において、発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、プラスチックの転移温度測定法(JIS K7121)に準拠して測定された温度をいう。
次に、得られた樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂組成物を製造する(含浸工程)。発泡剤としては、樹脂組成物を発泡させることができればよく、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素、酸素、ブタン、プロパン、空気などが挙げられ、二酸化炭素が好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
樹脂組成物に発泡剤を含浸させるときの圧力は、低いと、樹脂組成物に発泡剤を十分な量含浸させることができず、高いと、樹脂組成物の海島構造が崩れてしまい、発泡樹脂組成物に形成される気泡が粗大化し、気泡の均一性も低下する虞れがあるので、3〜20MPaが好ましく、5〜15MPaがより好ましい。
樹脂組成物に発泡剤を含浸させるときの温度は、低いほど好ましく、高いと、樹脂組成物の海島構造が崩れてしまい、発泡樹脂組成物に形成される気泡が粗大化し、気泡の均一性も低下する虞れがあるので、(発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度−150℃)〜(発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度−100℃)が好ましく、(発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度−130℃)〜(発泡剤を含浸させる前の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度−100℃)がより好ましい。
樹脂組成物に発泡剤を含浸させるときの時間は、短いと、樹脂組成物に発泡剤を含浸させることができないため、12時間以上が好ましく、24時間以上がより好ましい。
発泡剤の樹脂組成物への含浸は、樹脂組成物への発泡剤の含浸が不十分であると、樹脂組成物の中央部に未発泡領域が形成される虞れがあるので、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)のそれぞれに発泡剤が飽和溶解度に達するまで行うことが好ましい。なお、熱可塑性樹脂(A)又は熱可塑性樹脂(B)に発泡剤が飽和溶解度まで含浸しているか否かは下記の方法によって確認することができる。即ち、同じ厚みの樹脂組成物に対して発泡剤を含浸させる時間を1時間毎に増加させ、単位面積当たりの発泡剤の含浸量に増加がない場合を熱可塑性樹脂に発泡剤が飽和溶解度まで含浸しているとみなす。
次に、発泡性樹脂組成物の加圧状態を解除する。発泡性樹脂組成物に超音波を照射しながら、発泡性樹脂組成物を所定温度範囲に加熱して常圧下にて発泡させて発泡樹脂組成物を製造する(発泡工程)。
発泡性樹脂組成物の加熱方法としては、特に限定されず、例えば、遠赤外線加熱炉、熱風循環式加熱炉、ウォーターバス、オイルバスを用いた加熱方法などが挙げられ、発泡性樹脂組成物の加熱温度の急激な上昇及び低下を容易に制御することができることから、ウォーターバスを用いた加熱方法が好ましい。
明確に解明されてはいないが、本発明においては、発泡性樹脂組成物を発泡させる途上において、発泡性樹脂組成物に超音波を照射することによって、発泡性樹脂組成物の島部に気泡核が生成するための活性化エネルギーを低下させることができると考えられる。気泡核の生成に要する活性化エネルギーが低下する結果、発泡性樹脂組成物の島部には多数の気泡核が生成される。そして、発泡性樹脂組成物の島部に形成された気泡核が基点となり、それぞれの気泡核に、発泡性樹脂組成物に含浸させた発泡剤が分散した状態となって少しづつ流入して各気泡核が粗大になることなく成長し、得られる発泡樹脂組成物には、各気泡核を基点とした微細な気泡が全面的に略均一に形成される。
発泡性樹脂組成物に照射する超音波の周波数は、低いと、発泡性樹脂組成物の島部に気泡核が生成するための活性化エネルギーを十分に低下させることができず、島部に気泡核を十分に生成させることができないことがあり、高いと、樹脂組成物の温度が上昇して発泡ガスが樹脂組成物から拡散し、結果として気泡が生成されないことがあるので、100kHz〜1MHzが好ましく、0.5〜1MHzがより好ましい。
発泡工程において、発泡性樹脂組成物の加熱温度は、低いと、島部の気泡核が成長せず、高いと、海部を構成している熱可塑性樹脂(A)が軟らかくなり過ぎて、発泡に伴う島部の膨張を制御することができない結果、島部に形成された気泡核の成長を制御することができず、島部の気泡核の一部のみが大きくなり過ぎ、又は、島部の気泡核が成長して形成される気泡同士が合体して一つの気泡となって、得られる熱可塑性樹脂発泡体の気泡の粗大化を招くので、発泡性樹脂組成物の海部を構成している熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度をT1としたとき、T1℃〜(T1+35℃)に限定され、(T1+10℃)〜(T1+30℃)が好ましい。なお、発泡性樹脂組成物の加熱温度は、上述の温度範囲であれば、変動してもよいが、気泡核の成長が不安定となるので一定温度に保持することが好ましい。
発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、発泡剤が含浸されていない時に比して低くなる。例えば、二酸化炭素の含浸前後において、ポリカーボネートのガラス転移温度はそれぞれ150℃、35℃であり、ポリメタクリル酸メチルのガラス転移温度はそれぞれ110℃、12.5℃である。本発明において、発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、高圧示差走査熱量測定(高圧DSC)によって測定された温度をいう。
発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも、発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度の方が高いことが好ましい。発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は、発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度との差が小さいと、島部の熱可塑性樹脂(B)の発泡を海部の熱可塑性樹脂(A)が十分に制御することができず、生成される気泡が粗大化することがあるので、発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも15℃以上高いことが好ましく、発泡剤が含浸された熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度よりも20〜40℃高いことがより好ましい。
このように、発泡工程において、発泡性樹脂組成物を上述の温度範囲にて加熱することによって、海部を適度な軟らかさとし、この海部によって島部の気泡核が無秩序に膨張するのを規制しながら各気泡核を微細な大きさに均一に成長させることができ、その結果、各島部に微細な気泡を形成することができる。
発泡工程において、発泡性樹脂組成物を加熱、発泡させる時間は、短いと、島部の気泡核の成長が不十分となり、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低くなる虞れがあり、長いと、島部の気泡核の成長が過度に進行し又は気泡同士の合体によって気泡の粗大化が生じる虞れがあるので、1〜60秒に限定され、1〜50秒が好ましい。
次に、発泡工程において得られた発泡樹脂組成物を常圧下にて所定温度に冷却して島部の発泡を停止させて熱可塑性樹脂発泡体を製造する(冷却工程)。発泡樹脂組成物の冷却温度は、高いと、島部の発泡を停止させることができず、気泡の粗大化を生じるので、発泡樹脂組成物の海部を構成している熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度をT1としたとき、T1℃未満に限定され、低すぎると、常温、大気圧に戻った時に熱可塑性樹脂発泡体が変形することがあるので、(T1−50℃)以上で且つT1℃未満が好ましい。
冷却工程において、発泡樹脂組成物を冷却する時間は、短いと、島部の発泡を停止させることができず、気泡の粗大化を生じるので、300秒以上が好ましく、300〜900秒がより好ましく、500〜700秒が特に好ましい。
熱可塑性樹脂発泡体の平均気泡径は、大きいと、熱可塑性樹脂発泡体の引張弾性率などの機械的強度が低下するので、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、小さすぎても、熱可塑性樹脂発泡体の引張弾性率などの機械的強度が低下することがあるので、10〜100nmが特に好ましく、30〜70nmが最も好ましい。
なお、熱可塑性樹脂発泡体の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠して測定された値をいう。具体的には、熱可塑性樹脂発泡体を任意の箇所にて切断し、この切断面のSEM写真を倍率150000倍にて撮影し、SEM写真上に互いに直交し且つ実寸法の長さ600nmに相当する長さを有する二本の直線を描き、各直線上に位置する気泡の長さtを測定し、全ての気泡の長さtの相加平均値t0を算出する。SEM写真の倍率をM(倍)として、下記式に基づいて、熱可塑性樹脂発泡体の平均気泡径を算出する。
平均気泡径=t0/(0.616×M)
熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、薄いと、熱可塑性樹脂発泡体の機械的強度が低下することがあるので、300μm以上が好ましく、400μm〜700μmがより好ましい。熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、ダイヤルゲージによって測定された値をいう。
熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、低いと、熱可塑性樹脂発泡体の引張弾性率が低下し、高いと、熱可塑性樹脂発泡体の弾性率(機械的強度)が低下するので、1.05〜2.5倍が好ましい。
なお、熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は下記の要領で測定された値をいう。先ず、熱可塑性樹脂発泡体の比重ρfをJIS K7122に準拠して水中置換法によって測定する。熱可塑性樹脂発泡体を構成している熱可塑性樹脂の比重ρsを算出する。熱可塑性樹脂発泡体を構成している熱可塑性樹脂の比重ρsは、熱可塑性樹脂発泡体を構成している熱可塑性樹脂をR1〜Rnとし、熱可塑性樹脂R1〜Rnの比重をそれぞれρ1〜ρn、含有量をそれぞれW1〜W2(重量%)としたとき、下記式によって算出された値をいう。熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、ρsをρfで除した値をいう。
Figure 0005946763
熱可塑性樹脂発泡体の引張弾性率は、1300〜2500MPaが好ましい。なお、熱可塑性樹脂発泡体の引張弾性率は、JIS K7161によって測定された値をいう。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、上述の如き構成を有しており、二種類の熱可塑性樹脂(A)及び(B)を島部となる熱可塑性樹脂(B)の大きさが所定大きさとなるように混合して海島構造を有する樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂組成物を製造し、この発泡性樹脂組成物に超音波を照射しながら所定温度にて発泡させていることから、微細な気泡を有する熱可塑性樹脂発泡体を容易に製造することができる。
得られた熱可塑性樹脂発泡体は微細な気泡を有しているので、発泡倍率が同じ従来の熱可塑性樹脂発泡体に比して引張弾性率などの機械的強度に優れており、照明用の光反射板、看板、ディスプレイ、建築材料などに好適に用いることができる。特に、熱可塑性樹脂発泡体は、微細な気泡を多数有しているので光反射性に優れており、光反射板に好適に用いることができる。
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A)としてポリカーボネート(PC、帝人化成社製 商品名「パンライト(グレード:1250Y)」、ガラス転移温度Tg:150℃、比重:1.19)100重量部と、熱可塑性樹脂(B)としてポリメタクリル酸メチル(PMMA、三菱レイヨン社製 商品名「アクリペット(グレード:VH001)」、ガラス転移温度Tg:110℃、比重:1.19)25重量部を押出機に供給してシリンダー温度280℃にて剪断速度1000sec-1の条件下にて溶融混練して押出機(スクリュー径:φ20mm、スクリュー長/スクリュー径=25)から押出して樹脂組成物を製造した。樹脂組成物は、ポリカーボネートを海部とし且つポリメタクリル酸メチルを島部とした海島構造を有しており、島部の大きさが20〜40nmであった(混合工程)。得られた樹脂組成物を汎用の熱プレス機を用いて280℃にてプレスすることによって厚みが500μmの樹脂シートに成形した。
得られた樹脂シートを耐圧容器内に供給し、耐圧容器内の空気を二酸化炭素によって置換した上で、耐圧容器内に23℃にて二酸化炭素を10MPaの圧力となるように圧入して24時間に亘って放置し、樹脂シートのポリカーボネート及びポリメタクリル酸メチルのそれぞれに二酸化炭素を飽和溶解度に達するまで含浸させて発泡性樹脂シートを製造した(含浸工程)。
耐圧容器内の加圧状態を解除して発泡性樹脂シートを耐圧容器内から取り出した。発泡性樹脂シートを構成しているポリカーボネートのガラス転移温度は35℃、ポリメタクリル酸メチルのガラス転移温度は12.5℃であった。
次に、発泡性樹脂シートを45℃の水中に浸漬して加熱すると共に、水中に配設している超音波振動子を用いて発泡性樹脂組成物に950kHzの超音波を照射して、発泡性樹脂シートを水中にて50秒間に亘って発泡させて発泡樹脂シートを製造した(発泡工程)。発泡樹脂シートを5℃に設定したウォーターバスに供給して600秒間に亘って冷却して熱可塑性樹脂発泡シートを得た(冷却工程)。
(実施例2)
超音波の周波数を850kHz、水の温度を65℃、発泡性樹脂シートを水中にて10秒間に亘って発泡させたこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂発泡体を得た。
(比較例1)
発泡工程において、水の温度を70℃とし、発泡性樹脂組成物に超音波を照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂発泡体を得た。
(比較例2)
発泡性樹脂組成物に超音波を照射しなかったこと、水の温度を65℃としたこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂発泡体を得た。
得られた熱可塑性樹脂発泡シートについて、平均気泡径、厚み、比重及び発泡倍率を上述の要領で、引張弾性率及び全光線反射率を下記の要領で測定し、その結果を表2に示した。なお、比較例4の熱可塑性樹脂発泡シートについては、気泡を確認することができなかった。
(引張弾性率)
熱可塑性樹脂発泡シートの引張弾性率をJIS K7127(プラスチック 引張特性の試験方法:第3部:フィルム及びシートの試験条件)に準拠して測定した。
(全光線反射率)
熱可塑性樹脂発泡シートにおいて、400〜1200nmの波長における全光線反射率を分光光度計(日立ハイテク社製 商品名「U−4100」)を用いて測定した。なお、熱可塑性樹脂発泡シートの全光線反射率は、酸化アルミニウムの微粉末を固めた白板の全光線反射率を100%とした。
Figure 0005946763

Figure 0005946763

Claims (3)

  1. 互いに非相溶性である熱可塑性樹脂(A)100重量部及び熱可塑性樹脂(B)5〜70重量部を混合して、熱可塑性樹脂(A)を海部、熱可塑性樹脂(B)を島部とし且つ島部の大きさが10〜800nmである海島構造を有する樹脂組成物を製造する混合工程と、上記樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡性樹脂組成物を製造する含浸工程と、上記発泡性樹脂組成物に超音波を照射しながら、上記発泡性樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度以上で且つガラス転移温度よりも35℃高い温度以下にて上記発泡性樹脂組成物を1〜60秒間に亘って保持し上記発泡性樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂組成物を製造する発泡工程と、上記発泡樹脂組成物における上記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度未満に上記発泡樹脂組成物を冷却する冷却工程とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂(A)がポリカーボネートで且つ熱可塑性樹脂(B)がポリメタクリル酸メチルである共に、発泡剤が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 超音波の周波数が100kHz〜1MHzであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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