JP5945036B1 - 手袋及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに異なる弾性材料でそれぞれ形成された2以上の層を積層した手袋であって、当該手袋の使用目的に照らして、これら弾性材料の層境界が不十分な程度の結合力しか持ちえない場合に、これら弾性材料を積層しつつも層間剥離が発生しにくい手袋を実現する。【解決手段】当該手袋の手指寄りの位置に第1種弾性材料で形成した第1層と、当該第1層の外側に第2種弾性材料を積層して形成した第2層と、を備え、前記第2層の伸び率は、前記第1層の伸び率と略同等であることを特徴とする手袋。【選択図】図1

Description

本技術は、手袋及びその製造方法に関する。
従来、耐電性ある絶縁性作業用手袋としては、天然ゴム製のものが一般的であり、一部ではポリウレタン製のものも用いられている。耐電性ある絶縁性作業用手袋に係る技術として、特許文献1,2に係るものが開示されている
特許文献1には、布手袋と、布手袋外表面に形成された発泡ゴムラテックス凝固層と、発泡ゴムラテックス層の表面に0.4〜0.5mm厚で形成された固状ゴム被膜とを有する耐電性手袋が開示されている。発泡ゴムラテックス凝固層は凝固剤を付着させた布手袋を起泡性天然ゴムラテックスの中に浸漬して形成される。固状ゴム被膜は発泡ゴムラテックス凝固層の表面に天然ゴムラテックスとイソプレンゴムラテックスを主成分とする配合ブレンドゴムラテックス中に浸漬して形成される。特許文献1に係る耐電性手袋によれば、天然ゴム被膜に水中での耐電性を付与することができる。
特許文献2には、手指側の最下層に設けたウレタン系エラストマーの乾式層、その上に設けた芳香族ビニル化合物系ブロックを有するブロック共重合体を含有する熱可塑性エラストマー組成物層、その上に設けたウレタン系エラストマーの乾式層、を有する3層構造の絶縁性手袋が開示されている。熱可塑性エラストマー組成物層を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレンが例示されている。特許文献2に係る絶縁性手袋によれば、電気絶縁性に加えて、耐油性、耐寒性を実現することができる。
特開平3−161501号公報 特開2012−162844号公報
ここで、天然ゴム製の電気絶縁性手袋は、柔らかくて使用感が良いというメリットがある反面、耐摩耗性が悪いというデメリットがあり、また、耐油性が悪いため油作業に適さないというデメリットもある。その一方で、ポリウレタン製の電気絶縁性手袋は、耐油性や耐薬品性が良好で油作業に適する。ただし、耐摩耗性を高くするには硬いウレタン素材を選択する必要があり、この場合、風合いが硬くて使用感が悪くなるというデメリットがある。
従って、理論的には、天然ゴムとポリウレタンとを貼り合せるように積層させて、天然ゴムで手指側の層を構成させ、ポリウレタンで対物側の層を構成させれば、天然ゴムとポリウレタンの双方の特性を併せ持つ理想的な電気絶縁性手袋を実現することができる。しかしながら、積層された天然ゴムとポリウレタンとの結合力は手袋を所定の使用方法で使用したときに手袋に加わる応力に対抗するには不十分な程度であり、耐摩耗性の高いポリウレタンと、良好な使用感を持つ柔軟性の高い天然ゴムとを積層させると、層間剥離が発生しやすく所定の使用方法に耐え得る手袋を実現することができなかった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、互いに異なる弾性材料でそれぞれ形成された2以上の層を積層した手袋であって、当該手袋の使用目的に照らして、これら弾性材料の層境界が不十分な程度の結合力しか持ちえない場合に、これら弾性材料を積層しつつも層間剥離が発生しにくい手袋を実現することを目的とする。
本発明の態様の1つは、当該手袋の手指寄りの位置に第1種弾性材料で形成した第1層と、当該第1層の外側に第2種弾性材料を積層して形成した第2層と、を備え、前記第2層の伸び率は、前記第1層の伸び率と略同等であることを特徴とする手袋である。
このように構成された手袋においては、第1層と第2層とは互いに異なる第1種弾性材料と第2種弾性材料とで形成されているものの伸び率が略同等であり、第1種弾性材料と第2種弾性材料の間の結合力が低い場合であっても、第1層と第2層の弾性変形が互いに追随しやすい。これにより、第1層と第2層の間で層間剥離が発生しにくくなる。従って、互いに異なる特性を有する第1種弾性材料で形成された層と第2種弾性材料で形成された層とを積層させて作成する手袋において、これら弾性材料を積層させて双方の特性を兼ね備えつつも層間剥離を起こしにくい手袋を実現することができる。
また、本発明の選択的な態様の1つは、前記第2層の外側に前記第2層よりも伸び率が低い第3種弾性材料で形成された第3層を更に備え、前記第2層は、前記第3層との間の結合力が、前記第1層との間の結合力に比べて強いことを特徴とする手袋である。
このように構成された手袋においては、第1層と第3層は伸び率が互いに異なっており、直接に結合させると、手袋の所定の使用目的に照らした使用状況において、層間剥離が生じやすい。ただし、第3層は、第2層を介して第1層に接続されており、第1層と第2層は、上述したように互いに異なる第1種弾性材料と第2種弾性材料とで形成されているものの伸び率が略同等である。また、第3層と第2層の間の結合力は、第1層と第2層の間の結合力よりも強い。このため、第3層と第1層という結合力が低く伸び率が異なる2種類の弾性材料を、第2層を介在させることにより、層間剥離が発生しにくい状態に積層することができる。
また、本発明の選択的な態様の1つは、前記第1層と前記第2層の間の結合においては機械的結合が支配的であり、前記第2層と前記第3層の間の結合においては化学的結合が支配的であることを特徴とする手袋である。異種材料界面の結合は、化学的結合、物理的結合及び機械的結合の3つの結合に分類され、物理的結合は全ての異種材料の界面において作用しているが、化学的結合と機械的結合は各界面に応じて影響度合いが異なる。
このように構成された手袋においては、各層の材料選択の自由度を比較的高くすることができる。すなわち、一般に樹脂材料の結合において化学的結合を支配的にするためには接着させる樹脂同士の極性が近くなるように材料選択する必要があるところ、極性の近い材料は伸び率や耐摩耗性も似通ってくる傾向があるため、双方とも化学的結合が支配的になるようにすると、材料選択の余地が大きく狭められてしまう。これに対し、一方の層間結合の結合力において化学的結合を支配的にしつつ、他方の層間結合の結合力については機械的結合を支配的にしてよければ、第1層と第3層の材料選択時に極性を考慮せずに済むため、材料選択の余地が大きくなる。なお、層間結合の結合力において支配的とは、当該層間結合の結合力に占める割合が半分以上である状態を表すものとする。
また、本発明の選択的な態様の1つは、前記第1種弾性材料は、天然ゴムであり、前記第2種弾性材料は、前記第1種弾性材料と略同等の伸び率を有するポリウレタンであり、前記第3種弾性材料は、前記第1種弾性材料よりも伸び率が低いポリウレタンであることを特徴とする手袋である。
このように構成された手袋においては、手袋の表面側と使用者の手指側とで互いに異なる耐油性を具体的に実現することができる。すなわち、第1層と第3層のうち、油と接触する率の高い第3層を比較的高い耐油性を持つ第3種弾性材料としてのポリウレタンで形成し、油と接触する率の低い第1層を比較的低い耐油性を持つ第1種弾性材料としての天然ゴムで形成する。これにより、使用者の手指に対する面を柔らかくて使用感を良好にしつつも、対象物に対する面についてはポリウレタンで高い耐油性と耐摩耗性とを実現することができる。
また、本発明の選択的な態様の1つは、当該手袋の表面には、当該手袋の表面を構成する材料よりも滑り性の高い粒子が埋め込み固定されていることを特徴とする手袋である。
このように構成された手袋においては、手袋の表面に滑り性の高い粒子が埋め込み固定されていることにより、手袋の表面と作業対象物との間の摩擦係数が低下する。これにより、手袋に加わる応力が緩和され、第1層と第2層の間に加わる層間剥離力自体を緩和することができる。また、手袋の表面に加わる摩擦力が低下して擦過による手袋表面の損耗が低減され、手袋の耐久性が向上する。
また、本発明の選択的な態様の1つは、手型に第1種弾性材料としての天然ゴムを被層せしめて第1層を形成する工程と、前記第1層の上に前記第1種弾性材料と伸び率が略同等である第2種弾性材料としてのポリウレタンを被層せしめて第2層を形成する工程と、
を含んで構成される、手袋の製造方法である。このような手袋の製造方法によれば、上述した手袋を作成することができる。
なお、上述した手袋は、他の物品と組み合わせた状態で実施される等の各種の態様を含み、上述した手袋の製造方法は、他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は、上述した手袋の製造方法を実施するための手袋の製造装置としても実現可能である。
請求項1に係る発明によれば、第1層と第2層とは互いに異なる天然ゴムポリウレタンとで形成されているものの伸び率が略同等であり、天然ゴムポリウレタンの間の結合力が低くても、第1層と第2層の弾性変形が互いに追随しやすい。これにより、第1層と第2層の間で層間剥離が発生しにくくなる。従って、互いに異なる特性を有する天然ゴムで形成された層とポリウレタンで形成された層とを積層させて作成する手袋において、これら弾性材料を積層させて双方の特性を兼ね備えつつも層間剥離を起こしにくい手袋を実現することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1層と第3層は伸び率が互いに異なっており、直接に結合させると、手袋の所定の使用目的に照らした使用状況において、層間剥離が生じやすい。ただし、第3層は、第2層を介して第1層に接続されており、第1層と第2層は、上述したように互いに異なる天然ゴムポリウレタンとで形成されているものの伸び率が略同等である。一方、第2層と第3層はいずれもポリウレタンで形成されているものの伸び率が互いに異なり、略同等ではない。従って、第3層と第2層の間の結合力は、第1層と第2層の間の結合力よりも強い。このため、第3層と第1層という結合力が低く伸び率が異なる2種類の弾性材料を、第2層を介在させることにより、層間剥離が発生しにくい状態に積層することができる。
請求項に係る発明によれば、手袋の表面に滑り性の高い粒子が埋め込み固定されていることにより、手袋の表面と作業対象物との間の摩擦係数が低下する。これにより、手袋に加わる応力が緩和され、第1層と第2層の間に加わる層間剥離力自体を緩和することができる。また、手袋の表面に加わる摩擦力が低下して擦過による手袋表面の損耗が低減され、手袋の耐久性が向上する。
請求項の発明によれば、上述した手袋を作成することができる。
また、請求項5に係る発明によれば、第1層と第2層とは互いに極性の有無が異なる第1種弾性材料と第2種弾性材料とで形成されているものの伸び率が略同等であり、第1種弾性材料と第2種弾性材料の間の結合力が低いが、第1層と第2層の弾性変形が互いに追随しやすい。これにより、第1層と第2層の間で層間剥離が発生しにくくなる。従って、互いに極性の有無が異なる第1種弾性材料で形成された層と第2種弾性材料で形成された層とを積層させて作成する手袋において、これら弾性材料を積層させて双方の特性を兼ね備えつつも層間剥離を起こしにくい手袋を実現することができる。
また、請求項6に係る発明によれば、第1層と第2層とは互いに極性の有無が異なる第1種弾性材料と第2種弾性材料とで形成されているものの伸び率が略同等であり、第1種弾性材料と第2種弾性材料の間の結合力が低いが、第1層と第2層の弾性変形が互いに追随しやすい。これにより、第1層と第2層の間で層間剥離が発生しにくくなる。その一方で、第3層は、第2種弾性材料で形成されているため第1層とは極性の有無が互いに異なるものの第2層とは極性の有無が一致している。ただし、第1層と第2層は伸び率が略同等であるものの、第1層及び第2層と第3層とは伸び率が互いに異なる。従って、第3層と第2層とは互いに馴染みやすく、第3層と第2層の間の結合力は、第1層と第2層の間の結合力よりも強い。このため、第3層と第1層という結合力が低く伸び率が異なる2種類の弾性材料を、第2層を介在させることにより、層間剥離が発生しにくい状態に積層することができる。
第1の実施形態に係る手袋の構造を説明する図である。 第1の実施形態に係る手袋の製造方法の流れを示す図である。 第1の実施形態に係る手袋の製造方法の流れを示す図である。 第2の実施形態に係る手袋の構造を説明する図である。 第2の実施形態に係る手袋の製造方法の流れを示す図である。 第2の実施形態に係る手袋の製造方法の流れを示す図である。 各種特性について実施例に係る手袋と従来品とを対比した比較試験の結果を示す図である。
以下、下記の順序に従って本発明を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第1の実施形態に係る手袋の製造方法:
(3)第2の実施形態:
(4)第2の実施形態に係る手袋の製造方法:
(1)第1の実施形態:
図1は、本実施形態に係る手袋100の構造を説明する図である。同図に示す手袋100は、手袋100の手指寄りの位置(装着時に手指寄りとなる位置)に第1種弾性材料で形成した第1層110と、第1層110の外側に第2種弾性材料を積層して形成した第2層120と、を備えている。
第1種,第2種弾性材料としては、ゴムや熱可塑性エラストマーなどを特に限定なく用いることができる。具体例としては、ポリウレタン系エラストマーやウレタンゴム等のウレタン系樹脂、アクリル系ゴム等のアクリル系樹脂、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ニトリル系ゴム、オレフィン系ゴム、フッ素ゴム、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ハロゲン系エラストマーなどが挙げられる。
手袋100を構成する第1層110と第2層120とは相溶性に乏しく結合力が低い。第1層110と第2層120の少なくとも一方は、その表面に極性基を殆ど有さないため、第1層110と第2層120の間の結合は、化学的結合(分子結合、イオン結合、共有結合、金属結合、配位結合等)に乏しく、主に機械的結合(凹凸形状の絡まり合いによるアンカー効果等)により接着されている。
複数の樹脂層を積層して形成したゴム製品では、当該ゴム製品を伸長させる等の応力を加えると、層境界に隣接する各層の伸び率の違いに応じた層間剥離力が当該層境界に発生する。本実施形態に係る手袋100は、第1層110と第2層120とで伸び率を略同等としてあるため、手袋100を伸長させる等の応力を加えても第1層110と第2層120の層境界に発生する層間剥離力が非常に小さくて済む。
このように、互いに異なる特性を有する2種類の弾性材料でそれぞれ形成された第1層110と第2層120を積層させて作成する手袋100であって、これら2種類の弾性材料の層境界に、手袋100の使用目的に照らして不十分な程度の接合力しか持ちえない場合に、これら2種類の弾性材料を積層させて双方の特性を兼ね備えつつも層間剥離を起こしにくい手袋を実現することができる。
以下、手袋100の実施例について説明する。
本実施例では、第1層110を構成する第1種弾性材料として天然ゴムNR10を採用し、第2層120を構成する第2種弾性材料としてポリウレタンPU10を採用してある。
天然ゴムNR10は、一定の基準(例えば、労働安全衛生法に定める厚生労働省型式検定等)に適合する耐電圧性を具備する。また、ポリウレタンPU10も同様の耐電圧性を具備する。ポリウレタンPU10については、種々の構造特性を持つ水系ポリウレタン樹脂の中から伸び率が第1層110の天然ゴムNR10に近いものを選択する。
伸び率は、後述するように一定の条件下において規定速度で引っ張られた試験片が破断した時の長さにより定義される。ポリウレタンPU10としては、天然ゴムNR10の伸び率をxとすると、概ねx±100%の範囲の伸び率を有する水系ポリウレタン樹脂を用いると好ましく、x±50%の範囲の伸び率を有する水系ポリウレタン樹脂を用いると更に好ましい。なお、天然ゴムNR10の伸び率xとしては750〜1000%のものが好適に用いられる。
ポリウレタンは極性を有するのに対し、天然ゴムは極性を有さない。従って、天然ゴムとポリウレタンの間の結合力は、機械的結合が支配的であり、天然ゴムとポリウレタンを積層させた層境界は結合力が小さく耐層間剥離力が低い。なお、層境界の結合力において支配的とは、当該層間結合の結合力に占める割合が半分以上である状態を表すものとする。
従って、第1層110を構成する天然ゴムNR10と第2層を構成するポリウレタンPU10の層境界は耐層間剥離力が低いが、ポリウレタンPU10として伸び率が天然ゴムNR10と略同等のポリウレタンを採用してあるため、ポリウレタンPU10が天然ゴムNR10の弾性変形に追随して弾性変形し、手袋100を伸長させる等の応力を加えた際に層境界に発生する層間剥離力を緩和することができる。すなわち、手袋100は、天然ゴムNR10とポリウレタンPU10の間の層間剥離力を緩和する緩和構造を備えていると言える。
本実施例に係る手袋100は、その手指に当接する側の面(天然ゴムNR10の内面側)に滑り加工処理を施した滑り処理層130が形成されている。滑り加工処理としては、例えば天然ゴムNR10の塩素化処理がある。手袋100の手指に当接する側の面に滑り性を付与することにより、極めて離型性、着脱性が良好となる。
ポリウレタンPU10及び天然ゴムNR10はそれぞれ異なる色に着色されており、例えば、ポリウレタンPU10は青色に着色し、天然ゴムNR10はピンク色に着色する。これにより、ポリウレタンPU10が摩耗すると手袋100表面側から見える色が青色からピンク色に変化し、ポリウレタンPU10の摩耗タイミングを手袋100表面側から視覚的に容易に把握することができる。
手袋100は、その対象物に当接する側の表面(ポリウレタンPU10の外面側)に滑り加工を施してある。滑り加工としては、例えば、手袋100の表面に滑り性の高い粒子としてのアクリル粒子等の摩擦係数の小さい粒子(低摩擦係数材140)を埋め込み状に固定する加工がある。アクリル粒子の埋め込み加工は、アクリル粒子を予め混入したポリウレタン溶液をゴム手袋表面に塗布することにより実現できる。手袋100の表面に滑り加工を施すことにより、手袋100の表面の摩擦力によって第1層110と第2層120の層境界に発生する層間剥離力が緩和され、第1層110と第2層120の層間剥離が発生しにくくなる。
(2)第1の実施形態に係る手袋の製造方法:
図2,図3は、手袋100の製造方法の流れを示す図である。
まず、手型Hをオーブン等の加熱器で加熱(60℃等)する(図2(a)、図3(a)参照)。そして、加熱した手型Hを凝固液に一定時間浸漬させて引き上げた後、乾燥機等を用いて乾燥させる。これにより、手型H表面の所望の範囲に凝固剤が付着する。凝固剤液は、凝固剤成分と担体成分とを含有する。凝固剤成分としては硝酸カルシウムや塩化カルシウムが例示される。担体成分としては、クレーやタルクが例示される。
次に、表面に凝固剤が付着した手型Hを天然ゴム配合液に一定時間浸漬させて引き上げて乾燥させる(図2(b)、図3(b)参照)。これにより、凝固剤が付着していた手型表面に沿って天然ゴムの被膜が形成される。この天然ゴムの被膜が上述した第1層110に相当する。この天然ゴムを付着させる工程は、必要とするゴム厚み(厚み0.6〜0.7mm程度)に応じて複数回繰り返し行う。その後、温水(例えば、40〜50℃の湯)に浸漬した後、引き上げて天然ゴム層を乾燥させる。これにより、ゴム中の不純物や凝固剤、担体成分等を除去することができる。
次に、表面に天然ゴムの被膜を形成された手型Hを水系ポリウレタン樹脂の溶液に浸漬して引き上げる(図2(c)、図3(c)参照)。そして、60℃程度の温度で乾燥することにより厚み0.1〜0.2mm程度の非発泡ポリウレタン被膜を天然ゴム被膜の上に積層形成することができる。この非発泡ポリウレタンの被膜が上述した第2層120に相当する。第2層120を形成する水系ポリウレタン樹脂には、アクリル粒子等の低摩擦係数材140を混ぜた水系ポリウレタン樹脂を使用する等、必要に応じてアクリル粒子等の低摩擦係数材140を表面付近に埋め込み固定する。これにより、手袋100の表面に摩擦係数の低下により滑り性が付与される。
次に、手袋100(特に天然ゴム層の表面)に対して塩素化処理を行う(図2(d)、図3(d)参照)。具体的には、上述した各工程を経て作成された手袋を手型Hから取外し、水、次亜塩素酸ナトリウムを入れた浴槽に投入して撹拌する。撹拌終了後、35%の塩酸を浴槽に投入して、さらに10分間程度撹拌して放置する。その後、塩酸を20%苛性ソーダで中和した後、水等で表面を洗浄して乾燥させる。これにより、手袋100の第1層110の表面に十分な滑り性を持つ滑り処理層130を形成することができる。以上の工程により手袋100を製造することができる。
(3)第2の実施形態:
図4は、本実施形態に係る手袋1の構造を説明する図である。同図に示す手袋1は、第1種弾性材料で形成された第1層10と、第1層10よりも外側に設けられて第3種弾性材料で形成された第3層30と、第1層10と第3層30の間に介在するように第2種弾性材料で形成された第2層20と、を備えている。
第1種〜第3種弾性材料としては、ゴムや熱可塑性エラストマーなどが特に限定なく用いられる。具体例としては、例えば、ポリウレタン系エラストマーやウレタンゴム等のウレタン系樹脂、アクリル系ゴム等のアクリル系樹脂、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ニトリル系ゴム、オレフィン系ゴム、フッ素ゴム、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ハロゲン系エラストマーなどが挙げられる。
第1層10と第3層30とは、互いに異なる伸び率を有している。なお、本実施形態では、第1層10が第3層30よりも高い伸び率を有している場合を例にとり説明を行う。第1層10と第3層30は、伸び率以外の点において互いに異なる特性を有しており、本実施形態においては、第1層10は柔軟性の高い材料で形成され、第3層30は耐摩耗性の高い材料で形成されている場合を例にとり説明を行う。ただし、第1層10が備える特性は柔軟性に限るものではなく、第3層30が備える特性も耐摩耗性に限るものではない。
第1層10は、第3層30に比べて一定量の弾性変形に要する応力が小さく、応力に対する弾性変形速度が大きい。従って、第1層10と第3層30とを直接に接触させた状態で積層して第1層10と第3層30とを伸長させる応力を加えると、第1層10と第3層30の層境界に第1層10と第3層30の伸び率の違いに応じた層間剥離力が発生する。
この層間剥離力を緩和するべく、第1層10と第3層30の間に第2層20を介在させてある。第2層20は、その伸び率が第3層30よりも第1層10に近くなるように材料選択される。なお、第2層20の伸び率は、第3層30よりも第1層10に近ければ、第1層10と略同等としてもよいし第1層10より小さくてもよいし第1層10より大きくてもよい。
第2層20は、その伸び率が第3層30よりも第1層10に近いため、第3層30に比べて一定量の弾性変形に要する応力が小さく、応力に対する弾性変形速度が大きい。このため、第2層20は、第3層30に比べて第1層10の弾性変形に対する追随性が高い。従って、第1層10と第2層20の層境界に発生する層間剥離力は、第1層10と第3層30を直接に接触させた状態で積層した層境界に発生する層間剥離力に比べて緩和される。
一方、第2層20を構成する第3種弾性材料は、第3層30と第2層20との間の結合力が、第1層10と第3層30を直接に接触する状態で積層させた場合の第1層10と第3層30の間の結合力に比べて強くなるように材料選択されている。
例えば、第1層10と第3層30を直接に接触する状態で積層させた場合の第1層10と第3層30の間の結合力は、手袋1をその使用目的に適合する所定の使用方法で使用したときに、これら層境界に働く力によって層間剥離が容易に発生する程度の結合力であり、第3層30と第2層20との間の結合力は、同じく所定の使用方法で使用したときに、これら層境界に働く力によって層間剥離が発生しない程度の結合力である。
このような結合力としては、例えば第3層30と第2層20との間の結合力において化学的結合(分子結合、イオン結合、共有結合、金属結合、配位結合等)による結合力が支配的であり、第1層10と第3層30を直接に接触する状態で積層させた場合の第1層10と第3層30の間の結合力においては機械的結合(凹凸形状の絡まり合いによるアンカー効果等)が支配的である、等の組み合わせが挙げられる。なお、本実施形態において、層間結合の結合力において支配的とは、当該層間結合の結合力に占める割合が半分以上である状態を表すものとする。
このように、本実施形態に係る手袋1においては、第3層30と第2層20との間の結合力を比較的強くする一方で、第1層10と第2層20との間の結合力は、第3層30と第2層20との間の結合力ほど強くしていない。これは、第3層30よりも第2層20の柔軟性が高いことにより、第2層20の第1層10の弾性変形に対する追随性が高く、結合力が比較的弱くても第1層10との剥離が生じにくいためである。従って、第1層10と第2層20との間の結合を例えば物理的接合接着による結合力が支配的となるように選択することができる。
すなわち、第2層20は、第3層30と強固な結合力で結合する材料でありつつ、第3層30よりも柔軟性の高い材料で形成されており、第1層10と接合した場合に剥離が生じやすい第3層30と剥離しにくく、柔軟性が高く弾性変形速度の高い第1層10の弾性変形に対して高い追随性を示す。これにより、結合力の弱い第1層10との間の剥離もしにくく、いわば、第2層20は、第1層10と第3層30との間で層間剥離力を緩和する層間剥離力緩和層として機能する。
以下、手袋1の実施例について説明する。
本実施例では、第1層10を構成する第1種弾性材料として天然ゴムNRを採用し、第3層30を構成する第3弾性材料としてポリウレタンPU1を採用し、第2層20を構成する第2種弾性材料としてポリウレタンPU2を採用してある。
天然ゴムNRは、一定の基準(例えば、労働安全衛生法に定める厚生労働省型式検定等)に適合する耐電圧性を具備する。また、ポリウレタンPU1も同様の耐電圧性を具備する。ただし、耐電圧性を具備するウレタン素材は硬くなる。
ここで、ポリウレタンは極性を有するのに対し、天然ゴムは極性を有さない。ポリウレタンの表面には化学的結合を行うのに必要な極性基が有るのに対し、天然ゴムの表面には化学的結合を行うのに必要な極性基が殆ど無いためである。
従って、ポリウレタンPU1とポリウレタンPU2との間の結合においては、化学的結合が支配的になり、ポリウレタンPU1と天然ゴムNRの間及びポリウレタンPU2と天然ゴムNRの間の結合力は、機械的結合が支配的になる。すなわち、ポリウレタンPU1とポリウレタンPU2とを積層すると互いに強固に結合されるため耐層間剥離力が強く、ポリウレタンPU1と天然ゴムNRを積層した場合やポリウレタンPU2と天然ゴムNRを積層した場合は結合力が小さいため耐層間剥離力が低い。
このように、ポリウレタンPU1とポリウレタンPU2は、いずれも天然ゴムNRとの結合力が弱く耐層間剥離力が低いが、ポリウレタンPU2には伸び率の高いポリウレタンを採用してある。具体的には、ポリウレタンPU2は、天然ゴムNRの伸び率をxとすると、概ねx±100%の範囲の伸び率を有する水系ポリウレタン樹脂が好適であり、x±50%の範囲の伸び率を有する水系ポリウレタン樹脂を用いると更に好適である。なお、天然ゴムNRの伸び率xとしては750〜1000%のものが好適に用いられる。ポリウレタンPU1は、伸び率に関係なく様々なポリウレタンを採用可能であり、例えば耐摩耗性等の必要な機能的特性を持つポリウレタンを選択できる。
すなわち、ポリウレタンPU2は、耐摩耗性の高いポリウレタンPU1と柔軟性の高い天然ゴムNRの間において、柔軟性については天然ゴムNRの弾性変形に追随して天然ゴムNRとポリウレタンPU1との間の剥離を防止可能な程度の柔軟性を具備しつつ、結合力についてはポリウレタンPU1に強固に結合してポリウレタンPU1と天然ゴムNRの間の接合を維持させる応力緩和層として機能する。
これにより、手指に当接する側には柔軟性ある天然ゴムNRが配置されるとともに、物に当接する側には耐摩耗性あるポリウレタンPU1が配置され、これら天然ゴムNRとポリウレタンPU1の相対的な位置関係をポリウレタンPU2が維持させる。
なお、本実施例に係る手袋1は、その手指に当接する側の面(天然ゴムNRの内面側)に滑り加工処理が施されている。滑り加工処理としては、例えば塩素化処理があり、天然ゴムNRを塩素化して滑り性を付与した滑り処理層50を設けて、極めて離型性、着脱性の良い手袋を実現することができる。また、ポリウレタンPU1,PU2及び天然ゴムNRはそれぞれ異なる色に着色されており、例えば、ポリウレタンPU1,PU2は水色に着色し、天然ゴムNRはピンク色に着色する。これにより、ポリウレタンPU1,PU2が摩耗すると手袋1表面側から見える色が水色からピンク色に変化し、ポリウレタンPU1,PU2の摩耗タイミングを手袋1表面側から容易に視覚的に把握することができる。
また、本実施例に係る手袋1は、その対象物に当接する側の表面(ポリウレタンPU1の外面側)に滑り止め加工を施して滑り止め層40を形成してある。例えば、ゴム粉を予め混入したポリウレタン溶液をゴム手袋表面に塗布することにより、表面に凹凸を形成することができる。なお、本実施例に係る手袋1では、ポリウレタンPU1,PU2は、水色に着色されており、表面凹凸加工用のポリウレタンは、青色に着色されている。このように、各層ごとに異なる着色を行うことで、使用による層の損耗状況を色の変化で視認可能にしてある。
(4)第2の実施形態に係る手袋の製造方法:
図5,図6は、手袋1の製造方法の流れを示す図である。
まず、手型Hをオーブン等の加熱器で加熱(60℃等)する(図5(a)、図6(a)参照)。そして、加熱した手型Hを凝固液に一定時間浸漬させて引き上げた後、乾燥機等を用いて乾燥させる。これにより、手型H表面の所望の範囲に凝固剤が付着する。凝固剤液は、凝固剤成分と担体成分とを含有する。凝固剤成分としては硝酸カルシウムや塩化カルシウムが例示される。担体成分としては、クレーやタルクが例示される。
次に、表面に凝固剤が付着した手型Hを天然ゴム配合液に一定時間浸漬させて引き上げて乾燥させる(図5(b)、図6(b)参照)。これにより、凝固剤が付着していた手型表面に沿って天然ゴムの被膜が形成される。この天然ゴムの被膜が上述した第1層10に相当する。この天然ゴムを付着させる工程は、必要とするゴム厚み(厚み0.6〜0.7mm程度)に応じて複数回繰り返し行う。その後、温水(例えば、40〜50℃の湯)に浸漬した後、引き揚げて天然ゴム層を乾燥させる。これにより、ゴム中の不純物や凝固剤、担体成分等を除去することができる。
次に、表面に天然ゴムの被膜を形成された手型Hを水系ポリウレタン樹脂の溶液に浸漬して引き上げる(図5(c)、図6(c)参照)。そして、60℃程度の温度で乾燥することにより厚み0.1〜0.2mm程度の非発泡ポリウレタン被膜を天然ゴム被膜の上に積層形成することができる。この非発泡ポリウレタンの被膜が上述した第2層20に相当する。
次に、表面にポリウレタンの被膜を形成された手型Hを水系ポリウレタン樹脂の溶液に浸漬して引き上げる(図5(d)、図6(d)参照)。そして、60℃程度の温度で乾燥することにより厚み0.6〜0.7mm程度の非発泡ポリウレタンの被膜を第2層20の上に形成する。この非発泡ポリウレタンの被膜が上述した第3層30に相当する。
次に、表面に第3層30の被膜を形成された手型Hを、ニトリルゴムラテックスにゴム粉を混合した混合液に浸漬して引き上げる(図5(e)、図6(e)参照)。そして、70〜120℃の温度で乾燥させることにより、ゴム粉の凹凸が表面突起として現れたすべり止め層が形成される。
次に、手袋1(特に天然ゴム層の表面)に対して塩素化処理を行う(図5(f)、図6(f)参照)。具体的には、上述した各工程を経て作成された手袋を、水、次亜塩素酸ナトリウムを入れた浴槽に投入して撹拌する。撹拌終了後、35%の塩酸を浴槽に投入して、さらに撹拌して放置する。その後、塩酸を20%苛性ソーダで中和した後、水等で表面を洗浄して乾燥させる。これにより、手袋1の第1層10の表面に十分な滑り性を持つ滑り処理層50付与することができる。
以上の工程により得られた手袋1について既存の他社製品1〜他社製品3と性能比較試験を行った。図7は、各種特性について本実施例に係る手袋1と既存の各手袋とを対比した比較試験の結果を示す図である。
他社製品1〜他社製品3は、それぞれ、天然ゴム製、天然ゴム製、ポリウレタン製、である。一方、本実施例に係る手袋1は、上述したように、天然ゴムNR、ポリウレタンPU1,PU2の3層構造を有する。
各試験の方法及び試験の結果は下記の通りである。
労検は、労働安全衛生法に基づく絶縁用保護具等の規格の型式検定に基づき、3000V/1分間の試験電圧にて行った。
この結果、図7に示すように、本実施例に係る手袋1及び他社製品1〜他社製品3はいずれも労検の形式検定を満たしていた。
耐電圧試験は、JIS T 8010(絶縁用保護具、防具類の耐電圧試験方法)に規定する水中試験に基づき、耐電圧試験設備を用いて当該試験方法による試験値が規格を満たすか確認した。すなわち、交流3000Vの電圧を1分間加えて電気的破壊の生じないこと、充電電流が浸水直後4.0mA以下及び、浸水6時間後7.0mA以下であることを確認した。
この結果、図7に示すように、本実施例に係る手袋1及び他社製品1〜他社製品3はいずれも耐電圧試験の規格を満たしていた。
モジュラス・伸び率は、JIS K 6251(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム 引張特性の求め方)に基づき、万能試験機を用いてダンベル状3号試験片を規定速度で破断するまで引っ張り、破断時の最大の伸び率を測定することにより行った。なお、伸び率100%とは、試験片が元の長さの2倍になった状態であり、M100%(100%モジュラス)は、試験片を100%(元の長さの2倍)に引っ張ったときの力の測定値である。
この結果、本実施例に係る手袋1並びに天然ゴム製の他社製品1及び他社製品2では伸び率が800%以上を示すとともにM100%が3.5N以下を示す一方、ポリウレタン製の他社製品3では伸び率が650%未満を示すとともにM100%も5.5N以上であった。すなわち、本実施例に係る手袋1は、ポリウレタン製の他社製品3より優れたモジュラス・伸び率を有するとともに、天然ゴム製の他社製品1及び他社製品2に遜色ないモジュラス・伸び率を有することが分かる。
耐摩耗性は、JIS K−6264−2に準ずる試験方法に基づき、テーバー摩耗試験を用いて研磨輪で試料を摩耗させることにより行った。より具体的には、回転する試験片上に、一対の研磨輪を一定の力で押し付けて研磨輪によって試験片を摩耗させる(試験片が回転、研磨輪が従属回転)。試験片は、手袋の甲部から切り取った直径120mmのものを用いた。図に示す回数は、試験片の破損までに要した研磨輪の回転数を示す。
この結果、天然ゴム製の他社製品1は約6000回、天然ゴム製の他社製品2は約4000回の耐摩耗性を示したのに対し、本実施例に係る手袋1及びポリウレタン製の他社製品3では10000回以上の耐摩耗性を示した。すなわち、本実施例に係る手袋1は、
天然ゴム製の他社製品1及び他社製品2より優れた耐摩耗性を有するとともに、ポリウレタン製の他社製品2及び他社製品3に遜色ない耐摩耗性を有することが分かる。
耐油性はJIS K 6258に準ずる試験方法に基づき、油(本実施例では灯油)に約22±0.25時間浸漬し、表面積の変化を測定することにより行った。試験に用いた試験片は、片面のみ浸漬させ、判定は、その表面積の変化率が規格値以内であることにより行い、灯油であれば表面積の膨張率が0〜10%であれば合格とした。
この結果、天然ゴム製の他社製品1及び他社製品2は100%以上の膨潤を示したのに対し、本実施例に係る手袋1及びポリウレタン製の他社製品3は約10%の膨潤を示すに止まった。すなわち、本実施例に係る手袋1は、天然ゴム製の他社製品1及び他社製品2より優れた耐油性を有するとともに、ポリウレタン製の他社製品3と同程度の耐油性を有し、JIS K 6258に規定する耐油性の基準を満たすことが分かる。
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
10…第1層、20…第2層、30…第3層、40…滑り止め層、50…滑り処理層、100…手袋、110…第1層、120…第2層、130…滑り処理層、140…低摩擦係数材、H…手型、NR…天然ゴム、PU1…ポリウレタン、PU2…ポリウレタン、NR10…天然ゴム、PU10…ポリウレタン

Claims (2)

  1. 当該手袋の手指寄りの位置に伸び率が750〜1000%の天然ゴムで形成した第1層と、
    当該第1層の外側にポリウレタンを積層して形成した第2層と、
    前記第2層の外側に前記第2層と異なる種類のポリウレタンを積層して形成した第3層と、を備え、
    前記第2層のポリウレタンの伸び率は、前記第1層の天然ゴムの伸び率±100%の範囲の伸び率を有し
    前記第3層のポリウレタンの伸び率は、前記第1層の天然ゴムの伸び率より小さく、
    前記第2層は、前記第3層との結合力が前記第1層との間の結合力に比べて強く、
    前記第1層と前記第2層との間の結合においては機械的結合が支配的であり、
    前記第2層と前記第3層との間の結合においては化学的結合が支配的であることを特徴とする手袋。
  2. 手型に伸び率が750〜1000%の天然ゴムを被層せしめて第1層を形成する工程と、
    前記第1層の上に前記第1層の天然ゴムと伸び率±100%の範囲の伸び率を有するポリウレタンを被層せしめて第2層を形成する工程と、
    前記第2層の上に前記第1層の天然ゴムよりも伸び率の小さい前記第2層と異なる種類のポリウレタンを被層せしめて第3層を形成する工程と、
    を含んで構成され
    前記第2層は、前記第3層との結合力が前記第1層との間の結合力に比べて強く、
    前記第1層と前記第2層との間の結合においては機械的結合が支配的であり、
    前記第2層と前記第3層との間の結合においては化学的結合が支配的である手袋の製造方法。
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