JP2012087430A - 手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時の離型性及び使用時の着脱性に優れた耐薬品性手袋を提供する。
【解決手段】クロロプレンゴムからなる手袋基体の内面に、ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ゴチルゴム、天然ゴムから選ばれるゴム層が設けられ、該ゴム層に滑り加工処理が施されていることを特徴とする耐薬品性手袋である。
【選択図】なし

Description

本発明は手袋に関し、更に詳しくは、作業性並びに製造時の離型性及び使用時の着脱性に優れた耐薬品性手袋に関する。
従来より、防護用手袋として、耐薬品性に優れたゴム又は樹脂を用いた手袋が多用されている。
このような耐薬品性手袋としては、基体として繊維製手袋を用い、その表面にゴム又は樹脂を被覆した所謂サポートタイプと、基体としての繊維製手袋を用いず、ゴム又は樹脂のみからなる所謂アンサポートタイプとが知られている。
サポートタイプの手袋としては、例えば、フッ素繊維布帛に耐薬品性樹脂をコーティングした作業用手袋が提案されている(特許文献1参照)。
アンサポートタイプの手袋は、基体としての繊維製手袋を用いないため、粘着性が強く滑り性が悪いため、製造時において手型からの離型性が悪く、また、使用時においても手に対する着脱性が悪いという問題がある。
このため、これらの問題を解消するための開発がなされており、例えば、塩化ビニル樹脂製手袋の内面に硬度の高いメチルメタアクリレート系樹脂層が形成された手袋が提案され(例えば、特許文献2、3参照)、また、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)製手袋の内面にクロリネーション処理等の滑り加工処理した手袋が提案され(例えば、特許文献4参照)、更に、ゴム製品の表面に非接着性や滑性を付与するために、ゴム製品の表面をエポキシ化する表面処理方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開平9−132804号公報 特開昭63−99303号公報 特開2008−44985号公報 特開2004−131885号公報 特開2000−44708号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているようなサポートタイプの手袋は、基体として繊維製手袋を用いているため粘着性がなく滑り性が良好で、離型性や脱着性は良好であるものの、厚さが大きくなるため作業性が悪いという問題を含んでいる。
また、特許文献2〜5に記載されているような、アンサポートタイプの手袋内面の滑り性を向上させて離型性や着脱性を向上させる技術にあっては、例えば特許文献2、3のように、滑り性付与層(以下、スリップオンと記す)として、手袋内面にメチルメタアクリレート系樹脂層を形成させる場合は、手袋基体に用いる素材によっては、このメチルメタアクリレート系樹脂層が剥離しやすいという問題がある。
更に、特許文献4のクロリネーション(塩素化)処理は、前記と同様、手袋の基材によっては変色したり劣化するという問題がある。
更にまた、特許文献5のエポキシ化処理は、処理が面倒であるばかりでなく、十分な平滑性を得るためには、かなりの時間を要し生産性が悪いという問題がある。
本発明はかかる実情に鑑み、従来の耐薬品性手袋の問題を解決し、作業性及び離型性、着脱性に優れたアンサポートタイプの耐薬品性手袋を提供することを目的とするものである。
本発明は、下記の手袋を提供するものである。
(1)クロロプレンゴムからなる手袋基体の内面に、ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ゴチルゴム、天然ゴムから選ばれるゴム層が設けられ、該ゴム層に滑り加工処理が施されていることを特徴とする耐薬品性手袋。
(2)ゴム層がニトリルブタジエンゴムからなることを特徴とする上記耐薬品性手袋。
(3)ゴム層の厚さが0.001〜0.1mmであることを特徴とする上記耐薬品性手袋。
(4)滑り加工処理が塩素化処理であることを特徴とする上記耐薬品性手袋。
(5)滑り加工処理がスリップオンの付着であることを特徴とする上記耐薬品性手袋。
(6)手袋基体の厚さが0.20〜1.0mmであることを特徴とする上記耐薬品性手袋。
本発明によれば、手袋基体にクロロプレンゴムを用い、該基体の内面に特定のゴム層を設けたことにより、基体とゴム層との密着性が良好で剥離することがなく、更にゴム層への滑り加工処理が容易である。
また、ゴム層としては、基材であるクロロプレンゴムとの密着性から、ニトリルブタジエンゴムが特に好ましい。ゴム層の厚さは0.001〜0.1mmとすることにより、基体であるクロロプレンゴムのもつ柔軟性を損なうことがなく、作業性に優れた手袋が提供される。
また、ゴム層の滑り加工処理として塩素化処理またはスリップオンの付与が好ましく、ゴム層の変色や劣化が起きることなく、迅速かつ容易に手袋の内面に滑り性を付与することができ、離型性及び着脱性に極めて優れた耐薬品性手袋を提供することができる。
本発明の耐薬品性手袋は、手袋基体にクロロプレンゴムを用いた手袋であって、手袋内面に特定のゴム層を設けたことを特徴とする。
本発明において、手袋基体であるクロロプレンゴムとしては、クロロプレン重合体、クロロプレンとその他共重合成分とのクロロプレン系共重合体の水系分散ラテックスが一般的であるが、溶剤系溶液や溶剤系分散液でも使用できる。市販品としては、ショウプレン(登録商標)671A(昭和電工株式会社製)、ショウプレン(登録商標)571(昭和電工株式会社製)、ショウプレン(登録商標)750(昭和電工株式会社製)、スカイプレン(登録商標)ラテックスLA−502(東ソー株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LM−61(電気化学工業株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LM−50(電気化学工業株式会社製)、デンカクロロプレン(登録商標)LV−60N(電気化学工業株式会社製)、Lipren−T(PolymerLatex社製)などがある。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
クロロプレンゴム層の厚さは、0.20〜1.0mm程度が好ましく、0.20〜0.8mm程度がより好ましく、0.30〜0.50mm程度が更に好ましい。0.20mm未満のクロロプレンゴム層では薬品との接触により手袋が摩耗しやすくなったり、破れやすくなる場合があり、手袋に対する信頼性や安心感が低下するため好ましくない。一方、1.0mmを超えると手袋が分厚くなるため、指の曲げなどが難しくなり、作業性が著しく悪化するため好ましくない。
本発明において、クロロプレンゴムからなる手袋基体の内面に形成されるゴム層としては、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム等のジエン系ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴムから選ばれる。これらの中で、特に、経済性、汎用性、アレルギーを起こす恐れのある蛋白を含まない等の観点からニトリルブタジエンゴムが好ましい。これらは、水系分散ラテックスが一般的であるが、溶剤系溶液や溶剤系分散液でも使用できる。
市販品としては、Nipol(登録商標)Lx−550(日本ゼオン株式会社製)、Nipol(登録商標)Lx−551(日本ゼオン株式会社製)、Nipol(登録商標)Lx−550L(日本ゼオン株式会社製)、Nipol(登録商標)Lx−556(日本ゼオン株式会社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXVT−LA(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXX1130(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXX1138(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXX1150(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXX1172(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEX2890(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEX3415M(PolymerLatex社製)、PERBUNAN(登録商標)NLATEXX1200(PolymerLatex社製)、Synthomer(登録商標)EL2675(Synthomer社製)、Synthomer(登録商標)6311(Synthomer社製)、Synthomer(登録商標)6501(Synthomer社製)、Synthomer(登録商標)6617(Synthomer社製)、Synthomer(登録商標)6710(Synthomer社製)などが挙げられる。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
本発明において、手袋の内面に設けたゴム層に塩素化処理又はスリップオンの付着により滑り性が付与され、極めて離型性、着脱性の良い手袋を得ることができる。本発明の手袋では、従来のように、塩素化処理により変色したり劣化することがなく、また、スリップオンを付着してもスリップオンがゴム層から剥離することがない。
塩素化処理は塩素水溶液中で行われる。塩素濃度により処理時間は変化するので、塩素濃度の調整により、処理時間を適宜調整することが可能である。塩素濃度は200〜15000ppm程度に設定されることが好ましく、1000〜5000ppmであればより好ましく、1000〜4000ppmであればさらに好ましい。
200ppmを下回っても塩素処理は可能であるが、処理時間が長くなる点で好ましくない。また、15000ppmを超えても塩素処理は可能であるが塩素化速度の調整が難しくなり、変色や劣化を起こす場合があるので好ましくない。例えば4000ppmで40〜60秒間、塩素処理を行うことにより、手袋内面に十分な滑り性を付与することができる。
スリップオンには一般的にアクリル樹脂を含有しているものが多く、市販品であればアクリル樹脂・ ポリウレタン樹脂混合物であるLEAGYGARD U−5SR(商品名、広野化学工業株式会社製)などが挙げられる。
手型には、金属製、セラミック製、木製、プラスチック製のものなどが使用できる。手袋基体のクロロプレンゴムラテックスには、加工の容易性、加硫後のゴム被膜の柔軟性や強度の安定性の観点から、金属酸化物、加硫促進剤、硫黄、界面活性剤、老化防止剤、pH調整剤、可塑剤、充填剤等を配合することが一般的に知られており、本発明においてもこれらを1種又は2種以上配合することが好ましい。
また、ゴム層のラテックスには金属酸化物、加硫促進剤、硫黄、界面活性剤、老化防止剤、pH調整剤、可塑剤、充填剤等を、1種又は2種以上配合することができる。
ここで、ゴム層の厚さが0.001〜0.1mmであることが好ましく、0.01〜0.07mmであることがより好ましく、0.01〜0.05mmであることがさらに好ましい。
ゴム層の厚さが0. 001mmよりも薄くなると、現在の技術ではゴム層を設けることが困難であり、また、0.1mmを超えるとゴム層の応力が弱いために、ごわごわとした触感が顕著となり、基体のクロロプレンゴムの持つ天然ゴムに似通った柔軟な触感が損なわれるため好ましくなく、また、基体のクロロプレンゴムとニトリルブタジエンゴム等ゴム層とのSP値が異なる等の理由から、離型時にゴム層に亀裂が生じる恐れが大きくなる点でも好ましくない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
メタノール:100、硝酸カルシウム:80からなる凝固剤液で満たされた凝固剤浴槽に60℃に熱したセラミック製手型を浸漬した。常温で1分間放置した後、表1に示すクロロプレンゴム配合液の浴槽に約3秒間浸漬し、浴槽から引き上げた後、75℃の乾燥機中で3分間乾燥させた。
続いて、表2に示すニトリルブタジエン(NBR)ゴム配合液に前記手型を約3秒間浸漬した後、浴槽から引き上げ、キュアを行った。当該キュアは75℃で60分間加熱した後、140℃で30分間加熱することで行った。
キュア後、常温まで型温が低下したら、表3に示す塩素化処理液で満たされた塩素化処理浴槽に上記手型を60秒間浸漬し、大量の水で塩素化処理面を水洗した後、さらに3%水酸化カリウム水溶液で満たされたアルカリ水溶液浴槽に適宜浸漬し、再び大量の水で当該表面を水洗した後、乾燥し、反転離型することにより手袋を得た。離型性は良好であった。
Figure 2012087430
Figure 2012087430
Figure 2012087430
実施例2
基体層の厚さを変更した他は実施例1と同様に操作して手袋を得た。離型性は良好であった。
実施例3
実施例2において、塩素化処理に代えて、スリップオン(アクリル樹脂・ポリウレタン樹脂混合ラテックス:LEAGYGARD U−5SR 広野化学工業株式会社製)を塗布した後、キュアを行った。当該キュアは75℃で60分間加熱した後、140℃で30分間加熱することで行った。
キュア終了後は大量の水で水洗し、その後、乾燥し、反転離型することにより手袋を得た。離型性は良好であった。
実施例4〜7
ゴム層の厚さを変更した他は実施例1と同様に操作して手袋を得た。いずれの場合も離型性は良好であった。
実施例8
ゴム層をスチレンブタジエンゴム(SBR)のラテックスに変更した他は実施例1と同様に操作して手袋を得た。離型性は良好であった。
比較例1
ゴム層を設けない他は実施例1と同様に操作して手袋を得た。離型性は不良であった。
比較例2
塩素化の浸漬時間を変更した他は比較例1と同様に操作して手袋を得た。離型性は良好であった。
比較例3
基体層の厚さを変更するとともに、ゴム層を設けない他は実施例3と同様に操作して手袋を得た。離型性は不良であった。
比較例4
ゴム層をシリコーンゴムに変更した他は実施例1と同様に操作して手袋をを得た。離型性は不良であった。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた手袋について、耐薬品性、着脱性及び変色、劣化性について下記の方法により評価、測定した。
耐薬品性:
耐アルコール性はメタノールについてJIS T8030(2005)に準拠し、耐酸性は硝酸、塩酸について、耐アルカリ性は水酸化ナトリウムについて、それぞれEN374に準拠して行った。測定時間は最大480分とした。
着脱性:
手袋の脱着性に関する評価は、官能評価と動摩擦係数の測定により行った。官能評価は10人の被験者に手袋を着脱することが容易か否かについて意見の聴取をした。
動摩擦係数は摩擦感テスターKES−SE−STP(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。測定した値はMIU測定値であって、平均動摩擦係数である。
このMIU測定値が0.40以下であれば手袋の着脱は容易であり、0.35以下であれば極めて容易である。一方、当該値が0.40を超えると手袋の着脱は困難となり、1.0を超えると手袋の着脱は極めて困難かつ着脱にストレスを感じるようになる。
また、手袋の変色、劣化及びクラックの有無の評価は目視により行った。
さらに、100%Modulusの測定は、引張試験はJISK6301およびJISS2045に準拠して行った。
手袋の評価、測定結果を、手袋の構成とともに表4に示す。
Figure 2012087430
叙上のとおり、本発明によれば、手袋の外面にクロロプレンゴムを、手袋内面にニトリルブタジエン等特定のゴム層を有する手袋であって、該ゴム層に滑り加工処理を施すことにより、耐薬品性、特に耐酸性、耐アルカリ性、耐アルコール性に優れ、安全でかつ作業性に優れるとともに、離型性及び着脱性に優れた手袋を提供することができる。

Claims (6)

  1. クロロプレンゴムからなる手袋基体の内面に、ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ゴチルゴム、天然ゴムから選ばれるゴム層が設けられ、該ゴム層に滑り加工処理が施されていることを特徴とする耐薬品性手袋。
  2. ゴム層がニトリルブタジエンゴムからなることを特徴とする請求項1記載の耐薬品性手袋。
  3. ゴム層の厚さが0.001〜0.1mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の耐薬品性手袋。
  4. 滑り加工処理が塩素化処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐薬品性手袋。
  5. 滑り加工処理がスリップオンの付着であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐薬品性手袋。
  6. 手袋基体の厚さが0.20〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐薬品性手袋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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