JP5945034B1 - 光スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速なスイッチングを可能とすると共に、駆動回路を含めた消費電力が極めて低い光スイッチを提供する。【解決手段】1個の光入力ポートと、2以上の整数であるN個の光出力ポートとを有する光スイッチにおいて、光入力ポートに入力された信号光が導波する光導波路をN個に分岐する分岐素子と、N個の光出力ポートに各々設けられ、信号光の通過又は遮断を行う光吸収ゲートD11と、トランジスタT11を用いたインバータ回路72から構成され、吸収ゲートD11を各々ノーマリオフ動作させるN個の駆動回路とを有し、分岐素子、吸収ゲートD11及び駆動回路とを同一の半導体基板上に集積させると共に、分布定数線路のLVDS終端回路71からの制御信号により、駆動回路のトランジスタT11のゲートをオン又はオフ動作させる。【選択図】図7

Description

本発明は、大容量光通信ネットワークを支えるための重要な光部品である光スイッチに関する。
近年、通信トラフィックの急激な増大に起因して、電気ルータの膨大な電力消費量が大きな課題となっている。そこで、ルータ内において入力光(光パケット)を光のまま所望の出力ポートにパケット毎にスイッチングするN入力N出力(以下、N×Nとする)光スイッチが提案されており、これは、例えば、40Gbit/sや100Gbit/sなどの高速なビットレートの光パケット信号を光−電気変換及び電気−光変換を必要とせずにスイッチングできるため、ルータの低消費電力化や低遅延化に有効な光部品として期待されている。
N×N光スイッチは、例えば、図13に示すように、N個の1×N光スイッチ1311〜131NとN個のN×1光カプラ1321〜132Nを接続することで構成できる。光入力ポートPI1〜PINより入力された入力光(光パケット)は、1×N光スイッチ素子1311〜131Nにより、所望の光出力ポートPO1〜PONに接続されたN×1光カプラ1321〜132Nに向けて出力され、所望の光出力ポートPO1〜PONから出力光として出力される。
このようなN×N光スイッチを構成する光スイッチ素子の従来技術として、例えば、下記の特許文献1に示す2×2光スイッチ素子が提案されている。図14に従来の2×2光スイッチ素子の斜視図を示す。図14に示した従来の2×2光スイッチ素子は、方向性結合器型の光スイッチ素子であり、n−InP基板6上に、光入力部(図中のI)、光スイッチ部(同II)、光出力部(同III)及び光吸収部(同IV)を設けた構成となっている。
より詳細に説明すると、従来の2×2光スイッチ素子は、n−InP基板6上に、i−MQW層5、i−InPクラッド層4、p−InPクラッド層3が順に積層され、p−InPクラッド層3は、図14に示すような構造で、細線状に形成されている。更に、光スイッチ部IIの一方のp−InPクラッド層3上及び光吸収部IVの両方のp−InPクラッド層3上には、p+−InGaAsキャップ層2が形成され、p+−InGaAsキャップ層2上に各々p形電極1、10、11が形成されている。n−InP基板6の裏面にはn型電極7が形成されている。
光パケットなどの入力信号光は、i−MQW層5内の、細線状に形成されたp−InPクラッド層3の下部に位置する部分を導波する。以下、光入力部I、光スイッチ部II、光出力部III及び光吸収部IVに設けたp−InPクラッド層3の下部に位置するi−MQW層5を、それぞれ入力光導波路、光スイッチ導波路、出力光導波路及び光吸収導波路と呼ぶこととする。
入力信号光は、いずれか一方の入力光導波路(図中のA又はB)に入力され、光スイッチ導波路に導かれる。光スイッチ導波路では、光スイッチ部IIに設けたp形電極1とn型電極7との間に所望の電圧を印加することにより、例えば、多重量子井戸(Multiple Quantum Well: MQW)構造に起因する量子井戸閉じ込め効果(Quantum Confined Stark Effect: QCSE)により、p形電極1下方の光スイッチ導波路の屈折率を変えることで、いずれか一方の光スイッチ導波路からのみ信号光を出力する。即ち、光路切り替えを行う。
光吸収部IVでは、信号光が入力された光吸収導波路と異なる光吸収導波路に設けたp形電極10又は11と、n型電極7との間に、所望の電界が印加される。これにより、光スイッチ導波路から漏れ出たクロストーク光は光吸収導波路で吸収される一方、光スイッチ導波路から出力された信号光は出力光導波路(図中のC又はD)へ導かれる。このように、光吸収部IVを備えることにより、光スイッチ導波路からの漏れ光の影響を低減可能な光スイッチ素子を実現している。
特開平6−59294号公報
図14に示した従来の光スイッチ素子の構造を用いて1×N光スイッチを構成するには、図15に示すように、2×2光スイッチ1511〜1513(図14では光スイッチ部IIの光カプラ)をツリー状に配置し、N個の各光出力ポートPO1〜PO4に電界印加光吸収ゲート1521〜1524を設ける手法が考えられる。なお、図15ではN=4の場合を図示している。光入力ポートPI1から入力された入力信号光は、2×2光スイッチ1511〜1513の光路切り替えにより、所望の光出力ポートPO1〜PO4の1つ(図中ではPO1)に導波される。一方、それ以外の光出力ポートPO1〜PO4(図中ではPO2〜PO4)では、電界印加光吸収ゲート1521〜1524(図中では1522〜1524)により、2×2光スイッチ1512〜1513から漏れ出たクロストーク光を吸収し、低光クロストークを実現する。
その他の構成として、図16に示すように、1×N光カプラ161と、N個の電界印加光吸収ゲート1621〜1624を用いた分配選択型として1×N光スイッチを構成しても良い。なお、図16でもN=4の場合を図示している。この場合、光入力ポートPI1から入力された入力信号光は、1×N光カプラ161により各光出力ポートPO1〜PO4に等しく分配される。信号光を出力する所望の光出力ポートPO1〜PO4の電界印加光吸収ゲート1621〜1624(図中では1621)は0Vである一方、それ以外のN−1個の電界印加光吸収ゲート1621〜1624(図中では1622〜1624)は逆バイアスの電圧を印加して信号光を遮断する。
図15に示したツリー型の1×N光スイッチを制御する際、光路切り替えを行う2×2光スイッチ1511〜1513及び漏れ光を消光させる電界印加光吸収ゲート1521〜1524は、逆バイアスの電圧をそれぞれ独立に制御端子に印加してスイッチング動作を行う。例えば、8×8光スイッチを図13に示した構成で実現する場合、図15に示したようなツリー型の1×8光スイッチの制御端子数は少なくとも15個を必要とし、8×8光スイッチ全体で120個の制御端子が必要となる。16×16光スイッチに拡張する場合、1×16光スイッチの制御端子数は少なくとも31個必要とし、16×16光スイッチ全体で496個の制御端子数が必要となる。光スイッチ規模Nで一般化すると、1×N光スイッチの制御端子数は少なくとも2N−1個、N×N光スイッチ全体でN×(2N−1)個の制御端子数となる。
通常、ルータ等の装置内で電界印加型の光デバイスを駆動する場合、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、外部からの信号、例えば、TTL(Transistor-Transistor Logic)などのデジタル回路からの信号をデジタル−アナログ変換する変換回路、オペアンプ等の電子回路を用いて、所望の電圧振幅を持つアナログ信号を生成する。例えば、図17に示すように、FPGA171からの信号を、バッファ1721〜172N、ドライバ1731〜173Nを用いて、所望の電圧振幅を持つアナログ信号を生成する。
上述したような光スイッチ174(例えば、16×16光スイッチ)と駆動回路(例えば、ドライバ1731〜173N)とをPCB(Printed-Circuit Board)上に実装する場合、独立に電圧制御が必要な端子は上述した数となり、電子回路規模は必然的に大きくなり、光スイッチ174と駆動回路(例えば、ドライバ1731〜173N)との物理的な距離は少なくとも数cm〜数十cmは必要となる。
一方、100Gbit/sといった高速なビットレートを有する光パケットをスイッチングするには、1ns以下の高速なオン/オフのスイッチングが求められる。即ち、1GHz程度の帯域をもつスイッチング信号をFPGA171から光スイッチ174まで伝送させる必要があるが、上述した数十cmといった距離では、もはや集中定数回路としての扱いが困難である。そのため、光スイッチ174までの伝送路の特性インピーダンス(例えば、50Ω)を光スイッチ174のインピーダンスと整合させた分布定数回路として実装することが考えられる。
しかし、上述した光スイッチは電界印加型のデバイスであり、その素子は高抵抗(〜数MΩ)なため、インピーダンスを整合させるには、図18に示すように、バイアス印加端子TB1〜TBNと接地端子TG1〜TGNとの間の各素子(2×2光スイッチ素子SW1〜SWN又は電界印加光吸収ゲートGA1〜GAN)と並列に、終端抵抗RT(この場合50Ω)を配置する必要がある。
仮に、2×2光スイッチ素子SW1〜SWNの制御端子(バイアス印加端子TB1〜TBN)に−5Vの電圧を印加すると、50Ωの終端抵抗RTには100mAの電流が流れ、電力としては1つの制御端子あたり0.5Wを消費する。上述したツリー型及び分配選択型1×16光スイッチは、光出力ポートに設けられた16個の電界印加光吸収ゲートのうち、信号光を出力する所望の電界印加光吸収ゲートは0V、それ以外の15個の電界印加光吸収ゲートは電圧を印加して信号光を遮断する必要がある。即ち、少なくとも15×0.5W=7.5Wの電力を常に終端抵抗RTで消費してしまう。
この電力は、16×16光スイッチを構成すると240Wとなり、終端抵抗RTで生じる電力は、スイッチ規模Nの拡大、即ち、制御端子数の増加とともに増大する。スイッチ規模の拡大に伴う消費電力の増加は、ルータの電力消費量、更には、ネットワーク全体における電力消費量の増大を引き起こし、大きな問題であり、駆動回路を含めた光スイッチの省電力化は不可欠である。このように、高速性、消費電力の観点から、多電極の光スイッチを如何に高速・低電力に制御するかが重要な課題である。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、高速なスイッチングを可能とすると共に、駆動回路を含めた消費電力が極めて低い光スイッチを提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る光スイッチは、
1個の光入力ポートと、Nを2以上の整数とするN個の光出力ポートとを有する光スイッチにおいて、
前記光入力ポートに入力された信号光が導波する光導波路をN個に分岐する分岐素子と、
N個の前記光出力ポートに各々設けられ、前記信号光の通過又は遮断を行う光ゲート素子と、
第1のトランジスタを用いた第1のインバータ回路から構成され、前記光ゲート素子を各々ノーマリオフ動作させるN個の第1の駆動回路とを有し、
前記分岐素子、前記光ゲート素子及び前記第1の駆動回路を同一の半導体基板上に集積させると共に、
分布定数線路の終端回路からの制御信号により、前記第1の駆動回路の前記第1のトランジスタのゲートをオン又はオフ動作させる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る光スイッチは、
上記第1の発明に記載の光スイッチにおいて、
前記分岐素子は、1入力N出力の光カプラであり、
前記光ゲート素子は、電界印加光吸収型の光ゲート素子である
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る光スイッチは、
上記第1の発明に記載の光スイッチにおいて、
前記分岐素子は、少なくとも1つの2入力2出力MZI(Mach Zehnder Interferometer)からなると共に、複数の前記2入力2出力MZIからなる場合には、前段の前記2入力2出力MZIの2つの光出力ポートの各々に後段の前記2入力2出力MZIの2つの光入力ポートの一方が接続されて、複数の前記2入力2出力MZIがツリー状に多段に接続された構成であり、
前記光ゲート素子は、電界印加光吸収型の光ゲート素子である
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る光スイッチは、
上記第3の発明に記載の光スイッチにおいて、
前記2入力2出力MZIの2つのアーム光導波路の少なくとも一方に設けた電極に対して電流又は電圧を付与する、第2のトランジスタを用いた第2の駆動回路を更に有し、
前記第2の駆動回路を更に前記半導体基板上に集積すると共に、
前記分布定数線路の前記終端回路からの前記制御信号により、前記第2の駆動回路の前記第2のトランジスタのゲートをオン又はオフ動作させる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係る光スイッチは、
上記第1〜第4のいずれか1つの発明に記載の光スイッチにおいて、
前記第1の駆動回路は、前記光ゲート素子のn型電極に当該第1の駆動回路からの信号を付与する回路構成である
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係る光スイッチは、
上記第1〜第5のいずれか1つの発明に記載の光スイッチにおいて、
前記第1のトランジスタは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明に係る光スイッチは、
上記第1〜第6のいずれか1つの発明に記載の光スイッチにおいて、
前記分布定数線路は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)である
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第8の発明に係る光スイッチは、
上記第1〜第7のいずれか1つの発明に記載の光スイッチにおいて、
前記終端回路を更に前記半導体基板上に集積した
ことを特徴とする。
本発明によれば、光ゲート素子を駆動する第1の駆動回路を、第1のトランジスタを用いた第1のインバータ回路から構成し、光ゲート素子をノーマリオフ動作させるので、駆動回路を含めた消費電力が極めて低い光スイッチを実現することができる。
又、本発明によれば、分布定数線路の終端回路からの制御信号により、第1の駆動回路の第1のトランジスタのゲートをオン又はオフ動作させると共に、少なくとも、分岐素子、光ゲート素子及び第1の駆動回路を同一の半導体基板上に集積(1チップ集積)させて、光ゲート素子と第1の駆動回路との間の距離を縮小したので、高速なスイッチングが可能となる。
本発明の実施形態の一例(実施例1)として、光スイッチ及びその周辺回路の構成を示す構成図である。 実施例1で用いるHEMTの層構造を示す断面図である。 実施例1で用いるHEMT集積型光スイッチ素子の層構造を示す断面図である。 実施例1で用いる光スイッチ層の層構造を説明する図である。 実施例1で用いる光スイッチ素子を構成する光導波路を示す断面図である。 実施例1で用いる光吸収ゲートの印加電圧に対する透過率を示すグラフである。 実施例1で用いる駆動回路の動作を説明する図であり、(a)は信号光遮断時、(b)は信号光通過時である。 実施例1で用いる、LVDS終端回路を含めた光吸収ゲート用駆動回路の一例を示す回路図である。 本発明の実施形態の他の一例(実施例2)として、2×2MZIを用いた光スイッチの構成を示す構成図である。 実施例2で用いる2×2MZIの注入電流に対する透過率を示すグラフである。 実施例2で用いる駆動回路の動作を説明する図であり、(a)は屈折率変化が無い時、(b)は屈折率変化が有る時である。 実施例2で用いる、LVDS終端回路を含めた2×2MZI用駆動回路の一例を示す回路図である。 N×N光スイッチの構成を示す構成図である。 従来の2×2光スイッチ素子を示す斜視図である。 N=4の場合のツリー型の1×N光スイッチの構成を示す構成図である。 N=4の場合の分配選択型の1×N光スイッチの構成を示す構成図である。 従来の光スイッチ及びその周辺回路の構成を示す構成図である。 従来の光スイッチで用いる制御端子の構成を示す構成図である。
以下、本発明に係る光スイッチの実施形態について、図面を参照して説明を行う。
[実施例1]
本実施例の光スイッチは、トランジスタを用いたインバータ回路をモノリシック集積した駆動回路集積光スイッチである。このような駆動回路集積光スイッチとその周辺回路の構成を図1に示す。図1に示すように、周辺回路となるFPGA101と駆動回路集積光スイッチ102とを有し、FPGA101と駆動回路集積光スイッチ102との間は、分布定数線路を用いて接続している。なお、FPGA101に代えてASICを用いても良い。
そして、駆動回路集積光スイッチ102は、図16に示した分配選択型の1×N光スイッチの構成となっている。即ち、1個の光入力ポートと、Nを2以上の整数とするN個の光出力ポートとを有する1×N光スイッチであって、後述するように、光入力ポートに入力された信号光が導波する光導波路をN個に分岐する1×Nカプラ(分岐素子)と、N個の光出力ポートに各々設けられ、信号光の通過又は遮断を行う光吸収ゲート(光ゲート素子)と、光吸収ゲートを駆動するN個のインバータ回路(第1のインバータ回路、第1の駆動回路)とを有する構成である。光吸収ゲートとしては、例えば、電界印加光吸収型の光ゲート素子を用いる。
本実施例では、光スイッチ素子として電圧駆動を想定し、その駆動回路として、例えば、高速な電圧増幅回路を実現可能な高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor: HEMT)を用いたインバータ回路を構成する。
図17に示した従来の光スイッチ及びその周辺回路では、図18に示したように、光スイッチ素子である2×2光スイッチ素子SW1〜SWN(又は、電界印加光吸収ゲートGA1〜GAN)と並列に終端抵抗RTを配置し、駆動回路(例えば、ドライバ1731〜173N)から光スイッチ174までをインピーダンスが整合した伝送路を用いていた。
一方、本実施例では、制御回路として機能するFPGA101から発生させる制御信号を伝搬させる線路として、分布定数線路を用いる。ここでは、分布定数線路の一例として、2本の伝送路を使用した差動信号方式であるLVDS(Low Voltage Differential Signaling)を用いて、駆動回路一体型である駆動回路集積光スイッチ102を動作させる。これにより、数GHzまでの高速信号伝送、低消費電力(3.5mA駆動、信号振幅350mV)、高ノイズ耐性(差動信号により同相ノイズをキャンセル)を可能としている。
本実施例で用いるHEMTの層構造を図2に示す。半絶縁性(Semi Insulator: SI)−InP基板21上にバッファ層22としてi−InAlAs、i−InGaAsを形成し、チャネル層23としてi−InAlAs、Si δドーピング層、i−InAlAs、i−InP層を形成する。その上にゲート電極25gとn−InAlAs、n−InGaAs(キャップ層24)を介したソース電極25s、ドレイン電極25dを形成した構造を作製する。
本実施例のHEMTにおいては、ゲート長0.1μm、ゲート幅25μmとする。これらの設計値は、HEMTの特性を決める重要なパラメータとなる。ゲート長によってHEMTの応答速度が決まるが、本実施例のゲート長0.1μmでは、GHzまでの高速信号に対応した動作を実現することがわかっている。又、ゲート幅の大小によってソース、ドレイン間に流れる電流値を決定できる。
本実施例の駆動回路集積光スイッチ102を構成するHEMT集積型光スイッチ素子の層構造を図3に示す。従来の光スイッチ素子は、特許文献1で示されているように、通常、n基板上で作製されるが、本実施例では、SI−InP基板21上にHEMT層20を作製し、更に、その上に光スイッチ層30を作製している。
n基板上の光スイッチ素子は、例えば、図14に示したように、基板裏面にグランド電極(n型電極7)を形成することができる。しかしながら、本実施例では、SI(半絶縁性)基板上での光スイッチ素子となるため、図3、図4に示すように、HEMT層20と光スイッチ層30との境界に光スイッチ素子用のコンタクト層31を設けることでグランド電極36gを形成することができる。
本実施例では、光スイッチ層30の層構造を、図4に示すように、基板表面側からp−i−nの順から、基板表面側からn−i−pの順に反転させている。即ち、SI−InP基板21及びHEMT層20上に、p+−InGaAsPコンタクト層31、p層となるp−InP下部クラッド層32、i層となるバルク1.4Q組成のInGaAsPコア層33(フォトルミネッセンスピーク波長1.4μm、厚さ0.3μm)、n層となるn−InP上部クラッド層34、n+−InGaAsPコンタクト層35の順に形成された積層構造を作製する。そして、後述する光吸収ゲートを制御するための信号電極36sは、n+−InGaAsPコンタクト層35上に形成され、n型電極となっている。
光スイッチ素子を構成する光導波路は、光スイッチ層30と同じ層構造をInGaAsPコア層33の下部までエッチングすることで作製し、pinダブルヘテロ接合構造を有するハイメサ導波路とした。図5に光導波路の断面構造を示す。入力光導波路、1×4光カプラ、光吸収ゲート及び出力光導波路の光導波路高さは、4μmとした。入力光導波路、光吸収ゲート及び出力光導波路の光導波路幅は1.4μmとした。光吸収ゲートの導波方向の長さ(即ち、光吸収ゲートに設けたn型電極の長さ)は1000μmとした。1×4光カプラは、マルチモード干渉(MMI)光カプラとし、そのサイズは31×7.6μmとした(導波方向の長さが31μm)。又、グランド電極36gは、図4に示すように、光吸収ゲートとなる光導波路の近傍に深さ5μmの溝を形成することで作製する。
ここで、本実施例の光吸収ゲートの動作について説明する。グランド電極36gは接地し(電位=0V)、光吸収ゲートに設けたn型電極である信号電極36sにプラス電圧を印加すると、FK(Franz-Keldysh)効果により、InGaAsPコア層33における吸収端がシフトし、光吸収ゲートを伝搬する信号光波長での吸収係数が増加する。
本実施例では、例えば、光吸収ゲートの1つのn型電極(信号電極36s)に0Vを印加し、残りの光吸収ゲートのn型電極(信号電極36s)に信号光波長で所望の吸収率(減衰)が得られるプラス電圧を印加することで、光入力ポートに入力された入力信号光は、0V印加の光吸収ゲートと接続する光出力ポートからのみ出力されるようになる。つまり、出力させたい光出力ポートと接続する光吸収ゲートのn型電極(信号電極36s)に電圧0Vを印加し、その他の光吸収ゲートのn型電極(信号電極36s)にプラス電圧を印加することで、出力させる光出力ポートを選択できるため、光吸収ゲートへの印加電圧の制御により、光スイッチング動作させることができる。
なお、光吸収ゲートへの印加電圧が0Vである場合、信号光波長を1.55μmとすると、光吸収ゲートの吸収端は信号光波長よりも100nm以上離れており、光吸収ゲートにおける伝搬損失は0.5dB/mmと十分に小さい。
本実施例の光吸収ゲートでは、図6に示すように、印加電圧3Vで消光比20dBを得ることができる。入力側の1×N光スイッチと出力側のN×1光スイッチとを併せて、N×N光スイッチ全体で消光比40dB以上を得ることができる。
なお、光吸収ゲートとして、半導体光増幅器を用いて同様の機能を実現することも可能であるが、電界印加型の光吸収ゲートを用いると、パタン効果や非線形光学効果による入力信号の劣化を避けることが可能である。
本実施例では、n層側を信号電極36sとすることにより、電界印加型の光吸収ゲートを駆動する際には、信号光の遮断時(光吸収時)においてのみインバータ回路に流れる電流は0になり、信号光の通過時にのみインバータ回路に電流が流れるようになる。例えば、4個の光吸収ゲートがある場合には、4個の光吸収ゲートのうち、信号光を出力する1つの光吸収ゲートに接続されるインバータ回路にだけ電力消費が発生し、その他の3つの光吸収ゲートに接続されるインバータ回路には電力消費が発生しないことになり、大幅な電力削減が可能になる。
図7(a)、(b)に、光吸収ゲートを駆動する駆動回路となるインバータ回路を含む回路構成を示す。図7(a)、(b)の回路構成において、分布定数線路(ここでは、LVDS)の終端には、LVDS終端回路71が設けられ、このLVDS終端回路71からインバータ回路72(第1のインバータ回路、第1の駆動回路)へ信号が出力される。インバータ回路72は、トランジスタT11(第1のトランジスタ)と、トランジスタT11のドレインに一端が接続された抵抗R11とを有している。
インバータ回路72において、LVDS終端回路71からの出力は、トランジスタT11のゲートに入力されており、トランジスタT11のソースには電圧VS1が印加され、トランジスタT11のドレインには、抵抗R11を介して、電圧VD1が印加されている。そして、ダイオードである光吸収ゲートD11のカソードは、トランジスタT11のドレインと抵抗R11とを接続する接続線の点A1に接続され、光吸収ゲートD11のアノードは接地されている。ここで、図3を参照すると、光吸収ゲートD11のカソードがn型電極の信号電極36sとなり、アノードがグランド電極36gとなる。
図7(a)、(b)に示した回路構成について、その動作をより詳細に説明する。図7(a)、(b)に示した回路構成では、電圧VD1として3V、電圧VS1として0Vの電位を与え、LVDS終端回路71からの信号を用いて、トランジスタT11のゲートの開閉を行うことで、光吸収ゲートD11に印加する電圧を切り替える(スイッチング動作)。
例えば、図7(a)は、トランジスタT11のゲートが閉じた状態を示す。インバータ回路72には電流が流れないため、点A1における電位はVA1=VD1となり、光吸収ゲートD11に対して逆バイアスの電圧を印加できる。これにより、FK効果による光吸収が発生し、信号光を遮断する。それに対し、図7(b)は、トランジスタT11のゲートが開いた状態を示す。VD1からVS1に向かって電流が流れるため、点A1における電位はVA1=VS1−VD1+iR11≒0Vとなり、光吸収ゲートD11へ電圧は印加されない。この場合、FK効果による光吸収は発生しないため、信号光は通過する。
図8に、LVDS終端回路を含めた光吸収ゲート用駆動回路の回路構成の一例を示す。なお、図8においては、トランジスタT11及び抵抗R11が上述したインバータ回路72を構成しており、トランジスタT21、トランジスタT22、抵抗R21、抵抗R22及び終端抵抗RTが上述したLVDS終端回路71を構成しており、光吸収ゲートD11のカソードは、トランジスタT11のドレインと抵抗R11とを接続する接続線に接続されている。
図8に示すLVDS終端回路では、分布定数線路(LVDS)に終端抵抗RTが並列に接続され、分布定数線路の一方にトランジスタT21のゲートが接続され、分布定数線路の他方にトランジスタT22のゲートが接続され、トランジスタT21のソースがトランジスタT22のソースと接続され、トランジスタT21のドレインがトランジスタT11のソース及び抵抗R21の一端と接続され、トランジスタT22のドレインがトランジスタT11のゲート及び抵抗R22の一端と接続され、抵抗R21の他端が抵抗R22の他端と接続されている。
図8に示す回路構成において、LVDS差動信号は1.2Vを中心とした350mV振幅の差動信号であり、トランジスタT21のゲートに1.375V印加されるとき、トランジスタT22のゲートには1.025Vが印加される。このとき、トランジスタT22のゲートは閉じており、トランジスタT22のソース、ドレイン間に電流は流れないため、トランジスタT11のゲートに電圧は発生せず、図7(a)に示したトランジスタT11のゲートが閉じた状態にできる。一方、トランジスタT21のゲートに1.025V印加されるとき、トランジスタT22のゲートに1.375V印加され、トランジスタT22のソース、ドレイン間に電流が流れるため、トランジスタT11のゲートに電圧が印加され、図7(b)に示したトランジスタT11のゲートを開いた状態にできる。
このように、LVDS差動信号を切り替えることで、トランジスタT11のゲートの開閉を行い、光吸収ゲートD11のスイッチング動作を実現する。上述したように、光スイッチ素子に対してHEMTを用いた駆動回路(第1の駆動回路)を同一基板にモノリシック集積することで、更には、LVDS終端回路も含めて、同一基板にモノリシック集積することで、光スイッチ素子と駆動回路との距離は数ミリメートルオーダに縮小することができ(図1参照)、数GHzまでの高速信号で制御することが可能となる。
図16に示した分配選択型の1×N光スイッチにおいて、例えば、1×16光スイッチの場合を考えてみると、16個の光吸収ゲートD11のうち15個の光吸収ゲートD11の駆動回路を図7(a)の状態とし、1個の光吸収ゲートD11の駆動回路を図7(b)の状態とする必要がある。光スイッチ素子にかかる消費電力は、図7(b)の状態のように電流が流れる際に発生するため、例えば、VD1=3V、R11=1kΩのときには、1×16光スイッチの消費電力を9mWに抑えることができる。
このようなノーマリオフ動作を実現した場合、光スイッチ全体の合計の消費電力は、16×16光スイッチであっても288mWとなり、前述した従来の消費電力(例えば、240W)に比べ、消費電力の大きな低減が見込め、消費電力が極めて低い光スイッチを実現することができる。
なお、光吸収ゲートD11に印加する電圧VD1の値は図6に示した特性から、消光効果が得られる範囲として0〜7Vが好ましい。又、本実施例では光吸収ゲートD11の静電容量Cとして1pF程度を想定し、動作速度の制限となるCR時定数を1nsとするため、R11を1kΩとした。抵抗R11の値を小さくするほどCR時定数を小さくできるが、大きな電流が流れると消費電力が増大する。
又、本実施例では、HEMTを用いたユニポーラ型トランジスタを用いて説明してきたが、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)などの他のバイポーラ型トランジスタを用いても良い。
次に、本実施例の光スイッチ素子の作製方法について、図2〜図5を参照して説明する。
まず、SI−InP基板21及びHEMT層20上に、p+−InGaAsPコンタクト層31、p−InP下部クラッド層32、1.4Q組成0.3μm膜厚のバルクi−InGaAsPコア層33、n−InP上部クラッド層34、n+−InGaAsPコンタクト層35を、有機金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy: MOVPE)により成長させる。次いで、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、ハイメサ導波路構造を一括形成する。このように、光スイッチ素子を作製するためのMOVPE成長、光導波路構造の形成を一括で行えるようになる。
その後、局所領域への埋め込みが可能で平坦化に優れた有機材料であるベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene: BCB)をスピンコートにより塗布し、O2/C26混合ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)により、埋込前の基板表面が露出するまでエッチバックし、基板表面を平坦化する。そして、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、グランド電極36g形成のための溝を形成し、グランド電極36gとなるp型電極を形成する。最後に、光吸収ゲートD11となる部分のn+−InGaAsPコンタクト層35上に信号電極36sとなるn型電極を形成する。
本実施例では、膜厚0.3μm、幅1.4μmの1.4Q組成のInGaAsPコア層33を用いている。これらの設計値は、光スイッチ素子の光学的特性を決める重要なパラメータとなる。入力信号光波長が、例えば、1.53μmから1.57μmで動作し、低損失、高速、かつ低消費電力な動作を実現するためには、下記の条件(1)〜(3)が満たされることが好ましい。
(1)InGaAsPコア層33の厚さは、入力信号光に対してシングルモード導波条件で、かつ、InGaAsPコア層33への十分な光閉じ込めを有する条件であり、0.1μm〜0.4μmの範囲が望ましい。
(2)InGaAsPコア層33の幅は、入力信号光に対してシングルモード導波条件であり、0.8μm〜3μmの範囲が望ましい。
(3)駆動回路の消費電力を低減する観点から、光吸収ゲートD11への印加電圧が7V以下となる条件であり、InGaAsPコア層33の組成は1.3Q〜1.5Qで、各電極長は100μm〜2000μmの範囲が望ましい。
なお、本実施例の光スイッチ素子では、光吸収ゲートD11のInGaAsPコア層33としてバルク層を用いるように説明してきたが、多重量子井戸構造としても良い。その場合は、量子閉じ込めシュタルク効果により、光吸収ゲートD11において高効率に消光できるようになる。又、光導波路構造をハイメサ型光導波路構造としているが、それ以外の構造、例えば、リッジ導波路構造として作製しても良い。あるいは、InGaAsPコア層33の両横が半導体で埋め込まれた埋め込み型光導波路構造やリブ型光導波路構造などであっても良い。
又、本実施例では、InP系の化合物半導体を用いて説明してきたが、GaAs系の化合物半導体を用いても良い。又、シリコン細線導波路などのナノ秒オーダの屈折率及び吸収係数の変化が可能な材料系を用いても、同様な光スイッチ素子を実現できる。この場合、駆動回路を構成するトランジスタとしてMOSFETなどが挙げられる。
[実施例2]
本実施例の光スイッチも、実施例1と同じように、HEMTを用いたインバータ回路をモノリシック集積したものである。以下、図面を参照して、その構成及び動作について詳細に説明する。
本実施例の光スイッチは、図15に示した構成とする。詳細は後述するが、1個の光入力ポートと、Nを2以上の整数とするN個の光出力ポートとを有する1×N光スイッチであって、光入力ポートに入力された信号光が導波する光導波路をN個に分岐するように接続した少なくとも1つの2×2光スイッチ素子(分岐素子)と、N個の光出力ポートに各々設けられ、信号光の通過又は遮断を行う光吸収ゲート(光ゲート素子)と、光吸収ゲートを駆動するN個のインバータ回路(第1のインバータ回路、第1の駆動回路)とを有する構成である。ここでの光吸収ゲートは、電界印加光吸収型の光ゲート素子である。又、本実施例のインバータ回路は実施例1で説明したインバータ回路と同等のもので良い。
なお、2×2光スイッチ素子を複数用いる場合には、前段の2×2光スイッチ素子の2つの光出力ポートの各々に後段の2×2光スイッチ素子の2つの光入力ポートの一方を接続して、2×2光スイッチ素子をツリー状に多段接続した構成として、1×N分岐素子とする。
そして、1×N光スイッチに入力された入力信号光は、2×2光スイッチ素子の光路切り替えにより所望の光出力ポートに導波される一方、それ以外の光出力ポートでは、電界印加光吸収ゲートにより2×2光スイッチ素子から漏れ出たクロストーク光を吸収し、低光クロストークを実現している。
ここで、本実施例の光スイッチの最小限の構成となる1×2光スイッチを図9に例示する。本実施例の光スイッチは、図9を参照すると、少なくとも、2×2MZI91(分岐素子)、電界印加光吸収ゲート961、962及び出力光導波路98から構成され、これらは、同一のSI−InP基板及びHEMT層上に形成される。
2×2MZI91の構成の詳細は後述するが、2つの光入力ポートPI1、PI2を有し、光入力ポートPI1、PI2の一方に入力信号光が入力される。電界印加光吸収ゲート961、962は、実施例1で述べた光吸収ゲートの動作と同じ動作をする。即ち、プラス電圧の印加に従い、入力された光を透過ないし減衰する。電界印加光吸収ゲート961、962から出力される信号光は出力光導波路98へ導かれ、その端面から出力される(光出力ポートPO1、PO2)。2×2MZI91、電界印加光吸収ゲート961、962及び出力光導波路98は全て図5に示すものと同じ断面構造を有する。なお、MZI(Mach Zehnder Interferometer)は、マッハツェンダ干渉計のことである。
そして、2×2MZI91は、入力された信号を2分岐する2×2光カプラ92及び2×2光カプラ93と、2×2光カプラ92の2つの出力光導波路と2×2光カプラ93の2つの入力光導波路をそれぞれ接続する、長さの等しい2つのアーム光導波路94とで構成される。2つのアーム光導波路94上のn+−InGaAsPコンタクト層35上にはそれぞれ電流注入用電極95となるn型電極が形成され、マイナス電圧を印加することで、InGaAsPコア層33に電流を注入できるようになっている(図5参照)。電流注入用電極95が形成されたアーム光導波路94の長さはそれぞれ200μmである。なお、電流注入用電極95において、電流に代えて、電圧を印加する構成としても良い。
n型電極(電流注入用電極95)を介して電流が注入されると、注入電流はInGaAsPコア層33に効率的に閉じ込められ、プラズマ効果により屈折率が変化し、2つのアーム光導波路94間に位相差が与えられる。
図10に2×2MZI91の透過特性を示す。2つのアーム光導波路94への注入電流が0mAの場合、2×2MZI91に入力された入力信号光は、図9における光出力ポートPO1側に出力される。どちらか一方のn型電極(電流注入用電極95)に電流を注入すると、注入した方のアーム光導波路94の屈折率が変化し、このアーム光導波路94を伝搬する光の位相が変化する。アーム光導波路94への注入電流が5mAとなったとき、光出力ポートPO1からの出力は最小となり、光出力ポートPO2への光出力が最大となる。このとき、光出力ポートPO1への光出力と光出力ポートPO2への光出力との比は20dB以上が得られた。
このように、本実施例の2×2MZI91において、注入電流を0mAと5mAの二つの状態、即ち、2値をデジタル的に切り替えることで、光出力ポートPO1か光出力ポートPO2の所望のポートに信号光を出力することができる。
なお、前述のとおり、2×2MZI91を動作させるためには、2つのアーム光導波路94の一方のみに電流を注入すれば良いため、n型電極(電流注入用電極95)は一方のアーム光導波路94にのみ設けるようにしても良い。
本実施例の光スイッチは、2×2MZI91の2つの光出力ポートのそれぞれに、2×2MZI91と同じ構造、同一組成を光導波層とする電界印加光吸収ゲート961、962を接続するようにしている。電界印加光吸収ゲート961及び電界印加光吸収ゲート962とも、その導波方向の長さは1000μmであり、実施例1と同様に、n+−InGaAsPコンタクト層35上には、それぞれ電界印加用電極97となるn型電極が設けられている(図3参照)。
実施例1と同様に、電界印加光吸収ゲート961、962の電界印加用電極97にプラス電圧を印加すると、FK効果によりInGaAsPコア層33における吸収端がシフトし、電界印加光吸収ゲート961、962を伝搬する信号光波長での吸収係数が増加する。本実施例の電界印加光吸収ゲート961、962では、図6に示したように、印加電圧3Vで消光比20dBを得ることができる。2×2MZI91の消光比20dBと併せて、光スイッチ全体で消光比40dB以上を得ることができる。
なお、電界印加光吸収ゲート961、962として、半導体光増幅器を用いて同様の機能を実現することも可能であるが、電界印加型の光吸収ゲートを用いると、パタン効果や非線形光学効果による入力信号の劣化を避けることが可能である。
電界印加光吸収ゲート961、962は実施例1で述べた回路により(図7(a)、(b)、図8参照)、高速動作を可能とし、又、n側を信号電極としたノーマリオフ動作によって省電力化を実現する。
次に、電界印加光吸収ゲート961、962と同一基板上に集積する2×2MZI91の駆動回路の回路構成に関して、図11(a)、(b)を用いて説明する。図11(a)、(b)の回路構成において、分布定数線路(ここでは、LVDS)の終端には、LVDS終端回路111が設けられ、このLVDS終端回路111から、トランジスタT31(第2のトランジスタ)を有する駆動回路112(第2の駆動回路)へ信号が出力される。
駆動回路112において、LVDS終端回路111からの出力は、トランジスタT31のゲートに入力されており、トランジスタT31のソースには電圧VS2が印加され、トランジスタT31のドレインにダイオードであるアーム光導波路D31のカソードが接続されて、アーム光導波路D31のアノードに電圧VD2が印加されている。なお、このアーム光導波路D31は、図9中では、アーム光導波路94に該当する。
図11(a)、(b)に示した回路構成について、その動作をより詳細に説明する。図11(a)、(b)に示した回路構成では、電圧VD2には2V、電圧VS2には0Vの電位を与え、LVDS終端回路111からの信号を用いて、トランジスタT31のゲートの開閉を行うことで、アーム光導波路D31に注入する電流を切り替える(スイッチング動作)。
例えば、図11(a)は、トランジスタT31のゲートが閉じた状態を示す。駆動回路112には電流が流れないため、アーム光導波路D31には電流が注入されず、光は光出力ポートPO1へと出力される。それに対し、図11(b)は、トランジスタT31のゲートが開いた状態を示す。駆動回路112では、電圧VD2から電圧VS2に向かって電流が流れるため、アーム光導波路D31に電流が注入され、プラズマ効果によって屈折率が変化する。このとき、2つのアーム光導波路94間に位相差が与えられるため、光は光出力ポートPO2へと出力される。
図12に、LVDS終端回路を含めた2×2MZI用駆動回路の回路構成の一例を示す。なお、図12においては、トランジスタT31が上述した駆動回路112を構成しており、トランジスタT41、トランジスタT42、抵抗R41、抵抗R42及び終端抵抗RTが上述したLVDS終端回路111を構成している。
図12に示すLVDS終端回路では、分布定数線路(LVDS)に終端抵抗RTが並列に接続され、分布定数線路の一方にトランジスタT41のゲートが接続され、分布定数線路の他方にトランジスタT42のゲートが接続され、トランジスタT41のソースがトランジスタT42のソースと接続され、トランジスタT41のドレインがトランジスタT31のソース及び抵抗R41の一端と接続され、トランジスタT42のドレインがトランジスタT31のゲート及び抵抗R42の一端と接続され、抵抗R41の他端が抵抗R42の他端と接続されている。つまり、図12に示すLVDS終端回路は、図8に示したLVDS終端回路と同等の構成である。
従って、図12に示すLVDS終端回路は、図8に示したLVDS終端回路と同様に動作することになる。即ち、LVDS差動信号の切替により、トランジスタT41及びT42のゲートを開閉させ、トランジスタT42のゲートが閉じ、トランジスタT42のソース、ドレイン間に電流が流れないときには、図11(a)に示したトランジスタT31のゲートを閉じた状態とすることができ、一方、トランジスタT42のゲートが開き、トランジスタT42のソース、ドレイン間に電流が流れるときには、図11(b)に示したトランジスタT31のゲートが開いた状態とすることができる。
このように、LVDS差動信号を切り替えることで、トランジスタT31のゲートの開閉を行い、光出力ポートの切り替え動作を実現する。上述したように、光スイッチ素子に対してHEMTを用いた駆動回路(第1及び第2の駆動回路)をモノリシック集積することで、更には、LVDS終端回路も含めて、同一基板にモノリシック集積することで、光スイッチ素子と駆動回路との距離は数ミリメートルオーダに縮小することができ(図1参照)、数GHzまでの高速信号で制御することが可能となる。又、本実施例においても、電界印加光吸収ゲートの動作に関して、実施例1と同様に、ノーマリオフ動作を実現する構成とすることで、電力消費量を低減することができる。
なお、本実施例では、光スイッチ素子として2×2MZIを1つ用いた1×2光スイッチについて説明してきたが、図15に示したように、複数の2×2MZIをツリー状に多段接続した構成とし、最終段の光出力ポートにN個の電界印加光吸収ゲートを備えた、1×N光スイッチとしても良い。又、各種の応用的構成については、実施例1と同様に取り扱って良い。
本発明は、光スイッチに好適なものである。
20 HEMT層
30 光スイッチ層
71、111 LVDS終端回路
72 インバータ回路
91 2×2MZI
961、962 電界印加光吸収ゲート
102 駆動回路集積光スイッチ
112 駆動回路

Claims (8)

  1. 1個の光入力ポートと、Nを2以上の整数とするN個の光出力ポートとを有する光スイッチにおいて、
    前記光入力ポートに入力された信号光が導波する光導波路をN個に分岐する分岐素子と、
    N個の前記光出力ポートに各々設けられ、前記信号光の通過又は遮断を行う光ゲート素子と、
    第1のトランジスタを用いた第1のインバータ回路から構成され、前記光ゲート素子を各々ノーマリオフ動作させるN個の第1の駆動回路とを有し、
    前記分岐素子、前記光ゲート素子及び前記第1の駆動回路を同一の半導体基板上に集積させると共に、
    分布定数線路の終端回路からの制御信号により、前記第1の駆動回路の前記第1のトランジスタのゲートをオン又はオフ動作させる
    ことを特徴とする光スイッチ。
  2. 請求項1に記載の光スイッチにおいて、
    前記分岐素子は、1入力N出力の光カプラであり、
    前記光ゲート素子は、電界印加光吸収型の光ゲート素子である
    ことを特徴とする光スイッチ。
  3. 請求項1に記載の光スイッチにおいて、
    前記分岐素子は、少なくとも1つの2入力2出力MZI(Mach Zehnder Interferometer)からなると共に、複数の前記2入力2出力MZIからなる場合には、前段の前記2入力2出力MZIの2つの光出力ポートの各々に後段の前記2入力2出力MZIの2つの光入力ポートの一方が接続されて、複数の前記2入力2出力MZIがツリー状に多段に接続された構成であり、
    前記光ゲート素子は、電界印加光吸収型の光ゲート素子である
    ことを特徴とする光スイッチ。
  4. 請求項3に記載の光スイッチにおいて、
    前記2入力2出力MZIの2つのアーム光導波路の少なくとも一方に設けた電極に対して電流又は電圧を付与する、第2のトランジスタを用いた第2の駆動回路を更に有し、
    前記第2の駆動回路を更に前記半導体基板上に集積すると共に、
    前記分布定数線路の前記終端回路からの前記制御信号により、前記第2の駆動回路の前記第2のトランジスタのゲートをオン又はオフ動作させる
    ことを特徴とする光スイッチ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の光スイッチにおいて、
    前記第1の駆動回路は、前記光ゲート素子のn型電極に当該第1の駆動回路からの信号を付与する回路構成である
    ことを特徴とする光スイッチ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の光スイッチにおいて、
    前記第1のトランジスタは、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である
    ことを特徴とする光スイッチ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の光スイッチにおいて、
    前記分布定数線路は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)である
    ことを特徴とする光スイッチ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の光スイッチにおいて、
    前記終端回路を更に前記半導体基板上に集積した
    ことを特徴とする光スイッチ。
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