JP5943179B2 - 透明樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、LEDにはVf(順電圧)の個体差があるため、複数個を用いる場合には基本的には並列ではなく直列配線するが、一箇所の断線により全体が消灯してしまうため、数多くのLEDに直列に繋ぐことは、灯具としての故障リスクが高いという致命的な欠点がある。一方、プリズムの光屈折では、その組立工程の複雑さから一般証明器具としてはコスト高となるという欠点がある。
例えば、指向角(明るさ強度がピーク値の50%になる角度)が、120°の一般的なLEDを用いて照明器具とした場合、従来照明と同様に天面より下を照らすためには、図1のように最低でも5面にLEDを搭載する必要があり、電流値を上げてもなお、照明器具の真下でないと照度が低いのが現状であるため、各面には複数個のLEDを搭載している。そのため、指向角が150°以上あるLEDの開発が望まれている。
すなわち、本発明は、下記の透明樹脂組成物、発光ダイオード製品及び照明器具である。
2. 前記(A)ベースとなる硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤及び硬化促進剤からなり、前記(B)充填剤がガラスフィラ粉末である、前記1に記載の透明樹脂組成物。
3. 前記(A)ベースとなる硬化性樹脂組成物が、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン及び白金触媒からなり、前記(B)充填剤がアクリルフィラ粉末である、前記1に記載の透明樹脂組成物。
4. 前記1〜3のいずれかに記載の透明樹脂組成物を用いて封止した発光ダイオード製品。
5. 前記4に記載の発光ダイオード製品を用いて組み立てられた照明器具。
本発明の透明樹脂組成物は、(A)ベースとなる硬化性樹脂組成物及び(B)充填剤を含む透明樹脂組成物であって、(A)ベースとなる硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物の屈折率と、(B)充填剤の屈折率との差が絶対値で0.011〜0.020であり、充填剤の含有量が5〜30質量%である。
上記屈折率の差が絶対値で0.011未満である場合、光の乱反射が少なく、LED光の直進性の抑制効果が少ないため、所望する広指向角とすることができず、0.020を超える場合、輝度が低くなり好ましくない。
上記充填剤の含有量が5質量%未満である場合、光の乱反射が少なく、LED光の直進性の抑制効果が少ないため、所望する広指向角とすることができず、30質量%を超える場合、透明樹脂組成物の粘度が極端に上がり好ましくない。上記充填剤の含有量は、好ましくは10〜25質量%である。
(A)ベースとなる硬化性樹脂組成物に用いられる硬化性樹脂としては、透明性を有していれば特に制限はないが、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂等の常温で液状の公知のものであり、硬化前に混合する2液タイプが挙げられる。硬化性樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)充填剤は、硬化性樹脂との屈折率の差や高光透過率及び高輝度等の光学特性を考慮して公知のものを適宜選択すればよく、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、(A−1)エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤及び硬化促進剤からなるベースとなる硬化性樹脂組成物と(B−1)ガラスフィラ粉末とを含む透明樹脂組成物であり、(A−2)ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン及び白金触媒からなるベースとなる硬化性樹脂組成物と(B−2)アクリルフィラ粉末とを含む透明樹脂組成物である。
(A−1)ベースとなる硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤及び硬化促進剤からなる。
エポキシ樹脂としては、例えば、一般の公知のエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂等を好ましく用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的な酸無水物硬化剤としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメッリット酸等が挙げられる。
これらの酸無水物硬化剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でもDBU系硬化促進剤が好適であり、例えば、U−CATシリーズ(商品名、サンアプロ株式会社製)等の市販品を用いることができる。
硬化促進剤の使用割合は、(A−1)ベース樹脂組成物中、好ましくは0.1〜1.0質量%である。硬化促進剤の使用割合が0.1質量%以上であれば、透明樹脂組成物の硬化時間を短縮することできる。また、硬化促進剤の使用割合が1.0質量%以下であれば、適度な流動性となるため充填性が良好となり、常温においても可使時間が短すぎることがない。
ガラスフィラ粉末の平均粒径としては、5〜20μm程度のシャープな粒度分布のものが好ましい。サブミクロンオーダーの粒径が多くなると樹脂との界面面積が増え、樹脂組成物の粘性が極端に上がり好ましくない。一方、粒径が大きいと見た目に均一な硬化物が得られず、まだら模様に見えるので外観上好ましくない。そのため、上記範囲内であれば、樹脂組成物が適当な粘性を有しまた外観を損ねることもない。
これらのガラスフィラ粉末は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(A−2)ベースとなる樹脂組成物は、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン及び白金触媒からなる。
ポリアルキルアルケニルシロキサン及びポリアルキル水素シロキサンは、常温で液状のものであり、硬化前に混合する2液タイプであることが好ましい。
ポリアルキルアルケニルシロキサンとしては、例えば、下記式(1)で表されるビニル末端ポリジメチルシロキサン、下記式(2)で表されるビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、下記式(3)で表されるトリメチルシラン末端ビニルメチルシロキサンジメチルシロキサンコポリマー等が挙げられる。またポリアルキルアルケニルシロキサンは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ、さらにその他一般の公知のシロキサンを併用することができる。
白金触媒の使用割合は、(A−2)ベース樹脂組成物中、好ましくは0.005〜0.02質量%である。白金触媒の使用割合が上記範囲内であれば良好に反応を進行させることができる。
(A−1)及び(B−1)成分の場合、具体的には、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、硬化促進剤及びガラスフィラ粉末を配合することで作製することができる。また、(A−2)及び(B−2)成分の場合、具体的には、ポリアルキルアルケニルシロキサンに白金触媒、アクリルフィラ粉末を予備混合し、通常は硬化前にポリアルキル水素シロキサンを混合して2液タイプとして作製することができる。
また、本発明は上述した透明樹脂組成物を用いて封止した発光ダイオード製品及び該発光ダイオード製品を用いて組み立てられた照明器具を提供する。
発光ダイオード(LED)は、上述した透明樹脂組成物を封止材として用いることで容易に製造することができる、封止の一般手な方法としては、トランスファー成形、射出成形、圧縮成形等、金型とプレス装置を用いた成形方法の場合は、必要に応じて真空成形することにより隙間の充填性向上やボイドを低減させることができる。封止及び後硬化の温度は150℃以上にすることが好ましい。
ポッティングにより封止する場合は、上記の材料をシリンジ充填して塗布及び真空脱気後、オーブン硬化して作製する。オーブンでの硬化時間は120℃以上にすることが好ましい。
(1)屈折率
ベース樹脂組成物の硬化物を(株)アタゴ社製のアッベ式屈折率計1Tにより測定した。
(2)樹脂硬化物特性
〈光透過率〉厚さ1.0mmの試験成形品を、分光光度計(Jasco製、V−570)によって460nm波長の光透過率を測定した。
(3)デバイス特性
〈輝度〉SOP(Small Outline Package)フレームに青色LED素子(ピーク波長:457nm)を搭載してワイヤボンディングをした後、得られたLEDパッケージを基板に実装し、75mWになるように通電した光をフォトダイオード(浜松ホトニクス社製、S1226−8BQ)にて当てた際の電流値を輝度とした。
〈指向角〉LED配光測定装置(朝日分光社製、IMS5000−LED)によって、明るさがピーク値の50%になる角度を測定した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名エピコート1001)を73.0部、酸無水物硬化剤(新日本理化社製、商品名リカシットTH)を17.0部、硬化促進剤(サンアプロ社製、商品名U−CAT5003)を0.4部、ガラスフィラ(日本フリット社製、商品名154−05C、平均粒径5μm)を10.0部、これらを常温で混合し、さらに70〜100℃で混練した後、これを冷却、粉砕して成形材料を得た。
なお、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤及び硬化促進剤からなるベース樹脂組成物を硬化してなる硬化物の屈折率を測定し、屈折率の差から用いるガラスフィラを決定した。
こうして得られた成形材料をトランスファー成形機により、165℃に加熱した金型内で2分間成形し、さらに150℃で2時間アフターキュアして試験成形品及びLEDパッケージを得た。得られた試験成形品及びLEDパッケージについて、上記測定方法により各種物性を測定し、結果を表1に示した。
表1又は2に示す組成とし、また実施例1と同様にして試験成形品及びLEDパッケージを得、各種物性の測定を行った結果を表1又は2に示した。
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(アズマックス社製、商品名DMS−V31)を92.0部、アクリルフィラ(三菱レイヨン社製、商品名メタブレンW−5500−1.42、平均粒径1μm)を10.0部、白金−ビニルシロキサン錯体を0.01部、を常温で混合したものをA液とする。トリメチルシロキシ末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー3.2部をB液とし、A液とB液を97:3に比率で、常温で素早く脱気混合したものをシリンジ充填し、試験片型あるいはLEDパッケージにポッティングして脱気した後、150℃のオーブンで2時間硬化して試験成形品及びLEDパッケージを得た。
なお、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー及び白金−ビニルシロキサン錯体からなるベース樹脂組成物を硬化してなる硬化物の屈折率を測定し、屈折率の差から用いるアクリルフィラを決定した。
得られた試験成形品及びLEDパッケージについて、表に示した測定方法により各種物性を測定し、結果を表3に示した。
表3又は4に示す組成とし、また実施例6と同様にして試験成形品及びLEDパッケージを得、各種物性の測定を行った結果を表3又は4に示した。
Claims (5)
- (A)ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン及び白金触媒からなるベースとなる硬化性樹脂組成物及び(B)アクリルフィラ粉末を含む透明樹脂組成物であって、
(A)ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキル水素シロキサン及び白金触媒からなるベースとなる硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物の屈折率と、(B)アクリルフィラ粉末の屈折率との差が絶対値で0.011〜0.020であり、(B)アクリルフィラ粉末の含有量が5〜30質量%である封止用透明樹脂組成物。 - 前記(B)アクリルフィラ粉末が、平均粒径0.5〜1.5μmのアクリル系コア/シェルタイプである、請求項1に記載の封止用透明樹脂組成物。
- (ポリアルキル水素シロキサンの配合量/ポリアルキル水素シロキサンの当量)/(ポリアルキルアルケニルシロキサンの配合量/ポリアルキルアルケニルシロキサンの当量)が、1.2〜4.5である、請求項1又は2に記載の封止用透明樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用透明樹脂組成物を用いて封止した発光ダイオード製品。
- 請求項4に記載の発光ダイオード製品を用いて組み立てられた照明器具。
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