JP5941633B2 - シャトルコック用人工羽根、シャトルコック及びシャトルコック用人工羽根の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の他の特徴については、本明細書及び図面の記載により明らかにする。
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
このようなシャトルコック用人工羽根によれば、耐久性を損なわずに、打球感を向上させる人工羽根を実現できる。
前記羽軸部は、ガラス繊維とカーボンナノチューブを含む樹脂によって形成されている
ことを特徴とするシャトルコックも明らかとなる。
このようなシャトルコックによれば、耐久性を損なわずに、打球感を向上させることができる。
このような製造方法によれば、耐久性を損なわずに打球感の良い人工羽根を製造することができる。
<人工シャトルコックの基本構造>
図1及び図2は、人工羽根10を備えた人工シャトルコック1の外観図である。図1は、ベース部2の側から見た人工シャトルコック1の斜視図である。図2は、人工羽根10の側から見た人工シャトルコック1の斜視図である。
後述するように、ガラス繊維とカーボンナノチューブを含有した樹脂は、黒色になる(図7B参照:カーボンナノチューブが極めて少量でも黒色になる)。このような黒色の樹脂を用いて羽軸部14を形成した場合、図3のように羽部12を羽支持部14Aの裏側で支持すると、黒色の羽軸部14の全体(羽支持部14A及び羽柄部14Bの両方)が視認されてしまい、この結果、人工シャトルコックの視認性が低下するおそれがある。
羽軸部14の材料については後述するが、羽軸部14は軽量である必要がある。羽軸部14が重くなり、シャトルコックの重量バランスが悪くなることから、天然シャトルコックと異なる飛翔特性になるだけでなく、人工シャトルコック1が重たくなることで人工シャトルコック1がガットに食い込む量が多くなり、打球感が重くなる(打球感が悪くなる)ためである。
羽軸部14の材料として、繊維強化樹脂を使用することは知られている。しかし、繊維強化樹脂としてガラス強化樹脂を採用した場合、十分な反発性が得られないため、その打球感は、天然シャトルコックに遠く及ばない性能になる。一方、炭素繊維を用いた強化樹脂を採用した場合、十分な打球感が得られる程度(十分な剛性が得られる程度)まで炭素繊維を配合すると、脆く折れ易くなってしまい、耐久性に問題が生じてしまう。
これに対し、ガラス繊維と共にカーボンナノチューブを配合する場合、後述する耐久性の面で多量に使用する事は耐久性を低下させるため、少量で分散させる必要がある。その方法として、ガラス繊維を配合したマスターバッチ(最終品よりもガラス繊維を高濃度に含有した樹脂)と、カーボンナノチューブの分散性を良好としたマスターバッチ(最終品よりもカーボンナノチューブを高濃度に含有した樹脂)を用意した上で、更に非強化樹脂(ガラス繊維もカーボンナノチューブも含まれていない樹脂)を練り込むことでカーボンナノチューブをガラス繊維と共に樹脂に良く分散させることができた。
<サンプル>
人工シャトルコック1の耐久性と打球感を評価するため、羽軸部14の材料の異なる人工シャトルコック1のサンプル(参考サンプル、基準サンプル、サンプルA〜E、比較サンプル1、2)を作成した。図6は、各サンプルの材料(及び評価結果)を示す表である。
図7Aは、比較サンプルAを撮影した写真である。図7Bは、サンプルCを撮影した写真である。(但し、図7A及び図7Bは、写真から羽軸部14の色を把握できるようにするために、スカート部4(円環状に配置された複数の人工羽根10)の内側に白色の紙が入っている。)
図7A(炭素繊維を0.5重量%含有した比較サンプルA)では、羽軸部14が灰色であることが確認された。これは、炭素繊維が樹脂全体に十分に分散しておらず、樹脂に対する炭素繊維の量が足りない状態である。(このため、後述するように、比較サンプルAでは、炭素繊維が含有されているにも関わらず、羽軸部14の剛性・反発性が向上せず、打球感が向上していない。)
これに対し、図7B(MW−CNTを0.2重量%含有したサンプルC)では、羽軸部14が黒色になっていることが確認された。(なお、サンプルA及びサンプルBにおいても、羽軸部14は黒色であった。)羽軸部14が黒色なのは、黒色のカーボンナノチューブが樹脂全体に分散している結果である。
図8Aの顕微鏡写真(官能基付きMW−CNTを0.2重量%含有したサンプルB)によれば、カーボンナノチューブ(写真の黒色の部分)がガラス繊維(写真の細長い透明な部材)の周囲に接触(吸着)している様子が分かる。このように、官能基付きカーボンナノチューブを含有させると、カーボンナノチューブとガラス繊維とが接触する現象が生じることが確認された。
図3には、各サンプルの耐久性と打球感の評価結果が示されている。
耐久性の評価は、スマッシュ打撃毎にシャトルの状態を確認して、初期破損(軸が最初に折れた状態)の発生時期により数値化する事で行われた。所定回数を終えた段階で破損が無い状態を「100」として、所定回数より速く破損が出た場合は破損が生じたスマッシュ回数の割合で示す方法を採用した。今回は、破損の無い状態が基準となったために、基準サンプルを超える評価のサンプルは存在しない。
また、評価したシャトルに用いたベース部2には天然コルクを用いている。天然コルクは軽さと良好な反発性を両立する半面、天然素材であるがゆえにばらつきが多い特徴を有する。その結果、同じ種類の羽軸部を使用した場合でも個体差が生じている。よって、5%程度は誤差の範囲であり、耐久性の評価が96以上のものは実用上問題の無い範囲である。
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
2 ベース部、
3 紐状部材、
4 スカート部、
10 人工羽根、
12 羽部、
14 羽軸部、
14A 羽支持部、
14B 羽柄部、
15 補強材、
30 重複領域、
40 単独領域
Claims (8)
- シート状の羽部と、前記羽部を支持する羽軸部とを備えたシャトルコック用人工羽根であって、
前記羽軸部は、ガラス繊維と、官能基を備えるカーボンナノチューブとを含む樹脂によって形成されている
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根。 - 請求項1に記載のシャトルコック用人工羽根であって、
前記羽部を含む少なくとも2枚のシート状の部材の間に前記羽軸部を挟持させる
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根。 - 請求項1に記載のシャトルコック用人工羽根であって、
前記カーボンナノチューブは、前記官能基としてカルボキシル基及び水酸基の少なくとも一方を備える
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のシャトルコック用人工羽根であって、
前記ガラス繊維と前記カーボンナノチューブを含む樹脂における前記カーボンナノチューブの含有量が、0.4重量%以下である
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根。 - 請求項4に記載のシャトルコック用人工羽根であって、
前記ガラス繊維と前記カーボンナノチューブを含む樹脂における前記カーボンナノチューブの含有量が、0.2重量%以上、0.4重量%以下である
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根。 - ベース部と、前記ベース部に円環状に配置した複数の人工羽根とを備えたシャトルコックであって、
前記人工羽根は、シート状の羽部と、前記羽部を支持する羽軸部とを備え、
前記羽軸部は、ガラス繊維と、官能基を備えるカーボンナノチューブとを含む樹脂によって形成されている
ことを特徴とするシャトルコック。 - シート状の羽部と、前記羽部を支持する羽軸部とを備えたシャトルコック用人工羽根の製造方法であって、
前記羽軸部を、ガラス繊維と、官能基を備えるカーボンナノチューブとを含む樹脂によって形成する
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根の製造方法。 - 請求項7に記載の製造方法であって、
前記ガラス繊維を配合した第1マスターバッチを用意し、
前記カーボンナノチューブを配合した第2マスターバッチを用意し、
前記第1マスターバッチと、前記第2マスターバッチと、前記ガラス繊維も前記カーボンナノチューブも含まれていない樹脂とを練り込むことによって、前記ガラス繊維と前記カーボンナノチューブを含む樹脂を生成する
ことを特徴とするシャトルコック用人工羽根の製造方法。
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