JP5940401B2 - 渦電流探傷装置 - Google Patents
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Description
この渦電流探傷装置によれは、交流電源に接続される励磁コイルから励磁磁束を被検査体に付与し、この被検査体の表面に渦電流を発生させ、この渦電流に誘導された誘導磁場を検出コイルで検出する。
このような励磁コイル及び検出コイルから構成されるセンサ部を被検査体の表面に走査し、この表面に存在する欠陥による渦電流の変化を誘導磁場の変化として捉えることで、欠陥の検出が行われる。
この公知技術によれば、センサ部が被検査体から離れた場合であっても、励磁磁束を減衰させることなく被検査体に導くことができる。
このために、励磁コイルは、被検査体から離れた位置に配置されることになり、狭隘な箇所では、周辺構造物と干渉して渦電流探傷装置の被検査体へのアクセスが困難になる。
更に、検出コイルと鎖交する渦電流の誘導磁場は、その両端面に配置される板状の強磁性体で遮蔽されることになり、欠陥の検出感度の低下が懸念される。
図1(A)は、実施形態に係る渦電流探傷装置に適用されるセンサ部10を示す斜視図であり、図1(B)は、その分解斜視図である。そして、図2(A)は、センサ部10の水平断面図を示している。
被検査体30(図3)は、狭隘な形状、例えば、原子炉内構造物の溶接部、原子炉管台の管曲面部等を対象にすることができる。
コイル12には、素線が一方向に巻回されて帯状体を成し、さらにこの帯状体を積層させた構成をとる。さらに、これら二つのコイル12が互いに交差する部分は、第1コイル12aの帯状体と第2コイル12bの帯状体とが交互に積層した構成となっている。
つまり、三つ以上のコイル12が、センシング面11と直角に配列し、これら複数のコイル12が、平行ではなく、相互に角度を成すように配列している場合も想定される。また、これら複数のコイルが、互いに交差するのではなく、放射状に配列する場合もある。
円柱形状の磁性体コア20は、底面から頂部方向へ十字形に切欠部21が切れ込まれ、4つの四分円断面の磁路形成部22に分割されている。
この切欠部21に直交した十字形のコイル12a,12bが組み込まれ、コイルの端面13(13a,13b)の垂直方向に、センシング面11が形成される。
つまり、複数の磁路形成部22は、互いに分離して、複数のコイル12の隣り合う端面13(13a,13b)の間の空間14を埋めるように形成される場合もある。
また、磁性体コア20の水平断面は、コイルに対する対称性を崩さない形状であれば円形に限定されるものではない。
例えば、図2(B)に示すように、磁性体コア20の水平断面は、矩形であってもよい。
磁性体コア20はコイル12に組み合わされて、ケーシング23に収容される。この磁性体コア20は、コイル12とケーシング23とが成す空間に配置されているために、ケーシング23の外径サイズに影響を与えず、センサ部10の小型化に寄与する。
そして、この渦電流により発生する誘導磁場がコイル12に鎖交すると、このコイル12に発生した誘導起電圧が電圧計42(図6)で検出される。
そして、コイル12を走査して欠陥の近傍を通過すると、この欠陥を迂回して渦電流が流れて誘導磁場の分布が変化し、電圧計42で検出されるコイル12の誘導起電圧も変化する。
これにより、曲面を有する被検査体30であっても、このセンシング面11の直下のみに渦電流を生じさせ、その周辺における渦電流の発生を抑制し、被検査体30の表面形状に起因する欠陥擬似信号の発生を防止することができる。
このため、被検査体30の表面に生じさせる渦電流領域を小さくすることができ、その表面形状の変化による欠陥擬似信号の発生を抑制することができる。
更に、磁性体コア20は、被検査体30の表面に対向するコイル12の部分を覆わない構造である。このために、被検査体30に励起した渦電流の誘導磁場は、コイル12との鎖交を遮蔽されることはなく、センサ部10における検出感度が向上する。
図4(A)は、実施形態に係る渦電流探傷装置のセンサ部10に設けられる保護部材25を被検査体の平面部31に当接させている状態を示し、図4(B)は曲面部32に当接させている状態を示している。
ここでリフトオフ距離とは、センサ部10の走査中に、検出信号の感度低下及びノイズ増大により欠陥の識別性が低下する、コイル12と被検査体30との距離を指す。
また保護部材25を取り替え可能とすることで、被検査体の表面に傷をつけない材料を、被検査体の材質に合わせて適宜選択することができ、繰り返し使用に伴う磨耗などに起因する装置寿命に対応することができる。
ここで、磁気遮蔽体24、コイル12(12a,12b)及び磁性体コア20は、充填材を隙間につめて互いに固定されている。
この充填材は、エポキシ樹脂など樹脂材料が望ましいがとくに限定はない。
また、磁性体コア20とコイル12は、充填材で磁気遮蔽体24に固定されることにより、保護される。このためにセンサ部10は、機械強度が向上し、ネジ等を使用して走査機構(図示略)との機械的な取り合いが可能となる。
渦電流探傷試験(Eddy Current Testing:ECT)は、磁場を発生する励磁コイルと磁場変化を検出する検出コイルを一つのコイルが兼ねる自己誘導方式と、二つのコイルをそれぞれ励磁コイルと検出コイルとして別々に用いる相互誘導方式とがある。
駆動部40aでは、直列接続した第1コイル12a及び第2コイル12bに対し、交流電源41及び電圧計42が並列に接続されている。
ここで、第1コイル12a及び第2コイル12bは、差動信号が電圧計42で検出されるように、素線の巻回方向が互いに逆向きになるように接続されている。
なお、この第1コイル12a及び第2コイル12bが互いに異なる電気的特性を有すると、被検査体の表面を走査した場合、この電気的特性差に起因する欠陥擬似信号が生じる。このために、第1コイル12a、第2コイル12b及び磁性体コア20は、互いに対称な関係をもって配置されることにより、この電気的特性差を極力排除する構成をとる必要がある。
駆動部40bでは、第1コイル12aは交流電源41に、第2コイル12bは電圧計42に別々に接続されている。
このように、相互誘導方式の場合、センサ部10は、励磁磁束を生じて被検査体30に渦電流を励起させる第1コイル12aと、この渦電流により発生する誘導磁場を検出する第2コイル12bとが、異なる回路で構成されている。
なお、回路の切り替えにより自己誘導方式と相互誘導方式を、一つの駆動部40で実現することが可能であり、一度の探傷測定でぞれぞれの方式を実行することも可能である。
このように、検出コイルの起電圧の検出信号の変化を観察することにより、被検査体に含まれる欠陥を検出することができる。
Claims (6)
- 被検査体の表面に近接されるセンシング面と、
前記センシング面と直角を成すとともに、相互に角度を成すように配列され、素線を一方向に巻回し帯状に積層させた複数のコイルと、
前記コイルを励磁させるとともに前記被検査体に生じた渦電流の誘導磁場を検出する駆動部と、
前記複数のコイルの隣り合う端面の間の空間を埋める磁性体コアと、を備え、
前記磁性体コアは、前記複数のコイルを収容する切欠部と、前記隣り合う端面の間の空間及び前記複数のコイルにおける前記センジング面とは反対側の面に接する空間を埋める磁路形成部とを有することを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1に記載の渦電流探傷装置において、
前記複数のコイルは、隣り合う前記端面が対称となるように二つのコイルが互いに直角に交差して構成されることを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の渦電流探傷装置において、
複数の前記磁路形成部は互いに分離して形成されることを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置において、
前記センシング面には、被検査体の表面に当接させる保護部材が設けられていることを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置において、
前記複数のコイル及び前記磁性体コアの一体化物の側周面には磁気遮蔽体が備えられていることを特徴とする渦電流探傷装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置において、
前記駆動部は、自己誘導方式又は相互誘導方式が採用されることを特徴とする渦電流探傷装置。
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