JP5939971B2 - 排ガス浄化装置および排ガス浄化方法 - Google Patents
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Description
ガスエンジンの排ガスのように、排ガス中の炭化水素が主としてメタンである場合には、このウインドウ領域が非常に狭く、ガソリン排ガスと同種の触媒や使用条件では高い浄化率が得られないことも知られており、特にリーン側でもメタンの浄化率が低くなる特徴がある。これは、メタンが炭化水素の中で最も安定性の高い炭化水素で、反応性に乏しいことに起因していると考えられている。そこで、このような炭化水素に占めるメタンの割合の高い排ガスに対しても高い浄化率が得られるメタン主成分ガスの燃焼排ガス用三元触媒が開発されている(特許文献1、2)。
そのような状況に鑑みて、単斜晶の酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムおよび白金を担持して構成され、理論空燃比でメタン含有ガス中のメタンを還元力として利用可能な三元触媒も提案されており、低温域における性能の向上やリーン側でも高いメタン酸化活性が得られることが示されている(特許文献3)。
上記課題を解決するための排ガス浄化装置の特徴構成は、
メタンを主成分とする燃料ガスと酸素含有ガスとを含む混合気燃焼させるガスエンジンと、
前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとの混合比を空気過剰率が0.99〜1.00の範囲に調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えたガスエンジン装置の排ガス浄化装置であって、
Pt、RhおよびCeを少なくとも含む触媒Aと、PtおよびIrを少なくとも含む触媒Bとが、ガスエンジン装置の排ガス流路における上流側から、触媒A、触媒Bの順で直列に配置されている点にある。
触媒によるNOx浄化の反応機構は明らかになっていないが、一般に、NOxのアンモニアへの還元反応と、アンモニアとNOxとの窒素生成反応とが同時に進行することによりNOxが窒素に変換されると考えられている。この観点によると、NOxのアンモニアへの還元反応が迅速に進み、窒素生成反応に必要なNOxが十分量残っていないと、窒素生成反応が十分に進行せずアンモニアの発生につながるものと考えられる。この現象に基づき、触媒Aは、低温においてメタン浄化率が低下する傾向があるものの、NOx浄化率に優れ、触媒Bは、低温におけるメタン浄化率に優れているものの、NOx浄化の際にアンモニアを生成し易い傾向にあると考えられる。
ガスエンジンからCO、H2があまり発生せず、NOxの処理を行うに際して、触媒Aおよび触媒Bともにアンモニアを発生させることなくNOxの浄化処理が行える。そのため、低温における活性が十分でない触媒Aで処理しきれない排ガス成分は、触媒Bで処理され、排ガスは全体として良好に処理される。
触媒Aの活性が充分高い。したがって、NOxの処理を触媒Aでほぼ完了することができるので、触媒BにおいてNOxからアンモニアを生成する反応は進行せず、かつ、メタンも両触媒で良好に処理されるので、排ガスは全体として良好に処理される。
ガスエンジンからCO、H2が多量に発生する。このような条件では、触媒B単独では多量のアンモニアが発生することになるが、先に触媒Aで処理することによって、NOxの一定割合がすでに浄化されていることと、これに応じてCO、H2濃度も低減されていることから、触媒B上でのアンモニアの生成は抑制される。また、低温における活性が十分でない触媒Aで処理しきれない排ガス成分は、触媒Bで処理される。従って、アンモニアの生成を抑制しつつ高いNOx浄化率が得られる。
触媒Aの活性が充分高い。したがって、NOxの処理を触媒Aでほぼ完了することができるので、触媒BにおいてNOxからアンモニアを生成する反応は進行しない。従って、アンモニアの生成を抑制しつつ高いNOx浄化率が得られる。
アンモニア生成の原因となるCO、H2の発生は少ないので、NOxからのアンモニア生成は進行しない。排ガス中の主な浄化対象成分となるメタンは、メタン浄化性能の高い触媒Bで主に処理される。
アンモニア生成の原因となるCO、H2の発生は少ないので、NOxからのアンモニア生成は進行しない。排ガス中の主な浄化対象成分となるメタンは、触媒Aで一部が処理された後、さらにメタン浄化性能の高い触媒Bで処理される。このため高いメタン浄化率が得られる。
また、上記構成において、前記ガスエンジン装置は、排ガス温度が400℃以上600℃未満の低温域となる運転動作が可能であってもよい。
すなわち、前記ガスエンジン装置は、排ガス温度が400℃以上600℃未満の低温域となる運転動作が可能である場合、特に触媒Aのみでは排ガスの浄化能力が不十分となりがちな領域であるので、前述の触媒A,Bの組み合わせを採用すれば特に高い効果が期待できることになる。
また、上記構成において、前記触媒Aと触媒Bの体積比(触媒Aの体積:触媒Bの体積)が、1:3〜1:1であってもよい。
すなわち、前記触媒Aと触媒Bの体積比を1:3〜1:1にすることにより、後述する各種の測定結果から明らかなように、特に低温域において、ストイキ点付近におけるNOx浄化率およびリーン側での炭化水素浄化率の向上を図ることができる。
上記課題を解決するための排ガス浄化方法の特徴構成は、
メタンを主成分とする燃料ガスと酸素含有ガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、
前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとの混合比を空気過剰率が0.99〜1.00の範囲に調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えたガスエンジン装置からの排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、
前記ガスエンジン装置からの排ガスを、まずPt、RhおよびCeを少なくとも含む触媒Aに接触させ、次いでPtおよびIrを少なくとも含む触媒Bに接触させる点にある。
すなわち、触媒Aおよび触媒Bを、この順で用いることにより、ガスエンジンの排ガスを幅広い運転条件のいずれにおいても除去対象成分を効率よく浄化する事ができるようになった。
酸素含有ガスは、一般には空気であるが、ガスエンジンの運転に支障のない範囲で、酸素濃度を高めたり、不活性ガスや燃焼排ガスを添加したりして酸素濃度を低くしたガスであっても良い。
特許文献1(特開平5−23592号公報)に開示される方法に従って、コージェライトハニカム(6.45平方センチあたりのセル数 210セル)に、Pt、Rh,Ceをそれぞれ3、0.3および45g(ハニカム触媒1リットルあたり)担持する触媒Aを調製した。
/g)1000gに、硝酸セリウム水溶液1000ml(セリウムとして28gを含有)を加えてよく撹拌し150℃で乾燥した後、空気中で、600℃で2時間焼成した。このセリウム含有活性アルミナ1000gに対し、酸化セリウム700g、およびアルミナゾル(ベーマイト10重量%+硝酸10重量%)2400gを加えて、ボールミル中で混合粉砕し、この液にコージェライト製モノリス担体(見かけの体積1680ml)を浸漬し、目詰まりを飛ばす目的でエアブローした後乾燥させ、さらに浸漬・エアブロー・乾燥を2回繰り返した後、700℃で2時間焼成し、ハニカム担体上にウォシュコート層を形成した。このハニカム担体に、ジニトロジアンミン白金の硝酸水溶液と硝酸ロジウム水溶液の混合溶液に浸漬し、エアブロー、乾燥する工程を繰り返し、Ptをハニカム担体の見かけの体積に対して3g/L程度、Rhを0.3g/L程度含むように担持した後、焼成して、触媒を得た。
00×(1−(出口濃度)/(入口濃度))(%)で定義され、NOxについては一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)の合計濃度を用いている。また、窒素収率は、20
0×(出口の窒素濃度)/(入口のNOx濃度)で求めた。
特許文献5(特開2006−299912号公報)に開示される方法に従って、コージェライトハニカム(6.45平方センチあたりのセル数210セル)に、酸化ジルコニウムを担体として、Pt、Irをそれぞれ5.0および7.5g(ハニカム触媒1リットルあたり)担持する触媒Bを調製した。
5g、ジルコニアゾル(日産化学工業(株)製、NZS−30A:酸化ジルコニウムとして31重量%含有)30g、水45mlをボールミルで混合してスラリーを調製した。このスラリーに、1平方インチ当たり210の貫通口を有するコージェライトハニカムを浸漬して引き上げ、乾燥する工程を繰り返して酸化ジルコニウムでコーティングした。次いで、空気中800℃で4時間焼成し、コージェライトハニカム1リットル当たり280gの酸化ジルコニウムを担持した焼成酸化ジルコニウムコートハニカムを得た。この焼成酸化ジルコニウムコートハニカムを、塩化イリジウム酸(H2IrCl6)と塩化白金酸(H2PtCl6)とを混合した混合水溶液に含浸し、さらにドライヤで乾燥した後、空気中550℃で4時間焼成して、コージェライトハニカム1リットル当たり5gの白金及び7.5gのイリジウムを担持した排ガス浄化用触媒を得た。
本触媒では、初期においてはλが0.995以下の条件で窒素収率が低下し、アンモニアや亜酸化窒素の生成(NOx浄化率−窒素収率により示される)が増加する。さらに、劣化処理後でも、アンモニアや亜酸化窒素は、λ=0.99以下のリッチ領域においては生成することが明らかとなった。
以上の結果から、触媒Bでは、低温活性は極めて高いものの、比較的多量のアンモニアや亜酸化窒素を生成することが明らかである。
比較例1で用いた触媒Aと比較例2で用いた触媒Bをそれぞれ、直径12mm×長さ12mmに切り出し、触媒Aがガス流れに対して上流側となるように石英反応管に充填し、比較例1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。
直径12mm×長さ12mmに切り出した触媒Aと触媒Bを用いて、触媒Bがガス流れに対して上流側となるように石英反応管に充填した他は、実施例と同様の評価を行った。結果を表7に示す。
以上の結果から、触媒Aと触媒Bの順序は、低温活性への影響は小さいものの、アンモニアや亜酸化窒素の副生を抑える点では極めて重要であることが示された。
比較例1の触媒Aを、直径8mm×長さ50mmに切り出し、石英反応管に充填し、触媒層温度を525,500,475,450,425,400℃に変えて、それぞれの温度で表1に示す組成のガスを毎分1.675リットル流通して、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)および炭化水素(CH4)の浄化率と窒素収率を測定した(初期の性能)。
引き続いて、触媒層温度を400℃に保ち、表2に示すガスを毎分1.29リットルの流量で18時間流通する模擬劣化処理を行ったのち、触媒層温度を400,425,450,475,500,525℃に変えて、それぞれの温度で表3に示す組成のガスを毎分1.675リットルの流量で流通して、浄化率と窒素収率を測定した(劣化処理後の性能)。結果を表8に示す。
比較例2の触媒Bを、直径8mm×長さ50mmに切り出し、石英反応管に充填して、比較例4と同様の評価を行った。結果を表9に示す。
比較例1で用いた触媒Aを直径8mm×長さ12mmに切り出し、比較例2で用いた触媒Bを直径8mm×長さ37mmに切り出し、両触媒を触媒Aがガス流れに対して上流側となるように石英反応管に充填して、比較例4と同様の評価を行った。結果を表10に示す。
比較例1で用いた触媒Aを直径8mm×長さ24mmに切り出し、比較例2で用いた触媒Bを直径8mm×長さ24mmに切り出し、両触媒を触媒Aがガス流れに対して上流側となるように石英反応管に充填して、比較例4と同様の評価を行った。結果を表11に示す。
比較例1で用いた触媒Aを直径8mm×長さ37mmに切り出し、比較例2で用いた触媒Bを直径8mm×長さ12mmに切り出し、両触媒を触媒Aがガス流れに対して上流側となるように石英反応管に充填して、比較例4と同様の評価を行った。結果を表12に示す。
しかし、ストイキ点付近における低温活性(例えば、λ=0.9995におけるNOx浄化率)およびリーン側での炭化水素浄化率に着目すると、実施例1〜3の方が実施例4よりも優れている。
つまり、触媒Aと触媒Bの体積比(触媒Aの体積:触媒Bの体積)を比較検討すると、実施例1と実施例3は1:1、実施例2は約1:3、実施例4は約3:1であり、これらの結果を考慮し、さらに、触媒Aの比率が大きくなり過ぎると、リーン側での炭化水素浄化率が低下し、触媒Aの比率が小さくなり過ぎると、アンモニアの生成が抑制できなくなることを勘案すると、触媒Aと触媒Bの体積比は、1:3〜1:1(触媒A≦触媒B)程度が好ましいと考えられる。
11:触媒A
12:触媒B
2:ガスエンジン
3:空燃比制御装置
31:空燃比センサ
32:空燃比センサ
33:スロットル
34:燃料弁
35:演算装置
4:燃料ガス
5:酸素含有ガス
Claims (6)
- メタンを主成分とする燃料ガスと酸素含有ガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、
前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとの混合比を空気過剰率が0.99〜1.00の範囲に調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えたガスエンジン装置の排ガス浄化装置であって、
Pt、RhおよびCeを少なくとも含む触媒Aと、PtおよびIrを少なくとも含む触媒Bとが、ガスエンジン装置の排ガス流路における上流側から、触媒A、触媒Bの順で直列に配置されている排ガス浄化装置。 - 前記ガスエンジン装置は、排ガス温度が400℃以上600℃未満の低温域となる運転動作が可能である請求項1に記載の排ガス浄化装置。
- 前記触媒Aと触媒Bの体積比(触媒Aの体積:触媒Bの体積)が、1:3〜1:1である請求項1または2に記載の排ガス浄化装置。
- メタンを主成分とする燃料ガスと酸素含有ガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、
前記燃料ガスと前記酸素含有ガスとの混合比を空気過剰率が0.99〜1.00の範囲に調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備えたガスエンジン装置からの排ガスを浄化する排ガス浄化方法であって、
前記ガスエンジン装置からの排ガスを、まずPt、RhおよびCeを少なくとも含む触媒Aに接触させ、次いでPtおよびIrを少なくとも含む触媒Bに接触させる排ガス浄化方法。 - 前記ガスエンジン装置からの排ガスを、前記触媒Aに400℃以上600℃未満の低温域で接触させる請求項4に記載の排ガス浄化方法。
- 前記排ガスの接触する前記触媒Aと触媒Bの体積比(触媒Aの体積:触媒Bの体積)が、1:3〜1:1である請求項4または5に記載の排ガス浄化方法。
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