JP5939542B2 - 亀裂進展防止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、構造部材に発生した亀裂の進展を防止するための亀裂進展防止構造に関する。
大型の工作機械等において支柱を構成する構造部材は、荷重が繰り返しかかることにより、亀裂が生じることがある。この構造部材に発生した亀裂の進展を防止するために、種々の構造が提案されている。
特許文献1には、補強板を用いて亀裂の進展を停止するための補強構造が示されている。この補強構造は、構造部材の亀裂を跨ぐように補強板を固定してある。構造部材への補強板の固定は、構造部材及び補強板に挿通孔を貫通形成すると共に、表面側からボルトを挿通配置し、裏面側に配されたナットと螺合することにより、締結固定されている。
特開2009−113046号公報
しかしながら、特許文献1に示された補強構造には以下の問題点がある。
上記補強構造は、ボルト及びナットを用いて補強板を構造部材に締結固定している。ボルト及びナットによる締結固定を行うためには、上述のごとく、構造部材の表面側と裏面側の両方において作業を行う必要がある。
そのため、構造部材が筒形状をなしていたり、表面側又は裏面側における作業を行えない場合には、ボルトとナットとを螺合することができず、上記補強構造を用いることができない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、容易に施工が可能で、かつ亀裂の進展を効果的に防止することのできる亀裂進展防止構造を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、 板状の構造部材に発生した亀裂の進展を防止するための亀裂進展防止構造であって、
上記構造部材には、上記亀裂の一部を跨ぐように配置された一対の補強ネジ穴が設けられており、
上記補強ネジ穴に対応する一対の挿通孔を有する補強板が、上記補強ネジ穴と上記挿通孔とが同一軸線上に位置するように上記構造部材上に配置され、
上記補強ネジ穴に螺合可能な補強ボルトが、上記補強板の挿通孔を貫通して上記補強ネジ穴に締結されており、
上記構造部材には、上記一対の補強ネジ穴と同一直線上に位置し上記亀裂の一部を貫通する中央補強ネジ穴が設けられ、上記補強板には、上記中央補強ネジ穴と対応する位置に中央挿通孔が設けられ、上記中央補強ネジ穴に螺合可能な中央補強ボルトが、上記補強板の上記中央挿通孔を貫通して上記中央補強ネジ穴に締結されていることを特徴とする亀裂進展防止構造にある
上記亀裂進展防止構造においては、上記のごとく、亀裂が生じた上記構造部材に、直接、上記補強ネジ穴を形成してあり、該補強ネジ穴に上記補強ボルトを螺合することにより、上記補強板を固定している。そのため、上記構造部材に対して一方向からの締結作業によって上記補強板を固定することができる。これにより、上記構造部材が筒状をなしていたり、上記構造部材における表裏の両方から作業をすることが難しい場合であっても、上記亀裂進展防止構造を容易に施工し、上記補強板により上記亀裂を拘束することができる。
また、上記補強ネジ穴に上記補強ボルトを締結した際に、上記補強ボルトのネジ山によって上記補強ネジ穴のネジ山が押圧され、接触面と垂直な方向に押圧力がかかる。この押圧力における上記補強ボルトの軸方向の成分は軸力として上記補強ボルトと上記構造部材とに作用する。そして、押圧力における軸方向と直交した方向にかかる成分は、分力として上記補強ネジ穴の外側に向かって作用する。
このとき、上記構造部材においては、上記補強板によって上記補強ネジ穴の間隔が固定されているため、各補強ネジ穴の間に対向してかかる分力が、亀裂を閉じるように作用する。これにより、上記亀裂の開きを防止することができ、亀裂の進展防止効果を向上することができる。
以上のごとく、上記亀裂進展防止構造によれば、容易に施工ができ、かつ効果的に亀裂の進展を防止することができる。
実施例1における、亀裂進展防止構造を示す説明図。 実施例1における、亀裂進展防止構造を示す正面図。 図2における、A−A線矢視断面図。 図2における、B−B線矢視断面図。 実施例1における、構造部材を示す正面図。 実施例1における、(a)補強板を示す断面図、(b)補強板の対向面を示す説明図。 実施例1における、補強ボルトと補強ネジ穴の部分拡大断面図。
上記亀裂進展防止構造において、上記構造部材には、上記補強ネジ穴と同一直線上に位置し上記亀裂の一部を貫通する中央補強ネジ穴が設けられ、上記補強板には、上記中央補強ネジ穴と対応する位置に中央挿通孔が設けられ、上記中央補強ネジ穴に螺合可能な中央補強ボルトが、上記補強板の上記中央挿通孔を貫通して上記中央補強ネジ穴に締結してある。
この場合には、上記中央補強ネジ穴に上記中央補強ボルトを締結することで、上記中央補強ネジ穴には、その軸方向と交差した方向に向かう分力が発生する。したがって、上記補強板によって拘束された範囲にかかる力を増大することができる。これにより、上記亀裂の進展をより効果的に防止することができる。
また、上記構造部材には、上記亀裂の端部を貫通する端部ネジ穴が形成されており、該端部ネジ穴に端部ボルトを締結してあってもよい上記亀裂の端部においては、応力集中が生じやすく、上記亀裂が進展しやすい。そのため、上記亀裂の端部に形成された上記端部ネジ穴に上記端部ボルトを締結して、上記端部ネジ穴の周囲に分力を発生させることにより、応力を分散することができる。これにより、上記亀裂の進展を防止することができる。
また、上記補強板における上記亀裂と対向する部位の周囲には、上記構造部材に向かって突出した突出部が形成してあってもよいこの場合、上記補強部材を締結固定することにより、上記突出部は、上記構造部材に食い込むか、上記突出部が上記構造部材に沿うように変形するか、あるいはその両方の現象が生じる。そのため、上記補強板と上記構造部材との間における接触圧を高めることができる。したがって、上記突出部と上記構造部材とを密着させ、上記構造部材を固定することができる。これにより、上記亀裂が開くことを防止し上記亀裂の進展を防止することができる。
また、上記補強板において上記突出部以外の上記構造部材と対向する面は、上記突出部よりも後退した位置に配されている。そのため、上記補強ボルトを締結すると、上記補強板は、その両端側が上記構造部材に向かうように撓むこととなる。このとき、上記補強板には、上記補強ボルトの軸方向に向かって反力が発生する。これにより、上記補強板と上記補強ボルトとの間における接触圧を増大し、上記補強ボルトの緩みを防止することができる。
また、上記補強ボルトの軸径Dと上記構造部材の厚さT2とは、T2≦D≦1.2T2の関係を有していてもよいこの場合には、上記補強ボルトに充分な強度を付与することができ、締結時における分力を確保することができる。これにより、上記亀裂の進展を防止することができる。
上記補強ボルトの軸径Dと上記構造部材の厚さT2とが、T2>Dの関係を有していると、上記補強ボルトを締結した際に得られる分力が不足する場合がある。
上記補強ボルトの軸径Dと上記構造部材の厚さT2とが、1.2T2<Dの関係を有していると、上記補強ボルトを締結した際に過大な締結力が発生し、上記補強ネジ穴が損傷する場合がある。
尚、上記中央補強ボルト及び上記端部ボルトについても、同様の関係を有していることが好ましい。
また、上記補強板の厚さT1と上記構造部材の厚さT2とは、0.66T2≦T1≦1.34T2の関係を有していてもよいこの場合には、上記補強板に充分な強度を付与することができ、上記亀裂の進展を効果的に防止することができる。
上記補強板の厚さT1と上記構造部材の厚さT2とが、T1<0.66T2の関係を有していると、上記補強板の強度が不足する場合がある。
上記補強板の厚さT1と上記構造部材の厚さT2とが、T1>1.34T2の関係を有していると、上記補強板が必要以上の強度を有する場合がある。
また、上記補強ボルトは、上記構造部材を形成する材料よりも硬度の大きい材料からなるワッシャーを備えており、該ワッシャーの外径は、上記補強ボルトの頭部の外形よりも大きくしてもよいこの場合には、上記補強ボルトを締結した際に発生する軸力を、上記ワッシャーを介して上記補強板のより広範囲に確実に伝達することができる。また、上記ワッシャーにより、上記補強ボルトの頭部が上記補強板に陥没することを防止することができる。したがって、上記補強ボルトの緩み等を防止し上記補強板を確実に固定すると共に、上記補強ボルトの分力を効率よく発生させることができる。これにより、より確実に上記亀裂の進展を防止することができる。
尚、上記中央補強ボルト及び上記端部ボルトについても、上記ワッシャーを備えていることが好ましい。
また、上記補強ボルトの締め付けトルクは、JIS B 1083に準じて設定されていてもよいこの場合には、上記補強ボルトを適切に締結すると共に、十分な締結力を得ることができる。これにより、上記補強ネジ穴の周方向に充分な分力を発生させることができる。これによって、より確実に上記亀裂の進展を防止することができる。
(実施例1)
亀裂進展防止構造にかかる実施例について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すごとく、亀裂進展防止構造1は、板状の構造部材2に発生した亀裂21の進展を防止するためのものである。
図5に示すごとく、構造部材2には、亀裂21の一部を跨ぐように配置された一対の補強ネジ穴22が設けられている。図3に示すごとく、補強ネジ穴22に対応する一対の挿通孔31を有する補強板3が、補強ネジ穴22と挿通孔31とが同一軸線上に位置するように構造部材2上に配置されている。補強ネジ穴22に螺合可能な補強ボルト41が、補強板3の挿通孔31を貫通して補強ネジ穴22に締結されている。
以下、さらに詳細に説明する。
本例における構造部材2は、図1に示すごとく、大型の工作機械における支柱を構成するものであり、略正方形の断面形状をなす四角筒状をなしている。構造部材2の一つの面には、構造部材2の長手方向と交差するように亀裂21が発生している。尚、構造部材2は、図3に示すごとく、鉄鋼材からなり、その板厚T2は9mmである。
図5に示すごとく、構造部材2には、亀裂21を跨ぐように形成された一対の補強ネジ穴22と、補強ネジ穴22の間に形成された中央補強ネジ穴23と、亀裂21の両端にそれぞれ形成された端部ネジ穴24との5つのネジ穴が形成されている。
図5に示すごとく、補強ネジ穴22は、亀裂21の長手方向における略中央の位置において、亀裂21と交差する1本の直線L上に配されている。亀裂21と各補強ネジ穴22との間の距離は、略同一としてある。補強ネジ穴22の内周面にはネジ山が形成されている。尚、補強ネジ穴22は、JIS規格:JIS B 0205におけるM10に準じた形状によって形成されている。
中央補強ネジ穴23は、一対の補強ネジ穴22が配された直線上でかつ亀裂21と直線Lとの交点上に貫通形成されている。中央補強ネジ穴23は、補強ネジ穴22と同様に、JIS規格:JIS B 0205におけるM10に準じた形状によって形成されている。
端部ネジ穴24は、亀裂21における両端部をそれぞれ中心として貫通形成されている。端部ネジ穴24は、補強ネジ穴22及び中央補強ネジ穴23と同様に、JIS規格:JIS B 0205におけるM10に準じた形状によって形成されている。
図6に示すごとく、補強板3は、略長方形状をなす板材からなり、その板厚T1は、9mmに設定してある。したがって、構造部材2の板厚と補強板3の板厚とはT1=T2の関係を有している。また、補強板3は、その長手方向が、直線Lと同一方向となるように構造部材2に配される。
図6に示すごとく、補強板3には、一対の挿通孔31と中央挿通孔32とが形成されている。中央挿通孔32は、補強板3の中心に貫通形成されている。図3に示すごとく、挿通孔31は、中央挿通孔32と中央補強ネジ穴23とを対向させた際に、一対の補強ネジ穴22と対向する位置に貫通形成されている。尚、挿通孔31及び中央挿通孔32の内径は、φ12mmに設定してある。
図6に示すごとく、補強板3における構造部材2との対向面には、中央挿通孔32の周囲において構造部材2に向かって突出した突出部33が形成されている。本例において、突出部33の突出量Pは、0.2mmとした。また、突出部33は、その突出方向から見たとき、四角形状をなしており、構造部材2との接触面には、図示しない複数の凹凸形状が形成されている。凹凸形状は、例えば、スリット状や鋸刃状等、種々の形状を用いることができ、突出部33と構造部材2との間における摩擦力を向上することができる。
また、突出部33の突出量Pは、0.1mm以上でかつ0.3mm以下であることが好ましい。この場合には、突出部33と構造部材2との間における摩擦力の向上効果を確実に得ることができる。突出部33の突出量Pが0.1mm未満の場合、突出部33の効果が低下する場合がある。また、突出部33の突出量Pが0.3mmを超える場合、補強板3の対向面における突出部33以外の部位で、構造部材2に対する浮きが生じる場合がある。
図3に示すごとく、補強ネジ穴22及び中央補強ネジ穴23に螺合する補強ボルト41と、中央補強ボルト42とは、同一の形状を有しており、JIS規格:JIS B 1180におけるM10に準じて形成された半ネジの六角ボルトである。
図3に示すごとく、補強ボルト41及び中央補強ボルト42は、六角柱状をなす頭部411、421と、頭部411、421から延設された軸部412、422とを有している。軸部412、422は、頭部411、421側に配された円柱部413、423と、円柱部413、423の先端側に配されたネジ山を有するネジ部414、424とを有している。
また、図3に示すごとく、補強ボルト41及び中央補強ボルト42における軸部412、422の軸径D1は、共にφ10mmである。したがって、軸径D1と構造部材の板厚T2とは、D1=1.11T2の関係を有している。
また、補強ボルト41及び中央補強ボルト42の強度区分は、JIS規格:JIS B 1051における12.9に相当するものとした。
図4に示すごとく、端部ネジ穴24に螺合する端部ボルト43は、JIS規格:JIS B 1180におけるM10に準じて形成された全ネジの六角ボルトである。端部ボルト43は、六角柱状をなす頭部431と、頭部431から延設された軸部432とを有しており、軸部432の外周側面の全体にネジ山が形成されている。
また、端部ボルト43における軸部432の軸径D2は、φ10mmである。したがって、軸径D2と構造部材の板厚T2とは、D2=1.11T2の関係を有している。
尚、端部ボルト43の強度区分は、JIS規格:JIS B 1051に準じ、12.9とした。
図3及び図4に示すごとく、補強ボルト41、中央補強ボルト42及び端部ボルト43は、ワッシャー44を備えている。ワッシャー44は、JIS規格:JIS B 1256−78に準じた形状をなしている。ワッシャー44は、焼入れ、焼鈍し処理を施したS45Cハイテンションワッシャである。
図1〜図3に示すごとく、上記の補強板3は、補強ボルト41及び中央補強ボルト42によって構造部材2に締結固定される。ワッシャー44に軸部412、422を挿通した補強ボルト41及び中央補強ボルト42を、補強板3の挿通孔31及び中央挿通孔32に挿通配置すると共に、構造部材2に形成された補強ネジ穴22及び中央補強ネジ穴23に螺合する。尚、補強ボルト41及び中央補強ボルト42の締め付けトルクは、JIS規格:JIS B 1083に準じて設定されており、本例においては、65.0N・m±5%の範囲とした。
また、補強部材3を固定する際には、補強ネジ穴22に補強ボルト41を先に締結し、その後に中央補強ネジ穴23に中央補強ボルト42を締結することが好ましい。この場合には、中央補強ボルト42を締結する際に亀裂21が開くことを防止すると共に、補強ボルト41及び中央補強ボルト42によって構造部材2に加わる力のロスを低減することができる。これにより、より効率よく亀裂21の進展を防止することができる。
図1、図2及び図4に示すごとく、端部ネジ穴24には、端部ボルト34を締結する。端部ボルト43は、その軸部432をワッシャー44に挿通配置した状態で端部ネジ穴24に締結固定する。尚、端部ボルト43の締め付けトルクは、JIS規格:JIS B 1083に準じて設定されており、本例においては、本例においては、65.0N・m±5%の範囲とした。
亀裂進展防止構造1においては、亀裂21が生じた構造部材2に、直接、補強ネジ穴22を形成してあり、該補強ネジ穴22に補強ボルト41を螺合することにより、補強板3を固定している。そのため、構造部材2に対して一方向からの締結作業によって補強板3を固定することができ、該補強板3により亀裂21を拘束することができる。これにより、構造部材2が筒状をなしていたり、構造部材2における表裏の両方から作業をすることが難しい場合であっても、亀裂進展防止構造1を容易に施工することができる。
また、図7に示すごとく、補強ネジ穴22に補強ボルト41を締結した際に、補強ボルト41のネジ山415によって補強ネジ穴22のネジ山221が押圧され、接触面と垂直な方向に押圧力Fがかかる。この押圧力Fにおける補強ボルト41の軸方向の成分は軸力Faとして作用する。そして、押圧力Fにおける軸方向と直交した方向にかかる成分は、分力Fcとして補強ネジ穴22の外側に向かって作用する。
このとき、図2に示すごとく、構造部材2においては、補強板2によって補強ネジ穴22の間隔が固定されているため、各補強ネジ穴22同士に対向する分力Fcが、亀裂21を閉じるように作用する。これにより、亀裂21の開きを防止することができ、亀裂21の進展防止効果を向上することができる。
また、構造部材2には、補強ネジ穴22と同一軸線上に位置し亀裂21の一部を貫通する中央補強ネジ穴23が設けられ、補強板3には、中央補強ネジ穴23と対応する位置に中央挿通孔32が設けられ、中央補強ネジ穴23に螺合可能な中央補強ボルト42が、補強板3の中央挿通孔32を貫通して中央補強ネジ穴23に締結してある。
そのため、図2に示すごとく、中央補強ネジ穴23に中央補強ボルト42を締結することで、中央補強ネジ穴23には、その軸方向と交差した方向に向かう分力Fcが発生する。これにより、補強板3によって拘束された範囲にかかる亀裂21を閉じるように作用する力を増大することができる。これにより、亀裂21の進展をより効果的に防止することができる。
また、図2に示すごとく構造部材2には、亀裂21の端部を貫通する端部ネジ穴24が形成されており、端部ネジ穴24に端部ボルト43を締結してある。亀裂21の端部においては、応力集中が生じやすく、亀裂21が進展しやすい。そのため、亀裂21の端部に形成された端部ネジ穴24に端部ボルト43を締結して分力Fcを生じさせることで、応力を分散することができる。これにより、亀裂21の進展を防止することができる。
また、補強板3における亀裂21と対向する部位の周囲には、構造部材2に向かって突出した突出部33が形成してある。そのため、補強板3を締結固定することにより、突出部33は、構造部材2に食い込むか、突出部33が構造部材2に沿うように変形するか、あるいはその両方の現象が生じる。そのため、補強板3と構造部材2との間における接触圧を高めることができる。したがって、突出部33と構造部材2との間における摩擦力を向上し、構造部材2を固定することができる。これにより、亀裂21が開きを防止し亀裂21の進展を防止することができる。
また、補強板3において突出部33面以外の構造部材2と対向する面は、突出部33よりも後退した位置に配されている。そのため、補強ボルト41を締結すると、補強板3は、構造部材2側に撓むこととなる。このとき、補強板3には、補強ボルト41の軸方向に向かって反力が発生する。これにより、補強板3と補強ボルト41との間における接触圧を増大し、補強ボルト41の緩みを防止することができる。
また、補強ボルト41、中央補強ボルト42及び端部ボルト43の軸径D(D1、D2)と構造部材2の厚さT2とは、いずれもT2≦D≦1.2T2の関係を満たしている。そのため、各ボルトに充分な強度を付与することができ、締結時における軸力を確保することができる。これにより、補強ボルト41から軸方向と交差する方向にかかる分力を確実に発生させ、亀裂21の進展を防止することができる。
また、補強板3の厚さT1と構造部材2の厚さT2とは、0.66T2≦T1≦1.34T2の関係を満たしている。そのため、補強板3に充分な強度を付与することができ、亀裂21の進展を効果的に防止することができる。
また、補強ボルト41、中央補強ボルト42及び端部ボルト43は、構造部材2を形成する材料よりも硬度の大きい材料からなるワッシャー44を備えており、該ワッシャー44の外径は、補強ボルト41の頭部411、421、431の外形よりも大きくしてある。そのため、補強ボルト41を締結した際に発生する軸力Faを、ワッシャー44を介して補強板3のより広範囲に確実に伝達することができる。また、ワッシャー44により、補強ボルト41の頭部411、421、431が補強板3に陥没することを防止することができる。したがって、補強ボルト41の緩み等を防止し補強板3を確実に固定し、より確実に亀裂21の進展を防止することができる。
また、補強ボルト41、中央補強ボルト42及び端部ボルト43の締め付けトルクは、JIS B 1083に準じて設定されている。そのため、各ボルトを適切に締結すると共に、十分な締結力を得ることができる。これにより、補強ネジ穴22の周方向に充分な分力Fcを発生させることができる。これによって、より確実に亀裂21の進展を防止することができる。
以上のごとく、上記亀裂進展防止構造1によれば、容易に施工ができ、かつ亀裂21の進展を効果的に防止することができる。
1 亀裂進展防止構造
2 構造部材
21 亀裂
22 補強ネジ穴
23 中央補強ネジ穴
24 端部ネジ穴
3 補強板
31 挿通孔
32 中央挿通孔
33 突出部
41 補強ボルト
414 ネジ部
42 中央補強ボルト
43 端部ボルト
44 ワッシャー

Claims (7)

  1. 板状の構造部材に発生した亀裂の進展を防止するための亀裂進展防止構造であって、
    上記構造部材には、上記亀裂の一部を跨ぐように配置された一対の補強ネジ穴が設けられており、
    上記補強ネジ穴に対応する一対の挿通孔を有する補強板が、上記補強ネジ穴と上記挿通孔とが同一軸線上に位置するように上記構造部材上に配置され、
    上記補強ネジ穴に螺合可能な補強ボルトが、上記補強板の挿通孔を貫通して上記補強ネジ穴に締結されており、
    上記構造部材には、上記一対の補強ネジ穴と同一直線上に位置し上記亀裂の一部を貫通する中央補強ネジ穴が設けられ、上記補強板には、上記中央補強ネジ穴と対応する位置に中央挿通孔が設けられ、上記中央補強ネジ穴に螺合可能な中央補強ボルトが、上記補強板の上記中央挿通孔を貫通して上記中央補強ネジ穴に締結されていることを特徴とする亀裂進展防止構造。
  2. 請求項1に記載の亀裂進展防止構造において、上記構造部材には、上記亀裂の端部を貫通する端部ネジ穴が形成されており、該端部ネジ穴に端部ボルトを締結してあることを特徴とする亀裂進展防止構造。
  3. 請求項1または2に記載の亀裂進展防止構造において、上記補強板における亀裂と対向する部位の周囲には、上記構造部材に向かって突出した突出部が形成してあることを特徴とする亀裂進展防止構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の亀裂進展防止構造であって、上記補強ボルト、上記端部ボルト及び上記中央補強ボルトの軸径Dと上記構造部材の厚さT2とは、T2≦D≦1.2T2の関係を有していることを特徴とする亀裂進展防止構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の亀裂進展防止構造であって、上記補強板の厚さT1と上記構造部材の厚さT2とは、0.66T2≦T1≦1.34T2の関係を有していることを特徴とする亀裂進展防止構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の亀裂進展防止構造であって、上記補強ボルトは、上記構造部材を形成する材料よりも硬度の大きい材料からなるワッシャーを備えており、該ワッシャーの外径は、上記補強ボルトの頭部の外形よりも大きいことを特徴とする亀裂進展防止構造。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の亀裂進展防止構造であって、上記補強ボルトの締め付けトルクは、JIS B 1083に準じて設定されていることを特徴とする亀裂進展防止構造。
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