JP2008095759A - 亀裂補修部材および亀裂の補修方法 - Google Patents

亀裂補修部材および亀裂の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亀裂をより確実に補修することのできる亀裂補修部材および亀裂の補修方法を提供することを目的とする。
【解決手段】亀裂Cを跨ぐように配置された締結部材11と、締結部材11に形成された凹部11aに収容されることでこの締結部材11に対し亀裂Cが延びる方向とほぼ平行な方向に突出したピン12とからなる亀裂補修部材10Aを補修対象物100に挿入するようにし、補修対象物100に直接的に力を及ぼすのは、亀裂Cの両側にそれぞれ配置されたピン12のみとした。これにより、ピン12から亀裂Cを広げる応力を補修対象物100に与えないようにし、確実かつ高強度に亀裂Cを補強する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属部材等に生じた亀裂を補修するための亀裂補修部材および亀裂の補修方法に関する。
各種金属部材は、繰り返し作用する応力により、いわゆる疲労亀裂が生じることがある。疲労亀裂を補修する方法としては、溶接等により亀裂を塞ぐ方法の他、亀裂部分の強度を向上させて亀裂のそれ以上の進展を防ぐ機能を有した締結部材を用いるものがある。
このような締結部材としては、摩擦力を用い、亀裂部分の両側を繋ぎとめるようにするものや(例えば、特許文献1参照。)、亀裂を横断するように異形の孔を形成し、この異形の孔に対応した形状の異形ピンを打ち込むもの等がある(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかし、特許文献1に開示されたような摩擦を用いた締結部材は、特許文献2、3に開示されたような、機械的噛合を用いる異形ピンタイプの締結部材に比較すると締結強度が劣る。このため、高い強度が要求されるような箇所においては、異形ピンタイプの締結部材を用いるのが適している。
特開2004−176254号公報 米国特許第4662806号明細書 米国特許第5379505号明細書
しかしながら、異形ピンタイプの締結部材においても、以下に示すような問題が存在することを本発明者らは見出した。
図8(a)に示すように、異形ピンタイプの締結部材1を打ち込むには、この締結部材1に対応した形状の異形穴2を、亀裂Cが生じている補修対象物3に形成する必要がある。この異形穴2は、ドリル等で断面円形の穴2aを、位置をずらして順次あけていくことで形成するが、専用の治具等を用いたとしても、形成する個々の穴2aには、位置ずれや、穴径に誤差が生じてしまう。
その結果、形成した異形穴2に締結部材1を打ち込むと、図8(b)に示すように、異形穴2の全周に均一に応力が作用せず、当たりのきつい部分に局所的に応力が作用してしまい、これによって補修対象物3に、亀裂Cが開く方向の力が作用してしまうこともある。また、位置ずれが大きい場合には、異形穴2に締結部材1を打ち込むことすらできなくなることもある。
異形穴2の全周に締結部材1が密着するように、締結部材1を異形穴2に圧入することも考えられるが、その場合、圧入後、締結部材1は膨張する方向の力を発する。締結部材1は、亀裂Cを横断するように打ち込まれるため、締結部材1の膨張力は、亀裂Cを開く方向に作用することとなる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、亀裂をより確実に補修することのできる亀裂補修部材および亀裂の補修方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明は、亀裂が生じた補修対象物を補修するための亀裂補修部材であって、補修対象物の亀裂の両側にそれぞれ挿入されるピンと、ピンとは別体に設けられ、亀裂を跨ぐように配置されて亀裂の両側のピンどうしを締結する締結部材と、を備えることを特徴とする。
このような亀裂補修部材においては、補修対象物に亀裂が広がる方向の力が作用した場合、この力はピンを介して締結部材に伝達される。締結部材は、亀裂を跨ぐように配置され、亀裂の両側のピンにより拘束されているため、ピンを介して伝達された力により弾性変形を生じ、前記の力に抗する方向の力を発生する。この力がピンを介して補修対象物に伝達されることで、補修対象物が亀裂の広がる方向に変形するのを抑制する。
このとき、ピンと締結部材は別体であるので、ピン自体が熱等により膨張しても、その影響はそのピンに接触している部分にしか及ばず、亀裂を挟んだ反対側に及ぶことはなく、これによって亀裂が広がることもない。
このような亀裂補修部材は、締結部材の外側面に形成された凹部に、凹部にピンの一部が収められるとともに、ピンの残部が締結部材から側方に突出する構成とすることができ、このような締結部材およびピンは、補修対象物に形成された穴に挿入する。
このとき、凹部は、締結部材に対し、亀裂が連続する方向にピンの残部が突出するよう形成する。このようにすれば、締結部材から亀裂が連続する方向に突出したピンにより、亀裂が広がる方向への補修対象物の変形を拘束できる。
また、凹部は、締結部材に対し、亀裂にほぼ直交する方向にピンの残部が突出するよう形成することもできる。このようにすれば、ピンにより、亀裂が連続する方向への補修対象物の変形を拘束できる。
また、このような亀裂補修部材は、ピンが、補修対象物の亀裂の両側に形成された穴にそれぞれ挿入されるようにし、締結部材は、穴から突出したピンの頭部に嵌め合うピン孔を有した構成とすることもできる。
さらに、ピンが、補修対象物の亀裂の両側に形成された穴にそれぞれ挿入され、締結部材は、亀裂の両側の穴からそれぞれ突出したピンの頭部に係止される係止部を有し、係止部とピンの頭部との間に挿入されるクサビ状のクサビ部材をさらに備える構成とすることもできる。
また、補修対象物を亀裂が連続する方向に挟み込むことで、亀裂が連続する方向への補修対象物の変形を拘束する拘束部材をさらに備えることもできる。
ところで、ピンは、補修対象物よりも低い温度として補修対象物に挿入するのが好ましい。これには、ピンを冷却したり、補修対象物側を加熱すればよい。これにより、ピンが補修対象物に対して相対的に収縮し、補修対象物へのピンの挿入を容易に行える。そして、挿入後、ピンが熱膨張することで、ピンと補修対象物が局所的に接触することなくピンの全周を補修対象物に密着させることができる。また、このようにすることで、ピンと補修対象物を、所定の締め代で嵌め合うことができる。これにより、ピンに熱膨張等が生じたときの応力は、ピンが挿入された穴の周囲にのみ作用し、その影響が亀裂を挟んだ反対側に及ぶことはない。
本発明は、亀裂が生じた補修対象物を補修するための方法とすることもできる。この方法では、補修対象物の亀裂の両側にそれぞれピンを挿入するとともに、亀裂の両側のピンどうしを、亀裂を跨ぐように配置された締結部材によって締結し、少なくとも亀裂が広がる方向へのピンの変位を拘束することを特徴とする。
本発明によれば、ピンと、このピンとは別体とされた締結部材とからなる亀裂補修部材を用いて亀裂を補修することで、確実かつ高強度に亀裂を補強することが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、本実施の形態における疲労亀裂補修方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態において、例えば金属製の補修対象物100に生じた、疲労による亀裂Cを補修するには、亀裂補修部材10Aを用いる。
亀裂補修部材10Aは、全体としてほぼ長方形状の断面形状で、外周部に円弧状断面の凹部11aが複数形成された締結部材11と、ピン12とから形成されている。
締結部材11に複数形成された凹部11aは、締結部材11の周方向において互いに間隔を隔てて形成されている。
ピン12は、この凹部11aに対応した外周形状、つまり断面円形を有している。そして、凹部11aにピン12の一部が嵌り込んだ状態で、ピン12の残部は、締結部材11に対し、亀裂Cが延びる方向とほぼ平行な方向に突出するようになっている。
ここで、ピン12の位置や本数は、図1に示したものに限定するものではなく、必要とされる亀裂C部分の締結強度、亀裂Cの大きさ、補修対象物100の材質等に応じ、適宜設定すればよい。少なくとも、複数本のピン12が亀裂Cの両側にほぼ均等に配置されるようにすれば良い。
そして、亀裂Cが生じた補修対象物100側には、締結部材11の凹部11aにピン12が嵌り込んだ状態での外周形状に対応した断面形状の穴101が形成される。この穴101は、その長手方向が亀裂Cにほぼ直交し、亀裂Cの両側に跨るように形成される。
なお、このような亀裂補修部材10Aは、穴101内に挿入された状態で補修対象物100の表面側に位置する側から、穴101の奥側に向けて、その断面寸法が漸次小さくなる、いわゆるテーパ形状としても良い。
この場合、穴101は、同様に補修対象物100の表面側から穴101の奥側に向けてその断面寸法が漸次小さくなるテーパ形状としても良いし、断面寸法が一定なストレート形状としても良い。
さて、上記したような亀裂補修部材10Aを用いて補修対象物100に生じた亀裂Cを補修するには、まず、補修対象物100に穴101を形成する。これには、図2(a)に示すように、締結部材11に対応した長方形状の穴101aと、各ピン12に対応した円形の穴101bとを、それぞれドリルやミーリングツール等を用いて形成する。なお、穴101aと穴101bの形成順序は限定するものではない。
また、締結部材11が挿入される穴101aは、締結部材11よりも大きな内寸とし、穴101aに締結部材11が挿入された状態で、締結部材11と穴101aとの間にクリアランスが形成されるようにしても良い。一方、ピン12が挿入される穴101bは、ピン12と所定の嵌め合いとなるよう、ピン12に対し一定の公差範囲内の内径とする。
そして、図2(b)に示すように、形成された穴101に、まず締結部材11を挿入する。すると、締結部材11と穴101との間には、つまりピン12を挿入するための穴101bが残された状態となる。
そこで、図1に示したように、この穴101bに、ピン12を挿入する。このとき、ピン12は、穴101bに対し予め設定した所定の締め代での嵌め合いとするため、ピン12側を冷却する冷やし嵌め、補修対象物100側を加熱する焼き嵌め、油圧プレス等を用いた強制的な圧入等によって穴101bに挿入するのが好ましい。冷やし嵌めや焼き嵌めを採用する場合、ピン12は、補修対象物100よりも熱膨張率の大きな材料で形成するのが好ましい。
このようにして、亀裂Cを跨ぐように形成された穴101に亀裂補修部材10Aを挿入すると、亀裂Cが広がる方向の力が補修対象物100に作用したときには、その力は、締結部材11に対し亀裂Cが延びる方向とほぼ平行な方向に突出したピン12を介して締結部材11に伝達される。すると、この締結部材11が伸びる方向に弾性変形し、この変形が戻る方向の力を発生する。この力は、ピン12を介して補修対象物100に伝達され、これによって補修対象物100の亀裂Cが広がる方向への変形が規制される。
このとき、補修対象物100に直接的に力を及ぼすのはピン12のみである。したがって、例えば、ピン12を冷やし嵌めした場合、圧入後にピン12が熱膨張することでピン12から補修対象物100に応力が作用するが、ピン12のそれぞれから補修対象物100にこのような応力が作用しても、その応力は亀裂Cを跨いで作用するわけではないので、亀裂Cを広げるようなことがない。また、ピン12を冷やし嵌め等で所定の締め代で穴101bに嵌合させることによって、ピン12と穴101bはその全周において密に接触し、局所的な応力が作用することもなく、この穴101bから新たな亀裂等が発生するのも防ぐことができる。
また、ピン12により補修対象物100の拘束力を発揮することによって、締結部材11と補修対象物100については、非接触の状態、つまり締結部材11と穴101との間にクリアランスが存在していても支障は生じない。これにより、締結部材11の穴101への挿入が非常に容易になり、また締結部材11に対応した部分の穴101aについては精度が低くても良く、その加工も容易となる。
このように、亀裂補修部材10Aを用いて亀裂Cを補修することで、亀裂補修部材10Aを取り付けることで生じる応力によって亀裂Cが広がることもなく、確実かつ高強度に亀裂Cを補強することができる。
ところで、上記実施の形態においては、亀裂補修部材10Aを、亀裂Cを跨ぐように設ける形状としたが、これに限るものではなく、亀裂補修部材10Aの締結部材11の形状やピン12の配置・本数はいかなるものとしても良い。
例えば、図3に示すように、締結部材11を略十字状とし、亀裂Cにほぼ直交する方向に複数本のピン12を配列するだけでなく、亀裂Cにほぼ平行に複数本のピン12’を配置し、これらのピン12’が締結部材11に対し、亀裂Cにほぼ直交する方向に突出するようにする。
このような亀裂補修部材10Bにおいては、図1に示した亀裂補修部材10Aと同様、亀裂Cが開く方向に対する拘束力を発揮するだけでなく、亀裂Cが連続する方向に対しても補修対象物100に拘束力を発揮できる。補修対象物100の幅(亀裂Cが連続する方向の長さ)が小さい場合、亀裂Cを開く方向の力が作用すると、亀裂補修部材10Bが設けられている部分においてはこの力に対する拘束力が作用するものの、その両側(幅方向両側)においては拘束力が存在しないため、微細にみると、亀裂補修部材10Bの両側においては、亀裂Cが開く方向に変形する。このとき、図3に示すように、補修対象物100は、亀裂補修部材10Bが設けられている部分を中心として曲がるような変形Mが生じようとする。この変形Mにおいては、亀裂補修部材10Bの両側においては、補修対象物100には、亀裂Cに直交する方向の変形Mvと、亀裂Cが連続する方向の変形Mcとが同時に生じているため、この、亀裂Cが連続する方向の変形Mcを、締結部材11に対し亀裂Cにほぼ直交する方向に突出したピン12’で拘束するのである。
これにより、亀裂補修部材10Bでは、特に幅の狭い補修対象物100に対し、有効な補修効果を発揮できるようになっている。
なお、このような亀裂補修部材10Bは、十字型に限らず、例えば亀裂Cが連続する方向に締結部材11を長くすることができるのであれば、他の形状としても良い。例えば、正方形状等としても良いし、T字状等としても良い。T字状とした場合、亀裂Cにほぼ直交する方向と、亀裂Cが連続する方向において補修対象物100の端部側に向けて締結部材11が延びるようにすれば良い。
〔第二の実施の形態〕
次に、本発明における第二の実施の形態について説明する。
図4に示すように、本実施の形態における亀裂補修部材10Cは、プレート状の締結部材21と、締結部材21に形成されたピン孔21aから補修対象物100に打ち込まれるピン22とから構成される。
締結部材21は、亀裂Cが生じた補修対象物100の表面に沿うように配置される。この締結部材21には、少なくとも2箇所のピン孔21aが形成されており、これらのピン孔21aが、亀裂Cを挟んでその両側に位置するように締結部材21は配置される。
補修対象物100には、締結部材21のピン孔21aに対応した位置に、ピン22を挿入するための穴102が形成される。そして、ピン22は、締結部材21のピン孔21aおよび補修対象物100の穴102を貫通するように挿入される。
このとき、ピン22は、上記第一の実施の形態におけるピン12と同様、補修対象物100の穴102に対し、冷やし嵌め等により、所定の嵌め合いとなるようにするのが好ましい。また、ピン22は、締結部材21のピン孔21aに対しても、同様に冷やし嵌め等により、所定の嵌め合いとなるようにするのが好ましい。
このような亀裂補修部材10Cは、補修対象物100に亀裂Cの両側にドリル等で穴102を形成した後、締結部材21をセットし、締結部材21のピン孔21aを通して補修対象物100の穴102にピン22を挿入すればよい。
この状態で、亀裂Cが広がる方向の力が補修対象物100に作用したときには、その力はピン22を介して締結部材21に伝達される。すると、この締結部材21が伸びる方向に弾性変形し、この変形が戻る方向の力を発生する。この力は、ピン22を介して補修対象物100に伝達され、これによって補修対象物100の亀裂Cが広がる方向への変形が規制される。
このとき、補修対象物100に直接的に力を及ぼすのは、上記第一の実施の形態における亀裂補修部材10A、10Bと同様、ピン22のみである。したがって、例えば、ピン22が熱膨張した場合等においても、ピン22のそれぞれから補修対象物100にこのような応力が作用するのみであり、亀裂Cを広げるようなことがない。また、ピン22を冷やし嵌め等で所定の締め代で穴102に嵌合させることによって、ピン22と穴102はその全周において密に接触し、局所的な応力が作用することもなく、この穴102から新たな亀裂等が発生するのも防ぐことができる。
ここで、図4(b)に示すように、締結部材21と補修対象物100の面間は非接触の状態でも良いが、図4(c)に示すように、適切な強度の接着剤S等を用いて密着させても良い。締結部材21と補修対象物100を接着剤S等で密着させることで、これらの部材の接着面からも、摩擦力によって荷重が伝わるようになるため、ピン22、およびピン穴102に作用する応力を低減することができる。
このように、亀裂補修部材10Cを用いて亀裂Cを補修することで、確実かつ高強度に亀裂Cを補強することができる。
〔第三の実施の形態〕
次に、本発明における第三の実施の形態について説明する。
図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態における亀裂補修部材10Dは、補修対象物100に打ち込まれる複数本のピン部材31と、ピン部材31を固定するガセットプレート(締結部材)32と、クサビ部材33とから構成される。
ピン部材31は、補修対象物100の亀裂Cの両側にそれぞれ形成された穴103に挿入されるピン本体34と、このピン本体34の頭部に一体に設けられ、穴103よりも大きな外形寸法を有したプレート35とが一体化された構成となっている。このようなピン部材31は、補修対象物100の亀裂Cの両側にそれぞれ形成された穴103にピン本体34が挿入され、プレート35が補修対象物100の表面上に露出した状態とされる。
ここで、ピン部材31のピン本体34は、上記第一の実施の形態におけるピン12と同様、補修対象物100の穴103に対し、冷やし嵌め等により、所定の嵌め合いとなるようにするのが好ましい。
一方、ガセットプレート32は、長方形状のプレート本体32aの両端部に、このプレート本体32aの表面に直交する方向に延びた係止部32bが形成されている。このガセットプレート32は、前記の亀裂Cの両側の穴103に挿入される複数本のピン部材31に被せるようにセットされる。この状態で、一方の係止部32bを亀裂Cの一方の側のピン部材31のプレート35に密着させると、他方の係止部32bと、亀裂Cの他方の側のピン部材31のプレート35との間に、クリアランスが形成されるようになっている。つまり、このようなガセットプレート32と複数本のピン部材31とがこのような位置関係となるように、補修対象物100に形成される穴103の位置を設定するのである。
クサビ部材33は、先端に向けて漸次幅が小さくなるような形状を有しており、この状態で、係止部32bと、亀裂Cの他方の側のピン部材31のプレート35との間に形成されたクリアランスに食い込むように設けられる。
このクサビ部材33は、係止部32bとピン部材31のプレート35との間にハンマー等で打ち込んでも良いし、図5(c)に示すように、クサビ部材33にボルト36等を連結し、このボルト36を回転させることでクサビ部材33を係止部32bとピン部材31のプレート35との間に食い込ませるようにしても良い。
このような亀裂補修部材10Dでは、亀裂Cが広がる方向の力が補修対象物100に作用したときには、その力はピン部材31、クサビ部材33を介し、係止部32bからガセットプレート32に伝達される。すると、このガセットプレート32が伸びる方向に弾性変形し、この変形が戻る方向の力を発生する。この力は、係止部32bからピン部材31を介して補修対象物100に伝達され、これによって補修対象物100の亀裂Cが広がる方向への変形が規制される。
このとき、補修対象物100に直接的に力を及ぼすのは、上記第一の実施の形態における亀裂補修部材10A、10Bと同様、ピン部材31のみである。したがって、例えば、ピン部材31が熱膨張した場合等においても、ピン部材31のそれぞれから補修対象物100にこのような応力が作用するのみであり、亀裂Cを広げるようなことがない。また、ピン部材31を冷やし嵌め等で所定の締め代で穴103に嵌合させることによって、ピン部材31と穴103はその全周において密に接触し、局所的な応力が作用することもなく、この穴103から新たな亀裂等が発生するのも防ぐことができる。
このように、亀裂補修部材10Dを用いて亀裂Cを補修することで、確実かつ高強度に亀裂Cを補強することができる。
また、この場合、ピン部材31を挿入するため亀裂Cの両側に形成される穴103は、クサビ部材33が係止部32bとピン部材31のプレート35との間に食い込む範囲内であればよく、したがって穴103を形成する位置精度を低くすることができる。これにより、作業性が向上する。
ところで、上記のような亀裂補修部材10Dにおいては、ガセットプレート32によって亀裂Cが開く方向に対する拘束力を発揮している。このため、ガセットプレート32には、図5(b)中に二点鎖線で示すような形状に変形しようとする力が作用し、係止部32bとピン部材31、クサビ部材33との嵌め合いが抜けてしまう可能性もある。このため、図6に示すように、ガセットプレート32の両端部において、ガセットプレート32の変形を防ぐように、ボルト36等で抜け止めを施すのが好ましい。
さらに、図3に示した場合と同様、補修対象物100の幅が狭い場合、亀裂Cが連続する方向への補修対象物100の変形を拘束するため、図7に示すように、拘束部材40を上記亀裂補修部材10Dに組み合わせて用いるのも有効である。
拘束部材40は、略C形のフレーム41と、このフレーム41の一端41a側に、ネジ42等により他端41b側に向けて移動可能に設けられた押さえプレート43とを備えている。
このような拘束部材40は、フレーム41が亀裂Cの連続する方向とほぼ平行になるように配置し、この押さえプレート43とフレーム41の他端41bとで補修対象物100を挟みつけるようになっている。これにより、亀裂補修部材10Dのガセットプレート32と、拘束部材40のフレーム41とは、十字状にクロスするように配置される。
図3に示したのと同様、亀裂補修部材10Dによって亀裂Cの両側で補修対象物100を拘束すると、亀裂補修部材10Dが設けられている部分を中心として曲がるような変形Mが生じる。この変形Mにおいては、補修対象物100には、亀裂補修部材10Dの両側で、亀裂Cに直交する方向の変形Mvと、亀裂Cが連続する方向の変形Mcとが同時に生じているため、この、亀裂Cが連続する方向の変形Mcを、拘束部材40で拘束するのである。
これにより、特に幅の狭い補修対象物100に対し、有効な補修効果を発揮できるようになっている。
なお、上記実施の形態では、亀裂補修部材10A〜10Dの構成を示したが、所要の機能を発揮できるのであれば、その具体的構成、材質等を適宜変更することが可能である。また、図1〜図7に示した構成を適宜組み合わせたり組み替えたりして用いても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
第一の実施の形態における亀裂補修部材の構成を示す図である。 図1に示した亀裂補修部材を取り付ける過程を示す図である。 図1に示した亀裂補修部材の変形例である。 第二の実施の形態における亀裂補修部材の構成を示す図である。 第三の実施の形態における亀裂補修部材の構成を示す図である。 図5に示した亀裂補修部材の変形例である。 拘束部材を備えた亀裂補修部材の例を示す図である。 従来の亀裂補修部材の構成を示す図である。
符号の説明
10A〜10D…亀裂補修部材、11、21…締結部材、11a…凹部、12、22…ピン、21a…ピン孔、31…ピン部材、32…ガセットプレート(締結部材)、32b…係止部、33…クサビ部材、40…拘束部材、100…補修対象物、101、102、103…穴

Claims (9)

  1. 亀裂が生じた補修対象物を補修するための亀裂補修部材であって、
    前記補修対象物の前記亀裂の両側にそれぞれ挿入されるピンと、
    前記ピンとは別体に設けられ、前記亀裂を跨ぐように配置されて前記亀裂の両側の前記ピンどうしを締結する締結部材と、
    を備えることを特徴とする亀裂補修部材。
  2. 前記締結部材の外側面に形成された凹部に前記ピンの一部が収められるとともに、前記ピンの残部が前記締結部材から側方に突出する構成とされ、
    前記締結部材および前記ピンは、前記補修対象物に形成された穴に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の亀裂補修部材。
  3. 前記凹部は、前記締結部材に対し、前記亀裂が連続する方向に前記ピンの残部が突出するよう形成されていることを特徴とする請求項2に記載の亀裂補修部材。
  4. 前記凹部は、前記締結部材に対し、前記亀裂にほぼ直交する方向に前記ピンの残部が突出するよう形成されていることを特徴とする請求項2に記載の亀裂補修部材。
  5. 前記ピンは、前記補修対象物の前記亀裂の両側に形成された穴にそれぞれ挿入され、
    前記締結部材は、前記穴から突出した前記ピンの頭部に嵌め合うピン孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の亀裂補修部材。
  6. 前記ピンは、前記補修対象物の前記亀裂の両側に形成された穴にそれぞれ挿入され、
    前記締結部材は、前記亀裂の両側の前記穴からそれぞれ突出した前記ピンの頭部に係止される係止部を有し、前記係止部と前記ピンの頭部との間に挿入されるクサビ状のクサビ部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の亀裂補修部材。
  7. 前記補修対象物を、前記亀裂が連続する方向に挟み込むことで、前記亀裂が連続する方向への前記補修対象物の変形を拘束する拘束部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の亀裂補修部材。
  8. 前記ピンは、前記補修対象物よりも低い温度として前記補修対象物に挿入されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の亀裂補修部材。
  9. 亀裂が生じた補修対象物を補修するための方法であって、
    前記補修対象物の前記亀裂の両側にそれぞれピンを挿入するとともに、
    前記亀裂の両側の前記ピンどうしを、前記亀裂を跨ぐように配置された締結部材によって締結し、少なくとも前記亀裂が広がる方向への前記ピンの変位を拘束することを特徴とする亀裂の補修方法。
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JP2018140488A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 疲労亀裂の補修方法及び補修用部材

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