JP5939467B2 - 車両の蓄圧システム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、車両の減速時にオルタネータによる発電量を増加させて、発電された電力をバッテリに充電するとともに、発電した電力の一部を空調用のコンプレッサに供給し、当該コンプレッサの回転数を増加させて空調機の冷房又は暖房能力を向上させる方法が開示されている。
また、特許文献1に記載のオルタネータにより発電された電力の一部をコンプレッサに供給する方法では、オルタネータの発電量を増加させるとコンプレッサへ供給される電力量が増加し、当該増加した発電量に応じてコンプレッサの回転数が増加するため、冷房又は暖房能力が急激に高くなり、減速前と減速後との温度差が大きくなってしまう。したがって、温度制御性に悪影響を及ぼして、車室内の乗員に不快感を与えてしまう。
前記制御手段は、
前記車両の減速時に前記オルタネータを作動させて前記オルタネータによって発電された電力で前記ポンプを作動させ、
前記車両の加速時に、前記バッテリから供給される電力で前記ポンプを作動させて、前記ポンプによって加圧又は減圧された前記流体を前記蓄圧機に貯留するように制御し、
前記蓄圧機の圧力が圧力下限値以上、且つ、圧力上限値未満の範囲にある場合、前記ポンプによる減圧速度が、前記車両の加速時よりも前記車両の減速時において速くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする。
また、加圧又は減圧された流体を蓄圧機に貯留することで、車両の走行状態にかかわらず、ブレーキブースタや可変容量ターボチャージャ等に加圧又は減圧された流体を必要に応じて適宜供給することができる。
そして、車両の加速時に、バッテリからポンプへ電力を供給するため、加速時にオルタネータを作動させる必要が無い。これにより、加速時にオルタネータを作動させて電力を発生させる場合と比べて、エンジンの負荷を低減することができる。したがって、燃費を向上させることができる。
前記バッテリの充電率が充電率上限値以上の場合、前記オルタネータの作動を停止し、
前記充電率が前記充電率上限値未満の場合、前記オルタネータを作動させるとともに、前記オルタネータによって発電された電力を前記バッテリに供給して前記バッテリを充電するように制御してもよい。
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記オルタネータによる発電量を増加させるように前記オルタネータの作動状態を制御してもよい。
前記電力制御部は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記バッテリから前記ポンプへ供給する電力量を減少させるように前記バッテリを制御してもよい。
前記エンジンの減速トルク又は前記車両の減速度に対する前記オルタネータの発電トルクの割合を所定割合以下となるように前記オルタネータの作動状態を制御してもよい。
前記ポンプにより減圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力下限値未満のときに前記ポンプを停止し、前記圧力下限値以上のときに前記ポンプを作動させるように制御してもよい。
前記ポンプにより加圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力上限値以上のときに前記ポンプを停止し、前記圧力上限値未満のときに前記ポンプを作動させるように制御してもよい。
図1は、本発明の第一実施形態に係る車両の蓄圧システムの構成図である。
図1に示すように、車両は、蓄圧システム1と、エンジン2と、ブレーキブースタ6と、エンジン2等を制御するエンジンECU9とを備えている。
電力制御部17は、SOCが充電率下限値未満の場合に、充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給する電力量を減少させる。
制御手段8は、減速信号及び加速信号に基づいてオルタネータ3の作動状態を制御する。オルタネータ3の制御方法について以下で説明する。最初に、減速信号が入力した場合について説明し、次に、加速信号が入力した場合について説明する。
オルタネータ3には第1レギュレータ14が設けられており、制御手段8からの制御信号によって発電量を制御する。オルタネータ3は、制御信号に基づいて、当該オルタネータ3による発電電圧をデューティ制御することにより発電量を調整する。
加速信号が制御手段8に入力された場合、制御手段8は、バッテリ7のSOCに基づいてオルタネータ3を制御する。
具体的に、バッテリ7のSOCが充電率上限値(例えば、80%)以上、即ちバッテリ7が十分に充電されている場合、制御手段8は、オルタネータ3を停止するとともに、バッテリ7からバキュームポンプ4へ電力を供給するように制御する。オルタネータ3の作動を停止することで、エンジン2への負荷を低下させる。
本明細書中において、オルタネータ3を停止するとは、作動しているオルタネータ3を停止する場合と、停止しているオルタネータ3の停止状態をそのまま維持する場合とを含むものとする。また、オルタネータ3を作動するとは、停止しているオルタネータ3を駆動する場合と、作動しているオルタネータ3の作動状態をそのまま維持する場合とを含むものとする。
また、バッテリ7からバキュームポンプ4へ電力を供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出圧力に応じて電力を供給する(詳細は後述する)。
なお、本実施形態では、減速トルクに応じてオルタネータ3の発電トルクを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車両の減速度に応じてオルタネータ3の発電トルクを制御してもよい。
制御手段8によるバキュームポンプ4の制御方法について以下で説明する。
制御手段8は、バキュームポンプ4の圧力を所定の範囲内に制御する圧力制御部16を有している。
圧力制御部16は、バキュームタンク5に設けられた圧力センサ12により検出された圧力に基づいてバキュームポンプ4を駆動させるとともに、バキュームポンプ4の吐出出力を制御する制御信号をバキュームポンプ4へ出力する。
バキュームポンプ4には第2レギュレータ15が設けられており、圧力制御部16からの制御信号によってバキュームポンプ4の吐出圧力を調整する。
図2に示すように、圧力制御部16は、圧力センサ12により検出された圧力に基づいて、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値(例えば、−10kPa)から圧力上限値(例えば、−7kPa)までの範囲内となるようにバキュームポンプ4を制御する。
例えば、車両が停止状態又は加速状態の場合には、バキュームポンプ4の作動を抑制したり、停止したりする。したがって、車両の停止時のブレーキや加速時の一時的なブレーキによって、バキュームタンク5内の圧力は徐々に高くなる。係る場合に、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上とならないように、バキュームポンプ4を制御する。
なお、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満、即ちバキュームタンク5内の負圧が十分である場合、車両の走行状態にかかわらず、圧力制御部16は、バキュームポンプ4への電力供給を停止し、バキュームポンプ4を停止する。
バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値以上になると、ブレーキブースタ6に供給される負圧と大気圧との差が小さくなり、ペダルの踏力をアシストする効果が低減する。このため、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、バキュームタンク5内の圧力を低下させる。
具体的に、車両が減速状態の場合、圧力制御部16は、バキュームポンプ4を作動させてバキュームタンク5内の圧力を低下させる。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させて、図3に示すように、バキュームタンク5内の圧力を短時間(例えば、4秒)で圧力下限値近傍まで低下させる。
また、車両が加速状態の場合、圧力制御部16は、バキュームポンプ4吐出出力を(車両が減速状態のときのバキュームポンプ4の吐出出力よりも)低下させた状態で、図3に示すように、バキュームタンク5内の圧力をゆっくりと(例えば、20秒)圧力下限値近傍まで低下させる。
次に、制御手段8によるオルタネータ3の作動制御フローについて説明する。
図4は、本実施形態に係るオルタネータ3の作動制御フローを示す図である。
図4に示すように、まず、制御手段8は、エンジンECU9より出力された前記信号に基づいて車両が減速状態か否かを判定する(ステップS1)。即ち、入力された信号が減速信号か加速信号かを判定する。
入力された信号が減速信号であり、車両が減速状態であると判定した場合(ステップS1:YES)、オルタネータ3を駆動させて、発電した電力を直接、バキュームポンプ4へ供給して当該バキュームポンプ4を作動させるとともに、バッテリ7からバキュームポンプ4への電力供給を停止する(ステップS2)。
このとき、オルタネータ3の発電トルクは、バキュームポンプ4の吐出出力に応じて制御される。具体的に、バキュームポンプ4の吐出出力を増加させる場合には、オルタネータ3の発電トルクを上げて発電量を増加させる。一方、バキュームポンプ4の吐出出力を低下させる場合には、オルタネータ3の発電トルクを下げて発電量を低下させる。なお、バキュームポンプ4の吐出出力は、バキュームタンク5内の圧力に応じて制御される。
なお、本実施形態では、オルタネータ3の発電トルクをバキュームポンプ4の吐出出力に応じて制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、バキュームポンプ4を一定の吐出出力で作動させて、バキュームポンプ4とバキュームタンク5とを接続する配管に設けられたリリーフ弁等で調整してもよい。
一方、バッテリ7のSOCが充電率上限値未満であると判定した場合(ステップS3:YES)、続いて、バッテリ7のSOCが充電率下限値以上か否かを判定する。
係る場合には、オルタネータ3の発電トルクを上げて発電量を増加させるとともに、発電した電力を全てバッテリ7に供給して、バッテリ7への充電を優先させる。また、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力を必要最小限にして、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給する電力量を抑制する。
係る場合には、エンジン2への負荷を低減するために、オルタネータ3の発電トルクをできるだけ小さくして発電量を抑制する。発電した電力は全てバッテリ7に充電する。また、バッテリ7から電力をバキュームポンプ4へ供給する。このとき、バキュームポンプ4の吐出出力に応じて、バッテリ7からバキュームポンプ4へ供給す電力量を抑制する。即ち、バッテリ7のSOCが充電率下限値未満の場合よりも、バッテリ7からの電力量を増加させてもよい。
次に、バキュームポンプ4の作動制御フローについて説明する。
図5は、本実施形態に係るバキュームポンプ4の作動制御フローを示す図である。
図5に示すように、まず、圧力制御部16は、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値(例えば、−10kPa)以上か否かを判定する(ステップS11)。
圧力制御部16は、圧力センサ12から出力される圧力に基づいて、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値未満であると判定した場合(ステップS11:NO)、バキュームポンプ4を停止する(ステップS12)。バキュームタンク5内の圧力を圧力下限値よりも低下させないためである。
一方、バキュームタンク5内の圧力が圧力下限値以上であると判定した場合(ステップS11:YES)、続いて、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値(例えば、−7kPa)未満か否かを判定する(ステップS13)。
一方、バキュームタンク5内の圧力が圧力上限値未満であると判定した場合(ステップS13:YES)、続いて、車両が減速状態か否かを判定する(ステップS15)。
バキュームポンプ4の吐出出力を低下させてバッテリ7から供給される電力量を低減する。
一方、車両が減速状態であると判定した場合(ステップS15:YES)、ステップS14を実施する。
上記蓄圧システム1によれば、車両の減速時に、オルタネータ3によって発電された電力をバキュームポンプ4に直接、供給するため、発電した電力のほとんどをバキュームポンプ4の作動に用いることができる。従来のオルタネータ3によって発電された電力をバッテリ7に蓄えて、このバッテリ7に蓄えられた電力によってバキュームポンプ4をさせる方法では、バッテリ7の充放電性能の影響によってオルタネータ3によって発電された電力の、例えば6割程度しかバキュームポンプ4に供給できなかったが、本発明によれば、発電された電力のほとんどをバキュームポンプ4に供給することができる。これにより、回生エネルギーの回生率を向上させることができる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述した第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態で示したバキュームポンプ4、バキュームタンク5及びブレーキブースタ6の代わりにコンプレッサポンプ、コンプレッサタンク及び空調装置を備えている。
図8に示すように、車両は、蓄圧システム21と、車室内の温度を調整可能な空調装置24とを備えている。
具体的には、制御手段8の圧力制御部16は、コンプレッサタンク23の圧力が、圧力上限値以上の場合にコンプレッサポンプ22を停止し、圧力上限値未満の場合にコンプレッサポンプ22を作動させる。コンプレッサタンク23内の圧力が圧力上限値以上のときにコンプレッサポンプ22を停止することで、電力の消費を低減することができる
また、加圧した冷媒をコンプレッサタンク23に貯留することで、車両の走行状態にかかわらず、空調装置24に加圧した冷媒を適宜供給することができる。
さらに、第一実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
2 エンジン
3 オルタネータ
4 バキュームポンプ
5 バキュームタンク
6 ブレーキブースタ
7 バッテリ
8 制御手段
9 エンジンECU
10 トルクメータ
11 ベルト
12 圧力センサ
13 SOCセンサ
14 第1レギュレータ
15 第2レギュレータ
16 圧力制御部
21 蓄圧システム
22 コンプレッサポンプ
23 コンプレッサタンク
24 空調装置
Claims (8)
- 車両のエンジンによって駆動されるオルタネータと、当該オルタネータによって発電された電力を蓄えるバッテリと、前記オルタネータ又は前記バッテリから供給される電力で作動するポンプと、当該ポンプにより加圧又は減圧された流体を貯留可能な蓄圧機と、前記オルタネータ及び前記ポンプの作動状態を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記車両の減速時に前記オルタネータを作動させて前記オルタネータによって発電された電力で前記ポンプを作動させ、
前記車両の加速時に、前記バッテリから供給される電力で前記ポンプを作動させて、前記ポンプによって加圧又は減圧された前記流体を前記蓄圧機に貯留するように制御し、
前記蓄圧機の圧力が圧力下限値以上、且つ、圧力上限値未満の範囲にある場合、前記ポンプによる減圧速度が、前記車両の加速時よりも前記車両の減速時において速くなるように前記ポンプを制御することを特徴とする車両の蓄圧システム。 - 前記制御手段は、前記車両の加速時において、
前記バッテリの充電率が充電率上限値以上の場合、前記オルタネータの作動を停止し、
前記充電率が前記充電率上限値未満の場合、前記オルタネータを作動させるとともに、前記オルタネータによって発電された電力を前記バッテリに供給して前記バッテリを充電するように制御すること特徴とする請求項1に記載の車両の蓄圧システム。 - 前記制御手段は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記オルタネータによる発電量を増加させるように前記オルタネータの作動状態を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の蓄圧システム。 - 前記制御手段は、前記バッテリから供給される電力量を制御する電力制御部を有しており、
前記電力制御部は、
前記充電率が前記充電率下限値未満の場合に、前記充電率上限値未満で且つ充電率下限値以上の場合よりも、前記バッテリから前記ポンプへ供給する電力量を減少させるように前記バッテリを制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の蓄圧システム。 - 前記制御手段は、
前記エンジンの減速トルク又は前記車両の減速度に対する前記オルタネータの発電トルクの割合を所定割合以下となるように前記オルタネータの作動状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の蓄圧システム。 - 前記制御手段は、前記蓄圧機の圧力を所定の範囲内に制御する圧力制御部を有することを特徴とする請求項1〜5のうち何れか一項に記載の車両の蓄圧システム。
- 前記圧力制御部は、
前記ポンプにより減圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力下限値未満のときに前記ポンプを停止し、前記圧力下限値以上のときに前記ポンプを作動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の車両の蓄圧システム。 - 前記圧力制御部は、
前記ポンプにより加圧された流体が前記蓄圧機に貯留される場合に、
前記蓄圧機の圧力が、圧力上限値以上のときに前記ポンプを停止し、前記圧力上限値未満のときに前記ポンプを作動させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の車両の蓄圧システム。
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