JP5939072B2 - 物理量測定装置付回転機械 - Google Patents

物理量測定装置付回転機械 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニット、自動車用変速機、工作機械の主軸装置等の各種回転機械を構成する回転部材に作用するアキシアル荷重と、この回転部材のアキシアル方向の変位とのうちの、少なくとも一方の物理量を測定する機能を備えた物理量測定装置付回転機械の改良に関する。特に、本発明は、前記回転部材が一定の角速度で回転していない状況での、前記物理量の測定誤差を低減する事を目的とするものである。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、回転機械の一種である、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行う為には、車輪を介して前記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、例えば特許文献1、2には、特殊なエンコーダを使用して、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明が記載されている。図4は、これら特許文献1、2に記載された構造と同じ荷重の測定原理を採用している、物理量測定装置付回転機械の従来構造の1例を示している。この従来構造は、回転機械である転がり軸受ユニット1と、エンコーダ2と、1対のセンサ3、3と、図示しない演算器とを備える。
このうちの転がり軸受ユニット1は、使用時に懸架装置に結合固定された状態で回転しない外輪4と、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転する、回転部材であるハブ5と、これら外輪4の内周面とハブ5の外周面との間に複列に設けられた複数個の転動体6、6とを備える。これら各転動体6、6には、背面組み合わせ型の接触角と共に、予圧が付与されている。
又、前記エンコーダ2は、前記ハブ5の軸方向内端部(図4の右端部)に、このハブ5と同心に支持固定されている。前記エンコーダ2は、前記ハブ5の軸方向内端部に外嵌固定された、磁性金属製で円環状の芯金7と、この芯金7の外周面に全周に亙り固定された、永久磁石製で円筒状のエンコーダ本体8とから成る。前記ハブ5と同心の被検出部である、このエンコーダ本体8の外周面には、S極とN極とが円周方向に関して交互に且つ等ピッチで配置されている。これらS極とN極との境界は、軸方向中央部が円周方向に関して最も突出した、V字形になっている。
又、前記両センサ3、3は、前記外輪4の軸方向内端開口を塞ぐ金属板製のカバー9の内側に保持固定された、合成樹脂製のセンサホルダ10に包埋されている。そして、この状態で、前記両センサ3、3の検出部を、前記エンコーダ2の被検出部の軸方向両半部に、それぞれ1つずつ近接対向させている。尚、前記両センサ3、3の検出部には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいる。
上述の様に構成する物理量測定装置付回転機械の場合、前記外輪4と前記ハブ5との間にアキシアル荷重が作用する事により、これら外輪4とハブ5とがアキシアル方向に相対変位すると、これに伴って、図5に示す様な、前記両センサ3、3の出力信号であるパルス信号(A相、B相)同士の間に存在する位相差比ε(=位相差λ/1周期T)が変化する。この位相差比εは、前記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)に見合った値をとる。従って、この位相差比εに基づいて、前記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)を求める事ができる。尚、これらを求める処理は、前記演算器により行う。この為、この演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、前記位相差比εと、前記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係(零点及びゲイン)を表す、式やマップを記憶させておく。
具体的に説明すると、自動車の運転時に、前記演算器は、自身に入力される、前記A相と前記B相との双方に含まれるパルスエッジ(パルスの立上りエッジと立下りエッジとのうちの何れか一方のエッジで、図示の例では、立上りエッジ)の入力時刻を、順次計測する。そして、前記A相に含まれるパルスエッジのうちで、互いに連続して入力される2つのパルスエッジEA1、EA2の入力時刻tA1、tA2と、前記B相に含まれるパルスエッジのうちで、これら両入力時刻tA1、tA2間に入力される、1つのパルスエッジEB1の入力時刻tB1とを利用して、前記位相差比ε=λ/T=(tB1−tA1)/(tA2−tA1)=(tB1−tA1)/{(tA2−tB1)+(tB1−tA1)}を算出する。そして、この算出した位相差比εに基づき、前記式やマップを利用して、前記アキシアル荷重(前記相対変位)を求める。これらを求める処理は、前記演算器に前記A相のパルスエッジが1つずつ入力される度に(当該パルスエッジをその都度、前記EA2として)行われる。
尚、前記アキシアル荷重の変化に伴って生じる、前記A相と前記B相との位相変化により、これらA相とB相との間で、前記演算器へのパルスエッジの入力順序が逆転すると、上述の様にして物理量を求める処理が難しくなる。そこで、この様な入力順序の逆転が生じる事を防止できる様にすべく、上述した従来構造の場合には、前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、前記ハブ5(前記エンコーダ2)が一定の回転速度(角速度)で回転している状態で、図5に示す様に、前記A相と前記B相とが互いに逆位相となる(位相差比εが0.5となる)様な構成を採用している。この為に具体的には、前記エンコーダ2の被検出部に対する前記両センサ3、3の検出部の対向位置を、軸方向及び円周方向に関して相互に規制している。
上述した様な従来構造の場合、前記演算器が算出した位相差比εは、前記外輪4と前記ハブ5との間に作用しているアキシアル荷重が変化する事によって変化する他、このハブ5(前記エンコーダ2)に角加速度が生じる(車両が加減速する)事によっても変化する。この点に就いて、以下、具体的に説明する。
先ず、前記アキシアル荷重が一定であり、且つ、前記ハブ5の角速度が一定であれば(車両が加減速していなければ)、この角速度の値に拘らず、前記位相差比εは一定値に保たれる。例えば、前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、前記角速度が一定の場合を考える。この場合、車両の低速時(前記角速度が小さい時)には、図6の(a)に示す様に、前記A相及びB相の周期が長くなる。これに対し、車両の高速時(前記角速度が大きい時)には、同図の(b)に示す様に、前記A相及びB相の周期が短くなる。但し、これら何れの場合も、前記A相及びB相に、それ以外の変化は生じない。即ち、上述した何れの場合も、位相差λと1周期Tとの間には、λ=T/2の関係が成立し、位相差比ε=λ/T=0.5となる。つまり、前記角速度の値に拘らず、この位相差比εは一定値に保たれる。
これに対して、前記アキシアル荷重が一定であっても、前記ハブ5に角加速度が生じている(車両が加減速している)場合には、この角加速度の値に応じて、前記位相差比εの値が変化する。例えば、前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、前記ハブ5が一定の角加速度で回転している場合を考える。この場合、車両の加速時(前記角加速度が正の時)には、図7の(a)に示す様に、前記A相及びB相のパルス幅(高レベル継続時間)及びパルス間隔(低レベル継続時間)が、時間の経過と共に徐々に減少する。反対に、車両の減速時(前記角加速度が負の時)には、同図の(b)に示す様に、前記A相及びB相のパルス幅及びパルス間隔が、時間の経過と共に徐々に増大する。即ち、前者の場合{(a)の場合}には、位相差λと1周期Tとの間に、λ>T/2の関係が成立し、位相差比ε=λ/T>0.5となる。これに対し、後者の場合{(b)の場合}には、位相差λと1周期Tとの間に、λ<T/2の関係が成立し、位相差比ε=λ/T<0.5となる。又、これら何れの場合も、車両の加減速の度合いが大きくなる(前記角加速度の絶対値が大きくなる)程、前記位相差比εが0.5から遠ざかる値をとる。つまり、この角加速度の値に応じて、前記位相差比εの値が変化する。
上述した様な角加速度の発生(車両の加減速)に伴う位相差比εの変化分は、求めるべき物理量(アキシアル荷重、相対変位)の変化とは無関係に生じる誤差成分である。この為、この物理量の測定精度を向上させる観点より、当該誤差成分を低減できる様にする事が望まれる。
特開2006−317420号公報 特開2011−75346号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、回転部材に角加速度が生じる事に伴って発生した位相差比εの変化分(誤差成分)を低減して、物理量の測定精度を向上させる事ができる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の物理量測定装置付回転機械は、回転機械と、エンコーダと、1対のセンサと、演算器とを備える。
このうちの回転機械は、使用時に回転する回転部材を有する。
又、前記エンコーダは、前記回転部材に支持固定されていて、この回転部材と同心の被検出部を有すると共に、この被検出部の特性を円周方向に関して交互に且つ等ピッチで変化させている。
又、前記両センサは、それぞれの検出部を前記被検出部のうち互いに異なる部分に対向させた状態で、使用時にも回転しない部分に支持されたものであって、それぞれが前記被検出部のうち自身の検出部を対向させた部分の特性変化に対応したパルス信号を出力する。
又、前記演算器は、前記両センサのパルス信号のうちの一方をA相とし、他方をB相とした場合に、このA相に含まれるパルスエッジのうちで、互いに連続して入力される2つのパルスエッジEA1、EA2の入力時刻tA1、tA2と、前記B相に含まれるパルスエッジのうちで、これら両入力時刻tA1、tA2間に入力される、1つのパルスエッジEB1の入力時刻tB1とを利用して、前記A相と前記B相との間の位相差比ε=(tB1−tA1)/(tA2−tA1)=(tB1−tA1)/{(tA2−tB1)+(tB1−tA1)}を算出すると共に、この算出した位相差比εに基づいて、前記回転部材のアキシアル方向の変位と、この回転部材に作用しているアキシアル荷重とのうちの、少なくとも一方の物理量を求める機能を有する。
特に、本発明の物理量測定装置付回転機械に於いては、前記回転部材に前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、この回転部材が一定の角速度で回転している状態での、前記A相と前記B相との間の位相差比を、無負荷定速位相差比εnとし、前記回転部材に前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、この回転部材が一定の角加速度で回転している状態での、前記A相と前記B相との間の位相差比を、無負荷加減速位相差比εaとした場合に、前記演算器が、次の機能を有する。
即ち、前記演算器は、当該機能に基づいて、前記各入力時刻tA1、tA2、tB1と、前記A相に含まれるパルスエッジのうちで、前記2つのパルスエッジEA1、EA2の直前に入力された1つのパルスエッジEA0の入力時刻tA0と、前記B相に含まれるパルスエッジのうちで、前記1つのパルスエッジEB1の直前に入力された1つのパルスエッジEB0の入力時刻tB0とを利用して、このうちの入力時刻tA0からtA2までの区間で前記回転部材が一定の角加速度で回転したと仮定した場合の、当該角加速度を推定する。これと共に、この推定した角加速度に対応する前記無負荷加減速位相差比εaを推定する。更に、この推定した無負荷加減速位相差比εaから、既知の値(前記被検出部の構成、及び、前記回転部材に前記アキシアル荷重が作用していない状態での、前記被検出部と前記両センサの検出部との位置関係から、予め計算により求められる値)である、前記無負荷定速位相差比εnを減算する事によって、補正値△ε=εa−εnを求める。これと共に、前記算出した位相差比εから、この補正値△εを減算する事によって、補正位相差比εz=ε−△εを求める。その後、この補正位相差比εzに基づいて、前記少なくとも一方の物理量を求める。
上述の様に構成する本発明の物理量測定装置付回転機械によれば、回転部材に角加速度が生じる事に伴って発生した位相差比εの変化分(誤差成分)を、A相及びB相に含まれるパルスエッジの入力時刻に基づいて求めた補正値△εを利用して低減できる。具体的には、前記位相差比εからこの補正値△εを減算する事によって、前記変化分(誤差成分)を低減できる。そして、この変化分(誤差成分)を低減した後の位相差比εである、補正位相差比εzに基づいて物理量を求める為、この物理量の測定精度を向上させる事ができる。
一般化したパルスエッジの入力時刻表示を付した、1対のセンサのパルス信号(A相、B相)を表わす線図。 具体化したパルスエッジの入力時刻表示を付した、1対のセンサのパルス信号(A相、B相)を表わす線図。 本発明の効果を確かめる為に行ったシミュレーションの条件(a)及び結果(b)を示す線図。 従来構造の1例を示す断面図。 1対のセンサのパルス信号(A相、B相)を表わす線図。 一定の速度で走行している車両の低速時(a)及び高速時(b)に於ける、1対のセンサのパルス信号(A相、B相)を表わす線図。 車両の加速時(a)及び減速時(b)に於ける、1対のセンサのパルス信号(A相、B相)を表わす線図。
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜2を参照しつつ説明する。尚、本例の特徴は、前述の図4〜5により説明した物理量測定装置付回転機械に於いて、ハブ5に角加速度が生じる(車両が加減速する)事に伴って発生した位相差比εの変化分(誤差成分)を低減する事により、物理量の測定精度を向上させる機能を、図示しない演算器に付加した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図4〜5により説明した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の物理量測定装置付回転機械を組み付けた車両の運動は、十分に短い時間の範囲内であれば、等加速度運動とみなす事ができる。このとき、任意に設定した初期位置から或る一定の距離x(m)を走行するのに要する時間t(sec)は、下記の(1)式で表す2次方程式の解として、下記の(2)式で求められる。
Figure 0005939072
Figure 0005939072
尚、これら(1)式及び(2)式中、v0は、前記初期位置に於ける車両の初速度(m/sec)を、aは、車両の加速度(m/sec2)を、それぞれ表わす(以下の各式でも同じ)。
次に、上述の(2)式を利用して、図1に示す様な、前記両センサ3、3のパルス信号(A相、B相)に含まれるパルスエッジの発生時刻の一般式を導出する。
尚、図1は、A相とB相とが互いに逆位相となっている状態、即ち、外輪4とハブ5(図4)との間にアキシアル荷重が作用していない状態を示している。
ここで、このアキシアル荷重が作用しておらず、且つ、前記ハブ5が一定の角速度ωで回転している(車両が加減速していない)状態での、A相とB相との間の位相差比を、無負荷定速位相差比εnと定義する。本例の場合、この無負荷定速位相差比εnは、0.5である。
上述した一般式を導出する為に、先ず、前記初期位置の時刻(t=0)以降に、A相とB相とで交互に発生するパルスエッジに対し、正の整数m(m=1、2、3、・・・)を用いて、通し番号を付する。ここで、例えば、2m−1番目(奇数番目)に発生した、A相のパルスエッジE2m-1の発生時刻t2m-1と、2m番目(偶数番目)に発生した、B相のパルスエッジE2mの発生時刻t2mとは、それぞれ上述の(2)式を利用して、下記の(3)式及び(4)式で表す事ができる。
Figure 0005939072
Figure 0005939072
尚、これら(3)式及び(4)式中、ω0は、前記初期位置に於ける前記ハブ5(前記エンコーダ2)の初角速度(rad/sec)を、reは、タイヤの有効半径(m)を、nは、前記エンコーダ2の被検出部に存在する極対数を、それぞれ表わす(以下の各式でも同じ)。
ところで、前記演算器は、A相とB相との間の位相差比εを求める際に、自身に入力される、これらA相及びB相に含まれるパルスエッジの入力時刻の差を利用する。これら各パルスエッジの入力時刻の差は、これら各パルスエッジの発生時刻の差と実質的に等しい。従って、少なくとも前記演算器が前記位相差比εを算出する問題に関して、上述の(3)式及び(4)式は、前記演算器に入力される前記各パルスエッジの入力時刻の一般式として利用できる。
今、図1で、A相に含まれる最新のパルスエッジE2m-1が、演算器に入力された際に算出される位相差比εaは、
Figure 0005939072
となる。この(5)式の右辺を、上述の(3)式及び(4)式を利用して展開すると、
Figure 0005939072
となる。
尚、この様にして位相差比εaを算出する場合に、図1中の各時刻t2m-1、t2(m-1)、t2(m-1)-1、t2(m-2)、t2(m-2)-1と、特許請求の範囲に記載した各時刻tA2、tB1、tA1、tB0、tA0との間には、「t2m-1=tA2」「t2(m-1)=tB1」「t2(m-1)-1=tA1」「t2(m-2)=tB0」「t2(m-2)-1=tA0」の対応関係がある。
ここで、前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、前記ハブ5が一定の角加速度(dω/dt)で回転している(車両が一定の加速度aで走行している)状態での、A相とB相との間の位相差比を、無負荷加減速位相差比εaと定義する。
上述の(6)式より、初角速度ω0と車両の加速度aとが分かれば(タイヤの有効半径reは既知であるから)、前記無負荷加減速位相差比εaを求められる。ここで、図1に於いて、A相の2区間{時刻t2(m-2)-1から時刻t2m-1までの区間}が十分短い時間であり、このうちの各1区間{時刻t2(m-2)-1から時刻t2(m-1)-1までの区間、及び、時刻t2(m-1)-1から時刻t2m-1までの区間}内に於いてそれぞれ速度が一定であり、且つ、前記2区間に於いて加速度が一定であると仮定(擬制)すれば、次述する様に、A相及びB相の周期を利用して、初角速度ω0と車両の加速度aとを推定する事ができる。そして、この様に推定した初角速度ω0と車両の加速度aとを利用して、前記無負荷加減速位相差比εaを求められる。
この点に就いて、具体的に説明する為に、図2に示す様に、A相及びB相に含まれるパルスエッジをE-1〜E3(入力時刻t-1〜t3)と定義する{A相の最新のパルスエッジをE3(入力時刻t3)と定義する}。そして、A相の1区間(時刻t1から時刻t3までの区間)に於ける、前記無負荷加減速位相差比εaを求める。尚、この場合に、図2中の各時刻t3、t2、t1、t0、t-1と、特許請求の範囲に記載した各時刻tA2、tB1、tA1、tB0、tA0との間には、「t3=tA2」「t2=tB1」「t1=tA1」「t0=tB0」「t-1=tA0」の対応関係がある。又、前記無負荷加減速位相差比εaを求める為に、上述した(6)式を利用するが、この場合、初角速度ω0と車両の加速度aとは、時刻t1に於ける値を用いる必要がある。そこで、上述した様な仮定(擬制)の下、初角速度ω0と車両の加速度aとを、次の様に推定する。
先ず、初角速度ω0に関しては、ω0=△θ/△tの関係式が成立する。ここでは、△θ=2π/n(△θ:1極対分の角度)、△t=t2−t0{△t:1極対分の回転時間(時刻t0から時刻t2までの時間)}であるから、
Figure 0005939072
と推定できる。即ち、この(7)式に示す様に、B相に関する、A相の2区間の境目に跨る1区間の周期(t2−t0)を利用して、初角速度ω0を推定できる。
又、車両の加速度aに関しては、a=re・(dω/dt)の関係式が成立する。ここで、時刻t1からt3までの区間の角速度をω3-1とし、時刻t-1からt1までの区間の角速度をω1-(-1)とすると、
Figure 0005939072
と推定できる。即ち、この(8)式に示す様に、A相に関する、最新のパルスエッジにより定義される1区間の周期(t3−t1)と、その1つ前の1区間の周期(t1−t-1)とを利用して、車両の加速度aを推定できる。
以上より、A相の1区間(時刻t1から時刻t3までの区間)に於ける、無負荷加減速位相差比εaは、上述した(6)〜(8)式より、次の(9)式により推定できる。
Figure 0005939072
尚、この(9)式中、ω0は、上述した(7)で表され、aは、上述した(8)式で表される。又、この(9)式{前記(6)式}は、複合同順であり、車両の加速度aの符号に対応する。即ち、a>0の場合は、分母分子ともに第1項が+、第2項が−であり、a<0の場合は、その反対の符号となる。
ところで、上述の様に推定した無負荷加減速位相差比εaから、前述した無負荷定速位相差比εn(=0.5)を減算した値は、前記ハブ5に角加速度が生じる(車両が加減速する)事に伴って発生した位相差比εの変化分(誤差成分)の近似値となる。従って、位相差比εからこの近似値を減算すれば、前記角加速度(車両の加減速)による誤差の影響を低減できる。そこで、本例の場合、前記演算器は、次の様にして物理量(アキシアル荷重、相対変位)を求める。
即ち、前記演算器は、図2のA相、B相を利用して、前述した従来構造の場合と同様、位相差比ε=λ/T=(t2−t1)/(t3−t1)=(t2−t1)/{(t3−t2)+(t2−t1)}を算出する。これと共に、上述した(9)式により、前記無負荷加減速位相差比εaを推定し、更に、この推定した無負荷加減速位相差比εaから、前記無負荷定速位相差比εn(=0.5)を減算する事によって、補正値△ε=εa−εnを求める。そして、前記算出した位相差比εから、この補正値△εを減算する事によって、補正位相差比εz=ε−△εを求める。そして、この補正位相差比εzに基づき、前述した式やマップを利用して、物理量(アキシアル荷重、相対変位)を求める。本例の場合も、これらを求める処理は、前記演算器に前記A相のパルスエッジが1つずつ入力される度に(当該パルスエッジをその都度、E3として)行われる。
上述の様に、本例の物理量測定装置付回転機械の場合には、前記ハブ5に角加速度が生じる(車両が加減速する)事に伴って発生した位相差比εの変化分(誤差成分)を、A相及びB相に含まれるパルスエッジの入力時刻に基づいて求めた補正値△εを利用して低減できる。具体的には、前記位相差比εからこの補正値△εを減算する事によって、前記変化分(誤差成分)を低減できる。そして、この変化分(誤差成分)を低減した後の位相差比εである、補正位相差比εzに基づいて物理量を求める為、この物理量の測定精度を向上させる事ができる。
本発明の効果を確認する為に行ったシミュレーション実験に就いて、図3を参照しつつ説明する。本実験では、上述した実施の形態の構造に関して、図3の(a)に実線で示す様に、車両の速度を、正弦波状に変化{周期30(sec)、振幅45(km/h)=12.5(m/sec)}させる条件を設定した。(a)中の鎖線は、この場合の車両の加速度を表している。又、外輪4とハブ5(図4)との間には、アキシアル荷重が作用していないと言う条件を設定した。
図3の(b)は、上述の様な条件で車両を走行させた場合に、演算器で算出される、位相差比ε(破線)と、補正位相差比εz(実線)とを表している。この(b)に示した結果から明らかな様に、補正する前の位相差比ε(破線)には、比較的大きな誤差(真の値である0.5からのずれ)が生じている事が分かる。これに対し、補正した後の補正位相差比εz(実線)では、当該誤差が十分に低減され、加速度の絶対値が最大になる部分の近傍まで、真の値である0.5に近付いている事が分かる。従って、本発明によれば、前記ハブ5に角加速度が生じる事に伴って発生した前記位相差比εの変化分(誤差成分)を、十分に低減できる。
本発明は、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットに限らず、自動車用変速機や工作機械の主軸装置等の各種回転機械に適用可能である。
又、上述した実施の形態では、無負荷加減速位相差比εaを推定する過程で、車両の加速度aを推定したが、この加速度aは、回転部材であるハブ5の角加速度dω/dtに対応する量{a=re・(dω/dt)}である為、前記加速度aを推定する事は、前記角加速度dω/dtを推定する事と等価である。
1 転がり軸受ユニット
2 エンコーダ
3 センサ
4 外輪
5 ハブ
6 転動体
7 芯金
8 エンコーダ本体
9 カバー
10 センサホルダ

Claims (1)

  1. 回転機械と、エンコーダと、1対のセンサと、演算器とを備え、
    このうちの回転機械は、使用時に回転する回転部材を有するものであり、
    前記エンコーダは、前記回転部材に支持固定されていて、この回転部材と同心の被検出部を有すると共に、この被検出部の特性を円周方向に関して交互に且つ等ピッチで変化させたものであり、
    前記両センサは、それぞれの検出部を前記被検出部のうち互いに異なる部分に対向させた状態で、使用時にも回転しない部分に支持されたものであって、それぞれが前記被検出部のうち自身の検出部を対向させた部分の特性変化に対応したパルス信号を出力するものであり、
    前記演算器は、前記両センサのパルス信号のうちの一方をA相とし、他方をB相とした場合に、このA相に含まれるパルスエッジのうちで、互いに連続して入力される2つのパルスエッジEA1、EA2の入力時刻tA1、tA2と、前記B相に含まれるパルスエッジのうちで、これら両入力時刻tA1、tA2間に入力される、1つのパルスエッジEB1の入力時刻tB1とを利用して、前記A相と前記B相との間の位相差比ε=(tB1−tA1)/(tA2−tA1)を算出すると共に、この算出した位相差比εに基づいて、前記回転部材のアキシアル方向の変位と、この回転部材に作用しているアキシアル荷重とのうちの、少なくとも一方の物理量を求める機能を有するものである、
    物理量測定装置付回転機械に於いて、
    前記回転部材に前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、この回転部材が一定の角速度で回転している状態での、前記A相と前記B相との間の位相差比を、無負荷定速位相差比εnとし、
    前記回転部材に前記アキシアル荷重が作用しておらず、且つ、この回転部材が一定の角加速度で回転している状態での、前記A相と前記B相との間の位相差比を、無負荷加減速位相差比εaとした場合に、
    前記演算器は、前記各入力時刻tA1、tA2、tB1と、前記A相に含まれるパルスエッジのうちで、前記2つのパルスエッジEA1、EA2の直前に入力された1つのパルスエッジEA0の入力時刻tA0と、前記B相に含まれるパルスエッジのうちで、前記1つのパルスエッジEB1の直前に入力された1つのパルスエッジEB0の入力時刻tB0とを利用して、このうちの入力時刻tA0からtA2までの区間で前記回転部材が一定の角加速度で回転したと仮定した場合の、当該角加速度を推定すると共に、この推定した角加速度に対応する前記無負荷加減速位相差比εaを推定し、更に、この推定した無負荷加減速位相差比εaから、既知の値である、前記無負荷定速位相差比εnを減算する事によって、補正値△ε=εa−εnを求めると共に、前記算出した位相差比εから、この補正値△εを減算する事によって、補正位相差比εz=ε−△εを求めた後、この補正位相差比εzに基づいて、前記少なくとも一方の物理量を求める機能を有する事を特徴とする
    物理量測定装置付回転機械。
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