JP4957357B2 - 回転支持装置の状態量測定装置 - Google Patents

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Description

この発明に係る回転支持装置の状態量測定装置は、例えば、自動二輪車(オートバイ)の車輪を車体に対して回転自在に支持する為の回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との間の状態量である、これら両部材同士の間の相対変位や、これら両部材同士の間に作用する外力(荷重、モーメント)を測定する為に利用する。
例えば自動車(四輪車)の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより、回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。又、オートバイ(自動二輪車)の分野でも従来から、車両の走行安定性を確保する為に、ABS等の車両走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニット等の回転支持装置に加わる外力(ラジアル荷重とアキシアル荷重とモーメントとのうちの少なくとも1つ)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、例えば特許文献1〜2には、車輪用の回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との間に作用する外力を、特殊なエンコーダを使用して測定可能とする発明が記載されている。これら特許文献1〜2に記載された各従来構造は、上記回転部材に支持固定された1個の特殊なエンコーダと、このエンコーダの被検出面にそれぞれの検出部を対向させた状態で、上記静止部材等の使用時にも回転しない部分に支持固定された、複数個のセンサとを備える。そして、上記外力の変化(上記静止部材に対する上記エンコーダの変位)に伴って変化する、上記各センサの出力信号同士の間の位相差に基づいて、上記外力を算出可能としている。
ところが、上記特許文献1〜2に記載された各従来構造は、自動車の車輪用の回転支持装置の様に、複列の転がり軸受部に予圧が付与されている回転支持装置に適用する場合には、上記外力を精度良く測定できるが、オートバイの車輪用の回転支持装置の様に、複列の転がり軸受部に予圧が付与されていない回転支持装置に適用する場合には、上記外力を精度良く測定するのが難しくなる可能性がある。この理由は、例えば、上記エンコーダのアキシアル変位に伴って変化する、上記各センサの出力信号同士の間の位相差に基づいて、上記静止部材と上記回転部材との間に作用するアキシアル荷重を算出する場合に、上記複列の転がり軸受部に予圧が付与されていないと、上記アキシアル変位と上記アキシアル荷重との間に安定した相関関係が成立しなくなって、上記アキシアル荷重を精度良く測定できなくなる可能性が高くなる為である。
又、特許文献3には、やはり1個の特殊なエンコーダと複数個のセンサとを備えた回転支持装置が記載されている。この特許文献3に記載された従来構造の場合には、上記エンコーダの傾きに伴って変化する、上記各センサの出力信号同士の間の位相差に基づいて、上記回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との間に作用する、この静止部材の中心軸に対し径方向にオフセットした位置から入力されたアキシアル荷重(若しくはこのアキシアル荷重に基づいて発生したモーメント)を算出可能としている。但し、この特許文献3に記載された従来構造の場合も、上述した特許文献1〜2に記載された発明と同様に、予圧を付与されていない場合には、アキシアル荷重を精度良く測定できない。更に、上記特許文献3に記載された従来構造の場合には、上記エンコーダの被検出面の直径が小さくなる程、上記位相差の検出誤差に対する、上記アキシアル荷重(若しくはモーメント)の測定精度の悪化率が大きくなる。この為、上記特許文献3に記載された従来構造は、自動車の車輪用の回転支持装置の様に、外径寸法が比較的大きく、組み付けるエンコーダの被検出面の直径も比較的大きい回転支持装置に適用する場合には、上記アキシアル荷重(若しくはモーメント)を精度良く測定できるが、オートバイの車輪用の回転支持装置の様に、外径寸法が比較的小さく、組み付けられるエンコーダの被検出面の直径も小さくならざるを得ない回転支持装置に適用する場合には、上記外力を精度良く測定するのが難しくなる可能性がある。
特開2006−133045号公報 特開2006−322928号公報 特開2007−93580号公報
本発明の回転支持装置の状態量測定装置は、上述の様な事情に鑑み、オートバイの車輪用の回転支持装置の様に、複列の転がり軸受部に予圧が付与されておらず、しかも組み付けられるエンコーダの被検出面の直径が小さくならざるを得ない、小径の回転支持装置に適用した場合でも、この回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との間に作用する外力を精度良く測定できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の回転支持装置の状態量測定装置は、回転支持装置と、状態量測定装置とを備える。
このうちの回転支持装置は、静止側周面に1対の静止側軌道を直接又は他の部材を介して形成した、使用時にも回転しない静止部材と、回転側周面に1対の回転側軌道を直接又は他の部材を介して形成した、使用時に回転する回転部材と、上記各静止側軌道と上記各回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備える。
又、上記状態量測定装置は、上記回転部材のうち上記各回転側軌道の近傍(可能な範囲でこれら各回転側軌道に近く、軸方向に関してできるだけ離れた)等、軸方向に離隔した2個所位置にそれぞれ1個ずつ、直接又は他の部材を介して支持固定された1対のエンコーダと、使用時にも回転しない部分に支持固定されたセンサ装置と、演算器とを備える。
このうちの1対のエンコーダはそれぞれ、上記回転部材と同心で円輪状の被検出面を、軸方向側面に有し、これら両被検出面の特性を円周方向に関して交互に且つ互いに同じピッチで、且つ、これら両被検出面の特性変化の位相がこれら両被検出面の幅方向に関しては変化しない状態で変化させている。
又、上記センサ装置は、上記1対のエンコーダのうちの一方のエンコーダの被検出面に検出部を、軸方向に対向させた1乃至複数個のセンサと、他方のエンコーダの被検出面に検出部を対向させた1乃至複数個のセンサとを備える。又、上記各センサはそれぞれ、上記各被検出面のうち自身の検出部を、軸方向に対向させた部分の特性変化に対応して出力信号を変化させる。
又、互いに直交するx軸、y軸、z軸から成る三次元直交座標系のうちのy軸を上記静止部材の中心軸に一致させた場合に、上記演算器は、上記各センサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記静止部材に対する上記回転部材の、x軸方向の変位xと、y軸方向の変位yと、z軸方向の変位zと、x軸回りの傾きφx と、z軸回りの傾きφz とのうちの、少なくとも1つの変位若しくは傾きを算出する機能を有する。
又、本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、演算器に、自身が算出した静止部材に対する回転部材の変位若しくは傾きに基づき、これら静止部材と回転部材との間に作用する外力を算出する機能を持たせる。
又、上述の請求項1〜2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、使用状態で、それぞれの位相が互いに一致しない、複数個のセンサの出力信号のパルス波形を、他の装置の制御を実行する為に利用可能とする。
更に、上述の請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、回転支持装置を、自動二輪車の車輪用の回転支持装置とする。そして、使用状態で、静止部材を自動二輪車の車体に支持固定される部材とし、回転部材を車輪を支持固定する部材又はこの車輪の一部を構成する部材とする。
上述の様に構成する本発明の回転支持装置の状態量測定装置の場合には、複列の転がり軸受部に予圧が付与されている回転支持装置に適用する場合に限らず、オートバイ(自動二輪車)の車輪用の回転支持装置の様に、複列の転がり軸受部に予圧が付与されておらず、しかも組み付けられるエンコーダの被検出面の直径が小さくならざるを得ない、小径の回転支持装置に適用した場合でも、この回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との間に作用する外力を精度良く測定できる。
即ち、本発明の場合には、静止部材に対し回転部材が変位する(1対のエンコーダがそれぞれ独立に変位する)と、これに伴って、これら1対のエンコーダの被検出面にそれぞれの検出部を対向させた複数個のセンサの出力信号同士の間の位相差が変化する。この為、これら各位相差に基づいて、静止部材に対する回転部材の変位や傾きを算出できる。しかも、本発明の場合には、静止部材に対する回転部材の変位や傾きが、互いに間隔をあけて配置された1対のエンコーダの変位に反映される。この為、これら両エンコーダの被検出面の直径が小さくなる事に伴って生じる、上記各位相差の検出誤差に対する、上記変位や傾きの算出精度の悪化率の増加を十分に抑えられる。従って、オートバイの車輪用の回転支持装置の様に、外径寸法が比較的小さく、組み付けられるエンコーダの被検出面の直径も比較的小さくならざるを得ない回転支持装置に適用する場合でも、上記各位相差に基づいて、静止部材に対する回転部材の変位や傾きを精度良く算出できる。
又、本発明の場合には、オートバイの車輪用の回転支持装置の様に、複列の転がり軸受部に予圧が付与されていない回転支持装置に適用する場合でも、上述の様に算出した静止部材に対する回転部材の変位や傾きから、これら静止部材と回転部材との間に作用する外力を精度良く求められる。この理由は、次の通りである。先ず、上述した予圧が付与されていない回転支持装置では、上記1対のエンコーダのラジアル変位と、静止部材と回転部材との間に作用するラジアル荷重との間、並びに、上記1対のエンコーダのラジアル変位と、静止部材と回転部材との間に作用する、この静止部材の中心軸に対し径方向にオフセットした位置から入力されるアキシアル荷重(若しくはこのアキシアル荷重に基づいて発生したモーメント)との間に、それぞれ十分に安定した相関関係が成立する。この理由は、上述した予圧が付与されていない回転支持装置の場合、上記複列の転がり軸受部のラジアル隙間がアキシアル隙間に比べて十分に小さい事、並びに、この複列の転がり軸受部に常に車体重量等に基づくラジアル荷重が作用している事から、上記1対のエンコーダのラジアル変位が、上記ラジアル荷重及び上記アキシアル荷重(モーメント)と無関係に変動しにくくなる為である。従って、本発明の場合には、上述した予圧が付与されていない回転支持装置に適用する場合でも、回転部材(上記1対のエンコーダ)のラジアル変位に基づいて、上記ラジアル荷重を精度良く求める事ができる。又、回転部材の傾き(上記1対のエンコーダのラジアル変位)に基づいて、上記アキシアル荷重(モーメント)を精度良く求める事ができる。
又、請求項3に記載した構造を採用すれば、例えばABSによる車輪のスリップ率制御を、より的確に行なえる。即ち、このスリップ率制御は、車輪の1回転当たりのセンサの出力信号のパルス数が多い程、的確に(リアルタイムに近い状態で)行なえる。この為、1個のセンサの出力信号のパルス波形のみを利用するよりも、請求項3に記載した構造の様に、使用状態でそれぞれの位相が互いに一致しない、複数個のセンサの出力信号のパルス波形を利用(これら複数個のセンサの出力信号のパルス波形の逓倍処理を実施したものを利用)する方が、車輪の1回転当たりのパルス数を多く得られる為、上記スリップ率制御をより的確に行なえる。例えば、互いの初期位相差(中立状態での位相差)を90度に設定した2個のセンサの出力信号を利用(2逓倍処理を実施して利用)すれば2倍のパルス数を得られる。或は、パルスの片方エッジ(例えば出力が降下するエッジ)だけを利用して回転速度を検出している場合は、180度位相をずらしたパルスも利用すれば2倍のエッジ検出ができる為、より正確な回転速度が得られる。又、上記と同様の考え方で、3個のセンサの出力信号を利用しても良い。この場合も、より正確な回転速度が得られる。従って、上記スリップ率制御をより的確に行なえる。特に、請求項3に記載した発明の場合には、オートバイ(自動二輪車)の車輪用の回転支持装置の様に、組み付けられるエンコーダの被検出面の直径が小さく(この被検出面の1周当たりの特性変化回数が少なく)、車輪の1回転当たりの各センサの出力信号のパルス数が少ない回転支持装置に適用する場合でも、上記スリップ率制御を的確に行なえると言った、優れた効果を得られる。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、オートバイ(自動二輪車)の車輪(従動輪である前輪)1をフロントフォーク2、2に対し回転自在に支持する為の回転支持装置に、本発明を適用している。本例の場合には、上記両フロントフォーク2、2の下端部にその両端部を結合固定した、使用時にも回転しない静止部材である軸部材3の中間部周囲に、その外周面に上記車輪1を支持固定した状態で、使用時にこの車輪1と共に回転する回転部材であるハブ4を、1対の転がり軸受5、5を介して回転自在に支持している。これら両転がり軸受5、5は、上記軸部材3の外周面と上記ハブ4の内周面との間に存在する円筒状空間の両端寄り部分に設けられており、上記軸部材3に外嵌固定した内輪6、6と、上記ハブ4に内嵌固定した外輪7、7とを、それぞれ複数個の転動体(玉)8、8を介して、互いに同心に且つ相対回転自在に組み合わせて成る。
又、本例の場合には、上記各内輪6、6の軸方向の位置決めを図る為に、上記軸部材4の中間部に外嵌固定した円管状の間座9と、この軸部材3の両端寄り部分に外嵌固定した1対の環状部材10、10とにより、それぞれ上記各内輪6、6を軸方向両側から挟持している。又、上記各外輪7、7の軸方向の位置決めを図る為に、上記ハブ4の内周面の両端寄り部分に形成した段差面11、11に、上記各外輪7、7の互いに対向する側面を、それぞれ次述するエンコーダ13、13を構成する芯金14、14を介して突き当てている。尚、本例の場合、上記両転がり軸受5、5を構成する各転動体(玉)には、それぞれ予圧を付与していない。又、上記両環状部材10、10の外周面と上記ハブ4の両端部内周面との間に、それぞれシールリング12、12を設けて、上記円筒状空間の両端開口部を密閉している。
又、本例の場合、上記各外輪7、7の中間部乃至一端部(互いに対向する側の端部)に形成した小径段部16、16に、それぞれ上記各エンコーダ13、13を構成する芯金14、14を、上記各外輪7、7と同心に外嵌固定している。又、上記間座9の両端寄り部分に、それぞれ2個ずつのセンサ19A1 、19A2 (19B1 、19B2 )を、断面L字形で全体を円環状に構成した支持部材20、20を介して支持固定している。そして、この状態で、上記両エンコーダ13、13の被検出面に、それぞれ上記2個ずつのセンサ19A1 、19A2 (19B1 、19B2 )の検出部を対向させている。
このうちの両エンコーダ13、13はそれぞれ、芯金14と、エンコーダ本体15とを備える。このうちの芯金14は、磁性金属板により断面L字形で全体を円環状に構成しており、円筒部17と、この円筒部17の端部から径方向内方に直角に折れ曲がった円輪部18とを備える。又、上記エンコーダ本体15は、永久磁石製で全体を円輪状に構成しており、上記円輪部18の側面(軸方向に関して上記円筒部17と反対側の側面)の径方向内半部に、全周に亙り添着固定している。被検出面である、上記エンコーダ本体15の側面(上記円輪部18と反対側の側面)には、S極とN極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置している。これらS極とN極との境界は、上記被検出面の幅方向(径方向)に対して平行にしている。即ち、上記S極とN極との境界の位相は、上記被検出面の幅方向に関して変化させていない。又、上記両エンコーダ13、13同士で、上記被検出面に設けるS極とN極との円周方向の配置のピッチを、互いに等しくしている。
上述の様に構成する両エンコーダ13、13は、それぞれの芯金14、14の円筒部17、17を、上記各外輪7、7の小径段部16、16に外嵌固定(上記ハブ4の両端寄り部分に内嵌)する事により、上記各外輪7、7に対し支持固定している。これと共に、それぞれの芯金14、14の円輪部18、18の径方向外半部を、上記各外輪7、7の側面と上記ハブ4の内周面の両端寄り部分に形成した段差面11、11との間に挟持する事により、軸方向の位置決めを図っている。尚、図3の(A)は、軸受A(図2の左側の転がり軸受5)側のエンコーダ本体15の被検出面と、この被検出面にそれぞれの検出部を対向させた2個のセンサ19A1 、19A2 とを、同じく(B)は、軸受B(図2の右側の転がり軸受5)側のエンコーダ本体15の被検出面と、この被検出面にそれぞれの検出部を対向させた2個のセンサ19B1 、19B2 とを、それぞれ図2の軸方向右側(+y側)から見た投影図である(後述する図4〜10に就いても同様)。この図3に示す様に、本例の場合には、上述の様にして両エンコーダ13、13を回転支持装置に組み付けた状態で、これら両エンコーダ13、13の被検出面に存在するS極とN極との円周方向の配置の位相を、これら両エンコーダ13、13同士で互いに一致させている。
又、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部にはそれぞれ、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいる。そして、互いに直交するx軸、y軸、z軸から成る三次元直交座標系のうち、y軸を上記軸部材3の中心軸とし、z軸を上下方向軸とし、x軸を前後方向軸とした場合に、上記軸部材3と上記ハブ4との間に外力が作用していない中立状態で、上記図3に示す様に、上記両エンコーダ13、13の被検出面のうち、x軸上で径方向反対側となる2個所位置(θ=90度、270度の位置)にそれぞれ1個ずつ、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部を対向させている。尚、上記図3のうち、上記被検出面の手前側に各センサ19A1 、19A2 が位置する(A)では、これら各センサ19A1 、19A2 を黒丸で、上記被検出面の奥側に各センサ19B1 、19B2 が位置する(B)では、これら各センサ19B1 、19B2 を白丸で、それぞれ表している(後述する図4〜10に就いても同様)。
又、前記間座9の軸方向中央部の上面には、演算器21を支持固定している。又、上記軸部材3の上面の軸方向中間部乃至一端部(図2の右端部)には、キー溝状の溝部22を設けている。これと共に、上記間座9の上端部で、上記溝部22の他端部(図2の左端部)と整合する部分に、当該部分を径方向に貫通する通孔23を設けている。そして、上記演算器21に接続した図示しない各種ケーブル例えば、上記演算器21による、後述する変位、傾き、荷重、モーメント等の演算結果を表す信号や、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 のうちの少なくとも1個のセンサのパルス波形信号(スリップ率制御用の信号)を、ABSコントローラに送信する信号ケーブル、並びに、上記演算器21に電力を供給する電源ケーブル等を、上記通孔23及び上記溝部22を通じて外部に引き出し、車体側の各種装置(例えば、ABSコントローラ、並びに、電源装置等)に接続できる様にしている。尚、本発明を実施する場合には、上記軸部材3の中心部等に形成した通孔を通じて、上記各種ケーブルを外部に引き出す構成を採用する事もできる。
上述の様に構成する本例の回転支持装置の状態量測定装置の場合、軸受A側のエンコーダ13に変位zA が生じる事に伴って、2個のセンサ19A1 、19A2 の出力信号の位相差が変化し、軸受B側のエンコーダ13に変位zB が生じる事に伴って、2個のセンサ19B1 、19B2 の出力信号の位相差が変化する。これに対し、それぞれのエンコーダ13、13にy軸方向の変位yが生じても、各被検出面と各検出部との間隔が変化するだけで、上記各位相差は変化しない。更に、それぞれのエンコーダ13、13にx軸方向の変位xが生じても、やはり上記各位相差は変化しない。従って、本例の場合には、これら各位相差に基づいて、それぞれのエンコーダ13、13の変位zA 、zB を検出できる為、上記ハブ4の中心(上記両エンコーダ13、13間の幾何中心)Oの変位zと、このハブ4のx軸回りの傾きφx を求める事ができる。
具体的には、上記各エンコーダ13、13の被検出面のピッチ円直径(PCD)をdとし、これら各被検出面の全周に配置するS極とN極との対の数(1回転当たりの上記各センサの出力信号のパルス数)をnとし、上記各被検出面同士の間隔(スパン)をLとし(これらd、n、Lの意味に就いては、以降の実施の形態の各例に於いても同様)、上記2個のセンサ19A1 、19A2 の出力信号のパルスエッジ時間差Δt(位相差)をパルス周期Tで除した値Δt/T(位相差比)をεA1−A2 とし、上記2個のセンサ19B1 、19B2 の出力信号の位相差比をεB1−B2 と定義すると、上記ハブ4の中心Oの変位zと、このハブ4の傾きφx とは、それぞれ次の(1)〜(2)式で表される。
Figure 0004957357
Figure 0004957357
従って、これら(1)〜(2)式を演算器21に計算させる事により、上記ハブ4の中心Oの変位zと、このハブ4の傾きφx とを求める事ができる。
又、本例の対象となる、自動二輪車用の回転支持装置の場合、上記ハブ4の中心Oの変位zと、このハブ4と前記軸部材3との間に作用するz軸方向のラジアル荷重Fzとの間、並びに、このハブ4の傾きφx と、このハブ4と上記軸部材3との間に作用する、車輪を構成するタイヤの接地面から入力されるy軸方向のアキシアル荷重Fy(若しくはこのアキシアル荷重Fyに基づいて発生するx軸回りのモーメントMx)との間には、それぞれ十分に安定した相関関係が成立する。この理由は、本例の様な、予圧が付与されていない回転支持装置の場合でも、1対の転がり軸受5、5(軸受A、B)のラジアル隙間がアキシアル隙間に比べて十分に小さい事、並びに、これら両転がり軸受5、5に常に車体重量等に基づくラジアル荷重Fzが作用している事から、上記両エンコーダ13、13のラジアル変位が、上記ラジアル荷重Fz及び上記アキシアル荷重Fy(モーメントMx)と無関係には変動しにくくなる為である。従って、本例の場合には、上記演算器21により、上記ハブ4の中心Oの変位zに基づいて、上記ラジアル荷重Fzを精度良く算出できる。これと共に、上記ハブ4の傾きφx に基づいて、上記アキシアル荷重Fy(モーメントMx)を精度良く算出できる。尚、上記各相関関係は、転がり軸受ユニットの分野で広く知られている弾性接触理論等に基づいて計算により求められる他、実験(出荷時試験)によっても求められる。
尚、以上に述べた様に、本例の場合には、軸受A側の2個のセンサ19A1 、19A2 の出力信号の位相差と、軸受B側の2個のセンサ19B1 、19B2 の出力信号の位相差とを測定するだけで良く、双方の側を跨いだセンサ間の位相差を測定する必要がない。この為、双方の側のエンコーダ13、13や外輪7、7を組み付ける際の回転角度位置を規制して、双方の側を跨いだセンサ間の初期位相差を所定の大きさに設定すると言った作業を行わずに済む。従って、その分だけ、組み付けを容易に行なえる。
[実施の形態の第2例]
次に、図4は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13の被検出面に対する各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部の対向位置が、上述した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、上記1対のエンコーダ13、13の被検出面のうち、z軸上で径方向反対側となる2個所位置(θ=0度、180度の位置)にそれぞれ1個ずつ、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部を対向させている。言い換えれば、上述した実施の形態の第1例との比較で、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部を、それぞれ90度ずれた位置(90度座標変換した位置)に対向させている。この為、本例の場合には、上述した実施の形態の第1例の場合と同様の原理で、軸部材3に対するハブ4(図2参照)の中心Oの変位xと、このハブ4のz軸回りの傾きφz とを算出できる。更に、このハブ4の中心Oの変位xに基づいて、このハブ4と上記軸部材3との間に作用するx軸方向のラジアル荷重Fxを精度良く算出できる。これと共に、上記ハブ4の傾きφz に基づいて、このハブ4と上記軸部材3との間に作用するz軸回りのモーメントMzを精度良く算出できる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
次に、図5は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13の被検出面に対向させるセンサ19A1 〜19A3 、19B1 〜19B3 の検出部の個数が、前述の図1〜3に示した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、上記1対のエンコーダ13、13の被検出面のうち、円周方向等間隔の3個所位置(θ=60度、180度、300度の位置)にそれぞれ1個ずつ、上記各センサ19A1 〜19A3 、19B1 〜19B3 の検出部を対向させている。この様に構成する本例の場合、軸部材3とハブ4との間に外力が作用して、上記両エンコーダ13、13にラジアル変位が生じると、これに伴って、上記各センサ19A1 〜19A3 、19B1 〜19B3 の出力信号の位相がずれる。ここで、この位相のずれを位相差比εで表し、上記各エンコーダ13、13のx軸方向、z軸方向のラジアル変位をそれぞれX、Zとする。この場合に、上記位相差比εは、次の(3)式で表される。
Figure 0004957357
又、ここで、軸受A側のエンコーダ13のx軸方向、z軸方向のラジアル変位をそれぞれxA 、zA とし、軸受B側のエンコーダ13のx軸方向、z軸方向のラジアル変位をそれぞれxB 、zB とする。そして、これら各ラジアル変位xA 、zA 、xB 、zB により生じる、それぞれが2個のセンサの出力信号同士の間の位相差比である、上記両センサA2 、A1 間の位相差比εA2−A1 と、上記両センサA2 、A3 間の位相差比εA2−A3 と、上記両センサB2 、B1 間の位相差比εB2−B1 と、上記両センサB2 、B3 間の位相差比εB2−B3 とは、それぞれ上記(3)式に基づいて、次の(4)〜(7)式で表す事ができる。
Figure 0004957357
Figure 0004957357
Figure 0004957357
Figure 0004957357
これら(4)〜(7)式の関係より、上記各エンコーダ13、13のラジアル変位(xA 、zA )、(xB 、zB )は、それぞれ次の(8)〜(9)式により算出できる。
Figure 0004957357
Figure 0004957357
又、この様に各エンコーダ13、13のラジアル変位(xA 、zA )、(xB 、zB )が求まれば、上記ハブ4の中心Oの変位x、z及び傾きφx 、φz は、それぞれ次の(10)〜(13)式により算出できる。
Figure 0004957357
Figure 0004957357
Figure 0004957357
Figure 0004957357
更に、本例の場合も、上記ハブ4の中心Oの変位xに基づいて、このハブ4と上記軸部材3(図2参照)との間に作用するラジアル荷重Fxを、このハブ4の中心Oの変位zに基づいて、このハブ4と上記軸部材3との間に作用するラジアル荷重Fzを、このハブ4の傾きφx に基づいて、このハブ4と上記軸部材3との間に作用するモーメントMxを、このハブ4の傾きφz に基づいて、このハブ4と上記軸部材3との間に作用するモーメントMz(アキシアル荷重Fy)を、それぞれ精度良く算出できる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
尚、上述した実施の形態の第3例では、3個のセンサ19A1 〜19A3 (19B1 〜19B3 )の検出部の円周方向の配置を等間隔としたが、等間隔でなくても、具体的な配置の仕方に合わせて上記(4)〜(9)式を修正すれば、上述した変位、傾き、荷重、モーメントを求められる。
[実施の形態の第4例]
次に、図6は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13の被検出面に対向させるセンサ19A1 、19B1 の検出部の個数が、前述の図1〜3に示した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、上記1対のエンコーダ13、13の被検出面のうち、x軸上の1個所位置(θ=90度の位置)にそれぞれ1個ずつ、上記各センサ19A1 、19B1 の検出部を対向させている。
この様に構成する本例の場合には、これら両センサ19A1 、19B1 の出力信号同士の間の位相差に基づいて、軸部材3に対するハブ4(図2参照)のx軸回りの傾きφx を求められる。即ち、本例の場合には、上記軸部材3に対する上記ハブ4の傾きφx が生じる事に伴って、軸受A側のエンコーダ13と、軸受B側のエンコーダ13とが、z軸方向に関して互いに逆向きに変位する。この結果、上記両センサ19A1 、19B1 の出力信号の位相差が変化する。これに対し、上記軸部材3に対して上記ハブ4(上記両エンコーダ13、13)に変位xが生じても、上記位相差は変化しない。又、上記軸部材3に対する上記ハブ4(上記両エンコーダ13、13)にアキシアル方向の変位y又はz軸回りの傾きφz が生じても、各被検出面と各検出部との間隔が変化するだけで、上記位相差は変化しない。又、上記軸部材3に対して上記ハブ4(上記両エンコーダ13、13)にz軸方向の変位zが生じても、上記両センサ19A1 、19B1 の出力信号の位相がそれぞれ同じ向きに同じ大きさだけ変化するだけで、上記位相差は変化しない。従って、本例の場合には、この位相差に基づいて、上記ハブ4の傾きφx を(他の方向の変位や傾きの影響を受けずに)精度良く求める事ができる。
具体的には、上記2個のセンサ19A1 、19B1 の出力信号の位相差比をεB1−A1 と定義すると、上記ハブ4の傾きφx は、次の(14)式により求める事ができる。
Figure 0004957357
更に、このハブ4の傾きφx に基づいて、上記軸部材3とこのハブ4との間に作用するアキシアル荷重Fy(モーメントMx)を精度良く算出できる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
尚、以上に述べた様に、本例の場合には、軸受A側のセンサ19A1 の出力信号と、軸受B側のセンサ19B1 の出力信号との間に存在する位相差を測定する必要がある。この為、双方の側のエンコーダ13、13や外輪7、7(図2参照)を組み付ける際の回転角度位置を規制して、上記両センサ19A1 、19B1 の出力信号の初期位相差を所定の大きさに設定する必要がある。この場合に、上記回転角度位置を規制する方法として、例えば、上記各外輪7、7に対して上記各エンコーダ13、13を、上記ハブ4に対してこれら各外輪7、7を、それぞれ所望の回転角度位置で嵌合できる様にする為のキー係合部等のガイドを設ける方法を採用できる。或は、本例の構造とは異なるが、1対のエンコーダを一体化すると共に、1対の被検出面同士の特性変化の位相を調整したものを、上記ハブ4に嵌合固定する方法を採用する事もできる。
[実施の形態の第5例]
次に、図7は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13の被検出面に対する各センサ19A1 、19B1 の検出部の対向位置が、上述した実施の形態の第4例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、上記1対のエンコーダ13、13の被検出面のうち、z軸上の1個所位置(θ=180度の位置)にそれぞれ1個ずつ、上記各センサ19A1 、19B1 の検出部を対向させている。言い換えれば、上述した実施の形態の第4例との比較で、上記各センサ19A1 、19B1 の検出部を、それぞれ90度ずれた位置(90度座標変換した位置)に対向させている。この為、本例の場合には、上述した実施の形態の第4例の場合と同様の原理で、軸部材3に対するハブ4(図2参照)の、z軸回りの傾きφz を精度良く算出できる。更に、このハブ4の傾きφz に基づいて、これら軸部材3とハブ4との間に作用するモーメントMzを精度良く算出できる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第6例]
次に、図8は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、上述した実施の形態の第4例の構造と第5例の構造とを組み合わせた構造を採用している。即ち、本例の場合には、中立状態で、1対のエンコーダ13、13の被検出面のうち、x軸上の1個所位置(θ=90度の位置)と、z軸上の1個所位置(θ=180度の位置)とに、それぞれ1個ずつ、各センサ19A1 、19A2 、19B1 、19B2 の検出部を対向させている。この様に構成する本例の場合には、上述した実施の形態の第4〜5例の場合と同様の原理で、軸部材3に対するハブ4(図2参照)の、上記x軸回りの傾きφx と、上記z軸回りの傾きφz とを、精度良く算出できる。更に、このハブ4の傾きφx と傾きφz とに基づいて、それぞれ上記軸部材3とこのハブ4との間に作用するアキシアル荷重Fy(モーメントMx)とモーメントMzとを精度良く算出できる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
尚、上述した実施の形態の第6例の場合には、上記ハブ4の中心Oに変位x又は変位zが生じる事に伴って、軸受A側の2個のセンサ19A1 、19A2 間の位相差(位相差比εA1−A2 )と、軸受B側の2個のセンサ19B1 、19B2 間の位相差(位相差比εB1−B2 )とが、それぞれ変化する。但し、これら各位相差は、上記双方の変位x、zに伴って変化する。この為、これら各位相差から、これら双方の変位x、zを分離して測定する事はできない。但し、使用状態で、これら双方の変位x、zのうちの何れか一方の変位のみが発生する用途であれば、上記各位相差から当該変位を測定する事ができる。例えば、使用状態で、上記変位xが0となる用途では、上記変位zを、次の(15)式により算出できる。
Figure 0004957357
更に、この変位zから、上記軸部材3とハブ4との間に作用するラジアル荷重Fzを求める事ができる。
[実施の形態の第7例]
次に、図9は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、軸受B側のエンコーダ13の被検出面に対向させるセンサの個数が、前述の図1〜3に示した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、軸受A側のエンコーダ13の被検出面には、x軸上で径方向反対側となる2個所位置(θ=90度、270度の位置)にそれぞれ1個ずつ、各センサ19A1 、19A2 の検出部を対向させている。これに対し、軸受B側のエンコーダ13の被検出面には、x軸上の1個所位置(θ=90度の位置)にのみ、1個のセンサ19B1 の検出部を対向させている。
この様に構成する本例の場合には、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 の出力信号同士の間の位相差に基づいて、軸部材3に対するハブ4の中心O(図2参照)の変位zと、このハブ4の、x軸回りの傾きφx とを求められる。即ち、本例の場合には、前述の図6に示した実施の形態の第4例の場合と同様、軸受A側と軸受B側との円周方向同位置に対向する2個のセンサ19A1 、19B1 間の位相差(位相差比εB1−A1 )に基づいて、上記x軸回りのハブ4の傾きφx を求められる。又、前述の図1〜3に示した実施の形態の第1例の場合と同様、軸受A側の2個のセンサ19A1 、19A2 間の位相差(位相差比εA1−A2 )に基づいて、軸受A側のエンコーダ13の、z軸方向の変位zA を求められる。この為、この変位zA と上記傾きφx とに基づいて、上記ハブ4の中心Oの、z軸方向の変位zを求められる。具体的には、この変位zを、次の(16)式により算出できる。
Figure 0004957357
更に、この変位zから、上記軸部材3とハブ4との間に作用するラジアル荷重Fzを、上記傾きφx から、これら軸部材3とハブ4との間に作用するアキシアル荷重Fy(モーメントMx)を、それぞれ求める事ができる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第8例]
次に、図10は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13の被検出面に対する各センサ19A1 、19A2 、19B1 の検出部の対向位置が、上述した実施の形態の第7例の場合と異なる。即ち、本例の場合には、中立状態で、軸受A側のエンコーダ13の被検出面のうち、z軸上で径方向反対側となる2個所位置(θ=0度、180度の位置)にそれぞれ1個ずつ、各センサ19A1 、19A2 の検出部を対向させている。これと共に、軸受B側のエンコーダ13の被検出面のうち、z軸上の1個所位置(θ=180度の位置)に、1個のセンサ19B1 の検出部を対向させている。言い換えれば、上述した実施の形態の第7例との比較で、上記各センサ19A1 、19A2 、19B1 の検出部を、それぞれ90度ずれた位置(90度座標変換した位置)に対向させている。この為、本例の場合には、上述した実施の形態の第7例の場合と同様の原理で、軸部材3に対するハブ4(図2参照)の中心Oの、x軸方向の変位xと、このハブ4の、z軸回りの傾きφz とを算出できる。更に、このハブ4の中心Oの変位xに基づいて、上記軸部材3とこのハブ4との間に作用するラジアル荷重Fxを、上記ハブ4の傾きφz に基づいて、上記軸部材3とこのハブ4との間に作用するモーメントMzを、それぞれ求められる。その他の部分の構成及び作用は、前述の図1〜3に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第9例]
次に、図11は、やはり請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の場合には、1対のエンコーダ13、13を、それぞれハブ4の軸方向両端寄り部分に内嵌固定している。又、円管状の間座9の軸方向中央部の上面には、演算器21(図1参照)を設置していない。本例の場合には、この演算器21を、車体側の一部(例えば、ABSコントローラの近傍や、このABSコントローラの内部等)に設置している。又、本例の場合には、各センサ19A1 、19B1 に接続した図示しないケーブル(これら各センサ19A1 、19B1 の出力信号を、上記演算器21や上記ABSコントローラに送信する信号ケーブル)を、上記間座9に形成した通孔23、及び、軸部材3に形成した溝部22を通じて外部に引き出し、車体側の各種装置(例えば、上記演算器21や上記ABSコントローラ等)に接続できる様にしている。又、本例の場合には、上記両エンコーダ13、13を、予め上記ハブ4に内嵌固定する構造を採用している為、これら両エンコーダ13、13の円周方向の位相合わせを容易に行なえる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1〜8例の場合と同様である。
尚、上述した各実施の形態では、各センサの出力信号同士の間の初期位相差を0に設定している。但し、これら各センサ間の初期位相差を所定の大きさに設定すれば、使用時に、これら各センサ間で、出力信号のパルスエッジタイミングが逆転する(パルスエッジの追い越しが起こる)事を防止できる。この為、この逆転の有無を見張る事なく、上記各センサ間の位相差を正常に検出できる。更にこの場合、使用状態で、それぞれの位相が互いに一致しない、複数個のセンサの出力信号のパルス波形を利用(これら複数個のセンサの出力信号のパルス波形の逓倍処理を実施したものを利用)して、ABSによる車輪のスリップ率制御を行なえば、1個のセンサの出力信号のパルス波形のみを利用してスリップ制御を行なう場合に比べて、このスリップ制御を的確に行なえる。
又、上述した各実施の形態では、エンコーダを永久磁石製とすると共に、このエンコーダの被検出面に設ける第一特性部をS極に着磁した部分とし、第二特性部をN極に着磁した部分とする構成を採用している。但し、本発明を実施する場合には、エンコーダを単なる磁性金属板製とすると共に、このエンコーダの被検出面に設ける第一特性部を透孔(又は凹部)とし、第二特性部を柱部(又は凸部)とする構成を採用する事もできる。この様な構成を採用する場合には、各センサ側に永久磁石を組み込む。
又、上述した各実施の形態では、複列の転がり軸受部に予圧が付与されていない回転支持装置に本発明を適用した。但し、本発明は、複列の転がり軸受部に予圧が付与されている回転支持装置に適用する事もできる。この場合には、複列の転がり軸受部としてそれぞれ、前述の図2、11に示した様な深溝型玉軸受(転がり軸受5)を使用しても良いし、或はアンギュラ型玉軸受を使用して、複数個の玉に予圧を積極的に付与しても良い。
更に、上述した各実施の形態では、各センサ間の位相差に基づいてハブ4の変位や傾きを算出した後、この変位や傾きに基づいて、軸部材3とハブ4との間に作用する外力を算出する構成を採用している。但し、この外力の測定のみが目的であれば、上記変位や傾きを算出せずに、上記各センサ間の位相差に基づいて直接、上記外力を求める事もできる。この場合には、実際に外力を負荷して行なう出荷時試験によって、この外力と上記各センサ間の位相差との関係を調べておき、この関係を利用する。又、上述した各実施の形態では、内径側部材が静止部材となり、外径側部材が回転部材となる構造を採用した。但し、本発明は、内径側部材が回転部材となり、外径側部材が静止部材となる構造にも適用できる。
本発明は、オートバイ(自動二輪車)の車輪用の回転支持装置に限らず、2列の転がり軸受部を有する各種の回転支持装置{好ましくは、これら2列の転がり軸受部の間隔(スパン)が、これら2列の転がり軸受部を構成する複数個の転動体のピッチ円直径よりも大きい回転支持装置}に適用可能である。例えば、工作機械用のスピンドル軸をハウジングの内側に回転自在に支持する回転支持装置にも適用可能である。工作機械では、熱膨張による各構成部材の寸法変化が加工精度に影響し、又、被加工物への押し当て力も加工精度に影響する。この為、スピンドル軸の変位及び傾きや、スピンドル軸に作用する外力を測定し、これらの測定値を工作機械の制御器にフィードバックする事で、高精度加工を実現できる。
本発明の実施の形態の第1例を、自動二輪車に組み付けた状態で示す略断面図。 同じく、自動二輪車に組み付けていない状態で示す断面図。 1対のエンコーダ本体と各センサとを、軸方向に関して同じ側から見た投影図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図。 同第3例を示す、図3と同様の図。 同第4例を示す、図3と同様の図。 同第5例を示す、図3と同様の図。 同第6例を示す、図3と同様の図。 同第7例を示す、図3と同様の図。 同第8例を示す、図3と同様の図。 同第9例を示す、図2と同様の図。
1 車輪
2 フロントフォーク
3 軸部材
4 ハブ
5 転がり軸受
6 内輪
7 外輪
8 玉
9 間座
10 環状部材
11 段差面
12 シールリング
13、13a エンコーダ
14 芯金
15 エンコーダ本体
16 小径段部
17 円筒部
18 円輪部
19A1 〜19A3 、19B1 〜19B3 センサ
20 支持部材
21 演算器
22 溝部
23 通孔

Claims (4)

  1. 回転支持装置と状態量測定装置とを備え、
    このうちの回転支持装置は、静止側周面に1対の静止側軌道を直接又は他の部材を介して形成した、使用時にも回転しない静止部材と、回転側周面に1対の回転側軌道を直接又は他の部材を介して形成した、使用時に回転する回転部材と、上記各静止側軌道と上記各回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備えたものであり、
    上記状態量測定装置は、上記回転部材のうち軸方向に離隔した2個所位置にそれぞれ1個ずつ、直接又は他の部材を介して支持固定された1対のエンコーダと、使用時にも回転しない部分に支持固定されたセンサ装置と、演算器とを備え、
    このうちの1対のエンコーダはそれぞれ、上記回転部材と同心で円輪状の被検出面を、軸方向側面に有し、これら両被検出面の特性を円周方向に関して交互に且つ互いに同じピッチで、且つ、これら両被検出面の特性変化の位相がこれら両被検出面の幅方向に関しては変化しない状態で変化させており、
    上記センサ装置は、上記1対のエンコーダのうちの一方のエンコーダの被検出面に検出部を、軸方向に対向させた1乃至複数個のセンサと、他方のエンコーダの被検出面に検出部を、軸方向に対向させた1乃至複数個のセンサとを備えたもので、これら各センサはそれぞれ、上記各被検出面のうち自身の検出部を対向させた部分の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
    互いに直交するx軸、y軸、z軸から成る三次元直交座標系のうちのy軸を上記静止部材の中心軸に一致させた場合に、上記演算器は、上記各センサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、上記静止部材に対する上記回転部材の、x軸方向の変位xと、y軸方向の変位yと、z軸方向の変位zと、x軸回りの傾きφx と、z軸回りの傾きφz とのうちの、少なくとも1つの変位若しくは傾きを算出する機能を有するものである、
    回転支持装置の状態量測定装置。
  2. 演算器が、自身が算出した静止部材に対する回転部材の変位若しくは傾きに基づき、これら静止部材と回転部材との間に作用する外力を算出する機能を有する、請求項1に記載した回転支持装置の状態量測定装置。
  3. 使用状態で、それぞれの位相が互いに一致しない、複数個のセンサの出力信号のパルス波形を、他の装置の制御を実行する為に利用可能とした、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転支持装置の状態量測定装置。
  4. 回転支持装置が、自動二輪車の車輪用の回転支持装置であり、使用状態で、静止部材が自動二輪車の車体に支持固定される部材となり、回転部材が車輪を支持固定する部材又はこの車輪の一部を構成する部材となる、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した回転支持装置の状態量測定装置。
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