JP5938304B2 - 排水の処理方法および排水処理装置 - Google Patents
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本発明に係る排水処理装置および排水処理方法の一実施形態について、図1に基づいて説明すれば以下の通りである。
排水10は、まず浮上分離槽11に送られる。排水10を浮上分離槽11において滞留させることにより、排水10に含まれるポリマー由来のSSを浮上分離する。浮上分離槽11としては、従来公知の一般的な浮上分離槽を用いることができる。例えば、浮上スカムを掻き取るためのスクレーパーが設けられている浮上分離槽を用いることができる。なお、浮上分離槽11は、微細気泡を発生させる加圧水発生装置を備えるような加圧型の浮上分離槽である必要はない。浮上分離槽11における滞留時間は、排水10の性状に応じて適宜決定すればよい。
第2浮上分離工程では、浮上分離槽11から送られたSSスカム18を浮上分離槽12において滞留させることにより、SSスカム18からSSを浮上分離する。浮上分離したSSは、SSスカム18よりもSSが濃縮されたSSスカム20として回収される。浮上分離槽12としては、従来公知の一般的な浮上分離槽を用いることができ、浮上分離槽11と同じ構成であってもよい。浮上分離槽12における滞留時間は、SSスカム18に応じて適宜決定すればよい。
乾燥工程では、浮上分離槽12から送られたSSスカム20を真空乾燥することにより、ポリマー由来のSSウェット28を生成する。真空乾燥機13としては、減圧可能な乾燥機であればよく、従来公知の真空乾燥機を用いることができる。なかでも、攪拌パドルなどの攪拌装置が配設された、攪拌型の真空乾燥機を用いることが好ましい。乾燥時間および乾燥温度は、SSスカム20の性状および目的とするSSウェットの性状に応じて適宜決定すればよい。SSスカム20には様々な粒径のポリマー由来のSSが含まれている。そのため、フィルターろ過による乾燥を行うと、フィルターの目詰まりが生じやすくなる。真空乾燥機を用いることにより、このような問題を回避することができるため、効率よくSSウェットを生成することができる。本工程で得られるSSウェット28は、再生プラスチックの原料として好適に再利用できる。
浮上分離槽11において排水10からSSを取り除くが、得られる清澄水19にはSSが残留している。そこで、清澄水19は砂ろ過器14に送られ、ろ過される。これにより、清澄水19に残留していたSSがろ材に捕集される。その結果、SS含量が低減している処理水23がろ液として得られる。すなわち、SSが極めて少ない(例えば、20mg/L以下)処理排水を得ることができる。
加圧浮上分離工程では、逆洗水22を加圧浮上分離槽15に滞留させることにより、逆洗水22に含まれているSSを加圧浮上分離する。ここで「加圧浮上分離する」とは、微細気泡を発生させる加圧水発生装置を備える加圧浮上分離槽において浮上分離することをいう。加圧浮上分離槽は、従来公知の一般的な加圧浮上分離槽を用いることができる。加圧水発生装置は、加圧浮上処理水の一部を還流し、これに圧縮空気を溶解させて加圧浮上分離槽に注入する方法を採用するものが一般的であるが、これに限定されるものではない。
加圧浮上分離工程において逆洗水22からSSスカム26を取り除くことにより得られる清澄水24にはSSが少なからず残留している。そこで、清澄水24は砂ろ過器16に送られ、ろ過される。これにより、清澄水24に残留していたSSが砂ろ過器16のろ材に捕集される。砂ろ過器16としては、砂ろ過器14と同様の構成の砂ろ過器を使用できる。
中和工程では、一連の工程によりSSの量が少なくなった処理水を放流するために、中和処理を行う。中和処理を行う最終中和槽は、従来公知の一般的な中和槽を用いることができる。例えば、pHを調整するための酸またはアルカリを供給する供給手段が備わっていてもよく、最終中和槽内のpHを確認するためのpH確認手段が備わっていてもよい。中和処理のために供給する酸およびアルカリに特に制限はなく、塩酸および水酸化ナトリウムなど、中和処理において一般的に使用されているものを用いればよい。中和処理がなされた処理排水29は、放流点から外部に放流される。以上の一連の工程により、処理排水29はSSが極めて少ない処理排水であるため、放流点近隣の環境への影響を最小限にすることができる。
本発明に係る排水処理装置および排水処理方法の他の実施形態について、図2に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前述の実施の形態で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
排水30は、まず浮上分離槽11に送られる。排水30を浮上分離槽11において滞留させることにより、排水30に含まれるポリマー由来のSSを浮上分離する。浮上分離槽11における滞留時間は、排水30の性状に応じて適宜決定すればよい。
第2浮上分離工程では、浮上分離槽11から送られたSSスカム37を浮上分離槽12において滞留させることにより、SSスカム37からSSを浮上分離する。浮上分離したSSは、SSスカム37よりもSSが濃縮されたSSスカム38として回収される。浮上分離槽12における滞留時間は、SSスカム37の性状に応じて適宜決定すればよい。
乾燥工程では、浮上分離槽12から送られたSSスカム38を真空乾燥することにより、ポリマー由来のSSウェット39を生成する。本工程で得られるSSウェット39は、再生プラスチックの原料として好適に再利用できる。
加圧浮上分離工程では、浮上分離槽11から送られてくる清澄水40を加圧浮上分離槽15に滞留させることにより、清澄水40に残留するSSを加圧浮上分離する。加圧浮上分離したSSは、SSスカム42として浮上分離槽12に送られる。これにより、加圧浮上分離槽15において加圧浮上分離したSSは、本処理方法の同じ実施サイクルまたは別サイクルにおける第2浮上分離工程において、SSスカム37とともに浮上分離に供される。これにより、第1分離工程において回収できなかったSSについても、第2分離工程に供されるSSスカムに含ませることができ、最終的により多くのSSウェットを得ることができる。
加圧浮上分離工程において清澄水40からSSを取り除くことにより得られる清澄水43にはSSが少なからず残留している。そこで、清澄水43は砂ろ過器16に送られ、ろ過される。これにより、清澄水43に残留していたSSが砂ろ過器16のろ材に捕集される。その結果、SS含量が低減している処理水45がろ液として得られる。処理水45は、嫌気性生物処理槽32に送られる。
砂ろ過器16から送られてくる処理水45は、嫌気性生物処理槽32において、嫌気的な生物処理に供される。嫌気性生物処理槽32は、排水を嫌気的に生物処理するための処理槽であり、有機物の分解効率に優れるものであれば、従来公知の嫌気性生物処理方式の処理槽が使用できる。嫌気性生物処理槽32としては、酸生成反応とバイオガス生成反応とを同一槽で行う1槽式でも、各反応を別の槽で行う2層式でもよい。また、嫌気性生物処理槽32は浮遊方式、汚泥床方式など任意の方式でよく、また、担体添加型、造粒汚泥型であってもよい。嫌気性生物処理槽32における滞留時間は、処理水45の性状に応じて適宜決定すればよい。
嫌気性生物処理槽32から送られてくる処理水46は、好気性生物処理槽33において、好気的な生物処理に供される。好気性生物処理槽33は、排水を好気的に生物処理するための処理槽であり、有機物の分解効率に優れるものであれば、従来公知の好気性生物処理方式の処理槽が使用できる。好気性生物処理槽33としては、例えば、活性汚泥を槽内に浮遊状態で保持する浮遊方式、活性汚泥を担体に付着させて保持する生物膜方式などを採用することができる。好気性状態で微生物的に有機物を分解する好気性生物処理槽33としては、槽内に酸素(空気)を供給するための散気管、曝気機などの酸素ガス供給手段が設けられた曝気槽を用いることができる。好気性生物処理槽33は1槽式でも、多槽式でもよく、また、1槽式で槽内に仕切り壁を設けたものでもよい。好気性生物処理槽33における滞留時間は、処理水46の性状に応じて適宜決定すればよい。
好気性生物処理後の処理水47は、生物由来のSS、高分子有機物質およびリンを除去するために、凝集処理される。好気性生物処理後の処理水47の凝集処理には、従来公知の凝集槽34が用いられる。この凝集槽34は1槽のみでもよく、2槽以上を多段に設けたものでもよい。
脱水工程では、沈殿分離工程において得られた凝集沈殿物である凝集汚泥を脱水処理し、含水率が低下した脱水汚泥を生成する。本実施形態では、フィルタープレス36を用いて脱水処理を行っているが、脱水処理を行えるものであればこれにフィルタープレスに限定されるものではない。例えば、ベルトプレス等の他の加圧式脱水機または遠心脱水機等の機械的脱水装置を用いてもよい。フィルタープレス36に送られてきた凝集汚泥50は、含水率が40〜50%となるように脱水される。脱水により得られる脱水汚泥52は、外部に搬送され、埋め立て処理される。
中和工程では、一連の工程によりSSの量が少なくなり、BODcrおよびCOD5の値が小さくなった処理水を放流するために、中和処理を行う。中和処理がなされた処理排水51は、放流点から外部に放流される。以上の一連の工程により、処理排水51はSSが極めて少なく、BODcrおよびCOD5の値が極めて小さい処理排水であるため、放流点近隣の環境への影響を最小限にすることができる。
ポリマー由来のSSを含む低COD排水について、上述の排水処理装置1と同様の構成を有する排水処理装置を用いて排水処理を行った。本実施例で処理したEWCLは、CODcr:200mg/L以下、BOD5:100mg/L以下、SS:平均500mg/L、総リン量(T−P):2mg/L以下の排水である。
ポリマー由来のSSを含む高COD排水について、上述の排水処理装置2と同様の構成を有する排水処理装置を用いて排水処理を行った。本実施例で処理したEWCHは、CODcr:平均4300mg/L、BOD5:平均4000mg/L、SS:1000mg/L、総リン量(T−P):平均70mg/Lの排水である。
12 浮上分離槽(第2浮上分離槽)
13 真空乾燥機(乾燥機)
14 砂ろ過器(第1ろ過器)
15 加圧浮上分離槽
16 砂ろ過器(ろ過器、第2ろ過器)
17 最終中和槽(中和槽)
32 嫌気性生物処理槽
33 好気性生物処理槽
34 凝集槽
35 凝集沈殿槽
36 フィルタープレス
Claims (10)
- ポリマーの製造時に排出される、ポリマー由来の浮遊物質を含む排水の処理方法であって、
上記排水中の上記浮遊物質を第1浮上分離槽において浮上分離する第1分離工程、
上記第1分離工程において分離した上記浮遊物質を第2浮上分離槽において浮上分離する第2分離工程、
上記第2分離工程において分離した上記浮遊物質を真空乾燥する乾燥工程、
上記第1分離工程で得られる処理水を第1ろ過器においてろ過する第1ろ過工程、および、
上記第1ろ過器を逆洗して得られる逆洗水に含まれる上記浮遊物質を加圧浮上分離槽において加圧浮上分離し、分離された上記浮遊物質を上記第2浮上分離槽に送る加圧浮上分離工程を含むことを特徴とする排水の処理方法。 - 上記加圧浮上分離工程で得られる処理水を第2ろ過器においてろ過し、該第2ろ過器を逆洗して得られる逆洗水を上記加圧浮上分離槽に送る第2ろ過工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の排水の処理方法。
- 上記第2分離工程で得られる処理水は、上記加圧浮上分離槽に送られることを特徴とする請求項1または2に記載の排水の処理方法。
- ポリマーの製造時に排出される、ポリマー由来の浮遊物質を含む排水の処理を行う排水処理装置であって、
上記排水中の上記浮遊物質を浮上分離する第1浮上分離槽、
上記第1浮上分離槽から回収した上記浮遊物質を浮上分離する第2浮上分離槽、
上記第2浮上分離槽から回収した上記浮遊物質を真空乾燥する乾燥機、
上記第1浮上分離槽から得られる処理水をろ過する第1ろ過器、および、
上記第1ろ過器を逆洗して得られる逆洗水に含まれる上記浮遊物質を加圧浮上分離する加圧浮上分離槽を含み、
上記第2浮上分離槽では、さらに、上記加圧浮上分離槽から回収した上記浮遊物質を浮上分離することを特徴とする排水処理装置。 - 上記加圧浮上分離槽から得られる処理水をろ過する第2ろ過器をさらに含み、
上記加圧浮上分離槽では、さらに、上記第2ろ過器を逆洗して得られる逆洗水に含まれる上記浮遊物質を加圧浮上分離することを特徴とする請求項4に記載の排水処理装置。 - ポリマーの製造時に排出される、ポリマー由来の浮遊物質を含む排水の処理方法であって、
上記排水中の上記浮遊物質を第1浮上分離槽において浮上分離する第1分離工程、
上記第1分離工程において分離した上記浮遊物質を第2浮上分離槽において浮上分離する第2分離工程、
上記第2分離工程において分離した上記浮遊物質を真空乾燥する乾燥工程、
上記第1分離工程で得られる処理水に残留する上記浮遊物質を加圧浮上分離槽において加圧浮上分離する加圧浮上分離工程、
上記加圧浮上分離工程で得られる処理水をろ過器においてろ過するろ過工程、
上記ろ過工程で得られるろ液に対して嫌気性生物処理を行う嫌気性生物処理工程、
上記嫌気性生物処理工程後の処理水に対して好気性生物処理を行う好気性生物処理工程、および
上記好気性生物処理工程後の処理水に対して凝集剤を添加して、形成される凝集物を沈殿分離する凝集沈殿工程を含むことを特徴とする排水の処理方法。 - 上記ろ過工程後に、上記ろ過器を逆洗して得られる逆洗水を上記加圧浮上分離槽に送ることを特徴とする請求項6に記載の排水の処理方法。
- 上記加圧浮上分離工程では、加圧浮上分離した浮遊物質を上記第2浮上分離槽に送ることを特徴とする請求項6または7に記載の排水の処理方法。
- 上記第2分離工程で得られる処理水は、上記加圧浮上分離槽に送られることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の排水の処理方法。
- ポリマーの製造時に排出される、ポリマー由来の浮遊物質を含む排水の処理を行う排水処理装置であって、
上記排水中の上記浮遊物質を浮上分離する第1浮上分離槽、
上記第1浮上分離槽から回収した上記浮遊物質を浮上分離する第2浮上分離槽、
上記第2浮上分離槽から回収した上記浮遊物質を真空乾燥する乾燥機、
上記第1浮上分離槽から得られる処理水に残留する上記浮遊物質を加圧浮上分離する加圧浮上分離槽、
上記加圧浮上分離槽から得られる処理水をろ過するろ過器、
上記ろ過器からのろ液に対して嫌気性生物処理を行う嫌気性生物処理槽、
上記嫌気性生物処理槽から得られる処理水に対して好気性生物処理を行う好気性生物処理槽、および
上記好気性生物処理槽から得られる処理水に対して凝集剤を添加することにより形成される凝集物を沈殿分離する凝集沈殿槽を含むことを特徴とする排水処理装置。
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