はじめに、本発明に係るイージーオープン型包装用袋の各種実施形態について、添付の図1〜図7を参照して説明する。
本発明に係るイージーオープン型包装用袋として、図1(A)(B)に例示されたものはその一実施形態に関するものである。本発明に係るイージーオープン型包装用袋については、以下において単に「包装用袋」ということがある。
図1(A)(B)に例示された一実施形態の包装用袋において、袋体11は袋表用のフィルム12と袋裏用のフィルム13とを備えたものであって袋状に形成されているものである。両フィルム12・13については、単一のフィルム材からなるものや複数のフィルム材からなるものがある。単一のフィルム材からなる場合の両フィルム12・13はそのフィルム材が袋底部側において二つ折りされている。したがって、両フィルム12・13は袋底部側で連なっている。複数(二枚)のフィルム材からなる場合の両フィルム12・13はその両側部にサイドシール部15・16があり、かつ、その底部や上部(天部)には図1に示されないボトムシール部やトップシール部がある。これも図1には示されていないが、袋体11が底部側に周知の底部ガゼットを備えていることもある。袋体11は、その上端部側に開口部14を有しているものである。袋体11が未使用ないし未利用の段階では、袋底部あるいは袋天部のいずれかが未シール状態にあるので、袋体11にはボトムシール部またはトップシール部がない。袋詰めに際しては周知のとおり、オープン状態の未シール部分から袋体11内に被包装物が詰め込まれ、その袋詰めの後で未シール部分がシールされるものである。一方において、後述するシール体21や開閉具31が開口部14側に設けられている袋体11の場合は、その用途いかんでトップシールが施されないこともある。
袋体11の袋表用フィルム12や袋裏用フィルム13は周知材料からなる。その典型的な一例は合成樹脂製(プラスチック製)のものであり、とくには熱可塑性合成樹脂製のものである。この合成樹脂製のものについては、結晶性であってもよいし非晶性であってもよい。もちろん両フィルム12・13は、これらの合成樹脂製のみに限定されるものではない。この両フィルム12・13の具体的な材料としてはつぎのようなものがある。PE系の一部としては、低密度ポリエチレン・中密度ポリエチレン・高密度ポリエチレン・リニヤー低密度ポリエチレン・メタロセンポリエチレン・エチレン−酢酸ビニル共重合フィルム(EVA)・PE系シーラントフィルムなどをあげることができる。PP系の一部としては、無延伸ポリプロピレンや二軸延伸ポリプロピレンをあげることができる。ナイロン(登録商標)系すなわちポリアミド系の一部としては、延伸ポリアミド・Kコートポリアミド・無延伸ポリアミドなどをあげることができる。その他の合成樹脂としては、ポリ塩化ビニリデン・ポリエチレンテレフタレート・ポリエステル・ポリビニルアルコール・ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン・ポリアクリロニトリル・ポリスチレン・スチロールなどをあげることができる。両フィルム12・13の材料としてはさらに、合成樹脂以外の材料も採用することができる。その材料は、紙・セロハン・織布・不織布・アルミニウム箔などであったりするが、このような非合成樹脂系材料は、合成樹脂系材料とのコーティング態様のものや合成樹脂系材料とのラミネート態様のものが用いられる。その中には、アルミ蒸着フィルムや共押出フィルムなども含まれる。かかる両フィルム12・13については、包装用袋の製造条件・用途・その他に鑑み、それらを満足させる材料のものが上記に掲げたうちから選択される。両フィルム12・13について加工上の観点からいうと、これは袋の製造に際してヒートシール手段にかけられることが多いものである。したがって、このような事情を考慮に入れるとき、両フィルム12・13としては、ヒートシール性(熱溶着性)の良好な熱可塑性合成樹脂製の両フィルム12・13が選択されることとなる。これ以外に関していうと、上記合成樹脂系材料と上記非合成樹脂系材料とが積層された両フィルム12・13であって、それがフィルム貼り合わせの際にヒートシール手段にかけられるものであるときは、少なくともそのフィルム内面側にヒートシール性保持のための合成樹脂系材料層が存在していることとなる。
図1(A)(B)を参照して明らかなように、袋体11内の開口部側には複数の層を有する積層構造のシール体21が設けられている。この積層構造のシール体21には少なくとも低接着層22と高接着層23とが含まれている。したがって、シール体21の例で層数が最も少ないものは二層の積層構造となり、それ以外のシール体21では三層以上の積層構造となる。ちなみに図1に例示されたシール体21は三層の積層構造をしている。その三層のうちでは、一つが横長テープ状の低接着層22、他の一つが横長テープ状の高接着層23、さらに他の一つが横長テープ状の中間層24である。この三つの層は、低接着層22と高接着層23との間に中間層24を介在させた態様でこれらが積層一体化されている。シール体21の各層について、それぞれ一層あたりの厚さは、一例として100〜200μm程度である。この場合、三層の積層構造からなるシール体21の合計厚さは、約300〜800μm程度になる。場合によっては、各層の合計厚さが300μm未満のシール体21もあり、各層の合計厚さが800μm超過のシール体21もある。一般に、合成樹脂を材料とする積層構造のシール体21は、押出ラミネート法・ドライラミネート法・共押出法のいずれか、または、これら以外のラミネート法、あるいは、これら各方法の併用により作製されるものである。こうしたラミネート法のうちには、ホットメルトラミネート・コーティングポリラミネート・ウェットラミネート・サーマルラミネートなどの各法も含まれる。さらに、非合成樹脂系材料と合成樹脂系材料との組み合わせからなるシール体21の場合は、たとえば、非合成樹脂系材の層の表面に合成樹脂系材料の層が接着形成または塗布形成されて、積層構造のシール体21がつくられることとなる。
上述の低接着層22と高接着層23と中間層24とからなる合成樹脂製のシール体21について、それぞれの層の材料を以下に詳述する。
低接着層22はシール体21の易剥離性(弱接着性)を決定づける主要な要素である。シール体21の低接着層22が合成樹脂製であり、かつ、これと弱接着対応する一方のフィルム(12または13)の内面側も合成樹脂製であるとき、合成樹脂製フィルム(12または13)の内面に対する合成樹脂製の低接着層22は、層間剥離タイプ・凝集剥離タイプ・界面剥離タイプなど、このいずれかの剥離タイプになるように接着されるものである。より具体的にいうと、低接着層22は常温圧着手段(加圧接着手段)とか、熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)とかで相手側に接着されるものである。常温圧着手段で合成樹脂製フィルム(12または13)の内面に接着される低接着層22は、代表的一例として合成樹脂製で粘着剤系の接着材料からなる。熱溶着手段で合成樹脂製フィルム(12または13)の内面に接着される低接着層22の場合は、複数の異種高分子がブレンドされたブレンドポリマーを主体にしたものからなる。この後者の低接着層22の場合、層間剥離タイプ・凝集剥離タイプ・界面剥離タイプなどいずれの剥離タイプにするかで、配合するポリマーの組み合わせ(異種のポリマーブレンド)・各ポリマーの配合割合などが設定されて所要のものになる。また、この後者の低接着層22の場合、相手側との接着強度(易剥離性)については、合成樹脂製フィルム(12または13)と同種のポリマーをどの程度含むか、換言すると、そのフィルム(12または13)に対して異種となるポリマーをどの程度含むかでも定まるものである。さらに、この後者の低接着層22の場合は、合成樹脂製フィルムと熱溶着するときの温度・加圧力・加圧時間などを調整することで熱溶着後のその易剥離性を種々変化させることができる。このように、上記後者の低接着層22については、その易剥離性(弱接着性)を決定づけるパラメータが多くあるから、その一部または全部に基づいて易剥離性を設定することとなるが、異種のポリマーブレンドという観点からは、上記両フィルム12・13において熱可塑性合成樹脂として各種掲げたもののうちから、種類の異なる二つの合成樹脂成分、または、種類の異なる三つ以上の合成樹脂成分を含んだものからなる。この低接着層22の具体的な例をあげると、ポリエチレン系の樹脂とポリプロピレン系の樹脂とが適当割合で配合されたもの、ポリエチレン系の樹脂とポリプロピレン系の樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂とが適当割合で配合されたものなどなどであるが、もちろん低接着層22については、この例に限定されるものでなく、既述の熱可塑性合成樹脂のうちから二種以上の樹脂系が選択されてブレンドされるものである。
シール体21における高接着層23の主たる役割は、接着相手のフィルムに対してシール体21を確実かつ安定に定着させることである。したがって高接着層23の材料については、これと接着対応する上記いずれかのフィルム(12または13)に対して強力に接着されるものであるか、または、完全に接着一体化されるものであることが望ましい。ちなみに高接着層23が切着相手のフィルム(12または13)と同一の合成樹脂製であれば、既述の熱溶着手段で高接着層23とフィルム(12または13)とを接着することにより、この両者がほぼ完全に接着一体化されることとなる。このような理由から、高接着層23の材料としては、切着相手のフィルム(12または13)と同一の熱可塑性合成樹脂が用いられる。その際の具体的な熱可塑性合成樹脂は、両フィルム12・13の前記材料説明で述べたものと同じであるので、それを参照することで説明を省略する。
シール体21における中間層24の主な役割は、柔軟性・弾性・剛性・強度・耐熱性・加工安定性・その他を含めたシール体21の物性とくに機械的特性や化学的特性を調整することである。この中間層24の材料についても、低接着層22や高接着層23が熱可塑性合成樹脂製である場合には、熱可塑性合成樹脂が用いられる。中間層24の材料として用いられるものも、両フィルム12・13の前記材料説明として掲げたもののうちから採用される。その具体例をいくつかあげれば、ポリエチレンテレフタレートとかポリイミドとかの熱可塑性合成樹脂である。低接着層22と高接着層23との間に介在される当該中間層24は、単層でもよいし複層でもよいものである。しかしながらこの層数を過剰に増やしたりすりと、コストアップをきたすだけでなく、シール体21のレベルで望ましくない嵩張り・強張りなどが生じる。したがって中間層24の層数は1〜2程度でよい。
積層構造のシール体21は、二層の積層構造であっても、また、三層以上の積層構造であっても、貼り合わせ・コーティング・共押出など、いずれかの手段でつくられてテープ状をしているものである。このようにしてつくられるシール体21が低接着層22と高接着層23とによる二層構造の場合、低接着層22と高接着層23とが弱接着されたものであっても強接着されたものであっても構わない。また、シール体21が低接着層22と高接着層23と中間層24とによる多層構造(三層以上の積層構造)の場合、低接着層22と中間層24とが弱接着されたものであっても強接着されたものであっても構わない。積層構造でテープ状をした当該シール体21の場合、その一方のテープ面に低接着層22の片面(層表面)が露出しており、その他方のテープ面に高接着層23の片面(層表面)が露出しているものである。かかるシール体21における低接着層22や高接着層23の各部は、それぞれが一体形成されているものであるが、これらについては、下記のように区分されていてその役割に応じて機能的に使い分けられるものである。
図1(A)(B)の実施形態において、高接着層23の層表面下部には、袋体11内の両側部間にわたる横長帯状の非接着帯部が一体形成されている。この高接着層23の層表面下部にある非接着帯部は、後述する遊離部23cに該当する。さらに、低接着層22の層表面上部・低接着層22の層表面下部・高接着層23の層表面上部の場合、これらのうちから選択された一つ以上の部位に、袋体内の両側部間にわたる横長帯状の非接着帯部が一体形成されている。これについて図1(A)(B)の例では、低接着層22の層表面上部に非接着帯部22bがあり、低接着層22の層表面下部に非接着帯部22cがあり、さらに高接着層23の層表面上部に非接着帯部23bがある。そしてこの各部を除いた部分が低接着層22や高接着層23の接着帯部22a・23aになる。ここで低接着層22や高接着層23の表面積を一定とした場合、両フィルム12・13の内面に対する低接着層22や高接着層23の剥離強度は、各非接着帯部22b・22c・23bの大きさ(表面積)いかんで定まる。また、この種の非接着帯部(22b・22c・23b)がシール体21にいくつあるかによっても、低接着層22や高接着層23の剥離強度は異なるものである。さらに、非接着帯部(22bおよび/または22c)と接着帯部22aとの境界線がどの部位にあるかによって、低接着層22の剥離時に要する初期荷重の大きさが異なることとなる。このような事項を踏まえた場合、低接着層22や高接着層23にある各非接着帯部22b・22c・23bの表面などは、剥離強度設定用非接着面ということができる。この非接着帯部22b・22c・23bの剥離強度設定用非接着面は、任意の大きさ(表面積)に設定されるものである。具体的一例としては、非接着帯部22b・22c・23bの上下方向の寸法を大小様々に設定されることでその表面積の大きさが決められるものである。これについて、シール体21が非接着帯部22b・22c・23bのうちのいずれか一つまたは二つを具備するというとき、これ以外の非接着帯部は[上下方向の寸法=0]に設定される。換言してこれは、非接着帯部22b・22c・23bのうちのいずれか一つまたは二つが省略される例があるということである。このようにして非接着帯部が省略されるときのシール体21においては、その省略した分だけ接着帯部の領域が相対的に増すこととなる。上記遊離部23cの場合は省略されることがないが、非接着帯部22b・22c・23bの場合と同様に上下方向の寸法が調整される。
上記遊離部も含めた上記各非接着帯部の上下方向の寸法を数式で概念的に表すと、下記(1)〜(4)式のようになる。下記各式の単位は一例において[m]である。ただし、シール体21については、非接着帯部22b・22c・23bがすべて[0]になるような選択肢をとることがない。
[1≦(非接着帯部22b)]または[1>(非接着帯部22b)≧0]……(1)
[1≦(非接着帯部22c)]または[1>(非接着帯部22b)≧0]……(2)
[1≦(非接着帯部23b)]または[1>(非接着帯部22b)≧0]……(3)
[0≦(遊離部23c)]……(4)
図1(A)(B)の実施形態において、シール体21は袋体11内の開口部14側に介在され、かつ、両フィルム12・13の内面と相対的に接着されてその袋体11内に設けられているものである。より詳しく説明すると、シール体21の低接着層22は、その接着帯部22aを介して一方フィルム12の内面に弱接着しており、シール体21の高接着層23は、その接着帯部23aを介して他方フィルム13の内面に弱接着しているのである。それに対して、低接着層22の非接着帯部22b・22cは一方フィルム12の内面と非接着となっており、高接着層23の非接着帯部23bや遊離部23cも他方フィルム13の内面と非接着となっている。
図1(B)を参照して明らかなように、両フィルム12・13に対して一部接着と残部非接着で対応するシール体21の両面、すなわち、低接着層22の層表面や高接着層23の層表面には、接着帯部22a・非接着帯部22b・22c・接着帯部23a・非接着帯部23b・遊離部23cなどに関する上下方向の寸法(上下幅)を示す記号が付されている。その上下幅は、接着帯部22aが[S11]、非接着帯部22bが[S12]、非接着帯部22cが[S13]というものであり、かつ、接着帯部23aが[S21]、非接着帯部23bが[S22]、遊離部23cが[S23]というものである。かかる上下幅を基準にしたシール体各部の態様については、寸法記号S11〜S13・S21〜S23を用いた等式・不等式で示す下記のようなものがある。
[S11〜S13に関して]
S11≧S12≧S13, S11>S13>S12, S12>S11>S13, S12>S13>S11, S13>S11>S12, S13>S12>S11
[(S11)と(S12+S13)に関して]
(S11)≧(S12+S13),(S12+S13)>(S11)
[S21〜S23に関して]
S21≧S12≧S13, S21>S23>S22, S22>S21>S23, S22>S23>S21, S23>S21>S22, S23>S22>S21
[(S21)と(S22+S23)に関して]
(S21)≧(S22+S23),(S22+S23)>(S21)
[S11〜S13とS21〜S23に関して]
S11=S12=S13=S21=S22=S23
異なるn個のものからr個を抽出して一列に並べる順列の数〔nPr〕は、周知の下記公式(5)により求めることができる。
〔nPr〕=n〔n−1〕〔n−2〕・・・・・〔n−r+1〕……(5)
ゆえに、S11〜S13とS21〜S23との(六つ)に基づくものであって、それぞれ異なる不等式の数については、上記公式(5)においてnに[6]を代入し、かつ、rに[6]を代入して演算することで「720通り」となる。この720通りの不等式は、上記公式(5)から導き出せる自明のものであるので、下記にはその一部のみを掲げるだけにとどめるが、本発明におけるS11・S12・S13・S21・S22・S23の寸法設定については、そのうちのいずれかを最大値・中間値・最小値にしたりする720通りの態様がある。
S11>S12>S13>S21>S22>S23,
S12>S11>S13>S21>S22>S23,
S13>S11>S12>S21>S22>S23,
S21>S22>S23>S11>S12>S13,
S22>S21>S23>S11>S12>S13,
S23>S21>S22>S21>S22>S23
[(S11)と(S12+S13)と(S21)と(S22+S23)に関して]
(S11)>(S12+S13)>(S21)>(S22+S23),
(S11)>(S12+S13)>(S21)>(S22+S23),
(S11)>(S21)>(S12+S13)>(S22+S23),
(S11)>(S21)>(S22+S23)>(S12+S13),
(S11)>(S22+S23)>(S12+S13)>(S21),
(S11)>(S22+S23)>(S21)>(S12+S13),
(S12+S13)>(S11)>(S21)>(S22+S23),
(S12+S13)>(S11)>(S22+S23)>(S21),
(S12+S13)>(S21)>(S11)>(S22+S23),
(S12+S13)>(S21)>(S22+S23)>(S11),
(S12+S13)>(S22+S23)>(S11)>(S21),
(S12+S13)>(S22+S23)>(S21)>(S11),
(S21)>(S11)>(S12+S13)>(S22+S23),
(S21)>(S11)>(S22+S23)>(S12+S13),
(S21)>(S12+S13)>(S11)>(S22+S23),
(S21)>(S12+S13)>(S22+S23)>(S11),
(S21)>(S22+S23)>(S11)>(S12+S13),
(S21)>(S22+S23)>(S12+S13)>(S11),
(S22+S23)>(S11)>(S12+S13)>(S21),
(S22+S23)>(S11)>(S21)>(S12+S13),
(S22+S23)>(S12+S13)>(S11)>(S21),
(S22+S23)>(S12+S13)>(S21)>(S11),
(S22+S23)>(S21)>(S11)>(S12+S13),
(S22+S23)>(S21)>(S12+S13)>(S11)
既述のとおり、シール体21の遊離部23cは不可欠のものであるが、シール体21の非接着帯部22b・22c・23bについては、上記のようにすべてを具備する例があるほか、そのうちのいずれか一つのみを具備していたり、そのうちのいずれか二つを具備していたりする例がある。この場合の後者のように、非接着帯部22b・22c・23bのうちのいずれか一つのみを具備する例や非接着帯部22b・22c・23bのうちのいずれか二つを具備する例の場合も、上述した等式や不等式のように、非接着帯部の各上下幅S11〜S13・S21〜S23が設定されるものである。ただし、一つの非接着帯部を具備する例や二つの非接着帯部を具備する例の場合は、上記等式中や上記不等式中に該当しないS11・S13・S21・S22などが存在することとなる。そのような場合、該当しないS11・S13・S21・S22などは記載されていないものとして見なして上記等式や上記不等式を取り扱えばよい。もちろんその場合も、各不等式などは上記を参照せずに上述した公式(5)により新たに順列を求め、その求めたものを参照して接着帯部や非接着帯部の大きさの順位を決めてもよい。
本発明に係るイージーオープン型包装用袋の場合、袋高さ方向における低接着層上辺と高接着層上辺との相対位置や、低接着層下辺と高接着層下辺との相対位置については図示の有無を問わず、つぎの条件を満たすように実施形態になるものである。そのうちの一つとして、低接着層22の上辺と高接着層23の上辺については、袋高さ方向における当該両上辺の高さが互いに等しいという条件と、当該両上辺の高さが互いに異なるという条件とのうち、そのいずれか一方の条件が満たされるものである。他の一つとして、袋高さ方向における低接着層22の下辺と高接着層23の下辺については、当該両下辺の高さが互いに等しいという条件と、当該両下辺の高さが互いに異なるという条件とのうち、そのいずれか一方の条件が満たされるものである。
シール体21について、一方のフィルム12の内面と弱接着している低接着層22の接着帯部22aには易剥離性がある。これに対し、他方のフィルム13の内面と強接着している高接着層23の接着帯部23aは難剥離性である。もちろん、この場合の易剥離性の接着強度(接着帯部22aの接着強度)は難剥離性の接着強度(接着帯部22aの接着強度)を下回るものである。これらの接着強度は包装の条件や用途などで種々異なり、その要望に応じて任意に設定されるものである。その場合の具体例を数値で示すと、易剥離性の接着強度は300〜1500g/15mm程度の範囲内で設定され、難剥離性の接着強度は2000〜4000g/15mm程度の範囲内で設定される。
図1(A)(B)の実施形態において、袋体11内の開口部14側には、シール体21よりも上位に部位に周知の開閉具31が設けられている。かかる開閉具31は、一般に、チャック・ジッパー・ファスナーなどの名称で呼ばれており、雌雄一対の部材からなるものである。開閉具31について図1(A)(B)の例では、互いに咬み合い自在な雌型開閉部材31aと雄型開閉部材31bとからなるものが採用されている。開閉具31はこれに限定されるものでなく、たとえば面ファスナータイプのものであっても構わない。図1(A)(B)の開閉具31で雌型開閉部材31aと雄型開閉部材31bは合成樹脂製(プラスチック製)であり、両フィルム12・13で述べたような熱可塑性の合成樹脂製であることが多い。この開閉具31の雌型開閉部材31aや雄型開閉部材31bも、たとえば両フィルム12・13の内面に対して常温圧着手段(加圧接着手段)や、熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)で接着されるものである。
本発明に係イージーオープン型包装用袋として図1(A)(B)に例示されたものの場合、これは自明のとおり、袋体11の開口部14から内容物(被包装物)を取り出すものである。内容物を取り出すために袋体11の開口部14側を開けるときは、これも自明のとおり、開閉具31の閉鎖状態(咬合状態)を解除して雌雄両部材31a・31bの咬み合いを外すとともに、シール体21によるシール状態も解除するのである。
上記におけるシール体21のシール解除操作についていうと、それは袋体11の開口部14側において袋表用フィルム12や袋裏用フィルム13の上端中央部を把持し、そのそれぞれを図1(B)の左右方向に引き離して遠離させるだけである。この解除対象のシール体21については既述のとおり、一方フィルム12に対する低接着層22の接着力(弱接着側)が、他方フィルム13に対する高接着層23の接着力(強接着側)を下回るものである。しかも強接着側(フィルム13:高接着層23)の場合、ユーザーが加える程度のシール解除力で剥離破壊したりしないが、弱接着側(フィルム12:低接着層22)の場合は、それが弱接着であるゆえ、このシール解除力で剥離破壊するのである。さらにいうと、それは弱接着側であるフィルム12と低接着層22との間で層間剥離・凝集剥離・界面剥離のいずれかが生じてこの両者12・22が乖離するからである。
図1(A)(B)の実施形態に係る包装用袋については、また、シール解除についてつぎのようなことがいえる。かかる実施形態のものでは、低接着層22の層表面上部に非接着帯部22bがあり、その非接着帯部22bがフィルム12の内面から遊離している。このようなものの場合、シール解除時剥離力によって低接着層22の上端部とフィルム12とが無理なく広がり、そこに当該剥離力が円滑に波及することとなるので、シール解除が安易に行えるようになる。これは換言して、ユーザーによるシール解除時の初期荷重が小さくてすむということであり、それによって袋体11の開口部14を開けるときの易剥離性がより高まるのである。この袋上部側からの易剥離性については、非接着帯部22bの上下幅S12がより大きくて、接着帯部22aの上下幅S11がより小さいことにより、高まる傾向を示す。
袋詰め状態(未開封)のものを包装用袋ごと湯煎したり電子レンジ加熱したりするときは、周知のとおり、その際の加熱で包装用袋が膨張する。これについて図1(A)(B)の包装用袋を参照していうと、袋体11内におけるシール体21と開閉具31との間の上方空間部17やシール体21下の収容空間部18が熱膨張する。この熱膨張にともなう内圧は、その大きさいかんで開閉具31を自然に開放させたり、シール体21によるシール状態の破壊を惹き起こしたりする原因になる。しかしながら図1(A)(B)の包装用袋については、袋内圧に起因したシール体21のシール破壊が起こりがたいといえる。以下その理由について述べる。
袋体11の上方空間部17や収容空間部18が熱膨張したときには、その箇所における袋表用フィルム12や袋裏用フィルム13が袋内圧を受けて図1(B)の左右方向に張り出すこととなる。袋内圧に起因したこの左右方向の力は、シール体21の低接着層22をフィルム12の内面から剥離させる力として作用する。その一方で袋内圧は、図1(B)の上下方向などにも作用しているから、シール体21は、上方空間部17内において上面側から下向きの力を受けたり、収容空間部18内において下面側から上向きの力を受けたりもする。フィルム12の内面と弱接着状態にあるシール体21の剥離耐性とくに低接着層22の剥離耐性について、上記前者(左右方向の剥離力)によるときと、上記後者(上下方向の剥離力)によるときとを対比すると、前者の剥離力に対しては剥離耐性が低く、後者の剥離力に対しては剥離耐性が高いといえる。図1(B)左右方向の剥離力に対して低接着層22の剥離耐性が低い理由は、フィルム12と低接着層22との両者をその界面から引き裂くような引張応力が作用するからである。図1(B)上下方向の剥離力に対して低接着層22の剥離耐性が高い理由は、この方向の力がフィルム12の内面上下方向に沿う剪断応力として作用するからである。もちろん実用上において、低接着層22がこの種の剪断応力でずれ動いたり剥離したりするようなことはほとんどない。
上記で明らかなように、上方空間部17や収容空間部18の内圧はシール体21に対して一方向のみに作用するのでなく、たとえば図1(B)の左右方向・上下方向などの各方向に分散して作用するものである。これは、上方空間部17の内圧や収容空間部18の内圧が図1(B)の左右方向のみに集中することなく各方向に分散するのであるから、当該内圧が剥離耐性の低い上記左右方向に集中するという事態が回避できることとなる。その結果、上記内圧発生時の低接着層22は、その内圧によく耐えながら応分の剥離耐性を発揮するようになる。図1(A)(B)の包装用袋について、さらにいうと、袋体11内におけるシール体21の上下両端部は、その両面に非接着帯部22b・22cや非接着帯部23b・遊離部23cを有しているので、シール体21の両面全面接着と比べ、フラップ(可動翼)のように動きやすく、曲げも起こりやすいものである。この動きやすさや曲がりやすさは、上記発生内圧が変動したり両空間部17・18の形状が変化したりするときも同様である。この上下両端部に動的自由度や曲げ自由度のあるシール体21は、その自由度の範囲内において当該上下両端部が変化したりするので、それによって図1(B)左右方向の引張荷重を軽減する一方、図1(B)上下方向の剪断荷重をより多く受けるようにもなる。このようなシール体21であれば、上記内圧発生時の剥離耐性が十分といえるものになる。
図1(A)(B)の包装用袋におけるシール体21の低接着層22は、袋内圧発生時に高接着層23と協働して上記のような有効な剥離耐性を発揮するものである。この低接着層22は、また、非接着帯部22b・22cが存することで接着帯部22aの対フィルム接着面積を相対的に減じただけでなく、ユーザーなどを介して積極的かつ集中的なシール解除力を受けたときの剥離初期荷重を非接着帯部22bにより小さくし、剥離終期荷重をも非接着帯部22cにより小さくするので、総じて、袋開口部側からの開口容易性が向上することとなる。
袋体11内に設けられるシール体21には、既述の非接着帯部22b・22cや非接着帯部23b・遊離部23cがその両面にあり、そのうちの遊離部23cが不可欠のものである。さらに非接着帯部22b・22cや非接着帯部23bについては、そのうちの少なくとも一つを具備することが不可欠であるが、それはいずれか一つでも、いずれか二つでも、あるいは、三つ全部を具備していても構わないのである。このようなシール体21において、たとえば低接着層22bの上端部側に非接着帯部22bがあって高接着層23の上端部側に非接着帯部23bがあるというときは、非接着帯部22bの上下幅が非接着帯部23bの上下幅よりも小さいことが望ましい。換言すると、接着帯部22aの上端が接着帯部23aの上端よりも低い位置にあること、また、別の表現をすると、袋体11の上端から接着帯部22a上端までの寸法が、袋体11の上端から接着帯部23a上端までの寸法よりも小さいことが望ましい。その理由は、上方空間部17の内圧が高まったときの低接着層22bに既述の剪断応力が発生しやすくなり、その内圧に起因したシール破壊が起こりがたくなるからである。このような事項は、低接着層22bの下端部側に非接着帯部22cがあって高接着層23の下端部側に遊離部23cがある場合にもいえることである。それは非接着帯部22cの上下幅が遊離部23cの上下幅よりも小さいことが望ましいということである。換言すると、接着帯部22cの下端が遊離部23cの下端よりも高い位置にあること、また、別の表現をすると、袋体11の内底から接着帯部22a下端までの寸法が、袋体11の内底から接着帯部23a下端までの寸法よりも小さいことが望ましいということである。
既述の内容に基づく各種のシールパターン、すなわち、シール体21を介した袋体11内の各種シールパターンは、図2の(A)〜(F)に示すようなものである。このうちで図2(A)に例示された袋体11内のシールパターンは、図1(B)において説明したものと同じである。図2(B)に例示された袋体11内のシールパターンは、同図(A)のものにおいて非接着帯部22cが省略され、かつ、その省略部分が接着帯部22aの一部として置換されたものである。図2(C)に例示された袋体11内のシールパターンは、同図(A)のものにおいて非接着帯部22bが省略され、かつ、その省略部分が接着帯部22aの一部として置換されたものである。図2(D)に例示されたシールパターンは、同図(A)のものにおいて非接着帯部23bが省略され、その省略部分が接着帯部23aの一部として置換されたものである。また、図2(E)に例示されたシールパターンは、同図(A)のものにおいて二つの非接着帯部22b・23bが省略されており、そのうちで非接着帯部22bの省略部分が接着帯部22aの一部として置換されているとともに、非接着帯部22bの省略部分が接着帯部23aの一部として置換されているものである。さらに図2(F)に例示されたシールパターンも、同図(A)のものにおいて二つの非接着帯部22b・22cが省略され、その省略部分が接着帯部22aの一部として置換されているものである。この図2(F)のシールパターンでは、低接着層22側のみ非接着帯部が省略されていて、高接着層21側には非接着帯部の省略がない。
図3の(A)〜(F)は、袋体11の内部をシールするためのシール体21として低接着層22と高接着層23との二層からなるものが用いられる場合の各種のシールパターンを示したものである。この図3の各シールパターンも、シール体21の層数の相違を除けば、図2の(A)〜(F)を参照して説明したものと実質的に同一である。したがって、図3の各シールパターンについては上記図2の説明を参照することで省略する。その他について、低接着層22と高接着層23との間に複数(例:二層)の中間層24を介在させたシール体21もある。袋体11の内部をシールするためのシール体21として、このような多層構造(四層以上)のものが用いられる場合も、袋体11内の各シールパターンは図2(B)〜図2(F)や図3(A)〜図3(F)を参照した述べた事項と実質的に同じか、それに準じた内容のものになる。
図2(B)〜図2(F)とか図3(A)〜図3(F)とかを参照して説明するところの袋内部シールパターンをもつ各袋体11の場合であっても、もちろん、接着帯部22a・非接着帯部22b・22c・接着帯部23a・非接着帯部23b・遊離部23cなどの上下幅S11〜S13・S21〜S23については、図1(A)(B)の実施形態で述べたと同様に、それぞれの寸法の同異を各種の態様で設定することができるものである。
袋体11の内部に施されるシールパターンは上述した各例にとどまるものでなく、つぎに述べる各種のシール体21によっても具現することができるものである。以下、図4〜図Xを参照してそれらシール体21の例を説明する。
図4(A)(B)シール体21は、低接着層22と高接着層23(中間層24も含む)とが上下のずれをもって積層一体化されたものである。このうちで同図(A)のものは低接着層22の上端が高接着層23の上端よりも高く、かつ、高接着層23の下端が低接着層22の下端よりも低いものである。同図(B)のものは、それが同図(A)のものと逆になっている。図4(C)〜(F)のシール体21は、低接着層22と高接着層23(中間層24も含む)とのうちのいずれか一方が、その他方よりも上下幅が大きいというものである。さらに詳しくいうと、同図(C)のものは低接着層22の上下幅が高接着層23の上下幅よりも小さく、かつ、高接着層23の上下両端が低接着層22の上下両端よりそれぞれ上下に突出しているものである。同図(D)のものは、高接着層23の上下幅が低接着層22の上下幅よりも小さく、かつ、低接着層22の上下両端が高接着層23の上下両端よりそれぞれ上下に突出しているものである。同図(E)のものは高接着層23の上下幅が低接着層22の上下幅よりも小さく、かつ、低接着層22の下端が高接着層23の下端とが互いに一致しているものである。同図(F)のものは低接着層22の上下幅が高接着層23の上下幅よりも小さく、かつ、低接着層22の上端が高接着層23の上端とが互いに一致しているものである。この図4(A)〜(F)に例示する各シール体21の場合、かかる態様としたことにより、両フィルム12・13の内面と対面する箇所に非接着帯部25x・25yが生じている。図4(A)〜(F)に例示する各シール体21の場合も、これまでに説明した内容と実質的に同じか、それに準じた内容で袋体11の前記内部シールに適用されるものである。
図5(A)〜(F)に例示する各シール体21は、中間層24が省略されている点を除き、その他は図4(A)〜(F)の各シール体21と同様のものである。したがって図5(A)〜(F)に例示する各シール体21については、上記図4での説明事項を参照することで、これらの説明を省略する。図5(A)〜(F)に例示する各シール体21の場合も、これまでに説明した内容と実質的に同じか、それに準じた内容で袋体11の前記内部シールに適用されるものである。
このほかに関して、これまでに例示したいずれのシール体21においても、各層22・23・24などにおける積層界面の上端部および/または下端部に非接着状態の遊離部が設定されていてもよい。これについて、三層構造シール体21の場合は、当該シール体21の上端部側で各層22・23・24が図6(A)のごとく互いに遊離していたり、当該シール体21の下端部側で各層22・23・24が図6(B)のごとく互いに遊離していたりするものであるとともに、二層構造シール体21の場合は、当該シール体21の上端部側で各層22・23が図6(C)のごとく互いに遊離していたり、当該シール体21の下端部側で各層22・23が図6(D)のごとく互いに遊離していたりするものである。さらに、シール体21に関する図6(A)(B)の変形例として、低接着層22と中間層24との各上端部が接着されているもの、低接着層22と中間層24との各下端部が接着されているもの、高接着層23と中間層24との各上端部が接着されているもの、高接着層23と中間層24との各下端部が接着されているものというように、これらのうちの一つ以上を満足させる態様もある。
さらに、これまでに例示したいずれのシール体21においても、両フィルム12・13との関係で、既述の部位とは異なるところに非接着帯部(シール体21の両端部にわたる帯状をしたのもの)が設定されることがある。その一態様としては図6(E)のように、一方フィルム12の内面に対して非接着になる非接着帯部22dが、シール体21の低接着層22側に設定されるというものであり、他の一態様としては図6(F)のように、他方フィルム13の内面に対して非接着になる非接着帯部23dが、シール体21の高接着層23側に設定されるというものである。かかる非接着帯部22d・23dは、典型的な例において低接着層22や高接着層23の両側部にわたる横長帯状である。もちろん当該非接着帯部22d・23dの場合も、そのうちのいずれか一方だけが設定されたり、その両方が設定されたりするという選択の自由がある。さらにこの非接着帯部22d・23dの場合、互いに平行した複数のものが、低接着層22側および/または高接着層23側に設定されてもよいものである。このタイプの非接着帯部22d・23dは、低接着層22や高接着層23において、その層表面における上端部と下端部との間の上下中間部に設けられているのであるから、中間非接着帯部ということができる。
本発明に係るイージーオープン型包装用袋として、図1(A)(B)に例示した以外のものについていうと、そのようなものには、袋体11の内部に設けられるシール体21や開閉具31の数や部位に基づく種々の実施形態がある。これにつき、以下図7を参照して説明する。
図7(A)に例示されたものでは、袋体11内においてシール体21が一つだけ設けられている。図7(B)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた各一つのシール体21と開閉具31とが、上から下(開口部14側から袋底部側)に向けてシール体21→開閉具31の順に並んでいる。図7(C)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた二つのシール体21と一つの開閉具31とが、上から下に向けてシール体21→開閉具31→シール体21の順に並んでいる。図7(D)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた一つのシール体21と二つの開閉具31とが、上から下に向けて開閉具31→シール体21→開閉具31の順に並んでいる。図7(E)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた二つのシール体21と一つの開閉具31とが、上から下に向けて開閉具31→シール体21→シール体21の順に並んでいる。図7(F)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた二つのシール体21と一つの開閉具31とが、上から下に向けてシール体21→シール体21→開閉具31の順に並んでいる。図7(G)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた一つのシール体21と二つの開閉具31とが、上から下に向けてシール体21→開閉具31→開閉具31の順に並んでいる。さらに図7(H)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた一つのシール体21と二つの開閉具31とが、上から下に向けて開閉具31→開閉具31→シール体21の順に並んでいる。
図7(A)〜(H)に例示された包装用袋において、袋体11内に設けられるシール体21や開閉具31については、これまでに説明したうちのいずれが用いられてもよいものである。したがって図7に例示された各包装用袋の場合、シール体21や開閉具31については、既述のもののうちから選択されたものが用いられている。ただし、一部のシール体21については、図7(I)を参照して後述するようなシール体21が用いられることもある。
図7の実施形態に係る本発明包装用袋のうちでシール体21と開閉具31との合計数が[3]のものは、自明のとおり、その合計数が[2]以下のものよりも高度のシール機能を発揮する。したがってかかる包装用袋は、高度のシール機能が要求される用途に適するものである。さらにいうと、図7の実施形態で、シール体21と開閉具31との合計数が[3]である包装用袋の場合は、上下に隣接するシール体21と開閉具31との間、上下に隣接する二つのシール体21間、上下に隣接する二つの開閉具31間などに、前記上方空間部17と同様の空間部が介在しているものである。そして、その数は[2]であるから、図1(A)(B)のものに比して倍増している。このような空間部は、温度変化などにともなって生じる袋内膨張収縮の影響とくに熱膨張の影響を緩和するのに貢献する。その理由の一つは熱容量が大きくなることである。理由の他の一つは、たとえば、下から上へと順次シール体21や開閉具31が開けられるごとに収容空間部18の容積が漸増して単位容積あたりの圧力が減じられることである。それゆえ、圧力変化に起因して内容物が開口部から吹き出すなどという不本意な事態が起こりがたくなる。シール体21と開閉具31との合計数が[3]のものは、また、大きな内圧を生じることのある袋など、収納容量(充填容量)の大きい大型包装用袋にも適している。
図7(C)(E)(F)などの実施形態では、袋体11内に二つのシール体21が設けられている。このようにシール体21が二つある袋体21の場合、いずれか一方のシール体21については、前例において遊離部23cとしていた高接着層23の下部表面は、これがフィルム13の内面に接着されても構わない。すなわち、二つあるシール体21の一方については、示すとおり、層表面下部がフィルム13の内面に接着されることもあり得る。
つぎに本発明に係る包装用袋内部のシール処理方法について、その一実施形態を図8・図9を参照して説明する。
本発明シール処理方法の一実施形態についていうと、それは二つの独立したロール状のフィルム原反から袋表用フィルム12・袋裏用フィルム13を所定方向にそれぞれ巻き戻し供給しつつ、この両フィルム12・13とその間に介在されたシール体21とを相対接着し、かくて、包装用袋内部にシール処理を施すというものである。この際の両フィルム12・13は進行方向に向けて間欠送りされ、シール体21もこの際の間欠運動と同期して両フィルム12・13間に介在される。さらに、シール処理のためやその他のためにライン上に装備された各手段も、互いに連係したりタイミングをとったりしながら所要の動作を行うものである。これに基づく処理ラインとしては、一例にすぎない概要が、図8のブロック図に示されている。この図8のラインの流れはつぎのとおりである。〔1〕袋裏用フィルム13がロール状のフィルム原反から所定方向に巻き戻し供給される。〔2〕シール体21が、ラインの流れと直交する方向からフィルム13上すなわちフィルム13の内面上に供給される。もちろんこの場合、フィルム13上に供給されるシール体21は、二層型または三層型などの種別選択を終えており、また、これをどのような態様で両フィルム12・13に接着するかについても、すでに決定済みの事項である。〔3〕袋表用フィルム12がロール状のフィルム原反からを所定方向に巻き戻し供給されてフィルム13上に重なり合う。〔4〕両フィルム12・13の一側縁がヒートシール手段で熱溶着(強接着)されてサイドシール部15が形成されるとともに、そのサイドシール部15が冷却手段で強制冷却される。この際のヒートシール手段や冷却手段で用いられるところの細長いシールバーや細長い冷却バーは、それらがラインの流れと平行するものである。〔5〕両フィルム12・13の他側縁が上記と同様のヒートシール手段で熱溶着(強接着)されてサイドシール部16が形成されるとともに、そのサイドシール部16が上記と同様の冷却手段で強制冷却される。〔6〕フィルム13上への供給後に両フィルム12・13間へ介入したシール体21が、ヒートシール手段による熱溶着で両フィルム12・13と接着一体化される。かかるヒートシール手段によるときは、シール体21の低接着層22がフィルム12の内面と弱接着され、かつ、シール体21の高接着層23がフィルム13の内面と強接着される。このような接着を経ることにより、低接着層22や高接着層23には、両フィルム12・13と共有する接着帯部22a・23aがそれぞれ形成されたり、あらかじめ設定された非接着帯部(22b・22c・22d・23b・23dのいずれか)や遊離部23cが形成されたりすることとなる。ここでのヒートシール手段や冷却手段で用いられる細長いシールバーや細長い冷却バーは、それらがラインの流れと直交するものである。そのうちのシールバーなどについては、シール体21の種別や接着態様などに基づく所定のものが配備されて用いられる。〔7〕両フィルム12・13の所定部(袋体11の底部に該当する箇所)がヒートシール手段で熱溶着(強接着)されて、袋体11のボトムシール部19が形成される。かかる場合のヒートシール手段や冷却手段で用いられる細長いシールバーや細長い冷却バーも、それらがラインの流れと直交するものである。ここまでの工程を経ることにより、両フィルム12・13を主体にした連続状態の袋体11が得られる。〔8〕連続状態の各袋体11が袋カッティング処理で一袋ごとに切断分離される。この際の袋カッティング処理では、ラインの流れと直交する方向に細長い形状であってライン上面に向けて降下したり上昇復帰したりするカッターが用いられる。かかるカッターによる袋カッティング処理のとき、連続状態で隣接する各袋体11に対しては、その隣接部中央を切断箇所とするカッティングが行われる。すなわち縦連なり状態にある各袋体11が切断分離されるのである。〔9〕一袋ごとに切断分離されたそれぞれ袋体11が袋トリミング処理を受ける。この袋トリミング処理では、不要部分の切除や袋形態を整えるためのトリミングが行われる。
本発明の上記シール処理方法において、〔6〕のヒートシール手段によりシール体21と両フィルム12・13とを熱溶着するとき、たとえばそれがヒートシーラーを介して行われるとき、その熱溶着の際の溶着温度・溶着圧力・溶着時間が適切に設定される。これらの最適値については、シール体2や両フィルム12・13の材質によってそれぞれ異なるが、それは低温熱溶着法や高温熱溶着法を含めた場合につぎのような範囲内になる。したがってこれらの溶着温度・溶着圧力・溶着時間は、つぎに示す範囲に基づいて設定されることとなる。溶着温度の範囲については85〜500℃である。溶着圧力の範囲については5〜100kgである。溶着時間の範囲については0.5〜5秒である。そのうちの典型例をあげると、それは溶着温度が150〜300℃、溶着圧力が30〜85kg、溶着時間が1〜2秒というものである。
本発明シール処理方法で用いられる両フィルム12・13には、開閉具31付きのものや開閉具なしのものがある。そのいずれを用いるかにより、開閉具31付きの包装用袋が得られたり、開閉具なしの包装用袋が得られたりする。ちなみに開閉具31付きの両フィルム12・13は、一方のフィルム内面に開閉具31の雌型開閉部材31aが一体形成されているとともに、他方フィルム内面に開閉具31の雌型開閉部材31aが一体形成されているものである。もし、開閉具なしの両フィルム12・13を用いて開閉具31付きの包装用袋をつくるというときは、たとえば、図8に例示されたシール処理方法におけるステップ〔1〕とステップ〔2〕との間またはステップ〔2〕とステップ〔3〕との間においてフィルム13上に供給し、その後、ステップ〔5〕とステップ〔6〕との間またはステップ〔6〕とステップ〔7〕との間あるいはステップ〔7〕とステップ〔8〕との間において、ラインと直交するシールバーや冷却バーを用いたヒートシール手段や冷却手段によって、開閉具31を両フィルム12・13に熱溶着(強接着)したり強制冷却したりすればよい。図8に例示されたシール処理方法のステップ〔7〕については、これが省略されることがあり、または、このステップ〔7〕において、ボトムシール部19の形成に替えて袋天部(袋口部)にトップシール部を形成することがある。そのような場合、所定のヒートシール手段や冷却手段がライン上から撤去されたり、あるいは、ライン上の組み付け位置を変更されたりする。さらに図8でのステップ〔6〕は、これのみを製袋用とか袋詰め用とかの各種ライン(水平ライン・垂直ライン・傾斜ラインを含む)に組み込んで適用することができるものである。
図8で説明したシール処理方法の具体的実施例は、図9(A)(B)を参照してつぎのようなものである。
図9(A)(B)において、両フィルム12・13は、図示しないフィルム原反ロールから間欠的に巻き戻し供給されてライン上で対面合流するものである。シール体21は、この両フィルム12・13が合流する直前において、ラインと直交する方向から下位フィルム13上(フィルム13の内面上)に供給される。一例としてシール体21は、所定の長さに切断されたものが案内手段を介してフィルム13上に間欠的に供給される。他の一例として、シール体巻取ロールから下位フィルム方向へと巻き戻されながら、所定の長さに切断されてその下位フィルム13上にタイミングよく供給される。下位フィルム13上に供給されたシール体21をより安定にするために、低温加熱接着法のような瞬間スポット接着手段などでシール体21を下位フィルム13に仮止めしてもよい。シール体21を間に介在させた合流状態(重なり合い状態)の両フィルム12・13がライン進行して第一段目のシール手段(熱溶着手段)51に到達したときには、ラインと平行に配置された上下一対のヒートシールバーであって上下動自在な上部シールバー51aとこれに対応した固定状態の下部シールバー(シール台)51bとによって、両フィルム12・13の一側縁が互いに強接着(熱溶着)される。これによって、両フィルム12・13の一側縁には既述のサイドシール部15が形成される。この接着を終えた直後、シール手段51に組み合わされている冷却手段52を介してサイドシール部15が冷却される。ちなみに冷却手段52も、ラインと平行に配置された上部冷却バー52aとこれに対応した固定状態の下部冷却バー(冷却台)52bとからなるものである。そのうちの上部冷却バー52aが上下動自在で、下部冷却バー52bが固定状態である。そして両冷却バー52a・52bは、上下からの挟み付け(面接触)によって両フィルム12・13の一側縁を急速冷却する。したがって両冷却バー52a・52bの場合、フィルムとの面接触側には熱容量の大きい金属および/またはセラミックが用いられる。さらに両フィルム12・13が第二段目のシール手段53や冷却手段54にそれぞれ到達したときには、それらの各手段53・54を介して両フィルム12・13の他側縁が互いに強接着(熱溶着)されたり冷却されたりするものである。このような処理を受けたことによって、両フィルム12・13の他側縁には既述のサイドシール部16が形成される。第二段目のシール手段53は第一段目のそれと同様に、ラインと平行に配置された上下動自在な上部シールバー53aとこれに対応した固定状態の下部シールバー(シール台)53bとからなるものである。第二段目の冷却手段54も第一段目のそれと同様に、ラインと平行に配置された上下動自在な上部冷却バー52aとこれに対応した固定状態の下部冷却バー(冷却台)52bとからなる。したがって、第二段目のシール手段53や冷却手段54の各機能は、第一段目のそれと同様である。
図9(A)(B)において、両フィルム12・13とその間のシール体21とが第三段目のシール手段55に到達したときは、これもシール手段55を構成している上下動自在な上部シールバー55aと固定状態の下部シールバー(シール台)55bとからなるものである。しかしながら、この場合の上部シールバー55aや下部シールバー(シール台)55bの場合、原理的には既述の各シール手段51・53と異なるものではないが、一部の構成について態様がとられている。これについて、図9(C)(D)を参照して以下説明する。
一例にすぎないものとして図9(C)(D)に示された第三段目のシール手段55は、上部シールバー55aと下部シールバー55bとが組み合わされたものである。このうちで、上部シールバー55aの場合は、取り外し可能な上蓋で上面を閉じられた下面開放型の中空ボディ61aと、中空ボディ61a内に上下動自在に収納保持されて先端部(下端部)が中空ボディ61aの開放下面より突出したヒータブロック62aと、ヒータブロック62aの内部に埋め込まれたヒータ63aと、ヒータブロック62aの先端部に脱着自在(交換自在)に取り付けられた溶着型板部材64aと、溶着型板部材64aの表面(下面)に交換可能に取り付けられた伝熱プレート65aおよび断熱プレート66aと、中空ボディ61a内でヒータブロック62a上に収納されてそのヒータブロック62aを下向きに弾圧しているスプリング67aとを主体にして構成されているものである。これに対する他方の下部シールバー55bも、取り外し可能な上蓋で下面を閉じられた上面開放型の中空ボディ61bと、中空ボディ61b内に収納保持されて先端部(上端部)が中空ボディ61bの開放上面より突出したヒータブロック62bと、ヒータブロック62bの内部に埋め込まれたヒータ63bと、ヒータブロック62bの先端部に脱着自在(交換自在)に取り付けられた溶着型板部材64bと、溶着型板部材64bの表面(上面)に交換可能に取り付けられた伝熱プレート65bおよび断熱プレート66bとを主体にして構成されているものである。
上記両シールバー55a・55bの各構成要素は、つぎのような材料・材質・形状・構造のものである。中空ボディ61a・61bは、金属・合成樹脂(FRPを含む)・強化セラミックなどのうちから選択された断熱性が高くて高強度の材料たとえば金属・合成樹脂(FRPを含む)・強化セラミックなどにより、細長い中空板状につくられているものである。ヒータブロック62a・62bは、銅・銅合金系・アルミニウム・アルミニウム合金系などのような熱良導性のある金属により、中空ボディ61a・61b内への収納が可能な細長いブロック形状につくられているものである。ヒータ63a・63bは代表的一例として熱分布特性のよいシーズヒータからなる。溶着型板部材64a・63bは、熱伝導性がよい上に機械的特性にも優れた金属または合成樹脂で細長いキャップ形状につくられており、しかも、ヒータブロック62a・62bの先端部に対して取付金具・ネジなど周知の取付手段で脱着可能に取り付けられるものである。伝熱プレート65a・65bも熱伝導性や機械的特性のよい金属または合成樹脂で細長いテープ状に形成されている。これに対する断熱プレート66a・66bの場合、機械的特性はよいが熱伝導性の低い熱不良導性体(金属または合成樹脂)により細長いテープ状に形成されている。スプリング67aは周知の高弾発性材料(金属または合成樹脂)からなる。
伝熱プレート65a・65bや断熱プレート66a・66bについては、これらが適当に組み合わされて溶着型板部材64a・63bの表面に装着されるものである。この双方の組み合わせいかんで前記シールパターンが決定づけられ、これに基づくシール処理(第三段目のシール手段55を介したシール処理)を実施した場合には、図2・図3・その他で説明した弱接着とか強接着とかのシールパターンが得られる。したがって伝熱プレート65a・65bや断熱プレート66a・66bの場合、長さはそれぞれ一定よいとして、幅の異なる各種のものが多種かつ多数用意されているのである。そして図9(A)(B)の第三段目のシール手段55では、伝熱プレート65a・65bや断熱プレート66a・66bとして、所要のシール態様に基づいて適切に選択されたものが、図9(D)のごとく溶着型板部材64a・63bに装着されているのである。
図9(A)(B)における第三段目のシール手段55は上記のとおりである。したがってシール体21を間に介在させた両フィルム12・13がライン進行して第三段目のシール手段55に到達したとき、ラインと直交する上下動自在な上部シールバー51aとこれに対応した固定状態の下部シールバー51bとによって、両フィルム12・13とシール体21とが熱溶着される。すなわち、一方のフィルム12とシール体21の低接着層22とが弱接着され、他方のフィルム13とシール体21の高接着層23とが強接着されるのである。その際の一例についてさらにいうと、一方のフィルム12とシール体21の低接着層22との間では、接着帯部22aや非接着帯部22b・22cが形成され、かつ、他方のフィルム13とシール体21の高接着層22との間では、接着帯部23aや非接着帯部23b・23cが形成されるのである。第三段目のシール手段55によるシール処理直後は、シール手段55に組み合わされた冷却手段56でシール処理箇所(シール体21のある箇所)が冷却される。この冷却手段56も、ラインと直交して配置された上部冷却バー56aとこれに対応した固定状態の下部冷却バー(冷却台)56bとからなるものである。そのうちの上部冷却バー56aが上下動自在で下部冷却バー56bが固定状態であることは他の冷却手段と同じであるから、上記のシール処理箇所は、両冷却バー52a・52bによる上下からの挟み付けを受けて急速冷却されることとなる。
図9(A)(B)のラインにおける上記シール処理後、両フィルム12・13の底部該当箇所(袋体21の底部となる部分)が第四段目のシール手段57に到達したとき、ラインに対して直交配置された上下動自在な上部シールバー57aとこれに対応した固定状態の下部シールバー57bとによって、両フィルム12・13の所定部が熱溶着で接着される。これで両フィルム12・13には、底部となるボトムシール部19が形成される。この接着直後、シール手段51に組み合わされた冷却手段58を介してボトムシール部19が冷却される。この冷却手段58も、上記冷却手段56と同様、ラインと直交して配置された上部冷却バー56aとこれに対応した固定状態の下部冷却バー(冷却台)56bとからなるので、ボトムシール部19はこれで急速冷却される。図9(A)(B)のラインにおけるその後の処理では、まず、連続状態にある各袋体11が、冷却手段58の後段にある袋カッティング処理手段59で一袋ずつ切断分離される。この袋カッティング処理手段59はシャーリングカット方式(周知)のものであり、それは上下動自在な上部カッター59aとこれに対応して配置された下部カッター59bとがラインと直交して配置されているものである。ゆえにこれによるときは、上部カッター59aが下部カッター59bに向けて下降するごとに両フィルム12・13の上記ボトムシール箇所が切断され、上記一袋ごとに分離した袋体11が得られるのである。さらにこの後、一袋ごとに切断分離されたそれぞれ袋体11は、周知の袋トリミング処理を受けて整形される。
図9(A)(B)のラインにおいて開閉具のない両フィルム12・13を用いるというとき、しかも、そのライン上において両フィルム12・13に開閉具31(雌型開閉部材31aと雄型開閉部材31b)を取り付けるというときは、たとえば、シール体供給箇所の前段または後段においてラインと直交する方向からフィルム13上に開閉具31を供給し、かつ、第三段目にあるシール手段55の前段または後段において開閉具31を両フィルム12・13の内面に熱溶着(強接着)すればよい。この際に用いられるシール手段や冷却手段は、第四段目のシール手段57や冷却手段58と同様のものである。図9(A)(B)のラインにおいては、ボトムシール部をトップシール部に変更するという既述の内容にしたがい、第四段目のシール手段57や冷却手段58により、ボトムシール部に替えてトップシール部を形成したり冷却したりすることもできる。さらに、ボトムシール部・トップシール部などを形成しないときには、第四段目のシール手段57や冷却手段58が省略される。
つぎに本発明に係る包装用袋内部のシール処理方法について、上記以外の一実施形態を図10・図11を参照して説明する。前記図8・図9の実施形態とこの図10・図11の実施形態とは、前者で作製される袋体11が「縦連なり」になるのに対し、後者で作製される袋体11が「横連なり」になるというだけの相違である。そのため両者の技術内容は多くの点で共通する。したがって図10・図11の実施形態については、前者との相違点を中心にして説明することとし、その他については図8・図9の実施形態を参照することで省略する。もちろん図10・図11の実施形態は、図8・図9の実施形態で述べたすべての事項が技術的な互換性の範囲内で採用できるものである。
図10における処理ラインの流れは以下のとおりである。〔1〕袋裏用フィルム13がロール状のフィルム原反から所定方向に巻き戻し供給される。〔2〕シール体21がロール状のテープ原反から所定方向に巻き戻し供給される。このシール体21の供給方向はフィルム13の供給方向と同じであって、ラインの流れに沿うものである。そしてシール体21がフィルム13上(フィルム13の内面上)に乗る。〔3〕袋表用フィルム12がロール状のフィルム原反からを所定方向に巻き戻し供給されてフィルム13上に重なり合う。この段階でシール体21は両フィルム12・13間に介入状態となる。自明のことであるが、間欠送りよるこの〔1〕〜〔3〕の各供給は同期かつ同調している。〔4〕両フィルム12・13間へ介入したシール体21が熱溶着で両フィルム12・13と接着一体化される。この際のヒートシールはラインと平行するものであるが、そのヒートシールの内容は、シール体21の低接着層22がフィルム12の内面と弱接着され、かつ、シール体21の高接着層23がフィルム13の内面と強接着されるというものである。この直後、シール体21と両フィルム12・13とのシール箇所が冷却手段で強制冷却される。〔5〕両フィルム12・13の所定部(袋体11の底部に該当する箇所)がヒートシール手段で熱溶着(強接着)されて、袋体11のボトムシール部19が形成される。かかる場合のヒートシール手段や冷却手段で用いられる細長いシールバーや細長い冷却バーも、それらがラインの流れと平行するものである。〔6〕両フィルム12・13の一側縁がヒートシール手段で熱溶着(強接着)されてサイドシール部15が形成されるとともに、そのサイドシール部15が冷却手段で強制冷却される。この際のヒートシール手段や冷却手段で用いられるところの細長いシールバーや細長い冷却バーは、それらがラインの流れと直交するものである。〔7〕両フィルム12・13の他側縁が上記と同様のヒートシール手段で熱溶着(強接着)されてサイドシール部16が形成されるとともに、そのサイドシール部16が上記と同様の冷却手段で強制冷却される。〔8〕袋カッティング処理で一袋ごとに切断分離される。ここでは横連なり状態にある各袋体11の切断分離となる。〔9〕袋トリミング処理は前記と同じである。
図10に例示されたシール処理方法のステップ〔5〕については、これが省略されることがあり、または、このステップ〔5〕において、ボトムシール部19の形成に替えて袋天部(袋口部)にトップシール部を形成することがある。そのような場合は前例と同様、所定のヒートシール手段や冷却手段がライン上から撤去されたり、あるいは、ライン上の組み付け位置を変更されたりする。さらに図10でのステップ〔4〕は、これのみを製袋用とか袋詰め用とかの各種ライン(水平ライン・垂直ライン・傾斜ラインを含む)に組み込んで適用することができるものである。
図10で説明したシール処理方法の具体的実施例は、図11を参照してつぎのようなものである。この図11の具体的実施例は既述のとおり、図9の具体的実施例と多くの点で共通する。したがって図11の具体的実施例に関する以下の説明内容は、前例との相違点を中心にしたものとなる。
図11において、両フィルム12・13やシール体21は間欠的な送りで同一の方向へ供給されるものであり、それでシール体21が両フィルム12・13間に介入する。この三者が第一段目のシール手段71や冷却手段72に到達したときには、上下動自在な上部シールバー71aと固定状態の下部シールバー71bとを介して両フィルム12・13とシール体21とが熱溶着され、かつ、その直後に上下動自在な上部冷却バー72aと固定状態の下部冷却バー72bとで冷却される。すなわちシール体21の低接着層22が一方のフィルム12の内面と弱接着されたり、シール体21の高接着層23が他方のフィルム13の内面と強接着されたりし、その直後にシール箇所が冷却される。両フィルム12・13が第二段目のシール手段73や冷却手段74に到達したときには、両フィルム12・13の底部該当箇所が強接着されてボトムシール部19が形成され、その直後に当該シール箇所が冷却される。すなわち、この際の強接着が上下動自在な上部シールバー74aと固定状態の下部シールバー74bとで行われ、かつ、この際の冷却が上下動自在な上部冷却バー75aと固定状態の下部冷却バー75bとで行われる。第三段目のシール手段75および冷却手段76、第四段目のシール手段77および冷却手段78によるときは、それぞれの上部シールバー75a・77aや下部シールバー75b・77b、さらには、それぞれの上部冷却バー76a・78bや下部冷却バー76b・78bなどを介して、両フィルム12・13の所定部が強接着されたりその直後に冷却されたりする。これによって既述の両サイドシール部15・16が形成される。つぎの袋カッティング処理手段79は前記と同様にシャーリングカット方式の上部カッター79aと下部カッター79bとで行われ、それによって横連なりの各袋体11が切断分離される。その後は既述の袋トリミング処理である。
図11のラインにおいて開閉具のない両フィルム12・13を用いるというとき、しかも、そのライン上において両フィルム12・13に開閉具31(雌型開閉部材31aと雄型開閉部材31b)を取り付けるというときは、たとえば、シール体21の場合と同様に開閉具31をラインと平行させてフィルム13上に供給し、その供給された開閉具31をシール体21の場合と同様に両フィルム12・13の内面に熱溶着(強接着)したり冷却したりすればよい。この際に用いられるシール手段や冷却手段は、シール体21用のそれと同様のものでよい。図11のラインにおいて、ボトムシール部をトップシール部に変更するという既述の内容にしたがうときは、ライン左側(図11の上側)にあるシール手段73や冷却手段74をライン右側(図11の下側)に配置変更することでトップシール部を形成したり冷却したりすることができる。さらに、ボトムシール部・トップシール部などを形成しないというときは、これらのシール手段57や冷却手段58が省略されることになる。