JP5936272B2 - 太陽電池モジュール用バックシート - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池モジュールを構成する一部材である、複数種の機能性フィルムが接着剤層を介して積層してなる太陽電池モジュール用バックシートに関する。さらに詳しくは、接着剤層が特有の樹脂の硬化皮膜層から形成されており、その形成に用いる接着剤自身が高いガスバリア性を有すると共に、接着性に優れ、高温高湿環境下や酸性環境下でも接着強度の低下が少なく、しかも、その製造原料に二酸化炭素を構造中に固定した樹脂を利用できることから、地球規模で問題となっている二酸化炭素削減効果の点でも有用である、太陽電池モジュール用バックシートの提供技術に関する。
近年、地球温暖化問題に対する関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制の種々の取り組みが続けられている。その一方で、現代社会における電力への依存度を考えた場合、現代社会を維持するためには、そのエネルギー源として電力が不可欠であり、電力への依存度は益々大きくなってきている。具体的には、家庭や市民生活の場における多種多様な電気製品類や情報機器類の利用、都市等における公的施設や商業施設の運営、これらの利用や活動を可能にするため、あらゆる産業分野で動力源として電力を必要としている。さらに、近年、その発達が目覚ましい情報伝達用電子機器類の作動にも電力が利用されている。交通機関においても、電車や貨物列車などの大量輸送手段の動力源として利用されているが、近年では、個人利用の自動車の動力源も、プラグインハイブリッド方式から完全電気自動車への移行が試みられ実施化もされており、電力の利用は益々多様化し、その消費量は増大している。上記したように、現代社会におけるエネルギー源の電力への依存度は、より大きなものになっている。
このような増え続ける電力エネルギー消費に対し、二酸化炭素を排出しない原子力発電が世界中で推進されてきた。しかし、2011年3月11日に発生した日本国の福島第一原子力発電所の事故により、原子力発電の安全神話は崩壊し、これを受けて行われた原子力発電の運転停止に伴い、不足する電力エネルギーを確保するため、休止していた火力発電がフル稼働する状態となっており、二酸化炭素排出削減とは相反する状況となっている。
一方、太陽光発電は、従来から、そのクリーン性や無公害性という点から期待されており、すでに、単結晶シリコンや多結晶シリコン或いはアモルファスシリコン等を太陽電池素子(セル)に用いた太陽電池は、屋外の電力用太陽電池として実用化されている。特に、先に説明した事情から、近時、原子力発電に代わり得る発電技術として注目されている。
太陽光発電に用いられる太陽電池の構造は、多数枚の太陽電池素子(セル)を直列、並列に配線し、これらのセルを長期間(約20年以上)にわたって保護するために種々の封止が行われ、ユニット化されている。このユニットは、太陽電池モジュール或いはソーラーパネルと呼ばれており、一般的には、図1に示すように、太陽光が当たる面をガラス板1で覆い、裏面を封止用保護シート(バックシート)5で保護し、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性プラスチックからなる充填材(封止材)2で、太陽電池素子(セル)3が配置されている、ガラス板1とバックシート5との間隙を埋めた構造になっている。
上記した太陽電池モジュールは、主に屋外で使用されるため、その材質や構造などには、十分な耐久性、耐候性が要求される。特にバックシートに対しては、耐候性、ガスバリア性、水分バリア性(水蒸気バリア性)に優れていることが要求される。これは、バックシートからの水分の透過により、充填材が剥離や変色、配線の腐食を起こし、モジュールの出力そのものに影響を与える恐れがあるからである。
太陽電池モジュール用バックシート(以下、単に「バックシート」とも呼ぶ)には、上記したように、耐候性、耐久性、ガスバリア性等が要求されるため、例えば、ガスバリア性を発現する無機物層(金属層)の表面と裏面とを、一対の合成樹脂層でサンドイッチした積層体とすることが採用されている。具体的には、例えば、一対の、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどの「フッ素系樹脂」フィルムで、アルミニウム箔(金属層)をサンドイッチした構造のバックシートや、ポリエステル樹脂からなるプラスチックフィルムの一方の面に無機酸化物薄膜層を積層し、さらに、この薄膜層の外面に同様のポリエステル樹脂からなるプラスチックフィルムを複数層積層した構造のバックシートなど、が開発されている。このように、バックシートは複数種のフィルムからなる積層体であり、複数のフィルムは接着剤を介して積層されている(特許文献1、2)。
そして、バックシートの形成には、接着剤として、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤及びエポキシ系接着剤などが実際に使用されており、これらのものによって、その接着性や耐久性等の要求性能を達成できることは実証されている。しかし、これらバックシートの形成に使用されているフィルムや接着剤等はほとんどが石油由来であり、太陽電池の利用を促進することで、クリーン性や無公害性を実現するという趣旨からすると、現在求められている地球規模の環境保全という面では不十分である。
また、近年増加の一途をたどる二酸化炭素に起因すると考えられる地球の温暖化現象や海の酸性化現象は、世界的な問題となっており、二酸化炭素の排出量削減は、全世界的に重要な課題である。さらに、枯渇性石化資源(石油)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への材料の転換が世界的潮流となっている。
これに対し、非特許文献1、2に見られるように、二酸化炭素を原料とするポリヒドロキシポリウレタン樹脂については以前から知られているが、その応用展開は進んでいないのが実情である。その理由は、同種系の高分子化合物として対比されるポリウレタン系樹脂に比べ、その特性面で明らかに劣るからである。
先述したような背景下、再び、前記したポリヒドロキシポリウレタン樹脂が見直されている。すなわち、この樹脂の原料である二酸化炭素は、容易に入手可能、かつ、持続可能な炭素資源であり、さらに、二酸化炭素を原料とするプラスチックは、温暖化や海の酸性化、枯渇資源などの問題を解決する有効な手段となり得ると考えられる。
特開平6−177412号公報 特開2002−134771号公報
N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polmer Chem.,1993,31(11), 2765
上記したような状況下、今後の利用拡大が予想されている太陽電池モジュールを構成する各材料についても再検討が望まれる。このため、その一部材のバックシートの形成に使用される接着剤に対しても、上記の観点を含めた高い性能が要求されており、基本性能として、長期間の接着性や耐久性を維持するだけでなく、接着されたものが、耐候性や高いガスバリア性や水分バリア性に優れることを十分に満足すると共に、地球規模での環境保全性を持った環境対応製品の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、太陽電池モジュール用バックシートの接着剤として使用した場合に、形成した接着剤層が、長期間の接着性や耐久性が維持できるだけでなく、バックシートに要求される耐久性や耐候性を満足し、特に高いガスバリア性や水分バリア性を十分に満足できると同時に、使用する接着剤の原材料の一部が二酸化炭素である、環境対応製品としても優れたものにできる樹脂を開発することで、太陽電池モジュールの一部材としてのバックシートを、より特性に優れた付加価値の高いものにすることにある。すなわち、本発明の目的は、高い基本性能を実現することで、良好な性能の太陽電池モジュールが提供でき、しかも、その原材料の面で地球規模の環境保全に寄与できる、多面的に優れた特長を有する太陽電池モジュール用バックシートを提供することにある。
上記目的は以下の発明によって達成される。すなわち、本発明は、(1)複数種のフィルムが接着剤層を介して積層してなる、太陽電池モジュールを構成する一部材である太陽電池モジュール用バックシートにおいて、上記接着剤層の少なくともいずれかが、二酸化炭素を原材料の一部として反応させて得られるポリヒドロキシポリウレタン樹脂で形成された硬化皮膜層であり、該ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなる樹脂であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシートを提供する。
本発明の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
(2)前記分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物と二酸化炭素を反応して得られる反応物である前記(1)に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
(3)前記硬化皮膜層が、その構造中に二酸化炭素からなる構成成分(−COO−)を1〜30質量%の範囲で占めるポリヒドロキシポリウレタン樹脂から形成されてなる前記(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
(4)前記硬化皮膜層が、ドライラミネートにより形成されてなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシート。
本発明によれば、バックシートに用いる接着剤を特有のポリヒドロキシポリウレタン樹脂とし、接着剤層を、当該樹脂を、例えば、ドライラミネートによって迅速に形成された硬化皮膜層とすることで、耐久性や耐候性の基本性能を満足することは勿論、特に高いガスバリア性及び水分バリア性に優れ、さらに地球環境の観点からも、使用する樹脂の原材料として二酸化炭素が多く使用され、硬化皮膜に二酸化炭素が取り入れられることで温暖化ガス削減に寄与できる、環境対応製品としても有用な太陽電池モジュール用バックシートが提供される。
太陽電池モジュールの一例の基本構成を示す模式断面図。 太陽電池モジュール用バックシートの一例を示す模式断面図。 実施例で作製した太陽電池モジュール用バックシートの試験シートを示す模式断面図。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、太陽電池モジュールを構成する一部材であり、複数種のフィルムが接着剤層を介して積層してなるが、該接着剤層が、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリヒドロキシウレタン樹脂からなる、例えば、ドライラミネートによって形成されてなる硬化皮膜層であることを特徴とする。以下、本発明のバックシートを特徴づける接着剤層の形成に用いられる接着剤を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂について説明する。本発明を特徴づける当該樹脂は、特に分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物と、ジアミン等のアミン化合物との反応から誘導されてなるため、別途、イソシアネート等の架橋剤を用いることなく、迅速に3次元架橋して硬化皮膜として得られる。このため、本発明を特徴づけるポリヒドロキシポリウレタン樹脂を、バックシートを作製する際の接着剤として用い、ドライラミネート等の方法でフィルムを接着させれば、その接着剤層は硬化皮膜となり、その結果、優れた耐久性や耐候性に加え、より高いガスバリア性及び水分バリア性に優れたバックシートを迅速に提供することが可能になる。
本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂を得るために使用する分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物は、分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。下記[式−A]は、エポキシ基と二酸化炭素とを反応することで得られる5員環環状カーボネート基を示す。さらに詳しくは、当該5員環環状カーボネート基を得るための反応は、例えば、エポキシ化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下、及び触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で、常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間二酸化炭素と反応させることによって得られる。なお、上記反応から得られる分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物を利用して得られるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、高い二酸化炭素削減効果をもたらす。具体的には、本発明で使用するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、その構造中に二酸化炭素からなる構成成分(−COO−)を1〜30質量%の範囲で占めるものになる。
Figure 0005936272
上記合成の際に好適に使用できる分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物(ポリエポキシ化合物)としては、例えば、次の如き化合物が挙げられる。
(ポリエポキシ化合物)
Figure 0005936272
Figure 0005936272
本発明においては、上記に列挙したようなポリエポキシ化合物を使用する際に、適時、下記に示したようなジエポキシ化合物を混合して利用してもよい。
(ジエポキシ化合物)
Figure 0005936272
Figure 0005936272
本発明を構成するポリヒドロキシポリウレタン樹脂を得るためには、以上に列記したようなポリエポキシ化合物を使用することを要するが、必要に応じて、該ポリエポキシ化合物と共に、以上に列記したようなジエポキシ化合物を使用することができる。しかし、これらは本発明において使用することができる好ましい化合物であって、本発明は、これらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
先に説明した[式−A]で示される、本発明で必須とするポリエポキシ化合物(ジエポキシ化合物の場合も同様)と二酸化炭素の反応において使用される触媒としては、塩基触媒及びルイス酸触媒が挙げられる。
塩基触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの第三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
上記触媒の量は、エポキシ化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部とすることが好ましく、さらには0.3〜20質量部とするとよい。上記使用量が0.1質量部未満では、触媒としての添加効果が小さ過ぎ、100質量部を超えると最終樹脂の諸性能を低下させる場合があるので好ましくない。残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、反応終了後に純水で洗浄して、残留触媒を除去する構成としてもよい。
ポリエポキシ化合物と二酸化炭素の反応において、使用することができる有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤と他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノンなどの混合系で使用してもよい。これらの有機溶媒は、本発明でポリヒドロキシポリウレタン樹脂を接着剤として用いる際の希釈溶媒等としても使用することができる。
本発明で用いるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、下記[式−B]に示すように、先に説明したようにして得られる分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物と、後述するようなアミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させることで得ることができる。先にも述べたように、本発明で用いるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物と、後述するようなアミン化合物とが反応してなる硬化皮膜として得ることができるものである。このため、この樹脂を、バックシートの接着剤として用いる場合は、未反応或いは反応が十分でない状態の混合した樹脂原料を塗布し、その後に加熱することで硬化皮膜からなる接着剤層を形成することが有用である。先に述べたように、例えば、本発明を特徴づけるポリヒドロキシポリウレタン樹脂を接着剤とし、ドライラミネート等の方法でフィルムの接着を行えば、イソシアネート等の架橋剤を使用することなく、迅速に、接着剤層を、耐久性やガスバリア性等に優れる3次元架橋してなる硬化皮膜とすることができる。
Figure 0005936272
上記反応で使用することができるアミン化合物としては、ジアミンが好ましいが、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族アミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族アミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4’−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの脂環族アミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。
以上列記したアミン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
本発明を特徴づけるポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物と、アミン化合物との反応物として得られるものである。このため、従来のポリオールとポリイソシアネートとの反応物として得られるポリウレタン系樹脂では不可能であった水酸基を生成し、本発明者らの検討によれば、このような樹脂をバックシートの接着剤層の形成に用いることで、バックシートに、さらなる性能の向上がもたらすことができる。より具体的に述べれば、水酸基は親水性を有しているため、基材に対して接着性を向上させることができ、これと同時に、従来のポリウレタン樹脂では達成できなかった高いガスバリア性をも得ることができる。
上記で説明したポリヒドロキシポリウレタン樹脂をバックシートの接着剤として使用する場合には、希釈溶媒として先に挙げたような有機溶剤を含有させてもよく、さらに下記に挙げるような添加剤などを含有させてもよい。添加剤としては、フィルムやコーティグ膜を形成する際に、機能付与等を目的として一般的に使用されている添加剤などを適宜に用いることができる。添加剤の具体例としては、レベリング剤、コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子やポリメチルメチクリレート系やポリウレタン系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、シランカップリング剤、チタン白、カーボンブラック、有機顔料、顔料分散剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤、可塑剤、防錆剤、有機系及び無機系の紫外線吸収剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤等が挙げられるが、本発明はかかる例示に限定されるものではない。
本発明のバックシートは、複数種のフィルムを、接着剤層を介して積層してなるが、これらの接着剤層は、少なくともいずれかが上記した特定のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜で形成されたものであればよい。勿論、全ての接着剤層を上記したポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜で形成することがより好ましい。本発明で使用する接着剤は、接着剤層を形成した場合に、該接着剤層が上記したポリヒドロキシポリウレタン樹脂からなる硬化皮膜層であることを要するが、例えば、太陽電池の形成材料に用いられる充填材に対する接着性を向上させるなどの目的で、上記したポリヒドロキシポリウレタン樹脂に、その他の接着剤樹脂成分を含有させて性能バランスを調整したものであってもよい。この際に使用するその他の樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
次に、複数種のフィルムが接着剤層を介して積層され、当該接着剤層が、上記した特定のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜である本発明のバックシートを構成する、その他の材料および構造について説明する。
図2は、本発明のバックシートの一実施形態に係わるシート構造を示す模式断面図である。図2に示したバックシート5は、基材フィルム6、接着剤層7、ガスバリアフィルム8、接着剤層7、上記と同一或いは別の材料からなる基材フィルム10の順番で、機能性が異なる複数のフィルムが、上記で説明した特有の接着剤で形成した接着剤層7を介して積層されている。なお、図2に示したガスバリアフィルム8は、基材フィルム6に蒸着層が形成されてなるものであるが、この点の詳細については後述する。以下、図2に示した実施形態の本発明のバックシートを例に用い、本発明のバックシートを構成し得るフィルム材料などについて詳細に説明する。
図2に示した構造の本発明のバックシートを構成する基材フィルム6に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、以下に示す樹脂からなるフィルムを目的に合わせて適宜に用いることができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。上記の樹脂の中でも、高熱性、強度、耐候性、耐久性、ガスバリア性等を有し、アルミニウム蒸着層との接着性に優れているポリエステル樹脂、フッ素樹脂及び環状ポリオレフィン樹脂が好ましい。
上記したような樹脂材料からなる基材フィルム6は、必要に応じて、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの接着性を向上させるための表面処理を施したものであってもよい。
また、基材フィルム6の厚みは、10μm〜300μmであることが好ましい。厚みが10μm未満であると、例えば、機能を付与するために表面にアルミニウム蒸着等の蒸着加工をした際に、カールが発生しやすくなるため、好ましくない。一方、厚みが300μmを超えると、太陽電池モジュールの薄型化や軽量化に反することになるため好ましくない。
上記した基材フィルム(6)の形成材料中には、加工性、耐熱性、耐候性、機械強度、寸法安定性等を改良する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。この添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、防カビ剤、顔料、耐炎剤等が挙げられる。
本発明のバックシートを構成する特有のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜で形成された接着剤層は、下記に挙げるような方法で形成することができる。具体的には、まず、いずれかのフィルム上に、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の原料である、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物とアミン化合物とを含む塗工液をグラビアコート、ロールコート、バーコート、リバースコートなどの方法で塗工する。そして、ドライラミネートなどの方法で、該塗工面に他のフィルムを貼り合わせることで、特定のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化薄膜からなる接着剤層が迅速に形成される。このようにして形成される接着剤層の厚みは、接着性や耐候性の観点から0.1μm〜50μmが好ましく、より好ましくは0.5μm〜30μmの範囲である。この範囲よりも接着剤層の硬化薄膜の厚みが薄い場合は、接着強度やバリア蒸着層の欠陥封止機能が得られないおそれがあるため、好ましくない。一方、この範囲よりも接着剤層の硬化薄膜の厚みが厚い場合は、十分な接着強度や耐久性が得られないおそれがあるので好ましくない。
ガスバリヤフィルム8としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔であってもよいが、図2に示したような、金属蒸着フィルムや酸化物蒸着フィルムなどの、基材フィルム6表面に蒸着層9が形成されてなる蒸着基材を用いることができる。
上記金属蒸着フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルムやポリオレフィン系延伸フィルムにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルムなどが挙げられる。
上記酸化物蒸着フィルムとしては、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化錫、酸化インジウム等の複合酸化物などをポリエステルフィルムに蒸着したフィルムが挙げられ、好ましく使用される。これらの酸化物蒸着フィルムにおいて、複合酸化物などの酸化物の蒸着層の厚さは、酸化物の種類や組成によって異なるが、一般に、均一な酸化物の蒸着層を形成させる観点から、5nm〜300nmの範囲が好ましい。柔軟性の付与及び外的応力による亀裂等の発生がないようにする観点からは、酸化物の蒸着層の厚さは、10nm〜150nmの範囲であることが好ましい。また、酸化物の蒸着層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法をはじめ、薄膜形成方法であるスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図2に示した構造のバックシートを構成する基材フィルム10は、太陽電池モジュールを作製する際に、充填材(封止剤)2と貼り合わせる側に位置するものである。このため、先に挙げた基材材料の中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のシートや充填材に対して接着性のある形態のフィルムであることが好ましい。
本発明は、バックシートを構成する接着剤層の少なくともいずれか、或いはその全てが、特定のポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜で形成されてなることを特徴とするが、このような構成とすることで、耐久性、耐候性、特にガスバリア性に優れた太陽電池モジュール用バックシートとなる。その理由は、接着剤層を形成している、ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の有する水酸基が、基材シートと界面で強く相互作用することにより、基材に対する優れた接着性や可とう性を有することによると考えられる。上記に加えて、本発明で使用するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は硬化皮膜として得られるため、イソシアネート等の架橋剤を用いることなく、上記した優れた性能のバックシートを実現できる。さらに、本発明で使用するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物を用いて合成されるが、前記したように、該5員環環状カーボネート化合物は、エポキシ化合物と二酸化炭素を反応させて得られるものであるため、樹脂中に多くの二酸化炭素を取り入れ、固定化することができる。このことは、本発明によって、温暖化ガス削減の観点からも有用な、従来品では到達できなかった環境保全対応製品としてのバックシートの提供が可能となることを意味している。
次に、本発明で規定する特定の樹脂を得るために用いる化合物の製造例、実施例に使用する塗布液を作製するための重合例、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の各例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<製造例1>(4個の5員環環状カーボネート基を有する化合物の製造)
撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式(A)で表される4価エポキシ化合物(TETRAD−X(商品名)、三菱瓦斯化学(株)製;エポキシ当量90.1g/mol、以下、化合物(A)と呼ぶ。)100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.5部を加え均一に溶解させた。
Figure 0005936272
その後、炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら80℃で30時間加熱撹拌させた。反応終了後、得られた溶液をエバポレーターにてN−メチルピロリドン除去しながら濃縮し、メチルエチルケトン/トルエン(=1/1)の混合液200部を加えて希釈した。そして、この希釈液を2回水洗してN−メチルピロリドン及びヨウ化ナトリウムを除去した。水洗後、エバポレーターにて濃縮し、濃赤色透明粘調液の5員環環状カーボネート化合物(1−A)135部(収率91%)を得た。
得られた生成物の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720にて測定した。以下同じ。)は、910cm-1付近のエポキシ基由来のピークが生成物ではほぼ消滅し、1,800cm-1付近に原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、生成物の数平均分子量は568(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。得られた4個の5員環環状カーボネート基を有する化合物(1−A)中には、32.8%の二酸化炭素が固定化されている。
<製造例2>(4個の5員環環状カーボネート基を有する化合物の製造)
製造例1で用いた4価エポキシ化合物(A)の代わりに、下記式(B)(TETRAD−C(商品名)、三菱瓦斯化学(株)製;エポキシ当量91.6g/mol)100部を用い、製造例1と同様に反応させ、濃赤色透明粘調液の4個の5員環環状カーボネート基を有する化合物(1−B)137部(収率93%)を得た。生成物は、赤外吸収スペクトル、GPC及びNMRで確認した。得られた化合物(1−B)中には、32.4%の二酸化炭素が固定化されている。
Figure 0005936272
<製造例3>(3個の5員環環状カーボネート基を有する化合物の製造)
製造例1で用いた4価エポキシ化合物(A)の代わりに、下記式(C)(EX−314(商品名)、ナガセケムテック(株)製;エポキシ当量144.0g/mol)100部を用い、製造例1と同様に反応させ、淡黄色透明液の3個の5員環環状カーボネート基を有する化合物(1−C)144部(収率95%)を得た。生成物は、赤外吸収スペクトル、GPC及びNMRで確認した。得られた化合物(1−C)中には、33.6%の二酸化炭素が固定化されている。
Figure 0005936272
<重合例1〜3>(ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜からなる接着剤層を形成するための接着剤用塗布液の調製)
上記した製造例1〜3で得られた各5員環環状カーボネート化合物に、固形分が15%になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加え、均一に溶解した。次に、表1に記載の各アミン化合物を所定当量加え、バックシートを構成する接着剤層となるポリヒドロキシポリウレタン樹脂の硬化皮膜を形成するための混合塗布液をそれぞれ調製した。上記のようにして得た各混合塗布液は、その成分が反応(重合)することで反応物としてポリヒドロキシポリウレタン樹脂が得られるが、反応(重合)すると硬化皮膜となる。このため、表1に示したように、重合例1〜3の場合は、樹脂の溶液粘度及び数平均分子量を測定することはできない。
<比較重合例1>(ポリエステルウレタン樹脂)
下記のようにして、比較例で用いるポリエステルウレタン樹脂を合成した。撹拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、250部のジメチルホルムアミド中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら62部の水添加MDI(メチレンビス(1,4−シクロヘキシレン)−ジイソシアネート)を171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させて、比較のための接着剤用の樹脂溶液を得た。
<比較重合例2>(ポリカーボネートポリウレタン樹脂)
比較重合例1と同様にして比較例で用いるポリカーボネートポリウレタン樹脂を合成した。比較重合例1で用いたと同様の反応容器に、平均分子量約2,000のポリカーボネートジオール(宇部興産(株)製)150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら62部の水添加MDIを171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させて、比較のための接着剤用の樹脂溶液を得た。
表1に、重合例1〜3の樹脂の組成とその硬化皮膜の性状、比較重合例1〜2の樹脂の性状と形成した膜の性状をまとめて記載した。
Figure 0005936272
<実施例1〜3、比較例1、2>
重合例1〜3、比較重合例1、2の樹脂をそれぞれ接着剤の主成分として用い、図3に示す構造の太陽電池モジュール用バックシートの試験シートを、下記のようにして作製した。具体的には、表2に示したように、重合例1〜3では、上記で調製した接着剤用塗布液を用い、比較重合例1、2では、上記で調製した樹脂溶液に架橋剤としてイソシアネートをさらに添加したものを接着剤用塗布液として用いた。そして、得られた各試験シートについて、下記の方法でそれぞれ評価した。
Figure 0005936272
[太陽電池モジュール用バックシートの試験シートの製造]
厚さ25μmのPET樹脂フィルム(基材)6の一方の面に、真空蒸着法により厚さ50nmのアルミニウムの蒸着層9を積層し、バリアフィルムシート(蒸着基材)8を作製した。このようにして作製したバリアフィルムシート8を2枚用い、図3に示したように、一方のシートのアルミニウム蒸着層9と他方のPET樹脂フィルム(基材)6の背面が重なるように(アルミニウム蒸着層が同じ側に向く状態)、該基材6表面に、表2に示した重合例1〜3、比較重合例1、2の各接着剤層用塗布液を、乾燥後の厚みが10μmになるように塗工した。そして、エージング条件を、80℃・1Hrとするドライラミネート加工により積層接着することで、太陽電池モジュール用バックシートの各試験シートを得た。
[評価]
上記で得た各試験シートを用いて、下記の方法及び基準で評価した。結果を表3にまとめて示した。
(酸素ガス透過度)
実施例及び比較例の各試験シートの酸素ガス透過度を、MOCON社(米)・OX−TRANで、JIS−K−7126に準じて測定した。その結果を表3に示した。
(水蒸気透過度)
実施例及び比較例の各試験シートの水蒸気透過度を、MOCON社(米)・Permatran−Wで、JIS−Z−0208B法に準拠し、温度40℃・相対湿度90%の条件で測定した。その結果を表3に示した。
(ラミネート強度)
実施例及び比較例の各試験シートをA4サイズに切断し、85℃・85%RHの恒温槽に1,000時間放置後の試験片を引張試験機により180°の剥離強度を測定した。その結果を表3に示した。
(環境対応性)
実施例及び比較例の各試験シートの接着剤層に用いた樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無によって、○×で評価した。その結果を表3に示した。
Figure 0005936272
表3の結果から明らかなように、バックシートの接着剤層を、特定のポリヒドロキシポリウレタン樹脂を含む接着剤で迅速に形成された硬化皮膜層としたことにより、耐久性、耐候性、特にガスバリア性や水分バリア性に優れた太陽電池モジュール用バックシートを得ることが可能になる。ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の有する多くの水酸基は、基材シートと界面で強く相互作用するため、当該樹脂の硬化皮膜からなる接着剤層は、基材に対する優れた接着性や可とう性が付与されたものとなる。
また、本発明で使用するポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、多くの二酸化炭素を樹脂中に取り入れて固定化した、地球温暖化、資源枯渇などの問題解決に資する有用な材料であるため、これを用いて得られる太陽電池モジュール用バックシートも、従来品では到達できなかった環境保全対応の製品の提供を可能とするものとなる。
1:ガラス板
2:充填材(EVA)
3:太陽電池素子(セル)
4:カバー材
5:バックシート
6:基材フィルム
7:接着剤層
8:ガスバリアフィルム
9:蒸着層
10:基材フィルム(EVA)

Claims (4)

  1. 複数種のフィルムが接着剤層を介して積層してなる、太陽電池モジュールを構成する一部材である太陽電池モジュール用バックシートにおいて、
    前記接着剤層の少なくともいずれかが、二酸化炭素を原材料の一部として反応させて得られるポリヒドロキシポリウレタン樹脂で形成された硬化皮膜層であり、該ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物とアミン化合物との反応から誘導されてなる樹脂であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
  2. 前記接着剤層を介して積層させたフィルムのいずれかが、厚みが10μm〜300μmである基材フィルムに、金属箔又は蒸着層が形成されてなるガスバリアフィルムである請求項1に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  3. 前記分子内に3個以上の5員環環状カーボネート基を有する化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物と二酸化炭素を反応して得られる反応物である請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  4. 前記硬化皮膜層が、その構造中に二酸化炭素からなる構成成分(−COO−)を1〜30質量%の範囲で占めるポリヒドロキシポリウレタン樹脂から形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
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