以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられることを意味する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project) SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム401は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。図1では、2つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。通信システム401は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW(Serving Gateway)161と、MME(Mobility Management Entity)162と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを含む。
無線端末装置202は、無線基地局装置101Aまたは無線基地局装置101Bと、S−GW161と、P−GW163と、ルータ171〜173とを介してIP網302におけるサーバ174と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。IP網302では、経由するルータの数に応じてIPパケットの伝送遅延時間が増大する。
より詳細には、無線基地局装置101A,101Bは、無線信号を無線端末装置202と送受信することにより、無線端末装置202との通信を行なう。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ174からルータ171〜173およびP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、通信システム401における無線基地局装置101A,101B、および無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101Bとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101Bは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101A,101BおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやり取りする。
無線基地局装置101A,101BおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやり取りする。
MME162およびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやり取りする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやり取りする。
図2は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおいてハンドオーバ動作が行なわれる状況の一例を示す図である。
図2を参照して、無線基地局装置101A,101Bは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここで、無線端末装置202からコアネットワーク301への方向を上り方向と称し、コアネットワーク301から無線端末装置202への方向を下り方向と称する。
また、無線端末装置202と通信中の無線基地局装置またはハンドオーバ元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、ハンドオーバ先の無線基地局装置をターゲット基地局とも称する。以下、無線基地局装置101Aがサービング基地局であり、無線基地局装置101Bがターゲット基地局である場合について説明する。
本発明の実施の形態に係る通信システムにおける無線基地局装置および無線端末装置は、以下の各シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ動作の実行判断に電力測定処理(Measurement)を利用する。この電力測定処理は、たとえば3GPPでは、レイヤ3スタックのRRC(Radio Resource Control)に対応する。
電力測定処理には、たとえば、周期的電力測定処理(Periodic Measurement)およびイベント起動電力測定処理(Event Triggered Measurement)の2種類がある。イベント起動電力測定処理における測定結果通知(Measurement Report)の送信は、無線端末装置202における電波環境が所定条件を満たしたことによって開始される。
たとえば3GPPでは、周期的電力測定処理の報告周期は120ミリ秒〜60分で設定可能あり、イベント起動電力測定処理の報告周期は0〜5120ミリ秒で設定可能であるが、”TS36.508”および”TS36.523”において推奨値として記載されているように、測定結果の報告周期の最短時間は、イベントA1の256ミリ秒であり、それほど短くない。
図3は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるハンドオーバ動作およびデータフォワーディング動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図2に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。また、基地局−基地局間の論理インタフェースであるX2インタフェースが無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101B間で用いられない場合について説明する。
図3を参照して、まず、無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202間で通信コネクション具体的にはRRCコネクションが確立している状態において、無線基地局装置101Aは、自己および他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を無線端末装置202に測定させるための指示を含むRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を無線端末装置202へ送信する。このRRCコネクション再構成指示には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS1)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する。ここでは、無線端末装置202は、イベント起動電力測定処理を行なうものとする。
そして、無線端末装置202は、たとえば、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、受信電力の測定結果を示す受信電力情報すなわち測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS2)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきか否かを判断し、ハンドオーバ動作を実行すべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS3)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求をMME162へ送信する(ステップS4)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS5)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、RRCコネクション確立処理を行ない(ステップS6)、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS7)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS8)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202へハンドオーバ指示を含むRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS9)。ここで、無線基地局装置101Aは、RRCコネクション再構成指示の送信に伴い、当該無線端末装置202へのパケット送信を停止する。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、ターゲット基地局である無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる(ステップS10)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の内容を含む、無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS11)。
そして、無線基地局装置101Aは、S1インタフェース経由のデータフォワーディングを開始する、すなわち、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS12およびステップS13)。以下、このようにS1インタフェースを用いる転送動作をインダイレクトデータフォワーディングとも称する。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS14)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう(ステップS15)。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該パケットをS−GW161へ送信する(ステップS16)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信し(ステップS17)、RRCコネクションが確立する(ステップS18)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS19)。
次に、S−GW161は、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える(ステップS20)。
次に、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS21)。
次に、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS22)。
そして、S−GW161は、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了し、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する(ステップS23)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく(ステップS24)。
次に、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する。無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする(ステップS25およびステップS26)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する(ステップS27)。
また、MME162は、S−GW161からベアラ変更応答を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS28)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し(ステップS29)、MME162へ端末情報解放完了通知を送信し(ステップS30)、RRCアイドル状態となる(ステップS31)。
図4は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるハンドオーバ動作およびデータフォワーディング動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図2に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。また、基地局−基地局間の論理インタフェースであるX2インタフェースが無線基地局装置101Aおよび無線基地局装置101B間で用いられる場合について説明する。
図4を参照して、ステップS41〜ステップS43の動作は、図3に示すステップS1〜ステップS3の動作と同様である。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS44)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、RRCコネクション確立処理を行ない(ステップS45)、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS46)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へハンドオーバ指示を含むRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS47)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、ターゲット基地局である無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる(ステップS48)。
そして、無線基地局装置101Aは、X2インタフェース経由のデータフォワーディングを開始する、すなわち、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS49)。以下、このようにX2インタフェースを用いる転送動作をダイレクトデータフォワーディングとも称する。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS50)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう(ステップS51)。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該パケットをS−GW161へ送信する(ステップS52)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信し(ステップS53)、RRCコネクションが確立する(ステップS54)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS55)。
次に、S−GW161は、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える(ステップS56)。
次に、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS57)。
次に、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS58)。
そして、S−GW161は、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了し、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する(ステップS59)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく(ステップS60)。
次に、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送する。無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする(ステップS61)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する(ステップS62)。
また、MME162は、S−GW161からベアラ変更応答を受信して、当該ベアラ変更応答を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS63)。
無線基地局装置101Bは、MME162からベアラ変更応答を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS64)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し(ステップS65)、無線基地局装置101Bへ端末情報解放完了通知を送信し(ステップS66)、RRCアイドル状態となる(ステップS67)。
次に、データフォワーディングがパケットの伝送遅延に与える影響について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるハンドオーバ動作中の下りパケットの流れを示す図である。
図5を参照して、ハンドオーバ動作におけるS−GW161から無線端末装置202へのパケットPの伝送経路として、S−GW161からサービング基地局101Aを経由して無線端末装置202へ到達する経路RA、およびS−GW161からターゲット基地局101Bを経由して無線端末装置202へ到達する経路RBがある。
また、データフォワーディングが行なわれる場合には、これらの経路に加えて、S−GW161からサービング基地局101Aおよびターゲット基地局101Bを経由して無線端末装置202へ到達する経路RCが存在する。
図6は、図4に示すハンドオーバ動作およびデータフォワーディング動作のシーケンスを概略的に示す図である。
図6を参照して、ハンドオーバ動作の性能に影響を与える要因として、(1)ハンドオーバ準備時間、(2)ハンドオーバ実行時間、(3)データフォワーディングによるパケットの遅延時間、(4)パス切り替え時間、および(5)ターゲット基地局における転送パケットの処理がある。
図7は、ハンドオーバ準備時間を説明するための図である。
図7を参照して、(1)ハンドオーバ準備時間は、サービング基地局101Aがハンドオーバ動作の実行を判断してから、ハンドオーバ指示を無線端末装置202へ送信するまでの時間である。
ハンドオーバ準備時間において、無線端末装置202は、サービング基地局101Aと通信する。ハンドオーバ準備時間が長いと、ターゲット基地局101Bからの電波干渉によって無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)の発生確率が高くなる。
図8は、ハンドオーバ実行時間を説明するための図である。
図8を参照して、(2)ハンドオーバ実行時間は、無線端末装置202およびターゲット基地局101B間のRRCコネクションが確立してから、無線端末装置202およびターゲット基地局101B間をパケットPが流れ始めるまでの時間である。
ハンドオーバ実行時間は、たとえば3GPPで規定されているランダムアクセス手順(Random Access Procedure)およびアタッチ手順(Attach Procedure)に要する時間に相当する。ハンドオーバ実行時間が長いと、パケットの伝送遅延が大きくなる。
図9は、データフォワーディングによるパケットの遅延時間を説明するための図である。
図9を参照して、(3)データフォワーディングによるパケットの遅延時間は、データフォワーディングにおいてサービング基地局101Aからターゲット基地局101Bへパケットを転送するのに要する時間である。この遅延時間が長いと、S−GW161から無線端末装置202までのパケットの伝送遅延が大きくなる。
インダイレクトデータフォワーディングが行なわれる場合、すなわちサービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間でX2インタフェースが存在しない場合には、各無線基地局装置とS−GW161との間で論理パスを確立することにより、すなわちS1インタフェースを用いることにより、パケットの転送が行なわれる。この場合、パケットの伝送遅延がより大きくなる。
図10は、パス切り替え時間を説明するための図である。
図10を参照して、(4)パス切り替え時間は、S−GW161におけるパス切り替えの実行をターゲット基地局101Bが判断してから、サービング基地局101Aを経由せずにS−GW161からターゲット基地局101Bへ直接パケットが流れ始めるまでの時間である。
パス切り替え時間が長いと、サービング基地局101A経由の伝送経路すなわちデータフォワーディング用の伝送経路が長時間使用されることになるため、パケットの伝送遅延が大きくなる。
図11は、ターゲット基地局における転送パケットの処理を説明するための図である。
図11を参照して、S−GW161がパスを切り替えてからある程度の時間が経過するまでは、S−GW161からターゲット基地局101Bへ直接送信されるパケットP11と、S−GW161からサービング基地局101A経由でターゲット基地局101Bへ送信されるパケットP12とが併存することになる。
この場合、ターゲット基地局101Bは、前述のようにエンドマーカを用いることにより、最後の転送パケットを送信した後、S−GW161から直接送信されるパケットの送信を開始する。
ここで、前述のように、サービング基地局101Aは、ハンドオーバ動作によって無線端末装置202宛のパケットの無線区間における伝送経路を切り替える際、自己のバッファに残っている当該無線端末装置202宛のパケットについては、基本的にデータフォワーディングを行なう。
一方、非特許文献1に記載されているように、サービング基地局101Aは、たとえば、再送処理中のパケットについては、データフォワーディングを行なわない。サービング基地局101Aおよび無線端末装置202は、たとえば、ハンドオーバ動作の準備完了、すなわちハンドオーバ指示が無線端末装置202へ送信された後、当該ハンドオーバ指示に対する応答の送受信を待つことなく、再送処理中のパケットをすべて廃棄する。
図12は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおけるパケットの伝送経路を示す図である。
図12を参照して、通常パス経由でコアネットワーク301からターゲット基地局101Bへ伝送されたパケットよりも、データフォワーディングによってサービング基地局101Aからターゲット基地局101Bへ転送されるパケットの方が、伝送遅延が大きい。
さらに、インダイレクトデータフォワーディング、すなわちS1インタフェース経由のデータフォワーディングでは、S−GW161と無線基地局装置101との論理パスを確立するための処理が必要となるため、ダイレクトデータフォワーディング、すなわちX2インタフェース経由のデータフォワーディングよりもパケットの伝送遅延が大きい。すなわち、X2インタフェース経由では、S1インタフェース経由とは異なり、無線基地局装置間で直接、論理パスを確立してメッセージのやり取りが行なえるため、パケットの伝送遅延が小さくなる。
なお、図12は、パケットの論理的な伝送経路を示しており、ダイレクトデータフォワーディングによって転送されるパケットも、物理的にはコアネットワーク301経由で伝送される。
LTEで定義されているデータフォワーディング機能は、これまで説明したように、ハンドオーバ動作の実行中において、サービング基地局が、無線端末装置202と通信できなくなっている期間の下りパケットをターゲット基地局へ転送し、ターゲット基地局と無線端末装置202とが通信可能となった後にターゲット基地局から転送パケットを無線端末装置202へ送信する機能である。これにより、ハンドオーバ動作の実行中のパケットロスを防ぎ、無線端末装置202およびコアネットワーク301間の通信を継続することが可能となる。
図13は、データフォワーディングによって転送される下りパケットの送信遅延による課題を説明するための図である。
図13を参照して、データフォワーディングでは、ハンドオーバ指示が送信されてから下りパス切り替えによりS−GW161とターゲット基地局101Bとの間でパスが作成されるまでの間に、サービング基地局101Aで蓄積された下りパケットをターゲット基地局101Bへ送信する。
このため、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間の伝送速度が遅い場合、下りパケットの無線端末装置202への伝送速度が低下してしまう。また、下りパス切り替え後にターゲット基地局101BがS−GW161から直接受信する下りパケットをターゲット基地局101B内で蓄積するためのバッファ容量を大きくする必要が生じてしまうか、あるいは、下りパケットが当該バッファからあふれてしまう。
図14(a)および図14(b)は、データフォワーディングによって転送される下りパケットの伝送経路を示す図である。
図14(a)を参照して、特にフェムト基地局間でデータフォワーディングが行なわれる場合には、X2インタフェースが通常は存在しない。このため、S1インタフェース経由によるインダイレクトデータフォワーディングが行なわれることになり、さらに遅延を引き起こす可能性がある。
図14(b)を参照して、フェムト基地局は、主に宅内および企業内、あるいは商用施設で使用されるため、X2インタフェースが利用可能でダイレクトデータフォワーディングが行なわれる場合でも、マクロ基地局間におけるデータフォワーディングとは異なり、専用回線ではなくブロードバンドネットワークすなわち固定回線経由で下りパケットが転送される。このため、X2インタフェースを利用してフェムト基地局間でデータフォワーディングを行った場合でも、遅延が発生する可能性は高いと考えられる。
図15は、フェムト基地局においてデータフォワーディングが行なわれる場合の下りパケットの伝送経路を示す図である。
図15を参照して、特に、家庭内またはオフィスに設置されたフェムト基地局においてデータフォワーディングが行なわれる場合には、コアネットワーク301およびマクロ基地局間のような専用回線ではなく、コアネットワーク301およびフェムト基地局間をDSL(Digital Subscriber Line)およびFTTH(Fiber To The Home)等の一般回線経由でパケットが往復するため、パケットの伝送遅延が大きくなる。
このため、パケットの伝送遅延時間が、QCI(QoS Class Identifier)等で定義される許容遅延時間を越えてしまう可能性が高くなる。
図16は、QCIの具体的な内容を示す図である。図16は、3GPP TS 23.203 table 6.1.7に記載された内容と同様である。
図16を参照して、無線端末装置202に提供されるサービスすなわちアプリケーションに対応する論理チャネルには、QCI(QoS Class Identifier)が付される。
QCIは、Qos(Quality of Service)の異なる9つのクラスを、1〜9の数字で表したものである。Qosの各クラスにおいて、サービスに応じて異なる許容遅延時間(Packet Delay Budget)が設定されている。
より詳細には、QCI=1のリソースタイプはGBR(Guaranteed Bit Rate)すなわち速度保証型であり、優先度は2であり、許容遅延時間は100msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-2であり、会話音声(Conversational Voice)等のサービスに用いられる。
QCI=2のリソースタイプはGBRであり、優先度は4であり、許容遅延時間は150msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-3であり、会話映像(Conversational Video(Live Streaming))等のサービスに用いられる。
QCI=3のリソースタイプはGBRであり、優先度は3であり、許容遅延時間は50msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-3であり、リアルタイムゲーム(Rea Time Gaming)等のサービスに用いられる。
QCI=4のリソースタイプはGBRであり、優先度は5であり、許容遅延時間は300msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-6であり、非会話映像(Non-Conversational Video(Buffered Streaming))等のサービスに用いられる。
QCI=5のリソースタイプはNon−GBRすなわち速度非保証型であり、優先度は1であり、許容遅延時間は100msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-6であり、IMSシグナリング(IMS Signaling)等のサービスに用いられる。
QCI=6のリソースタイプはNon−GBRであり、優先度は6であり、許容遅延時間は300msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-6であり、映像(Video(Buffered Streaming))又はTCPに従うデータ送信(たとえば、www、e−mail、chat、ftp、p2p file sharing、およびprogressive videoなど)等のサービスに用いられる。
QCI=7のリソースタイプはNon−GBRであり、優先度は7であり、許容遅延時間は100msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-3であり、音声(Voice)、映像(Video(Live Steaming))または双方向ゲーム(Interactive Gaming)等のサービスに用いられる。
QCI=8,9のリソースタイプはNon−GBRであり、優先度はそれぞれ8,9であり、許容遅延時間は300msであり、許容されるパケットエラーロスレートは10-6であり、映像(Video(Buffered Streaming))又はTCPに従うデータ送信(たとえば、www、e−mail、chat、ftp、p2p file sharing、およびprogressive videoなど)等のサービスに用いられる。
QCI=1等、高いリアルタイム性が要求されるサービスでは遅延要求が厳しく設定されており、また、許容遅延時間が比較的短く設定されている。一方、QCI=8等、リアルタイム性がさほど要求されないサービスでは、遅延要求が緩く、許容遅延時間が比較的長く設定されている。
データフォワーディングによってパケットの伝送遅延が大きくなると、このようなQCIで定められた要求を満たせない可能性がある。
そこで、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、以下のような構成および動作により、データフォワーディングに伴うパケットの伝送遅延の増大を抑制する。
[無線基地局装置]
図17は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図17を参照して、無線基地局装置101は、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98と、ネットワーク処理部99とを備える。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを含む。信号処理部95、制御部98およびネットワーク処理部99は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換し、変換後の通信データをネットワーク処理部99へ出力する。
ネットワーク処理部99は、受信信号処理部96から受けた通信データをコアネットワーク301へ送信するとともに、コアネットワーク301から受信した通信データを送信信号処理部97へ出力する。
送信信号処理部97は、ネットワーク処理部99から受けた通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、無線基地局装置101における各ユニットおよびコアネットワーク301との間で、各種情報をネットワーク処理部99経由でやり取りする。
図18は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置におけるネットワーク処理部および制御部の構成を示す図である。
図18を参照して、ネットワーク処理部99は、ネットワーク送信部11と、ネットワーク受信部12と、バッファ13と、送信制御部14と、転送制御部15とを含む。制御部98は、速度制御部21を含む。
ネットワーク受信部12は、たとえばIPパケットを含む通信データを、コアネットワーク301におけるS−GW161から受信し、受信した通信データをバッファ13に保存する。
送信制御部14は、バッファ13から取り出した通信データを信号処理部95における送信信号処理部97へ出力する。
転送制御部15は、自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作が実行される際、コアネットワーク301およびIP網302等の上位ネットワークから受信した当該無線端末装置202宛のパケットを他の無線基地局装置へ転送する転送動作すなわちデータフォワーディング動作を行なう。具体的には、転送制御部15は、データフォワーディング動作において、バッファ13から通信データを取り出してネットワーク送信部11へ出力する。
ネットワーク送信部11は、信号処理部95における受信信号処理部96、または転送制御部15から受けた、たとえばIPパケットを含む通信データをコアネットワーク301におけるS−GW161へ送信する。
図19は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるパケットの伝送速度制御の一例を示す図である。
図19を参照して、速度制御部21は、上位ネットワークから自己の無線基地局装置への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限可能である。
たとえば、速度制御部21は、データフォワーディングにおける自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのパケットの伝送速度を上記基準速度とする。すなわち、速度制御部21は、たとえばフェムト基地局間で伝送されるパケットの伝送速度に応じて、S−GW161およびフェムト基地局間の伝送速度を制限する。
より詳細には、速度制御部21は、たとえば、S−GW161およびフェムト基地局間のパケットの伝送速度を、フェムト基地局間で伝送されるパケットすなわちデータフォワーディングされるパケットの伝送速度に対して相対的に遅くなるように、MTU(Maximum translation Unit)サイズ、すなわち1パケットの最大データ量を調整するか、または無線基地局装置101における下りパケットの受信帯域の上限を調整する。
具体的には、速度制御部21は、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間のMTUがBである場合、S−GW161およびサービング基地局101A間のMTUをBより小さいAに設定する。
あるいは、速度制御部21は、ターゲット基地局101Bにおけるサービング基地局101Aからの転送パケットの受信帯域の上限がBBである場合、サービング基地局101AにおけるS−GW161からの転送パケットの受信帯域の上限をBBより小さいAAに設定する。
このような調整により、サービング基地局101Aに蓄積されてデータフォワーディングされるパケットの量を減らすことができる。
また、たとえば、速度制御部21は、上位ネットワークから他の無線基地局装置へのパケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
具体的には、速度制御部21は、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間のMTUがBである場合、S−GW161およびターゲット基地局101B間のMTUをBより小さいAに設定する。
あるいは、速度制御部21は、ターゲット基地局101Bにおけるサービング基地局101Aからの転送パケットの受信帯域の上限がBBである場合、ターゲット基地局101BにおけるS−GW161からの非転送パケットの受信帯域の上限をBBより小さいAAに設定する。
このような調整により、ターゲット基地局101Bに蓄積されるS−GW161からの非転送パケットの量を減らすことができる。
なお、速度制御部21は、S−GW161とサービング基地局101Aまたはターゲット基地局101Bとの間のパケットの伝送速度を、データフォワーディングされるパケットの伝送速度に対して相対的に遅くなるように制御する構成であるとしたが、これに限定するものではない。速度制御部21は、S−GW161とサービング基地局101Aまたはターゲット基地局101Bとの間のパケットの伝送速度を、各々の所定の基準速度よりも遅くなるように制御する構成であればよい。なお、これらの基準速度は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
また、サービング基地局101Aが上記のような速度制限を行なう構成に限らず、S−GW161またはターゲット基地局101Bが上記のような速度制限を行なう構成であってもよい。
図20は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるパケットの伝送速度制御の一例を示す図である。
図20を参照して、速度制御部21は、さらに、自己の無線基地局装置から無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
たとえば、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の変調方式を選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
また、たとえば、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の送信に使用するリソースを選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
より詳細には、無線基地局装置101では、たとえばフェムト基地局間で伝送されるパケットの伝送速度に応じて、無線端末装置202およびフェムト基地局間の伝送速度を制限する。
すなわち、速度制御部21は、たとえば、無線端末装置202およびフェムト基地局間の下りパケット伝送速度を、フェムト基地局間で伝送されるパケットすなわちデータフォワーディングされるパケットの伝送速度に対して相対的に遅くなるように、下り送信における変調方式またはリソースブロック数を調整する。ここで、リソースブロックは、無線端末装置202への無線信号の送信において割り当てられる、周波数および時間によって分割された単位である。
具体的には、サービング基地局101Aにおける速度制御部21は、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間の伝送速度を考慮して、たとえば、サービング基地局101Aから対象の無線端末装置202への下り送信における変調方式として、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が使用可能な電波環境であっても、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を使用する等の調整を行なう。
あるいは、サービング基地局101Aにおける速度制御部21は、対象の無線端末装置202に対して3つのリソースブロックの割り当てが可能であっても、1つのリソースブロックのみを割り当てる等の調整を行なう。
これにより、サービング基地局101Aおよび無線端末装置202間のパケットの伝送速度を、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間の伝送速度CCより小さいDDとすることができる。
なお、速度制御部21は、図19および図20で説明した伝送速度制御を選択的に行なう構成に限らず、両方を組み合わせて行なう構成であってもよい。すなわち、無線端末装置202も含めたネットワーク全体で伝送速度の調整を行なう構成であってもよい。
また、速度制御部21は、図20で説明した伝送速度制御において、変調方式およびリソースブロックの両方の調整を行なってもよい。
以上のような伝送速度制御の実行タイミングとして、たとえば、サービング基地局101Aにおける速度制御部21は、無線基地局装置間の伝送速度を考慮して、S−GW161および無線基地局装置間ならびに無線端末装置202および無線基地局装置間の伝送速度を調整する。
具体的には、速度制御部21は、データフォワーディングによってサービング基地局101Aからターゲット基地局101Bへ転送されるパケットの量から当該転送速度を算出する。あるいは、速度制御部21は、ターゲット基地局101Bに対してpingコマンドを実行することにより、当該転送速度を測定してもよい。
ここでは、転送速度が3Mbpsであったとする。速度制御部21は、サービング基地局101Aと通信中の無線端末装置202が10台存在する場合、通常時における1台あたりの受信帯域の上限を0.3Mbpsと算出する。そして、速度制御部21は、伝送速度制限の対象となる無線端末装置202の受信帯域の上限を、0.3Mbps未満に設定する。
図21は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるパケットの伝送速度制御の実行タイミングの一例を示す図である。
速度制御部21は、上記のように無線基地局装置間の転送速度を常時監視する構成であってもよいが、下りパケットの伝送速度の調整が必要となるタイミングは、データフォワーディング前後およびデータフォワーディング中である。このため、ハンドオーバ動作が発生しない限り、設定可能な最大伝送速度でパケットを伝送する方が、通信性能の観点からは好ましい。そこで、速度制御部21は、ハンドオーバ動作の発生を契機に伝送速度の制限を行なう。
すなわち、サービング基地局101Aにおける速度制御部21は、ハンドオーバ動作におけるタイミングに従って、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
前述のように、ハンドオーバ指示を含むRRCコネクション再構成指示が無線端末装置202へ送信されると、無線基地局装置101からの下りパケットの送信は停止される。このため、遅くともたとえば測定結果通知の受信を契機に伝送速度制限を実施する構成が望ましい。
具体的には、図21を参照して、速度制御部21は、たとえば、無線端末装置202における電波環境が所定条件を満たしたことによって無線端末装置202から送信される、無線基地局装置からの無線信号の無線端末装置202における受信電力を示す受信電力情報すなわち測定結果通知が、自己の無線基地局装置に到着したタイミングT1で、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
また、速度制御部21は、たとえば、自己の無線基地局装置がハンドオーバ先の無線基地局装置を決定したタイミングT2で、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
また、速度制御部21は、たとえば、自己の無線基地局装置がハンドオーバ先の無線基地局装置へハンドオーバ要求を送信したタイミングT3で、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、データフォワーディングが行なわれるタイミングよりもある程度前のタイミングで伝送速度の制限を行なうことができるため、データフォワーディングされるパケットの量を減らすことができる。
なお、速度制御部21は、上記タイミングT1〜T3に限らず、自己の無線基地局装置が無線端末装置202と通信コネクションを確立してからハンドオーバ動作の実行指示、すなわちRRCコネクション再構成指示を上記無線端末装置202へ送信するまでの期間におけるタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する構成であればよい。たとえば、速度制御部21は、上記タイミングT1〜T3に比べて効果は劣るが、タイミングT3から、ハンドオーバ指示を含むRRCコネクション再構成指示が無線端末装置202へ送信される(ステップS9)までの期間において、伝送速度の制限を行ってもよい。
図22は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置によるパケットの伝送速度制御の実行タイミングの他の例を示す図である。
速度制御部21は、ハンドオーバ動作が実行される前の、所定条件が満たされたタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する構成であってもよい。
図3および図4に示すシーケンスでは、ハンドオーバ動作を実行するためには、無線端末装置202のイベント起動電力測定処理が必要となる。ここで、無線端末装置202では、イベント起動電力測定処理が開始される前に周期的電力測定処理が行なわれている場合もある。このような場合、速度制御部21は、周期的電力測定処理の測定結果通知を参照して無線端末装置202の電波環境を確認し、当該電波環境に基づいて伝送速度の制限を行ってもよい。
すなわち、速度制御部21は、無線端末装置202から定期的に送信される、無線基地局装置からの無線信号の無線端末装置202における受信電力を示す受信電力情報が所定条件を満たしたタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
具体的には、図22を参照して、サービング基地局101Aは、周期的電力測定処理の実行指示を含むRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する(ステップS71)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局101AからRRCコネクション再構成指示を受信して、周期的電力測定処理を開始し、測定結果通知を定期的にサービング基地局101Aへ送信する(ステップS72およびS73)。
次に、サービング基地局101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知を参照して、無線端末装置202の電波環境から、ハンドオーバ動作が実行される可能性があり、パケットの伝送速度を制限する必要があると判断すると(ステップS74でYES)、伝送速度制限を開始する(ステップS75)。
たとえば、サービング基地局101Aは、無線端末装置202におけるサービング基地局101Aからの無線信号の受信電力が所定の閾値Th1未満である場合に、パケットの伝送速度を制限する必要があると判断する。この判断条件としては、たとえば、ハンドオーバ動作の実行判断条件よりも緩和された条件が設定される。具体的には、たとえば、サービング基地局101Aが、無線端末装置202におけるサービング基地局101Aからの無線信号の受信電力が所定の閾値Th2未満である場合にハンドオーバ動作を実行すると判断する構成において、閾値Th1を閾値Th2よりも大きい値に設定する。これにより、無線端末装置202の電波環境がある程度良いうちに、伝送速度制限を行なうことが可能となる。
次に、サービング基地局101Aは、イベント起動電力測定処理の実行指示を含むRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する(ステップS76)。
次に、無線端末装置202は、サービング基地局101AからRRCコネクション再構成指示を受信して、イベント起動電力測定処理を開始する。そして、無線端末装置202は、測定結果通知をサービング基地局101Aへ送信し(ステップS77)、サービング基地局101Aは、受信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作の実行判断を行なう(ステップS78)。
次に、X2インタフェースまたはS1インタフェース上のデータトラヒックに基づいて、無線区間、およびネットワーク内装置間すなわちコアネットワーク301経由の装置間の伝送速度を変更する動作について詳細に説明する。
図23は、本発明の実施の形態に係る通信システムにおける通信プロトコルを示す図である。
図23を参照して、たとえば、サービング基地局101Aにおいて、無線端末装置202と通信するためのプロトコルは、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤおよびPHYレイヤを含む。また、サービング基地局101Aにおいて、S−GW161およびターゲット基地局101Bと通信するためのプロトコルは、GTP−Uレイヤ、UDPレイヤ、IPレイヤ、DLLレイヤおよびPHYレイヤを含む。
また、サービング基地局101Aおよび無線端末装置202間では、Uuインタフェースが用いられる。また、サービング基地局101AおよびS−GW161間では、S1インタフェースが用いられる。また、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間では、X2インタフェースが用いられる。
速度制御部21は、X2インタフェースまたはS1インタフェース上の通信トラヒックを計測する。
図23に示すように、無線基地局装置101およびネットワーク内装置間でのユーザデータすなわちパケットの送受信には、X2インタフェースおよびS1インタフェースともにGTP−Uプロトコルが使用される。
そこで、速度制御部21は、GTP−Uプロトコルにおいて伝送される下り方向の単位時間当たりのパケット数を計測し、計測結果をO&M(Operation and Management)機能またはRRM(Radio Resource Management)を用いて収集し、伝送速度の算出に使用する。
図24は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置における伝送速度算出のシーケンスの一例を示す図である。
図24を参照して、速度制御部21は、GTP−Uプロトコルを使用して、単位時間当たりの下りパケット数を計測し(ステップS81)、計測結果を通知する(ステップS82)。
次に、速度制御部21は、O&M機能を使用して、上記計測結果に基づき、サービング基地局101Aおよびターゲット基地局101B間の伝送速度を算出する(ステップS83)。
速度制御部21は、上記のようなX2インタフェースまたはS1インタフェース上の下りパケット数の測定結果に基づいて、随時伝送速度の変更を指示してもよい。しかしながら、特にX2インタフェースでは、通常、IPパケットは伝送されず、無線基地局装置間のメッセージが伝送されることから、X2インタフェースを用いてデータフォワーディングが行なわれる場合には、ネットワーク内装置間の伝送速度の制約はハンドオーバ動作の実行中のみにおいて生じるため、伝送速度に常時制限を設けることは好ましくない。
このため、速度制御部21は、ハンドオーバ動作の実行中のみにおいて伝送速度制限を行なう構成がより望ましい。
図25は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置における速度制御による無線区間の伝送速度変更のシーケンスの一例を示す図である。
たとえば、無線区間すなわち無線基地局装置101および無線端末装置202間の伝送速度は、使用する変調方式および無線端末装置202に割り当てるリソースブロック数によって決定される。MACスケジューラは、変調方式およびリソースブロック数を設定し、そして、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)上のPHYメッセージに当該設定情報が含められて無線端末装置202へ送信され、指示される。そこで、速度制御部21では、O&M(実質的にはRRM)からMACスケジューラに、X2インタフェースまたはS1インタフェース上の伝送速度に応じた無線区間の伝送速度の変更指示を出す。
具体的には、図25を参照して、RRMでは、下りパケットの伝送速度の変更が必要か否かを判定し(ステップS91)、必要であると判定した場合には伝送速度を決定する(ステップS92)。
次に、RRMでは、伝送速度の変更指示をMACスケジューラに与える(ステップS93)。
次に、MACスケジューラでは、RRMからの変更指示を受けて、変調方式およびリソースブロック数等の変更指示をPHYレイヤに与える(ステップS94)。
次に、PHYレイヤでは、変調方式およびリソースブロック数等の変更指示を無線端末装置202へ送信する。具体的には、PHYレイヤでは、トランスポートフォーマットを用いて変調方式を指示し、また、PDCCHのスケジューリング情報を用いてリソースブロック用の周波数を指示する(ステップS95)。
図26は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置におけるネットワーク内装置間の伝送速度変更のシーケンスの一例を示す図である。
前述のように、MTUまたは受信帯域上限を制限することにより、ネットワーク内装置間の伝送速度を変更する方法が考えられる。しかしながら、LTEでは、MTUまたは受信帯域上限の変更は、ユーザ単位ではなく、装置単位での変更を伴う。
そこで、速度制御部21は、自己の無線基地局装置を経由する上位ネットワークから無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。具体的には、速度制御部21は、たとえば、ネットワーク内装置間の伝送速度を変更する方法として、ベアラを変更する、すなわち自己の無線基地局装置を経由する無線端末装置202およびコアネットワーク301間の論理パスの設定変更を行なうことで無線端末装置202およびコアネットワーク301間の伝送速度を変更する方法をとる。
より詳細には、速度制御部21は、自己の無線基地局装置を経由する上位ネットワークから無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する旨の、対象パケットの伝送速度の変更指示をP−GW163等の通信制御装置へ送信する。そして、通信制御装置は、上記変更指示を受信して、当該無線基地局装置を経由する上位ネットワークおよび上記無線端末装置202間の論理パスの設定変更要求を当該無線基地局装置へ送信する。
この場合も同様に、たとえば、速度制御部21は、データフォワーディングにおける自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのパケットの伝送速度を上記基準速度とする。なお、P−GW163等の通信制御装置が、このような伝送速度の設定を行なってもよい。
また、たとえば、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の変調方式を選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
また、たとえば、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の送信に使用するリソースを選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
なお、ベアラについては、3GPP TR21.905において「データ容量、遅延時間およびビット誤り率の定義された情報伝送パス」と記述されており、また、3GPP TS36.300 13.1節「Bearer service architecture」にも記載がある。本発明の実施の形態に係る通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
このベアラ変更では、無線端末装置202およびコアネットワーク301間の各ビットレート、すなわちGBR(Guaranteed Bit Rate)、MBR(Maximum Bit Rate)、およびAMBR(Aggregate Maximum Bit Rate)の変更が可能である。
但し、3GPPの標準仕様で定義されるベアラ変更手順は、P−GW163またはHSS(Home Subscriber Server)によって開始されるため、現在、3GPPの標準仕様では、無線基地局装置101によってベアラ変更が開始される手順は存在しない。そこで、本発明の実施の形態では、新規メッセージを追加して、無線基地局装置101によるベアラ変更の開始を実現する。
具体的には、図26を参照して、まず、無線基地局装置101は、下りパケットの伝送速度の変更が必要か否かを判定し(ステップS101)、必要であると判定した場合には、伝送速度変更指示をP−GW163へ送信する(ステップS102)。
次に、P−GW163は、無線基地局装置101から伝送速度変更指示を受信して、ベアラ作成要求をS−GW161へ送信する(ステップS103)。
次に、S−GW161は、P−GW163からベアラ作成要求を受信して、ベアラ変更のための処理を行なうとともに、ベアラ作成要求をMME162へ送信する(ステップS104)。
次に、MME162は、S−GW161からベアラ作成要求を受信して、ベアラ設定要求およびセッション管理要求を無線基地局装置101へ送信する(ステップS105)。
次に、無線基地局装置101は、MME162からベアラ設定要求およびセッション管理要求を受信して、ベアラ変更のための処理を行なうとともに、RRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する(ステップS106)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101からRRCコネクション再構成指示を受信して、ベアラ変更のための処理を行なうとともに、RRCコネクション再構成完了通知を無線基地局装置101へ送信する(ステップS107)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、ベアラ設定応答をMME162へ送信する(ステップS108)。
次に、無線端末装置202は、直接伝送メッセージを送信する、すなわちセッション管理応答を含むMME162宛のメッセージを無線基地局装置101へ送信する(ステップS109)。
次に、無線基地局装置101は、無線端末装置202から当該メッセージを受信して、セッション管理応答をMME162へ送信する(ステップS110)。
次に、MME162は、無線基地局装置101からセッション管理応答を受信して、ベアラ作成応答をS−GW161へ送信する(ステップS111)。
次に、S−GW161は、MME162からベアラ作成応答を受信して、ベアラ作成応答をP−GW163へ送信する(ステップS112)。
図27は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置から送信される伝送速度変更指示に含まれる情報の一例を示す図である。図27は、3GPPで規定された内容と同様である。図27において、「>」および「>>」は、構造体内のインデントを表わす。
図27を参照して、伝送速度変更指示は、必須情報として、メッセージタイプと、送信元を示すMME UE S1AP IDと、送信先を示すeNB UE S1AP IDと、更新対象リスト(E-RAB to be Modified List)とを含む。更新対象リストのフィールドが「1」の場合に更新対象リスト「有り」、「0」の場合に更新対象リスト「無し」となる。また、伝送速度変更指示は、オプション情報として、0〜10,000,000,000の整数で表現される下り最大総ビットレート(Aggregate Maximum Bit Rate Downlink)[bit/s]を含む。更新対象リストは、1〜256で識別されるE−RAB情報(E-RAB To Be Modified Item IEs)を含む。E−RAB情報は、0〜15以上の整数で表現されるE−RAB IDと、0〜10,000,000,000の整数で表現されるE−RAB下り最大ビットレート(E-RAB Maximum Bit Rate Downlink)と、0〜10,000,000,000の整数で表現されるE−RAB下り保証ビットレート(E-RAB Guaranteed Bit Rate Downlink)とを含む。
なお、サービング基地局101Aからターゲット基地局101Bへの伝送速度の通知については、ハンドオーバ動作の実行時に行なえばよいため、3GPPの標準仕様に対して新規の手順を追加する必要はない。
また、3GPPの標準仕様で定められたハンドオーバ要求のメッセージにおいてビットレートを指示する情報が存在しているため、新規の情報の追加も不要である。但し、X2インタフェースを用いたハンドオーバ動作の場合、サービング基地局の指示(現段階ではあくまで提案事項)に対して、ターゲット基地局が従わない可能性はある。
ところで、非特許文献1に記載されるようなデータフォワーディングを行なう場合、パケットの伝送遅延時間は、転送に要する時間分長くなる。特に、フェムト基地局においてデータフォワーディングが行なわれる場合には、上位ネットワークおよびフェムト基地局間をパケットが一般回線経由で往復することになるため、パケットの伝送遅延時間が大幅に増大し、QCI等で定義されるパケットの許容遅延時間を超えてしまう可能性がある。
そこで、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、転送制御部15は、自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作が実行される際、データフォワーディングを行なう、すなわち、コアネットワーク301およびIP網302等の上位ネットワークから受信した上記無線端末装置202宛のパケットである対象パケットを他の無線基地局装置へ転送する転送動作を行なう。そして、速度制御部21は、上位ネットワークから自己の無線基地局装置への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置であるサービング基地局に蓄積されてデータフォワーディングされるパケットの量を減らすことができるため、データフォワーディングに伴う伝送遅延の増大を抑制し、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、さらに、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、上位ネットワークからサービング基地局への対象パケットの伝送速度を制限した場合において、当該サービング基地局から無線端末装置へのパケット送信において、周波数および時間等のリソースが余分に割り当てられることを防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、上位ネットワークから他の無線基地局装置へのパケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、ハンドオーバ先の無線基地局装置であるターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからのパケットの量を減らすことができるため、データフォワーディングに伴う伝送遅延の増大を抑制し、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置を経由する上位ネットワークから無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置であるサービング基地局に蓄積されてデータフォワーディングされるパケットの量を減らすことができるため、データフォワーディングに伴う伝送遅延の増大を抑制し、通信の安定化を図ることができる。また、上位ネットワークからサービング基地局への対象パケットの伝送速度を制限した場合において、当該サービング基地局から無線端末装置へのパケット送信において、周波数および時間等のリソースが余分に割り当てられることを防ぐことができる。また、たとえばLTEにおいて、ユーザ単位での伝送速度の設定変更が容易となる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、データフォワーディングにおける自己の無線基地局装置から他の無線基地局装置へのパケットの伝送速度を上記基準速度とする。
このように、データフォワーディングにおけるパケットの転送速度を基準速度とする構成により、パケットの伝送速度制限を適切に行なうことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の変調方式を選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
このような構成により、無線基地局装置101から無線端末装置202へのパケットの伝送速度を、変調方式の選択によって適切に変更することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への無線信号の送信に使用するリソースを選択することにより、自己の無線基地局装置から上記無線端末装置202への対象パケットの伝送速度を制限する。
このような構成により、無線基地局装置101から無線端末装置202へのパケットの伝送速度を、リソースの選択によって適切に変更することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、ハンドオーバ動作におけるタイミングに従って、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、データフォワーディングにおけるパケットの転送速度を常時監視する必要がなくなるため、処理負荷の低減および処理の簡易化を図ることができる。また、パケットの伝送速度の調整が望まれるタイミングで選択的に伝送速度制限を行なう構成により、設定可能な最大伝送速度でパケットを伝送することができるため、通信性能の向上を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、無線端末装置202における電波環境が所定条件を満たしたことによって無線端末装置202から送信される、無線基地局装置からの無線信号の無線端末装置202における受信電力を示す受信電力情報が、自己の無線基地局装置に到着したタイミングで、対象パケットの伝送速度が上記基準速度よりも遅くなるように制限する。
このように、上記受信電力情報の到着タイミングを伝送速度制限の開始タイミングとする構成により、データフォワーディング前の適切なタイミングでパケットの伝送速度を制限し、データフォワーディングされる転送パケットの量、またはターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからの非転送パケットの量を減らすことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置がハンドオーバ先の無線基地局装置を決定したタイミングで、対象パケットの伝送速度が上記基準速度よりも遅くなるように制限する。
このように、ハンドオーバ先の決定タイミングを伝送速度制限の開始タイミングとする構成により、データフォワーディング前の適切なタイミングでパケットの伝送速度を制限し、データフォワーディングされる転送パケットの量、またはターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからの非転送パケットの量を減らすことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置がハンドオーバ先の無線基地局装置へハンドオーバ要求を送信したタイミングで、対象パケットの伝送速度が上記基準速度よりも遅くなるように制限する。
このように、ハンドオーバ要求の送信タイミングを伝送速度制限の開始タイミングとする構成により、データフォワーディング前の適切なタイミングでパケットの伝送速度を制限し、データフォワーディングされる転送パケットの量、またはターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからの非転送パケットの量を減らすことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、ハンドオーバ動作が実行される前の、所定条件が満たされたタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このように、ハンドオーバ動作が実行される前のタイミングで伝送速度制限を開始する構成により、データフォワーディングされる転送パケットの量、またはターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからの非転送パケットの量をさらに減らすことができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、無線端末装置202から定期的に送信される、無線基地局装置からの無線信号の無線端末装置202における受信電力を示す受信電力情報が所定条件を満たしたタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このような構成により、無線端末装置202の電波環境に基づく、ハンドオーバ動作が実行される前の適切なタイミングで伝送速度制限を開始することができる。
また、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置では、速度制御部21は、自己の無線基地局装置が無線端末装置202と通信コネクションを確立してからハンドオーバ動作の実行指示を上記無線端末装置202へ送信するまでの期間におけるタイミングで、対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する。
このように、ハンドオーバ動作の実行指示が無線端末装置202へ送信される前のタイミングで伝送速度制限を開始する構成により、データフォワーディングされる転送パケットの量、またはターゲット基地局に蓄積される上位ネットワークからの非転送パケットの量をさらに減らすことができる。
また、本発明の実施の形態に係る通信システムでは、無線基地局装置101は、自己の無線基地局装置を経由する上位ネットワークから無線端末装置202への対象パケットの伝送速度が基準速度よりも遅くなるように制限する旨の、対象パケットの伝送速度の変更指示を通信制御装置へ送信する。そして、通信制御装置は、上記変更指示を受信して、当該無線基地局装置101を経由する上位ネットワークおよび上記無線端末装置202間の論理パスの設定変更要求を当該無線基地局装置101へ送信する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置であるサービング基地局に蓄積されてデータフォワーディングされるパケットの量を減らすことができるため、データフォワーディングに伴う伝送遅延の増大を抑制し、通信の安定化を図ることができる。また、上位ネットワークからサービング基地局への対象パケットの伝送速度を制限した場合において、当該サービング基地局から無線端末装置へのパケット送信において、周波数および時間等のリソースが余分に割り当てられることを防ぐことができる。また、たとえばLTEにおいて、ユーザ単位での伝送速度の設定変更が容易となる。
本発明の実施の形態に係る通信システムでは、サービング基地局101Aにおける速度制御部21が、上記のようなパケットの伝送速度の制限を行なう。
しかしながら、通信システム401は、このような構成に限定されるものではない。すなわち、サービング基地局101Aの代わりに、ターゲット基地局101B、またはコアネットワーク301におけるS−GW161、MME162もしくはP−GW163等の装置が、上記のようなパケットの伝送速度の制限を行なう構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。