JP5935166B2 - 水処理装置及び方法 - Google Patents
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Single−sludge systemの例としては、嫌気−好気−無酸素活性汚泥法(AOA法)がある(例えば、特許文献1参照)。AOA法における活性汚泥は嫌気、好気、無酸素状態の全てに曝される。AOA法では、好気状態でのリン摂取を抑制し、無酸素状態で十分な脱窒を行うために、好気状態開始前に有機物の添加が必要であるとされている。
また、A2N法では、上澄み液中のNH4−Nは硝化槽、無酸素槽を経て除去されるのに対し、濃縮汚泥中のNH4−Nは硝化槽を経ずに無酸素槽へ流入するため、脱窒されず系外へ除去されない。そのため、流入窒素負荷が高い場合、処理水中の窒素濃度が上昇し、処理水の水質が悪化することが懸念される。
また、本発明は、前記水処理装置を用いて水処理を行う水処理方法であって、前記汚泥分離槽で分離された前記濃縮汚泥を前記硝化槽へ移送して、前記原水の生物処理を行うことを特徴とする水処理方法とした。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る水処理装置Sの構成を示す構成図である。この水処理装置Sは、DPAOを活用して窒素とリンを除去する。
図1に示すように、水処理装置Sは、主な構成要素として、嫌気槽1、汚泥分離槽2、硝化槽3、無酸素槽5及び最終沈殿池8を有している。これらの構成要素の機能について簡単に説明すると、以下のとおりである。
嫌気槽1は、活性汚泥中のPAO及びDPAOに原水(下水100)中の有機物を摂取させ、有機物を除去する槽である。
汚泥分離槽2は、活性汚泥を沈降させて濃縮した濃縮汚泥102と、活性汚泥(濃縮汚泥102)を含まない上澄み液101に分離する槽である。濃縮汚泥102は無酸素槽5に移送され、上澄み液101は硝化槽3に移送される。
硝化槽3には、汚泥分離槽2で分離された上澄み液101が移送され、硝化槽3内に存在する硝化菌によりNH4−Nを硝化し、NO3−Nとする槽である。
無酸素槽5は、DPAOや脱窒菌が、硝化槽3で硝化したNO3−Nを脱窒して除去するとともに、DPAOが、硝化槽3で生成した硝酸を利用してリンを摂取することにより除去する槽である。
最終沈殿池8は、活性汚泥と上澄み液を沈降分離する施設である。沈降分離した上澄み液は、処理水103として系外に放流される。また、沈降分離した活性汚泥は嫌気槽1へと返送され、再度一連の生物処理に利用される。
図1に示すように、嫌気槽1と汚泥分離槽2は流路により連通している。汚泥分離槽2の下流に硝化槽3が設置され、また、汚泥分離槽2は流路200と移送ポンプ4を通じて無酸素槽5と連通している。
活性汚泥中のPAOには、リンの取り込み時において、電子受容体として酸素のみ利用可能なPAOと、酸素と硝酸の両方を利用可能なPAO(DPAO)が存在する。A2N法では、脱窒・脱リン工程で用いられる活性汚泥は嫌気槽1と無酸素槽5を循環するため、電子受容体として酸素のみ利用可能なPAOに比べてDPAOの活性は高まり、DPAOの集積度は上昇する。
第1実施形態に係る水処理装置SによるA2N法での処理の流れは以下の通りである。
原水(下水100)は嫌気槽1に流入し、下水100中の有機物は活性汚泥中のPAO及びDPAOにより摂取される。嫌気槽1からの活性汚泥は汚泥分離槽2に流入し、重力により上澄み液101と濃縮汚泥102とに分離される(沈降分離)。
第1実施形態における濃縮汚泥102の硝化槽3への移送量の制御フローは以下のとおりである。
予め、汚泥移送量制御部14に、下水100の流入水量に応じた流路201の流量を設定したり、データベース化したりしておく。そして、流量計12で下水100の流入水量を計測すると、計測値が汚泥移送量制御部14に向けて出力される。かかる計測値が入力された汚泥移送量制御部14は、前記データベースを基に、計測された下水100の流入水量に対応する流路201の流量を決定する。なお、下水100の流入水量に対応する流路201の流量は、水処理装置によって異なるため、最適の処理条件を予め実験等して求めておくのが好ましい。
つまり、水処理装置Sは、通常運転時では従来と同様、濃縮汚泥102を無酸素槽5に移送し、無酸素槽5において濃縮汚泥102中のDPAOは脱窒と脱リンを行う。そして、下水100の流入水量が上昇したら、流路201を通じて濃縮汚泥102の一部を硝化槽2に移送することにより、硝化槽3において濃縮汚泥102中のPAOとDPAOとにより脱リンが実施される。硝化槽3での脱リンと、無酸素槽5での脱リンを同時に実施、すなわち並行して実施することにより、処理水103の水質を維持することができる。
第1実施形態においては、硝化槽3に活性汚泥担体10を投入したが、活性汚泥担体10の代わりに浮遊汚泥を投入してもよい。その場合、硝化槽3の後段に沈殿池と活性汚泥返送設備を設置し(いずれも図示せず)、沈殿池で硝化槽3からの活性汚泥混合液を重力により固液分離し、沈降した活性汚泥を活性汚泥返送設備で硝化槽3に返送する。なお、活性汚泥返送設備は、流路と移送ポンプで構成することができる。
また、第1実施形態では、流路201の流量を制御するために弁13を用いたが、ポンプなど流量を制御できるものを用いてもよい。さらに、流路201は、必ずしも硝化槽3へ連通しなくてもよく、汚泥分離槽2から硝化槽3を連通する流路に連通してもよい。またさらに、汚泥分離槽2から無酸素槽5を連通する流路において、どの場所からでも流路201を分岐させることができる。
図4は、第2実施形態に係る水処理装置Sの構成を示す構成図である。
第2実施形態と第1実施形態は略同じ構成であるが、第1実施形態では、嫌気槽1の上流に流量計12を設けているのに対し、第2実施形態では、図4に示すようにリン濃度計12aを設けている点で相違している。
つまり、第2実施形態では、下水100のリン濃度(流入リン濃度)を計測し、その計測値を用いて汚泥移送量制御部14が汚泥分離槽2から硝化槽3へ濃縮汚泥を移送させる。
第2実施形態における濃縮汚泥102の硝化槽3への移送量の制御フローは以下のとおりである。
予め、汚泥移送量制御部14に、下水100の流入リン濃度に応じた流路201の流量を設定したり、データベース化したりしておく。そして、リン濃度計12aで下水100の流入リン濃度を計測すると、計測値が汚泥移送量制御部14に向けて出力される。かかる計測値が入力された汚泥移送量制御部14は、前記データベースを基に、計測された下水100の流入リン濃度に対応する流路201の流量を決定する。なお、下水100の流入リン濃度に対応する流路201の流量は、水処理装置によって異なるため、最適の処理条件を予め実験等して求めておくのが好ましい。
つまり、水処理装置Sは、通常運転時では従来と同様、濃縮汚泥102は無酸素槽5に移送し、無酸素槽5において濃縮汚泥102中のDPAOは脱窒と脱リンを行う。そして、下水100の流入リン濃度が上昇した場合、流路201を通じて濃縮汚泥102の一部を硝化槽2に移送することにより、硝化槽3において濃縮汚泥102中のPAOとDPAOとにより脱リンが実施される。硝化槽3での脱リンと、無酸素槽5での脱リンを同時に実施することにより、処理水103の水質を維持することができる。
第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、活性汚泥担体10の代わりに浮遊汚泥を投入することができる。
第2実施形態で測定対象とするリンは、全リン(T−P)でもPO4−Pでもよい。
また、下水100のリン濃度はリン濃度計12aにより直接計測しなくてもよい。例えば、下水100の流入リン濃度の日間変動を記録したデータベースを作成し、これに基づいて下水100の流入リン濃度を推定してもよい。
また、第2実施形態では、流路201の流量を制御するために弁13を用いたが、ポンプなど流量を制御できるものを用いてもよい。さらに、流路201は、必ずしも硝化槽3へ連通しなくてもよく、汚泥分離槽2から硝化槽3を連通する流路に連通してもよい。またさらに、汚泥分離槽2から無酸素槽5を連通する流路において、どの場所からでも流路201を分岐させることができる。
また、図4に示しているように、汚泥分離槽2から硝化槽3を連通する流路において上澄み液101の流量を計測する流量計16を設置し、酸素供給量制御手段17により、上澄み液101の流量に応じてブロワ7の風量を制御してもよい。このようにすると、硝化槽3における硝化量を増加させることが可能となる。
図7は、第3実施形態に係る水処理装置Sの構成を示す構成図である。
第3実施形態と第1実施形態は略同じ構成であるが、第1実施形態では、嫌気槽1の上流に流量計12を設けているのに対し、第3実施形態では、図7に示すように窒素濃度計12cを設けている点で相違している。
つまり、第3実施形態では、下水100の窒素濃度(流入窒素濃度)を計測し、その計測値を用いて汚泥移送量制御部14が汚泥分離槽2から硝化槽3へ濃縮汚泥を移送させる。
第3実施形態における濃縮汚泥102の硝化槽3への移送量の制御フローは以下のとおりである。
予め、汚泥移送量制御部14に、下水100の流入窒素濃度に応じた流路201の流量を設定したり、データベース化したりしておく。そして、窒素濃度計12cで下水100の流入窒素濃度を計測すると、計測値が汚泥移送量制御部14に向けて出力される。かかる計測値が入力された汚泥移送量制御部14は、前記データベースを基に、計測された下水100の流入窒素濃度に対応する流路201の流量を決定する。なお、下水100の流入窒素濃度に対応する流路201の流量は、水処理装置によって異なるため、最適の処理条件を予め実験等して求めておくのが好ましい。
つまり、水処理装置Sは、通常運転時では従来と同様、汚泥分離槽2の濃縮汚泥102を無酸素槽5に移送し、無酸素槽5において濃縮汚泥102中のDPAOは脱窒と脱リンを行う。そして、下水100の流入窒素濃度が上昇した場合、流路201を通じて汚泥分離槽2の濃縮汚泥102の一部を硝化槽2に移送することにより、硝化槽3において硝化されるNH4−N量が増加し、無酸素槽5における脱窒量も増加するため、処理水103の水質を維持することができる。
第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第3実施形態においても、活性汚泥担体10の代わりに浮遊汚泥を投入することができる。
第3実施形態で測定対象とする窒素は、全窒素(T−N)でもNH4−Nでもよい。
また、下水100の流入窒素濃度は窒素濃度計12cにより直接計測しなくてもよい。例えば、下水100の流入窒素濃度の日間変動を記録したデータベースを作成し、これに基づいて下水100の流入窒素濃度を推定してもよい。
また、第3実施形態では、流路201の流量を制御するために弁13を用いたが、ポンプなど流量を制御できるものを用いてもよい。さらに、流路201は、必ずしも硝化槽3へ連通しなくてもよく、汚泥分離槽2から硝化槽3を連通する流路に連通してもよい。またさらに、汚泥分離槽2から無酸素槽5を連通する流路において、どの場所からでも流路201を分岐させることができる。
また、図7、図9に示しているように、汚泥分離槽2から硝化槽3を連通する流路において上澄み液101の流量を計測する流量計16を設置し、酸素供給量制御手段17により、上澄み液101の流量に応じてブロワ7の風量を制御してもよい。このようにすると、硝化槽3における硝化量を増加させることが可能となる。
以上に述べた第1実施形態から第3実施形態で説明した各態様は、適宜組み合わせることができる。
図10は、第4実施形態に係る水処理装置Sの構成を示す構成図である。
図11は、第5実施形態に係る水処理装置Sの構成を示す構成図である。
図11に示すように、第5実施形態に係る水処理装置Sは、下水100が取り込まれ、処理されて処理水103となる順に、嫌気槽1、汚泥分離槽2、硝化槽3、無酸素槽5及び最終沈殿池8を有している。これらは、下水100が自然流下するように適度な高低差をもって設けられている。そのため、例えば図12に示されているように、汚泥分離槽2が無酸素槽5よりも高い位置に設けられている。
なお、これらの構成要素については第1実施形態から第4実施形態を通じて既に詳細に説明しているので、その説明を省略する。
本発明に係る水処理方法は、水処理装置Sを用いて水処理を行う水処理方法である。
第1実施形態から第5実施形態にて説明したように、水処理装置Sは、汚泥分離槽2で分離された濃縮汚泥102を硝化槽3へ移送して、下水100の生物処理を行っている。このような処理を行うと、既に詳述しているように、安定的に下水中の窒素及びリンを除去することが可能である。
従って、前記した水処理装置Sを用い、かつ、前記したプロセスを含んで水処理する方法を、本発明に係る水処理方法として規定することができる。
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等はプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
2 汚泥分離槽
3 硝化槽
5 無酸素槽
20 濃縮汚泥移送手段
Claims (10)
- 原水を生物処理する活性汚泥を上澄み液と濃縮汚泥に分離する汚泥分離槽と、
前記上澄み液を処理する硝化槽と、
前記濃縮汚泥と前記硝化槽からの流出水が流入する無酸素槽と、
前記濃縮汚泥を前記硝化槽へ移送する濃縮汚泥移送手段と、
前記汚泥分離槽の上流に嫌気槽と、を備え、
前記汚泥分離槽において、前記嫌気槽からの活性汚泥を前記上澄み液と前記濃縮汚泥とに分離することを特徴とする水処理装置。 - 前記硝化槽において、活性汚泥担体を用いることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
- 前記原水の流入水量を計測する流入水量計測部と、
前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を制御する汚泥移送量制御部と、を備え、
前記流入水量が上昇した場合、前記汚泥移送量制御部により前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を増加又は維持することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 前記原水のリン濃度を計測するリン濃度計と、
前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を制御する汚泥移送量制御部と、を備え、
前記リン濃度計で計測されるリン濃度が上昇した場合、前記汚泥移送量制御部により前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を増加又は維持することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 前記原水の窒素濃度を計測する窒素濃度計と、
前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を制御する汚泥移送量制御部と、を備え、
前記窒素濃度計で計測される窒素濃度が上昇した場合、前記汚泥移送量制御部により前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を増加又は維持することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 前記無酸素槽で処理された処理水のリン濃度を計測するリン濃度計と、
前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を制御する汚泥移送量制御部と、を備え、
前記リン濃度が上昇した場合、前記汚泥移送量制御部により前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を増加又は維持することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 前記無酸素槽で処理された処理水の窒素濃度を計測する窒素濃度計と、
前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を制御する汚泥移送量制御部と、を備え、
前記窒素濃度が上昇した場合、前記汚泥移送量制御部により前記硝化槽へ移送される前記濃縮汚泥の流量を増加又は維持することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 前記濃縮汚泥を前記無酸素槽へ移送する手段として、前記汚泥分離槽と前記無酸素槽とを連結する連通管を備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
- 前記硝化槽へ酸素を供給する酸素供給手段の出力を制御する酸素供給量制御部を備え、
前記上澄み液の流量が上昇した場合、前記酸素供給量制御部により酸素供給量を増加することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の水処理装置を用いて水処理を行う水処理方法であり、
前記汚泥分離槽で分離された前記濃縮汚泥を前記硝化槽へ移送して、前記原水の生物処理を行うことを特徴とする水処理方法。
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