JP5933726B2 - ミキサドラム装置 - Google Patents

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Description

本発明は、収容物を攪拌するミキサ車のミキサドラム装置に関する。
ミキサ車は、車体上に回転自在に配設されるドラムの内部に、生コンクリート(収容物)を積載し、運搬する車両である。
JP2006−298031Aには、車体上に回転自在に配設されるドラムと、ドラムの内壁面に沿って螺旋状に配設されるドラムブレードとから構成されるミキサドラム装置を備えるミキサ車が開示されている。
このようなミキサ車では、停車中の車両が発進する時や走行中の車両が制動する時等に、生コンクリートがドラム最後部に位置するドラムブレードを乗り越えてしまい、ドラムの開口端からこぼれ出てしまうことがある。従来は、生コンクリートの積載量を減らしたり、ドラムを大形化したりして、生コンクリートがこぼれ出ることを防止していた。生コンクリートの漏出を防止するために、生コンクリートの積載量の低減やドラムの大形化を図ると、輸送費やドラム製造費が高額になってしまう。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、コストアップを抑制しつつ、車両発進時等に収容物がドラムからこぼれ出ることを防止できるミキサ車のミキサドラム装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、収容物を攪拌するミキサ車のミキサドラム装置は、車体上に回転自在に配設されるとともに、一端側が開口端及び他端側が閉塞端として形成されるドラムと、前記ドラムの内壁面に沿って螺旋状に配設されるドラムブレードと、前記ドラムブレードの先端部から前記ドラムの回転中心側に延設されるサブブレードと、を備える。前記サブブレードは前記ドラムの開口端寄りに設けられる。前記開口端から前記閉塞端側の所定位置までの前記サブブレードは、当該サブブレードの先端と前記ドラムの回転中心との距離が一定となるように構成される。
本発明の実施形態及び利点については、添付された図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態によるミキサドラム装置を備えるミキサ車の側面図である。 図2は、ドラムの軸方向前側から見た時のドラムブレードを示す図である。 図3は、ドラムの開口端寄りに位置するドラムブレードの縦断面図である。 図4は、ドラム周方向の所定角度間隔ごとのサブブレードの先端と、ドラムの回転中心との距離について説明する図面である。 図5Aは、本実施形態によるミキサドラム装置の一部断面図である。 図5Bは、比較例によるミキサドラム装置の一部断面図である。 図6は、本実施形態の変形例によるミキサドラム装置の一部断面図である。
図1から図5Aを参照して、本発明の実施形態によるミキサドラム装置10を備えるミキサ車1について説明する。
図1に示すように、ミキサ車1は、生コンクリートを攪拌するミキサドラム装置10を車体2上に有している。
ミキサドラム装置10は、車体2上に回転自在に配設されるドラム20と、当該ドラム20の内壁面21に沿って螺旋状に配設される一対のドラムブレード30と、エンジンの動力に基づいてドラム20を回転させる図示しないドラム駆動装置と、を備える。
ドラム20は、軸方向中央の円筒部20Aと、円筒部20Aから車両前方に向けて縮径する前方円錐部20Bと、円筒部20Aから車両後方に向けて縮径する後方円錐部20Cと、から構成されている。ドラム20は、収容物としての生コンクリートを収容可能な有底筒状体である。ドラム20の前端は当該ドラム20を閉塞する閉塞端22として形成されており、ドラム20の後端は当該ドラム20を開口する開口端23として形成されている。生コンクリートの投入及び排出は、ドラム20の開口端23を通して行われる。
ドラム20は、車体2の前後に設けられた支持部2A,2Bを介して回転中心線Cを中心に回転するように支持されている。ドラム20は、開口端23側が上方に持ち上げられた前傾状態で車体2上に配置されている。したがって、ドラム20の回転中心線Cは車両前方に向かって下り傾斜している。
ドラム20の開口端23の上部後方には、生コンクリートをドラム20内に投入するためのホッパ3が設けられる。ホッパ3に投入された生コンクリートは、ドラム20の開口端23からドラム20内へと導かれる。
また、ドラム20の開口端23の下部後方には、排出された生コンクリートを誘導するためのスクープ4及びシュート5が設けられる。ドラム20の開口端23から排出された生コンクリートは、スクープ4によってシュート5に導かれ、シュート5によって所望の位置に排出される。
ドラムブレード30は、ドラム20の内壁面21に沿って螺旋状に配設されている。ドラム20内にはドラムブレード30が一対設けられており、これらドラムブレード30は回転中心線C周りに180°の位相差をもって配置されている。
生コンクリートの投入及び攪拌時には、ドラム20は、車両後方から見て反時計回り方向に回転駆動される。このようにドラム20を正回転させることで、ドラム20内の生コンクリートは、ドラム20とともに回転するドラムブレード30により、ドラム20の後方から前方へ送られる。これにより、生コンクリートの投入及び攪拌が可能となる。
一方、生コンクリートの排出時には、ドラム20は、車両後方から見て時計回り方向に回転駆動される。このようにドラム20を逆回転させることで、ドラム20内の生コンクリートは、ドラム20とともに回転するドラムブレード30により、ドラム20の前方から後方へ送られる。これにより、生コンクリートをドラム20の開口端23から排出することが可能となる。
次に、図2〜図4を参照して、ミキサドラム装置10におけるドラムブレード30の構成について説明する。
図2に示すように、ドラムブレード30は、扇形状のブレード板を周方向に複数つなぎ合わせることで一つの螺旋状部材として形成される。
図2及び図3に示すように、ドラムブレード30は、ドラム20の回転中心側の先端部30Aと、ドラム20の内壁面21側の基端部30Bと、先端部30A及び基端部30Bとの間の中央部30Cと、から構成されている。ドラムブレード30の基端部30Bがドラム20の内壁面21に溶接されることで、ドラムブレード30はドラム20に固定される。
ドラムブレード30の中央部30Cは平坦に形成されており、先端部30A及び基端部30Bは中央部30Cからドラム20の開口端23側に向かって湾曲するように形成されている。つまり、ドラムブレード30は、回転中心線Cに直交する方向の断面形状が椀状となるように形成されている。ドラムブレード30の断面形状を椀状とすることで、生コンクリート排出時においてドラムブレード30に対する生コンクリートの滑りがよくなり、生コンクリートの排出性能を高めることができる。車両が平坦な場所に位置する時の排出性能はもちろんのこと、車両が坂道に位置する時等、前方に傾斜している時にも良好な排出性能を示す。
ドラムブレード30はドラム20の前後方向にわたって螺旋状に設けられているが、ドラム20の開口端23寄り、つまりドラム20の後部に位置するドラムブレード30の先端部30Aには、サブブレード40が一体形成されている。サブブレード40は、ドラムブレード30の先端部30Aからドラム20の回転中心に向かって延設されている。このサブブレード40は、車両発進時等に、ドラム20の最後部に位置するドラムブレード30を生コンクリートが乗り越えることを防止する堰き止め壁として機能する部材である。なお、サブブレード40とドラムブレード30との連結部分である角部31は、所定の曲率で湾曲するように構成されている。
図2に示すように、サブブレード40は、ドラムブレード30の先端部30Aに沿って螺旋状に形成されている。サブブレード40は、ドラム20内において少なくとも一周にわたって形成されており、ドラム前後方向におけるサブブレード40の前端部41と後端部42とがオーバーラップするように構成されている。このように構成することで、ドラム20の回転位置によらず、ドラムブレード30を乗り越えようとする生コンクリートの流れをサブブレード40により堰き止めることができる。
図3に示すように、サブブレード40は、ドラムブレード30の先端部30Aからドラム20の回転中心に向かって立設するように形成されていればよいが、生コンクリートを効率的に堰き止める観点からは、サブブレード40の延設方向の延設線(図3の破線)とドラム20の回転中心線Cとがドラム20の閉塞端22に臨んでなす角度θが90°以上で180°より小さくなるように構成されることが望ましい。
但し、サブブレード40をドラム20の閉塞端22側に傾け過ぎると、ドラムブレード30の先端部30Aとサブブレード40とによって形成される角部31に生コンクリートが付着したまま残りやすくなり、またドラム20内の清掃時におけるはつり作業も困難となる。このことを考慮すると、サブブレード40の延設方向の延設線とドラム20の回転中心線Cとがドラム20の閉塞端22に臨んでなす角度θは、90°以上で135°以下であることがより望ましい。
図4は、ドラム周方向の所定角度間隔(約22°)ごとのドラムブレード30及びサブブレード40をドラム20の開口端23側から一列に並べた図である。
図4に示すように、ドラム20の開口端23側の位置から閉塞端22側の所定位置までの領域R1におけるサブブレード40は、当該サブブレード40の先端とドラム20の回転中心線Cとの距離が一定となるように構成されている。開口端23に近い位置におけるサブブレード40の先端と回転中心との間隔を一定にすることで、開口端23近傍での生コンクリートのドラムブレード30の乗り越えをより確実に防止することができる。
また、所定位置よりも閉塞端22側の領域R2におけるサブブレード40は、閉塞端22側に向かうほど、サブブレード40の先端とドラム20の回転中心線Cとの距離が大きくなるように構成されている。このように閉塞端22寄りのサブブレード40の突出量を徐々に低くすることで、生コンクリート投入時等における生コンクリートの流れがサブブレード40によって阻害されることを抑制できる。
なお、領域R1と領域R2の境界となる所定位置をドラム20内のより奥側(閉塞端側)に設定することで、ドラム20における生コンクリートの積載限界量を高めることが可能となる。積載限界量は、停車状態での攪拌回転時に生コンクリートが最後部に位置するドラムブレード30を越えてドラム20から溢れ出すことのない限界量を規定したものである。そして、領域R1と領域R2の境界となる所定位置は、ドラム20の開口端23からドラムブレード30に沿ってブレード周方向に150°以上の位置とすることが好ましい。
次に、図5A及び図5Bを参照して、所定量の生コンクリートを積載している場合の車両発進時における生コンクリートの挙動について説明する。図5Aは本実施形態によるミキサドラム装置10を備えるミキサ車1を示す図であり、図5Bは比較例としてのミキサドラム装置210を備えるミキサ車201を示す図である。
図5Bに示すように、比較例としてのミキサ車201は、ドラム220内に椀状のドラムブレード230を備えるが、ドラムブレード230の先端にはサブブレードは形成されていない。そのため、停車中のミキサ車201が前方に発進した場合には、ドラム220内の生コンクリートの一部が、図5Bの矢印A2で示すようにドラム220の最後部に位置するドラムブレード230を乗り越えてしまい、ドラム220の開口端223からこぼれ出てしまうことがある。
一方、図5Aに示すように、本実施形態に係るミキサ車1が前方に発進した場合には、生コンクリートは、図5Aの矢印A1で示すようにドラム20の開口端23寄りのドラムブレード30に形成されたサブブレード40により堰き止められるので、生コンクリートがサブブレード40を乗り越えることがない。
上記した本実施形態のミキサ車1のミキサドラム装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
ミキサ車1のミキサドラム装置10では、ドラム20の開口端23寄りのドラムブレード30に、ドラムブレード30の先端部30Aからドラム回転中心側に立設するサブブレード40が形成されているので、ミキサ車1の発進時等に開口端23側に向かう生コンクリートの流れを堰き止めることができ、生コンクリートがドラム20からこぼれ出てしまうことを防止できる。また、生コンクリートがドラムからこぼれ出てしまうことを防止するために、生コンクリートの積載量を低減させたり、ドラム20を大形化したりする必要がないので、ドラム20における生コンクリート積載効率の低下を招くこともない。
このようにサブブレード40を設けることで、従来と同じ大きさのドラム20を用いた場合でも、生コンクリートの積載量を増加させることができ、生コンクリートの積載効率を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本実施形態では、ドラムブレード30の先端部30Aにサブブレード40を一体形成したが、これに限られるものではない。例えば、ドラムブレード30とサブブレード40とを別部材として形成し、ドラムブレード30の先端部30Aにサブブレード40を溶接等によって固定してもよい。
また、本実施形態では、ドラムブレード30を、断面形状が椀状となるように形成しているが、図6に示すように断面形状がI字状となるように形成してもよい。図6に示す変形例によるミキサ車101においても、ドラム20の開口端23寄りのドラムブレード30にサブブレード40を形成することで、車両発進時等に生コンクリートがドラム20の開口端23からこぼれ出てしまうことを防止できる。ただ、車両が前方に傾斜している場合、断面形状が椀状のドラムブレード30を用いた時と比べて、断面形状がI字状のドラムブレード30を用いた時の方が、生コンクリートの排出性能が極端に劣ってしまう。断面形状がI字状のドラムブレード30を用いても構わないが、排出性能を向上させたい場合には、断面形状が椀状のドラムブレード30を用いることが望ましい。

Claims (7)

  1. 収容物を攪拌するミキサ車のミキサドラム装置であって、
    車体上に回転自在に配設されるとともに、一端側が開口端及び他端側が閉塞端として形成されるドラムと、
    前記ドラムの内壁面に沿って螺旋状に配設されるドラムブレードと、
    前記ドラムブレードの先端部から前記ドラムの回転中心側に延設されるサブブレードと、を備え、
    前記サブブレードは、前記ドラムの開口端寄りに設けられ
    前記開口端から前記閉塞端側の所定位置までの前記サブブレードは、当該サブブレードの先端と前記ドラムの回転中心との距離が一定となるように構成される、
    ミキサドラム装置。
  2. 請求項1に記載のミキサドラム装置であって、
    前記サブブレードは、前記ドラムブレードの先端部に沿って、少なくとも一周にわたって形成される、ミキサドラム装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のミキサドラム装置であって、
    前記サブブレードは、当該サブブレードの延設方向の延設線と前記ドラムの回転中心線とが前記閉塞端に臨んでなす角度が90°以上で135°以下となるように構成される、ミキサドラム装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のミキサドラム装置であって、
    前記所定位置よりも前記閉塞端側に位置する前記サブブレードは、前記閉塞端側に向かうほど、当該サブブレードの先端と前記ドラムの回転中心との距離が大きくなるように構成される、ミキサドラム装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のミキサドラム装置であって、
    前記所定位置は、前記開口端から前記ドラムブレードに沿ってブレード周方向に150°以上の位置に設定される、ミキサドラム装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のミキサドラム装置であって、
    前記ドラムブレード及び前記サブブレードは一体形成される、ミキサドラム装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一つに記載のミキサドラム装置であって、
    前記ドラムブレードは、前記ドラムの回転中心側の先端部及び前記ドラムの内壁面側の基端部が、前記先端部及び前記基端部の間に位置する中央部から、前記開口端側に向かって湾曲するように構成される、ミキサドラム装置。
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