JP5932092B1 - 無線伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】エレベータにおける制御信号を無線により伝送可能にすること。【解決手段】実施形態に係る無線伝送システムは、複数の無線装置を備え、複数の無線装置の各々は、当該無線装置に対応する構成要素によって出力された第1の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信し、当該無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第2の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信し、当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素によって出力された第3の信号を受信し、当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第4の信号を受信し、第1の信号または第2の信号が送信される、又は第3の信号または第4の信号が受信される毎に更新される値を保持する構成を含む。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、無線伝送システムに関する。
一般に、エレベータには、制御盤と称される、当該エレベータ全体の制御を行うための装置(以下、エレベータ制御装置と表記)が備えられている。
エレベータ制御装置は、巻上げ機を駆動させて昇降路内における乗りかごの昇降動作を制御するとともに、例えば所定のホール(乗場)に着床した乗りかごのかごドアを開閉制御するための制御信号等を当該乗りかごに伝送する。
一方、乗りかご内に設けられた行先階ボタンに対する操作に応じて出力されるかご呼びと称される制御信号は、当該乗りかごからエレベータ制御装置に伝送される。
エレベータ制御装置及び乗りかご間の制御信号の伝送は、当該エレベータ制御装置及び乗りかごを接続するテールコードと称される伝送ケーブルを介して行われる。
特許第5311643号公報
エレベータ(乗りかご)が走行する昇降行程が長距離となる場合、上記したテールコードを長くする必要がある。
このようにテールコードを長くした場合、当該テールコードの重量が増加する。テールコードは乗りかごに接続されているため、当該テールコードの重量の増加に伴って、乗りかごを昇降動作させるための巻上げ機の容量を増加させる必要がある。
このため、テールコードを用いることなく、エレベータ制御装置及び乗りかご間の制御信号の伝送を無線により行う仕組みが望まれている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エレベータにおける制御信号を無線により伝送することが可能な無線伝送システムを提供することにある。
実施形態に係る無線伝送システムは、エレベータを制御するために用いられる信号を出力する当該エレベータの複数の構成要素の各々に対応する複数の無線装置を具備する。前記複数の無線装置の各々は、当該無線装置に対応する構成要素によって出力された第1の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信する第1の送信手段と、当該無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第2の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信する第2の送信手段と、当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素によって出力された第3の信号を受信する第1の受信手段と、当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第4の信号を受信する第2の受信手段と、前記第1の信号または前記第2の信号が送信される、又は前記第3の信号または前記第4の信号が受信される毎に更新される値を保持するカウンタとを含み、前記第1の送信手段は、前記カウンタに保持される値が当該無線装置に対して予め定められた固有の値と一致する場合に前記第1の信号を送信し、前記第2の送信手段は、前記カウンタに保持される値が前記複数の無線装置に対して共通に定められた共通の値と一致し、かつ当該無線装置に対応する構成要素に異常が発生した場合にだけ前記第2の信号を送信し、前記複数の無線装置の各々に対して予め定められた固有の値と、前記複数の無線装置に対して共通に定められた共通の値とは、互いに異なる。
一実施形態に係るエレベータの構成を示す図。 同実施形態に係る無線装置の構成を示す図。 同実施形態に係る無線装置(親機)の動作の一例を示すフローチャート。 同実施形態に係る無線装置(子機)の動作の一例を示すフローチャート。 同実施形態に係る無線伝送システムの動作の一例を示すフローチャート。
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるエレベータ10の構成を示す図である。なお、図1に示すエレベータ10a,10bは同様な構成を備えているので、以下では、エレベータ10aを例にとって、エレベータ10に含まれる各種構成要素について説明する。
図1に示すエレベータ10aでは、制御盤と称される、当該エレベータ10a全体の制御を行うエレベータ制御装置11aが昇降路20aの上部に備えられている。なお、図1に示すように、複数のエレベータ10a,10bが協働して動作する場合、エレベータ毎に設置される複数のエレベータ制御装置のうちの1つは、複数の乗りかごの運転を群管理制御する群管理制御装置としても機能する。なお、本実施形態では、乗りかご10aに対応するエレベータ制御装置11aが群管理制御装置としても機能するエレベータ制御装置である場合を想定する。但し、群管理制御については、本発明とは直接関係しないため、その詳しい説明はここでは省略するものとする。
エレベータ10aにおいては、昇降路20a内に乗りかご12aとカウンタウエイト(釣り合い錘)13aとが設けられており、それぞれガイドレール(図示せず)に昇降動作可能に支持されている。
また、昇降路20aの上部には、エレベータ制御装置11aと接続される巻上げ機14aが設けられている。巻上げ機14aには、一端が乗りかご12aと接続され、他端がカウンタウエイト13aと接続されたメインロープ15aが巻き架けられている。
エレベータ10aにおいては、エレベータ制御装置11aの制御に基づいて巻上げ機14aが駆動されることによって、メインロープ15aの両端に接続された乗りかご12a及びカウンタウエイト13aが互いに反対方向に昇降動作する。
図1においては省略されているが、乗りかご12aの上部には、例えばホールに着床した乗りかご12aのかごドアを開閉制御するためのかご制御装置が設けられている。
更に、乗りかご12a内には、行先階ボタンが設けられている。行先階ボタンは、乗りかご12a内に乗車した利用者の行先階を登録するためのボタンである。行先階ボタンに対する操作が利用者によって行われた場合、当該利用者によって登録された行先階を表す信号(以下、かご呼びと表記)が出力される。
また、乗りかご12aが着床する各階のホールには、ホール呼びボタンが設置されている。ホール呼びボタンは、利用者が乗りかご12aに乗車するホールの位置(登録階)を登録するためのボタンである。ホールにおいてホール呼びボタンに対する操作が利用者によって行われた場合、利用者によって登録された当該ホールの位置及び行先方向(上方向/下方向)を表す信号(以下、ホール呼びと表記)が出力される。
本実施形態において、エレベータ10を制御するために用いられる信号(以下、制御信号と表記)を出力する群管理制御装置(ここでは、エレベータ制御装置11a)及び各乗りかご12a,12bの近傍には、各々に対応する無線装置が設けられている。これら無線装置は、群管理制御装置から出力されるエレベータ10全体を制御するための各種制御信号や、乗りかご12a,12b内に設けられた行先階ボタンに対する操作に応じて出力されるかご呼び等の送受信処理を実行する。
なお、無線装置が設置される場所は、エレベータ10を制御するために用いられる制御信号を出力する構成要素の近傍であればよく、例えば、無線装置は、上記した群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)及び各乗りかご12a,12bの近傍の他に、各階のホールに設置されているホール呼びボタンの近傍に更に設置されていてもよい。また、本実施形態におけるエレベータ10を制御するための制御信号は、当該エレベータ10の構成要素間で送受信される必要がある信号(データ)であればよい。
図1においては、群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)に対応する無線装置として無線装置16aが示されている。また、乗りかご12aに対応する無線装置として16bが示されている。更に、乗りかご12bに対応する無線装置として16cが示されている。
図1に示す無線装置16a〜16cを含む複数の無線装置は、エレベータ10における制御信号の無線による伝送を可能とする無線伝送システムを構成する。
図2を参照して、本実施形態に係る無線伝送システムを構成する複数の無線装置16a〜16cの機能構成について説明する。図2においては、便宜的に、複数の無線装置16a〜16cのうち無線装置16aの機能構成について説明する。
図2に示すように、無線装置16aは、格納部161、送受信部162、カウンタ163及び制御部164を含む。
格納部161は、例えば無線装置16aに対応するエレベータ10の構成要素(ここでは、複数のエレベータ制御装置11a,11bから出力された制御信号に基づき群管理制御する群管理制御装置)から出力された制御信号を格納する。
送受信部162は、格納部161に格納された制御信号(つまり、無線装置16aに対応する群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)から出力された制御信号)を無線により当該無線装置16a以外の他の無線装置16b,16cに対して送信する。
また、送受信部162は、他の無線線装置16b,16cの各々によって送信された制御信号を受信する。他の無線装置16b,16cの各々によって送信された制御信号は、当該無線装置16b,16cに対応する構成要素によって出力された制御信号である。
カウンタ163は、送受信部162によって制御信号が送信されるまたは当該送受信部162によって制御信号が受信される毎に更新される値を保持する。換言すれば、カウンタ163は、無線装置16aにおける制御信号の送受信回数をカウントする機能を有する。
制御部164は、無線装置16a全体の制御を行う機能部である。制御部164は、本実施形態に係る無線伝送システムを構成する複数の無線装置16a〜16c間の信号の衝突現象(コリジョン)を回避するために、無線装置16aにおける制御信号の送信タイミングを制御する機能を有する。具体的には、制御部164は、カウンタ163に保持される値が無線装置16aに対して予め定められた値と一致する場合に制御信号を送信する。
図2においては無線装置16aの機能構成について説明したが、他の無線装置16b,16cの機能構成は、無線装置16aと同様であるため、その詳しい説明を省略する。
また、詳細な説明は省略するが、無線装置16a〜16cは、ハードウェア構成として、無線通信用のアンテナ、OSI参照モデルにおける物理層の処理を実行するPHY回路、当該OSI参照モデルにおけるデータリンク層の処理(MAC処理)を実行するMCU(マイクロコントロールユニット)、ROM、RAM及び当該無線装置に対応する構成要素との間で制御信号の受け渡しを行うI/O部等を備える。
本実施形態において、無線装置16a〜16cによる制御信号の無線伝送(送信)には、1GHz以下の周波数帯、例えば920MHz帯(サブギガ帯)が使用されるものとする。この920MHz帯は他の周波数帯(例えば、2.4GHz帯等)と比較して電波到達性が高い(つまり、繋がりやすい)ため、複数の無線装置16a〜16cのうちの1の無線装置(例えば、無線装置16a)によって送信された制御信号は、他の全ての無線装置(例えば、無線装置16b,16c)によって受信される。
無線装置16a〜16cに備えられる無線通信用のアンテナとしては、例えばダイバーシティアンテナを用いることができる。これによれば、無線装置16a〜16c間の通信品質及び信頼性を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る無線伝送システムの動作について説明する。本実施形態に係る無線伝送システムにおいて、上記した複数の無線装置16a〜16cのうちの1の無線装置は親機(マスタ)として動作する。一方、親機として動作する無線装置以外の他の無線装置は子機(スレイブ)として動作する。
本実施形態に係る無線伝送システムにおいて、親機として動作する無線装置と子機として動作する無線装置とでは、当該無線装置において実行される処理が異なる。以下、親機として動作する無線装置において実行される処理及び子機として動作する無線装置において実行される処理の各々について説明する。親機として動作する無線装置及び子機として動作する無線装置は、無線伝送システムにおいて予め定められているものとする。ここでは、無線装置16aが親機として動作する無線装置であり、無線装置16b,16cが子機として動作する無線装置であるものとする。
まず、図3のフローチャートを参照して、親機として動作する無線装置16aにおいて実行される処理の処理手順の一例について説明する。図3に示す処理は、エレベータ10が運転状態にある間、継続的に実行される。なお、説明の便宜上、無線装置16aの構成要素に付されるべきaの符号は省略して、説明する。
エレベータ10の運転(動作)が開始されると、無線装置16aに含まれる送受信部162は、複数の無線装置16a〜16c間における制御信号の伝送を開始するための信号(以下、開始フレームと表記)を送信する(ステップS1)。
送受信部162によって開始フレームが送信されると、カウンタ163は、当該カウンタ163に保持される値(以下、カウンタ値と表記)をリセットする(ステップS2)。具体的には、カウンタ値は例えば0にリセットされる。
制御部164は、カウンタ値を参照することによって、無線伝送システムにおける無線装置16aの送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS3)。この場合、制御部164は、カウンタ値が無線装置16aに対して予め定められた値(以下、無線装置16aの送信判定値と表記)と一致するか否かを判定する。カウンタ値が無線装置16aの送信判定値と一致する場合、制御部164は、無線装置16aの送信タイミングであると判定する。一方、カウンタ値が無線装置16aの送信判定値と一致しない場合、制御部164は、無線装置16aの送信タイミングでないと判定する。無線装置16aの送信判定値は、無線装置16aの内部に予め保持されているものとする。
ここで、無線装置16aの送信判定値が0である場合を想定する。この場合、ステップS2の処理が実行された後のカウンタ値は0であるため、ステップS3においては、無線装置16aの送信タイミングであると判定される。
無線装置16aの送信タイミングであると判定された場合(ステップS3のYES)、制御部164は、格納部161に格納されている制御信号を取得する。ここで制御部164によって取得される制御信号は、無線装置16aに対応する群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)によって出力された制御信号であり、例えば乗りかご12a,12b(に設けられているかご制御装置)に対する制御信号(かごドアを開閉制御させるための信号)等を含む。
送受信部162は、制御部164によって取得された制御信号(第1の制御信号)を送信する(ステップS4)。
カウンタ163は、送受信部162による制御信号の送信に応じて、カウンタ値を更新する。具体的には、カウンタ163は、カウンタ値に1を加算する(ステップS5)。
ステップS5の処理が実行されると、上記したステップS3に戻って処理が繰り返される。
ステップS3において無線装置16aの送信タイミングでないと判定された場合(ステップS3のNO)、制御部164は、カウンタ値を参照することによって、無線伝送システムにおける全ての無線装置16a〜16cに共通した送信タイミング(以下、共通送信タイミングと表記)であるか否かを判定する(ステップS6)。この場合、制御部164は、カウンタ値が全ての無線装置16a〜16cに対して予め定められた値(以下、共通送信判定値と表記)と一致するか否かを判定する。カウンタ値が共通送信判定値と一致する場合、制御部164は、共通送信タイミングであると判定する。一方、カウンタ値が共通送信判定値と一致しない場合、制御部164は、共通送信タイミングでないと判定する。共通送信判定値は、各無線装置16a〜16cの内部に予め各々保持されているものとする。
共通送信タイミングであると判定された場合(ステップS6のYES)、制御部164は、異常の有無を判定する(ステップS7)。この場合、無線装置16aは、群管理制御装置の近傍に設置された無線装置であるので、例えば、当該群管理制御装置から出力されるエレベータ10の運転状態を示す信号に基づいて、エレベータ10が管制運転状態であるか否かを判定し、エレベータ10が管制運転で運行していると判定された場合には異常が有ると判定し、エレベータ10が通常運転で運行していると判定された場合には異常が無いと判定する。
異常が有ると判定された場合(ステップS7のYES)、送受信部162は、エレベータ10に異常が有ることを示す制御信号(第2の制御信号)を送信し(ステップS8)、上記したステップS5の処理を実行する。
共通送信タイミングでないと判定された場合(ステップS6のNO)、制御部164は、カウンタ値のリセットが必要であるか否かを判定する(ステップS9)。この場合、制御部164は、カウンタ値が例えば無線伝送システムに備えられる複数の無線装置の数によって定められる上限値(以下、リセット判定値と表記)と一致するか否か(つまり、カウンタ値がリセット判定値に達したか否か)を判定する。カウンタ値がリセット判定値と一致する場合、制御部164は、カウンタ値のリセットが必要であると判定する。一方で、カウンタ値がリセット判定値と一致しない場合、制御部164は、カウンタ値のリセットが必要でないと判定する。
カウンタ値のリセットが必要でないと判定された場合(ステップS9のNO)、制御部164は、他の無線装置16b,16c(のうちの1の無線装置)によって送信された制御信号(フレームの搬送波)が送受信部162によって受信されたか否かを判定する(ステップS10)。
制御信号が受信されていないと判定された場合(ステップS10のNO)、ステップS9の処理が繰り返される。換言すると、無線装置16aは、他の無線装置16b,16cからの制御信号が受信されるまで待機する。
一方で、制御信号が受信されたと判定された場合(ステップS10のYES)、上記したステップS5の処理が実行される。
ステップS9においてカウンタ値のリセットが必要であると判定された場合(ステップS9のYES)、上記したステップS1に戻って処理が繰り返される。
親機として動作する無線装置16aは、図3に示す処理を実行することにより、開始フレームの送信によりカウンタ値がリセットされた後、当該カウンタ値が無線装置16aの送信判定値と一致する場合に、当該無線装置16aに対応する群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)によって出力された制御信号を他の無線装置16b,16cに送信する。また、カウンタ値が共通送信判定値と一致する場合に、無線装置16aに対応する群管理制御装置によって出力された運転状態を示す信号に基づき異常の有無を判定し、異常が有る場合にはこれを示す制御信号を他の無線装置16b,16に送信する。
図3に示す処理において無線装置16aによって送信される各種信号(開始フレーム及び制御信号)は、上述したサブギガ帯で送信されることにより、当該無線装置16a以外の他の全ての無線装置16b,16cによって受信される。
次に、図4のフローチャートを参照して、子機として動作する無線装置において実行される処理の処理手順の一例について説明する。ここでは、図4に示す処理が子機として動作する無線装置16b,16cのうちの無線装置16bにおいて実行される場合について説明する。図4に示す処理は、図3に示す処理と同様に、エレベータ10が運転状態にある間、継続的に実行される。なお、説明の便宜上、無線装置16bの構成要素に付されるべきbの符号は省略して、説明する。
まず、上記した図3に示す処理において無線装置16aによって開始フレームが送信された場合、無線装置16bに含まれる送受信部162は、当該開始フレームを受信することができる。
そこで、無線装置16bに含まれる制御部164は、送受信部162によって開始フレームが受信されたか否かを判定する(ステップS11)。
開始フレームが受信されたと判定された場合(ステップS11のYES)、無線装置16bに含まれるカウンタ163は、当該カウンタ163に保持されるカウンタ値をリセットする(ステップS12)。具体的には、カウンタ値は例えば0にリセットされる。
なお、開始フレームが受信されていないと判定された場合(ステップS11のNO)、後述するステップS19の処理が実行される。
制御部164は、カウンタ値を参照することによって、無線伝送システムにおける無線装置16bの送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS13)。この場合、制御部164は、カウンタ値が無線装置16bに対して予め定められた値(以下、無線装置16bの送信判定値と表記)と一致するか否かを判定する。カウンタ値が無線装置16bの送信判定値と一致する場合、制御部164は、無線装置16bの送信タイミングであると判定する。一方で、カウンタ値が無線装置16bの送信判定値と一致しない場合、制御部164は、無線装置16bの送信タイミングでないと判定する。無線装置16bの送信判定値は、無線装置16bの内部に予め保持されているものとする。
無線装置16bの送信タイミングであると判定された場合(ステップS13のYES)、制御部164は、無線装置16bに含まれる格納部161に格納されている制御信号を取得する。ここで制御部164によって取得される制御信号は、無線装置16bに対応する構成要素である乗りかご12aによって出力された制御信号であり、例えばエレベータ制御装置11aに対する制御信号(当該乗りかご12a内に設置されている行先階ボタンに対する操作によって登録された行先階を表すかご呼び)等を含む。
送受信部162は、制御部164によって取得された制御信号(第1の制御信号)を送信する(ステップS14)。
カウンタ163は、送受信部162による制御信号の送信に応じて、カウンタ値を更新する。具体的には、カウンタ163は、カウンタ値に1を加算する(ステップS15)。
ステップS15の処理が実行されると、上記したステップS13に戻って処理が繰り返される。
一方で、無線装置16bの送信タイミングでないと判定された場合(ステップS13のNO)、制御部164は、カウンタ値を参照することによって、無線伝送システムにおける全ての無線装置16a〜16cに共通した送信タイミング(共通送信タイミング)であるか否かを判定する(ステップS16)。この場合、制御部164は、カウンタ値が全ての無線装置16a〜16cに対して予め定められた値(共通送信判定値)と一致するか否かを判定する。カウンタ値が共通送信判定値と一致する場合、制御部164は、共通送信タイミングであると判定する。一方、カウンタ値が共通送信判定値と一致しない場合、制御部164は、共通送信タイミングでないと判定する。共通送信判定値は、各無線装置16a〜16cの内部に予め各々保持されているものとする。
なお、共通送信タイミングでないと判定された場合(ステップS16のNO)、後述するステップS19の処理が実行される。
共通送信タイミングであると判定された場合(ステップS16のYES)、制御部164は、異常の有無を判定する(ステップS17)。この場合、無線装置16bは、乗りかご12aの近傍に設置された無線装置であるので、例えば、乗りかご12aに設けられているかご制御装置から出力される乗りかご12aの照明の状態を示す信号に基づいて、乗りかご12a内の照明が正常な状態(換言すると、照明がきれていない状態)であるか否かを判定し、乗りかご12a内の照明が正常な状態であると判定された場合には異常が無いと判定し、乗りかご12a内の照明が正常な状態でないと判定された場合には異常が有ると判定する。
異常が有ると判定された場合(ステップS17のYES)、送受信部162は、乗りかご12aに異常が有ることを示す制御信号(第2の制御信号)を送信し(ステップS188)、上記したステップS15の処理を実行する。
上記したステップS11の処理において開始フレームが受信されていないと判定された場合(ステップS11のNO)、上記したステップS16の処理において共通送信タイミングでないと判定された場合(ステップS16のNO)、及び上記したステップS17の処理において異常が無いと判定された場合(ステップS17のNO)、制御部164は、他の無線装置16a,16cのうちの1の無線装置によって送信された制御信号(フレームの搬送波)が送受信部162によって受信されたか否かを判定する(ステップS19)。
制御信号が受信されていないと判定された場合(ステップS19のNO)、ステップS11に戻って処理が繰り返される。換言すれば、無線装置16bは、開始フレームまたは他の無線装置16a,16cによって送信された制御信号が受信されるまで待機する。
一方、制御信号が受信されたと判定された場合(ステップS19のYES)、上記したステップS15の処理が実行される。
図4に示す処理は無線装置16bによって実行されるものとして説明したが、当該図4に示す処理は、子機として動作する他の無線装置16cにおいても同様に実行される。具体的には、無線装置16cは、開始フレームの受信によりカウンタ値がリセットされた後、当該カウンタ値が当該無線装置16cに対して予め定められている値(無線装置16の送信判定値)と一致する場合に、当該無線装置16cに対応する構成要素(乗りかご12bに設けられているかご制御装置)によって出力された制御信号を他の無線装置に送信する。また、カウンタ値が共通送信判定値と一致する場合に、無線装置16cに対応する構成要素によって出力された照明の状態を示す信号に基づき異常の有無を判定し、異常が有る場合にはこれを示す制御信号を他の無線装置16a,16cに送信する。
上記した図3及び図4において説明したように、複数の無線装置16a〜16cの各々に含まれるカウンタ163は、自装置からの制御信号の送信及び他の無線装置からの制御信号の受信に応じてカウンタ値を更新する(インクリメントする)。換言すれば、例えば制御信号を送信した1の無線装置に含まれるカウンタ163のカウンタ値は当該制御信号の送信によってインクリメントされ、当該無線装置以外の他の無線装置に含まれるカウンタ163のカウンタ値は当該制御信号の受信によってインクリメントされる。したがって、本実施形態において、各無線装置16a〜16cの各々に含まれるカウンタ163のカウンタ値は、当該各無線装置16a〜16c間で同一の値(つまり、同期した状態)となる。
また、各無線装置16a〜16cの送信判定値は、それぞれ異なる値とする。これによれば、本実施形態においては、各無線装置16a〜16c間で同一の値であるカウンタ値と送信判定値が一致する1の無線装置のみが制御信号を送信することができる。
更に、各無線装置16a〜16cの共通送信判定値は、同一の値とする。これによれば、本実施形態においては、各無線装置16a〜16cは、自装置の送信タイミング以外においても、緊急性の高い(優先度の高い)事象が生じたことを示す制御信号を、他の無線装置の送信タイミングに干渉することなく送信することができる。
なお、各無線装置16a〜16cにおいて受信された制御信号は当該無線装置16a〜16cに対応する各構成要素に渡され、当該構成要素において当該制御信号に応じた処理が実行される。
次に、図5を参照して、本実施形態に係る無線伝送システムの動作の具体例について説明する。
ここでは、無線伝送システムを構成する複数の無線装置は、無線装置16a〜16cであるものとする。親機として動作する無線装置は無線装置16aであり、子機として動作する無線装置は16b,16cであるものとする。無線装置16aの送信判定値は0、無線装置16bの送信判定値は1、無線装置16cの送信判定値は2、各無線装置16a〜16cの共通送信判定値は3であるものとする。
ここで、リセット判定値は、無線伝送システムに備えられる複数の無線装置に各々設定された送信タイミングの数(ここでは、3)と、全ての無線装置に共通した少なくとも1つの共通送信タイミングの数(ここでは、1)との合計値とすることができる。したがって、図5においては、リセット判定値が4であるものとして説明する。
なお、図5において、「TX」は、各無線装置16a〜16cによる信号の送信を意味する。「RX」は、各無線装置16a〜16cにおける信号の受信を意味する。
以下の説明では、各無線装置16a〜16cに含まれるカウンタ163に保持されるカウンタ値を便宜的に各無線装置16a〜16cのカウンタ値と称する。
まず、ステップS21において、親機として動作する無線装置16aによって開始フレーム(ST)が送信された場合を想定する。この場合、無線装置16aのカウンタ値は、開始フレーム(ST)の送信によって0にリセットされる。
一方、子機として動作する無線装置16b,16cは、無線装置16aによって送信された開始フレーム(ST)を受信する。無線装置16b,16cのカウンタ値は、開始フレーム(ST)の受信によって0にリセットされる。
すなわち、ステップS21においては、無線装置16a〜16cのカウンタ値は全て0となる。
ここで、上記したように無線装置16aの送信判定値は0である。この場合、無線装置16aのカウンタ値は無線装置16aの送信判定値と一致する。このため、ステップS22において、無線装置16aは、群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)によって出力された制御信号(DT1)を送信する。無線装置16aによって送信される制御信号(DT1)には、例えば各乗りかご12a,12b(に各々設けられるかご制御装置)に対する制御信号(例えば、かごドアの開閉を制御するための制御信号等)が含まれる。無線装置16aのカウンタ値は、制御信号(DT1)の送信によって1に更新される。
一方、無線装置16b,16cは、無線装置16aによって送信された制御信号(DT1)を受信する。無線装置16b,16cのカウンタ値は、制御信号(DT1)の受信によって1に更新される。
すなわち、ステップS22においては、無線装置16a〜16cのカウンタ値は全て1となる。
なお、無線装置16aによって送信された制御信号(DT1)に例えばかごドアの開閉を制御するための制御信号が含まれている場合、無線装置16b,16cに対応する乗りかご12a,12b(かご制御装置)は、当該制御信号に基づく制御(かごドアの開閉制御等)を実行する。この場合における無線装置16b,16cに対応する構成要素は、当該構成要素において必要な制御信号が当該無線装置16b,16cにおいて受信された場合にのみ当該制御信号に基づく制御を実行すればよい。無線装置16a以外の無線装置が制御信号を送信する場合についても同様である。
次に、上記したように無線装置16bの送信判定値は1である。この場合、無線装置16bのカウンタ値は無線装置16bの送信判定値と一致する。このため、ステップS23において、無線装置16bは、乗りかご12aによって出力された制御信号(DT2)を送信する。無線装置16bによって送信される制御信号(DT2)には、例えば群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)に対する制御信号(例えば、乗りかご12aに設置されている行先階ボタンに対する操作によって登録された行先階を表すかご呼び等)が含まれる。無線装置16bのカウンタ値は、制御信号(DT2)の送信によって2に更新される。
一方、無線装置16a,16cは、無線装置16bによって送信された制御信号(DT2)を受信する。無線装置16a,16cのカウンタ値は、制御信号(DT2)の受信によって2に更新される。
すなわち、ステップS23においては、無線装置16a〜16cのカウンタ値は全て2となる。
なお、無線装置16bによって送信された制御信号(DT2)に例えばかご呼びが含まれている場合、無線装置16aに対応する群管理制御装置は、当該制御信号に基づく制御(乗りかご12aの昇降動作制御等)を実行する。具体的には、群管理制御装置(エレベータ制御装置11a)は、かご呼びに基づいて、利用者によって登録された行先階に乗りかご12aを移動(着床)させる制御を実行する。
次に、上記したように無線装置16cの送信判定値は2である。この場合、無線装置16cのカウンタ値は無線装置16cの送信判定値と一致する。ここで、ステップS24においては、送信タイミングである無線装置16cが信号を送信することができない状態である場合を想定する。無線装置16cが正常に動作している場合には、当該無線装置16cから制御信号(乗りかご12bに設置されている行先階ボタンに対する操作によって登録された行先階を表すかご呼び等)または当該制御信号が存在しないことを示す信号が送信される。しかしながら、無線装置16cの付近において例えば一時的な通信障害等が生じている場合には、当該無線装置16cから信号が送信されない可能性がある。このように無線装置16cから信号が送信されない場合、各無線装置16a〜16cのカウンタ値は更新されないため、当該無線装置16a〜16cのいずれも信号を送信することができなくなり、エレベータ10の動作に遅延が発生する。
そこで、本実施形態においては、上記したように信号を送信することができない無線装置の代わりに信号を送信する無線装置(以下、代理無線装置と表記)を複数の無線装置16a〜16cの中から予め定めておくものとする。ここでは、例えば、親機として動作する無線装置16aが代理無線装置として予め定められているものとする。この場合、無線装置16aは、当該無線装置16aの送信タイミングでない(つまり、カウンタ値が無線装置16aの送信判定値及び共通送信判定値と一致しない)場合であって、他の無線装置16b,16cから信号が一定期間受信されない場合、当該他の無線装置から送信されるべき信号の代わりの信号(DY)を送信する。この場合、無線装置16aのカウンタ値は、信号(DY)の送信によって3に更新される。
一方、上記した無線装置16cが信号を送信することができない状態が一時的なものであり、当該状態が解消されている場合には、無線装置16b,16cは、無線装置16aによって送信された信号(DY)を受信する。無線装置16b,16cのカウンタ値は、信号(DY)の受信によって3に更新される。
すなわち、ステップS24においては、例えば送信タイミングである無線装置16cから信号が送信されない場合であっても、当該無線装置16cの代理として無線装置16a(代理無線装置)が信号を送信することにより、無線装置16a〜16cのカウンタ値は全て3となる。
なお、無線装置16cから信号を送信することができない状態が一時的な通信障害等によるものではなく当該無線装置16cの故障等によるものである場合、無線伝送システムは、無線装置16c以外の無線装置16a,16bのみが動作する構成となる。ここで、代理無線装置として予め定められている無線装置16a内では、各無線装置16a〜16cの送信判定値が管理されているものとする。これによれば、無線装置16aは、当該無線装置16aのカウンタ値及び各無線装置16a〜16cの送信判定値に基づいて、送信タイミングであるにもかかわらず信号を送信しなかった無線装置を特定することができる。この場合、無線装置16aは、例えば群管理制御装置を介して、特定された無線装置からの制御信号が一定期間受信されない(つまり、当該無線装置が正常に動作していない)ことをエレベータ10の管理者等に通知する構成とすることも可能である。
また、代理無線装置として予め定められている無線装置16aが信号を送信することができない場合には、上記したように複数の無線装置16b,16cのいずれも信号を送信することができない事態となる可能性がある。このような事態を避けるために、代理無線装置が信号を送信することができない場合に、当該代理無線装置の代わりに信号を送信する無線装置が更に定められていてもよい。
更に、代理無線装置として予め定められた1の無線装置に対する負荷を軽減するために、代理無線装置が動的に変更されるようにしてもよい。具体的には、無線装置16a〜16cのカウンタ値に1を加算(または減算)した値を送信判定値とする無線装置が代理無線装置として動作するようにしてもよい。また、無線装置16a〜16c以外の無線装置が代理無線装置として用意されているような構成であってもよい。
次に、上記したように全ての無線装置16a〜16cに共通の共通送信判定値は3である。この場合、各無線装置16a〜16cのカウンタ値は共通送信判定値と一致する。このため、ステップS25において、各無線装置16a〜16cは異常の有無を判定し、異常が有る場合には、これを示す制御信号を各無線装置に送信する。図5においては、無線装置16bが異常の有無を判定した結果、乗りかご12a内に設けられた照明に異常があることを検出し、この異常を示す制御信号(DT3)を他の無線装置16a,16cに送信した場合を想定する。無線装置16bのカウンタ値は、制御信号(DT3)の送信によって4に更新される。
一方、無線装置16a,16cは、無線装置16bによって送信された制御信号(DT3)を受信する。無線装置16a,16cのカウンタ値は、制御信号(DT3)の受信によって4に更新される。
なお、異常の有無を判定した結果、全ての無線装置16a〜16cにおいて、異常が無いと判定された場合、いずれの無線装置16a〜16cからも信号が送信されず、各無線装置16a〜16cのカウンタ値が更新されないという事態を招いてしまう。この事態を避けるために、上記した代理無線装置と同様な処理を実行する。つまり、代理無線装置である無線装置16aは、全ての無線装置16a〜16cに共通の共通送信タイミングであって、自装置から信号が送信されず、かつ他の無線装置16b,16cからも信号が一定期間受信されない場合、全ての無線装置16a〜16cにおいて異常は検出されていないものとみなし、これを示す信号(DY2)を送信する。この場合、無線装置16aのカウンタ値は、信号(DY2)の送信によって4に更新される。また、他の無線装置16b,16cのカウンタ値は、無線装置16aから送信された信号(DY2)を受信することによって4に更新される。
また、異常の有無を判定した結果、複数の無線装置において異常が有ると判定された場合、異常が有ると判定した複数の無線装置が一斉に制御信号を送信してしまうという事態が考えられる。これによれば、複数の無線装置が一斉に制御信号を送信してしまうことに起因した通信干渉が生じてしまい、各無線装置間において正常に制御信号の送受信ができなくなるという不都合を招き得る。このため、親機である無線装置(ここでは、無線装置16a)は、上記した通信干渉が生じていることを検出すると、この旨をエレベータ制御装置11に通知することで、当該通信干渉の解消を試みる。
ここで、上記したようにリセット判定値は4である。この場合、親機として動作する無線装置16aのカウンタ値はリセット判定値と一致する。このように無線装置16aのカウンタ値がリセット判定値と一致する場合、無線装置16aは、各無線装置16a〜16cのカウンタ値が上限値に達したと判定する。この場合において、各無線装置16a〜16cによる信号の伝送を継続させる(つまり、当該信号の伝送を再度開始する)ためには、当該各無線装置16a〜16cのカウンタ値をリセットする必要がある。このため、ステップS26において、無線装置16aは、ステップS21と同様に、開始フレーム(ST)を送信する。無線装置16aのカウンタ値は、開始フレーム(ST)の送信によって0にリセットされる。同様に、無線装置16a〜16cのカウンタ値は、開始フレーム(ST)の受信によって0にリセットされる。ステップS26の後、無線伝送システムは、上記したステップS22以降と同様に動作する。
上記したように本実施形態に係る無線伝送システムは、エレベータ10を制御するために用いられる信号を出力する当該エレベータ10の複数の構成要素に対応する複数の無線装置16a〜16cを備える。複数の無線装置16a〜16cの各々は、自装置の送信タイミングに、当該自装置に対応する構成要素によって出力された制御信号(第1の信号)が当該自装置から送信される、全ての無線装置に共通した共通送信タイミングに、自装置に対応する構成要素によって出力された制御信号(第2の信号)が当該自装置から送信される、自装置の送信タイミング及び共通送信タイミング以外の送信タイミングに、当該自装置以外の他の無線装置から送信された制御信号(第3の信号)が受信される、または共通送信タイミングに、自装置以外の他の無線装置から送信された制御信号(第4の信号)が受信される毎に更新されるカウンタ値を保持するカウンタ163を含む。複数の無線装置16a〜16cの各々は、カウンタ163に保持されるカウンタ値が自装置の送信判定値または全ての無線装置16a〜16cに共通する共通送信判定値と一致する場合に制御信号を送信する。なお、無線装置16a〜16cの送信判定値及び共通送信判定値は、互いに異なる値である。
本実施形態においては、このような構成により、各無線装置16a〜16cの各々が適切な送信タイミングで制御信号を送信することができるため、複数の無線装置16a〜16c間の衝突現象を回避し、エレベータ10における制御信号を無線により伝送することが可能となる。換言すれば、本実施形態によれば、サブギガ周波数帯を用いた暗黙的トークパッシング方式で制御信号を伝送することにより、無線LANにおける所謂隠れ端末問題を解消し、例えばCSMA/CAよりも比較的短い待ち時間で効率的な制御信号の伝送を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、各無線装置16a〜16cの全てに共通した共通送信タイミングが設けられているため、当該共通送信タイミングにて各無線装置16a〜16cに対応したエレベータ10の構成要素に異常が発生しているか否かを判定し、異常が発生している場合には、当該共通送信タイミングを利用して、緊急性の高い(優先度の高い)制御信号を、各無線装置16a〜16cの各々に対応した送信タイミングに干渉することなく伝送することが可能となる。
また、本実施形態において、親機として動作する無線装置(予め定められた1の無線装置)16aは、信号の伝送が開始されることを表す開始フレームを送信する。無線装置16aのカウンタ値は、開始フレームが送信された場合にリセットされる。子機として動作する無線装置16b,16cのカウンタ値は、開始フレームが受信された場合にリセットされる。このような構成によれば、各無線装置16a〜16cにおける送信タイミングを判別するためのカウンタ値をリセットして、当該無線伝送システムにおける制御信号の無線伝送を開始するが可能となる。
また、本実施形態において、親機として動作する無線装置16aは、カウンタ値が無線装置16a〜16cの数によって定められる上限値と一致する場合に開始フレームを送信する。このような構成によれば、無線伝送システムにおける制御信号の無線伝送を継続的かつ効率的に行うことが可能となる。なお、開始フレームは、一定期間毎に送信される構成であってもよい。
更に、本実施形態において、代理無線装置として定められている無線装置(予め定められた1の無線装置)16aは、自装置の送信タイミング及び共通送信タイミングでない(カウンタ値が無線装置16aの送信判定値及び全ての無線装置16a〜16cに対応した共通送信判定値と一致していない)場合であって、他の無線装置16b,16cから制御信号が一定期間受信されない場合、当該制御信号の代わりの信号を送信する。このような構成によれば、例えば他の無線装置16b,16c(のうちの1の無線装置)が制御信号を送信できない状態であっても、無線伝送システムにおける制御信号の無線伝送を継続して行うことが可能となる。また、本実施形態においては、他の無線装置16b,16cから制御信号が一定期間受信されないことを例えばエレベータ制御装置11に通知することも可能である。
本実施形態においては、自装置の送信タイミングにおいて送信すべき制御信号が存在しない場合には当該制御信号が存在しないことを表す信号を送信することにより、対応する構成要素から制御信号が出力されるのを待つことなく、当該無線伝送システムにおける制御信号の無線伝送を効率的に行うことが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…エレベータ、11…エレベータ制御装置、12…乗りかご、13…カウンタウエイト、14…巻上げ機、15…メインロープ、16a〜16c…無線装置、161…格納部、162…送受信部、163…カウンタ、164…制御部。

Claims (7)

  1. エレベータを制御するために用いられる信号を出力する当該エレベータの複数の構成要素の各々に対応する複数の無線装置を具備し、
    前記複数の無線装置の各々は、
    当該無線装置に対応する構成要素によって出力された第1の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信する第1の送信手段と、
    当該無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第2の信号を無線により当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信する第2の送信手段と、
    当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素によって出力された第3の信号を受信する第1の受信手段と、
    当該無線装置以外の他の無線装置から無線により送信された、当該他の無線装置に対応する構成要素に異常が発生したことを示す第4の信号を受信する第2の受信手段と、
    前記第1の信号または前記第2の信号が送信される、又は前記第3の信号または前記第4の信号が受信される毎に更新される値を保持するカウンタと
    を含み、
    前記第1の送信手段は、前記カウンタに保持される値が当該無線装置に対して予め定められた固有の値と一致する場合に前記第1の信号を送信し、
    前記第2の送信手段は、前記カウンタに保持される値が前記複数の無線装置に対して共通に定められた共通の値と一致し、かつ当該無線装置に対応する構成要素に異常が発生した場合にだけ前記第2の信号を送信し、
    前記複数の無線装置の各々に対して予め定められた固有の値と、前記複数の無線装置に対して共通に定められた共通の値とは、互いに異なる
    無線伝送システム。
  2. 前記第2の送信手段は、前記カウンタに保持される値が前記複数の無線装置に対して共通に定められた共通の値である場合、当該無線装置に対応した構成要素に異常が発生しているかどうかを判定し、
    異常が発生していると判定された場合に、前記第2の信号を当該無線装置以外の他の無線装置に対して送信する
    請求項1記載の無線伝送システム。
  3. 前記複数の無線装置のうちの予め定められた1の無線装置に含まれる第1の送信手段は、前記複数の無線装置間における信号の伝送を開始するための第5の信号を送信し、
    前記予め定められた1の無線装置に含まれるカウンタは、前記第5の信号が送信された場合に当該カウンタに保持される値をリセットし、
    前記予め定められた1の無線装置以外の他の無線装置に含まれる第1の受信手段は、前記送信された第5の信号を受信し、
    前記予め定められた1の無線装置以外の他の無線装置に含まれるカウンタは、前記第5の信号が受信された場合に当該カウンタに保持される値をリセットする
    請求項1記載の無線伝送システム。
  4. 前記予め定められた1の無線装置に含まれる第1の送信手段は、前記カウンタに保持される値が前記複数の無線装置の各々に対して定められた固有の値の数と、前記複数の無線装置に対して共通に定められた共有の値の数とによって定められる上限値と一致する場合に前記第5の信号を送信する請求項3記載の無線伝送システム。
  5. 前記複数の無線装置のうちの予め定められた1の無線装置に含まれる第1の送信手段は、前記カウンタに保持される値が当該無線装置に対して予め定められた固有の値と一致していない場合であって、前記第3の信号が一定期間受信されない場合、当該第3の信号の代わりとなる第5の信号を送信する請求項1記載の無線伝送システム。
  6. 前記複数の構成要素は、少なくとも乗りかごの昇降動作を制御するエレベータ制御装置を含み、
    前記予め定められた1の無線装置は、前記エレベータ制御装置に対応する無線装置であり、
    前記エレベータ制御装置に対応する無線装置は、前記第3の信号が一定期間受信されないことを前記エレベータ制御装置に通知する通知手段を更に含む
    請求項5記載の無線伝送システム。
  7. 前記第1の送信手段は、前記カウンタに保持される値が前記無線装置に対して予め定められた固有の値と一致する場合であって、当該無線装置に対応する構成要素によって出力された第1の信号が存在しない場合、当該第1の信号が存在しないことを表す第5の信号を送信する請求項1記載の無線伝送システム。
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