JP6251366B1 - 通信装置及びエレベータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 安全性を低下させずに、制御盤及び乗りかご間での無線信号伝送を行うこと。【解決手段】 実施形態に係る通信装置は、乗りかごに設置され、昇降路内に設置された複数の無線装置と通信可能に接続される。この通信装置は、第1の周波数と、第1の周波数とは異なる第2の周波数とを用いて、各無線装置のうちの通信先の無線装置とブロードキャスト通信及びユニキャスト通信を選択的に行う。また、通信先の無線装置とのユニキャスト通信時に、第1の周波数において当該無線装置からの応答確認を得られない場合、複数のタイムスロットを含む通信フレームに関し、第1の周波数におけるユニキャスト通信用のタイムスロットをブロードキャスト通信用に変更する。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、通信装置及びエレベータシステムに関する。
一般に、エレベータには、制御盤と称されるエレベータ全体の制御を行うための装置が設けられている。
制御盤は、巻上機を駆動させて昇降路内における乗りかごの昇降動作を制御すると共に、例えば所定の乗場に着床した乗りかごのドアを開閉制御するための制御信号などを乗りかごに伝送する。
一方、乗りかご内に設けられた行先階釦に対する操作に応じて出力されるかご呼びと称される制御信号は、乗りかごから制御盤に伝送される。また、乗りかごから制御盤には、制御信号の他に、乗りかごが戸開走行していないかを監視するために、乗りかごのドアの開閉状態を示す法規信号が伝送される。
このような制御盤及び乗りかご間の信号伝送は、制御盤と乗りかごを接続するテールコードと称される伝送ケーブルを介して有線にて行われる。
しかしながら、乗りかごが走行する昇降行程が長距離となる場合、上記したテールコードを長くする必要がある。
このようにテールコードを長くした場合、当該テールコードの重量が増加する。テールコードは乗りかごに接続されているため、当該テールコードの重量の増加に伴って、乗りかごを昇降動作させるための巻上機の容量を増加させる必要がある。
このため、テールコードを用いることなく、制御盤及び乗りかご間の信号伝送を無線により行う仕組みが考案されている。
しかしながら、無線による信号伝送の場合、環境によっては安定して信号伝送を行えないことがある。安定した信号伝送が行えないと、上記した法規信号の伝送が途絶える恐れがあり、ひいては、安全性の低下を招くという不都合がある。
本発明が解決しようとする課題は、安全性を低下させずに、制御盤及び乗りかご間での無線信号伝送を実現可能な通信装置及びエレベータシステムを提供することである。
実施形態に係る通信装置は、乗りかごに設置され、昇降路内に設置された複数の無線装置と通信可能に接続される。この通信装置は、第1の周波数と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数とを用いて、前記各無線装置のうちの通信先の無線装置とブロードキャスト通信及びユニキャスト通信を選択的に行う通信手段と、前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信時に、前記第1の周波数において当該無線装置からの応答確認を得られない場合、複数のタイムスロットを含む通信フレームに関し、前記第1の周波数におけるユニキャスト通信用のタイムスロットをブロードキャスト通信用に変更する第1の変更手段と、前記乗りかごが停止している場合、前記第1の周波数を用いて前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信を試行する試行手段と、前記試行されたユニキャスト通信時に前記通信先の無線装置からの応答確認が得られた場合、前記第1の周波数において前記ブロードキャスト通信用に変更されたタイムスロットを前記ユニキャスト通信用に再度変更する第2の変更手段とを具備する。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
以下では、無線通信方式として、IEEE802.11を使用する場合を例に挙げて説明するが、他の無線通信方式が使用されても良い。
以下では、無線通信方式として、IEEE802.11を使用する場合を例に挙げて説明するが、他の無線通信方式が使用されても良い。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る通信装置を含むエレベータシステムの概略構成例を示す図である。図1に示すエレベータシステムでは、エレベータ全体の制御を行う制御盤(以下、「エレベータ制御装置」と表記する)11が上部機械室に設けられている。昇降路内には、乗りかご12及びカウンタウエイト13が設けられており、それぞれ図示しないガイドレールに昇降動作可能に支持されている。
図1は、第1の実施形態に係る通信装置を含むエレベータシステムの概略構成例を示す図である。図1に示すエレベータシステムでは、エレベータ全体の制御を行う制御盤(以下、「エレベータ制御装置」と表記する)11が上部機械室に設けられている。昇降路内には、乗りかご12及びカウンタウエイト13が設けられており、それぞれ図示しないガイドレールに昇降動作可能に支持されている。
メインロープ14の一端に乗りかご12が連結され、メインロープ14の他端にカウンタウエイト13が連結されている。メインロープ14は、巻上機15の回転軸に取り付けられたメインシーブ16aに巻回されている。16bはそらせシーブである。巻上機15は、エレベータ制御装置11と共に上部機械室に設置されている。エレベータ制御装置11からの駆動指示により巻上機15が駆動されると、メインロープ14を介して乗りかご12がカウンタウエイト13と共につるべ式に昇降動作する。
図1においては省略されているが、乗りかご12の上部には、かご制御装置が設けられている。かご制御装置は、エレベータ制御装置11からの指示にしたがって、乗場に着床した乗りかご12のかごドアの開閉制御を行ったり、照明機器の駆動制御や空調制御などを行う。
乗りかご12内には、乗客によって操作されるかご操作盤17が設けられている。かご操作盤17には、各階に対応した行先階釦17aや、かごドアの戸開閉を制御する戸開閉釦17bなどが設けられている。行先階釦17aは、乗客の行先階(目的階)を登録するための釦である。行先階釦17aが乗客によって操作(押下)された場合、乗客によって操作された行先階を表す制御信号(以下、「かご呼び」と表記する)が出力される。
乗りかご12が着床する各階の乗場には、乗場呼び釦18が設けられている。乗場呼び釦18は、乗客が乗りかご12に乗車する乗場の位置を登録するための釦である。所定の乗場において、乗場呼び釦18が乗客によって操作(押下)された場合、当該乗場呼び釦18が設置されている階床を示す乗場情報と行先方向(上方向または下方向)とを表す制御信号(以下、「乗場呼び」と表記する)が出力される。
ここで、図1に示すように、本実施形態に係るエレベータシステムにおいては、エレベータ制御装置11と乗りかご12とを接続するテールコードを利用した有線通信の代わりに無線通信を利用して、各種信号の送受信を行う。このため、乗りかご12には、図1に示すように、IEEE802.11準拠のアクセスポイント(AP: Access Point)として機能する通信装置21が設けられている。また、昇降路内には、IEEE802.11準拠のステーション(STA: Station)として機能する複数の無線装置22が設けられている。なお、複数の無線装置22は、図1に示すように、エレベータ制御装置11と有線にて接続されている。また、複数の無線装置22のそれぞれは、図1に示すように、隣接する無線装置22とそれぞれ有線にて接続されていても良い。
なお、図1では、通信装置21が乗りかご12の上部及び底部の両方に設けられている場合を例示しているが、通信装置21は乗りかご12の上部または底部のどちらか一方にだけ設けられても良い。また、図1では、複数の無線装置22が、昇降路の上部(頂部隙間)及び底部(ピット)に加えて、各階に設けられている場合を例示しているが、複数の無線装置22は、2以上の所定階床毎に設けられても良い。但し、通信経路の冗長性を考慮すると、複数の無線装置22は、乗りかご12と共に移動する通信装置21が2以上の無線装置22と常に通信可能になるように配置される方が好ましい。
通信装置21は、通信経路の冗長性を考慮して、第1の周波数と、第1の周波数とは異なる周波数である第2の周波数とを利用して、昇降路内に設置された各無線装置22と通信可能に接続される。通信装置21がどの無線装置22と通信可能に接続されるかは、例えば図2に示す通信先選択テーブルに基づいて決定される。図2に示す通信先選択テーブルは、乗りかご12の現在位置と、当該現在位置近辺の1以上の無線装置22とが対応づけられたテーブルである。つまり、乗りかご12と共に移動する通信装置21は、乗りかご12の現在位置から見て近くに位置する1以上の無線装置22と通信可能に接続される。なお、乗りかご12がどのように移動するかを示す移動計画が決まっている場合、乗りかご12と共に移動する通信装置21は、当該移動計画にしたがって、移動先近辺の1以上の無線装置22と通信可能に接続されても良い。これによれば、例えば、乗りかご12が現在位置から最も近い無線装置22近辺をちょうど通り過ぎた後であったとしても、通信装置21は乗りかご12が移動するにしたがって離れる当該無線装置22と通信可能に接続されるのではなく、予め決められた移動計画にしたがって、次の移動先近辺に位置する無線装置22と通信可能に接続されるので、より確実に無線装置22との無線通信リンクを確立することができる。
なお、ここでは、通信装置21の通信先が乗りかご12の現在位置近辺の1以上の無線装置22である場合について説明したが、例えば、通信装置21の通信先は乗りかご12の現在位置において電波強度が良く、ビット誤り率(BER: Bit Error Rate)及びパケット誤り率(PER: Packet Error Rate)が低いとされる1以上の無線装置22であっても良い。
ここで、図3を参照しながら、通信装置21の機能について説明する。なお、ここでは、詳しい説明は省略するが、無線装置22の機能構成も通信装置21と同様である。
通信装置21は、図3に示すように、制御部21a及び通信部21bを備えている。なお、図2に示した通信先選択テーブルは図示しないメモリなどに予め格納される。制御部21aは、通信装置21の各種動作を制御する。通信部21bは、昇降路内に設けられた複数の無線装置22と通信し、ユニキャスト通信(UC: Unicast)及びブロードキャスト通信(BC: Broadcast)を選択的に行う機能を有している。具体的には、通信部21bは、各無線装置22に制御信号をユニキャスト通信で送信し、応答確認(ACK応答)を受信する。また、通信部21bは、各無線装置22に後述する法規信号をブロードキャスト通信で送信する。さらに、通信部21bは、各無線装置22からユニキャスト通信で送信される制御信号を受信し、応答確認を送信する。
なお、ここでは、通信部21bは、ユニキャスト通信及びブロードキャスト通信を選択的に行うとしたが、通信部21bは、ブロードキャスト通信の代わりに、マルチキャスト通信(MC: Multicast)を行うとしても良い。また、通信部21bが、各種通信を選択的に行うことで、各種通信毎に専用の通信装置を設ける必要がなく、通信装置の設置にかかるコストを低減させることができる。
制御信号は、エレベータの各種動作を制御する信号であり、通信装置21から各無線装置22に送信される制御信号としては、例えば、上記かご呼びなどが一例として挙げられる。また、各無線装置22から通信装置21に送信される制御信号としては、例えば、上記乗場呼びを乗りかご12にフィードバックするための信号、乗りかご12の現在位置(移動状況)を示す信号、乗りかご12の移動速度を制御する信号、かごドア12の戸開閉を指示する信号などが一例として挙げられる。
なお、制御信号は、上記したように応答確認の有る信号であるため、制御信号の送信元の装置は、応答確認が得られた否かに応じて、送信先の装置が制御信号を正常に受信したか否かを確認することができる。
法規信号はかごドアの戸開閉状態を示す信号であり、乗りかご12が戸開走行しているか否かを判断するために用いられる。なお、法規信号は、制御信号とは異なり、応答確認の無い信号であるため、法規信号の送信元である通信装置21は、送信先の無線装置22が法規信号を正常に受信したか否かを確認することができない。
通信部21bは、通信先選択テーブルに基づいて決定された通信先の無線装置22との無線通信リンクが確立すると、1通信フレーム毎に、ユニキャスト通信で制御信号を送信し、応答確認を受信する。又は、ブロードキャスト通信で法規信号を送信する。さらには、ユニキャスト通信で各無線装置22からの制御信号を受信し、応答確認を送信する。通信フレームとは、信号の送受信を行うために規定される所定の通信時間を示し、複数のタイムスロットを含む。タイムスロットとは、ユニキャスト通信を行うために割り当てられた時間を示す。又は、ブロードキャスト通信を行うために割り当てられた時間を示す。
本実施形態では、図4に示すように、第1の周波数が2.4GHzであり、第2の周波数が5.2GHzであって、1通信フレーム(例えば4ms)毎に3つのタイムスロットが含まれている場合を想定して説明する。但し、第1及び第2の周波数としては、上記した周波数以外の周波数が利用されても良い。また、1通信フレームに含まれるタイムスロットの数も上記した数値に限定されるものでない。
なお、制御部21a及び通信部21bは、図示しないCPU(Computer Processing Unit)などの処理装置に図示しないメモリに格納されたプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現しても良いし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現しても良い。
次に、図5のフローチャートを参照して、以上のように構成された通信装置21によって実行される無線通信処理の手順の一例について説明する。但し、通信先の無線装置22との無線通信リンクは既に確立しているものとして説明する。
まず、通信装置21は、第1及び第2の周波数を利用して、1通信フレーム毎に、割り当てられたタイムスロットにしたがって、ユニキャスト通信及びブロードキャスト通信を選択的に行う。より詳しくは、通信装置21は、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22に制御信号を送信し、これに対する応答確認を受信する。又は、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22からの制御信号を受信し、これに対する応答確認を送信する。或いは、ブロードキャスト通信で通信先の無線装置22に法規信号を送信する(ステップS1)。
まず、通信装置21は、第1及び第2の周波数を利用して、1通信フレーム毎に、割り当てられたタイムスロットにしたがって、ユニキャスト通信及びブロードキャスト通信を選択的に行う。より詳しくは、通信装置21は、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22に制御信号を送信し、これに対する応答確認を受信する。又は、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22からの制御信号を受信し、これに対する応答確認を送信する。或いは、ブロードキャスト通信で通信先の無線装置22に法規信号を送信する(ステップS1)。
例えば図6に示すように、1通信フレームに含まれるタイムスロットの数が3つであって、これらタイムスロットが、ブロードキャスト通信、ブロードキャスト通信、ユニキャスト通信の順に時系列的に割り当てられていた場合、通信装置21は、第1及び第2の周波数を利用して、まずブロードキャスト通信で通信先の無線装置22に法規信号を送信する。続いて、同様に、ブロードキャスト通信で通信先の無線装置22に法規信号を送信する。その後、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22に制御信号を送信し、これに対する応答確認を受信すると共に、当該通信先の無線装置22からの制御信号を受信し、これに対する応答確認を送信する。
続いて、通信装置21は、第1の周波数において、ユニキャスト通信時に送信した制御信号に対する応答確認を受信したか否かを確認する(ステップS2)。なお、通信先の無線装置22からの応答確認を受信していた場合(ステップS2のYES)、ステップS1の処理に戻り、次の通信フレーム以降においても同様な処理を実行する。
一方、通信先の無線装置22からの応答確認を受信していなかった場合(ステップS2のNO)、通信装置21は、次の通信フレーム以降、第1の周波数において、ユニキャスト通信を行うことを止め(停止し)(ステップS3)、ユニキャスト通信を行うために割り当てられたタイムスロットをブロードキャスト通信に割り当てる(ステップS4)。
具体的には図7に示すように、第1の周波数において、ユニキャスト通信を行うために割り当てられたタイムスロットを、ブロードキャスト通信を行うためのタイムスロットとする。つまり、第1の周波数においては、1通信フレームに含まれる3つのタイムスロットは全てブロードキャスト通信を行うためのタイムスロットとなる。一方、第2の周波数においては割当変更が行われないため、1通信フレームに含まれるタイムスロットは、ブロードキャスト通信、ブロードキャスト通信、ユニキャスト通信の順に時系列的に並んだままとなる。
次に、通信装置21は、第2の周波数における次の通信フレームにおいて、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22から送信された乗りかご12の移動状況を示す制御信号に基づいて、乗りかご12が移動しているか否かを判定する(ステップS5)。なお、通信装置21は、第1の周波数においては、上記したように全てのタイムスロットにおいてブロードキャスト通信で通信先の無線装置22に法規信号を送信する。
なお、ここでは、乗りかご12の移動状況を示す制御信号は通信先の無線装置22から得られるとしたが、例えば、乗りかご12に自身の移動状況を把握する装置が設けられている場合、当該制御信号は当該装置から得られるとしても良い。
ステップS5の判定処理において、乗りかご12が移動していると判定された場合(ステップS5のYES)、通信装置21は、次の通信フレーム以降においても、ステップS5の処理を再度実行する。つまり、通信装置21は、第1の周波数においては、全てのタイムスロットにおいてブロードキャスト通信で法規信号を送信し、第2の周波数においては、ブロードキャスト通信、ブロードキャスト通信、ユニキャスト通信の順に無線通信処理を行い、ユニキャスト通信時に受信された乗りかご12の移動状況を示す制御信号に基づいて、上記ステップS5の処理を再度実行する。
一方、ステップS5の判定処理において、乗りかご12が移動していないと判定された場合(ステップS5のNO)、通信装置21は、第2の周波数における同通信フレームにおいて、乗りかご12が停止していることを示す制御信号をユニキャスト通信で通信先の無線装置22に送信する(ステップS6)。エレベータ制御装置11は、無線装置22を介して乗りかご12が停止している旨の制御信号の入力を受け付けると、当該制御信号の入力に応じて、ユニキャスト通信を試行してみるよう指示する通信試行指示を出力する。通信試行指示は、無線装置22を介して通信装置21に送信される。
なお、ここでは、乗りかご12が停止している場合にエレベータ制御装置11は通信試行指示を出力するとしたが、例えば、エレベータ制御装置11は、第1の周波数における所定期間中の通信エラーの数が予め定められた閾値よりも小さい場合に通信試行指示を出力するとしても良い。
通信装置21は、第2の周波数において、ユニキャスト通信で通信試行指示を受信すると、第1の周波数における次の通信フレームにおいて、割当変更が行われたタイムスロットを利用して、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22に制御信号を送信する処理を試行する(ステップS7)。
具体的には図8に示すように、第1の周波数において割当変更が行われたタイムスロットを利用して、ユニキャスト通信で通信先の無線装置22に制御信号を試行送信する。つまり、第1の周波数において、1通信フレームに含まれる3つのタイムスロットは、ブロードキャスト通信、ブロードキャスト通信、仮のユニキャスト通信の順に時系列的に並ぶ。
なお、第1の周波数において、通信先の無線装置22に試行送信される制御信号は、第2の周波数において送信された制御信号と同様な制御信号であっても良いし、試行送信のために用意された制御信号であっても良い。
また、ここでは、通信装置21はエレベータ制御装置11からの通信試行指示を受信した場合に、上記したステップS7の処理を実行するとしたが、これに限定されず、通信装置21は、上記したステップS6の処理の後に、エレベータ制御装置11からの通信試行指示を受信することなく、上記したステップS7の処理を自発的に実行するとしても良い。
その後、通信装置21は、第1の周波数において、ユニキャスト通信時に試行送信した制御信号に対する応答確認を受信したか否かを確認する(ステップS8)。なお、通信先の無線装置22からの応答確認を受信していなかった場合(ステップS8のNO)、通信装置21は、次の通信フレーム以降においても、上記ステップS5の処理を実行する。
一方、通信先の無線装置22からの応答確認を受信していた場合(ステップS8のYES)、通信装置21は、第1の周波数において割当変更が行われたタイムスロットをユニキャスト通信に再度割り当て(ステップS9)、ステップS1の処理に戻り、次の通信フレーム以降においても同様な処理を実行する。
なお、上記した無線通信処理では、第1の周波数における通信エラーの有無に着目したが、第1の周波数と第2の周波数とを入れ替えて、第2の周波数における通信エラーの有無に着目した無線通信処理が実行されても良い。さらには、所定時間毎に、着目する周波数を変えて、上記した無線通信処理が実行されても良い。つまり、始めは第1の周波数における通信エラーの有無に着目した無線通信処理が実行され、所定時間経過後、第2の周波数における通信エラーの有無に着目した無線通信処理が実行されるといったように、着目する周波数を交互に入れ替えて、上記した無線通信処理が実行されても良い。
以上説明した第1の実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
一般的に、安全性の観点から戸開走行は避けるべき事象であり、戸開走行しているか否かを判断するために用いられる法規信号は、エレベータ制御装置11に常に入力される必要がある。これに対し、本実施形態に係る通信装置21は、ユニキャスト通信時の応答確認を利用して、通信エラーの有る周波数においては、ユニキャスト通信に割り当てていたタイムスロットをブロードキャスト通信に変更し、通信先の無線装置22に法規信号だけを送信する機能を備えている。これによれば、無作為に(突発的に)通信エラーが生じたとしても、1通信フレームに含まれる全てのタイムスロットにおいて法規信号を送信することができるため、エレベータ制御装置11への法規信号の入力が途絶える可能性を低くすることができる。
一般的に、安全性の観点から戸開走行は避けるべき事象であり、戸開走行しているか否かを判断するために用いられる法規信号は、エレベータ制御装置11に常に入力される必要がある。これに対し、本実施形態に係る通信装置21は、ユニキャスト通信時の応答確認を利用して、通信エラーの有る周波数においては、ユニキャスト通信に割り当てていたタイムスロットをブロードキャスト通信に変更し、通信先の無線装置22に法規信号だけを送信する機能を備えている。これによれば、無作為に(突発的に)通信エラーが生じたとしても、1通信フレームに含まれる全てのタイムスロットにおいて法規信号を送信することができるため、エレベータ制御装置11への法規信号の入力が途絶える可能性を低くすることができる。
具体的には、図9に示すように、1通信フレームに含まれる3つのタイムスロットのうち、3番目のタイムスロットをユニキャスト通信からブロードキャスト通信に割当変更を行った後に、1番目と2番目のタイムスロットにおいて連続して通信エラーが生じたとしても、3番目のタイムスロットにおいてエレベータ制御装置11に法規信号を送信することができるので、エレベータ制御装置11への法規信号の入力が途絶える可能性を低くすることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、ユニキャスト通信時の応答確認を利用して、タイムスロットの割当変更を行うだけでなく、エレベータ制御装置11からの指示に応じてタイムスロットの割当変更を行う場合について説明する。
次に、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、ユニキャスト通信時の応答確認を利用して、タイムスロットの割当変更を行うだけでなく、エレベータ制御装置11からの指示に応じてタイムスロットの割当変更を行う場合について説明する。
以下では、まず、エレベータ制御装置11の機能について説明する。なお、エレベータ制御装置11は、通信装置21の通信スケジュール、つまり、1通信フレームに含まれるタイムスロットの割当を示す割当情報を図示しないメモリに予め格納しているものとする。
エレベータ制御装置11は、予め格納された割当情報を参照して、第1及び第2の周波数のそれぞれにおいて、当該割当情報によって示される通信スケジュール通りに、ブロードキャスト通信で通信装置21から送信された法規信号の入力を受け付けているか否かを判定する。
例えば図6に示したように、1通信フレームに含まれるタイムスロットの数が3つであって、これらタイムスロットが、ブロードキャスト通信、ブロードキャスト通信、ユニキャスト通信の順に時系列的に割り当てられていた場合、エレベータ制御装置11は、1通信フレーム毎に、第1及び第2の周波数のそれぞれにおいて、法規信号の入力を2回ずつ受け付けているか否かを判定する。上記した判定の結果、法規信号の入力を2回ずつ受け付けている場合には、法規信号は通信スケジュール通りに送信されており、通信エラーは無いものと判断する。一方で、法規信号の入力を2回ずつ受け付けていない場合には、法規信号は通信スケジュール通りに送信されておらず、通信エラーが有るものと判断する。
なお、ここでは、エレベータ制御装置11は法規信号の入力を2回ずつ受け付けていない場合に通信エラーが有るものと判断するとしたが、例えば、法規信号の入力が一定期間連続して無い場合、または一定期間中の法規信号の入力が無かった回数が予め設定された閾値よりも大きい場合に、通信エラーが有るものと判断しても良い。
エレベータ制御装置11は、通信エラーが有ると判断された周波数に対して、1通信フレームに含まれる複数のタイムスロットのうち、ユニキャスト通信を行うために割り当てられたタイムスロットを、ブロードキャスト通信を行うためのタイムスロットとするよう通信装置21に指示する割当変更指示を出力する機能を有している。割当変更指示は、無線装置22を介して通信装置21に送信される。
ここで、図10のフローチャートを参照して、以上のような機能を有したエレベータ制御装置11を含むエレベータシステムにおいて、通信装置21によって実行される無線通信処理の手順の一例について説明する。なお、図5のフローチャートにおいて既に説明した処理と同一の処理については同一の符号を付し、ここではその詳しい説明を省略するものとする。
ステップS1及びS2の処理が実行され、ステップS2の処理において、通信先の無線装置22からの応答確認を受信していた場合(ステップS2のYES)、通信装置21は、第1の周波数において、通信先の無線装置22から送信される割当変更指示を受信したか否かを判定する(ステップS10)。なお、割当変更指示を受信していないと判定された場合(ステップS10のNO)、ステップS1の処理に戻り、次の通信フレーム以降においても、同様な処理を実行する。
一方、割当変更指示を受信したと判定された場合(ステップS10のYES)、ステップS3の処理に進む。すなわち、通信装置21は、次の通信フレーム以降、第1の周波数において、ユニキャスト通信を行うことを止め(停止し)(ステップS3)、ユニキャスト通信を行うために割り当てられたタイムスロットをブロードキャスト通信に割り当てる(ステップS4)。
以降、既に説明したようにステップS5〜S9の処理が順に実行される。
以上説明した第2の実施形態によれば、通信装置21は、ユニキャスト通信時の応答確認の他にエレベータ制御装置11からの割当変更指示によっても、ユニキャスト通信に割り当てていたタイムスロットをブロードキャスト通信に変更し、通信先の無線装置22に法規信号だけを送信する機能をさらに備えている。これによれば、エレベータ制御装置11への法規信号の入力が途絶える可能性をさらに低くすることができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、安全性を低下させずに、制御盤及び乗りかご間での無線信号伝送を実現可能な通信装置及びエレベータシステムを提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…制御盤、エレベータ制御装置、12…乗りかご、13…カウンタウエイト、14…メインロープ、15…巻上機、16a…メインシーブ、16b…そらせシーブ、17…かご操作盤、17a…行先階釦、17b…戸開閉釦、18…乗場呼び釦、21…通信装置、22…無線装置。
Claims (7)
- 乗りかごに設置され、昇降路内に設置された複数の無線装置と通信可能に接続される通信装置であって、
第1の周波数と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数とを用いて、前記各無線装置のうちの通信先の無線装置とブロードキャスト通信及びユニキャスト通信を選択的に行う通信手段と、
前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信時に、前記第1の周波数において当該無線装置からの応答確認を得られない場合、複数のタイムスロットを含む通信フレームに関し、前記第1の周波数におけるユニキャスト通信用のタイムスロットをブロードキャスト通信用に変更する第1の変更手段と、
前記乗りかごが停止している場合、前記第1の周波数を用いて前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信を試行する試行手段と、
前記試行されたユニキャスト通信時に前記通信先の無線装置からの応答確認が得られた場合、前記第1の周波数において前記ブロードキャスト通信用に変更されたタイムスロットを前記ユニキャスト通信用に再度変更する第2の変更手段と
を具備することを特徴とする通信装置。 - 前記試行手段は、
前記第2の周波数を用いた前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信時に、前記乗りかごの移動状況を示す制御信号を受信し、
当該制御信号によって示される前記乗りかごの移動状況が停止を示す場合、前記第1の周波数を用いて前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信を試行することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 前記通信手段は、
前記乗りかごの現在位置近辺に位置する1以上の無線装置を前記通信先の無線装置として選択することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 前記通信手段は、
前記乗りかごの現在位置において電波強度が良く、ビット誤り率及びパケット誤り率が低いとされる1以上の無線装置を前記通信先の無線装置として選択することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 前記第1の変更手段は、
前記乗りかごの動作を制御する制御装置から前記通信先の無線装置を介して変更指示が送信され、当該変更指示を受信した場合、前記第1の周波数における前記ユニキャスト通信用のタイムスロットを前記ブロードキャスト通信用に変更することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。 - 前記制御装置は、
前記第1の周波数において前記ブロードキャスト通信で送信される法規信号を所定回数得られなかった場合、前記変更指示を出力することを特徴とする請求項5に記載の通信装置。 - 乗りかごに設置される通信装置と、
昇降路内に設置され、前記通信装置と通信可能に接続される複数の無線装置と
を具備し、
前記通信装置は、
第1の周波数と、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数とを用いて、前記各無線装置のうちの通信先の無線装置とブロードキャスト通信及びユニキャスト通信を選択的に行う通信手段と、
前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信時に、前記第1の周波数において当該無線装置からの応答確認を得られない場合、複数のタイムスロットを含む通信フレームに関し、前記第1の周波数におけるユニキャスト通信用のタイムスロットをブロードキャスト通信用に変更する第1の変更手段と、
前記乗りかごが停止している場合、前記第1の周波数を用いて前記通信先の無線装置とのユニキャスト通信を試行する試行手段と、
前記試行されたユニキャスト通信時に前記通信先の無線装置からの応答確認が得られた場合、前記第1の周波数において前記ブロードキャスト通信用に変更されたタイムスロットを前記ユニキャスト通信用に再度変更する第2の変更手段と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
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