JP5931212B2 - 弱酸性pH応答性ペプチド及び該ペプチドを含むリポソーム - Google Patents

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2012年10月22日に出願された、日本国特許出願第2012−233011号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
本発明は、弱酸性pH応答性ペプチド及び該ペプチドを含むリポソームに関する。
癌の化学療法において、特異性の向上を目的としたDDSの開発が試みられているが、腫瘍環境に着目したものはほとんどない。即ち、腫瘍組織は生理的条件下(pH7.4付近)に比べ低pH(pH6.5付近)という特殊な環境であるが、このような微弱なpHの変化に応答するように腫瘍組織特異的に作用する薬物送達キャリアは未だ開発途上にある。これまでにも、EPR効果(Enhanced Permeation and Retention Effect)を期待して、親水性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)がリポソームなどの表面に修飾され、抗がん剤などのキャリアとして用いられている(例えば、特許文献1)。しかし、PEG修飾キャリアは腫瘍組織へ送達後の薬物放出が律速であり、腫瘍組織内で効率的に薬物を放出することができない。特許文献2に記載のペプチド−リポソーム複合体は、N末端領域に塩基性アミノ酸(リジンもしくはアルギニン)が存在することで正電荷を有しており、pHに依存して電荷が変化することはなく、十分な血中滞留性は期待できない。
非特許文献1は、pH応答性領域としてHisセグメントを用いており、外部環境pHが7.4から5.0にまで大幅に低下することによって中性であったHisがプラスに荷電し、その静電的反発力の増大によってミセルを崩壊させる技術であるが、His単独ではpH6.5という微弱酸性では十分にプロトン化されないため、電荷反転を生じさせることは困難である。従って、pH6.5においてミセルの崩壊を伴う薬物放出は期待できない。
非特許文献2は、ブロックポリマー末端リジンセグメントに化学的に結合させたジメチルマレイン酸が、pH低下によって脱離し、それによって表面荷電がマイナスからプラスに転換するpH応答性のミセルである。非特許文献2のペプチドは、いったんジメチルマレイン酸が脱離したら、プラス電荷のリジン残基が露出した状態になり、pHが上昇したとしても元に戻ることはない。
特開2004−10481号公報 特表2004−523531号公報
AIChE Journal Vol.56, No.7, 2010, pp.1922−1931 International Journal of Pharmaceutics 376 (2009) 134−140
本発明は、癌組織のような弱酸性pH環境中で目的物質を放出し得る薬物送達キャリアを作製するためのペプチド化合物を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(10)のペプチド化合物、該ペプチド化合物を有するリポソーム、及び該リポソームを用いた物質導入剤を提供する。
(1)親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックから構成されるペプチド化合物であって、
〔1〕ペプチド化合物の総アミノ酸数は24〜36であり、〔2〕親水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が4〜10で、平均疎水性度が−3.0〜−1.0であり、〔3〕疎水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が20〜32で、Hisを1個以上有し、平均疎水性度が1.0〜2.5である、
ペプチド化合物。
(2)親水性アミノ酸ブロックの平均疎水性度が−2.0〜−1.5であり;疎水性アミノ酸ブロックの平均疎水性度が1.5〜2.0である(1)記載のペプチド化合物。
(3)親水性アミノ酸ブロックが、疎水性度が−3.0以下であるアミノ酸と疎水性度が0〜−1.0であるアミノ酸で構成されたものであり;疎水性アミノ酸ブロックが、Hisと疎水性度が0を超えるアミノ酸で構成されたものである、(1)又は(2)に記載のペプチド化合物。
(4)親水性アミノ酸ブロックを構成するアミノ酸がHis又はGluとGlyで構成されるアミノ酸であり、疎水性アミノ酸ブロックを構成するアミノ酸がHisと、Leu、Ala、Met、Cys、Phe、Val及びIleからなる群から選択される任意のアミノ酸である(1)〜(3)のいずれかに記載のペプチド化合物。
(5)親水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを0〜5個有し、疎水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを1〜8個有することを特徴とする(1)〜(4)記載のいずれかにペプチド化合物。
(6)親水性アミノ酸ブロックが、下記式(I)
(AA)(AA)(AA)(AA) (I)
(式中、AA、AA、AA及びAAは、いずれか2つがHis又はGluであり、残りの2つがGlyである。)で表され;疎水性アミノ酸ブロックが、下記式(II)で表されるユニットを5〜8個含み、各ユニットのアミノ酸配列は同一であっても異なっていてもよい、
(AA)(AA)(AA)(AA) (II)
(式中、AA、AA、AA及びAAは、同一又は異なって、His、Leu又はAlaを示す。ただし、式(II)のユニットの少なくとも1つは、Hisを1個又は2個含む。)
(1)〜(5)のいずれかに記載のペプチド化合物。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載のペプチド化合物と脂質を有することを特徴とするリポソーム。
(8)リポソーム中の総脂質量に対して、(1)〜(6)のいずれかに記載のペプチド化合物を1〜10モル%含むことを特徴とする(7)記載のリポソーム。
(9)リポソームがカチオン性リポソームである、(8)に記載のリポソーム。
(10)目的物質をリポソームに封入してなる、(7)〜(9)のいずれかに記載のリポソーム。
(11)(7)〜(10)のいずれかに記載のリポソームを含む医薬組成物。
(12)(7)〜(10)のいずれかに記載のリポソームを含む抗腫瘍剤。
(13)哺乳動物に対して(7)〜(10)のいずれかに記載のリポソームの癌に対する予防又は治療有効量を投与する工程を含む、癌の予防又は治療方法。
(14)癌の予防又は治療剤を製造するための(7)〜(10)のいずれかに記載のリポソームの使用。
(15)癌の予防又は治療に使用するための(7)〜(10)のいずれかに記載のリポソーム。
本発明によれば、pH7.4付近の生理条件下では内部に封入された低分子の目的物質を放出せず、pH6.5付近の弱酸性の細胞環境で放出可能なリポソームを提供することができる。
本発明のリポソームは、このような弱い酸性領域で目的物質を放出して作用させることができるため、優れた薬物送達システムを提供することができる。
本発明のリポソームは、pH7.4の生理的条件では内封された目的物質を保持することが可能であるとともに、微弱酸性(pH6.5)でも敏感に応答できるため、EPR効果によって腫瘍に到達した後に、腫瘍周辺環境の微弱酸性条件下で親水性ブロックの静電的反発及び/又は疎水性ブロックの疎水性相互作用の低下が誘導されることにより内封された目的物質を放出するという高い有用性を有している。
実施例1で得たペプチド化合物1(配列番号1)のHPLCの結果を示す。 実施例1で得たペプチド化合物1(配列番号1)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 実施例2で得たペプチド化合物2(配列番号2)のHPLCの結果を示す。 実施例2で得たペプチド化合物2(配列番号2)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 実施例3で得たペプチド化合物3(配列番号3)のHPLCの結果を示す。 実施例3で得たペプチド化合物3(配列番号3)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 比較例1で得た比較化合物1(配列番号4)のHPLCの結果を示す。 比較例1で得た比較化合物1(配列番号4)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 比較例2で得た比較化合物2(配列番号5)のHPLCの結果を示す。 比較例2で得た比較化合物2(配列番号5)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 比較例3で得た比較化合物3(配列番号6)のHPLCの結果を示す。 比較例3で得た比較化合物3(配列番号6)のMALDI−TOF−MSの結果を示す。 カルセイン封入リポソーム1について、異なるpH条件における内封薬物漏出率の測定結果を示す。 Texas Red 標識デキストラン封入リポソーム1について、異なるpH条件における内封薬物漏出率の測定結果を示す。 カルセイン及びTexas Red 標識デキストラン封入リポソーム1について、異なるpH条件における内封薬物漏出率の測定結果を示す。 ペプチド化合物1単体およびペプチド導入リポソームのCDスペクトルを示す。 試験例5におけるドキソルビシン(Dox)単体及びDox封入リポソームの抗腫瘍効果を示す。
本発明のリポソームは、ペプチド化合物とリポソーム形成成分から構成される。
本発明ペプチド化合物は、親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックから構成され、その総アミノ酸数としては、24〜36個、好ましくは24〜32個、より好ましくは24〜28個である。親水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数としては、4〜10個で、好ましくは4〜8個であり、疎水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数としては、20〜32個で、好ましくは20〜24個である。
本発明ペプチド化合物は、1つの親水性アミノ酸ブロックと1つの疎水性アミノ酸ブロックがペプチド結合で結合されたものであり、いずれのアミノ酸ブロックがN末端側であってもよいが、親水性アミノ酸ブロックがN末端側にあるのが好ましい。
また、本発明ペプチド化合物は、その疎水性アミノ酸ブロックにはHisを1以上有するが、Hisを含む疎水性度−3.0以下のアミノ酸同士は隣接しないことが弱酸性に対する応答性の観点から必須である。また、ペプチド化合物の配列中にHisを1〜13個有するものが好ましい。
本発明のペプチド化合物を構成する親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックは特有の平均疎水性度を有する。ここで、本発明で用いられるアミノ酸の疎水性度(hydropathy index)とは、例えばJ.Mol.Biol.,(1982)157,105−132に記載のものであり、生体を構成する各アミノ酸は特有の疎水性度を示す(表1参照)。また、平均疎水性度は、例えばMolecular Medicine 4:240−257,1998に記載のものであり、下記ブロックごとのアミノ酸の疎水性度の総和をアミノ酸数で除したものである。
Figure 0005931212
本発明の好ましい実施形態において、親水性アミノ酸ブロックは疎水性度が0以下のアミノ酸から構成され、疎水性アミノ酸ブロックはHis及び0を超えるアミノ酸から構成される。従って、親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックの境界は、His以外のアミノ酸の疎水性度により決定される。Hisが境界に存在する場合には、親水性アミノ酸ブロックに含まれることとなる。
本発明ペプチド化合物を構成する親水性アミノ酸ブロックとしては、平均疎水性度が−3.0〜−1.0、好ましくは−2.0〜−1.5となるようなアミノ酸の組合せであればいずれでもよいが、疎水性度が−3.0以下であるアミノ酸と疎水性度が0〜−1.0であるアミノ酸で構成されたものが好ましく、His又はGluとGlyで構成されたものがより好ましく、HisとGlyで構成されたものが更に好ましい。また、親水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを0〜5個有するものが好ましい。より具体的には、下記式(I)で表される親水性アミノ酸ブロックが特に好ましい。
(AA)(AA)(AA)(AA) (I)
[式中、AA、AA、AA及びAAは、いずれか2つがHis又はGluであり、残りの2つがGlyである(特に好ましくは、いずれか2つがHisであり、残りの2つがGlyである)。]
本発明ペプチド化合物を構成する疎水性アミノ酸ブロックとしては、平均疎水性度が1.0〜2.5、好ましくは1.5〜2.0となるようなアミノ酸の組合せであればいずれでもよいが、Hisと疎水性度が0を超えるアミノ酸で構成されたものが好ましく、Hisと、Leu、Ala、Met、Cys、Phe、Val又はIleから選択される任意のアミノ酸で構成されたものがより好ましく、Hisと、α−helix構造を取りやすいアミノ酸であるLeu又はAlaで構成されたものが特に好ましい。また、疎水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを1〜8個有するものが好ましい。より具体的には、下記式(II)で表されるユニットを5〜8個含み、各ユニットのアミノ酸配列は同一であっても異なっていてもよい、である疎水性アミノ酸ブロックが特に好ましい。
(AA)(AA)(AA)(AA) (II)
[式中、AA、AA、AA及びAAは、同一又は異なって、His、Leu又はAlaを示す。ただし、各ユニット間あるいはユニット内の2つのHisは隣接しない。]
本発明ペプチド化合物の特に好ましいものとしては、His−Gly−His−Gly−Leu−Ala−Leu−Leu−Ala−His−Ala−Leu−Leu−Ala−His−Ala−Ala−Leu−Ala−His−Ala−Ala−Leu−Ala(配列番号1)、Gly−His−His−Gly−Leu−Ala−Leu−Leu−His−Ala−Leu−His−Leu−Ala−Ala−Ala−Ala−Leu−His−Ala−Ala−Ala−Leu−Ala(配列番号2)、Glu−Gly−Glu−Gly−Leu−Ala−Leu−Leu−Ala−His−Ala−Leu−Leu−Ala−His−Ala−Ala−Leu−Ala−His−Ala−Ala−Leu−Ala(配列番号3)が挙げられる。
本発明ペプチド化合物は上記のような親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックから構成されることが必須である。疎水性アミノ酸ブロックのみからなるペプチド化合物では、リポソームの疎水性部に取り込まれリポソーム内部にプロトンが侵入できないため、周囲の環境が酸性に傾いてもペプチド化合物は応答せず、リポソームの構造変化は起こらないものと思われる。また、親水性アミノ酸ブロックのみからなるペプチド化合物では、リポソームに組み入れることができない。
また、本発明ペプチド化合物のC末端にはC末端保護基を有していてもよい。C末端保護基としては、C末端カルボキシルの炭素原子でアミドを形成する基、又はカルボキシルの酸素原子でエステルを形成する基が含まれる。エステルを形成する基としてはアルキル基、特に炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖アルキル基(C〜Cアルキル基)、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基などが含まれ、アミドを形成する基としてはアミノ基のようなアミン官能基、又はアルキルアミノ官能基、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等のモノC〜Cアルキルアミノ基及びジC〜Cアルキルアミノ基が含まれ、好ましくはアミドを形成する基であり、より好ましくはアミノ基である。
本発明ペプチド化合物は、公知のペプチド合成法、特に液相合成法あるいは固相合成法によって製造することができる。また、本発明ペプチド化合物をコードするDNAを遺伝子組換え技術により宿主細胞に導入し、発現させる方法によっても合成することができる。例えば、固相合成法では、C末端に対応するアミノ酸のアミノ基を9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基などのウレタン型保護基で保護したN−保護アミノ酸のカルボキシル基を、アミノ基を有する不溶性樹脂に結合させた後、アミノ基の保護基を除去し、N末端方向に順次保護アミノ酸を縮合させ、次いで不溶性樹脂およびアミノ酸の保護基を脱保護させて、本発明のペプチド化合物を得ることができる。前記のアミノ基を有する不溶性樹脂としては、特に限定されないが、Fmoc−NH−SAL樹脂(4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノエチル)フェノキシリンカー樹脂)が好ましく、開裂によって直接目的物を与えることができる。本発明のペプチド化合物の合成に用いる保護アミノ酸は、官能基を公知の方法により公知の保護基で保護することにより得ることができ、市販の保護アミノ酸を使用することもできる。保護基としては公知のものが使用でき、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等を使用できる。保護アミノ酸を調製する場合には、例えば、DIPCDI(ジイソプロピルカルボジイミド)−HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)法等のような公知の方法を用いることができる。本縮合反応は公知の溶媒中で行うことができ、例えば、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が例示される。アミノ基の保護基の脱離試薬としては限定されず、ピペリジン/ジメチルホルムアミド等の公知の試薬によって、Fmoc基等の保護基を切断することができる。ウレタン型保護基の脱保護は、接触還元、トリフルオロ酢酸などを用いて行うことができる。他の保護基も公知の方法により脱保護できる。合成の各段階における縮合反応の進行の程度は、例えばニンヒドリン反応法のような公知の方法によって確認することができる。上記のようにして、所望のアミノ酸配列を有する保護ペプチドを得ることができる。不溶性樹脂としてFmoc−NH−SAL樹脂を用いた場合、TMSBr(トリメチルシリルブロミド)やTFA(トリフルオロ酢酸)等で処理することにより、樹脂及び保護基を同時に脱離させることができる。なお、ペプチド化合物のC末端は使用する樹脂の種類により、COOHまたはCONHとして得ることができる。
このようにして得られた本発明ペプチド化合物は、例えば、抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー(ゲルろ過、イオン交換、分配、吸着)、電気泳動、向流分配等、公知の手段により単離精製することができ、逆相高速液体クロマトグラフィーによる方法が好ましい。
本発明リポソームは、脂質二重層構造を有する閉鎖小胞である限り、多重膜リポソーム(MLV)であってもよいし、SUV(small unilamellar vesicle)、LUV(large unilamellar vesicle)、GUV(giant unilamellar vesicle)等の一枚膜リポソームであってもよい。
本発明のリポソームにおいて、脂質二重層を構成する脂質の種類は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジグリセロール(DSPG))、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジエタノールアミン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン等のリン脂質又はこれらの水素添加物;スフィンゴミエリン、ガングリオシド等の糖脂質が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。リン脂質は、卵黄、大豆その他の動植物に由来する天然脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、合成脂質又は半合成脂質のいずれであってもよい。これらの脂質は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
脂質二重層には、脂質二重層を物理的又は化学的に安定させたり、膜の流動性を調節したりするために、例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール等の動物由来のステロール;スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロール等の微生物由来のステロール;グリセロール、シュクロース等の糖類;トリオレイン、トリオクタノイン等のグリセリン脂肪酸エステルのうち、1種又は2種以上を含有させることができる。その含有量は特に限定されるものでないが、脂質二重層を構成する総脂質量に対して5〜40%(モル比)であることが好ましく、10〜30%(モル比)であることがさらに好ましい。
脂質二重層には、トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン等の抗酸化剤;ステアリルアミン、オレイルアミン等の正荷電を付与する荷電物質;ジセチルホスフェート等の負電荷を付与する荷電物質;膜表在性タンパク質、膜内在性タンパク質等の膜タンパク質を含有させることができ、その含有量は適宜調節することができる。
本発明のリポソームには、カチオン性脂質が含まれること(カチオン性リポソーム)がより好ましい。カチオン性脂質としては、例えば、DODAC(dioctadecyldimethylammonium chloride)、DOTMA(N−(2,3−dioleyloxy)propyl−N,N,N−trimethylammonium)、DDAB(didodecylammonium bromide)、DOTAP(1,2−dioleoyloxy−3−trimethylammonio propane)、DC−Chol(3β−N−(N’,N’,−dimethyl−aminoethane)−carbamol cholesterol)、DMRIE(1,2−dimyristoyloxypropyl−3−dimethylhydroxyethyl ammonium)、DOSPA(2,3−dioleyloxy−N−[2(sperminecarboxamido)ethyl]−N,N−dimethyl−1−propanaminum trifluoroacetate)、DSTAP(1,2−Distearoyl−3−Trimethylammonium Propane)、DODAP(dioleoyl−3−dimethylammonium−propane)等が挙げられる。好ましいカチオン性脂質はDOTMA、DSTAP又はDODAPであり、特に好ましくはDOTAPが挙げられる。カチオン性脂質は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
カチオン性脂質において、DOTMA及びDSTAPは4級アミンを有しており,常に正電荷を帯びているが,DODAPは3級アミンを有しており,生理的pHにおいて電荷を持たないものである。このようにカチオン性脂質の種類、配合量を変更することで、カチオン性脂質の構造,特徴に幅を持たせることができる。
本発明のリポソームは、好ましくは、補助脂質(Helper lipid)が含まれる。補助脂質としては、例えば、EPC(egg phosphatidylcholine),DLPC(dilinoleoylphosphatidylcholine),DMPC(dimyristoylphosphatidylcholine),DPPC(dipalmitoylphosphatidylcholine),DSPC(distearoylphosphatidylcholine),POPC(palmitoyloleoylphosphatidylcholine),DOPC(dioleoylphosphatidylcholine),DOPE(dioleoylphosphatidylethanolamine),SOPE(stearyloleoylphosphatidylcholine)等が挙げられる。これらのうち、EPC,DOPC,DOPE,SOPEが好ましい。
本発明のリポソームは、本発明ペプチド化合物を構成成分に有する。本発明ペプチド化合物を用いる際、リポソームを構成する脂質を100モル%とした場合に1〜10モル%程度の割合で添加するのが好ましい。
本発明のリポソームは、親水性ポリマーにより修飾することができる。
親水性ポリマーとしては、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、或いはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体などのポリアルキレングリコールの共重合体)、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナンなどが挙げられ、好ましくはポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、或いはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロック共重合体などのポリアルキレングリコールの共重合体)、特に好ましくはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられ、これらの親水性ポリマーによりリポソームを修飾するのが好ましい。PEGとしては、DSPE(distearoyl phosphatidylethanolamine)−PEG2000、DMPE(dimyristoyl phosphatidylethanolamine)−PEG2000、DSG(distearoylglycerol)−PEG2000、DMG(dimyristoylglycerol)−PEG2000、コレステロールPEG2000、ステアリルPEG2000又はC8セラミド−PEG2000、C16セラミド−PEG2000などが挙げられ、これらのうち、ステアリルPEG2000又はC8セラミド−PEG2000が好ましい。PEGの長さは、500〜10000程度の分子量の範囲で適宜選択することができる。他の親水性ポリマーの分子量も同様に当業者は適宜選択できる。
例えばリポソームをPEG修飾する場合、ステアリル化PEG(STR−PEG)、C8セラミド−PEG、コレステロール−PEGを使用するのが、目的物質(例えばsiRNA等の核酸医薬)の機能発現を損ねることなく保存安定性に優れたリポソームを得るために好ましく、また、DSPE−PEG、DSG−PEG、C16セラミド−PEG等を使用するのが、血中安定性を向上させるために好ましい。親水性ポリマーは、リポソームを修飾する場合、リポソームを構成する脂質を100モル%とした場合に1〜15モル%程度の割合で修飾するのが好ましい。
本発明のリポソームは、例えば、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、凍結・融解法等の公知の方法を用いて作製することができる。
水和法によるリポソームの製造例を以下に示す。
脂質二重層の構成成分である脂質と、本発明ペプチド化合物とを有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得る。この際、有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール等の低級アルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン等のケトン類等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。次いで、脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することにより、本発明ペプチドを有するリポソームを製造することができる。
また、水和法によるリポソームの別の製造例を以下に示す。
脂質二重層の構成成分である脂質を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得、この脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することによりリポソームを製造する。次いで、このリポソームの外液に、本発明ペプチド化合物を添加することにより、リポソームに本発明ペプチド化合物を導入することができる。
例えば、カチオン性脂質として4級アミンを用いる場合のリポソームの調製は、後述する実施例4と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、また、カチオン性脂質として3級アミンを用いる場合のリポソームの調製は、後述する実施例4と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
リポソームの調製にあたり、補助脂質(EtOH溶液)/カチオン性脂質(EtOH溶液)の割合は、適宜変更することができる。
本発明の好ましいリポソームは、EPC/DOTAP/本発明ペプチド化合物、EPC/本発明ペプチド化合物、又はEPC/DSPG/本発明ペプチド化合物の組成を有するリポソームが挙げられ、好ましくはEPC/DOTAP/本発明ペプチド化合物の組成を有するリポソームである。
本発明のリポソームのゼータ電位は、中性付近のpH(例えばpH7もしくは7.4)で−50〜+50mV程度、好ましくは−40〜+40mV程度、より好ましくは−30〜+30mV程度である。ゼータ電位は、ゼータサイザーを用いて測定することができる。
本発明のリポソームの平均粒径は、特に限定されるものではないが、例えば、粒子径30〜1000nmであり、好ましくは、50〜500nm、より好ましくは60〜200nm、である。平均粒径は、例えば、動的光散乱法、静的光散乱法、電子顕微鏡観察法、原子間力顕微鏡観察法等により測定することができる。
本発明のリポソームの内部には、細胞内に送達しようとする目的物質を封入することができる。
目的物質が水溶性である場合には、リポソームの製造にあたり脂質膜を水和する際に使用される水性溶媒に目的物質を添加することにより、リポソーム内部の水相に目的物質を封入することができる。また、目的物質が脂溶性である場合には、リポソームの製造にあたり使用される有機溶剤に目的物質を添加することにより、リポソームの脂質二重層に目的物質を封入することができる。本明細書において「封入」とは、リポソームのような中空粒子の内部に目的物質を含む。
目的物質を送達すべき生物種は、脊椎動物であれば特に限定されるものではないが、哺乳動物であることが好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられる。
本発明のリポソームは、例えば、分散液の状態で使用することができる。分散溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液を使用することができる。分散液には、例えば、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤、水和促進剤等の添加剤を添加して使用してもよい。
本発明のリポソームは、分散液を乾燥(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等)させた状態で使用することもできる。乾燥させたリポソームは、生理食塩水、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝液を加えて分散液とすることができる。
本発明のリポソームは、in vitro及びin vivoのいずれにおいても使用することができる。本発明リポソームを医薬組成物として用いる場合には、投与経路として、例えば、静脈注射、点滴等が挙げられ、投与量及び投与頻度は、本発明リポソームに封入された目的物質の種類や量等に応じて適宜調整することができる。
本発明のリポソームを医薬組成物として用いるにあたっては、必要に応じて薬学的担体を配合することができ、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。該形態としては、例えば、注射剤を採用することができる。各種の投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。
注射剤を調製する場合は、目的物質にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤等を添加することができ、常法により皮下、筋肉内及び静脈内用注射剤を製造することができる。
pH調節剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖、D−マンニトール、グリセリン等が挙げられる。
本発明のリポソームは、また、体重減少、肝障害のいずれも見られず、安全に投与することができる。
本発明の物質導入剤は、目的物質を弱酸性pH部位に送達するためにin vitro及びin vivoのいずれでも使用することができる。弱酸性pH部位としては、炎症部位、腫瘍部位、感染部位などが挙げられ、特に腫瘍部位が好ましく例示される。
封入される目的物質の種類は特に限定されるものではなく、例えば、薬物、核酸、ペプチド(オキシトシン、ブラジキニン、チロトロビン放出因子、エンケファリン等の生理活性ペプチド、ペプチドホルモンなど)、タンパク質(酵素、インターロイキン等の各種サイトカイン、細胞伝達因子、細胞成長因子、抗体等)、糖又はこれらの複合体よりなる群から選ばれる一種以上が挙げられ、診断、治療等の目的に応じて適宜選択することができる。なお、「核酸」には、DNA又はRNAに加え、これらの類似体又は誘導体(例えば、siRNA、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNA等)が含まれる。また、核酸は一本鎖又は二本鎖のいずれであってもよいし、線状又は環状のいずれであってもよい。
また、本発明のリポソームでは、分子量の相違する複数種の目的物質を同一リポソーム内に封入し、放出部位に差をつけることも可能である。例えば、分子量が700以下の低分子物質では弱酸性pH特異的に放出されるが、700以上の高分子物質では弱酸性pH環境では放出されず、腫瘍細胞内に取り込まれた後放出されるよう施すことが可能である。
目的物質は、リポソームを構成する脂質とペプチドの合計100質量部に対し、0.1〜60質量部、好ましくは1〜40質量部含まれる。
目的物質が薬物の場合、弱酸性環境(pH6.5付近)である組織において使用される薬剤であればいずれでもよく、例えば制がん剤が挙げられる。具体的には、制がん剤として、テガフール、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、オキザリプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、イリノテカン、SN−38、アクチノマイシンD、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキサート、アザチオプリン、フルオロウラシル、マイトマイシンC、ドセタキセル、シクロホスファミド、カペシタビン、エピルビシン、ゲムシタビン、ミトキサントロン、ロイコボリン、ビノレルビン、トラスツズマブ、エトポシド、エストラムスチン、プレドニゾン、インターフェロンα、インターロイキン−2、ブレオマイシン、イホスファミド、メスナ、アルトレタミン、トポテカン、シタラビン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、メルカプトプリン、チオグアニン、フルダラビン、ゲムツズマブ、イダルビシン、ミトキサントロン、トレチノイン、アレムツズマブ、クロランブシル、クラドリビン、イマチニブ、エピルビシン、ダカルバジン、プロカルバジン、メクロレタミン、リツキシマブ、デニロイキンジフチトクス、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、アロプリノール、カルムスチン、タモキシフェン、フィルグラスチム、テモゾロマイド、メルファラン、ビノレルビン、アザシチジン、サリドマイド、およびマイトマイシンなどが挙げられる。更には、炎症部位も弱酸性領域であるため、抗炎症剤も目的物質の一つとして挙げることができる。抗炎症剤としては、非ステロイド系抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ジクロフェナク、ピロキシカム、アセトアミノフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブなど)、ステロイド系抗炎症剤(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンなど)が挙げられる。
目的物質が核酸の場合、例えば部分二重鎖RNA(mdRNA)、ニックの入ったdsRNA(ndsRNA)、ギャップのあるdsRNA(gdsRNA)、短干渉核酸(siNA)、siRNA、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、置換された短干渉オリゴヌクレオチド、修飾された短干渉オリゴヌクレオチド、化学修飾されたdsRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)からなる群から選ばれるいずれかの二重鎖RNA(dsRNA)が好ましく例示される。目的物質は単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。例えば2種以上のsiRNAを併用することも可能である。
置換および修飾(化学修飾を含む)の1つの実施形態において、二重鎖RNAは、デオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えばチミジン、アデニン)を含むオーバーハング等、二重鎖RNAの3’末端の一端または両端に1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを含み得る。二重鎖RNAは、一端または両端に平滑末端を有し得る。一部の実施形態において、第1および第2の鎖の5’末端はリン酸化されている。二重鎖RNAの実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、核酸の糖、塩基、または骨格において化学的に修飾されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことができる。二重鎖RNAの実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、1つ以上の普遍的な塩基リボヌクレオチドを含むことができる。二重鎖RNAの実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、1つ以上の非環式ヌクレオチドを含むことができる。二重鎖RNAの実施形態のいずれにおいても、dsRNAは、5’リン酸塩(Martinez et al.,Cell.110:563‐574,2002;およびSchwarz et al.,Molec.Cell.10:537‐568,2002を参照)または5’,3’二リン酸塩等の末端リン酸基をさらに含むことができる。
二重鎖RNAは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル、2’−O−2−メトキシエチル、ハロゲン、2’−フルオロ、2’−O−アリル、またはこれらの任意の組み合わせ等の2’糖置換をさらに含み得る。さらなる実施形態において、二重鎖RNAは、第1の鎖または1つ以上の第2の鎖の一端または両端上に、アルキル、脱塩基、デオキシ脱塩基、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、反転したデオキシヌクレオチド部分、またはこれらの任意の組み合わせ等の末端キャップ置換基をさらに含む。
さらに他の実施形態において、二重鎖RNAは、独立してホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、3’−アルキレンホスホン酸塩、5’−アルキレンホスホン酸塩、キラルホスホネート、ホスホノ酢酸塩、チオホスホノ酢酸塩、ホスフィン酸塩、ホスホロアミド酸塩、3’−アミノホスホロアミド酸塩、アミノアルキルホスホロアミド酸塩、チオノホスホロアミド酸塩、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルリン酸トリエステル、セレノリン酸塩、ボラノリン酸結合、またはこれらの任意の組み合わせ等の、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合をさらに含み得る。
二重鎖RNAは、5−メチルシトシン;5−ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2−アミノアデニン;6−メチル、2−プロピル、またはアデニンおよびグアニンのその他のアルキル誘導体;8−置換されたアデニンおよびグアニン(8−アザ、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル等);7−メチル、7−デアザ、および3−デアザアデニンならびにグアニン;2−チオウラシル;2−チオチミン;2−チオシトシン;5−メチル、5−プロピニル、5−ハロ(5−ブロモまたは5−フルオロ等)、5−トリフルオロメチル、または他の5−置換されたウラシルおよびシトシン;ならびに6−アゾウラシルなどの核酸アナログを使用することで、置換ないし修飾(化学修飾を含む)することができる。
二重鎖RNA(dsRNA)などのRNAは化学的に修飾され得る。このような化学修飾の非限定的な例には、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「非環状」ヌクレオチド、5’−C−メチルヌクレオチド、および末端へのグリセリルおよび/または逆方向デオキシ無塩基残基の導入が挙げられる。これらの化学修飾は、細胞内におけるRNAi活性を維持することができる。
本発明は、上記リポソームを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物が予防、治療の対象とする疾患は、目的物質の種類に応じて選択でき、特に限定されないが、本発明の医薬組成物としては、例えば、抗腫瘍剤等が挙げられる。
当該実施形態において、対象となる癌は特に制限はされないが、例えば、頭頚部癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、中皮腫、黒色腫等が挙げられる。
以下、本発明を実施例、試験例により、より詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1 HGHGLALLAHALLAHAALAHAALA(配列番号1、ペプチド化合物1)の合成
Fmoc−Ala−HMP Resinをスタートとし、0.1mMスケールで、アミノ酸、縮合剤(HBTU/HOBt)、反応促進剤(DIEA)をそれぞれレジンに対して4当量使用してFmoc固相合成法にて配列番号1のペプチドの合成を実施した(HBTU:M.W.379.2、HOBt,Anhydrous:M.W.135.1、DIEA:M.W.129.2)。合成後のレジンにTFA(トリフルオロ酢酸)カクテル溶液(125ml TFA, 0.25ml HO,0.375gフェノール,0.125mlエタンジチオール及び0.25mlチオアニソール)を加えて氷冷下15分、室温2時間反応させてレジンからペプチドを切出しジエチルエーテル沈殿させてクルードペプチドを得た。HPLCにて精製作業を実施し、凍結乾燥した。純度の検定はHPLC及びMALDI−TOF−MSにて実施した。下記HPLC条件で分析を実施し、単一ピークとして目的のペプチド化合物1(配列番号1)を得た。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
A Buffer:0.1%TFA/HO、B Buffer:0.1%TFA/アセトニトリル Column:SunFire C18 Column, 5μm, 4.6x150mm Flow rate:1ml/min,Wavelength:220nm。
MALDI−TOF−MSは、Applied Biosystems Voyager Systemを用いた。分子量の計算値:2320.7、実測値:2321.40。
HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図1に示す。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 2020.7)
使用したレジン Fmoc−Ala−HMP Resin
使用したレジン量 208.0mg(レジン導入量0.48mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 232.3mg。
実際に取れたクルード量 228.6mg(収率98.4%)
実施例2 GHHGLALLHALHLAAAALHAAALA(ペプチド化合物2)の合成
実施例1と同様の手法により合成し、ペプチド化合物2(配列番号2)を得た。分子量の計算値:2320.7、実測値:2320.04。HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図2に示す。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 2320.7)
使用したレジン Fmoc−Ala−HMP Resin
使用したレジンの量 140.1mg(レジン導入量0.72mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 234.0mg
実際に取れたクルード量 95.5mg(収率40.8%)
実施例3 EGEGLALLAHALLAHAALAHAALA(ペプチド化合物3)の合成
実施例1と同様の手法により合成し、ペプチド化合物3(配列番号3)を得た。分子量の計算値:2304.6、実測値:2305.14。HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図3に示す。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 2304.6)
使用したレジン Fmoc−Ala−HMP Resin
使用したレジンの量 175.6mg(レジン導入量0.60mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 242.7mg
実際に取れたクルード量 240.1mg(収率98.9%)
比較例1 HHGGLLLLHHHAAAAALLLAAAAA(比較化合物1)の合成
実施例1と同様の手法により合成し、比較化合物1(配列番号4)を得た。分子量の計算値:2320.7、実測値:2320.65。HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図4に示す。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 2320.7)
使用したレジン Fmoc−Ala−HMP Resin
使用したレジンの量 179.8mg(レジン導入量0.58mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 242.0mg
実際に取れたクルード量 233.4mg(収率96.4%)
比較例2 HGHGGGGGGGGGAHALLAHAALAH(比較化合物2)の合成
実施例1と同様の手法により合成し、比較化合物2(配列番号5)を得た。分子量の計算値:2040.1、実測値:2040.49。HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図5に示す。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 2040.1)
使用したレジン H−His(Trt)−Trt(2−Cl)−Resin
使用したレジンの量 217.6mg(レジン導入量0.50mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 222.0mg
実際に取れたクルード量 182.9mg(収率82.4%)
比較例3 HGHGLALLAHALLAHAAAAL(比較化合物3)の合成
実施例1と同様の手法により合成し、比較化合物3(配列番号6)を得た。分子量の計算値:1928.2、実測値:1929.58。HPLC及びMALDI−TOF−MSの結果を図6に示す。なお、平均疎水性度は後述する表3に示した。
合成スケール 0.1mMスケール(分子量 1928.2)
使用したレジン Fmoc−Leu−HMP Resin
使用したレジンの量 208.2mg(レジン導入量0.50mmol/g)
このレジンを使用してできるペプチドの理論値 200.7mg
実際に取れたクルード量 111.8mg(収率55.7%)。
実施例4 カチオン性リポソームの調製及びpH応答性
(1)リポソームの調製は、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)/ジオレオイルテトラアンモニウムプロパン(DOTAP)=1/1(mol比)の割合で混合した脂質エタノール溶液を試験管に分注し、実施例1で得られたペプチド化合物1のエタノール溶液を総脂質量の5mol%量を添加し、さらにクロロフォルムを等量混合したものに、窒素ガスを吹き付けて蒸発乾固させることで脂質薄膜を調製した。pH7.4のbufferを添加し、10分間室温条件で十分に水和させた。水和後、水槽型超音波装置を用いて試験管を超音波処理することでEPC/DOTAP/ペプチド化合物1で構成されたリポソーム1を調製した(脂質濃度10mM)。
(2)異なるpHの緩衝液で希釈懸濁したリポソーム1の粒子径(size)と表面電位(ζpotential)をマルバーン社製ゼータサイザーナノにより測定した。また、ペプチド化合物を導入していないEPC/DOTAP=1/1(mol比)の参考リポソームについても同様に粒子径と表面電位を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005931212
結果、本発明ペプチド化合物が導入されていない参考リポソームでは、pH応答性は粒子径と表面電位のいずれにおいても変化は殆ど認められなかった。これに対して、本発明ペプチド化合物を導入したリポソームにおいては、pH7.4における粒子径は約100nmであり、pH6.5において粒子径は増大し、pH7.4に比べて約2倍となった。また、表面電位は、pH7.4では−2.0mVであったが、pH6.5において+9.8mVへと変化した。これらの結果は、微小なpH変化によりペプチドに含まれるヒスチジンがプロトン化されることにより、粒子径および表面電位が変化することを示唆するものである。pH7.4から6.5へ低下した際の粒子径の増大は、ヒスチジンがプロトン化されることにより、疎水部における疎水的相互作用の低下と親水部における静電的反発のため、リポソーム構造がルーズになったためであると考えられる。
試験例1 異なるpH条件における内封薬物漏出量の測定
(1)実施例4と同様の方法でペプチド含有脂質薄膜を調製後、カルセイン(Mw 622.55)30mM溶液を添加し、実施例4と同様の方法でカルセイン封入リポソーム1を調製した。未封入のカルセインはゲル濾過(Sephadex G50)により除去した。
内封カルセインのリポソームからの漏出量を測定するために、当該リポソームを異なるpHのbufferで希釈懸濁した後、37℃で10分間インキュベートし、プレートリーダー(infinite M200、TECAN社)を用いて漏出されたカルセインの蛍光(λex:488nm、λem:517nm)を測定した。なお、当該リポソームに1% Triton−X100を混合した場合に漏出されたカルセインの蛍光を完全漏出量とした。漏出率は以下の式により算出した。結果を図7に示す。
漏出率(%)=(Fsample−FpH7.4)/(Ftriton−FpH7.4)×100
sample:各pH下においてリポソームから漏出したカルセインの蛍光
pH7.4:pH7.4におけるリポソームから漏出したカルセインの蛍光
triton:当該リポソームに1% Triton−X100を混合した場合のカルセインの蛍光
結果、pH7.4では漏出が全く認められなかったが、pH6.5において約100%のカルセインの漏出が認められた。すなわち、微弱pH変化により、脂質膜に埋め込んだペプチド化合物内の親水性ブロックおよび疎水性ブロックのHisがプロトン化されることにより、ペプチドと脂質分子との間の反発により、内封カルセインが漏出したと示唆された。
(2)実施例4と同様の方法で、ペプチド含有脂質薄膜を調製後、Texas Red 標識デキストラン(Mw 3,000)2mg/ml溶液を添加し、実施例4と同様の方法でデキストラン封入リポソーム1を調製した。Texas Red 標識デキストランのリポソームへの封入率を高めるために、液体窒素で凍結後、37℃で融解し、この凍結融解を5回繰り返した。未封入のTexas Red 標識デキストランはゲル濾過(Sepharose CL−6B)により除去した。内封Texas Red 標識デキストランのリポソームからの漏出量は上記と同様にして測定した。結果を図8に示す。
結果、pH7.4では漏出が全く認められなかったが、pH6.5以下においても当該リポソームからのデキストランの漏出は認められなかった。すなわち、当該リポソームは微弱pH変化により、高分子は漏出させず、低分子化合物を選択的に漏出させることが可能であることが示唆された。
(3)実施例4と同様の方法で、ペプチド含有脂質薄膜を調製後、カルセイン(Mw 622.55)15mM溶液およびTexas Red 標識デキストラン(Mw 3,000)1mg/ml溶液を添加し、実施例4と同様の方法で2成分封入リポソーム1を調製した。未封入のカルセインとデキストランは透析膜(分画分子量 14,000)を用いて透析により除去した。内封Texas Red 標識デキストランおよびカルセインのリポソームからの漏出量は上記と同様にして測定した。結果を図9に示す。
結果、カルセインとデキストランを当該リポソームに共封入した場合、カルセインはpH6.5において約60%、pH6.0以下では約80%漏出された。一方、デキストランは全てのpHにおいて漏出は認められなかったことから、上記のように当該リポソームは微弱pH変化により、低分子化合物を選択的に漏出させることが確認された。
本発明のリポソームはpH依存性に低分子量の化合物から漏出させることができ、分子量の異なる化合物を封入した場合、分子量に従って段階的に化合物を漏出することができる。
試験例2 異なるpH条件におけるペプチド単体およびペプチド導入リポソームのCDspectrum(pH応答性および膜構造基盤の必要性の提示)
実施例1で得られたペプチド化合物1単体及び実施例4に準じて得られたペプチド導入リポソーム(それぞれペプチド濃度にして20μM)を異なるpHのPBS(−)に懸濁し、J−720WI(日本分光(株)社製)を用いてCD(円偏光二色性)スペクトルを測定した。結果を図10に示す。
なお、「α−helix」はαへリックス構造を意味し、「ランダムコイル構造」は明確な二次構造を取っていない状態を意味する。
結果、ペプチド化合物1単独の場合、pH7.4ではα−helix(196nm付近に正のピーク、207と222nm付近に負のピーク)であったが、pHの低下に依存して、順次ランダムコイル型(196nm付近に負のピーク)へ変換された。一方、ペプチド導入リポソームの場合、pH7.4では同様にα−helixであったが、pH6.5において、ほぼ完全にランダムコイル型へ変換された。このようにペプチド単独およびペプチド導入リポソームではpH変化に伴う構造変換が異なっていた。これらの結果はペプチドのpH応答性には膜構造基盤が不可欠であることを示唆するものである。
実施例5 脂質組成を変えたリポソームの調製
(1)実施例4と同様の方法に準じて、EPC/ペプチド化合物1=1/5mol%である中性のリポソーム2を調製した。
(2)実施例4と同様の方法に準じて、EPC/DSPG/ペプチド化合物1=1/1/5mol%であるアニオン性のリポソーム3を調製した。
試験例3 各種リポソームにおける内封薬物漏出量の測定
実施例4で得られたリポソーム1、実施例5で得られたリポソーム2、3にそれぞれカルセインを封入し、試験例1と同様の方法でpH応答性を検討した。結果、いずれのリポソームもpH7.4ではカルセインの漏出は認められなかったが、pH6.5においてはカチオン性のリポソーム1が最も良好で、アニオン性のリポソーム3、中性のリポソーム2の順番で漏出が低下した。すなわち、当該リポソームが微弱低pHにおいて応答性示すためには、カチオン性リポソームにペプチド化合物を搭載するのが最も好ましいことが示唆された。
実施例6
実施例4に記載の方法に準じて、実施例2で得られたペプチド化合物2を導入したリポソーム2を作製し、試験例1と同様の調製方法でカルセイン封入リポソーム2を調製した。
実施例7
実施例4に記載の方法に準じて、実施例3で得られたペプチド化合物3を導入したリポソーム3を作製し、試験例1と同様の調製方法でカルセイン封入リポソーム3を調製した。
比較例4
実施例4に記載の方法に準じて、比較例1で得られた比較化合物1を導入した比較リポソーム1を作製し、試験例1と同様の調製方法でカルセイン封入比較リポソーム1を調製した。
比較例5
実施例4に記載の方法に準じて、比較例2で得られた比較化合物2を導入した比較リポソーム2を作製し、試験例1と同様の調製方法でカルセイン封入比較リポソーム2を調製した。
比較例6
実施例4に記載の方法に準じて、比較例3で得られた比較化合物3を導入した比較リポソーム3を作製し、試験例1と同様の調製方法でカルセイン封入比較リポソーム3を調製した。
試験例4 ペプチド導入リポソームの平均疎水性度と内封薬物漏出率
実施例4、6、7及び比較例4〜6で得られたそれぞれのカルセイン封入リポソームについて、試験例1と同様の方法でpH7.4及びpH6.5におけるカルセインの漏出率を算出した。結果を表3に示す。
Figure 0005931212
結果、本発明ペプチド化合物を導入したリポソームでは、pH7.4の生理条件下では漏出が全く認められないが、pH6.5といった弱酸性pHにおいて60%以上の良好な内封薬物の漏出を認め、特に親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックにHisを有するペプチド化合物では非常に良好な内封薬物の漏出を認めた。これに対し、構成アミノ酸が同じであっても、ペプチドの疎水性ブロックにおけるヒスチジンが隣接する比較化合物1を導入したリポソーム、ペプチド化合物の親水性ブロックと疎水性ブロックのアミノ酸数を1:1に変えることにより平均疎水性度を変えた比較化合物2を導入したリポソームでは、pH7.4からpH6.5に変化しても内封薬物の漏出は著しく低下し、pH応答性は不十分であった。また、ペプチド化合物1に対して4残基減の比較化合物3を導入したリポソームを調製したが、pH6.5以下で著しく凝集した。また、カルセインの封入を試みたが、pH 7.4 においても、Tritonで処理した場合と同程度の蛍光強度が認められたことから、4残基減の配列のペプチドでは、リポソームが不安定であり、薬物を封入することができないことが示唆された。
試験例5 ドキソルビシン(Dox)封入リポソーム4の抗腫瘍効果
Dox封入リポソーム4は、卵黄ホスファチジルコリン(EPC):ジオレオイルテトラアンモニウムプロパン(DOTAP)=1:1(mol比)の割合で混合した脂質エタノール溶液を試験管に分注し、実施例1で得られたペプチド化合物1のエタノール溶液を総脂質量の5mol%量、さらにポリエチレングリコール−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン (PEG-DSPE)のエタノール溶液を総脂質量の5mol%量添加し、さらにクロロフォルムを等量混合したものに、窒素ガスを吹き付けて蒸発乾固させることで脂質薄膜を調製した。次に、250 mM 硫酸アンモニウム(pH8.5)を添加し、10分間室温条件で十分に水和させた。水和後、水槽型超音波装置を用いて試験管を超音波処理することでEPC/DOTAP/PEG-DSPE/ペプチド化合物1で構成されたリポソーム4を調製した(脂質濃度10 mM)。調製したリポソーム4を10% スクロース (pH 8.5)で平衡化したSephadex G-50カラムを用いてゲル濾過を行い、回収したフラクション中の脂質濃度はリン脂質テストワコーを用いて定量した。このリポソーム4にDox溶液(2mg/ml)を添加し、65℃で1時間インキュベートした後、Sephadex G-50カラムを用いてゲル濾過により、未封入のDoxを除去した。リポソーム4に封入された Dox 量はTriton-X処理により可溶化後、プレートリーダー(infinite M200、TECAN社)を用いて、490 nm における吸光度を測定することにより定量した。
Dox封入リポソーム4の抗腫瘍効果を評価するために、B16-F1細胞を皮下に移植して形成した腫瘍の大きさが100 mm3にまで成長した担ガンヘアレスマウスに、Dox 溶液またはDox封入リポソーム4を1回投与あたりDox濃度0.5mg/kg で移植5、8、12、15日後に尾静脈内投与した。腫瘍体積は、腫瘍の直径および短径を測定し、以下の式により算出した。
(腫瘍体積)=0.5×(長径) ×(短径)2
また、相対腫瘍体積を、以下の式により算出した。
(相対腫瘍体積)=(移植8、12、15、または19日後の腫瘍体積)/(移植5日後における腫瘍体積)
結果を図11に示す。図11に示すように、低用量 Dox投与において、Dox封入リポソーム4はDox溶液に比べて、高い腫瘍成長抑制効果を示した。

Claims (16)

  1. 親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックから構成されるペプチド化合物であって、
    〔1〕ペプチド化合物の総アミノ酸数は24〜36であり、〔2〕親水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が4〜10で、平均疎水性度が−3.0〜−1.0であり、〔3〕疎水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が20〜32で、Hisを1個以上有し、平均疎水性度が1.0〜2.5であり、疎水性アミノ酸ブロックにおいて疎水性度−3.0以下のアミノ酸同士は隣接しない
    ペプチド化合物。
  2. 親水性アミノ酸ブロックの平均疎水性度が−2.0〜−1.5であり;疎水性アミノ酸ブロックの平均疎水性度が1.5〜2.0である請求項1記載のペプチド化合物。
  3. 親水性アミノ酸ブロックが、疎水性度が−3.0以下であるアミノ酸と疎水性度が0〜−1.0であるアミノ酸で構成されたものであり;疎水性アミノ酸ブロックが、Hisと疎水性度が0を超えるアミノ酸で構成されたものである、請求項1に記載のペプチド化合物。
  4. 親水性アミノ酸ブロックを構成するアミノ酸がHis又はGluとGlyで構成されるアミノ酸であり、疎水性アミノ酸ブロックを構成するアミノ酸がHisと、Leu、Ala、Met、Cys、Phe、Val及びIleからなる群から選択される任意のアミノ酸である請求項1に記載のペプチド化合物。
  5. 親水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを0〜5個有し、疎水性アミノ酸ブロックにおけるペプチド配列中にHisを1〜8個有することを特徴とする請求項1にペプチド化合物。
  6. 親水性アミノ酸ブロックが、下記式(I)
    (AA)(AA)(AA)(AA) (I)
    (式中、AA、AA、AA及びAAは、いずれか2つがHis又はGluであり、残りの2つがGlyである。)で表され;疎水性アミノ酸ブロックが、下記式(II)で表されるユニットを5〜8個含み、各ユニットのアミノ酸配列は同一であっても異なっていてもよい、
    (AA)(AA)(AA)(AA) (II)
    (式中、AA、AA、AA及びAAは、同一又は異なって、His、Leu又はAlaを示す。ただし、疎水性アミノ酸ブロックに5〜8個含まれる式(II)のユニットのうち少なくとも1つのユニットは、Hisを1個又は2個含む。)
    請求項1に記載のペプチド化合物。
  7. 親水性アミノ酸ブロックと疎水性アミノ酸ブロックから構成されるペプチド化合物であって、
    〔1〕ペプチド化合物の総アミノ酸数は24〜36であり、〔2〕親水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が4〜10で、平均疎水性度が−3.0〜−1.0であり、〔3〕疎水性アミノ酸ブロックの総アミノ酸数が20〜32で、Hisを1個以上有し、平均疎水性度が1.0〜2.5であり、
    前記疎水性アミノ酸ブロックが下記式(II)
    (AA )(AA )(AA )(AA ) (II)
    [式中、AA 、AA 、AA 及びAA は、同一又は異なって、His、Leu又はAlaを示す。]
    で表されるユニットを5〜8個含み、
    前記各ユニットのアミノ酸配列は同一であっても異なっていてもよく、かつ
    前記疎水性アミノ酸ブロックが複数のHisを含む場合、前記各ユニット間あるいはユニット内のHisは隣接しない、
    ペプチド化合物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のペプチド化合物と脂質を有することを特徴とするリポソーム。
  9. リポソーム中の総脂質量に対して、請求項1〜のいずれかに記載のペプチド化合物を1〜10モル%含むことを特徴とする請求項記載のリポソーム。
  10. リポソームがカチオン性リポソームである、請求項に記載のリポソーム。
  11. 目的物質をリポソームに封入してなる、請求項に記載のリポソーム。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載のリポソームを含む医薬組成物。
  13. 請求項8〜11のいずれかに記載のリポソームを含む抗腫瘍剤。
  14. 非ヒト哺乳動物に対して請求項8〜11のいずれかに記載のリポソームの癌に対する予防又は治療有効量を投与する工程を含む、癌の予防又は治療方法。
  15. 癌の予防又は治療剤を製造するための請求項8〜11のいずれかに記載のリポソームの使用。
  16. 癌の予防又は治療に使用するための請求項8〜11のいずれかに記載のリポソーム。
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