JP2015110522A - 機能性タンパク質を細胞内に送達するためのキャリア - Google Patents

機能性タンパク質を細胞内に送達するためのキャリア Download PDF

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Abstract

【課題】機能性タンパク質、特に高分子量のタンパク質を細胞内に迅速、簡便に送達するためのリポソームキャリアの提供。
【解決手段】連続した4〜20のアルギニン残基からなるポリアルギニンペプチドが共有結合している脂質と特定のアミノ酸配列からなるGALAペプチド及び/又はR−GALAペプチドが共有結合している脂質とを脂質膜の構成脂質として含み、かつ細胞内に送達されるべきタンパク質が外表面に非共有結合してなる脂質膜を有するリポソーム。該リポソームは機能性タンパク質を高い効率で細胞内に迅速に送達することを可能とし、細胞内に存在する生体分子を標的とした抗体を生理学的機能を保持したまま細胞内に送達することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性タンパク質を細胞内に送達することのできるリポソームキャリアに関する。
抗体などの分子量の大きい機能性タンパク質を細胞内に送達する技術は、商業的ならびに科学的な高い関心を集めている。特に、細胞内で生理的機能を発揮しているタンパク質に作用してその機能を制御する抗体の細胞内送達は、いわゆる抗体医薬のターゲット分子の選択肢を大幅に拡大し得る。また、標的とする細胞内生体分子と相互作用する機能性タンパク質の遺伝子組み換えに依らない細胞内送達は、分子生物学的研究において重要な知見を与え得る。
抗体などの機能性タンパク質を細胞内に送達する幾つかの方法が知られている。その一つは、抗体とタンパク質導入ドメイン(PTDs)または細胞貫通ペプチド(CPPs)などの機能性ペプチドとの組換え的又は化学的な共有結合である。例えば、カポジ繊維芽細胞増殖因子のシグナル配列に由来する17アミノ酸残基のPTDペプチドと共有結合した抗体は、繊維芽細胞内にデリバリーされる(非特許文献1)。しかし、こうした方法は用いられる材料の調製に時間を要し、また抗体の結合特性を変化させるリスクを伴う化学修飾を必要とする。
より簡便な方法は、細胞透過性を保持しつつタンパク質と作用して非共有的な複合体を形成する機能を有する改変CPPsの利用である(非特許文献2)。この様なペプチドのいくつかは、商業的に入手可能なタンパク質細胞内送達用の試薬である。しかしながら、CPP−タンパク質複合体のエンドソームにおける蓄積が幾つか報告されているように、エンドソームから細胞質へのタンパク質の不充分な脱出がCPPs利用の問題である。また、ペプチドは生体内に広く存在するプロテアーゼによって分解されやすいという一般的な理解に基づくならば、培養細胞に適用したときと同様の送達効率を生体(動物)に適用したときに期待することは困難である。
失活されたセンダイウイルス粒子であるHVJ−E(Hemaglutinating virus of Japan envelope)の利用は、ペプチドの利用とは異なるアプローチである(非特許文献3)。しかし、ウイルスの利用は、それが失活されたものであったとしても依然として医薬への応用を困難なものとする。
非ウイルスベクターを利用したタンパク質送達の例の一つは、抗体と非共有結合して複合体を形成するカチオン性脂質の利用である。こうした脂質は例えば商品名「Lipodin−Ab」「Ab−DeliverIN」の下、研究用試薬として市販されている。しかし、ここで利用されるカチオン性脂質の多くは細胞或いは生体によって有毒であり得、従って機能性タンパク質の長期間投与を必要とする疾患の治療のための前記カチオン性脂質キャリアの適用は困難である。また、かかる脂質の利用もエンドソームから細胞質へのタンパク質の不充分な脱出という問題に苦しんでいる。さらに、細胞内にタンパク質が送達されるまでに数時間を要することもカチオン性脂質の利用を妨げる。
脂質を利用した一形態であるリポソームは、siRNAなどの核酸を細胞内に送達するために生体に投与し得る、今日も開発が続けられている送達キャリアである。リポソームは脂質二重膜で閉鎖された内部空間を有する球状粒子であり、多くの場合、細胞内に送達される物質はその内部空間に封入される。送達される物質が脂質二重膜で封入されることにより、ヌクレアーゼその他の様々な生体成分からの攻撃を回避することができるためである。 しかし一方で封入された物質は、リポソームが細胞内にエンドサイトーシス等を経てエンドソームに取り込まれ、エンドソームから細胞質へとリポソームが脱出し、さらに脂質二重膜が何らかの要因で破壊されることによって細胞内へと放出される必要がある。このため、リポソームキャリアによる物質の細胞内送達は、エンドサイトーシス等による細胞内への取込、エンドソームから細胞質への脱出ならびに封入された物質の細胞内への放出の各段階の効率を高めなければならないという問題に直面する。機能性タンパク質を封入したリポソームを用いた細胞内への機能性タンパク質の送達もまた、この問題を解消しなければならない。
機能性タンパク質をリポソームの内部空間に封入する代わりに、リポソームの表面に静電的に結合させた細胞内タンパク質送達が報告されている(特許文献1)。この送達はしかし、機能性タンパク質にポリヌクレオチド等のリンカーを結合させる必要があり、作業が繁雑となる他、送達される機能性タンパク質が天然に存在するタンパク質ではなくなるという問題を伴う。
本発明者の一部は、GALAと称されるペプチド(以下、GALAペプチドと表す)に結合した脂質を膜構成脂質とするリポソームを構築し、これがエンドソームからの脱出能に優れ、封入物質を細胞質中へ放出させることができることを示した(特許文献2)。このリポソームはしかし、封入された物質の細胞内送達を目的としたものである。また、GALAペプチドに結合した脂質及びポリアルギニンペプチドに結合した脂質を構成脂質としたリポソームを構築し、係る構成によってリポソームが生体成分に対する抵抗性を備えることを報告している(特許文献3)。このリポソームもまた封入された物質の細胞内送達を目的としたものである。
公表特許公報第2003−531820号 公開特許公報特開2006−28030号 国際公開WO2008/105178号パンフレット
Y.Zhaoら、J.Immunol.Methods、2001年、第254巻、第137−145頁 M.C.Morrisら、Nat.Biotech.、2001年、第19巻、第1173−1176頁 Y.Kondoら、J.Immunol.Methods、2008年、第332巻、第10−17頁
本発明は、機能性タンパク質の細胞内送達効率に優れた、内部空間に機能性タンパク質を封入しないタイプのリポソームを提供することを目的とする。
本発明者は、GALAペプチドに結合した脂質及びポリアルギニンペプチドに結合した脂質を構成脂質としたリポソームの脂質膜外表面に細胞内に送達しようとする機能性タンパク質を非共有的に直接結合させたリポソームが、機能性タンパク質を高い効率で細胞内に送達することを見いだし、下記(1)〜(6)の各発明を完成させるに至った。
(1)連続した4〜20のアルギニン残基からなるポリアルギニンペプチドが共有結合している脂質と配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるGALAペプチド及び/又は配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるR−GALAペプチドが共有結合している脂質とを脂質膜の構成脂質として含み、かつ細胞内に送達されるべきタンパク質が外表面に非共有結合してなる脂質膜を有するリポソーム。
(2)前記ポリアルギニンペプチド、GALAペプチド及び/又はR−GALAペプチド及び細胞内に送達されるべきタンパク質が一の脂質膜の外表面に配置された、請求項1に記載のリポソーム。
(3)細胞内に送達されるべきタンパク質が細胞内タンパク質に対する特異抗体である、請求項1又は2に記載のリポソーム。
(4)一枚の脂質膜から構成される一枚膜リポソームである、請求項1〜3の何れかに記載のリポソーム。
(5)二枚又は三枚の脂質膜から構成される、請求項1〜3の何れかに記載のリポソーム。
(6)分子量が1kDaを越えるタンパク質を細胞質または細胞内オルガネラに送達するための、請求項1〜5の何れかに記載のリポソーム。
本発明のリポソームの利用は、脂質膜の外表面に非共有的に結合した機能性タンパク質を高い効率で細胞内に迅速に送達することを可能にする。従って、細胞内に存在する生体分子を標的とした抗体を、あるいはかかる生体分子と相互作用する機能性タンパク質を、それらの生理学的機能を保持したまま細胞内に送達することができる。また本リポソームは、機能性タンパク質をリポソーム内部空間へ封入する工程を要さず、これは製造工程を簡素化するのみならず、封入工程で度々生じる機能性タンパク質の失活をも回避する。また、本発明のリポソームは投与から数十分程度で細胞内に機能性タンパク質を放出するという、迅速な細胞内送達を可能にする。
本発明のリポソームの細胞内への取り込み能を示すグラフである。 パネルAはR8ペプチドを持たないコントロールキャリアであるDCGIgGを、パネルBはGALAペプチドを持たないコントロールキャリアであるDCG0RIgGをそれぞれ取り込ませたHeLa細胞の共焦点顕微鏡写真である。 パネルAはGALAペプチドを持たないDCG0RIgGを、パネルBは本発明のリポソームDCG2RIgGをそれぞれ取り込ませたHeLa細胞の共焦点顕微鏡写真である。 パネルAはIgGAlexa488封入型リポソームを、パネルBは本発明のリポソームDCG2RIgGをそれぞれ取り込ませたHeLa細胞の共焦点顕微鏡写真である。 本発明のリポソーム、市販のタンパク質導入試薬であるPro−Ject(登録商標)及びChariot(登録商標)の細胞内へのタンパク質導入効率を比較したグラフである。 本発明のリポソーム、市販のタンパク質導入試薬であるPro−Ject(登録商標)及びChariot(登録商標)をそれぞれ導入したHeLa細胞の共焦点顕微鏡写真である。 HeLa細胞への本発明のリポソームによる抗体導入量の経時変化を示すグラフである。 本発明のリポソームを導入したHeLa細胞を各時間インキュベートしてフローサイトメトリー解析を行なったときの抗体取込量と細胞分布を示すグラフである。 本発明のリポソームによる抗体の細胞内送達を経時的に観察した共焦点顕微鏡写真である。 本発明のリポソームを用いて抗NPC抗体を導入したHeLa細胞の共焦点顕微鏡写真である。
本発明のリポソームは、連続した4〜20のアルギニン残基からなるポリアルギニンペプチドが共有結合している脂質と配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドが共有結合している脂質とを脂質膜の構成脂質として含み、かつ細胞内に送達されるべきタンパク質が外表面に非共有結合してなる脂質膜を有するリポソームである。
(1)ポリアルギニンペプチド
本発明における連続した4〜20のアルギニン残基からなるポリアルギニンペプチド(以下、PAPと表す)は、特許文献3(国際公開WO2005/032593号パンフレット)に記載された「連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチド」の一態様である。本発明において、アルギニン残基の個数は6〜12個が好ましく、7〜10個がより好ましい。
本発明のリポソームにおいて、PAPはリポソームの脂質膜を構成する脂質とそのN末端またはC末端で共有結合され、前記脂質が脂質膜に挿入されることでPAPが脂質膜の外表面に露出するように配置される。なお、本発明のリポソームにおいて、PAPが脂質膜の外表面に露出するように配置されている限り、脂質膜の内表面に露出されたPAPが共存しても差支えない。
PAPがそのN末端またはC末端で共有結合する脂質は、リポソームの脂質膜を構成し得る脂質であればよく、ステアリル基、パルミトイル基、オレイル基、ステアリル基、アラキドイル基等の炭素数10〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸基又はコレステロール基を有する脂質、リン脂質、糖脂質又はステロール、ホスファチジルエタノールアミンやコレステロール等の長鎖脂肪族アルコール、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂肪酸エステル等を例示することができる。好ましい脂質はステアリン酸及びコレステロールである。
(2)GALAペプチド
本発明におけるGALAペプチドは、T.Kakudoらの非特許文献(Biochemistry、2004年、第43巻、第5618−5623頁)に記載されたアミノ酸配列からなる機能性ペプチドである。GALAペプチドは、これを脂質膜の表面に有するリポソーム同士の脂質膜融合を酸性条件下で促進させる機能を有している。またGALAペプチドは、GALAペプチドを脂質膜の表面に有するリポソームがエンドサイトーシスによってエンドソームに取り込まれた後、細胞質画分にリポソームの封入物を放出させる機能があるとされるペプチドである。なお、GALAペプチドのアミノ酸配列をC末端側からN末端側へと逆転させたアミノ酸配列からなるペプチドであるR−GALAペプチドもGALAペプチドと同様の機能を有しており、本発明のリポソームではGALAペプチドはR−GALAペプチドと交換可能にまたは同時に利用することができる。以下、GALAペプチドを例として説明する。
またGALAペプチドのアミノ酸配列において欠失、置換又は付加されるアミノ酸の個数及び位置は、ペプチド(b)が酸性条件下において脂質膜同士を融合できる限り特に限定されるものではなく、アミノ酸の個数は1又は複数個、好ましくは1又は数個であり、その具体的な範囲は、欠失に関しては通常1〜4個、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個であり、置換に関しては通常1〜6個、好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜2個であり、付加に関しては通常1〜12個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個である。
本発明のリポソームにおいて、GALAペプチドはリポソームの脂質膜を構成する脂質とそのN末端またはC末端で共有結合され、前記脂質が脂質膜に挿入されることでGALAペプチドが脂質膜の外表面に露出するように配置される。なお、本発明のリポソームにおいて、GALAペプチドが脂質膜の外表面に露出するように配置されている限り、脂質膜の内表面に露出されたGALAペプチドが共存しても差支えない。
GALAペプチドがそのN末端またはC末端で共有結合する脂質は、リポソームの脂質膜を構成し得る脂質であればよく、ステアリル基、パルミトイル基、オレイル基、ステアリル基、アラキドイル基等の炭素数10〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸基又はコレステロール基を有する脂質、リン脂質、糖脂質又はステロール、ホスファチジルエタノールアミンやコレステロール等の長鎖脂肪族アルコール、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂肪酸エステル等を例示することができる。好ましい脂質はステアリン酸及びコレステロールである。なお、PAPとGALAペプチドはいずれも、脂質等と共有結合させるためにシステインその他のアミノ酸残基または適当な官能基をその末端に付加されることがあり、この様な末端に基が付加されたペプチドも依然としてPAPまたはGALAペプチドに包含される。
(3)機能性タンパク質
本発明のリポソームを構成する脂質膜の外表面に非共有結合する機能性タンパク質は、細胞内部に送達することを目的とした、何らかの生理活性を有するタンパク質であればよい。元々細胞内に局在することで何らかの機能を発揮している細胞内タンパク質は、その一例である。この様な細胞内タンパク質を遺伝子操作に依らずに細胞の中に送り込むことができれば、細胞の分子生物学的研究に有効な研究ツールとなる。特に宿主ベクター系の確立が十分ではない細胞において有効である。
また、細胞内タンパク質と相互作用することでその細胞内タンパク質の機能を調節することが期待されるタンパク質も、本発明のリポソームによって細胞内に送達することを目的としたタンパク質の好ましい例である。特定のアミノ酸配列を認識して加水分解する特異的なプロテアーゼや特定の塩基配列を認識して結合する核酸結合酵素などはその例である。特に好ましい例は、細胞内タンパク質と特異的に結合する抗体である。抗体はモノクローナル抗体であることが好ましく、Fc領域が保持されたモノクローナル抗体であることが特に好ましい。なお、IgGやIgM等の抗体の種類や特異性に結合する対象となる細胞内タンパク質の種類には特に制限はない。また、細胞内に送達することを目的とした機能性タンパク質は、細胞外から細胞質内には自発的に移動することが困難なタンパク質であればよく、その分子量は1kDa(キロダルトン)以上が考えられる。特に抗体等の100kDaを越える巨大タンパク質や、2分子以上のタンパク質から形成されるタンパク質複合体が、本発明にいう細胞内に送達しようとする機能性タンパク質の好ましい例である。
(4)リポソームの構造
本発明のリポソームは、脂質二重層で構成される脂質膜を有する閉鎖小胞である限り、脂質膜の数は特に限定されない。多重膜リポソーム(MLV、Multi lamella vesicle)であってもよいし、SUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)またはGUV(giant unilamella vesicle)等の一枚膜リポソームであってもよい。
一枚膜リポソームの場合、PAP、GALAペプチド及び細胞内に送達されるべき機能性タンパク質は一枚膜の外表面に配置される。一方、MLVの場合、PAP、GALAペプチド及び細胞内に送達されるべき機能性タンパク質は各脂質膜の外表面に配置されていてもよく、何れかの脂質膜の外表面に選択的に配置されていてもよい。さらにPAP、GALAペプチド及び細胞内に送達されるべき機能性タンパク質は同一の脂質膜の外表面に配置されていてもよく、またPAP及びGALAペプチドと機能性タンパク質とは異なる脂質膜の外表面に配置されてもよい。なお、MLVの場合、PAPとGALAペプチドは同じ脂質膜の外表面に配置されることが好ましい。またMLVの場合、各脂質膜特に最外側の脂質膜はポリアルキレングリコールなどの親水性ポリマー、標的組織や標的細胞に対する特異リガンドその他のリポソームキャリアに利用可能な他の機能性物質で修飾されていてもよい。
本発明におけるMLVの一態様は、PAP、GALAペプチド及び細胞内に送達されるべき機能性タンパク質が外表面に配置された内側の脂質膜と、これを取り囲む外側の脂質膜とからなる二枚膜リポソームである。また別の態様は、細胞内に送達されるべき機能性タンパク質が脂質膜の外表面に配置された内側の脂質膜と、これを取り囲む、PAP及びGALAペプチドが外表面に配置された外側の脂質膜とからなる二枚膜リポソームである。さらに別の態様は、細胞内に送達されるべき機能性タンパク質が脂質膜の外表面に配置された最内側の脂質膜と、前記最内側の脂質膜を取り囲む、当該機能性タンパク質と同種の或いは異なる機能性タンパク質が脂質膜の外表面に配置された中間の脂質膜と、これをさらに取り囲む、PAP及びGALAペプチドが外表面に配置された最外側の脂質膜とからなる三枚膜リポソームも、本発明におけるMLVの一態様である。ただし、本発明のリポソームはこれらの態様には限定されない。
本発明のリポソームの脂質膜で閉鎖された内部空間には、脂質膜の表面に非共有的に結合させた機能性タンパク質とは別の、細胞内に送達しようとする物質を封入してもよい。目的物質の種類は特に限定されるものではなく、例えば、薬物、核酸、ペプチド、タンパク質、糖又はこれらの複合体等が挙げられ、診断、治療等の目的に応じて適宜選択することができる。なお、「核酸」には、DNA又はRNAに加え、これらの類似体又は誘導体(例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNA等)が含まれる。また、核酸は一本鎖又は二本鎖のいずれであってもよいし、線状又は環状のいずれであってもよい。
本発明のリポソームのサイズは特に限定されるものではないが、直径50〜800nmであることが好ましく、直径100〜200nmであることがさらに好ましい。
(5)脂質膜の構成成分
本発明のリポソームの脂質膜を構成する脂質の種類は特に限定されるものではないが、PAP又はGALAペプチドが共有結合している脂質を含め、リン脂質、糖脂質、ステロール、長鎖脂肪族アルコールまたはグリセリン脂肪酸エステルなどを利用することができる。
リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンなど)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロールなど)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルグリセロフォスフォエタノールアミン(DOPE)など)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、またはこれらの水素添加物、卵黄、大豆その他の動植物に由来する天然脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチンなど)などを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。前記リン脂質は、脂質膜構造体の主要な構成成分として用いられる。その使用量は、脂質膜構造体の総脂質に対する量として10〜100%(モル比)であることが好ましく、50〜80%(モル比)であることがさらに好ましいが、これらの値に特に限定されるものではない。
糖脂質としては、スフィンゴミエリン、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリドなどのグリセロ糖脂質、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド、ガングリオシドなどのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
ステロールとしては、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール)、チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらのステロールは、一般には脂質二重層を物理的または化学的に安定させたり、膜の流動性を調節したりするために用いることができる。その使用量は、脂質膜構造体の総脂質に対する量として5〜40%(モル比)であることが好ましく、10〜30%(モル比)であることがさらに好ましいが、これらの値に特に限定されるものでない。
長鎖脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数10〜20の脂肪酸またはそのアルコールを使用することができる。そのような長鎖脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールとしては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、アラキジン酸、マルガリン酸、ツベルクロステアリン酸などの飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、アラキドン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸などの不飽和脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、リノリルアルコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。その使用量は、脂質膜構造体の総脂質に対する量として5〜40%(モル比)であることが好ましく、10〜30%(モル比)であることがさらに好ましいが、これらの値に特に限定されるものでない。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノアシルグリセリド、ジアシルグリセリド、トリアシルグリセリドを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。その使用量は、脂質膜構造体の総脂質に対する量として5〜40%(モル比)であることが好ましく、10〜30%(モル比)であることがさらに好ましいが、これらの値に特に限定されるものでない。
カチオン性脂質としては、上述した脂質の他、例えば、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(dioctadecyldimethylammonium chloride、DODAC)、N−(2,3−オレイルオキシ)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウム(N−(2,3−dioleyloxy)propyl−N,N,N−trimethylammonium、DOTMA)、ジドデシルアンモニウムブロミド(didodecylammonium bromide、DDAB)、1,2−ジオレイルオキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパン(1,2−dioleoyloxy−3−trimethylammonio propane、DOTAP)、3β−N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモールコレステロール(3β−N−(N’,N’,−dimethyl−aminoethane)−carbamol cholesterol、DC−Chol)、1,2−ジミリストイルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム(1,2−dimyristoyloxypropyl−3−dimethylhydroxyethyl ammonium、DMRIE)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウムトリフルオロアセテート(2,3−dioleyloxy−N−[2(sperminecarboxamido)ethyl]−N,N−dimethyl−1−propanaminum trifluoroacetate、DOSPA)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。なお、カチオン性脂質は細胞毒性を有するので、本発明のリポソームの細胞毒性を低減させる点からは、脂質二重層に含まれるカチオン性脂質の量を出来る限り少なくすることが好ましく、脂質二重層を構成する総脂質に対するカチオン性脂質の割合は0〜40%(モル比)であることが好ましく、0〜20%(モル比)であることがさらに好ましい。
また、中性脂質としては、上述した脂質の他、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、アニオン性脂質としては、上述した脂質の他、例えば、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン(N−スクシニルPE)、ホスファチジルエチレングリコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
脂質は必須のリポソーム膜成分であり、その配合量はリポソーム膜構成物質の総配合量の通常50〜100%(モル比)、好ましくは65〜100%(モル比)、さらに好ましくは75〜100%(モル比)である。
この範囲において PAPまたはGALAペプチドと共有結合した脂質の占める割合Pは、脂質膜を構成する脂質の総量を100(%)とした場合、5mol%≦P≦25mol%が好ましい。また本発明のリポソームの表面に存在するPAP及びGALAペプチドの量は、リポソームの脂質膜を構成する総脂質に対してPAPが通常5〜30モル%、好ましくは10〜25モル%、さらに好ましくは15〜20モル%、GALAペプチドが通常0.5〜3モル%、好ましくは1.0〜2.5モル%、さらに好ましくは1.5〜2モル%である。
本発明のリポソームは、脂質膜特にMLVの場合にはその最外側の脂質膜の表面を親水性ポリマーで修飾してもよい。親水性ポリマー種類は、生体に投与されたときのリポソームの血中滞留性を向上させることができる限り特に限定されるものではない。その様な親水性ポリマーの例は、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等)、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナン等である。中でもポリアルキレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。ポリアルキレングリコールの好ましい分子量は、通常300〜10000、特に好ましくは500〜10000、さらに好ましくは1000〜5000である。
また本発明のリポソームがMLVである場合、その最外膜の表面上に機能性タンパク質を送達しようとする組織又は細胞と特異的に結合できる物質を配置してもよい。その様な物質の種類は特に限定されるものではないが、例えば、トラスフェリン、インシュリン、葉酸、ヒアルロン酸、細胞表面に存在する生体分子に対する抗体又はその断片、糖鎖、成長因子、アポリポタンパク質等が挙げられる。
本発明において、脂質膜には上述した脂質の他に、トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤、ステアリルアミン、オレイルアミン等の飽和又は不飽和脂肪族アミン;ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン等の飽和又は不飽和カチオン性合成脂質等の正荷電を付与する荷電物質、ジセチルホスフェート、コレステリルヘミスクシネート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等の負電荷を付与する荷電物質、膜安定化剤、膜タンパク質等を含有させることができ、その含有量は適宜調節することができる。
荷電物質は、リポソーム膜に正荷電又は負荷電を付与するために添加できる任意のリポソーム膜成分であり、その配合量は、リポソーム膜構成物質の総配合量の通常0〜50%(モル比)、好ましくは0〜30%(モル比)、さらに好ましくは0〜20%(モル比)である。
(6)リポソームの作製方法
本発明のリポソームは、PAPが共有結合している脂質とGALAペプチドが共有結合している脂質とを構成脂質とした脂質膜を有するキャリアリポソームを作製し、このキャリアリポソームと細胞内に送達されるべき機能性タンパク質とを適当な緩衝液中で混合することで作製することができる。
キャリアリポソームは、例えば、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法などの公知の方法を用いて作製することができる。例えば水和法の場合、PAPまたはGALAペプチドと結合した脂質、さらにはその他の脂質や先に記載した脂質膜に含まれる任意成分を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得た後、脂質膜を水和させ、攪拌または超音波処理することにより、本発明に係るペプチドと結合した脂質を膜の構成成分として含む脂質膜構造体を製造することができる。
また本発明におけるキャリアリポソームは、上述した脂質やその他の脂質を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得、この脂質膜を水和させ、攪拌または超音波処理することによりリポソームを製造し、次いで、このリポソームにPAP又はGALAペプチドが共有結合した脂質を添加することにより、リポソームの外表面にこれらのペプチドを導入して作製することもできる。
なお、所定のポアサイズのフィルターを通過させることにより、一定の粒度分布を持った脂質膜構造体を得ることができる。
有機溶媒として、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類などを、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、脂質膜で閉鎖された内部空間への物質の封入は、当該物質が水溶性である場合には前記キャリアリポソームの作製において脂質膜を水和する際に使用される水性溶媒に前記物質を添加することで行なう事ができる。また、前記物質が脂溶性である場合には、前記キャリアリポソームの作製において使用される有機溶剤に前記物質を添加することによってリポソームの脂質膜に封入することができる。
この様にして作製されたキャリアリポソームと機能性タンパク質とを適当な緩衝液中で混合して、本発明のリポソームは作製される。ここで緩衝液は機能性タンパク質に応じてその活性の保持に適した種類の緩衝液を選択して使用すればよい。
リポソームの内部空間への機能性タンパク質の封入は、キャリアリポソームを水和法で作製する際に機能性タンパク質も超音波処理に暴露して行なうことを必要とし、タンパク質の失活というリスクを伴う。本発明はこの機能性タンパク質の超音波処理への暴露を必要とせず、このことは本願発明の利点の一つである。
またキャリアリポソームと機能性タンパク質との混合は任意の混合比率で行なうことができるが、キャリアリポソームの脂質:機能性タンパク質=1:0.1〜5の範囲、好ましくは1:1で混合することが好ましい。リポソームの内部空間への機能性タンパク質の封入は、水和の際に大量の抗体溶液を必要とするが、本発明ではキャリアリポソームと混合する機能性タンパク質のほぼ70%が脂質膜表面に結合するなど、コストならびに簡便性の点で有利である。
作製された本発明のリポソームは、分散液の状態で保存、使用することができる。分散溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を使用することができる。分散液には、例えば、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤、水和促進剤等の添加剤を添加して使用してもよい。また本発明のリポソームは、使用する直前に乾燥(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等)させたキャリアリポソームと機能性タンパク質とを混合して作製してもよい。
本発明のリポソームを投与することができる生物種は特に限定されるものではなく、動物、植物、微生物等のいずれであってもよいが、動物であることが好ましく、哺乳動物であることがさらに好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられる。
本発明のリポソームは、インビボ(生体への投与を含む)及びインビトロのいずれにおいても使用することもできる。本発明のリポソームを生体に投与する経路としては、例えば、静脈、腹腔内、皮下、経鼻等の非経口投与が挙げられ、投与量及び投与回数は、細胞内に相対されるべき機能性タンパク質の種類や量、投与目的等に応じて適宜調節することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を非限定的に説明する。
<実施例1> IgG抗体を結合させたリポソームの作製
(1)キャリアリポソームの作製
前記非特許文献1に記載の方法に準じて、ペプチド合成機を用いて配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるGALAペプチドのC末端アミド体を化学合成及び精製し、次いでコレステロールと反応させてコレステリル化したGALAペプチド(Chol−GALA)を作製した。同様に、前記非特許文献1に記載の方法に準じて、ペプチド合成機を用いて8つのアルギニン残基からなるオクタアルギニンペプチド(R8)のC末端アミド体を化学合成及び精製し、ステアリン酸と反応させてステアリル化したオクタアルギニンペプチド(STR−R8)を作製した。
0.55mMのローダミンで修飾されたDOPE/PA(モル比9:2)を4本のガラス試験管に分取し、0mol%、1mol%、2mol%及び3mol%となるようにChol−GALAをそれぞれ添加し、さらにエタノール:クロロホルム=1:1混合液を加えて溶解した(全量250μL)。各ガラス試験管に窒素ガスを吹き付けて混合脂質を蒸発乾固させた。ここに250μLの10mM HEPES緩衝液pH7.4を添加して10分間水和させた後、水槽型超音波発生装置で超音波処理を行うことで多重膜リポソームを作製した。同様の操作を0.55mMのDOPE/CHEMS(モル比9:2)について繰り返した。
各多重膜リポソーム0.55mMに全脂質に対して20モル%となる量のSTR−R8を添加した後、室温で30分間インキュベートして、R8ペプチドとGALAペプチドとが最外側の脂質膜の外表面に配置されたキャリアリポソームを得た。
(2)IgG抗体を非共有結合させたリポソームの作製
ヤギIgG(Rockland社)をAlexaFluor(登録商標)488 Protein Labeling Kit(Invitrogen社)で推奨プロトコルに従い標識して、Alexa−488標識IgG抗体(以下、IgGAlexa488と表す)を得た。(1)で得た各キャリアリポソーム(脂質0.55mM)と10mMのHEPES緩衝液に溶解した0.125mg/mLのIgGAlexa488とを体積比1:1で混合し、室温で15分間インキュベートして、最外側の脂質膜の外表面にIgGAlexa488が非共有結合したリポソームを得た。各リポソームのサイズ、PDI及びζ(ゼータ)電位をZetasizer Nano ZS ZEN3600(MALVERN Instruments社)を用いて測定した結果を表1に示す。

各リポソームの構成は次の様に表すことができる。
DPG0RIgG
DOPE:PA:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8およびIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DPG1RIgG
DOPE:PA:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.11:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DPG2RIgG
DOPE:PA:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.22:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DPG3RIgG
DOPE:PA:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.33:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DCG0RIgG
DOPE:CHEMS:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DCG1RIgG
DOPE:CHEMS:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.11:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DCG2RIgG
DOPE:CHEMS:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.22:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
DCG3RIgG
DOPE:CHEMS:Chol−GALA:STR−R8=9:2:0.33:2.2(モル比)の脂質組成を有し、最外側の脂質膜の外表面にPAPであるR8、GALAペプチド及びIgGAlexa488を有している多重膜リポソーム
<実施例2>リポソームのHeLa細胞内への取込と抗体の細胞内局在性の確認
(1)取込効率の確認
6ウェルプレート中のHeLa細胞2×10個/D’MEM培地に実施例1(2)で作製したリポソーム(終濃度6.25μg/mL IgGAlexa488、D’MEM、FBS無し)を添加し、37℃で10分間、15分間、30分間、45分間、60分間または120分間インキュベートした。20U/mLの冷ヘパリン溶液で、FBSを含むD’MEM培地で、再度20U/mLの冷ヘパリン溶液でそれぞれ細胞を洗浄した。洗浄後の細胞について、FACSanおよびCellQuestソフトウェア(いずれもBecton
Dickinson社)を用いてフローサイトメトリー解析を行なった。解析は各細胞の全細胞数が10,000個について、2回行なった。その結果を図1に示す。
最外側の脂質膜の外表面にGALAペプチドを共存させることで、その容量依存的にリポソームの細胞内への取込効率が若干ながら低下することが確認された。また細胞内取込の効率という観点からは、CHEMSの使用がPAと比較して有利であることが確認された。
(2)共焦点顕微鏡による細胞内局在性の確認
実施例1に記載した方法に準じて、DOPE:CHEMS:Chol−GALA=9:2:0.22(モル比)の多重膜リポソームの最外側の脂質膜の外表面にIgGAlexa488を結合させたリポソーム(DCG2IgG)を作製した。DCG2IgGは、GALAペプチドは持つがR8ペプチドを持たないコントロールリポソームである。
35mmガラス底ディッシュ中のHeLa細胞5×10個/D’MEM培地に、DCG2IgG、及び実施例1(2)で作製したDCG0RIgG及びDCG2RIgG(いずれも終濃度3.125μg/mL IgGAlexa488、D’MEM、FBS無し)を別々に添加して、37度で1時間インキュベートした。40U/mLの冷ヘパリン溶液で細胞を洗浄後、FBSを含むD’MEM培地を添加して37度で60分間インキュベートした。細胞を再び洗浄した後、直ちに共焦点顕微鏡(Nicon A1 Confocal imaging system、ニコン社)を用いてリポソーム(ローダミンで修飾された脂質)及びIgGAlexa488の細胞内局在性を調べた。その結果を図2及び図3に示す。
図2のパネルAに示される様に、R8ペプチドを持たないDCG2IgGはHeLa細胞に殆ど取り込まれず、また図2のパネルBに示される様にGALAペプチドを持たないDCG0RIgGのIgGAlexa488はHeLa細胞内部のエンドソームにトラップされていて、細胞質へは放出されていないことが確認された。同様に、DCG0RIgGではIgGAlexa488はHeLa細胞内部のエンドソームにトラップされていて、細胞質へは放出されていない(図3のパネルA)のに対して、DCG2RIgGでは、IgGAlexa488に由来する蛍光は核を除く細胞質全体に拡がっている様子が観察された(図3のパネルB)。このことから、本発明のリポソームは細胞内にエンドサイトーシスによって取り込まれ、リポソームの脂質はエンドソーム内に残るが、表面に結合した抗体は細胞質内部に放出され拡散されることが確認された。
<実施例3>封入型リポソームとの抗体放出能の比較
実施例1(1)の水和の際に250μLの10mM HEPES緩衝液pH7.4をIgGAlexa488を含む250μLの10mM HEPES緩衝液pH7.4に置換えて、IgGAlexa488を封入したリポソーム(封入型リポソーム)を作製した。
実施例2(2)に記載の方法に準じて、封入型リポソームをHeLA細胞に取り込ませ、IgGAlexa488の細胞内局在性を調べた。その結果を図4に示す。
図4に示される様に、封入型リポソームでは細胞内に導入されたIgGAlexa488に由来する蛍光の殆どはエンドソームにドット状に分布していることが観察された(図4のパネルA)。このことから、封入型リポソームに封入された抗体はリポソームから放出されず、リポソームと共にエンドソームにトラップされたままであることを示すものである。一方、本発明のリポソームでは、封入型リポソームと比較してIgGAlexa488に由来する蛍光がより均一に細胞質内部に拡がっていることが観察された。
<実施例4>市販タンパク質導入試薬との比較
ACTIVE MOTIF社から市販されているタンパク質導入試薬であるChariot(登録商標、http://www.activemotif.jp/catalog/37.html)100μL(0.12mg/mL)を、メーカーの推奨条件に従って0.01mg/mLのIgGAlexa488/10mM HEPES緩衝液pH7.4の100μLと室温で30分間混合して、Chariotベースの導入試薬を作製した。
また、Thermo Scientific社から市販されているタンパク質導入試薬であるPro−Ject(登録商標、http://www.funakoshi.co.jp/node/10301)をメーカーの推奨条件に従ってクロロホルム中で再構築し、10μL単位で分画した後、乾燥させた。ここに0.05mg/mLのIgGAlexa488/10mM HEPES緩衝液pH7.4を加えて10分間インキュベートし、次いで超音波処理を行なってPro−jectベースの試薬を作製した。
5×10個のHeLa細胞に対して、Chariotベースの導入試薬400μL、Pro−Jectベースの導入試薬40μLを用いてメーカーの推奨条件でIgGAlexa488を導入した。また5×10個のHeLa細胞に対して、実施例2(1)に記載の取込実験に準じて本発明のDCG2RIgG(終濃度3.125μg/mL IgGAlexa488、D’MEM、FBS無し)を用いてIgGAlexa488を導入した。前記2種類のタンパク質導入試薬の取込能と本発明のリポソームであるDCG2RIgGのそれとを、FACSanおよびCellQuestソフトウェア(いずれもBecton Dickinson社)を用いてフローサイトメトリー解析によって比較した。その結果を図5に示す。
図5に示される様に、本発明のリポソームによるIgGAlexa488の導入効率は、Chariot(登録商標)及びPro−Ject(登録商標)をそれぞれの推奨条件における使用したときの導入効率を大幅に上回るものであることが確認された。
また、実施例2(2)に記載の方法に準じて上記の各種導入後のHeLa細胞における導入されたIgGAlexa488の局在性を共焦点顕微鏡で観察したところ、Chariot(登録商標)及びPro−Ject(登録商標)はいずれもエンドソームにトラップされていて、細胞質に放出されていないことが確認された(図6)。
<実施例5>導入されたタンパク質の放出速度の確認
35mmガラス底ディッシュ中のHeLa細胞5×10個/D’MEM培地に、実施例1(2)で作製したDCG2RIgG(終濃度3.125μg/mL IgGAlexa488、D’MEM、FBS無し)を添加して、37度で10分、15分、30分、45分、60分または120分インキュベーションした後に、40U/mLの冷ヘパリン溶液で細胞を洗浄し、一部の細胞についてFACSanおよびCellQuestソフトウェア(いずれもBecton Dickinson社)を用いてフローサイトメトリー解析を行なった。また別の一部の細胞については直ちに共焦点顕微鏡(Nicon A1 Confocal imaging system、ニコン社)を用いてIgGAlexa488の細胞内局在性を調べた。また、PBSで細胞を洗浄後、Hoechst33342(終濃度1μg/mL)を加えて5分間インキュベートすることで細胞核を染色した。結果を図7〜図9に示す。
図7に示される様に、DCG2RIgGの細胞内取り込み量はインキュべーション時間に比例して増加することが確認された。また図8から、M2領域(IgGAlexa488が十分に取り込まれている細胞に相当する)に位置する細胞数が経時的に増加していくこと、10分のインキュベーションで80%を越える細胞が、また15分のインキュベーションで95%を越える細胞がM2領域に位置すること等が理解される、これは本発明のリポソームが迅速に細胞内に取り込まれていくことを示している。さらに、図9に示される様に、IgGAlexa488の細胞質への放出は、リポソームの導入後10分には既に始まり、導入後30分では大部分の細胞で抗体の細胞質放出が観察された。Chariot(登録商標)やPro−Ject(登録商標)等の試薬では、一般に抗体の細胞質内への放出に3〜4時間を要するとされていることから、本発明のリポソームは細胞質への機能性タンパク質の放出速度に優れていることが確認された。
<実施例6>導入された抗体の特異的結合能の確認
実施例1に記載の方法に従って、本発明のリポソームであるDCG2RIgGにおけるIgGAlexa488を同量のマウス抗核孔複合体(Nuclear Pore Complex、NPC)抗体(IgG)に置換えたリポソームDCG2RNPCを作製した抗NCP抗体の細胞内分布は、免疫染色法を利用してヤギ抗マウスIgGAlexa488によって検出した。
ゼラチンでプレコートした35mmガラス底ディッシュ中のHeLa細胞5×10個/D’MEM培地に、DCG2RNPC(終濃度3.125μg/mL 抗NPC抗体、D’MEM、FBS無し)を添加して、37度で1時間インキュベートした。40U/mLの冷ヘパリン溶液で細胞を洗浄後、FBSを含むD’MEM培地を添加して37度で4時間インキュベートした。細胞を−20度の冷エタノールで7分間固定化し、次いで1%BSA溶液を加えて37度で30分間インキュベートした。その後、10ng/mLのヤギ抗マウスIgGAlexa488/1%BSA(2次抗体)に置換し、37度で1時間インキュベートした。PBSで洗浄後、Hoechst33342(終濃度1μg/mL)を加えて5分間インキュベートし、細胞核を染色した。対照として、抗NPC抗体溶液をそのまま添加したHeLa細胞と、抗NPC抗体を同量の非特異的IgGに置換えたリポソームDCG2RIgGを用いて上記と同じ操作を行なったHeLa細胞とを用意した。共焦点顕微鏡(Nicon A1 Confocal imaging system、ニコン社)を用いて上記の対照を含む3種類のHeLa細胞における抗NPC抗体の細胞内局在性を観察した結果を図10に示す。
図10に示される様に、DCG2RNPCを加えたHeLa細胞では抗NPC抗体と結合する2次抗体の蛍光はHoechst33342で青色に染色される細胞核の輪郭に沿って存在することが確認された。一方、抗NPC抗体を直接加えたHeLa細胞では細胞内に抗NPC抗体と結合する2次抗体の蛍光は全く確認できず、DCG2RIgGを加えたHeLa細胞では抗体の蛍光は細胞内にドット状に確認され、非特異的IgGはエンドソームにトラップされたままであることが示唆された。
以上から、本発明のリポソームは抗体をその特異的結合能を維持したまま細胞内に効率的に送達し、細胞質に拡げることができることが確認された。

Claims (6)

  1. 連続した4〜20のアルギニン残基からなるポリアルギニンペプチドが共有結合している脂質と配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるGALAペプチド及び/又は配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるR−GALAペプチドが共有結合している脂質とを脂質膜の構成脂質として含み、かつ細胞内に送達されるべきタンパク質が外表面に非共有結合してなる脂質膜を有するリポソーム。
  2. 前記ポリアルギニンペプチド、GALAペプチド及び/又はR−GALAペプチド及び細胞内に送達されるべきタンパク質が一の脂質膜の外表面に配置された、請求項1に記載のリポソーム。
  3. 細胞内に送達されるべきタンパク質が細胞内タンパク質に対する特異抗体である、請求項1又は2に記載のリポソーム。
  4. 一枚の脂質膜から構成される一枚膜リポソームである、請求項1〜3の何れかに記載のリポソーム。
  5. 二枚又は三枚の脂質膜から構成される、請求項1〜3の何れかに記載のリポソーム。
  6. 分子量が1kDaを越えるタンパク質を細胞質または細胞内オルガネラに送達するための、請求項1〜5の何れかに記載のリポソーム。
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