JP2006238839A - 核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させた組成物 - Google Patents

核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させた組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させた組成物を提供する。
【解決手段】 対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターと、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターとを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームであり、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターが、非対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は非対象核酸が封入されたリポソームである組成物を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、核酸を細胞内に送達するための組成物に関する。
近年、対象核酸を標的部位に確実に送達するためのベクターの開発が盛んに行われている。例えば、遺伝子治療においては、対象遺伝子を標的細胞へ導入するためのベクターとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス等のウイルス性ベクターが開発されている。しかしながら、ウイルス性ベクターは、大量生産の困難性、抗原性、毒性等の問題があるため、このような問題点が少ない非ウイルス性ベクター(例えば、リポソームベクター)が注目を集めている。
対象核酸の細胞内送達量又は細胞内発現量の調節は、一般的には、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターの投与量を増減させることにより行われている。また、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させるために、様々な機能性分子が導入された非ウイルス性ベクターの開発が盛んに行われている。
例えば、リポソーム膜の外表面に親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール)が導入されたリポソームが開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4参照)。このリポソームによれば、リポソームの血中滞留性を向上させることにより、腫瘍細胞に対するリポソームの指向性を向上させることができる。
また、リポソーム膜の外表面に、細胞膜の表面上に存在する受容体又は抗原と結合できる物質(例えば、トラスフェリン、インシュリン、葉酸、ヒアルロン酸、抗体又はその断片、糖鎖)が導入されたリポソームが開発されている(特許文献3及び特許文献4参照)。このリポソームによれば、リポソームのエンドサイトーシス効率を向上させることができる。
また、リポソーム膜の外表面にステアリル化オクタアルギニンが導入されたリポソームが開発されている(非特許文献1)。このリポソームによれば、リポソームに封入された対象核酸の細胞内送達効率を向上させることができる。
特開平1−249717号公報 特開平2−149512号公報 特開平4−346918号公報 特開2004−10481号公報 Kogure, K.等., 「Journal of Controlled Release」, 2004年, 第98巻, p.317-323
本発明は、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させた組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターを調製又は投与する際に、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率に影響を与える因子を明らかにし、その因子を制御することにより、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、第1に、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターと、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターとを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームであり、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターが、非対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は非対象核酸が封入されたリポソームである組成物を提供する(以下「本発明の第1の組成物」という)。
対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを投与する際、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターとともに非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターを投与することにより、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを単独で投与する場合と比較して、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させることができる。
本発明の第1の組成物において、第2の非ウイルス性ベクターの配合量が、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の2倍以上(核酸量換算)であることが好ましい。これにより、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを単独で投与する場合と比較して、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明は、第2に、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターと、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターとを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームであり、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターが、対象核酸及び非対象核酸のいずれとも複合体形成していないカチオン性脂質、又は対象核酸及び非対象核酸のいずれも封入されていないリポソームである組成物を提供する(以下「本発明の第2の組成物」という)。
対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを投与する際、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターとともに対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターを投与することにより、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを単独で投与する場合と比較して、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させることができる。
本発明の第2の組成物において、第3の非ウイルス性ベクターの配合量が、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の2倍以上(脂質量換算)であることが好ましい。これにより、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターを単独で投与する場合と比較して、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明は、第3に、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体であり、対象核酸とカチオン性脂質との複合体が、対象核酸及びカチオン性脂質を最終濃度がそれぞれ3.2ng/μL以上及び0.02nモル/μL以上となるように混合することにより得られたものである組成物を提供する(以下「本発明の第3の組成物」という)。
3.2ng/μL以上という対象核酸の最終濃度は通常の2倍以上であり、0.02nモル/μL以上というカチオン性脂質の最終濃度は通常の2倍以上である。対象核酸を含む非ウイルス性ベクターとして対象核酸とカチオン性脂質との複合体を調製する際、対象核酸及びカチオン性脂質の最終濃度を上記のような高濃度に調整することにより、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明は、第4に、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターが、対象核酸の凝集体が封入されたリポソームであり、対象核酸の凝集体が、対象核酸及びカチオン性物質を最終濃度がそれぞれ100ng/μL以上及び100ng/μL以上となるように混合することにより得られたものである組成物を提供する(以下「本発明の第4の組成物」という)。
100ng/μL以上という対象核酸の最終濃度は通常の2倍以上であり、100ng/μL以上というカチオン性物質の最終濃度は通常の2倍以上である。対象核酸を含む非ウイルス性ベクターとして対象核酸の凝集体が封入されたリポソームを調製する際、対象核酸及びカチオン性物質の最終濃度を上記のような高濃度に調整して対象核酸の凝集体を調製することにより、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明により、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を向上させた組成物が提供される。
対象核酸は、標的細胞内に送達すべき核酸であり、非対象核酸は、対象核酸以外の核酸である。対象核酸及び非対象核酸は、DNA、RNA、これらの類似体又は誘導体(例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNA等)等から選択することができる。対象核酸及び非対象核酸は、一本鎖及び二本鎖のいずれであってもよいし、線状及び環状のいずれであってもよい。対象核酸が標的細胞内で発揮する作用は特に限定されるものではないが、例えば、対象核酸が構造遺伝子を含むプラスミドベクターである場合には、タンパク質の発現が挙げられ、対象核酸がsiRNA(small interfering RNA)である場合には、RNA干渉(RNAi)が挙げられる。非対象核酸は標的細胞内で特定の作用を発揮してもよいし発揮しなくてもよいが、特定の作用を発揮する場合、発揮される作用は標的細胞に悪影響を与えない作用であることが好ましい。
非ウイルス性ベクターは、核酸を保持した状態で標的細胞内に移行することにより、核酸を標的細胞内に送達できるものであり、カチオン性脂質及びリポソームから選択される。
カチオン性脂質は、核酸と静電的に結合し、核酸との複合体を形成した状態で標的細胞内に移行することにより、核酸を標的細胞内に送達することができる。
カチオン性脂質は、核酸との複合体を形成した状態で細胞内に移行できる限り特に限定されるものではなく、例えば、DODAC(dioctadecyldimethylammonium chloride)、DOTMA(N-(2,3-dioleyloxy)propyl-N,N,N-trimethylammonium)、DDAB(didodecylammonium bromide)、DOTAP(1,2-dioleoyloxy-3-trimethylammonio propane)、DC−Chol(3β-N-(N',N',-dimethyl-aminoethane)-carbamol cholesterol)、DMRIE(1,2-dimyristoyloxypropyl-3-dimethylhydroxyethyl ammonium)、DOSPA(2,3-dioleyloxy-N-[2(sperminecarboxamido)ethyl]-N,N-dimethyl-1-propanaminum trifluoroacetate)等が挙げられる。
核酸とカチオン性脂質とを混合して両者の複合体を形成する際の条件は特に限定されるものではないが、例えば、水、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液等の溶媒中(pHは6.5〜8.0(好ましくは7.0〜7.5))、15〜30℃(好ましくは20〜25℃)の温度で、5〜30分間(好ましくは15〜20分間)、核酸とカチオン性脂質とを混合することにより両者の複合体を形成することができる。
核酸とカチオン性脂質との複合体は、核酸及びカチオン性脂質を最終濃度がそれぞれ3.2ng/μL以上及び0.02nモル/μL以上となるように混合することにより調製することが好ましい。これにより、核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
核酸及びカチオン性脂質の混合液中における核酸の最終濃度は、好ましくは3.2ng/μL以上であるが、さらに好ましくは5ng/μL以上であり、最も好ましくは、8ng/μL以上である。なお、核酸の最終濃度の上限値は特に限定されるものではないが、通常20ng/μL、好ましくは15ng/μL、さらに好ましくは10ng/μLである。なお、核酸の最終濃度が20ng/μLを超えると、カチオン性脂質と複合体形成しない核酸量が増加してしまうため、核酸とカチオン性脂質との複合体を効率的に形成させる点から、核酸の最終濃度は通常20ng/μL以下に設定される。
核酸及びカチオン性脂質の混合液中におけるカチオン性脂質の最終濃度は、好ましくは0.02nモル/μL以上であるが、さらに好ましくは0.05nモル/μL以上であり、最も好ましくは0.1nモル/μL以上である。なお、カチオン性脂質の最終濃度の上限値は特に限定されるものではないが、通常0.5nモル/μL、好ましくは0.3nモル/μL、さらに好ましくは0.2nモル/μLである。なお、カチオン性脂質の最終濃度が0.5nモル/μLを超えると、複合体に含まれるカチオン性脂質量が増加して毒性が生じるおそれがあるため、カチオン性脂質の最終濃度は通常0.5nモル/μL以下に設定される。
対象核酸とカチオン性脂質との複合体は、非対象核酸を含んでいてもよいが、非対象核酸を含まないことが好ましい。
リポソームは、核酸を内部に封入した状態で標的細胞内に移行することにより、核酸を標的細胞内に送達することができる。
リポソームは、脂質二重層膜構造を有する閉鎖小胞である限り、多重膜リポソーム(MLV)であってもよいし、SUV(small unilamellar vesicle)、LUV(large unilamellar vesicle)、GUV(giant unilamellar vesicle)等の一枚膜リポソームであってもよい。
リポソームのサイズは特に限定されるものではないが、通常は直径100〜500nm、好ましくは直径150〜400nm、さらに好ましくは直径150〜250nmである。
リポソーム膜の構成成分としては、例えば、脂質、膜安定化剤、抗酸化剤、荷電物質、膜タンパク質等が挙げられる。
脂質はリポソーム膜の必須の構成成分であり、リポソーム膜に含有される脂質量は、リポソーム膜を構成する総物質量の通常70%(モル比)以上、好ましくは75%(モル比)以上、さらに好ましくは80%(モル比)以上である。なお、リポソーム膜に含有される脂質量の上限値は、リポソーム膜を構成する総物質量の100%である。
脂質としては、例えば、以下に例示するリン脂質、糖脂質、ステロール、飽和又は不飽和の脂肪酸等が挙げられる。
[リン脂質]
ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジグリセロール等)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジエタノールアミン等)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、これらの水素添加物等。
[糖脂質]
グリセロ糖脂質(例えば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド、ガングリオシド)等。
[ステロール]
動物由来のステロール(例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール)、植物由来のステロール(フィトステロール)(例えば、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール)、微生物由来のステロール(例えば、チモステロール、エルゴステロール)等。
[飽和又は不飽和の脂肪酸]
パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸等の炭素数12〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸等。
膜安定化剤は、リポソーム膜を物理的又は化学的に安定させたり、リポソーム膜の流動性を調節したりするために含有させることができる、リポソーム膜の任意の構成成分であり、リポソーム膜に含有される膜安定化剤量は、リポソーム膜を構成する総物質量の通常30%(モル比)以下、好ましくは25%(モル比)以下、さらに好ましくは20%(モル比)以下である。なお、膜安定化剤の含有量の下限値は0である。
膜安定化剤としては、例えば、ステロール、グリセリン又はその脂肪酸エステル等が挙げられる。ステロールとしては、上記と同様の具体例が挙げられ、グリセリンの脂肪酸エステルとしては、例えば、トリオレイン、トリオクタノイン等が挙げられる。
抗酸化剤は、リポソーム膜の酸化を防止するために含有させることができる、リポソーム膜の任意の構成成分であり、リポソーム膜に含有される抗酸化剤量は、リポソーム膜を構成する総物質量の通常30%(モル比)以下、好ましくは25%(モル比)以下、さらに好ましくは20%(モル比)以下である。なお、抗酸化剤の含有量の下限値は0である。
抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン等が挙げられる。
荷電物質は、リポソーム膜に正荷電又は負荷電を付与するために含有させることができる、リポソーム膜の任意の構成成分であり、リポソーム膜に含有される荷電物質量は、リポソーム膜を構成する総物質量の通常70%(モル比)以下、好ましくは60%(モル比)以下、さらに好ましくは50%(モル比)以下である。なお、荷電物質の含有量の下限値は0である。
正荷電を付与する荷電物質としては、例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン等の飽和又は不飽和脂肪族アミン;ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン等の飽和又は不飽和カチオン性合成脂質等が挙げられ、負電荷を付与する荷電物質としては、例えば、ジセチルホスフェート、コレステリルヘミスクシネート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等が挙げられる。
膜タンパク質は、リポソーム膜の構造を維持したり、リポソーム膜に機能性を付与したりするために含有させることができる、リポソーム膜の任意の構成成分であり、リポソーム膜に含有される膜タンパク質量は、リポソーム膜を構成する総物質量の通常10%(モル比)以下、好ましくは5%(モル比)以下、さらに好ましくは2%(モル比)以下である。なお、膜タンパク質の含有量の下限値は0である。
膜タンパク質としては、例えば、膜表在性タンパク質、膜内在性タンパク質等が挙げられる。
リポソームは、例えば、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法等の公知の方法を用いて調製することができる。また、リポソームを所定のポアサイズのフィルターで通過させることにより、一定の粒度分布を持ったリポソームを得ることができる。また、公知の方法に従って、多重膜リポソームから一枚膜リポソームへの転換、一枚膜リポソームから多重膜リポソームへの転換を行うことができる。
水和法によるリポソームの製造例を以下に示す。
脂質等を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得る。この際、有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール等の低級アルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン等のケトン類等のうち、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。次いで、脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することにより、リポソームを調製する。脂質膜を水和する際に使用される水性溶媒に核酸を添加することにより、核酸が内部に封入されたリポソームを調製することができる。
リポソームの内部に封入される核酸は、核酸の凝集体であることが好ましい。これにより、核酸を効率よく標的細胞内に送達することができる。
核酸の凝集体は、核酸とカチオン性物質とを混合し、核酸をカチオン性物質に静電的に結合させ、核酸を凝集化することにより調製することができる。この際、核酸とカチオン性物質との混合比率を調整することにより、全体として正又は負に帯電した核酸の凝集体を調製することができる。
核酸とカチオン性物質とを混合して核酸を凝集化する際の条件は特に限定されるものではないが、例えば、水、HEPES緩衝液等の溶媒中(pHは6.5〜8.0(好ましくは7.0〜7.5))、15〜30℃(好ましくは20〜25℃)の温度で、5〜30分間(好ましくは15〜20分間)、核酸とカチオン性物質とを混合することにより核酸を凝集化することができる。
核酸を凝集化する際に使用できるカチオン性物質は、その分子中にカチオン性基を有する限り特に限定されるものではなく、例えば、カチオン性脂質(例えば、Lipofectamine(Invitrogen社製));カチオン性基を有する高分子;ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンの共重合体等の塩基性アミノ酸の単独重合体若しくは共重合体又はこれらの誘導体(例えばステアリル化誘導体);ポリエチレンイミン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、グルコサミン等のポリカチオン性ポリマー;プロタミン又はその誘導体(例えば硫酸プロタミン)等が挙げられる。カチオン性物質が有するカチオン性基の数は特に限定されるものではないが、好ましくは2個以上である。カチオン性基は正に荷電し得る限り特に限定されるものではなく、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;イミノ基;グアニジノ基等が挙げられる。
核酸の凝集体は、核酸及びカチオン性物質を最終濃度がそれぞれ100ng/μL以上及び100ng/μL以上となるように混合することにより調製することが好ましい。これにより、核酸の細胞内送達効率及び細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。
核酸及びカチオン性物質の混合液中における核酸の最終濃度は、好ましくは100g/μL以上であるが、さらに好ましくは200ng/μL以上であり、最も好ましくは、500ng/μL以上である。なお、核酸の最終濃度の上限値は特に限定されるものではないが、通常2μg/μL、好ましくは1μg/μL、さらに好ましくは800ng/μLである。なお、核酸の最終濃度が2μg/μLを超えると、カチオン性物質と複合体形成しない核酸量が増加してしまうため、核酸とカチオン性物質との複合体を効率的に形成させる点から、核酸の最終濃度は通常2μg/μL以下に設定される。
核酸及びカチオン性物質の混合液中におけるカチオン性物質の最終濃度は、好ましくは100ng/μL以上であるが、さらに好ましくは200ng/μL以上であり、最も好ましくは500ng/μL以上である。なお、カチオン性物質の最終濃度の上限値は特に限定されるものではないが、通常2μg/μL、好ましくは1μg/μL、さらに好ましくは800ng/μLである。なお、カチオン性物質の最終濃度が2μg/μLを超えると、複合体に含まれるカチオン性物質量が増加して毒性が生じるおそれがあるため、カチオン性物質の最終濃度は通常2μg/μL以下に設定される。
核酸の凝集体の粒径は通常50〜300nm、好ましくは50〜200nm、さらに好ましくは50〜100nmである。核酸の凝集体の粒径が上記範囲にあると、核酸の凝集体をリポソームの内部に効率よく封入することができる。
核酸の凝集体が全体として正に帯電する(正帯電性粒子である)場合、ゼータ電位は通常10〜60mV、好ましくは20〜50mV、さらに好ましくは30〜40mVである。ゼータ電位が上記範囲にある場合、核酸の凝集体の存在下で負帯電性脂質膜を水和させることにより、核酸の凝集体が内部に封入されたリポソームを効率よく作製することができる。
核酸の凝集体が全体として負に帯電する場合、ゼータ電位は通常−10〜−60mV、好ましくは−20〜−50mV、さらに好ましくは−30〜−40mVである。ゼータ電位が上記範囲にある場合、核酸の凝集体の存在下で正帯電性脂質膜を水和させることにより、核酸の凝集体が内部に封入されたリポソームを効率よく作製することができる。
なお、ゼータ電位の測定条件は特に限定されるものはないが、温度条件は通常25℃である。
核酸の凝集体が封入されたリポソームは、例えば、水和法により次のように作製することができる。脂質等を有機溶剤に溶解した後、有機溶剤を蒸発除去することにより脂質膜を得る。この際、カチオン性脂質、中性脂質又はアニオン性脂質の含有割合を調節することにより、正帯電性脂質膜又は負帯電性脂質膜を調製することができる。有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール等の低級アルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン等のケトン類等のうち、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。次いで、核酸の凝集体が全体として正に帯電する場合、核酸の凝集体の存在下で負帯電性脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することにより、核酸の凝集体が封入されたリポソームを調製する。核酸の凝集体が全体として負に帯電する場合、核酸の凝集体の存在下で正帯電性脂質膜を水和させ、攪拌又は超音波処理することにより、核酸の凝集体が封入されたリポソームを調製する。
本発明の第1の組成物には、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターとして、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームが配合されるとともに、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターとして、非対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は非対象核酸が封入されたリポソームが配合される。
本発明の第1の組成物において、第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体である場合、第2の非ウイルス性ベクターは、非対象核酸とカチオン性脂質との複合体であることが好ましく、第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸が封入されたリポソームである場合、第2の非ウイルス性ベクターは、非対象核酸が封入されたリポソームであることが好ましい。
本発明の第1の組成物において、第1の非ウイルス性ベクターと第2の非ウイルス性ベクターとの配合割合は特に限定されるものではないが、第2の非ウイルス性ベクターの配合量は、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の通常2倍以上(核酸量換算)、好ましくは4倍以上(核酸量換算)、さらに好ましくは10倍以上(核酸量換算)である。配合割合が上記範囲にあると、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。なお、第2の非ウイルス性ベクターの配合量の上限値は特に限定されるものではないが、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の通常200倍(核酸量換算)、好ましくは100倍(核酸量換算)、さらに好ましくは50倍(核酸量換算)である。
第1の非ウイルス性ベクターの配合量を核酸量に換算する場合、第1の非ウイルス性ベクターに含まれる対象核酸の総重量に換算し、第2の非ウイルス性ベクターの配合量を核酸量に換算する場合、第2の非ウイルス性ベクターに含まれる非対象核酸の総重量に換算する。なお、核酸の総重量は核酸の総電荷量を反映する。
本発明の第2の組成物には、対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターとして、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームが配合されるとともに、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターとして、対象核酸及び非対象核酸のいずれとも複合体形成していないカチオン性脂質、又は対象核酸及び非対象核酸のいずれも封入されていないリポソームが配合される。
本発明の第2の組成物において、第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体である場合、第3の非ウイルス性ベクターは、対象核酸及び非対象核酸のいずれとも複合体形成していないカチオン性脂質であることが好ましく、第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸が封入されたリポソームである場合、第3の非ウイルス性ベクターは、対象核酸及び非対象核酸のいずれも封入されていないリポソームであることが好ましい。
本発明の第2の組成物において、第1の非ウイルス性ベクターと第3の非ウイルス性ベクターとの配合割合は特に限定されるものではないが、第3の非ウイルス性ベクターの配合量は、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の通常2倍(脂質量換算)以上、好ましくは4倍(脂質量換算)以上、さらに好ましくは10倍(脂質量換算)以上である。配合割合が上記範囲にあると、対象核酸の細胞内送達効率又は細胞内発現効率を飛躍的に向上させることができる。なお、第3の非ウイルス性ベクターの配合量の上限値は特に限定されるものではないが、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の通常200倍(脂質量換算)、好ましくは100倍(脂質量換算)、さらに好ましくは50倍(脂質量換算)である。
第1の非ウイルス性ベクターの配合量を脂質量に換算する場合、第1の非ウイルス性ベクターに含まれる脂質の総モル量に換算し、第3の非ウイルス性ベクターの配合量を脂質量に換算する場合、第3の非ウイルス性ベクターに含まれる脂質の総モル量に換算する。なお、脂質の総モル量は脂質の総電荷量を反映する。
本発明の第3の組成物には、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターとして、対象核酸及びカチオン性脂質を最終濃度がそれぞれ3.2ng/μL以上及び0.02nモル/μL以上となるように混合することにより得られる対象核酸とカチオン性脂質との複合体が配合される。
本発明の第3の組成物において、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターの配合量は特に限定されるものではなく、対象核酸の種類等に応じて適宜調節することができる。本発明の第3の組成物には、非対象核酸を含む非ウイルス性ベクター、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない非ウイルス性ベクター等が配合されていてもよい。
本発明の第4の組成物には、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターとして、対象核酸及びカチオン性物質を最終濃度がそれぞれ100ng/μL以上及び100ng/μL以上となるように混合することにより得られる対象核酸の凝集体が封入されたリポソームが配合される。
本発明の第4の組成物において、対象核酸を含む非ウイルス性ベクターの配合量は特に限定されるものではなく、対象核酸の種類等に応じて適宜調節することができる。本発明の第4の組成物には、非対象核酸を含む非ウイルス性ベクター、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない非ウイルス性ベクター等が配合されていてもよい。
対象核酸を送達しようとする細胞(標的細胞)は、生物体から分離された細胞であってもよいし、生物体を構成する細胞であってもよい。標的細胞が由来する生物種は特に限定されるものではなく、例えば、動物、植物、微生物等が挙げられるが、動物が好ましく、哺乳動物がさらに好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられる。標的細胞の種類は特に限定されるものではなく、例えば、体細胞、生殖細胞、幹細胞又はこれらの培養細胞等が挙げられる。
本発明の第1〜4の組成物の剤形は特に限定されるものではないが、例えば、非ウイルス性ベクターの分散液又はその乾燥物が挙げられる。分散溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を使用することができる。分散液には、例えば、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤、水和促進剤等の添加剤を添加して使用してもよい。乾燥物としては、例えば、凍結乾燥物、噴霧乾燥物等が挙げられる。乾燥物は、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を加え、非ウイルス性ベクターの分散液として使用することができる。
本発明の第1〜4の組成物をin vivoで使用する場合、本発明の第1〜4の組成物の投与経路としては、例えば、静脈、腹腔内、皮下、経鼻等の非経口投与が挙げられ、投与量及び投与回数は、本発明の第1〜4の組成物に含有される対象核酸の種類、量等に応じて適宜調節することができる。
〔実施例1〕
(1)プラスミドDNAとカチオン性脂質との複合体の調製
市販のカチオン性脂質(リポフェクトアミン,Invitrogene社製)溶液1μL(カチオン性脂質濃度:2.4nモル/μL)とプラスミドDNA0.4μgとを無血清培地(ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM))250μL又は50μLに添加して混合することにより(カチオン性脂質の最終濃度:0.01nモル/μL又は0.05nモル/μL,プラスミドDNAの最終濃度:1.6ng/μL又は8ng/μL)、DNAとカチオン性脂質との複合体を調製した。なお、プラスミドDNAとしては、ルシフェラーゼ遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有する全長8454bpのプラスミド(CMVプロモーターを有するpQBIプラスミドにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだもの)を使用した。
以下、カチオン性脂質溶液及びプラスミドDNA溶液を無血清培地250μLに添加して調製した複合体を「複合体1」といい、無血清培地50μLに添加して調製した複合体を「複合体2」という。
(2)トランスフェクション
NIH3T3細胞(4×10個)に、0.02μgDNA量相当の複合体1又は2を添加し、無血清培地(DMEM)0.25mL中、37℃で3時間培養した後、血清含有培地1mLを添加し、37℃で21時間培養した。その後、細胞を回収し、ルシフェラーゼ発現活性(RLU/mgタンパク質)を測定した。ルシフェラーゼ発現活性は、細胞溶解液にルシフェラーゼ活性測定試薬(luciferase assay system, Promega社製)を加え、ルミノメーターにより化学発光量を計測することにより測定した。
測定結果を図1に示す。
図1に示すように、複合体2を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、複合体1を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約40倍であった。
〔実施例2〕
(1)プラスミドDNA封入リポソームの調製
ポリ−L−リジン溶液0.125mL(ポリ−L−リジン濃度:0.1mg/mL,溶媒:HEPES緩衝液)とプラスミドDNA溶液0.125mL(プラスミドDNA濃度:0.1mg/mL,溶媒:HEPES緩衝液)とを混合することにより(ポリ−L−リジンの最終濃度:50ng/μL,プラスミドDNAの最終濃度:50ng/μL)、ポリ−L−リジンとプラスミドDNAとを静電的に相互作用させ、凝集化プラスミドDNAを調製した(粒径:91.6nm,ゼータ電位:44.2mV)。こうして調製された凝集化プラスミドDNAを以下「凝集化プラスミドDNA1」という。
ポリ−L−リジン溶液0.125mL(ポリ−L−リジン濃度:0.4mg/mL,溶媒:HEPES緩衝液)とプラスミドDNA溶液0.125mL(プラスミドDNA濃度:0.4mg/mL,溶媒:HEPES緩衝液)とを混合することにより(ポリ−L−リジンの最終濃度:200ng/μL,プラスミドDNAの最終濃度:200ng/μL)、ポリ−L−リジンとプラスミドDNAとを静電的に相互作用させ、凝集化プラスミドDNAを調製した(粒径:124.3nm,ゼータ電位:41.8mV)。こうして調製された凝集化プラスミドDNAを以下「凝集化プラスミドDNA2」という。
なお、プラスミドDNAとしては、ルシフェラーゼ遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有する全長8454bpのプラスミド(CMVプロモーターを有するpQBIプラスミドにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだもの)を使用した。
負電荷を有する脂質を含む脂質混合物(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン:コレステロールコハク酸=9:2(モル比))をクロロホルムに溶解した後、クロロホルムを蒸発除去することにより脂質膜を得た。負電荷を有する脂質を含む脂質薄膜(137.5nモル)に、凝縮化プラスミドDNA懸濁液0.25mLを添加して水和することにより、脂質膜表面に凝縮化プラスミドDNAを静電的に結合させ、穏やかな超音波で処理することにより、凝縮化プラスミドDNAを脂質膜で被覆し、プラスミドDNA封入リポソームを調製した。
プラスミドDNA封入リポソーム懸濁液0.25mLに、ステアリル化オクタアルギニン溶液12μL(ステアリル化オクタアルギニン濃度:1mg/mL,溶媒:水)を添加し、室温で一定時間インキュベートすることにより、リポソーム膜表面にステアリル化オクタアルギニンを分配させた(ステアリル化オクタアルギニンの分配量:脂質量の5モル%)。
以下、凝集化プラスミドDNA1が封入されたリポソームを「リポソーム1」といい、凝集化プラスミドDNA2が封入されたリポソームを「リポソーム2」という。
(2)トランスフェクション
NIH3T3細胞(4×10個)に、0.04μgDNA量相当のリポソーム1又は2を添加し、無血清培地(DMEM)0.25mL中、37℃で3時間培養した後、血清含有培地1mLを添加し、37℃で21時間培養した。その後、細胞を回収し、ルシフェラーゼ発現活性(RLU/mgタンパク質)を測定した。ルシフェラーゼ発現活性は、細胞溶解液にルシフェラーゼ活性測定試薬(luciferase assay system, Promega社製)を加え、ルミノメーターにより化学発光量を計測することにより測定した。
測定結果を図2に示す。
図2に示すように、リポソーム2を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、リポソーム1を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約2.5倍であった。
〔実施例3〕
(1)リポソームの調製
プラスミドDNAとして、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有するプラスミド(CMVプロモーターを有するプラスミドpIRES2−EGFP(Clontech社製)を使用した点を除き、実施例2のリポソーム1と同様にして、プラスミドDNA封入リポソームを調製した。こうして調製されたプラスミドDNA封入リポソームを以下「リポソーム3」という。
プラスミドDNAを使用しない点を除き、実施例2のリポソーム1と同様にして、プラスミドDNA非封入リポソーム(空のリポソーム)を調製した。こうして調製されたプラスミド非封入リポソームを「リポソーム4」という。
(2)トランスフェクション
NIH3T3細胞(4×10個)に、0.04μgDNA量相当のリポソーム1を添加するとともに、リポソーム1の9倍量(DNA量換算)のリポソーム3又はリポソーム1の9倍量(脂質量換算)のリポソーム4を添加し、無血清培地(DMEM)0.25mL中、37℃で3時間培養した後、血清含有培地1mLを添加し、37℃で21時間培養した。その後、細胞を回収し、ルシフェラーゼ発現活性(RLU/mgタンパク質)を測定した。ルシフェラーゼ発現活性は、細胞溶解液にルシフェラーゼ活性測定試薬(luciferase assay system, Promega社製)を加え、ルミノメーターにより化学発光量を計測することにより測定した。
測定結果を図3に示す。
図3に示すように、リポソーム1とともにリポソーム1の9倍量(DNA換算)のリポソーム3を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、リポソーム1を単独で添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約40倍であった。また、リポソーム1とともにリポソーム1の9倍量(脂質換算)のリポソーム4を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、リポソーム1を単独で添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約6倍であった。
〔実施例4〕
(1)リポソームの調製
脂質混合物として、カチオン性脂質(DOTAP)及び膜融合性中性脂質(DOPE)を含む脂質混合物(DOTAP:DOPE=1:1(モル比))を使用した点、及びプラスミドDNAとして、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有するプラスミド(CMVプロモーターを有するプラスミドpIRES2−EGFP(Clontech社製)を使用した点を除き、実施例2のリポソーム1と同様にしてプラスミドDNA封入リポソームを調製した。こうして調製されたプラスミドDNA封入リポソームを以下「リポソーム5」という。
脂質混合物として、カチオン性脂質(DOTAP)及び膜融合性中性脂質(DOPE)を含む脂質混合物(DOTAP:DOPE=1:1(モル比))を使用した点、及びプラスミドDNAを使用しない点を除き、実施例2のリポソーム1と同様にして、プラスミドDNA非封入リポソーム(空のリポソーム)を調製した。こうして調製されたプラスミド非封入リポソームを「リポソーム6」という。
(2)トランスフェクション
NIH3T3細胞(4×10個)に、0.04μgDNA量相当のリポソーム1を添加するとともに、リポソーム1の4倍量(DNA量換算)のリポソーム5又はリポソーム1の4倍量(脂質量換算)のリポソーム6を添加し、無血清培地(DMEM)0.25mL中、37℃で3時間培養した後、血清含有培地1mLを添加し、37℃で21時間培養した。その後、細胞を回収し、ルシフェラーゼ発現活性(RLU/mgタンパク質)を測定した。ルシフェラーゼ発現活性は、細胞溶解液にルシフェラーゼ活性測定試薬(luciferase assay system, Promega社製)を加え、ルミノメーターにより化学発光量を計測することにより測定した。
測定結果を図4に示す。
図4に示すように、リポソーム1とともにリポソーム1の4倍量(DNA量換算)のリポソーム5を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、リポソーム1を単独で添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約117倍であった。また、リポソーム1とともにリポソーム1の4倍量(脂質量換算)のリポソーム6を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性は、リポソーム1を単独で添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の約1.2倍であった。
複合体1又は2を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の測定結果を示す図である。 リポソーム1又は2を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の測定結果を示す図である。 リポソーム1を単独で添加した場合、リポソーム1とともにリポソーム1の9倍量(DNA換算)のリポソーム3を添加した場合、及びリポソーム1とともにリポソーム1の9倍量(脂質換算)のリポソーム4を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の測定結果を示す図である。 リポソーム1を単独で添加した場合、リポソーム1とともにリポソーム1の4倍量(DNA量換算)のリポソーム5を添加した場合、及びリポソーム1とともにリポソーム1の4倍量(脂質量換算)のリポソーム6を添加した場合のルシフェラーゼ発現活性の測定結果を示す図である。

Claims (6)

  1. 対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターと、非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターとを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、
    対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームであり、
    非対象核酸を含む第2の非ウイルス性ベクターが、非対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は非対象核酸が封入されたリポソームである組成物。
  2. 第2の非ウイルス性ベクターの配合量が、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の2倍以上(核酸量換算)である請求項1記載の組成物。
  3. 対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターと、対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターとを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、
    対象核酸を含む第1の非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体、又は対象核酸が封入されたリポソームであり、
    対象核酸及び非対象核酸のいずれも含まない第3の非ウイルス性ベクターが、対象核酸及び非対象核酸のいずれとも複合体形成していないカチオン性脂質、又は対象核酸及び非対象核酸のいずれも封入されていないリポソームである組成物。
  4. 第3の非ウイルス性ベクターの配合量が、第1の非ウイルス性ベクターの配合量の2倍以上(脂質量換算)である請求項3記載の組成物。
  5. 対象核酸を含む非ウイルス性ベクターを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、
    対象核酸を含む非ウイルス性ベクターが、対象核酸とカチオン性脂質との複合体であり、
    対象核酸とカチオン性脂質との複合体が、対象核酸及びカチオン性脂質を最終濃度がそれぞれ3.2ng/μL以上及び0.02nモル/μL以上となるように混合することにより得られたものである組成物。
  6. 対象核酸を含む非ウイルス性ベクターを配合した、対象核酸を細胞内に送達するための組成物であって、
    対象核酸を含む非ウイルス性ベクターが、対象核酸の凝集体が封入されたリポソームであり、
    対象核酸の凝集体が、対象核酸及びカチオン性物質を最終濃度がそれぞれ100ng/μL以上及び100ng/μL以上となるように混合することにより得られたものである組成物。
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