JPWO2007102481A1 - 目的物質の核内送達用ベクター - Google Patents
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Abstract
目的物質の核内送達用ベクター及びそれを含有する組成物を提供する。脂質膜2aと、脂質膜2aの内側に封入された目的物質3とを備えた1枚膜リポソーム1aであって、脂質膜2aの表面に、糖と連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドとが導入された1枚膜リポソーム1aは、脂質膜2aの表面に存在するペプチドを介して細胞外から細胞内に移行し、細胞内に移行した後、脂質膜2aの表面に存在する糖が核膜孔複合体へ結合し、核膜孔複合体に結合した糖が核内へ引き抜かれることにより、脂質膜2aが崩壊し、脂質膜2aの内側に封入された目的物質3は核膜孔を通じて核内に放出される。
Description
本発明は、目的物質の核内送達用ベクター等に関する。
近年、薬物、核酸等の目的物質を標的部位に確実に送達するためのベクターの開発が盛んに行われている。例えば、遺伝子治療においては、目的の遺伝子を標的細胞へ導入するためのベクターとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス等のウイルスベクターが開発されている。しかしながら、ウイルスベクターは、大量生産の困難性、抗原性、毒性等の問題があるため、このような問題点が少ないリポソームベクターが注目を集めている。リポソームベクターは、その表面に抗体、タンパク質、糖鎖等の機能性分子を導入することにより、標的部位に対する指向性を向上させることができるという利点も有している。
例えば、リポソーム膜の外表面に親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール)が導入されたリポソームが開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4)。このリポソームによれば、リポソームの血中滞留性を向上させることにより、腫瘍細胞に対するリポソームの指向性を向上させることができる。
また、リポソーム膜の外表面に、細胞膜の表面上に存在する受容体又は抗原と結合できる物質(例えば、トラスフェリン、インシュリン、葉酸、ヒアルロン酸、抗体又はその断片、糖鎖)が導入されたリポソームが開発されている(特許文献3及び特許文献4)。このリポソームによれば、リポソームのエンドサイトーシス効率を向上させることができる。 また、リポソーム膜の外表面にステアリル化オクタアルギニンが導入されたリポソームが開発されている(特許文献5,非特許文献1)。このリポソームによれば、リポソームに封入された目的物質の細胞内送達効率を向上させることができる。
特開平1−249717号公報
特開平2−149512号公報
特開平4−346918号公報
特開2004−10481号公報
国際公開WO2005/032593号パンフレット
Kogure, K.等., Journal of Controlled Release, 2004年, 第98巻, p.317-323
本発明は、目的物質の核内送達用ベクター及びそれを含有する組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のベクター及び組成物を提供する。
(1)糖を表面に有する脂質膜を備えたリポソームからなる目的物質の核内送達用ベクター。
(2)前記糖が親水性ポリマーを介して前記脂質膜の表面に結合している前記(1)記載のベクター。
(3)前記糖が1〜20個の糖残基からなる前記(1)又は(2)記載のベクター。
(4)前記糖が単糖である前記(1)又は(2)記載のベクター。
(5)前記糖がアミノ糖である前記(1)又は(2)記載のベクター。
(6)前記糖の量が、前記脂質膜に含有される総脂質量の0.5〜65%(モル比)である前記(1)〜(5)のいずれかに記載のベクター。
(7)前記脂質膜に含有される膜安定化剤の量が、前記脂質膜構成成分の総量の0〜60%(モル比)である前記(1)〜(6)のいずれかに記載のベクター。
(8)核内へ送達しようとする目的物質が前記リポソームの内部に封入されている前記(1)〜(7)のいずれかに記載のベクター。
(9)前記(8)記載のベクターを含有する目的物質の核内送達用組成物。
(10)前記(8)記載のベクターを含有する医薬組成物であって、核内に送達されることにより所定の疾患に対する治療効果及び/又は予防効果を発揮し得る目的物質が、前記リポソームの内部に封入されている前記医薬組成物。
(11)前記(8)記載のベクターを含有する遺伝子発現用組成物であって、核内で発現させるべき遺伝子が前記リポソームの内部に封入されている前記遺伝子発現用組成物。
本発明により、目的物質の核内送達用ベクター及びそれを含有する組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、「糖を表面に有する脂質膜」を以下「糖修飾脂質膜」という場合がある。
リポソームは、糖修飾脂質膜を有する閉鎖小胞である限り、多重膜リポソーム(MLV)であってもよいし、SUV(small unilamellar vesicle)、LUV(large unilamellar vesicle)、GUV(giant unilamellar vesicle)等の一枚膜リポソームであってもよい。
リポソームが多重膜リポソームである場合、リポソームは糖修飾脂質膜の内側及び/又は外側に1又は複数の脂質膜を備える。糖修飾脂質膜の内側及び/又は外側に位置する脂質膜は、当該脂質膜に期待される機能(例えば、細胞膜融合能、エンドソーム膜融合能等)が保持される限り、糖を表面に有していてもよいし、糖を表面に有していなくてもよい。リポソームが一枚膜リポソームである場合、リポソームは糖修飾脂質膜のみを備える。
リポソームのサイズは特に限定されるものではないが、通常は直径30〜700nm、好ましくは直径30〜500nm、さらに好ましくは直径30〜300nmである。
リポソームが備える脂質膜(糖修飾脂質膜であるか否かを問わない)を構成する成分は、脂質二重層の形成を阻害しない限り特に限定されるものではなく、例えば、脂質、膜安定化剤、抗酸化剤、荷電物質等が挙げられる。
脂質は脂質膜の必須成分であり、その含有量は脂質膜構成成分の総量の通常70〜100%(モル比)、好ましくは80〜100%(モル比)、さらに好ましくは90〜100%(モル比)である。
脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン(例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等)、ホスファチジルグリセロール(例えば、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジグリセロール等)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジエタノールアミン等)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、これらの水素添加物等のリン脂質;グリセロ糖脂質(例えば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、グリコシルジグリセリド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド、ガングリオシド)等の糖脂質;動物由来のステロール(例えば、コレステロール、コレステロールコハク酸、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール)、植物由来のステロール(フィトステロール)(例えば、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール)、微生物由来のステロール(例えば、チモステロール、エルゴステロール)等のステロール;パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸等の飽和又は不飽和の脂肪酸(炭素数は例えば12〜20)が挙げられる。
膜安定化剤は、脂質膜を物理的又は化学的に安定させたり、脂質膜の流動性を調節したりするために添加できる脂質膜の任意成分であり、その含有量は脂質膜構成成分の総量の通常0〜70%(モル比)、好ましくは0〜30%(モル比)、さらに好ましくは0〜10%(モル比)である。特に糖修飾脂質膜においては、膜安定化剤の含有量が脂質膜構成成分の総量の0〜60%(モル比)であることが好ましく、0〜30%(モル比)であることがさらに好ましく、0〜10%(モル比)であることが最も好ましい。糖修飾脂質膜における膜安定化剤の含有量が上記範囲にあると、核膜孔複合体に結合した糖の核内への引き抜きによる糖修飾脂質膜の崩壊性を向上させることができるので、リポソームの内部に封入された目的物質の核膜孔を通じた核内送達効率を向上させることができる。
膜安定化剤としては、例えば、ステロール、グリセリン又はその脂肪酸エステル等が挙げられる。ステロールとしては、上記と同様の具体例が挙げられ、グリセリンの脂肪酸エステルとしては、例えば、トリオレイン、トリオクタノイン等が挙げられる。
抗酸化剤は、脂質膜の酸化を防止するために添加できる脂質膜の任意成分であり、その含有量は脂質膜構成成分の総量の通常0〜30%(モル比)、好ましくは0〜20%(モル比)、さらに好ましくは0〜10%(モル比)である。
抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン等が挙げられる。
荷電物質は、脂質膜に正荷電又は負荷電を付与するために添加できる脂質膜の任意成分であり、その含有量は脂質膜構成成分の総量の通常0〜30%(モル比)、好ましくは0〜20%(モル比)、さらに好ましくは0〜10%(モル比)である。
正荷電を付与する荷電物質としては、例えば、ステアリルアミン、オレイルアミン等の飽和又は不飽和脂肪族アミン;ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン等の飽和又は不飽和カチオン性合成脂質等が挙げられ、負電荷を付与する荷電物質としては、例えば、ジセチルホスフェート、コレステリルヘミスクシネート、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等が挙げられる。
脂質膜(糖修飾脂質膜であるか否かを問わない)を構成する脂質として、膜融合性機能、血中滞留性機能、温度変化感受性機能、pH感受性機能等を有する脂質又は脂質誘導体を使用してもよい。これにより、上記機能のうち1種又は2種以上の機能をリポソームに付与することができる。リポソームに膜融合性機能を付与することにより、リポソームは細胞膜、エンドソーム膜等と膜融合可能となる。リポソームに血中滞留性機能を付与することにより、リポソームの血液中での滞留性を向上させ、肝臓、脾臓等の細網内皮系組織による捕捉率を低下させることができる。リポソームに温度変化感受性機能及び/又はpH感受性機能を付与することにより、リポソームに封入された目的物質の放出性を高めることができる。
膜融合性機能を付与することができる脂質(膜融合性脂質)としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン等の中性脂質;コレステロールコハク酸、カルジオリピン等のアニオン性脂質(酸性脂質)が挙げられる。リポソームが多重膜リポソームであり、当該リポソームが細胞膜、エンドソーム膜等と融合させることを目的とした脂質膜を糖修飾脂質膜の他に備える場合、当該脂質膜は膜融合性脂質を含有することができる。脂質膜に含有される膜融合性脂質は、細胞膜、エンドソーム膜と融合可能である限り特に限定されるものではない。脂質膜に含有される膜融合性脂質量は特に限定されるものではないが、脂質膜に含有される総脂質量の通常40%(モル比)以上、好ましくは70%(モル比)以上、さらに好ましくは90%(モル比)以上である。脂質膜に含有される膜融合性脂質量を上記範囲とすることにより、細胞膜、エンドソーム膜等に対する十分な融合能を脂質膜に付与することができる。なお、脂質膜に含有される膜融合性脂質量の上限値は、脂質膜に含有される総脂質量の100%である。
血中滞留性機能を付与することができる血中滞留性脂質誘導体としては、例えば、グリコフォリン、ガングリオシドGM1、ホスファチジルイノシトール、ガングリオシドGM3、グルクロン酸誘導体、グルタミン酸誘導体、ポリグリセリンリン脂質誘導体、N−{カルボニル-メトキシポリエチレングリコール−2000}−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル-メトキシポリエチレングリコール−5000}−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−750}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン、N−{カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−5000}−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミン等のポリエチレングリコール誘導体等が挙げられる。
温度変化感受性機能を付与することができる温度変化感受性脂質誘導体としては、例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン等が挙げられ、pH感受性機能を付与することができるpH感受性脂質誘導体としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
糖修飾脂質膜は、1種類の糖を表面に有していてもよいし、2種類以上の糖を表面に有していてもよい。糖修飾脂質膜が表面に有する糖の量は、糖修飾脂質膜に含有される総脂質量の通常0.5〜65%(モル比)、好ましくは1〜60%(モル比)、さらに好ましくは5〜50%(モル比)である。糖修飾脂質膜が表面に有する糖の量を上記範囲とすることにより、糖修飾脂質膜の表面に存在する糖の核膜孔複合体への結合、及び核膜孔複合体に結合した糖の核内への引き抜きによる糖修飾脂質膜の崩壊を効率よく生じさせることができるので、リポソームの内部に封入された目的物質の核膜孔を通じた核内送達効率を向上させることができる。
糖修飾脂質膜が表面に有する糖を構成する糖残基の総数は特に限定されるものではないが、通常1〜20個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1個である。糖の種類は特に限定されるものではなく、例えば、単糖、アミノ糖、デオキシ糖、ニ糖、三糖、オリゴ糖等が挙げられるが、これらのうち単糖、アミノ糖が好ましい。
単糖としては、例えば、マンノース、ガラクトース、グルコース、フコース、フルクトース等が挙げられるが、これらのうちマンノース、ガラクトース、グルコース又はフコースが好ましい。糖がマンノースである場合、糖修飾脂質膜が表面に有するマンノースの量は、糖修飾脂質膜に含有される総脂質量の5〜60%(モル比)であることが好ましく、25〜50%(モル比)であることがさらに好ましい。糖がガラクトースある場合、糖修飾脂質膜が表面に有するガラクトースの量は、糖修飾脂質膜に含有される総脂質量の1〜35%(モル比)であることが好ましく、5〜15%(モル比)であることがさらに好ましい。糖修飾脂質膜が表面に有するマンノース又はガラクトースの量を上記範囲とすることにより、糖修飾脂質膜の表面に存在する糖の核膜孔複合体への結合、及び核膜孔複合体に結合した糖の核内への引き抜きによる糖修飾脂質膜の崩壊を効率よく生じさせることができるので、リポソームの内部に封入された目的物質の核膜孔を通じた核内送達効率を向上させることができる。
アミノ糖としては、例えば、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルマンノサミン等が挙げられるが、これらのうちN−アセチルグルコサミンが好ましい。糖がN−アセチルグルコサミンある場合、糖修飾脂質膜が表面に有するN−アセチルグルコサミンの量は、糖修飾脂質膜に含有される総脂質量の1〜30%(モル比)であることが好ましく、5〜15%(モル比)であることがさらに好ましい。糖修飾脂質膜が表面に有するN−アセチルグルコサミンの量を上記範囲とすることにより、糖修飾脂質膜の表面に存在する糖の核膜孔複合体への結合、及び核膜孔複合体に結合した糖の核内への引き抜きによる糖修飾脂質膜の崩壊を効率よく生じさせることができるので、リポソームの内部に封入された目的物質の核膜孔を通じた核内送達効率を向上させることができる。
糖修飾脂質膜における糖の存在態様は、糖が脂質膜の表面から露出し得る限り特に限定されるものではなく、糖は脂質膜構成成分に直接結合することにより脂質膜の表面に存在していてもよいし、親水性ポリマーを介して(すなわち糖が導入された親水性ポリマーが脂質膜構成成分に結合することにより)脂質膜の表面に存在していてもよいが、親水性ポリマーを介して脂質膜の表面に存在していることが好ましい。これにより、リポソームの単分散性を向上させることができる。
脂質膜構成成分に直接結合する糖と、親水性ポリマーに導入された糖とが併存する場合、両者の比率は適宜調節することができるが、親水性ポリマーに導入された糖の割合は、糖修飾脂質膜が表面に有する糖の総量の通常1%(モル比)以上、好ましくは5%(モル比)以上、さらに好ましくは10%(モル比)以上である。親水性ポリマーに導入された糖の割合を上記範囲とすることにより、リポソームの単分散性を向上させることができる。
糖が親水性ポリマーを介して脂質膜の表面に存在している場合、糖は親水性ポリマーの主鎖の末端に結合していてもよいし、親水性ポリマーの側鎖の末端に結合していてもよいが、親水性ポリマーの主鎖の末端に結合していることが好ましい。また、親水性ポリマーの主鎖の末端が脂質膜構成成分に結合していてもよいし、親水性ポリマーの側鎖の末端が脂質膜構成成分に結合していてもよいが、親水性ポリマーの主鎖の末端が脂質膜構成成分に結合していることが好ましい。すなわち、糖が親水性ポリマーの主鎖の一端に導入されており、親水性ポリマーの主鎖の他端が脂質膜構成成分に結合していることが好ましい。
糖が直接又は親水性ポリマーを介して結合する脂質膜構成成分は特に限定されるものではないが、脂質又は膜安定化剤であることが好ましく、リン脂質、ステロール又は脂肪酸であることがさらに好ましい。糖が直接又は親水性ポリマーを介して結合する脂質膜構成成分が脂質又は膜安定化剤、特にリン脂質、ステロール又は脂肪酸であると、糖を極めて安定かつ簡便に脂質膜表面に提示することができるとともに、脂質膜表面に提示される糖の密度をコントロールしやすい。
糖が導入される親水性ポリマーとしては、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等)、デキストラン、プルラン、フィコール、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸交互共重合体、ジビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体、アミロース、アミロペクチン、キトサン、マンナン、シクロデキストリン、ペクチン、カラギーナン等が挙げられるが、これらのうち、ポリアルキレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。
親水性ポリマーがポリアルキレングリコールである場合、その分子量は、通常500〜5000、好ましくは1000〜3000、さらに好ましくは2000〜3000である。
親水性ポリマーには、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;ヒドロキシル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等の置換基が導入されていてもよい。
脂質膜構成成分と親水性ポリマーとは、脂質膜構成成分が有する官能基(脂質膜構成成分に人為的に導入された官能基を含む。)と、親水性ポリマーが有する官能基(親水性ポリマーに人為的に導入された官能基を含む。)との反応により形成された共有結合を介して結合することができる。共有結合を形成できる官能基の組み合わせとしては、例えば、アミノ基/カルボキシル基、アミノ基/ハロゲン化アシル基、アミノ基/N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、アミノ基/ベンゾトリアゾールカーボネート基、アミノ基/アルデヒド基、チオール基/マレイミド基、チオール基/ビニルスルホン基、水酸基/カルボキシル基等が挙げられ、これらの官能基同士の反応は公知の方法に従って行うことができる。
親水性ポリマーと糖とは、親水性ポリマーが有する官能基(親水性ポリマーに人為的に導入された官能基を含む。)と、糖が有する官能基(糖に人為的に導入された官能基を含む。)との反応により形成された共有結合を介して結合することができる。共有結合を形成できる官能基の組み合わせとしては、例えば、アミノ基同士、アミノ基と水酸基、アミノ基とチオール基等が挙げられ、これらの官能基同士の反応は公知の方法に従って行うことができる。
糖と脂質膜構成成分とは、糖が有する官能基(糖に人為的に導入された官能基を含む。)と、脂質膜構成成分が有する官能基(脂質膜構成成分に人為的に導入された官能基を含む。)との反応により形成された共有結合を介して結合することができる。共有結合を形成できる官能基の組み合わせとしては、例えば、アミノ基同士、アミノ基と水酸基、アミノ基とチオール基等が挙げられ、これらの官能基同士の反応は公知の方法に従って行うことができる。
糖が導入された親水性ポリマーは、例えば、次式:P−X−S[式中、Pは親水性ポリマーの残基を表し、Xは直接結合又は連結基を表し、Sは糖残基を表す。]で表すことができる。なお、Xで表される連結基としては、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基;−O−;−S−;−NH−;−COO−;−SS−;−NHCO−;−NHCONH−;−SO−等が挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子を有していてもよい2価の炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;−SCH2CH2COO−;−OCH2CH2COO−;−NHCH2CH2COO−;−SCH2CH2COOCH2−;−SOCH2CH2COO−等が挙げられる。
糖は、いずれの炭素が有する置換基を介して脂質膜構成成分又は親水性ポリマーと結合していてもよいが、1位の炭素が有する置換基を介して脂質膜構成成分又は親水性ポリマーと結合することが好ましい。
リポソームの内部には、核内に送達しようとする目的物質を封入することができる。目的物質の種類は特に限定されるものではなく、例えば、薬物、核酸、ペプチド、タンパク質、糖又はこれらの複合体等が挙げられ、診断、治療、予防等の目的に応じて適宜選択することができる。目的物質が疾病の診断、治療、予防等を目的とした物質である場合、目的物質を保持したリポソームは、医薬組成物の構成成分として使用することができる。なお、「核酸」には、DNA又はRNAに加え、これらの類似体又は誘導体(例えば、ペプチド核酸(PNA)、ホスホロチオエートDNA等)が含まれる。また、核酸は一本鎖又は二本鎖のいずれであってもよいし、線状又は環状のいずれであってもよい。
目的物質は、目的物質の凝集体としてリポソームの内部に封入されていることが好ましい。これにより、目的物質を効率よく核内に送達することができる。目的物質の凝集体は、目的物質のみから構成されていてもよいし、目的物質以外の物質(例えば、目的物質を保持する担体)を含んでいてもよい。
目的物質が正に帯電している場合、例えば、目的物質とアニオン性物質とを静電的に結合させて複合体化することにより、目的物質の凝集体を調製することができる。目的物質が負に帯電している場合、例えば、目的物質とカチオン性物質とを静電的に結合させて複合体化することにより、目的物質の凝集体を調製することができる。目的物質が負及び正のいずれにも帯電していない場合、目的物質と所定の担体とを適当な様式(例えば、物理的吸着、疎水結合、化学結合等)で結合させて複合体化することにより、目的物質の凝集体を調製することができる。複合体化の際、目的物質とカチオン性物質又はアニオン性物質との混合比率を調整することにより、全体として正又は負に帯電する目的物質の凝集体を調製することができる。
目的物質が核酸である場合、核酸とカチオン性物質と静電的に結合させて複合体化することにより、核酸の凝集体を調製することができる。複合体化の際、核酸とカチオン性物質との混合比率を調整することにより、全体として正又は負に帯電する核酸の凝集体を調製することができる。
目的物質の凝集体を調製する際に使用できるカチオン性物質は、分子中にカチオン性基を有する物質である限り特に限定されるものではない。カチオン性物質としては、例えば、カチオン性脂質(例えば、Lipofectamine(Invitrogen社製));カチオン性基を有する高分子;ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンの共重合体等の塩基性アミノ酸の単独重合体若しくは共重合体又はこれらの誘導体(例えばステアリル化誘導体);ポリエチレンイミン、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、グルコサミン等のポリカチオン性ポリマー;プロタミン又はその誘導体(例えば硫酸プロタミン);キトサン等が挙げられるが、これらのうち特にステアリル化ポリアルギニンが好ましい。ポリアルギニンを構成するアルギニン残基の数は通常4〜20個であり、好ましくは6〜12個、さらに好ましくは7〜10個である。カチオン性物質が有するカチオン性基の数は特に限定されるものではないが、好ましくは2個以上である。カチオン性基は正に荷電し得る限り特に限定されるものではなく、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;イミノ基;グアニジノ基等が挙げられる。
目的物質の凝集体を調製する際に使用できるアニオン性物質は、分子中にアニオン性基を有する物質である限り特に限定されるものではない。アニオン性物質としては、例えば、アニオン性脂質;アニオン性基を有する高分子;ポリアスパラギン酸等の酸性アミノ酸の単独重合体若しくは共重合体又はこれらの誘導体;キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースポリスチレンスルホン酸塩、ポリサッカライド、カラギーナン等のポリアニオン性ポリマー等を使用することができる。アニオン性物質が有するアニオン性基の数は特に限定されるものではないが、好ましくは2個以上である。アニオン性基は負に荷電し得る限り特に限定されるものではなく、例えば、末端カルボキシル基を有する官能基(例えば、コハク酸残基、マロン酸残基等)、リン酸基、硫酸基等が挙げられる。
糖修飾脂質膜を備えたリポソームにおいて、糖修飾脂質膜の表面に存在する糖が核膜孔複合体へ結合し、核膜孔複合体に結合した糖が核内へ引き抜かれることにより、糖修飾脂質膜が崩壊し、リポソームの内部に封入された目的物質は核膜孔を通じて核内に放出され、この結果、目的物質は核内に送達される。したがって、糖修飾脂質膜を備えたリポソームは、目的物質の核内送達用ベクターとして使用することができる。
リポソームが標的とする核は、細胞から分離された核であってもよいし、細胞内に存在する核であってもよい。リポソームが標的とする核が由来する生物種は特に限定されるものではなく、例えば、動物、植物、微生物等が挙げられるが、動物が好ましく、哺乳動物がさらに好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられる。リポソームが標的とする核を含有する細胞の種類は特に限定されるものではなく、例えば、体細胞、生殖細胞、幹細胞又はこれらの培養細胞等が挙げられる。
標的とする核が細胞内に存在する核である場合、リポソームは、糖修飾脂質膜が細胞内に移行したリポソームの最外層に位置するように構成される。
糖修飾脂質膜が細胞内に移行したリポソームの最外層に位置するような構成を有するリポソームの一実施形態としては、例えば、図1(a)に示すように、脂質膜2aと、脂質膜2aの内側に封入された目的物質3とを備えた1枚膜リポソーム1aであって、脂質膜2aが、糖と連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドとを表面に有する1枚膜リポソーム1aが挙げられる。なお、「連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチド」については以下で詳述する。1枚膜リポソーム1aは、脂質膜2aの表面に存在するペプチドを介して、原形を保ったまま(インタクト(intact)な状態で)、細胞外から細胞内に移行することができる。細胞内に移行した後、脂質膜2aの表面に存在する糖が核膜孔複合体へ結合し、核膜孔複合体に結合した糖が核内へ引き抜かれることにより、脂質膜2aが崩壊し、脂質膜2aの内側に封入された目的物質3は核膜孔を通じて核内に放出される。
糖修飾脂質膜が細胞内に移行したリポソームの最外層に位置するような構成を有するリポソームの別の実施形態としては、図1(b)に示すように、脂質膜21bと、脂質膜21bの外側に位置する脂質膜22bと、脂質膜21bの内側に封入された目的物質3とを備えた2枚膜リポソーム1cであって、脂質膜21bが糖を表面に有し、脂質膜22bが膜融合性脂質を含有する2枚膜リポソーム1bが挙げられる。脂質膜22bに含有される膜融合性脂質としては、例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン等の中性脂質;コレステロールコハク酸、カルジオリピン等のアニオン性脂質(酸性脂質)が挙げられ、脂質膜22bに含有される膜融合性脂質量は、脂質膜22bに含有される総脂質量の通常40%(モル比)以上、好ましくは70%(モル比)以上、さらに好ましくは90%(モル比)以上である。なお、膜融合性脂質の含有量の上限値は100%である。
2枚膜リポソーム1bは、エンドサイトーシスを介して、細胞外から細胞内に移行することができる。エンドサイトーシスを介して細胞内に移行した2枚膜リポソーム1bは、エンドソーム内に取り込まれるが、エンドソーム膜と脂質膜22bとが膜融合することにより、エンドソームから脱出することができる。エンドソームから脱出したリポソームにおいて、脂質膜22bはエンドソーム膜との膜融合により消失しているが、脂質膜21bは保持されている。エンドソームから脱出した後、脂質膜21bの内側に封入された目的物質3は、1枚膜リポソーム1aの場合と同様にして、核内に放出される。
2枚膜リポソーム1bは、脂質膜22bと細胞膜との膜融合を介して、細胞外から細胞内に移行することができる。細胞内に移行したリポソームにおいて、脂質膜22bは細胞膜との膜融合により消失しているが、脂質膜21bは保持されている。細胞内に移行した後、脂質膜21bの内側に封入された目的物質3は、1枚膜リポソーム1aの場合と同様にして、核内に放出される。
2枚膜リポソーム1bにおいて、脂質膜22bに含有されるアニオン性脂質量が、脂質膜22cに含有される膜融合性脂質量の15%(モル比)以上、好ましくは20%(モル比)以上である場合、エンドソーム内が酸性(pH5.5〜6.5)に変化することにより、又は酸性条件下(pH5.5〜6.5)で2枚膜リポソーム1bと細胞とを接触させることにより、脂質膜22bとエンドソーム膜又は細胞膜とは効率よく膜融合することができる。
連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドにおいて、連続したアルギニン残基の個数は複数個である限り特に限定されるものではないが、通常4〜20個、好ましくは6〜12個、さらに好ましくは7〜10個である。ペプチドを構成するアミノ酸残基の総数は特に限定されるものではないが、通常4〜35個、好ましくは6〜30個、さらに好ましくは7〜23個である。ペプチドは、連続した複数個のアルギニン残基のC末端及び/又はN末端に任意のアミノ酸配列を含むことができるが、アルギニン残基のみからなることが好ましい。連続した複数個のアルギニン残基のC末端又はN末端に付加されるアミノ酸配列は、剛直性を有するアミノ酸配列(例えば、ポリプロリン)であることが好ましい。ポリプロリンは、柔らかくて不規則な形をとっているポリエチレングリコール(PEG)と異なり、直線的で、ある程度の堅さを保持している。また、連続した複数個のアルギニン残基のC末端又はN末端に付加されるアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基は、酸性アミノ酸以外のアミノ酸残基であることが好ましい。負電荷を有する酸性アミノ酸残基が、正電荷を有するアルギニン残基と静電的に相互作用し、アルギニン残基の効果を減弱させる可能性があるためである。
脂質膜の表面に存在するペプチド量の下限値は、脂質膜を構成する総脂質に対して通常0.1%(モル比)、好ましくは1%(モル比)、さらに好ましくは2%(モル比)であり、上限値は、脂質膜を構成する総脂質に対して通常30%(モル比)、好ましくは25%(モル比)、さらに好ましくは20%(モル比)である。
連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドを表面に有するリポソームは、その表面に存在するペプチドを介して細胞内へ移行することができる(WO2005/032593号参照)。リポソームの表面に存在するペプチドの量が、脂質膜を構成する総脂質に対して2%(モル比)未満、好ましくは1.5%(モル比)未満、さらに好ましくは1%(モル比)未満であると、リポソームは、主にエンドサイトーシスを介して細胞内又は核内へ移行することができる(WO2005/032593号参照)。このときのペプチドの量の下限値は、脂質膜を構成する総脂質に対して通常0.1%(モル比)、好ましくは0.5%(モル比)、さらに好ましくは0.7%(モル比)である。一方、リポソームの表面に存在するペプチドの量が、脂質膜を構成する総脂質に対して2%(モル比)以上、好ましくは3%(モル比)以上、さらに好ましくは4%(モル比)以上であると、リポソームは、主にマクロピノサイトーシスを介して細胞内又は核内へ移行することができる(WO2005/032593号参照)。このときのペプチド量の上限値は、脂質膜を構成する総脂質に対して通常30%(モル比)、好ましくは25%(モル比)、さらに好ましくは20%(モル比)である。マクロピノサイトーシスでは、細胞外物質がマクロピノソームという画分として細胞内に取り込まれ、マクロピノソームはエンドソームと異なりリソソームと融合しないため、マクロピノソーム内封物はリソソームによる分解を回避することができる。したがって、リポソームがマクロピノサイトーシスを介して細胞内に移行する場合、リポソームに封入された目的物質を効率よく細胞内に送達することができる。
リポソームの細胞内移行経路がエンドサイトーシスに依存する場合、脂質膜はその主要成分としてカチオン性脂質を含む必要があるが、連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドを表面に有するリポソームの細胞内移行経路は、エンドサイトーシスにのみ依存するわけではないので、脂質膜にカチオン性脂質が含まれている必要はない。すなわち、リポソームの脂質膜は、カチオン性脂質及び非カチオン性脂質のいずれか一方で構成されていてもよいし、両方で構成されていてもよい。但し、カチオン性脂質による細胞毒性を低減させる点、マクロピノサイトーシスを介してリポソームに封入された目的物質を効率よく細胞内に送達する点等からは、脂質膜に含まれるカチオン性脂質の量を出来る限り少なくすることが好ましく、脂質膜を構成する総脂質に対するカチオン性脂質の割合は0〜40%(モル比)であることが好ましく、0〜20%(モル比)であることがさらに好ましい。
連続した複数個のアルギニン残基を含むペプチドの存在態様は、ペプチドがリポソームの表面から露出する限り特に限定されるものではないが、ペプチドが疎水性基又は疎水性化合物で修飾されており、疎水性基又は疎水性化合物が脂質二重層に挿入され、ペプチドが脂質二重層から露出していることが好ましい。脂質二重層は親水性部分と疎水性部分とからなり、疎水性基又は疎水性化合物は、脂質二重層の疎水性部分と疎水結合することにより脂質二重層に挿入され得る。
疎水性基又は疎水性化合物は、脂質二重層に挿入され得る限り特に限定されるものでない。疎水性基としては、例えば、ステアリル基等の飽和又は不飽和の脂肪酸基、コレステロール基又はその誘導体等が挙げられるが、これらのうち特に炭素数10〜20の脂肪酸基(例えば、パルミトイル基、オレイル基、ステアリル基、アラキドイル基等)が好ましい。また、疎水性化合物としては、例えば、上記に例示したリン脂質、糖脂質又はステロール、長鎖脂肪族アルコール(例えば、フォスファチジルエタノールアミン、コレステロール等)、ポリオキシプロピレンアルキル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
リポソームは、例えば、水和法、超音波処理法、エタノール注入法、エーテル注入法、逆相蒸発法、界面活性剤法、凍結・融解法等の公知の方法を用いて調製することができる。また、リポソームを所定のポアサイズのフィルターで通過させることにより、一定の粒度分布を持ったリポソームを得ることができる。また、公知の方法に従って、多重膜リポソームから一枚膜リポソームへの転換、一枚膜リポソームから多重膜リポソームへの転換を行うことができる。
糖修飾脂質膜を備えたリポソームを含有する組成物は種々の用途に使用することができる。例えば、目的物質の核内送達用組成物、医薬組成物、遺伝子発現用組成物等として使用することができる。目的物質の核内送達用組成物として使用する場合、目的物質がリポソームの内部に封入される。医薬組成物として使用する場合、核内に送達されることにより所定の疾患に対する治療効果、予防効果等を発揮し得る目的物質(例えば、疾患原因遺伝子の発現を抑制できるアンチセンスDNA、siRNA等)が、リポソームの内部に封入される。遺伝子発現用組成物として使用する場合、核内で発現させるべき遺伝子がリポソームの内部に封入される。
各種組成物の剤形は特に限定されるものではないが、例えば、リポソームの分散液が挙げられる。分散溶媒としては、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を使用することができる。分散液には、例えば、糖類、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン界面活性剤、抗酸化剤、pH調節剤、水和促進剤等の添加剤を添加してもよい。組成物の別の剤形としては、リポソームの分散液の乾燥物(例えば、凍結乾燥物、噴霧乾燥物等)が挙げられる。乾燥物は、生理食塩水、リン酸緩衝液,クエン緩衝液,酢酸緩衝液等の緩衝液を加え、リポソームの分散液として使用することができる。
組成物を生体に投与する場合、その投与経路としては、例えば、静脈、腹腔内、皮下、経鼻等の非経口投与が挙げられ、投与量及び投与回数は、リポソームの内部に封入された目的物質の種類、量等に応じて適宜調節することができる。
〔実施例1〕
1.リポソームの作製
(a)ポリカチオンによるDNAの凝集化
DNAとしては、ルシフェラーゼ遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有する全長7037bpのプラスミドDNA(CMVプロモーターを有するpcDNA3.1プラスミドにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだもの)を使用し、ポリカチオンとしては、硫酸プロタミンを使用した。DNA及びポリカチオンをそれぞれ10mM HEPES緩衝液(pH7.4)に溶解し、DNA溶液(0.1mg/mL)及びポリカチオン溶液(0.07mg/mL)をボルテックス下、室温にて混合し、DNAを凝集化させた。N/P(nitrogen/phosphate)比=1で調製したDNA/ポリカチオン複合体(DPC)懸濁液のDNA量は0.05mg/mLであった。
1.リポソームの作製
(a)ポリカチオンによるDNAの凝集化
DNAとしては、ルシフェラーゼ遺伝子及びその上流にCMVプロモーターを有する全長7037bpのプラスミドDNA(CMVプロモーターを有するpcDNA3.1プラスミドにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだもの)を使用し、ポリカチオンとしては、硫酸プロタミンを使用した。DNA及びポリカチオンをそれぞれ10mM HEPES緩衝液(pH7.4)に溶解し、DNA溶液(0.1mg/mL)及びポリカチオン溶液(0.07mg/mL)をボルテックス下、室温にて混合し、DNAを凝集化させた。N/P(nitrogen/phosphate)比=1で調製したDNA/ポリカチオン複合体(DPC)懸濁液のDNA量は0.05mg/mLであった。
(b)脂質膜の水和
DNAの凝集化の後、DPC懸濁液0.1mLを脂質膜に加え、15分間インキュベーションして水和した。脂質膜は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(dioleoyl phosphatidyl ethanolamine:DOPE)と、N−アセチルグルコサミン導入ポリエチレングリコールに結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol)とを2:1又は9:1(モル比)でクロロホルムに溶解して混合した後(総脂質量55nmol)、脂質膜の表面をオクタアルギニン(R8)で修飾するためにステアリルオクタアルギニン(STR−R8)溶液(脂質の5モル%)を混合液に加え、ガラス試験管内で溶媒を除去することにより形成させた。水和後の脂質の最終濃度は0.55mMであった。
DNAの凝集化の後、DPC懸濁液0.1mLを脂質膜に加え、15分間インキュベーションして水和した。脂質膜は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(dioleoyl phosphatidyl ethanolamine:DOPE)と、N−アセチルグルコサミン導入ポリエチレングリコールに結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol)とを2:1又は9:1(モル比)でクロロホルムに溶解して混合した後(総脂質量55nmol)、脂質膜の表面をオクタアルギニン(R8)で修飾するためにステアリルオクタアルギニン(STR−R8)溶液(脂質の5モル%)を混合液に加え、ガラス試験管内で溶媒を除去することにより形成させた。水和後の脂質の最終濃度は0.55mMであった。
GlcNAc−PEG−Cholは次のスキームに従って合成した。
[GlcNAc−PEG−Chol(化合物5)の合成スキーム]
まず、コレステロール 10gをピリジン 100mLに溶解し、p−TsCl 10gを加え、室温で16時間撹拌した。反応後、得られた液体をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより化合物1(収量13g)を得た。続いて、化合物1(1g)を真空下にてよく脱気した後、ジオキサン 18mLに懸濁した。これに市販のテトラエチレングリコール 2gを加え、不活性条件下、オイルバスで4時間還流した。得られた液体を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより薄黄色透明の液体として化合物2(収量0.144g)を得た。化合物2(120mg)を真空下でよく脱気した後、CH2Cl2 10mLに溶解し、活性化したモレキュラーシーブス(4Å)(2g程度)を加えて撹拌し、これに3,4,5-tri-O-Acetyl-1-thiophenyl-2-N-Troc-glucosamine 240mgを加え、続いてN−ヒドロキシコハク酸イミド 145mg及びトリフルオロメタンスルホン酸(純度98%,和光純薬製)10μLを加えて反応を開始した。不活性及び禁水条件下で3時間程度反応させ、得られた反応溶液をクロロホルムで希釈後、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液、続いて水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、化合物3(収量130mg)を得た。化合物3(130mg)に無水酢酸(和光純薬製)3mL、酢酸(和光純薬製)3mL、THF 5mLを加えて室温で撹拌した。100mMの硫酸銅五水和物水溶液に少量のZnパウダーをくわえ、Znを活性化した後、これを濾別したもの(触媒量)を反応溶液に加えて反応を開始し、5時間程度反応させた。得られた化合物4(収量180mg)は精製せずに次の反応へ用いた。化合物4の粗生成物 180mgをメタノール 5mLに溶かし、撹拌した後、28質量%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液 19μLを加えて反応を開始した。1時間ほど室温で撹拌した後、DOWEX(50WX8-200 ion-exchange resin)(1〜2g程度)を加えて溶液を中和し、続いて綿栓濾過によってこれを取り除いた。得られた溶液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、目的物である化合物5(収量30mg)を得た。各化合物の同定はNMR及び質量分
析によって行った。
析によって行った。
(c)超音波処理による凝集化DNAのパッケージング
DPCを脂質でコーティングするために、ガラス試験管を超音波槽(125 W, Branson Ultrasonics)で約1分間超音波処理した。こうして、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミン(N−アセチルグルコサミンはポリエチレングリコールを介して脂質膜に結合する)及びオクタアルギニンを有するリポソームを作製した(粒径:200nm、ゼータ電位:+15mV)。リポソームの流体力学的直径は準弾性光散乱方法によって測定し、ゼータ電位は、電気泳動的光散乱分光測光器(ELS-8000, Otsuka electronics)によって測定した。
DPCを脂質でコーティングするために、ガラス試験管を超音波槽(125 W, Branson Ultrasonics)で約1分間超音波処理した。こうして、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミン(N−アセチルグルコサミンはポリエチレングリコールを介して脂質膜に結合する)及びオクタアルギニンを有するリポソームを作製した(粒径:200nm、ゼータ電位:+15mV)。リポソームの流体力学的直径は準弾性光散乱方法によって測定し、ゼータ電位は、電気泳動的光散乱分光測光器(ELS-8000, Otsuka electronics)によって測定した。
GlcNAc−PEG−Cholの代わりにコレステロール(Chol)を使用し、脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソームを作製した(粒径:220nm、ゼータ電位:+30mV)。
ステアリルオクタアルギニンによる脂質膜の修飾を行わず、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンを有するがオクタアルギニンは有しないリポソームを作製した(粒径:190nm、ゼータ電位:−20mV)。
GlcNAc−PEG−Cholの代わりにコレステロール(Chol)を使用するとともに、ステアリルオクタアルギニンによる脂質膜の修飾を行わず、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンもオクタアルギニンも有しないリポソームを作製した(粒径:200nm、ゼータ電位:−10mV)。
2.遺伝子発現解析
非分裂細胞のモデルとしてG1期に細胞周期を同調させた細胞(ヒト子宮頸ガン由来HeLa細胞)を用い、遺伝子発現解析を行った。
非分裂細胞のモデルとしてG1期に細胞周期を同調させた細胞(ヒト子宮頸ガン由来HeLa細胞)を用い、遺伝子発現解析を行った。
トランスフェクション18時間前にヒドロキシ尿素(終濃度2.5mM)を細胞に添加し、37℃、5%CO2で18時間インキュベーションし、細胞をG1期に同調させた。その後、ヒドロキシ尿素存在条件下(2.5mM)、細胞にリポソーム(DNA10pg/cell)を添加し、37℃で3時間インキュベーションすることにより、細胞にリポソームをトランスフェクションした。トランスフェクションの3時間後及び6時間後、細胞を洗浄し、reporter lysis buffer(Promega社)75μLで溶解し、細胞溶解液 20μLにルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega社)50μLを加えて、ルミノメーター(Luminescencer-PSN)によりルシフェラーゼ活性を測定した。また、BCAプロテインアッセイキット(PIERCE社)により細胞溶解液中のタンパク質量を測定した。トランスフェクション3時間後の遺伝子発現量を図2(a)に、トランスフェクション6時間後の遺伝子発現量を図2(b)に示す。
図2(a)に示すように、トランスフェクション3時間後、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンもオクタアルギニンも有しないリポソーム、脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソーム、及び脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンを有するがオクタアルギニンは有しないリポソームは、脂質組成に関わらず、遺伝子発現は全く認められなかった。一方、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミン及びオクタアルギニンを有するリポソームは、DOPE:GlcNAc−PEG−Chol=2:1の場合には遺伝子発現は全く認められなかったが、DOPE:GlcNAc−PEG−Chol=9:1の場合には有意な遺伝子発現が認められた。
また、図2(b)に示すように、トランスフェクション6時間後、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンもオクタアルギニンも有しないリポソーム、及び脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミンを有するがオクタアルギニンは有しないリポソームは、脂質組成に関わらず、遺伝子発現が極めて低かった。脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソームは、トランスフェクション3時間後よりも若干高い遺伝子発現が認められた。一方、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミン及びオクタアルギニンを有するリポソームは、DOPE:GlcNAc−PEG−Chol=2:1の場合、脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソーム(DOPE:Chol=2:1)の遺伝子発現よりも約11倍高い遺伝子発現が認められ、DOPE:GlcNAc−PEG−Chol=9:1の場合、脂質膜の表面にN−アセチルグルコサミン及びオクタアルギニンを有するリポソーム(DOPE:GlcNAc−PEG−Chol=2:1)の遺伝子発現よりも約13倍高い(すなわち、脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソーム(DOPE:Chol=2:1)の遺伝子発現よりも約141倍高い)遺伝子発現が認められた。
脂質膜の表面にオクタアルギニンを有するがN−アセチルグルコサミンは有しないリポソームの遺伝子発現はほとんど認められなかったことから、N−アセチルグルコサミンは、細胞表面レセプター認識によりリポソームの細胞内取り込みを促進する素子として機能するわけではなく、オクタアルギニンの機能によりリポソームが細胞内に取り込まれた後に、リポソームの核移行を促進する素子として機能すると考えられる。脂質膜の表面に存在する糖が核膜孔複合体へ結合することにより、リポソームが核移行し、核膜孔複合体に結合した糖が核内へ引き抜かれることにより、脂質膜が崩壊してリポソームの内部に封入された目的物質は核膜孔を通じて核内に放出されると考えられる。リポソームの核移行には、主として、糖の核膜孔複合体への結合が関与していると考えられ、リポソーム封入物質の核内送達には、主として、核膜孔複合体に結合した糖の核内への引き抜きによる脂質膜の崩壊、及び脂質膜に含有される膜安定化剤(例えばコレステロール等)の量の減少による脂質膜の崩壊性の向上が関与しているものと考えられる。
〔実施例2〕
DOPEと、コレステロール(Chol)と、糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(Sugar−PEG−Chol)とを5:5:0、5:4:1、5:3:2、5:2:3、5:1:4又は5:0:5(モル比)でクロロホルムに溶解して混合して(総脂質量55nmol)脂質膜を形成させた点を除き、実施例1と同様の操作を行い、脂質膜の表面に糖(糖はポリエチレングリコールを介して脂質膜に結合する)及びオクタアルギニンを有するリポソームを作製した(粒径:220nm、ゼータ電位:+10mV)。
DOPEと、コレステロール(Chol)と、糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(Sugar−PEG−Chol)とを5:5:0、5:4:1、5:3:2、5:2:3、5:1:4又は5:0:5(モル比)でクロロホルムに溶解して混合して(総脂質量55nmol)脂質膜を形成させた点を除き、実施例1と同様の操作を行い、脂質膜の表面に糖(糖はポリエチレングリコールを介して脂質膜に結合する)及びオクタアルギニンを有するリポソームを作製した(粒径:220nm、ゼータ電位:+10mV)。
糖としては、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、マンノース(Man)又はガラクトース(Gal)を使用した。
Man−PEG−Chol及びGal−PEG−Cholは以下のスキームに従って合成した。
[Man−PEG−Chol(化合物7)の合成スキーム]
化合物2(1g)から溶媒を十分に除き、それに対してpenta-O-Acetyl-α-D-Mannopyranose 1gを加え、CH2Cl2(anhydrous)10mLに溶解し、反応溶液に市販(東京化成工業株式会社製)のBoron Trifluoride Ethyl Ether Complex 1.2gを加え、反応を開始した。16時間室温で撹拌後、水で分液洗浄し、有機層を得た。有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物6を得た(収量40mg)。化合物6の粗生成物 40mgをメタノール 5mLに溶かし、撹拌した後、28質量%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液 10μLを加えて反応を開始した。1時間ほど室温で撹拌した後、DOWEX(50WX8-200 ion-exchange resin)(1〜2g程度)を加え溶液を中和し、得られた溶液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して目的物である化合物7(収量32g)を得た。
[Gal−PEG−Chol(化合物9)の合成スキーム]
化合物2(1g)から溶媒を十分に除き、それに対してpenta-O-Acetyl-α-D-Galactopyranose 1gを加え、CH2Cl2(anhydrous)10mLに溶解し、反応溶液に市販のBoron Trifluoride Ethyl Ether Complex 1.2gを加え、反応を開始した。16時間室温で撹拌の後、CHCl3で希釈した後、飽和NaHCO3水溶液、続いて脱イオン水で分液し、有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで濃縮後、カラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物8を得た(収量32mg)。化合物8(32mg)をメタノール 5mLに溶かし、撹拌した後、28質量%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液 10μLを加えて反応を開始した。1時間ほど室温で撹拌した後、DOWEX(50WX8-200 ion-exchange resin)(1〜2g程度)を加え溶液を中和し、続いて綿栓濾過によってこれを取り除いた。得られた溶液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、目的物である化合物9を得た(収量20.8mg)。
実施例1と同様にしてリポソームを細胞にトランスフェクションし、遺伝子発現解析を行った。トランスフェクション3時間後の遺伝子発現量を図3(a)、図4(a)又は図5(a)に、トランスフェクション6時間後の遺伝子発現量を図3(b)、図4(b)又は図5(b)に示す。
図3に示すように、糖がN−アセチルグルコサミンであるとき、脂質膜の表面に存在する糖の量が脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)である場合に最も高い遺伝子発現が認められた。なお、図3中、「★」は対照であり、「×127」等は対照に対する遺伝子発現量を示す。また、図4に示すように、糖がマンノースであるとき、脂質膜の表面に存在する糖の量が脂質膜に含有される総脂質量の40%(モル比)である場合に最も高い遺伝子発現が認められた。なお、図4中、「★」は対照であり、「×1210」等は対照に対する遺伝子発現量を示す。また、図5に示すように、糖がガラクトースであるとき、脂質膜の表面に存在する糖の量が脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)である場合に最も高い遺伝子発現が認められた。なお、図5中、「★」は対照であり、「×116」等は対照に対する遺伝子発現量を示す。
〔実施例3〕
コレステロール(Chol)及び糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol,Man−PEG−Chol,Gal−PEG−Chol)が脂質膜に含有される(残りの成分はDOPE)リポソームを、Chol含有量を変化させながら実施例1及び2と同様にして調製し、リポソームを細胞にトランスフェクションした後(6時間後)の遺伝子発現量を実施例1及び2と同様にして測定した。なお、GlcNAc−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)、Man−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の30%(モル比)、Gal−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)とした。
コレステロール(Chol)及び糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol,Man−PEG−Chol,Gal−PEG−Chol)が脂質膜に含有される(残りの成分はDOPE)リポソームを、Chol含有量を変化させながら実施例1及び2と同様にして調製し、リポソームを細胞にトランスフェクションした後(6時間後)の遺伝子発現量を実施例1及び2と同様にして測定した。なお、GlcNAc−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)、Man−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の30%(モル比)、Gal−PEG−Cholの量は、脂質膜に含有される総脂質量の10%(モル比)とした。
その結果、図6に示すように、糖の種類に関わらず、Chol含有量が小さくなると、遺伝子発現量が増加した。脂質膜の安定性が低減することにより、核膜上における脂質膜の崩壊性が向上したため、リポソームの内部に封入された遺伝子の核内送達効率を向上したものと考えられる。
[実施例4]
DOPE:糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol、Man−PEG−Chol、Gal−PEG−Chol)=9:1の脂質組成からなるクロロホルム溶液に、脂質膜の表面をオクタアルギニン(R8)で修飾するためにステアリルオクタアルギニン(STR−R8)溶液(脂質の5モル%)を加え、ガラス試験管内で溶媒を除去することにより脂質膜を形成させた。この脂質膜に対して、実施例1で調製したDPC懸濁液を加えて15分間インキュベーションした後、超音波槽(125 W, Branson Ultrasonics)で約1分間超音波処理して、上記糖及びオクタアルギニンを有するリポソームを調製した。また、糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロールに代えてコレステロールを使用したコントロールリポソームを調製した。
DOPE:糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロール(GlcNAc−PEG−Chol、Man−PEG−Chol、Gal−PEG−Chol)=9:1の脂質組成からなるクロロホルム溶液に、脂質膜の表面をオクタアルギニン(R8)で修飾するためにステアリルオクタアルギニン(STR−R8)溶液(脂質の5モル%)を加え、ガラス試験管内で溶媒を除去することにより脂質膜を形成させた。この脂質膜に対して、実施例1で調製したDPC懸濁液を加えて15分間インキュベーションした後、超音波槽(125 W, Branson Ultrasonics)で約1分間超音波処理して、上記糖及びオクタアルギニンを有するリポソームを調製した。また、糖導入ポリエチレングリコールが結合したコレステロールに代えてコレステロールを使用したコントロールリポソームを調製した。
トランスフェクションの48時間前に24穴プレートに2×104 cells/500 μL DMEM (10%血清を含む)/dishとなるようにHeLa細胞を播種し、37℃、5% CO2環境下で培養した。トランスフェクションの18時間前に培地を2.5mMヒドロキシ尿素含有DMEM(10%血清を含む)交換し、37℃、5% CO2環境下で18時間培養することで、細胞周期をG1期に同調させた。同調しない場合は、トランスフェクションの18時間前に培地を新しいものに交換し、37℃、5% CO2環境下で18時間、培養した。
HeLa細胞およびG1期に同調したHeLa細胞に上記のリポソームを含む溶液 0.25mL (pDNAとして0.4μgに相当、またG1期に同調したHeLa細胞の場合は、ヒドロキシ尿素を2.5mM含む)を1mM、5mM、20mMのGlcNAc、Man、Galと共に添加し、37℃、5% CO2で3時間インキュベートした。トランスフェクション3時間後に、培地を10%血清を含む(G1期に同調したHeLa細胞の場合はヒドロキシ尿素を2.5mMをさらに含む)DMEM培地に交換した後、37℃、5% CO2でさらに3時間インキュベートした。PBS 0.25mLで3回細胞を洗浄したのち、Reporter lysis buffer 75μLを添加し、−80℃で約30分凍結した。30分後凍結したプレートを室温で融解させ、氷上にてセルスクレーパーを用いて細胞を剥がしとり、細胞溶解液を回収し、上清20μl当たりのルシフェラーゼ活性(RLU)を測定した。さらに上清をDDWで5倍希釈し、BCA法によりタンパク定量を行い、得られるRLUをタンパク量で除することによって単位細胞当たりのルシフェラーゼ活性(RLU/mg protein)を算出した。
この結果、GlcNAc、Mannose、Galactose、いずれの糖修飾リポソームにおいても、過剰量の糖の存在下での遺伝子発現の変動は認められず、リポソームに含まれる糖が細胞への取り込み過程において機能をしていないことが示唆された(図7)。この実験結果は、本発明のリポソームが糖レセプターを介して細胞に取り込まれるのではなく、オクタアルギニンの機能により細胞内に導入され、細胞内に取り込まれた後に糖が機能することを示すものである。
[実施例5]
Label IT CX-Rhodamine Labeling Kit (Penverna Corp.)を用いて、添付のプロトコールに従い、実施例1と同じプラスミドDNAをローダミン(Rhodamine)標識し、さらに実施例1と同様の操作を行って、ローダミン修飾DPCを調製した。このローダミン修飾DPCを用い、クロロホルム溶液に総脂質量の1%モルとなるようにNBD−DOPE(AVANTI POLAR LIPIDS) を添加した他は全て実施例4に示した方法によって、NBDで脂質がラベルされ、ローダミン修飾DPCを封入した糖修飾リポソームを調製した。
Label IT CX-Rhodamine Labeling Kit (Penverna Corp.)を用いて、添付のプロトコールに従い、実施例1と同じプラスミドDNAをローダミン(Rhodamine)標識し、さらに実施例1と同様の操作を行って、ローダミン修飾DPCを調製した。このローダミン修飾DPCを用い、クロロホルム溶液に総脂質量の1%モルとなるようにNBD−DOPE(AVANTI POLAR LIPIDS) を添加した他は全て実施例4に示した方法によって、NBDで脂質がラベルされ、ローダミン修飾DPCを封入した糖修飾リポソームを調製した。
トランスフェクションの48時間前に35mm ガラスボトム皿(Iwaki社) に5×104 cells/2mL DMEM(10%血清を含む)/dishとなるようにHeLa細胞を播種し、37℃、5% CO2環境下で培養した。トランスフェクションの18時間前に培地を2.5mM ヒドロキシ尿素含有DMEM(10% 血清含有)に交換し、37℃、5% CO2環境下で18時間培養することで、細胞周期をG1期に同調させた。
このHeLa細胞に上記のリポソーム溶液1mL(pDNAとして2μgに相当、またヒドロキシ尿素を2.5mM含有)を添加し、37℃、5% CO2で3時間インキュベートすることで、曝露させた。細胞を20Units/mLヘパリン(PBS溶液)1mLで3回洗浄した後、1 エmg/mL Hoechst 33342(水溶液)を終濃度5μg/mLとなるように添加し、室温、遮光条件下で10分間インキュベートすることで核を染色した。PBSで細胞を洗浄したのち、培地をDMEM/F−12に交換し、共焦点レーザースキャン顕微鏡にて解析した。
その結果、糖修飾を受けていないリポソームでは遺伝子の核への局在は全く認められなかったのに対して、糖修飾を受けたリポソームでは、遺伝子の核への局在が認められた(図8)。
Claims (11)
- 糖を表面に有する脂質膜を備えたリポソームからなる目的物質の核内送達用ベクター。
- 前記糖が親水性ポリマーを介して前記脂質膜の表面に結合している請求の範囲第1項記載のベクター。
- 前記糖が1〜20個の糖残基からなる請求の範囲第1項又は第2項記載のベクター。
- 前記糖が単糖である請求の範囲第1項又は第2項記載のベクター。
- 前記糖がアミノ糖である請求の範囲第1項又は第2項記載のベクター。
- 前記糖の量が、前記脂質膜に含有される総脂質量の0.5〜65%(モル比)である請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載のベクター。
- 前記脂質膜に含有される膜安定化剤の量が、前記脂質膜構成成分の総量の0〜60%(モル比)である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載のベクター。
- 核内へ送達しようとする目的物質が前記リポソームの内部に封入されている請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載のベクター。
- 請求の範囲第8項記載のベクターを含有する目的物質の核内送達用組成物。
- 請求の範囲第8項記載のベクターを含有する医薬組成物であって、核内に送達されることにより所定の疾患に対する治療効果及び/又は予防効果を発揮し得る目的物質が、前記リポソームの内部に封入されている前記医薬組成物。
- 請求の範囲第8項記載のベクターを含有する遺伝子発現用組成物であって、核内で発現させるべき遺伝子が前記リポソームの内部に封入されている前記遺伝子発現用組成物。
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