JP5930197B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents

車両の前部車体構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5930197B2
JP5930197B2 JP2012156056A JP2012156056A JP5930197B2 JP 5930197 B2 JP5930197 B2 JP 5930197B2 JP 2012156056 A JP2012156056 A JP 2012156056A JP 2012156056 A JP2012156056 A JP 2012156056A JP 5930197 B2 JP5930197 B2 JP 5930197B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vertical wall
wall portion
width direction
vehicle
vehicle width
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012156056A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014019165A (ja
Inventor
克倫 阪井
克倫 阪井
太一 ▲たか▼須賀
太一 ▲たか▼須賀
喬平 桑田
喬平 桑田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2012156056A priority Critical patent/JP5930197B2/ja
Publication of JP2014019165A publication Critical patent/JP2014019165A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5930197B2 publication Critical patent/JP5930197B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、サスペンションタワーの頂部にボルト締結されたカウルメンバーを備えた車両の前部車体構造に関し、特にカウルメンバーに車両前方へ突出した凸部を設けた車両の前部車体構造に関する。
従来より、エンジンルームとその後方の車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方に延びるカウルメンバーとを設け、このカウルメンバーの前側フランジ部の左右両端部をサスペンションタワーの頂部にスポット溶接によって接合した車両の前部車体構造は公知である。この車体構造によれば、車体剛性を向上しつつ、サスペンションから入力されたダンパ荷重を支持するためのサスペンションタワーの支持剛性を高くすることができる。
近年、車両性能上の観点から、サスペンションタワーの頂部やダッシュロアパネル等の幅を広くする傾向が高くなっており、これに伴いダッシュパネルに装着された部品の上部がカウルメンバーによって覆われているため、ダッシュパネルに装着された部品のサービス性、特にブレーキマスターバックの交換作業では作業性の面で問題が生じていた。
そこで、カウルメンバーをサスペンションタワーに対して着脱可能な構造にするため、ボルト締結によってカウルメンバーをサスペンションタワーに取り付ける構造が提案されている。
特許文献1のブラケット及び車両前部構造は、ダッシュパネルに装着された部品のサービス性向上を目的にしたものではないが、カウルメンバーに相当するカウルフロントパネルの前側左右端部にボルト穴(ボルト締結部)を設け、このカウルフロントパネルをサスペンションタワーの頂部に対して固着された第1,第2ブラケットへボルトによって締結している。第2ブラケットに設けられた第1,第2取付部には、底部と、この底部の縁から立ち上がった壁部と、この壁部の縁から延設されてカウルフロントパネルに連結される上部とを備え、壁部に上下方向に延びる角部が形成されている。
特開2011−121480号公報
特許文献1のブラケット及び車両前部構造では、第2ブラケットが角部を備えているため、荷重が集中する壁部とサスペンションタワーとの連結部領域を補強することができ、第2ブラケットの耐久性を向上することができる。しかも、ボルト締結部からボルトを取り外すことによって、カウルメンバーの取り外し作業の容易化についても期待することができる。しかし、前述したように、カウルメンバーをサスペンションタワーに対して着脱可能に構成した場合、新たな課題を招くことが懸念される。
サスペンションのダンパ装置は、上方程車幅方向内側に傾斜するように配置され、その上端がサスペンションタワーに形成されたダンパ支持部に支持されている。それ故、サスペンションタワーに対して入力したダンパ荷重は、上下方向成分以外に、前後方向成分及び左右方向成分を有している。その結果、ダンパ荷重の前後方向成分及び左右方向成分がカウルメンバーのボルト締結部に集中し、このボルト締結部に発生する変形(塑性歪)によってカウルメンバーの締結ボルトが緩む虞がある。
ボルト締結部への荷重集中は、カウルメンバーのボルト締結部以外の部分に強度的に脆弱な変形部を形成することによってダンパ荷重の前後方向成分及び左右方向成分をボルト締結部以外の部分に誘導・分散することができ、これにより、カウルメンバーの締結ボルトの緩みを回避することも可能である。しかし、カウルメンバーは、ダンパ支持部の剛性や強度を確保するために重要な部材であり、このような車体の部材に変形や座屈を生じた場合、十分な車体の剛性や強度を維持することができず、安全面の観点から十分な解決策になっていない。
本発明の目的は、カウルメンバーを着脱可能に構成しつつ、カウルメンバーの締結ボルトの緩み防止と車体の剛性と強度の維持とを両立可能な車両の前部車体構造を提供することである。
請求項1の車両の前部車体構造は、車両のエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスペンションタワーの頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバーとを備えた車両の前部車体構造において、前記カウルメンバーは、車幅方向に延びる底部と、この底部前端から立ち上がる縦壁部と、この縦壁部から前方へ略水平状に延びると共に左右両端部分にボルト締結部が形成されたフランジ部と、前記左右のボルト締結部と車幅方向中央部との間において前記縦壁部から車両前方に突出した左右1対の凸部とを備え、前記1対の凸部が、前記フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部と、前記縦壁部から前記傾斜縦壁部の車幅方向外側端部に連なる外側傾斜縦壁部と、前記縦壁部から前記傾斜縦壁部の車幅方向内側端部に連なる内側傾斜縦壁部とを夫々有し、前記外側傾斜縦壁部の車幅方向外側端部と前記ボルト締結部との距離が、前記内側傾斜縦壁部の車幅方向内側端部と車幅方向中央部との距離よりも短くなるように設定されていることを特徴としている。
この車両の前部車体構造では、カウルメンバーに左右のボルト締結部と車幅方向中央部との間において縦壁部から車両前方に突出した左右1対の凸部を設けているため、ボルト締結部に作用する前後左右方向の荷重を左右1対の凸部に誘導することができ、カウルメンバーのボルト締結部への荷重集中を回避することができる。
求項の発明は、請求項1の発明において、前記外側傾斜縦壁部及び内側傾斜縦壁部は前記縦壁部と鈍角状に連なるように形成されたことを特徴としている。
請求項の発明は、車両のエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスペンションタワーの頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバーとを備えた車両の前部車体構造において、前記カウルメンバーは、車幅方向に延びる底部と、この底部前端から立ち上がる縦壁部と、この縦壁部から前方へ略水平状に延びると共にボルト締結部が形成されたフランジ部と、前記ボルト締結部と車幅方向中央部との間において前記縦壁部から車両前方に突出した凸部とを備え、前記凸部に前記フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部を形成し、前記カウルメンバーの少なくとも車両前側に連結されて車幅方向に延びるカウルレインフォースメントを設け、前記カウルレインフォースメントが、前記縦壁部の前側に配置された前壁部と、この前壁部の上端から車両前方に延びるフランジ部と、このフランジ部に形成された凹部とを備え、前記凹部の車幅方向内側端部を前記凸部の車幅方向内側端部と略一致するように配置したことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、カウルメンバーのボルト締結部に作用する前後左右方向の荷重を左右1対の凸部に誘導することができ、ボルト締結部への荷重集中を回避することができるため、カウルメンバーを固定する締結ボルトの緩みを防止できる。フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部によって、荷重が集中する屈曲部を設けることなくカウルメンバーに凸部を形成することができるため、ボルト締結部から誘導された荷重をボルト締結部から離隔するように凸部よりも下流側部分(車幅方向中央側部分)に分散することができる。外側傾斜縦壁部の車幅方向外側端部とボルト締結部との距離が、内側傾斜縦壁部の車幅方向内側端部と車幅方向中央部との距離よりも短くなるように設定されているため、凸部において変形や座屈の発生を防止することができる。これにより、カウルメンバーを着脱可能に構成しつつ、カウルメンバーの締結ボルトの緩み防止と車体の剛性と強度の維持とを両立することができる。
求項の発明によれば、荷重をボルト締結部から凸部に誘導する誘導機能と荷重を凸部から下流側部分に分散する分散機能とを増すことができる。
請求項の発明によれば、カウルメンバーを着脱可能に構成しつつ、カウルメンバーの締結ボルトの緩み防止と車体の剛性と強度の維持とを両立することができる。
また、ボルト締結部に作用する前後左右方向の荷重を凸部と凹部とに誘導することができるため、ボルト締結部への荷重集中を一層回避することができる。また、凸部に残留する荷重が低減するため、カウルメンバーの変形を一層抑制することができる。
本発明の実施例1に係る車両の前部車体構造の斜視図である。 前部車体構造の要部平面図である。 フロントメンバ部材の右側要部斜視図である。 図3の平面図である。 フロントメンバ部材を斜め下方から視た図である。 カウルレインフォースメントの右側要部斜視図である。 図2のVII−VII線断面図である。 図2のVIII−VIII線断面図である。 図4のIX−IX線断面図である。 比較例2に係るフロントメンバ部材の右側要部斜視図である。 変形例2に係るフロントメンバ部材の右側要部斜視図である。 変形例3に係るフロントメンバ部材の右側要部斜視図である。 フロントメンバ部材の解析位置を示す図である。 検証解析結果を示す表である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、本実施例では、車両の進行方向に対して前後方向を前後方向とし、左右方向を左右方向として説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図9に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施例の車両Vは、左右1対のフロントサイドフレーム(図示略)と、左右1対のサスペンションタワー(以下、サスタワーという)1と、左右1対のエプロン部材2と、ダッシュパネル3と、カウル構造4等を備えている。
図1に示すように、左右1対のサスタワー1は、エプロン部材2の上部から車室側へ張り出すように設けられ、フロントサスペンション(図示略)のダンパ装置(図示略)を収容可能な柱状空間を夫々構成している。これら1対のサスタワー1は、その頂部に車幅方向に隣り合う1対のボルト穴1aを夫々備え、車幅方向内側下部が左右1対のフロントサイドフレームに夫々接合されている。
本実施例のサスペンションは、サスタワー1に対して上下方向(軸方向)の荷重以外に前後方向及び左右方向の荷重が入力される方式、例えばストラット式サスペンションである。尚、このストラット式サスペンションは、ロアアームと、ダンパ装置と、コイルスプリング等を備えた公知の構造であるため、詳細説明を省略する。
図1,図2,図7,図8に示すように、ダッシュパネル3は、左右1対のサスタワー1の後側においてエンジンルーム5と車室とを仕切るように設けられ、ダッシュロアパネル3aと、ダッシュロアパネル3aの上端に連結されたダッシュアッパパネル3bとを備えている。
ダッシュロアパネル3aは、左右端部に左右1対のフロントピラー部材(図示略)が夫々連結され、上下方向中段部に左右1対のフロントサイドフレームが夫々連結されている。ダッシュロアパネル3aの上下方向中段部且つ左側部分には、制動装置の一部を構成するマスターバック6がボルト(図示略)によって着脱可能に装着されている。
ダッシュアッパパネル3bは、車幅方向に延びると共にダッシュロアパネル3aの上端から後側上方に後方上がり傾斜状に延びるように構成されている。このダッシュアッパパネル3bの前端部分は、ダッシュロアパネル3aの上端よりも前方まで延び、車幅方向へ列状に配置された複数のボルト穴、例えば6つのボルト穴(図示略)が形成されている。
図1,図2,図7,図8に示すように、カウル構造4は、ダッシュアッパパネル3bと、カウルパネル7と、フロントメンバ部材8等を備えている。カウルパネル7は、ダッシュアッパパネル3bの後側上端部に連結され、車幅方向に延びると共にダッシュアッパパネル3bの後側上端部から前側上方に前方上がり傾斜状に延びるように構成されている。
フロントメンバ部材8は、ダッシュロアパネル3aよりも前方位置に配置され、ダッシュロアパネル3aに装着されたマスターバック6等の装備品の上部を覆う状態で設置されている。このフロントメンバ部材8は、カウルメンバー10と、カウルレインフォースメント(以下、カウルレインという)20とによって一体的に構成されている。
図1〜図5,図7,図8に示すように、カウルメンバー10は、車幅方向に延びるように構成され、底部11と、この底部11の前端から立ち上がる前側縦壁部12(縦壁部)と、この前側縦壁部12の上端から前方へ略水平状に延びる前側フランジ部13(フランジ部)と、底部11の後端から立ち上がる後側縦壁部14と、この後側縦壁部14の上端から後方へ略水平状に延びる後側フランジ部15とを備えている。このカウルメンバー10は、雨が降った場合等に水が流れる桶部を形成している。
図3〜図5に示すように、前側フランジ部13の左右端部分には、車幅方向に隣り合う1対のボルト穴13aが夫々形成されている。これらのボルト穴13aは、サスタワー1の頂部のボルト穴1a(図1参照)と夫々重なり合うように配置された後、これらのボルト穴1a,13aにボルト9aを挿通して締結固定する。これらボルト穴1a,13aがボルト締結部に相当している。図5に示すように、後側フランジ部15には、車幅方向に配列された複数、例えば6つのボルト穴15aが形成されている。これらのボルト穴15aは、ダッシュアッパパネル3bの前端部分に設けられたボルト穴と夫々重なり合うように配置された後、ボルト9bを挿通して締結固定する。これにより、ボルト9a,9bを取り外すことによって、フロントメンバ部材8を車体から取り外すことができる。
前側縦壁部12には、前方に突出した左右1対の凸部16が形成されている。左右1対の凸部16は、左右対称構造であるため、右側の凸部16について主に説明する。
凸部16は、前側縦壁部12の上側部分において、ボルト締結部であるボルト穴1a,13aよりも左側(車幅方向内側)且つ車幅方向中央部よりも右側(車幅方向外側)の範囲に設けられている。
凸部16は、傾斜縦壁部16aと、傾斜縦壁部16aの右端に連なる右側傾斜縦壁部16b(外側傾斜縦壁部)と、傾斜縦壁部16aの左端に連なる左側傾斜縦壁部16c(内側傾斜縦壁部)とを備えている。
図8に示すように、傾斜縦壁部16aは、上端が前側フランジ部13の後端と鈍角状に連なると共に下端が前側縦壁部12の中段部と鈍角状に連なるように断面略ストレート状に形成されている。傾斜縦壁部16aの下端と前側縦壁部12との交差角度は、120度以上180度未満になるように設定されている。好ましくは、135度以上180度未満である。尚、傾斜縦壁部16aの下端と前側縦壁部12との交差角度を120度以上135度未満に設定する場合、傾斜縦壁部16aと前側縦壁部12とが形成する稜線をだらすように形成する。
図3〜図4に示すように、右側傾斜縦壁部16bと左側傾斜縦壁部16cとは、略同形状に形成され、上端が前側フランジ部13の後端と夫々鈍角状に連なると共に前側縦壁部12と夫々鈍角状に連なるように断面略ストレート状に形成されている。
右側傾斜縦壁部16bの右端とボルト穴1a,13aとの離隔距離は、左側傾斜縦壁部16cの左端と車幅方向中央部との離隔距離よりも短くなるように設定される。
カウルレイン20は、断面略L字状に形成され、カウルメンバー10の強度を補強するためにカウルメンバー10の前側に連結されている。このカウルレイン20は、車幅方向に延びるように構成され、底部21と、この底部21の前端から立ち上がる前壁部22と、この前壁部22の上端から前方へ略水平状に延びるフランジ部23等を備えている。
底部21の後端は、カウルメンバー10の底部11の前端に連結されている。
図7,図8に示すように、前壁部22は、カウルメンバー10の前側縦壁部12から所定距離離隔するように配置され、傾斜縦壁部16aからも離隔配置されている。これにより、カウルメンバー10とカウルレイン20とは協働して空間部を構成している。
フランジ部23は、前側フランジ部13の下側に配置され、等間隔毎にスポット溶接によって前側フランジ部13に接合されている。図6,図9に示すように、フランジ部23には、下方へ凹入した左右1対の凹部24が形成されている。それ故、本実施例では、スポット溶接位置が凹部24の外側近傍位置に設定され、凹部24を間に挟み込むように接合されている。
左右1対の凹部24は、左右対称構造であるため、右側の凹部24について主に説明する。
図6に示すように、凹部24は、底壁部24aと、この底壁部24aの右端に連なる右側底壁部24bと、底壁部24aの左端に連なる左側底壁部24cとを備え、凹部24の車幅方向の長さは、凸部16の車幅方向の長さよりも短く設定されている。
図9に示すように、底壁部24aは、前側フランジ部13の下面から離隔しているため、凹部24は、カウルメンバー10とカウルレイン20とが構成した空間部と外部空間とを連通している。
右側底壁部24bと左側底壁部24cとは、略同形状に形成され、フランジ部23と夫々鈍角状に連なるように構成されている。左側底壁部24cの車幅方向左端位置は、左側傾斜縦壁部16の車幅方向左端位置と略一致するように配置され、右側底壁部24bの車幅方向右端位置は、凸部16の車幅方向中間位置と略一致するように配置されている。これにより、ボルト穴1a,13aに集中するダンパ荷重を途中部分に集中させることなく凸部16と凹部24とに誘導することができる。また、スポット溶接位置を制限することなく凹部24を設けることができる。
図2に示すように、カウル構造4の内部には、ワイパ装置30が配設されている。このワイパ装置30は、ワイパモータ31と、左右1対のワイパリンク32と、左右1対のピボットアーム33と、左右1対のピボットホルダブラケット34と、連結フレーム35等を備えている。
次に、図10〜図14に基づき、本実施例に係る検証解析及びその解析結果について説明する。尚、各図において、カウル構造の右側部分のみを示すと共に実施例1と同じ部材は同じ符号を付し、左側部分の構造は省略している。
まず、本検証解析の解析条件について説明する。
検証対象のカウル構造として、従来技術に相当する比較例1,2と、実施例1及び実施例1の変形構造である変形例1〜3とを用意して荷重に起因する歪の解析を行った。
比較例1は、カウルメンバー10から凸部16を省略し、カウルレイン20から凹部24を省略した従来のカウル構造である。
比較例2は、図10に示すように、カウルメンバー10Aに実施例1の凸部16に代えて凸部17を設けた従来のカウル構造である。凸部17は、前側縦壁部12から直交状に前方へ延びる横壁部17aと、この横壁部17aの前端に直交状に設けられた第2前側縦壁部17bとを備えている。前側縦壁部12と横壁部17aと第2前側縦壁部17bとは、複数、例えば8つの稜線(角部)を形成している。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
変形例1は、カウルレイン20から凹部24を省略したカウル構造である。カウルメンバー10は実施例1と同様の構成である。
変形例2は、図11に示すように、カウルメンバー10Bに実施例1の凸部16に代えて凸部16よりも車幅方向に長い凸部16Aを設けたカウル構造である。正面視にて凸部16Aの車幅方向外側部分はボルト穴1a,13aと一部重複するように配置されている。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
変形例3は、図12に示すように、カウルメンバー10Cに実施例1の凸部16を設け、この凸部16の車幅方向外側に凸部16と同様の凸部16Bを別途追加したカウル構造である。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
前記6つのカウル構造について、夫々のダンパ支持部に所定の荷重を所定の方向に与え、図13に示す5つの評価位置P1〜P5に発生する歪を解析した。
P1地点は車幅方向外側のボルト締結部に対応する位置、P2地点は車幅方向内側のボルト締結部に対応する位置、P3地点はボルト締結部と凸部16との中間部に対応する位置、P4地点は凸部16に対応する位置である。
P1,P2地点の解析値がボルト締結部歪の解析結果、P3〜P5地点の解析値がカウル変形歪の解析結果に夫々相当し、夫々の地点の解析結果は、良好:○、許容範囲内:△、NG:×の記号で夫々記載している。
図14の表に基づき、夫々の解析結果について説明する。
比較例1は、P1地点のボルト締結部歪が大きいため、ボルトの緩みが発生する虞がある。これば、凸部が形成されていないため、ボルト締結部から荷重を誘導することができず、ボルト締結部に荷重が集中しているものと推測される。
比較例2は、P3地点のカウル変形歪が大きいため、車体の剛性と強度が低下する虞がある。これは、ボルト締結部に入力する荷重をボルト締結部から凸部17に誘導する誘導機能を備えているものの、角部の数が多く、また、交差角度が小さく形成されているため、荷重を凸部17から下流側の左側部分に分散する分散機能が低下し、凸部17に荷重が集中しているものと推測される。
実施例1及び変形例1〜3は、何れの地点でも大きな歪は観察されなかった。
変形例2,3は、実施例1及び変形例1に比べてP1,P2地点のボルト締結部歪が大きくなっている。これは、凸部16Bが平面視にてボルト締結部と一部重複するように設けられた場合、荷重が凸部16Bに集中し、荷重をボルト締結部から凸部16Aに誘導する誘導機能が低下するため、ボルト締結部に荷重が残留していることが要因と推測される。
尚、実施例1は、変形例1に比べてP3地点のカウル変形歪を10%程度低くすることができる。これは、凸部16に残留する荷重が、凹部24の荷重分散機能によって低減されたことが要因と推測される。
この車両の前部車体構造によれば、カウルメンバー10のボルト締結部であるボルト穴1a,13aに作用する前後左右方向の荷重を凸部16に誘導することができ、ボルト穴1a,13aへの荷重集中を回避することができるため、カウルメンバー10を固定する締結ボルト9aの緩みを防止できる。前側フランジ部13の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部16aによって、荷重が集中する屈曲部を設けることなくカウルメンバー10に凸部16を形成することができるため、ボルト穴1a,13aから誘導された荷重をボルト穴1a,13aから離隔するように凸部16よりも下流側部分(車幅方向中央側部分)に分散することができ、凸部16において変形や座屈の発生を防止することができる。これにより、カウルメンバー10を着脱可能に構成しつつ、カウルメンバー10の締結ボルト9aの緩み防止と車体の剛性と強度の維持とを両立することができる。
凸部16はボルト穴1a,13aよりも車幅方向内側に設けられているため、ボルト穴1a,13aと凸部16とを離隔することができ、ボルト穴1a,13aの荷重集中を確実に回避することができる。
右側傾斜縦壁部16bと左側傾斜縦壁部16cは前側縦壁部12と鈍角状に連なるように形成されているため、荷重をボルト穴1a,13aから凸部16に誘導する誘導機能と荷重を凸部16から下流側部分に分散する分散機能とを増すことができる。
カウルメンバー10の少なくとも車両前側に連結されて車幅方向に延びるカウルレイン20を設け、このカウルレイン20が、前側縦壁部12の前側に配置された前壁部22と、この前壁部22の上端から車両前方に延びるフランジ部23と、このフランジ部23に形成された凹部24とを備え、この凹部24の車幅方向内側端部を凸部16の車幅方向内側端部と略一致するように配置したため、ボルト穴1a,13aに作用する前後左右方向の荷重を凸部16と凹部24とに誘導することができ、ボルト穴1a,13aへの荷重集中を一層回避することができる。また、凸部16に残留する荷重が低減するため、カウルメンバー10の変形を一層抑制することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、凸部の傾斜縦壁部を前側縦壁部の中段部分から前側フランジ部の後端に鈍角状に連なるように形成した例を説明したが、凸部の傾斜縦壁部を底部の前端から前側フランジ部の後端に鈍角状に連なるように形成することも可能である。
2〕前記実施例においては、左右1対の凸部を設けた例を説明したが、荷重集中の大きな一方側のみに凸部を設けても良く、また、作用する荷重に応じて左右の凸部形状や大きさを変更しても良い。また、設計条件によって、カウルレインの凹部を省略することも可能である。
3〕前記実施例においては、ストラット式サスペンションの例を説明したが、特にサスペンション型式は限られず、サスタワーに対して前後方向及び左右方向の荷重が入力されるサスペンションに対して大きな効果を奏することができる。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、サスペンションタワーの頂部にボルト締結されたカウルメンバーを備えた車両の前部車体構造において、カウルメンバーに車両前方へ突出した凸部を設け、この凸部にフランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部を形成したことにより、カウルメンバーを着脱可能に構成しつつ、カウルメンバーの締結ボルトの緩み防止と車体の剛性と強度の維持とを両立することができる。
1 サスタワー
1a ボルト穴(ボルト締結部)
3 ダッシュパネル
5 エンジンルーム
9a ボルト
10 カウルメンバー
11 底部
12 前側縦壁部
13 前側フランジ部
13a ボルト穴(ボルト締結部)
16 凸部
16a 傾斜縦壁部
16b 右側傾斜縦壁部
16c 左側傾斜縦壁部
20 カウルレイン
22 前壁部
23 フランジ部
24 凹部
24c 左側底壁部
V 車両

Claims (3)

  1. 車両のエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスペンションタワーの頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバーとを備えた車両の前部車体構造において、
    前記カウルメンバーは、車幅方向に延びる底部と、この底部前端から立ち上がる縦壁部と、この縦壁部から前方へ略水平状に延びると共に左右両端部分にボルト締結部が形成されたフランジ部と、前記左右のボルト締結部と車幅方向中央部との間において前記縦壁部から車両前方に突出した左右1対の凸部とを備え、
    前記1対の凸部が、前記フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部と、前記縦壁部から前記傾斜縦壁部の車幅方向外側端部に連なる外側傾斜縦壁部と、前記縦壁部から前記傾斜縦壁部の車幅方向内側端部に連なる内側傾斜縦壁部とを夫々有し、
    前記外側傾斜縦壁部の車幅方向外側端部と前記ボルト締結部との距離が、前記内側傾斜縦壁部の車幅方向内側端部と車幅方向中央部との距離よりも短くなるように設定されていることを特徴とする車両の前部車体構造。
  2. 前記外側傾斜縦壁部及び内側傾斜縦壁部は前記縦壁部と鈍角状に連なるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
  3. 車両のエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスペンションタワーの頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバーとを備えた車両の前部車体構造において、
    前記カウルメンバーは、車幅方向に延びる底部と、この底部前端から立ち上がる縦壁部と、この縦壁部から前方へ略水平状に延びると共にボルト締結部が形成されたフランジ部と、前記ボルト締結部と車幅方向中央部との間において前記縦壁部から車両前方に突出した凸部とを備え、
    前記凸部に前記フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部を形成し、
    前記カウルメンバーの少なくとも車両前側に連結されて車幅方向に延びるカウルレインフォースメントを設け、
    前記カウルレインフォースメントが、前記縦壁部の前側に配置された前壁部と、この前壁部の上端から車両前方に延びるフランジ部と、このフランジ部に形成された凹部とを備え、
    前記凹部の車幅方向内側端部を前記凸部の車幅方向内側端部と略一致するように配置したことを特徴とする車両の前部車体構造。
JP2012156056A 2012-07-12 2012-07-12 車両の前部車体構造 Active JP5930197B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012156056A JP5930197B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 車両の前部車体構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012156056A JP5930197B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 車両の前部車体構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014019165A JP2014019165A (ja) 2014-02-03
JP5930197B2 true JP5930197B2 (ja) 2016-06-08

Family

ID=50194579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012156056A Active JP5930197B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 車両の前部車体構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5930197B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6137689B2 (ja) * 2014-01-30 2017-05-31 本田技研工業株式会社 自動車の車体構造
JP6304503B2 (ja) 2015-10-16 2018-04-04 マツダ株式会社 車両の側部車体構造
JP6738757B2 (ja) 2017-03-29 2020-08-12 株式会社神戸製鋼所 車両前部構造
CN112051072B (zh) * 2020-08-25 2022-09-06 中国第一汽车股份有限公司 一种悬架及制动系统底盘紧固件松动整车试验方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006182197A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyota Motor Corp 車体前部構造
JP4736669B2 (ja) * 2005-09-27 2011-07-27 マツダ株式会社 自動車の前部車体構造
JP2008265483A (ja) * 2007-04-19 2008-11-06 Toyota Auto Body Co Ltd 自動車のカウル構造
JP5076718B2 (ja) * 2007-08-07 2012-11-21 マツダ株式会社 自動車の前部車体構造
JP4427076B2 (ja) * 2007-09-11 2010-03-03 本田技研工業株式会社 前部車体構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014019165A (ja) 2014-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3556591B1 (en) Vehicle body front structure for electric vehicle
US10618489B2 (en) Utility vehicle
US10486751B2 (en) Side vehicle body structure of vehicle
US7404596B2 (en) Vehicle front body structure
JP6187771B2 (ja) 車両の前部車体構造
US10967825B2 (en) Utility vehicle
JP2002274438A (ja) 車体構造
JP5748127B2 (ja) 車体前部の構造
JP5930197B2 (ja) 車両の前部車体構造
JP5966280B2 (ja) 車両用ストラットタワー補強構造
JP5867115B2 (ja) 車両の下部車体構造
JP6380779B2 (ja) 車両のバッテリ取付部構造
JP2006111162A (ja) 車両の前部構造
JP2014104781A (ja) 自動車の脚払い構造
JP2007045263A (ja) 車両の車体構造
US9493131B2 (en) Structure for front of vehicle body
JP4471299B2 (ja) 自動車の車体前部構造
JP2018154210A (ja) アンダーランプロテクタ
JP4958215B2 (ja) 車両前部の車体構造
JP5358257B2 (ja) 車体前部構造
US11787474B2 (en) Vehicle suspension tower structure
JP2015205537A (ja) サスペンションフレームの構造
JP4581621B2 (ja) 車両の燃料タンク支持構造
JP2013147184A (ja) 車体前部構造
JP6610199B2 (ja) 車両の前部構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160419

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Ref document number: 5930197

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150