JP2014019165A - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両Vのエンジンルーム5と車室とを仕切るダッシュパネル3と、このダッシュパネル3から車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスタワー1の頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバー10とを備え、カウルメンバー10が、車幅方向に延びる底部11と、この底部前端から立ち上がる前側縦壁部12と、この前側縦壁部12から前方へ略水平状に延びると共にボルト穴13aが形成された前側フランジ部13と、ボルト締結部13aと車幅方向中央部との間において前側縦壁部12から車両前方に突出した凸部16とを備え、凸部16に前側フランジ部13の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部16aを形成した。
【選択図】 図8
Description
そこで、カウルメンバーをサスペンションタワーに対して着脱可能な構造にするため、ボルト締結によってカウルメンバーをサスペンションタワーに取り付ける構造が提案されている。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記傾斜縦壁部の車幅方向端部分は前記縦壁部と鈍角状に連なるように形成されたことを特徴としている。
請求項3の発明によれば、荷重をボルト締結部から凸部に誘導する誘導機能と荷重を凸部から下流側部分に分散する分散機能とを増すことができる。
図1に示すように、本実施例の車両Vは、左右1対のフロントサイドフレーム(図示略)と、左右1対のサスペンションタワー(以下、サスタワーという)1と、左右1対のエプロン部材2と、ダッシュパネル3と、カウル構造4等を備えている。
本実施例のサスペンションは、サスタワー1に対して上下方向(軸方向)の荷重以外に前後方向及び左右方向の荷重が入力される方式、例えばストラット式サスペンションである。尚、このストラット式サスペンションは、ロアアームと、ダンパ装置と、コイルスプリング等を備えた公知の構造であるため、詳細説明を省略する。
ダッシュロアパネル3aは、左右端部に左右1対のフロントピラー部材(図示略)が夫々連結され、上下方向中段部に左右1対のフロントサイドフレームが夫々連結されている。ダッシュロアパネル3aの上下方向中段部且つ左側部分には、制動装置の一部を構成するマスターバック6がボルト(図示略)によって着脱可能に装着されている。
フロントメンバ部材8は、ダッシュロアパネル3aよりも前方位置に配置され、ダッシュロアパネル3aに装着されたマスターバック6等の装備品の上部を覆う状態で設置されている。このフロントメンバ部材8は、カウルメンバー10と、カウルレインフォースメント(以下、カウルレインという)20とによって一体的に構成されている。
凸部16は、前側縦壁部12の上側部分において、ボルト締結部であるボルト穴1a,13aよりも左側(車幅方向内側)且つ車幅方向中央部よりも右側(車幅方向外側)の範囲に設けられている。
図8に示すように、傾斜縦壁部16aは、上端が前側フランジ部13の後端と鈍角状に連なると共に下端が前側縦壁部12の中段部と鈍角状に連なるように断面略ストレート状に形成されている。傾斜縦壁部16aの下端と前側縦壁部12との交差角度は、120度以上180度未満になるように設定されている。好ましくは、135度以上180度未満である。尚、傾斜縦壁部16aの下端と前側縦壁部12との交差角度を120度以上135度未満に設定する場合、傾斜縦壁部16aと前側縦壁部12とが形成する稜線をだらすように形成する。
右側傾斜縦壁部16bの右端とボルト穴1a,13aとの離隔距離は、左側傾斜縦壁部16cの左端と車幅方向中央部との離隔距離よりも短くなるように設定される。
図7,図8に示すように、前壁部22は、カウルメンバー10の前側縦壁部12から所定距離離隔するように配置され、傾斜縦壁部16aからも離隔配置されている。これにより、カウルメンバー10とカウルレイン20とは協働して空間部を構成している。
左右1対の凹部24は、左右対称構造であるため、右側の凹部24について主に説明する。
図9に示すように、底壁部24aは、前側フランジ部13の下面から離隔しているため、凹部24は、カウルメンバー10とカウルレイン20とが構成した空間部と外部空間とを連通している。
検証対象のカウル構造として、従来技術に相当する比較例1,2と、実施例1及び実施例1の変形構造である変形例1〜3とを用意して荷重に起因する歪の解析を行った。
比較例1は、カウルメンバー10から凸部16を省略し、カウルレイン20から凹部24を省略した従来のカウル構造である。
比較例2は、図10に示すように、カウルメンバー10Aに実施例1の凸部16に代えて凸部17を設けた従来のカウル構造である。凸部17は、前側縦壁部12から直交状に前方へ延びる横壁部17aと、この横壁部17aの前端に直交状に設けられた第2前側縦壁部17bとを備えている。前側縦壁部12と横壁部17aと第2前側縦壁部17bとは、複数、例えば8つの稜線(角部)を形成している。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
変形例2は、図11に示すように、カウルメンバー10Bに実施例1の凸部16に代えて凸部16よりも車幅方向に長い凸部16Aを設けたカウル構造である。正面視にて凸部16Aの車幅方向外側部分はボルト穴1a,13aと一部重複するように配置されている。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
変形例3は、図12に示すように、カウルメンバー10Cに実施例1の凸部16を設け、この凸部16の車幅方向外側に凸部16と同様の凸部16Bを別途追加したカウル構造である。カウルレイン20は実施例1と同様の構成である。
P1地点は車幅方向外側のボルト締結部に対応する位置、P2地点は車幅方向内側のボルト締結部に対応する位置、P3地点はボルト締結部と凸部16との中間部に対応する位置、P4地点は凸部16に対応する位置である。
P1,P2地点の解析値がボルト締結部歪の解析結果、P3〜P5地点の解析値がカウル変形歪の解析結果に夫々相当し、夫々の地点の解析結果は、良好:○、許容範囲内:△、NG:×の記号で夫々記載している。
比較例1は、P1地点のボルト締結部歪が大きいため、ボルトの緩みが発生する虞がある。これば、凸部が形成されていないため、ボルト締結部から荷重を誘導することができず、ボルト締結部に荷重が集中しているものと推測される。
比較例2は、P3地点のカウル変形歪が大きいため、車体の剛性と強度が低下する虞がある。これは、ボルト締結部に入力する荷重をボルト締結部から凸部17に誘導する誘導機能を備えているものの、角部の数が多く、また、交差角度が小さく形成されているため、荷重を凸部17から下流側の左側部分に分散する分散機能が低下し、凸部17に荷重が集中しているものと推測される。
変形例2,3は、実施例1及び変形例1に比べてP1,P2地点のボルト締結部歪が大きくなっている。これは、凸部16Bが平面視にてボルト締結部と一部重複するように設けられた場合、荷重が凸部16Bに集中し、荷重をボルト締結部から凸部16Aに誘導する誘導機能が低下するため、ボルト締結部に荷重が残留していることが要因と推測される。
尚、実施例1は、変形例1に比べてP3地点のカウル変形歪を10%程度低くすることができる。これは、凸部16に残留する荷重が、凹部24の荷重分散機能によって低減されたことが要因と推測される。
右側傾斜縦壁部16bと左側傾斜縦壁部16cは前側縦壁部12と鈍角状に連なるように形成されているため、荷重をボルト穴1a,13aから凸部16に誘導する誘導機能と荷重を凸部16から下流側部分に分散する分散機能とを増すことができる。
1〕前記実施例においては、凸部の傾斜縦壁部を前側縦壁部の中段部分から前側フランジ部の後端に鈍角状に連なるように形成した例を説明したが、凸部の傾斜縦壁部を底部の前端から前側フランジ部の後端に鈍角状に連なるように形成することも可能である。
1a ボルト穴(ボルト締結部)
3 ダッシュパネル
5 エンジンルーム
9a ボルト
10 カウルメンバー
11 底部
12 前側縦壁部
13 前側フランジ部
13a ボルト穴(ボルト締結部)
16 凸部
16a 傾斜縦壁部
16b 右側傾斜縦壁部
16c 左側傾斜縦壁部
20 カウルレイン
22 前壁部
23 フランジ部
24 凹部
24c 左側底壁部
V 車両
Claims (4)
- 車両のエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから車両前方に延び且つ車幅方向両側前端部が左右1対のサスペンションタワーの頂部に夫々ボルト締結されたカウルメンバーとを備えた車両の前部車体構造において、
前記カウルメンバーは、車幅方向に延びる底部と、この底部前端から立ち上がる縦壁部と、この縦壁部から前方へ略水平状に延びると共にボルト締結部が形成されたフランジ部と、前記ボルト締結部と車幅方向中央部との間において前記縦壁部から車両前方に突出した凸部とを備え、
前記凸部に前記フランジ部の後端と鈍角状に連なる傾斜縦壁部を形成したことを特徴とする車両の前部車体構造。 - 前記凸部は前記ボルト締結部よりも車幅方向内側に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
- 前記傾斜縦壁部の車幅方向端部分は前記縦壁部と鈍角状に連なるように形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部車体構造。
- 前記カウルメンバーの少なくとも車両前側に連結されて車幅方向に延びるカウルレインフォースメントを設け、
前記カウルレインフォースメントが、前記縦壁部の前側に配置された前壁部と、この前壁部の上端から車両前方に延びるフランジ部と、このフランジ部に形成された凹部とを備え、
前記凹部の車幅方向内側端部を前記凸部の車幅方向内側端部と略一致するように配置したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。
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