JP5929533B2 - ニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する化合物とシアノ化剤との反応によって、ニトリル化合物を製造する方法に関する。
ニトリル化合物は、シアノ基を有する有機化合物である。このニトリル化合物は、還元によってアミンへ、加水分解によってカルボン酸やアミドなどのカルボニル化合物へ、また、ニトリル炭素への求核攻撃を利用したケトンやアルデヒドへの変換が可能であることから、有用な合成中間体と言える。
ニトリル化合物の製造方法としては、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル,N,N‐ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒を用い、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する脂肪族化合物に対して、加熱条件でシアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどのシアノ化剤を用いて、シアノ化反応を行う方法が古くから知られている(非特許文献1、2)。
The Journal of Organic Chemistry 1960、25、6、p.877−879 第5版実験化学講座14、p.517−521
しかし、シアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどの金属シアン化物やシアン化テトラアルキルアンモニウム等をシアノ化剤として使用し、加熱条件でシアノ化(ニトリル化)反応を実施した場合、頻繁に、生成したニトリル化合物の重合が起こることがあり、赤褐色から黒色の着色を生じることがある。生じた着色を除去するためには、蒸留工程や吸着剤処理工程などの精製工程が必要となり、工業的に生産する場合にはコストアップの要因となる。この着色はニトリル化合物の重合物に由来するものであり、このような重合物の生成はニトリル化合物の収率低下の原因となる。ニトリル化合物の重合は温度が高いほど起こりやすいため、加熱条件でニトリル化合物を効率良く製造することが困難な場合があった。このため、加熱条件でも効率良くニトリル化合物を製造する方法が望まれていた。
本発明の目的は、従来法と比較して、反応中にニトリル化合物の重合を防ぐことができ、着色の少ないニトリル化合物を効率良く製造することができるニトリル化合物の製造方法を提供することにある。
本発明は、(a)酸と、(b)酸およびアミン化合物と、(c)酸およびアミン化合物から成る塩とからなる群から選ばれる添加剤の存在下で、以下の一般式(1)で示される構造を有する化合物と、シアノ化剤とを、50℃以上150℃以下で反応させて、シアノ基を有するニトリル化合物を製造する方法であって、前記一般式(1)で示される構造を有する化合物が、前記一般式(1)で示される構造を有するシリコーンオイルである、ニトリル化合物の製造方法である。
Figure 0005929533
(一般式(1)中、Yは、シアノ基と置換し得る脱離可能な基、または、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する基を表し、
1、R2およびR3は、各々独立して、水素原子、または、置換基を有していても良い炭化水素基を表し、ただし、該置換基を有していても良い炭化水素基中の炭化水素鎖の炭素数が2以上の場合には、隣り合う2つの炭素原子の間に炭素原子以外の他の原子を有していても良い)。
記炭化水素基が有していても良い置換基は、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有することができる。
本発明では、前記一般式(1)で示される構造を有する化合物中のシアノ基と置換し得る脱離可能な基が、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基から選ばれる基であることが好ましい。
また、本発明では、前記シアノ化剤が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化リチウムおよびシアン化テトラアルキルアンモニウムから選ばれることが好ましい。
さらに、前記添加剤に使用するアミン化合物が、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリエタノールアミンから選ばれることが好ましい。
また、本発明では、前記添加剤に使用する酸が、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酪酸およびイソ酪酸から選ばれる塩であることができる。さらに、本発明では、前記(c)酸およびアミン化合物から成る塩が、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩およびリン酸塩から選ばれる塩であることができる。
本発明によれば、従来法と比較して、反応中にニトリル化合物の重合を防ぐことができ、着色の少ないニトリル化合物を効率良く製造することができるニトリル化合物の製造方法を提供することができる。
<ニトリル化合物>
本発明により製造されるシアノ基を有するニトリル化合物は、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する化合物と、シアノ化剤とを特定の添加剤の存在下で特定の温度で反応させることによって得られる。
・シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する化合物
このシアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する化合物(以下、前駆体化合物と称することもある)は、以下の一般式(1)で示される構造を有する。
Figure 0005929533
一般式(1)中、Yは、シアノ基と置換し得る脱離可能な基、または、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する基(1価の置換基)を表す。
一般式(1)で示される構造を有する化合物中の、即ち、前記前駆体化合物が有する、シアノ基と置換し得る脱離可能な基は、脱離することによってシアノ基と置換される基であれば良く、特に限定されない。しかし、その中でも、シアノ基への置換が比較的容易であることから、このシアノ基と置換し得る脱離可能な基は、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基およびベンゼンスルホニルオキシ基から選ばれる基であることが好ましい。
また、このシアノ基と置換し得る脱離可能な基は、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)、ヨウ素原子(ヨード基)、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、およびp−トルエンスルホニルオキシ基から選ばれる基であることがより好ましい。
なお、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する基としては、例えば、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する炭化水素基を挙げることができる。
このシアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する炭化水素基は、シアノ基への置換が比較的容易であることから、ハロゲン原子、メタンスホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基及びベンゼンスルホニルオキシ基のうちの1つまたは複数で水素原子が置換された炭化水素基であることが好ましい。また、このシアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する炭化水素基は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、及びp−トルエンスルホニルオキシ基のうちの1つまたは複数で水素原子が置換された炭化水素基であることがより好ましい。この炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基のうちのいずれでも良い。また、この炭化水素基は、アルキル基(例えば炭素数1〜20)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜20)、アリール基(例えば炭素数3〜20)、水酸基、エポキシ基を含有する基(例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、及びオキシラン基)、アリールオキシ基(例えば炭素数3〜20)、メタクリロイル基、メルカプト基、シリル基、シロキシ基、イミノ基、ウレイド基、アミノ基、イソシアネート基等の置換基を有していても良い。さらに、この炭化水素基中の炭化水素鎖(主鎖、主骨格)の炭素数が2以上の場合には、隣り合う2つの炭素原子の間に、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子等の炭素原子以外の他の原子が1つまたは複数挿入されていても良い。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、及びビニル基を挙げることができる。
また、上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基を挙げることができる。
さらに、上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基を挙げることができる。
なお、この炭化水素基の主鎖となる炭化水素鎖の炭素数(上記シアノ基と置換し得る脱離可能な基やその他の置換基を含まない炭素数)は、1以上、20以下が好ましく、2以上、12以下がより好ましい。
また、一般式(1)中、R1、R2およびR3は、各々独立して、水素原子、または、置換基を有していても良い炭化水素基を表す。ただし、この置換基を有していても良い炭化水素基中の炭化水素鎖(主鎖、主骨格)の炭素数が2以上の場合には、隣り合う2つの炭素原子の間に炭素原子以外の他の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、及びケイ素原子)を1つまたは複数有していても良い。また、この炭化水素基は、上述した脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、および芳香族炭化水素基のうちのいずれでも良い。さらに、この炭化水素基は、上述したように、炭化水素基が有する水素原子の一部が、他の原子(例えば、ハロゲン原子)や、アルキル基(例えば炭素数1〜20)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜20)、アリール基(例えば炭素数3〜20)、アリールオキシ基(例えば炭素数3〜20)、シリル基、シロキシ基、アミノ基、水酸基、エポキシ基を含有する基(例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、及びオキシラン基)、メタクリロイル基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等の置換基によって置換されていても良い。なお、この置換基は、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有していても良く、この置換基が、シアノ基と置換し得る脱離可能な基であっても良い。この置換基が有するシアノ基と置換し得る脱離可能な基も、シアノ基への置換が比較的容易であることから、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基およびベンゼンスルホニルオキシ基から選ばれる基であることが好ましい。置換基が有するシアノ基と置換し得る脱離可能な基も、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)、ヨウ素原子(ヨード基)、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、およびp−トルエンスルホニルオキシ基から選ばれる基であることがより好ましい。
前記置換基を有していても良い炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ビニル基等の脂肪族炭化水素基;
これら脂肪族炭化水素基に、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シロキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、シリル基、エポキシ基を含有する基(例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、及びオキシラン基)、メタクリロイル基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等が置換したもの;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基;
これら脂環式炭化水素基に、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シロキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、シリル基、エポキシ基を含有する基(例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、及びオキシラン基)、メタクリロイル基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基等が置換したもの;
フェニル基、トリル基等の芳香族炭化水素基;
これら芳香族炭化水素基を、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シロキシ基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、シリル基、エポキシ基を含有する基(例えば、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基、及びオキシラン基)、メタクリロイル基、メルカプト基、イミノ基、ウレイド基、イソシアネート基で1つまたは複数置換したもの;
等が挙げられる。
アルキル基で置換された芳香族炭化水素基としては、例えば、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル基置換アリール基が挙げられ、アルコキシ基で置換された芳香族炭化水素としては、例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシ基置換アリール基が挙げられ、これらの芳香族炭化水素基はさらに上述した置換基によって置換されることができる。
前記置換基を有していても良い炭化水素基の主鎖となる炭化水素鎖の炭素数(置換基を含まない炭素数)は、1以上、20以下が好ましく、2以上、12以下がより好ましい。
一般式(1)中、R1、R2及びR3がいずれも、水素原子またはシアノ基と置換し得る脱離可能な基を有さない炭化水素基である場合、一般式(1)で表される構造を有する化合物(前駆体化合物)と、シアノ化剤との反応によって、以下の一般式(2)で表される構造を有するニトリル化合物を得ることができる。なお、得られるニトリル化合物における一般式(2)で示される構造中のR1〜R3は、それぞれ用いた前駆体化合物における一般式(1)で示される構造中のR1〜R3と同じである。
Figure 0005929533
また、一般式(1)中、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つが、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する炭化水素基である場合、前駆体化合物とシアノ化剤との反応によって、この前駆体化合物が複数有する、シアノ基と置換し得る脱離可能な基のうちの1つ以上が、シアノ基に変換されたニトリル化合物を得ることができる。
本発明に用いる前駆体化合物は、単一分子内に、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を1つのみ有していても良いし、複数有していても良い。また、この前駆体化合物は、上述した一般式(1)で示される構造、即ち、シアノ化反応を行うことができる構造を1つのみ有していても良いし、複数有していても良い。この前駆体化合物の具体例としては、例えば、一般式(1)で示される構造を有する、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、シロキサン結合で構成される主鎖を有するシロキサン化合物(例えば、シリコーンオイル)を挙げることができる。この一般式(1)に示す構造を有するシリコーンオイル(変性シリコーンオイル)は、例えば、シリコーンオイルを、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する炭化水素基によって変性することで得ることができる。この変性シリコーンオイルは、上記一般式(1)に示す構造を例えば側鎖に有していても良いし、末端に有していても良い。なお、この変性シリコーンオイルとしては、例えばカルビノール変性シリコーンオイル(商品名:X−22−4039、信越化学工業(株)製)の側鎖の水酸基を化学変換し、メタンスルホニルオキシ基としたシリコーンオイルを使用することができる。
・シアノ化剤
シアノ化剤は、ニトリル化合物の製造に従来用いられるシアノ化剤から適宜選択して用いることができる。このシアノ化剤としては、例えば、アルカリ金属シアン化物、アルカリ土類金属シアン化物、シアン化テトラアルキルアンモニウムを挙げることができる。しかしながら、安価であり、取扱いが容易であることから、これらの中でも、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)、シアン化カリウム(青酸カリ)、シアン化リチウム、およびシアン化テトラアルキルアンモニウムから選ばれるシアノ化剤を用いることが好ましい。なお、シアン化テトラアルキルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は、入手容易性の観点から2以上が好ましく、4以下が好ましい。また、シアノ化剤は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
シアノ化剤の使用量(合計使用量)は、特に限定されない。しかし、上記前駆体化合物(原料化合物)が有するシアノ基と置換し得る脱離可能な基に対して、シアノ化剤中のシアノ化源(シアノ基)が、反応を効率的に進行させるために1.0モル当量以上、副反応やニトリル化合物の重合反応を抑制するために12モル当量以下となる量が好ましく、1.1モル当量以上、5モル当量以下となる量がより好ましく、1.2モル当量以上、3モル当量以下となる量が特に好ましい。
・添加剤
本発明では、添加剤から与えられるプロトン(H+)の効果によって、生成したニトリル化合物の重合を防ぎ、着色の少ないニトリル化合物を製造する。
本発明では、上記前駆体化合物と、シアノ化剤とを以下の(a)〜(c)より選ばれる添加剤の存在下で反応させる。
(a)酸、
(b)酸およびアミン化合物、
(c)酸およびアミン化合物から成る塩。
これらの中でも、より効率的に反応を進行させることができる点から、(b)酸およびアミン化合物、および、(c)酸およびアミン化合物から成る塩のうちから選ばれる添加剤を使用することが好ましい。なお、(a)〜(c)の添加剤は、単独で用いても良いし、併用しても良い。
これらの添加剤に使用する酸としては、反応溶媒中でプロトン(H+)を放出することのできる酸である。例えば、無機酸(鉱酸)および有機酸を挙げることができる。代表的な無機酸としては、例えば、塩酸(塩化水素、HCl)、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)、りん酸(H3PO4)、ホウ酸(B(OH)3)、および炭酸を挙げることができるが、これらに限定されない。また、代表的な有機酸としては、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの中でも、安価であり、入手が容易である点から、添加剤に用いる酸としては塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酪酸およびイソ酪酸から選ばれる酸が好ましい。
これらの酸は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。添加剤に用いる酸の使用量(合計使用量)は特に限定されないが、酸が放出できるプロトン(H+)の量として、シアノ化剤中のシアノ化源(シアノ基)に対して、効果的にニトリルの重合を防ぐために0.001モル当量以上、効率的にシアノ化反応を進行させるために1.0モル当量以下が好ましく、0.01モル当量以上、0.8モル当量以下がより好ましく、0.1モル当量以上、0.6モル当量以下が特に好ましい。
これらの添加剤に使用するアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン、モノメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アニリン、1−フェニルメチルアミン、及びノニルアミン等の1級アミン;エチレンジアミン、及びペンタン−1,2,5−トリアミン等の多価アミン;エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン;ジエチルアミン等の2級アミン;ビス(2−クロロエチル)アミン、1−クロロ−N−(2−クロロエチル)エタン−1−アミン、及びN−(2−クロロエチル)プロパン−1−アミン等のハロゲン化2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、及びN−エチル−N−メチルn−ブチルアミン等の3級アミン;N−メチル−N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン等の3級多価アミン;アンモニア等を挙げることができる。
これらの中でも、安価であり、容易に入手できる点から、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリエタノールアミンから選ばれるアミン化合物を用いることが好ましい。なお、これらのアミン化合物は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
添加剤に用いるアミン化合物の使用量(合計使用量)は、特に限定されないが、アミノ基(‐NH2)の量として、シアノ化剤中のシアノ化源(シアノ基)に対して、効率的にシアノ化反応を進行させるために0.001モル当量以上、アミン化合物由来の着色を抑制する点から1.0モル当量以下が好ましく、0.01モル当量以上、0.8モル当量以下がより好ましく、0.1モル当量以上、0.6モル当量以下が特に好ましい。
本発明の製造方法では、これらの酸とアミン化合物とを、上記添加剤(b)のように、それぞれ反応系中に添加しても良いし、上記添加剤(c)のように、予め塩を形成させた状態で反応系中に添加しても良い。
この(c)酸およびアミン化合物から成る塩は、特に限定されるものではないが、例えば、上述した酸と、上述したアミン化合物とから構成される塩であることができる。この中でも、取扱いが容易であることから、(c)酸およびアミン化合物から成る塩は、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩およびリン酸塩から選ばれることが好ましい。このような酸およびアミン化合物から成る塩としては、例えば、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、トリプロピルアミン塩酸塩、トリブチルアミン塩酸塩、炭酸アンモニウム、エタノールアミン炭酸塩、モノメチルアミン硫酸塩、エタノールアミン硫酸塩、リン酸トリエタノールアミン、酢酸アンモニウムおよびヒドロキシルアミンリン酸塩等が挙げられる。これらの塩は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
(c)酸およびアミン化合物から成る塩の使用量(合計使用量)は、特に限定されないが、この塩中の酸が放出できるプロトン(H+)の量として、シアノ化剤中のシアノ化源(シアノ基)に対して、効果的にニトリルの重合を防ぐために0.001モル当量以上、効率的にシアノ化反応を進行させるために1.0モル当量以下が好ましく、0.01モル当量以上、0.8モル当量以下がより好ましく、0.1モル当量以上、0.6モル当量以下が特に好ましい。
なお、上記(a)〜(c)の添加剤を併用する場合は、添加剤の合計使用量は、これらの添加剤中に含まれる酸が放出できるプロトン(H+)の量として、シアノ化剤中のシアノ化源(シアノ基)に対して、効果的にニトリルの重合を防ぐために0.001モル当量以上、効率的にシアノ化反応を進行させるために1.0モル当量以下が好ましく、0.01モル当量以上、0.8モル当量以下がより好ましく、0.1モル当量以上、0.6モル当量以下が特に好ましい。
・反応溶媒
ニトリル化合物を得るためのシアノ化反応は、通常、溶媒中で行われる。このシアノ化反応に用いる溶媒としては、シアノ化反応に不活性な、即ち、前駆体化合物やシアノ化剤と反応しない溶媒であれば特に制限されない。
この溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒(分子構造中にスルホキシド基を有する溶媒);N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒(分子構造中にアミド基を有する溶媒);アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒(分子構造中にニトリル基を有する溶媒);ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、1,3−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒(分子構造中にエーテル基を有する溶媒);ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒(分子構造中にハロゲン原子を有する溶媒);ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;および、これらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、シアノ化反応に用いる溶媒としては、スルホキシド系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、エーテル系溶媒等の、水と混和性を有する溶媒が好ましい。これらの水と混和性を有する溶媒を用いることにより、シアノ化剤の溶解性を上げることができる。これらの溶媒の使用量(合計使用量)は、特に限定されないが、一般式(1)で示される構造を有する化合物1gに対して、好ましくはシアノ化剤を溶解させるために0.1ml以上、経済性の点から100ml以下、より好ましくは0.2ml以上50ml以下、更に好ましくは0.5ml以上10ml以下である。
・各材料の添加方法
上述した前駆体化合物と、添加剤と、シアノ化剤との添加方法は、本発明の効果が得られる範囲で適宜選択できるが、添加剤が存在しない状態で前駆体化合物とシアノ化剤を接触させると、シアノ化反応が進行し、生成したニトリル化合物が重合するという危険性があることから、原料(前駆体化合物)とシアノ化剤とが接触する前に、添加剤と、前駆体化合物またはシアノ化剤とを接触させておくことが好ましい。前駆体化合物とシアノ化剤を反応器に入れる順序は特に限定されず、前駆体化合物に添加剤を添加した後にシアノ化剤を添加しても良いし、添加剤を添加したシアノ化剤を前駆体化合物に添加しても良いし、シアノ化剤に添加剤を添加した後に前駆体化合物を添加しても良いし、添加剤を添加した前駆体化合物をシアノ化剤に添加しても良い。
また、反応溶媒の添加方法は、本発明の効果が得られる範囲で適宜選択できるが、シアノ化反応を効率的に進行させるために、前駆体化合物とシアノ化剤を接触させる前に、予め反応溶媒に、前駆体化合物およびシアノ化剤のいずれか一方、または両方を溶解させておくことが好ましい。
また、このシアノ化反応は、空気中、または不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)の雰囲気下で行うことができる。
・温度及び時間
上述した添加剤を、シアノ化剤や前駆体化合物に添加する際の温度は、特に限定されないが、材料の反応溶媒への溶解性や操作性を考慮し、−10℃以上100℃以下が好ましく、0℃以上60℃以下がより好ましく、5℃以上40℃以下が特に好ましい。
全ての材料を添加して、シアノ化反応を実施する際の温度、即ち反応温度は、50℃以上150℃以下とする。反応温度が50℃以上であれば、シアン化反応を効率良く進行させることができ、150℃以下とすることで原料および生成物の分解を抑えることができる。また、反応温度は、60℃以上が好ましく、120℃以下が好ましい。シアノ化反応の追跡は、ガスクロマトグラフィーや核磁気共鳴装置(NMR)測定等の公知の分析手段により行うことができる。
反応時間は、反応規模にもよるが、10分以上24時間以下が好ましく、30分以上12時間以下がより好ましく、1時間以上8時間以下が特に好ましい。
・後処理
本発明では、シアノ化反応を実施した後に、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことによってニトリル化合物を単離することができる。例えば、シアノ化反応を実施した後に得られた溶液に、生成したニトリル化合物が溶解する任意の有機溶媒および水を加え、抽出操作を行った後、有機溶媒層をロータリーエバポレーターで濃縮することによってニトリル化合物を単離することができる。また、必要に応じて蒸留やクロマトグラフィー等の精製操作を行うことによって高純度のニトリル化合物を取得することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1]メタンスルホニルオキシ基によって変性したシリコーンオイルの合成
還流冷却器を備えた500mlの三つ口フラスコに、塩化メチレン200mlを添加した。続いて、このフラスコ内に、カルビノール変性シリコーンオイル(商品名:X−22−4039、信越化学工業(株)製)100g(このシリコーンオイル中の水酸基量:0.103mol)を入れ、この塩化メチレンに溶解させた。氷浴で、フラスコ内の溶液の温度を5℃に冷却した後、このフラスコ内に、トリエチルアミン12.54g(0.124mol)を添加し、攪拌した。続いて、塩化メタンスルホニル14.20g(0.124mol)を滴下漏斗を用いて、反応液の温度を5〜19℃に保ちながら30分かけてフラスコ内に滴下した。そして、塩化メタンスルホニルの滴下終了後、反応液を室温(25℃)で1時間攪拌した。
得られた反応液を吸引ろ過し、析出物を除去した。そして、ろ液にn−ヘキサン200mlを入れた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。さらに有機層を純水200mlで3回洗浄した。得られた有機層中の溶媒を除去し、前駆体化合物となるメタンスルホン酸エステル(メタンスルホニルオキシ基によって変性したシリコーンオイル)を取得した。1H―NMRによって、カルビノール変性シリコーンオイルの全ての水酸基がメタンスルホニルオキシ基に変換されていることを確認した。取得収量は、99.3g(0.0934mol)であり、取得収率(原料の水酸基に対する取得物のメタンスルホニル基の収率)は、91mol%であった。
上記合成例1では、原料にカルビノール変性シリコーンオイル(商品名:X−22−4039、信越化学工業(株)製)を使用し、1分子中に複数のメタンスルホニルオキシ基を有する変性シリコーンオイルを合成した。この変性シリコーンオイルは、上記カルビノール変性シリコーンオイルの側鎖に、Yがメタンスホニルオキシ基であり、R1およびR2がいずれもH(水素原子)であり、かつR3が炭化水素基である一般式(1)に示す構造を複数有する。上述したように、メタンスルホニルオキシ基は、シアノ基と置換し得る良い脱離可能な基であり、このメタンスルホニルオキシ基をシアノ基で置換することにより、ニトリル化合物を得ることができる。
[分析方法]
各例におけるシアノ化反応の分析は、以下に示す方法により行った。
シアノ化反応を実施した反応液を重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(商品名:JNM−EX270、日本電子(株)製)にて分析した。この反応液では、シアノ化反応が進行するに従って、前駆体化合物における、スルホン酸エステル基に隣接(結合)する炭素原子中のプロトン(−CH2−OSO2CH3,δ=4.29ppm)のシグナル、およびメチル基中のプロトン(−CH2−OSO2CH3,δ=2.74ppm)が消失し、生成するニトリル化合物におけるシアノ基に隣接(結合)する炭素原子中のプロトン(−CH2−CN,δ=2.51ppm)のシグナルが観測された。なお、各例の反応液では、この前駆体化合物(原料)およびニトリル化合物(生成物)以外に由来するシグナルは観測されなかった。これらのシグナルの面積比から、シアノ化反応における反応収率(mol%)を算出した。
[実施例1]
還流冷却器を備えた20mlの三つ口フラスコに、シアノ化剤としてシアン化ナトリウム0.098g(2.0mmol)、溶媒としてジメチルスルホキシド4mlを入れ、室温で10分間攪拌した。次に、このフラスコ内に、添加剤として塩化水素のジオキサン溶液(4mol/L)0.125ml(塩化水素として0.50mmol)を添加し、室温(25℃)で10分間攪拌した。ここに、合成例1で取得したメタンスルホン酸エステル1.06g(1.00mmol)を滴下した。これを昇温し、反応温度、即ちフラスコ内の反応液の温度を90℃に保ちつつ、6.0時間攪拌することでシアノ化反応を実施しニトリル化合物を合成した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[実施例2]
添加剤を塩化水素のジオキサン溶液から、硫酸0.051g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[実施例3]
添加剤を塩化水素のジオキサン溶液から、酢酸0.030g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[実施例4]
添加剤として、トリエチルアミン0.052g(0.50mmol)、及び塩化水素のジオキサン溶液(4mol/L)0.125ml(塩化水素として0.50mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。なお、表1中の収率に示す「>99」とは、反応収率が99mol%より高いことを意味する。
[実施例5]
添加剤を塩化水素のジオキサン溶液から、トリエチルアミン塩酸塩0.071g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[実施例6]
シアノ化反応を実施する際の反応温度を90℃から110℃に変更し、反応時間を6.0時間から2.0時間に変更した以外は、実施例5と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[実施例7]
添加剤を塩化水素のジオキサン溶液から、塩化アンモニウム0.028g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にしてニトリル化合物を製造した。シアノ化反応終了後の反応液には目立った着色が無かった。反応収率を表1に示す。
[比較例1]
添加剤を使用せず、反応時間を0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてシアノ化反応を行った。しかし、得られた反応液は黒色に着色し、分析したところ、前駆体化合物(原料)および目的のニトリル化合物(生成物)は確認されなかった。これは、目的のニトリル化合物が反応系中で重合してしまったためだと考えられる。
[比較例2]
シアノ化反応を実施する際の反応温度を90℃から110℃に変更した以外は、比較例1と同様にしてシアノ化反応を行った。しかし、得られた反応液は黒色に着色し、分析したところ、前駆体化合物(原料)および目的のニトリル化合物(生成物)は確認されなかった。これは、目的のニトリル化合物が反応系中で重合してしまったためだと考えられる。
[比較例3]
添加剤を塩化水素のジオキサン溶液から、トリエチルアミン0.052g(0.50mmol)に変更し、反応時間を6.0時間から0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてシアノ化反応を行った。しかし、得られた反応液は黒色に着色し、分析したところ、前駆体化合物(原料)および目的のニトリル化合物(生成物)は確認されなかった。これは、目的のニトリル化合物が反応系中で重合してしまったためだと考えられる。
[比較例4]
添加剤をトリエチルアミンから、テトラブチルアンモニウムクロライド0.144g(0.50mmol)に変更した以外は、比較例3と同様にしてシアノ化反応を行った。しかし、得られた反応液は黒色に着色し、分析したところ、前駆体化合物(原料)および目的のニトリル化合物(生成物)は確認されなかった。これは、目的のニトリル化合物が反応系中で重合してしまったためだと考えられる。
[比較例5]
添加剤をトリエチルアミンから、ヨウ化カリウム0.086g(0.50mmol)に変更した以外は、比較例3と同様にしてシアノ化反応を行った。しかし、得られた反応液は黒色に着色し、分析したところ、前駆体化合物(原料)および目的のニトリル化合物(生成物)は確認されなかった。これは、目的のニトリル化合物が反応系中で重合してしまったためだと考えられる。
Figure 0005929533

Claims (7)

  1. (a)酸と、(b)酸およびアミン化合物と、(c)酸およびアミン化合物から成る塩とからなる群から選ばれる添加剤の存在下で、
    以下の一般式(1)で示される構造を有する化合物と、シアノ化剤とを、50℃以上150℃以下で反応させて、シアノ基を有するニトリル化合物を製造する方法であって、前記一般式(1)で示される構造を有する化合物が、前記一般式(1)で示される構造を有するシリコーンオイルである、ニトリル化合物の製造方法
    Figure 0005929533
    (一般式(1)中、Yは、シアノ基と置換し得る脱離可能な基、または、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する基を表し、
    1、R2およびR3は、各々独立して、水素原子、または、置換基を有していても良い炭化水素基を表し、ただし、該置換基を有していても良い炭化水素基中の炭化水素鎖の炭素数が2以上の場合には、隣り合う2つの炭素原子の間に炭素原子以外の他の原子を有していても良い)。
  2. 前記炭化水素基が有していても良い置換基が、シアノ基と置換し得る脱離可能な基を有する請求項に記載のニトリル化合物の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で示される構造を有する化合物中のシアノ基と置換し得る脱離可能な基が、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基から選ばれる基である請求項1または2に記載のニトリル化合物の製造方法。
  4. 前記シアノ化剤が、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化リチウムおよびシアン化テトラアルキルアンモニウムから選ばれる請求項1〜のいずれか1項に記載のニトリル化合物の製造方法。
  5. 前記添加剤に使用するアミン化合物が、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびトリエタノールアミンから選ばれる請求項1〜のいずれか1項に記載のニトリル化合物の製造方法。
  6. 前記添加剤に使用する酸が、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酪酸およびイソ酪酸から選ばれる請求項1〜のいずれか1項に記載のニトリル化合物の製造方法。
  7. 前記(c)酸およびアミン化合物から成る塩が、塩酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、およびリン酸塩から選ばれる請求項1〜のいずれか1項に記載のニトリル化合物の製造方法。
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