JP5928350B2 - 引上式連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法に関する。
特許文献1には、発明者らにより、鋳型を要しない画期的な連続鋳造方法として、自由鋳造方法が提案されている。特許文献1に示したように、溶融金属(溶湯)の表面(すなわち湯面)にスタータを接触させた後、当該スタータを引き上げると、スタータに追従して溶湯も導出される。ここで、湯面近傍に設置された形状規定部材を介して、溶湯を導出し、冷却することにより、所望の断面形状を有する鋳物を連続鋳造することができる。
通常の連続鋳造方法では、鋳型によって断面形状とともに長手方向の形状も規定される。とりわけ、連続鋳造方法では、鋳型内を凝固した金属(すなわち鋳物)が通り抜ける必要があるため、鋳造された鋳物は長手方向に直線状に延びた形状となる。
これに対し、自由鋳造方法における形状規定部材は、鋳物の断面形状のみを規定し、長手方向の形状は規定しない。そして、形状規定部材は、湯面に平行な方向(すなわち水平方向)に移動可能であるから、長手方向の形状が様々な鋳物が得られる。例えば、特許文献1には、長手方向に直線状でなく、ジグザグ状あるいは螺旋状に形成された中空鋳物(すなわちパイプ)が開示されている。
特開2012−61518号公報
発明者は以下の課題を見出した。
特許文献1に記載の自由鋳造方法では、スタータ(導出部材)と溶湯とが溶融結合してしまうため、スタータを損傷させることなく鋳物から剥がすことができず、スタータを再利用することができない、という問題があった。
本発明は、上記を鑑みなされたものであって、導出部材を再利用することが可能な引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る引上式連続鋳造装置は、溶湯を保持する保持炉と、前記保持炉に保持された前記溶湯の湯面から前記溶湯を導出する導出部と、前記湯面近傍に設置され、前記導出部によって導出される前記溶湯に外力を印加することにより、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材と、前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却する冷却部と、を備え、前記導出部は、前記溶湯に浸漬される導出部材と、前記導出部材の表面を覆う保護被膜と、を有するものである。それにより、導出部材と溶湯との溶融結合を抑制することができるため、導出部材を損傷させずに鋳物から剥がすことができる。その結果、導出部材の再利用が可能となる。
前記導出部材の融点は前記溶湯の融点よりも高いことが好ましい。それにより、導出部材の溶損を抑制ことができる。
前記溶湯はアルミニウム又はその合金であって、前記導出部材は鉄又はその合金によって構成されることが好ましい。
前記溶湯はアルミニウム又はその合金であって、前記導出部材はステンレスによって構成されることが好ましい。
前記保護被膜は、前記導出部材の表面に析出された塩結晶であることが好ましい。
前記塩結晶は、前記導出部材を食塩水に浸漬し乾燥させることで当該導出部材の表面に析出されることが好ましい。
前記塩結晶は、前記導出部材を加熱した状態で食塩水に浸漬し乾燥させることで当該導出部材の表面に析出されることが好ましい。
前記導出部材の加熱温度は約163℃であることが好ましい。
前記食塩水の濃度は、約16.3質量%であることが好ましい。
前記導出部材は凹凸形状の表面を有することが好ましい。それにより、導出部材と溶湯との引上げ方向の結合力を向上させることができる。
前記導出部材の凹凸形状は、当該導出部材の表面をRa2.0μmでショットブラストすることにより形成されることが好ましい。
前記導出部材は、複数の部材により分割可能に構成されていることが好ましい。それにより、導出部材を容易に鋳物から剥がすことができる。
本発明の一態様に係る引上式連続鋳造方法は、導出部材の表面を保護被膜で覆うステップと、保持炉に保持された溶湯に前記導出部材を浸漬するステップと、前記導出部材により前記溶湯を導出して、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材を通過させるステップと、前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却するステップと、を備えているものである。それにより、導出部材と溶湯との溶融結合を抑制することができるため、導出部材を損傷させることなく鋳物から剥がすことができる。その結果、導出部材の再利用が可能となる。
前記導出部材の融点を前記溶湯の融点よりも高くすることが好ましい。それにより、導出部材の溶損を抑制ことができる。
前記溶湯はアルミニウム又はその合金であって、前記導出部材は鉄又はその合金によって構成されることが好ましい。
前記溶湯はアルミニウム又はその合金であって、前記導出部材はステンレスによって構成されることが好ましい。
前記保護被膜は塩結晶であることが好ましい。
前記導出部材を食塩水に浸漬し乾燥させることで、当該導出部材の表面に前記塩結晶を析出させることが好ましい。
前記導出部材を加熱した状態で食塩水に浸漬し乾燥させることで、当該導出部材の表面に前記塩結晶を析出させることが好ましい。
前記導出部材を約163℃で加熱することが好ましい。
前記食塩水の濃度は、約16.3質量%であることが好ましい。
前記導出部材は凹凸形状の表面を有することが好ましい。それにより、導出部材と溶湯との引上げ方向の結合力を向上させることができる。
前記導出部材の表面をRa2.0μmでショットブラストすることにより、前記導出部材の表面を凹凸形状にすることが好ましい。
前記導出部材を、複数の部材により分割可能に構成することが好ましい。それにより、導出部材を容易に鋳物から剥がすことができる。
本発明により、導出部材を再利用することが可能な引上式連続鋳造装置及び引上式連続鋳造方法を提供することができる。
実施の形態1に係る自由鋳造装置の断面図である。 内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの平面図である。 溶湯導出時におけるスタータST、保護被膜D1及び溶湯M1を示す断面模式図である。 溶湯導出時におけるスタータST、保護被膜D1及び溶湯M1を示す断面模式図である。 実施の形態1に係る自由鋳造装置の溶湯導出方法を示す図である。 実験方法を説明するための図である。 各テストピースTPの塩析出性、溶湯導出性及び剥離性等の実験結果を示す図である。 各テストピースTPの塩析出性、溶湯導出性及び剥離性の実験結果を示す平面写真である。 各テストピースTPの塩析出状態を示す平面顕微鏡写真である。 溶湯導出後のテストピースTP、保護被膜D1及び鋳物M3を示す断面写真である。 テストピースTPの塩析出状態を示す平面写真である。 スタータの構成例を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、実施の形態1に係る自由鋳造装置(引上式連続鋳造装置)について説明する。図1は、実施の形態1に係る自由鋳造装置の断面図である。図1に示すように、実施の形態1に係る自由鋳造装置は、溶湯保持炉(保持炉)101、内部形状規定部材102a、外部形状規定部材102b、支持ロッド103、104、アクチュエータ105、冷却ガスノズル106、及び、スタータ(導出部材)STを備えている。
溶湯保持炉101は、例えばアルミニウムやその合金などの溶湯M1を収容し、所定の温度に保持する。図1の例では、鋳造中に溶湯保持炉101へ溶湯を補充しないため、鋳造の進行とともに溶湯M1の表面(つまり湯面)は低下する。他方、鋳造中に溶湯保持炉101へ溶湯を随時補充し、湯面を一定に保持するような構成としてもよい。なお、当然のことながら、溶湯M1はアルミニウム以外の他の金属や合金であってもよい。本実施の形態では、溶湯M1がアルミニウムである場合を例に説明する。
内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bは、例えばセラミックスやステンレスなどからなり、湯面近傍に配置されている。図1の例では、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bが湯面に接触するように配置されている。しかしながら、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bは、それらの下側(湯面側)の主面が湯面に接触しないように設置されてもよい。具体的には、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの下側の主面と湯面との間に所定の(例えば0.5mm程度の)ギャップを設けてもよい。
内部形状規定部材102aは、鋳造する鋳物M3の内部形状を規定し、外部形状規定部材102bは、鋳造する鋳物M3の外部形状を規定する。図1に示した鋳物M3は、水平方向の断面(以下、横断面と称す)の形状が管状の中空鋳物(つまりパイプ)である。すなわち、より具体的には、内部形状規定部材102aは、鋳物M3の横断面の内径を規定し、外部形状規定部材102bは、鋳物M3の横断面の外径を規定する。
図2は、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの平面図である。ここで、図1の内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの断面図は、図2のI−I断面図に相当する。図2に示すように、外部形状規定部材102bは、例えば矩形状の平面形状を有し、中央部に円形状の開口部を有している。内部形状規定部材102aは、円形状の平面形状を有し、外部形状規定部材102bの開口部の中央部に配置されている。内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の間隙が、溶湯が通過する溶湯通過部102cとなる。このように、内部形状規定部材102a、外部形状規定部材102b、溶湯通過部102cから形状規定部材102が構成されている。
図1に示すように、溶湯M1は、スタータSTと結合した後、その表面膜や表面張力により外形を維持したままスタータSTに追従して引き上げられ、溶湯通過部102cを通過する。ここで、溶湯の表面膜や表面張力によってスタータST(又は、スタータSTによって導出された溶湯M1が凝固して形成された鋳物M3)に追従して湯面から引き上げられた溶湯を保持溶湯M2と呼ぶ。また、鋳物M3と保持溶湯M2との界面が凝固界面である。
支持ロッド103は、内部形状規定部材102aを支持し、支持ロッド104は、外部形状規定部材102bを支持する。支持ロッド103、104により、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの位置関係を維持することができる。ここで、支持ロッド103をパイプ構造とし、これに冷却ガスを流し、さらに内部形状規定部材102aに吹出孔を設ければ、内側からも鋳物M3を冷却することができる。
アクチュエータ105には、支持ロッド103、104がともに連結されている。アクチュエータ105によって、支持ロッド103、104は、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bの位置関係を維持したまま、上下方向(鉛直方向)及び水平方向に移動可能である。このような構成により、鋳造の進行による湯面の低下とともに、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bを下方向に移動させることができる。また、内部形状規定部材102a及び外部形状規定部材102bを水平方向に移動させることができるため、鋳物M3の長手方向の形状を自由に変化させることができる。
冷却ガスノズル(冷却部)106は、スタータSTや鋳物M3に冷却ガス(空気、窒素、アルゴンなど)を吹き付け、冷却するためのものである。スタータSTに連結された引上機(不図示)により鋳物M3を引き上げつつ、冷却ガスによりスタータSTや鋳物M3を冷却することにより、凝固界面近傍の保持溶湯M2が順次凝固し、連続的に鋳物M3が形成されていく。なお、スタータSTと引上機とにより導出部とも称す。
スタータSTは、例えば、溶湯M1の融点以上の高融点の材料で形成されている。それにより、スタータSTの溶損をある程度抑制することができる。本実施の形態では、溶湯M1がアルミニウムであるのに対し、スタータSTがアルミニウムよりも融点の高いステンレスによって形成されている場合を例に説明する。ステンレスは錆びにくいため保管性にも優れている。なお、スタータSTは、ステンレスに限られず、鉄、アルミニウム、鉄やアルミニウムの合金、セラミック等により形成されていてもよい。
さらに、スタータSTの表面は保護被膜D1で覆われている。保護被膜D1は、例えば、塩結晶である。この塩結晶は、スタータSTを食塩水に浸漬し乾燥させることで当該スタータSTの表面に析出される。このようにスタータSTの表面を保護被膜D1で覆うことにより、スタータSTと溶湯M1との溶融結合を抑制することができるため(図3参照)、スタータSTを損傷させずに鋳物M3から剥がすことができる。それにより、スタータSTの再利用が可能となる。なお、保護被膜D1は、塩結晶に限られず他の結晶や酸化膜等であってもよい。
さらに、スタータSTの表面は凹凸形状を有していることが好ましい。それにより、スタータSTの表面に保護被膜D1を付着(析出)させやすくなるため(図4参照)、スタータSTと鋳物M3との剥離性を向上させることができる。さらに、スタータSTと溶湯M1との濡れ性が高くなる等の理由により、溶湯導出時のスタータSTと溶湯M1との引上げ方向の結合力(溶湯導出性)を向上させることができる。
次に、図1、図2及び図5を参照して、実施の形態1に係る自由鋳造方法について説明する。図5は、実施の形態1に係る自由鋳造装置の溶湯導出方法を示す図である。
まず、溶湯保持炉101内に溶湯M1をセットする(図5のS101)。
次に、表面が保護被膜D1で覆われたスタータSTを降下させ、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の溶湯通過部102cを通して、当該スタータSTの先端部を溶湯M1の湯面に接触させる(図5のS102)。その後、スタータSTをさらに降下させ、スタータSTの先端部で溶湯M1の湯面の酸化膜を突き破って当該スタータSTを溶湯M1に浸漬させる(図5のS103)。
次に、所定の速度でスタータSTの引き上げを開始する(図5のS104)。ここで、スタータSTが湯面から離間しても、溶湯M1は、表面膜や表面張力によってスタータSTに追従して湯面から引き上げられ(導出され)保持溶湯M2を形成する。図1に示すように、保持溶湯M2は、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとの間の溶湯通過部102cに形成される。つまり、内部形状規定部材102aと外部形状規定部材102bとにより、保持溶湯M2に形状が付与される。
次に、スタータST(及び鋳物M3)は、冷却ガスノズル106から吹き出される冷却ガスにより冷却される。それにより、保持溶湯M2が上側から下側に向かって順に凝固し、鋳物M3が成長していく。このようにして、鋳物M3を連続鋳造することができる。
鋳物M3の鋳造後、スタータSTを鋳物M3から剥がす。ここで、上記したように、スタータSTの表面は保護被膜D1で覆われている。それにより、スタータSTと溶湯M1との溶融結合が抑制されるため、スタータSTを損傷させずに鋳物M3から剥がすことができる。その結果、スタータSTの再利用が可能となる。
このように、本実施の形態にかかる自由鋳造装置では、スタータSTの表面が保護被膜D1で覆われている。それにより、スタータSTと溶湯M1との溶融結合を抑制することができるため、スタータSTを損傷させずに鋳物M3から剥がすことができる。その結果、スタータSTの再利用が可能となる。
さらに、本実施の形態にかかる自由鋳造装置では、スタータSTの表面が凹凸形状を有する。それにより、スタータSTの表面に保護被膜D1を付着(析出)させやすくなるため、スタータSTと鋳物M3との剥離性を向上させることができる。さらに、スタータSTと溶湯M1との濡れ性が高くなる等の理由により、溶湯導出時のスタータSTと溶湯M1との引上げ方向の結合力(溶湯導出性)を向上させることができる。
(実験結果)
続いて、発明者らが、保護被膜D1の種類、スタータSTの表面形状、及び、スタータSTの予熱を様々に変更して、スタータSTと鋳物M3との剥離性、及び、スタータSTによる溶湯導出性を実験したので、その実験結果について説明する。
なお、実験では、スタータSTの代わりに40mm×100mm×1mmのステンレス製のテストピースTPが用いられている。また、溶湯M1には、上記したようにアルミニウムが用いられている。保護被膜D1は、塩結晶、なし、の2種類がある。スタータSTの表面形状は、鏡面(凹凸なし)、サンドペーパ(♯180)研磨による凹凸形状、ショットブラスト(Ra2.0μm)による凹凸形状、の3種類がある。スタータSTの予熱温度は、25℃、163℃、256〜258℃、の3種類がある。
図6は、実験方法を説明するための図である。
まず、テストピースTPの表面形状を鏡面、凹凸形状の何れかにした後、当該テストピースTPを25℃、163℃、256〜258℃の何れかにまで加熱する(図6のS201)。
次に、テストピースTPを食塩水に0.5秒程度浸漬する(図6のS202)。以下では、食塩水の濃度が約16.3質量%である場合を例に説明する。なお、保護被膜D1(塩結晶)無しの場合には、テストピースTPを食塩水に浸漬しない。
次に、テストピースTPを大気中で乾燥させて表面に塩結晶を析出させる(図6のS203)。なお、保護被膜D1(塩結晶)無しの場合には、テストピースTPを大気中で乾燥させる必要はない。
ここで、テストピースTPの予熱が高いほど、乾燥が早いため、テストピースTPの表面に析出される塩結晶のサイズは小さくなる。逆に、テストピースTPの予熱が低いほど、乾燥が遅いため、テストピースTPの表面に析出される塩結晶のサイズは大きくなる。
次に、上記工程を経たテストピースTPを用いて溶湯M1を導出する(溶湯導出性の確認を行う)。その後、テストピースTPを凝固後の溶湯M1(つまり鋳物M3)から剥がす(剥離性の確認を行う)(図6のS204)。
図7は、各テストピースTPの塩析出性、溶湯導出性及び剥離性等の実験結果を示す図である。図8は、各テストピースTPの塩析出性、溶湯導出性及び剥離性の実験結果を示す平面写真である。図9は、各テストピースTPの塩析出状態を示す平面顕微鏡写真である。
図7及び図8の実験結果を参照すると、保護被膜D1無し、かつ、表面形状が鏡面のテストピースTPの場合(図7のNo.1)、テストピースTPと溶湯M1とが強固に溶融結合するため、導出性は高いが剥離性は低い。保護被膜D1無し、かつ、表面形状がショットブラストにより凹凸形状のテストピースTPの場合(図7のNo.2)、テストピースTPと溶湯M1とが結合せず導出性が低い。一方、保護被膜D1が塩結晶のテストピースTPの場合、テストピースTPと溶湯M1との溶融結合が抑制されるため剥離性が比較的高い。さらに、テストピースTPと溶湯M1との濡れ性が高くなる等の理由により、溶湯導出性も比較的高い。
図7及び図8の実験結果のうち、溶湯導出性及び剥離性ともに高い実験結果を示すのは、保護被膜D1が塩結晶、表面形状がショットブラストにより凹凸形状、かつ、予熱温度が25℃又は163℃のテストピースTPの場合(図7のNo.5,6)である。ただし、予熱温度が163℃の場合の方が、予熱温度が25℃の場合よりも、塩結晶の析出時間が短くて済む。
ここで、図9の実験結果を参照すると、溶湯導出性及び剥離性ともに高い実験結果を示すこれらテストピースTPの表面には、塩結晶が均一に析出されていることがわかる。具体的には、保護被膜D1が塩結晶、表面形状がショットブラストにより凹凸形状、かつ、予熱温度が25℃又は163℃のテストピースTPの場合(図7のNo.5,6)、凹部を埋め尽くすように塩結晶が析出されており、さらにその上に塩結晶が析出されている。一方、予熱温度が256℃のテストピースTPの場合(図7のNo.10)、食塩水が瞬時に蒸発して乾燥するため、塩結晶は不均一に析出されている。なお、塩結晶のサイズは、予熱温度25℃では350×670μm、予熱温度163℃では100〜200μm、予熱温度256℃では10〜50μm程度である。
図10は、保護被膜D1が塩結晶、表面形状がショットブラストにより凹凸形状、かつ、予熱温度が163℃のテストピースTP(図7のNo.6)の溶湯導出後の断面写真である。
図10に示すように、紙面中央には、約200μmの鋳物M3(アルミニウム)の凸部が観察される。この鋳物M3の凸部とテストピースTPとの間には、塩結晶が一部観察される。
図11は、保護被膜D1が塩結晶、表面形状がショットブラストにより凹凸形状、かつ、予熱温度が25℃又は163℃のテストピースTP(図7のNo.5,6)の塩析出状態を示す平面写真である。
図11に示すように、特に予熱温度25℃で塩結晶を析出させた場合、鋳造後にもテストピースTP表面に塩結晶が多く残存している。したがって、塩結晶の析出時間を考慮しなければ、予熱温度25℃のテストピースTPの場合でも、溶湯導出性及び剥離性を向上させることができる。
上記実施の形態では、スタータSTの形状を特に限定せずに説明したが、例えば、スタータSTは複数の部材により分割可能に形成されていてもよい。
図12は、角柱フレーム部材用の分割可能なスタータSTの一例を示す図である。図12に示すスタータSTは、複数の板材を組み合わせ、それらの上部を複数のガイド及びクリップで固定することにより構成されている。このような構成により、スタータSTを構成する複数の板材を折り曲げて容易に鋳物M3から剥がすことができる。即ち、スタータSTと鋳物M3との剥離性を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
101 溶湯保持炉
102 形状規定部材
102a 内部形状規定部材
102b 外部形状規定部材
102c 溶湯通過部
103、104 支持ロッド
105 アクチュエータ
106 冷却ガスノズル
M1 溶湯
M2 保持溶湯
M3 鋳物
D1 保護被膜
ST スタータ
TP テストピース

Claims (7)

  1. 導出部材の表面を保護被膜で覆うステップと、
    保持炉に保持された溶湯に前記導出部材を浸漬するステップと、
    前記導出部材により前記溶湯を導出して、鋳造する鋳物の断面形状を規定する形状規定部材を通過させるステップと、を備え
    前記溶湯はアルミニウム又はその合金であって、
    前記導出部材は、鉄もしくはその合金、又は、ステンレスによって構成され、
    前記導出部材を食塩水に浸漬し乾燥させることで、当該導出部材の表面に前記保護被膜としての塩結晶を析出させる、引上式連続鋳造方法。
  2. 前記導出部材の融点を前記溶湯の融点よりも高くする、請求項に記載の引上式連続鋳造方法。
  3. 前記食塩水の濃度は、16.3質量%である、請求項1又は2に記載の引上式連続鋳造方法。
  4. 前記導出部材は凹凸形状の表面を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の引上式連続鋳造方法。
  5. 前記導出部材の表面をRa2.0μmでショットブラストすることにより、前記導出部材の表面を凹凸形状にする、請求項に記載の引上式連続鋳造方法。
  6. 前記導出部材を、複数の部材により分割可能に構成する、請求項1〜5の何れか一項に記載の引上式連続鋳造方法。
  7. 前記形状規定部材を通過した前記溶湯を冷却するステップをさらに備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の引上式連続鋳造方法。
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