JP5927064B2 - マット材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マット材の製造方法、マット材、及び、排ガス浄化装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境又は人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境又は人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライト又は炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を内部に収容する金属ケーシングと、排ガス処理体及び金属ケーシングの間に配設された保持シール材とを備える排ガス浄化装置が種々提案されている。
排ガス浄化装置において、保持シール材は、排ガス処理体及び金属ケーシングが接触することにより破損すること、並びに、金属ケーシング及び排ガス処理体の隙間から排ガスが漏出することを防止している。また、保持シール材は、排ガスの排圧により排ガス処理体が脱落することを防止している。さらに、排ガス浄化装置では、反応性を維持するために排ガス処理体を高温に保持する必要があるため、保持シール材には断熱性も要求される。
上記の要件を満たす保持シール材の部材として、アルミナ繊維等の無機繊維を含むマット材が挙げられる。
また、アルミナ繊維の代わりに、ガラス繊維を含むマット材も提案されている。例えば、特許文献1には、E−ガラス等のガラス繊維を含むマット材が開示されている。
ガラス繊維は、一般に、次のような工程を経て製造される。
まず、予めガラス繊維として利用するに相応しいガラス組成となるように調合されたガラス原料を溶解し、均質な状態とした後、溶融ガラスを紡糸することによってガラスフィラメントを形成する。次に、各ガラスフィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する。その後、ガラスフィラメントを数十〜数千本束ねることにより、1本のガラス繊維(ガラス繊維ストランド)を得る。
上記の工程を経て得られたガラス繊維ストランドを用いて、ニードリング法又は抄造法によりマット材を形成することができる。
さらに、保持シール材の部材としては、無機粒子を含むマット材も提案されている。
無機粒子を含むマット材では、有機バインダが焼失した後であっても無機粒子が繊維に付着している。そのため、繊維間の摩擦が増大する結果、マット材の反発力を向上させることができる。
保持シール材の製造方法ではないが、無機繊維に無機粒子を付着させる方法として、特許文献2には、樹脂(樹脂性収束剤)と耐熱性物質の短繊維、ウィスカ又は粉末とが溶解及び懸濁された処理液に連続無機繊維を連続的に浸漬する方法が開示されている。また、特許文献3には、樹脂性サイジング剤(樹脂性収束剤)と無機粉末とを懸濁させた処理液に無機繊維束を連続的に浸漬する方法が開示されている。
特表2006−516043号公報 特開昭63−59473号公報 特開2011−157632号公報
無機繊維及び無機粒子を含むマット材を製造する方法として、特許文献2及び特許文献3に記載された方法を採用する場合、樹脂と無機粒子とが混合された状態で無機繊維に付着するため、無機粒子と無機繊維との接着が樹脂により阻害されてしまう。従って、無機繊維に無機粒子を付着させることによりマット材の反発力を向上させる効果を充分に得ることができないという問題が生じる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、無機繊維に無機粒子がしっかりと付着したマット材を製造することができるマット材の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記製造方法により製造されたマット材を提供すること、及び、上記マット材を保持シール材として備える排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
本発明のマット材の製造方法は、
無機繊維及び無機粒子を含むマット材の製造方法であって、
紡糸された無機フィラメントを準備する工程と、
上記無機フィラメントの表面に、無機粒子を付着させる工程と、
上記無機粒子を付着させた無機フィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する工程と、
上記樹脂性収束剤を塗布した無機フィラメントを収束することにより、無機繊維ストランドを得る工程とを含むことを特徴とする。
本発明のマット材の製造方法では、無機フィラメントの表面に無機粒子を付着させた後、樹脂性収束剤を塗布する。
従って、無機粒子が、樹脂に阻害されることなく無機フィラメントに接着しやすくなる。そのため、無機粒子を無機繊維(無機繊維ストランド)にしっかりと付着させることができる。また、無機フィラメントの表面に無機粒子を吹きつけ等で付着させる際、吹き付け速度等を調整することにより、無機フィラメントの表面に無機粒子を食い込ますことも可能である。そして、食い込ますことによるスパイク効果によって、さらに効果的にしっかりと無機粒子を付着させることができる。
その結果、従来の方法と比較して、無機繊維の表面に無機粒子による凹凸が形成されるので、繊維間の摩擦力が増大し、マット材の反発力を充分に向上させることができる。
本発明のマット材の製造方法では、上記無機繊維は、ガラス繊維であることが好ましい。
その場合、上記無機フィラメントを準備する工程では、溶融ガラスを紡糸することにより、ガラスフィラメントを形成することがより好ましい。
本発明のマット材の製造方法では、上記無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
本発明のマット材の製造方法では、上記無機粒子は、アルミナ粒子、シリカ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、イットリア粒子、セリア粒子、カルシア粒子及びマグネシア粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記の無機粒子は、ガラス繊維等の無機繊維との親和性が高いため、無機繊維にしっかりと付着することができる。
本発明のマット材の製造方法では、上記無機粒子の平均粒子径は、10〜1000nmであることが好ましい。
無機粒子の平均粒子径が10nm未満である場合、無機粒子が小さすぎ、分散性が悪くなるため、無機繊維に均一に無機粒子を付着させることが困難になる。
一方、無機粒子の平均粒子径が1000nmを超える場合、無機粒子が大きすぎ、無機粒子を無機繊維に付着させることが困難になるため、マット材を効率良く製造しにくくなる。
本発明のマット材の製造方法では、上記無機粒子の付着量は、上記無機フィラメントに対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
無機粒子の付着量が0.1質量%未満である場合、無機粒子が少なすぎるため、マット材の反発力を向上させる効果を充分に得ることができない。一方、無機粒子の付着量が10質量%を超えても、マット材の反発力をさらに向上させることは困難であるため、実用的ではない。
本発明のマット材の製造方法では、上記樹脂性収束剤は、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキサイド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、炭化水素系樹脂、含ハロゲン系樹脂、アクリル酸系樹脂及びABS樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
このように、上述した公知の樹脂を樹脂性収束剤として好適に使用することができる。
本発明のマット材の製造方法では、上記樹脂性収束剤の付着量は、上記無機フィラメントに対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。
樹脂性収束剤の付着量が0.01質量%未満である場合、樹脂性収束剤が少なすぎるため、無機フィラメントを収束しにくくなる。一方、樹脂性収束剤の付着量が10質量%を超えても、無機フィラメントを収束する程度は変わらないため、樹脂性収束剤を無駄に使用することになる。
本発明のマット材の製造方法は、得られた無機繊維ストランドを加熱することにより、上記樹脂性収束剤を焼失させる工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、樹脂性収束剤を焼失させる際の熱を利用して、無機繊維に無機粒子を付着させることができる。その結果、樹脂性収束剤を焼失させた後でも、無機粒子を無機繊維にしっかりと付着させることができる。
本発明のマット材の製造方法は、上記無機繊維ストランドを加熱する前に、上記無機繊維ストランドを用いて、ニードリング法によりマット材を形成する工程をさらに含んでもよい。
無機粒子を含むマット材をニードリング法により製造する方法としては、ニードリング法により形成したマット材を加熱して樹脂性収束剤を焼失させた後、無機粒子を含むゾル溶液にマット材を浸漬し、乾燥させる方法が考えられる。しかし、このような方法では、無機粒子を含むゾル溶液にマット材を浸漬する工程、及び、マット材を乾燥させる工程が必要となる。そのため、全体の工程数が多くなり、製造時間及び製造コストの増大に繋がるという問題が生じる。
これに対し、上記のマット材の製造方法では、上述の通り、樹脂性収束剤を焼失させる際の熱を利用して、無機繊維に無機粒子を付着させることができるため、マット材を乾燥させる工程が不要となる。その結果、全体の工程数を少なくすることができるため、無機繊維及び無機粒子を含むマット材を効率良く製造することができる。
また、本発明のマット材の製造方法は、上記無機繊維ストランドを加熱した後に、上記無機繊維ストランドを用いて、抄造法によりマット材を形成する工程をさらに含んでもよい。
無機粒子を含むマット材を抄造法により製造する方法としては、抄造法により形成したマット材を有機バインダ及び無機バインダを含むゾル溶液に浸漬し、乾燥させる方法が考えられる。しかし、このような方法では、無機粒子の周囲に有機成分が覆った状態で無機繊維に付着するため、無機繊維と無機繊維との接着が有機成分により阻害されてしまう。その結果、マット材の反発力を向上させる効果を充分に得ることができないという問題が生じる。
これに対し、上記のマット材の製造方法では、無機粒子が、有機成分に阻害されることなく無機繊維に接着しやすくなるため、無機粒子を無機繊維にしっかりと付着させることができる。その結果、マット材の反発力を充分に向上させることができる。
本発明のマット材は、本発明のマット材の製造方法により製造されたことを特徴とする。
上述したマット材の製造方法では、無機粒子を無機繊維にしっかりと付着させることができる。そのため、本発明のマット材は、高い反発力を有する。
本発明のマット材では、上記無機繊維の表面に上記無機粒子が食い込んでいてもよい。
無機繊維の表面に無機粒子が食い込んでいると、無機繊維の表面から無機粒子が剥がれにくくなる。従って、マット材から無機粒子が欠落することによる面圧(反発力)の低下を防止することができる。また、無機粒子が食い込むことにより、繊維表面に凹凸ができる。従って、たとえ無機粒子が剥がれたとしても、繊維間の摩擦力が増加するため、マット材自体の面圧(反発力)が増加する効果もある。
本発明の排ガス浄化装置は、
排ガス処理体と、
上記排ガス処理体を収容する金属ケーシングと、
上記排ガス処理体と上記金属ケーシングの間に配設され、上記排ガス処理体を保持する保持シール材とを備える排ガス浄化装置であって、
上記保持シール材は、本発明のマット材であることを特徴とする。
本発明のマット材は高い反発力を有するため、本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材による高い保持力で排ガス処理体をしっかりと保持することができる。
本発明の排ガス浄化装置は、尿素SCR装置として機能することが好ましい。
尿素SCR(Selective Catalytic Reduction、選択的触媒還元)装置は、排ガス浄化装置の一種である。
尿素SCR装置では、以下の方法により、NOxを浄化することができる。まず、ゼオライト等の触媒が担持された排ガス処理体を備えた排ガス浄化装置内に尿素水を噴霧する。そして、尿素の熱分解によってアンモニアを発生させて、ゼオライトの作用によりアンモニア及びNOxを還元させてNとする。
例えば、ガラス繊維を含む従来のマット材を尿素SCR装置の保持シール材として使用した場合、尿素SCR装置の使用時間の経過に伴い、保持シール材の保持力が低下しやすくなる。
これは、従来のマット材を構成するガラス繊維が、尿素SCR装置内に存在する尿素及びアンモニア等のアルカリ成分と反応し、その結果、ガラス繊維が劣化するためではないかと推定されている。
これに対し、本発明のマット材は高い反発力を有するため、尿素SCR装置の保持シール材として使用した場合であっても、保持シール材の保持力が低下することを防止することができる。
本発明の無機フィラメントは、紡糸された無機フィラメントであって、その表面に無機粒子が食い込んでいることを特徴とする。
無機フィラメントを形成した直後は、無機フィラメントの表面が柔らかくなっている。そのため、形成した直後の無機フィラメントの表面に無機粒子を付着させると、無機フィラメントの表面に無機粒子が食い込みやすくなる。従って、このような無機フィラメントを用いてマット材を製造すると、無機繊維の表面から無機粒子が剥がれにくいため、高い反発力を有するマット材とすることができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法において、ガラス繊維ストランドを得るまでの工程の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の第一実施形態に係るマット材の一例を模式的に示す斜視図である。 図3(a)は、本発明の第一実施形態に係るマット材に含まれるガラス繊維及び無機粒子を示す模式図である。図3(b)は、従来のマット材に含まれるガラス繊維及び無機粒子を示す模式図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の製造方法の一例を模式的に示す斜視図である。 図7は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明のマット材の製造方法、マット材、及び、排ガス浄化装置の一実施形態である第一実施形態について説明する。
(マット材の製造方法)
本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法は、
ガラス繊維及び無機粒子を含むマット材の製造方法であって、
溶融ガラスを紡糸することにより、ガラスフィラメントを形成する工程と、
上記ガラスフィラメントの表面に、無機粒子を付着させる工程と、
上記無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する工程と、
上記樹脂性収束剤を塗布したガラスフィラメントを収束することにより、ガラス繊維ストランドを得る工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法は、
得られたガラス繊維ストランドを用いて、ニードリング法によりマット材を形成する工程と、
上記ガラス繊維ストランド(マット材)を加熱することにより、上記樹脂性収束剤を焼失させる工程とをさらに含む。
まず、ガラス繊維ストランドを得るまでの工程について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法において、ガラス繊維ストランドを得るまでの工程の一例を示す模式図である。
まず、予めガラス繊維として利用するに相応しいガラス組成となるように調合された各種のガラス原料をガラス溶融炉で溶解する。その後、攪拌等の操作を行い、均質な状態にする。ガラス繊維の組成については後述する。
次いで、図1に示すように、溶融ガラスMをブッシング1に流入させる。ブッシング1の底面には、多数のノズル2が設けられている。
そして、溶融ガラスMをノズル2から引き出し、冷却することにより、ガラスフィラメントFを形成することができる。
図1に示すように、ブッシング1の下方には、無機粒子を付着するためのスプレー3が設けられている。
スプレー3によって、ガラスフィラメントFの表面に無機粒子が付着される。
スプレー3の下方には、樹脂性収束剤を塗布するためのローラー4が設けられている。
ローラー4によって、無機粒子を付着させたガラスフィラメントFの表面に樹脂性収束剤が塗布される。これにより、無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面が樹脂性収束剤で被覆される。
その後、樹脂性収束剤が塗布されたガラスフィラメントFは、収束ローラー5によって収束されることにより、ガラス繊維ストランドSとなる。
以上の工程によって、ガラス繊維ストランドを得ることができる。
ガラス原料の組成、溶融ガラスをノズルから引き出す速度、ノズルの孔径、及び、冷却条件等については、製造するマット材の用途及び製造効率等に応じて最適な条件を選択することができる。
ガラスフィラメントの直径は、6〜15μmであることが好ましく、10〜13μmであることがより好ましい。
ガラスフィラメントの直径が6μm未満である場合、現実問題としてガラスフィラメントが切れやすくなり、所望の嵩密度を得るのに時間を要してしまうため、生産性が低下する傾向にある。
一方、直径が15μmを超えるガラスフィラメントには充分な柔軟性がない。従って、そのようなガラス繊維に力がかかった場合、ガラス繊維が破壊されやすくなる。
無機粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、イットリア粒子、セリア粒子、カルシア粒子及びマグネシア粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の無機粒子は、ガラス繊維との親和性が高いため、ガラス繊維にしっかりと付着することができる。
これらの中では、アルミナ粒子又はシリカ粒子が好ましい。また、耐熱性及びガラスへの付着性が良いことを理由に、アルミナ粒子がさらに好ましい。
また、無機粒子としては、中空になっている粒子を使用することもできる。
無機粒子としては、適宜、最適な物質及び粒子形状を選択すればよい。
無機粒子の平均粒子径は、10〜1000nmであることが好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。
無機粒子の平均粒子径が10nm未満である場合、無機粒子が小さすぎ、分散性が悪くなるため、ガラス繊維に均一に無機粒子を付着させることが困難になる。
一方、無機粒子の平均粒子径が1000nmを超える場合、無機粒子が大きすぎ、無機粒子をガラス繊維に付着させることが困難になるため、マット材を効率良く製造しにくくなる。
無機粒子の付着量は、ガラスフィラメントに対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
無機粒子の付着量が0.1質量%未満である場合、無機粒子が少なすぎるため、マット材の反発力を向上させる効果を充分に得ることができない。一方、無機粒子の付着量が10質量%を超えても、マット材の反発力をさらに向上させることは困難であるため、実用的ではない。
本発明の第一実施形態において、ガラスフィラメントの表面には、無機粒子が食い込んでいてもよい。
ガラスフィラメントを形成した直後は、ガラスフィラメントの表面が柔らかくなっている。そのため、形成した直後のガラスフィラメントの表面に無機粒子を付着させると、ガラスフィラメントの表面に無機粒子が食い込みやすくなる。従って、このようなガラスフィラメントを用いてマット材を製造すると、ガラス繊維の表面から無機粒子が剥がれにくいため、高い反発力を有するマット材とすることができる。
ガラスフィラメントの表面に無機粒子を付着させる方法としては、水、有機溶媒又は両者の混合液に、無機粒子を溶解又は懸濁させた処理液を準備し、ガラスフィラメントの表面に上記処理液を塗布することが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール又はエタノール等のアルコール、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。
処理液中の無機粒子の濃度は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
これにより、ガラスフィラメントに対する無機粒子の付着量を0.1〜10質量%に制御することができる。
ガラスフィラメントの表面に無機粒子を付着させる方法としては、図1に示すようなスプレー塗布が好ましいが、特に限定されない。例えば、ローラー塗布、浸漬塗布、吹き付け塗布、又は、流し塗布等によってガラスフィラメントの表面に無機粒子を付着させてもよい。
樹脂性収束剤としては、それ自体公知の樹脂をすべて使用することができる。
例えば、樹脂性収束剤として、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキサイド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、炭化水素系樹脂、含ハロゲン系樹脂、アクリル酸系樹脂及びABS樹脂等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、ポリビニルアルコール樹脂又はポリエチレンオキサイドが好ましい。また、ガラス繊維ストランドを用いてスラリーを調合する際の開繊のしやすさを理由に、ポリビニルアルコール樹脂がより好ましい。
樹脂性収束剤の付着量は、ガラスフィラメントに対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
樹脂性収束剤の付着量が0.01質量%未満である場合、樹脂性収束剤が少なすぎるため、ガラスフィラメントを収束しにくくなる。一方、樹脂性収束剤の付着量が10質量%を超えても、ガラスフィラメントを収束する程度は変わらないため、樹脂性収束剤を無駄に使用することになる。
無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面に樹脂性収束剤を塗布する方法としては、樹脂性収束剤の有機溶媒溶液を準備し、ガラスフィラメントの表面に上記有機溶媒溶液を塗布することが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール又はエタノール等のアルコール、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。
有機溶媒溶液中の樹脂性収束剤の濃度は、0.05〜5質量%であることが好ましい。
これにより、ガラスフィラメントに対する樹脂性収束剤の付着量を0.01〜10質量%に制御することができる。
ガラスフィラメントの表面に樹脂性収束剤を塗布する方法としては、図1に示すようなローラー塗布が好ましいが、特に限定されない。例えば、浸漬塗布、吹き付け塗布、流し塗布、又は、スプレー塗布等によってガラスフィラメントの表面に樹脂性収束剤を塗布してもよい。
1本のガラス繊維ストランドには、ガラスフィラメントが10〜4000本含まれていることが好ましく、50〜2000本含まれていることがより好ましく、100〜1000本含まれていることがさらに好ましい。
1本のガラス繊維ストランドに10本未満のガラスフィラメントが含まれている場合、ガラス繊維ストランドを巻き取って回収する際、ガラスフィラメントの量が少ないために多く巻き取らなければならない。その結果、生産効率が低下しやすくなる。
一方、1本のガラス繊維ストランドに4000本を超えるガラスフィラメントが含まれている場合、ガラス繊維ストランドが曲がりにくくなり、巻き取って回収しにくくなる。また、ガラス繊維ストランドが曲がりにくいために強い力で巻き取らなければならず、ガラスフィラメントに対して大きな負荷をかけてしまう。その結果、ガラス繊維の破損を招きやすくなる。
次に、ガラス繊維ストランドを得た後の工程について説明する。
本発明の第一実施形態では、「ニードリング法」により、マット材を作製する。「ニードリング法」とは、ガラス繊維を含むシート状物にニードルを抜き差しすることにより、マット材を作製する方法の総称である。
まず、ガラス繊維ストランドを堆積又は積層することにより、所定の大きさの連続したシート状物を作製する。
続いて、上記シート状物の少なくとも一方の表面にニードリング処理を行うことにより、ニードリング処理体を作製する。
ニードリング処理を行うことによって、マット材を構成するガラス繊維をより強く絡み合わせることができる。従って、マット材を保持シール材として使用する際、ガラス繊維の飛散を効果的に防止することができる。
ニードリング法には、ニードリング装置を用いることができる。
ニードリング装置は、突き刺し方向(通常は上下方向)に往復移動可能なニードルボードと、シート状物の表面および裏面の両面側に設置された一対の支持板とから構成される。ニードルボードには、シート状物に突き刺すための多数のニードルが、例えば約25〜5000個/100cmの密度で取り付けられている。また、各支持板には、ニードル用の多数の貫通孔が設けられている。従って、一対の支持板によってシート状物を両面から押さえつけた状態で、ニードルボードをシート状物の方に近づけたり遠ざけたりすることにより、ニードルがシート状物に抜き差しされ、ガラス繊維が交絡されたマット材が形成される。ニードリング処理が行われたシート状物の断面を観察すると、ニードル痕はシート状物の厚さ方向に観察することができる。
また、ニードリング処理の方法によっては、ニードル痕に角度がついた状態でニードル痕が観察できるシート状物でも良い。ニードル痕の角度の限度としては、厚さ方向を基準として、±60°の角度範囲が好ましい。ニードル痕の角度範囲が±60°以外では、繊維の絡みつきによる厚さ方向の成形力が弱くなるため、シート状物が剥がれる等の不具合が発生しやすくなる。
また、別の構成として、ニードリング装置は、2組のニードルボードを備えていてもよい。各ニードルボードは、それぞれの支持板を有する。2組のニードルボードを、それぞれ、シート状物の表面および裏面に配設して、各支持板でシート状物を両面から固定する。ここで、一方のニードルボードには、ニードリング処理時に他方のニードルボードのニードル群と位置が重ならないように、ニードルが配置されている。また、それぞれの支持板には、両方のニードルボードのニードル配置を考慮して、シート状物の両面側からのニードリング処理時に、ニードルが支持板に当接しないように、多数の貫通孔が設けられている。このようなニードリング装置を用いて、2組の支持板でシート状物を両面側から挟み、2組のニードリングボードでシート状物の両側からニードリング処理を行ってもよい。上記の方法でニードリング処理を行うことにより、処理時間を短縮することができる。
また、ニードル痕をシート状物の断面から観察すると、前述のように、角度がついた状態でニードル痕が観察できてもよい。
その後、上記ニードリング処理体を加熱する。
加熱温度は、600〜800℃(例えば、700℃)であることが好ましい。また、加熱時間は、10分間〜24時間(例えば、20分間)であることが好ましい。
最後に、必要に応じて、上記のように製造したマット材を所定の形状に裁断する。
以上の工程により、マット材を製造することができる。
また、裁断後に、製造ロット管理などの目的から、文字若しくは数字、バーコード、又は、色などにより識別情報をマット材表面に付与してもよい。
ガラスフィラメントに表面に付着した無機粒子、及び、樹脂性収束剤等の有機分の量を工程内で測定する方法を以下に示す。
例えば、無機粒子又は有機分が付着する工程の前後でガラスフィラメントを抜き取り、ガラスフィラメントの単位長さ当たりの重量を算出することで、無機粒子又は有機分の付着量を特定することができる。
また、後述するマット材等の製品としての最終形態での有機分の付着量を測定する方法を以下に示す。
まず、本発明で得られた繊維で製造されたマット材を5cm角で切り抜き、焼成炉で600℃の加熱処理を1時間行うことにより、有機分を完全に焼失させる。そして、加熱処理前後の重量変化から、有機分の付着量を算出することができる。
さらに、後述するマット材等の製品としての最終形態での無機粒子の付着量を測定する方法を以下に示す。ここでは、無機粒子としてアルミナ粒子を用いた場合を説明する。
まず、本発明で得られた繊維で製造されたマット材を5cm角で切り抜き、焼成炉で600℃の加熱処理を1時間行うことにより、有機分を完全に焼失させる。
次に、加熱処理後の繊維(ガラスフィラメント)を乳鉢にて粉砕する。粉砕した繊維に対してICP分析を行い、アルミナ粒子が付着した繊維全体の組成比を測定することにより、シリカとアルミナとの質量比(シリカ:アルミナ=C:D)を求める。なお、C+D=100となるように質量比を求める。
また、加熱処理後の別の繊維(ガラスフィラメント)を樹脂で固めた後、繊維の断面(長手方向に垂直な方向における断面)が出てくるまで研磨する。研磨した繊維の断面に対してEDX分析を行い、アルミナ粒子が付着していない繊維単体の組成比を測定することにより、シリカとアルミナとの質量比(シリカ:アルミナ=A:B)を求める。なお、A+B=100となるように質量比を求める。
得られた質量比を用いて、以下の式により、ガラスフィラメントに対するアルミナ粒子の付着量を算出する。
アルミナ粒子の付着量(質量%)=(A×D−B×C)/C
上記の測定を5回行い、その算術平均値をアルミナ粒子の付着量とする。
なお、無機繊維がガラス繊維以外の場合、及び、無機粒子がアルミナ粒子以外の場合であっても、上記と同様の方法により無機粒子の付着量を算出することができる。
(マット材)
本発明の第一実施形態に係るマット材は、上述した本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法により製造されたことを特徴とするマット材である。
図2は、本発明の第一実施形態に係るマット材の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すマット材10は、所定の長さ(以下、図2中、矢印Lで示す)、幅(図2中、矢印Wで示す)及び厚さ(図2中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板状の形状を有している。
図2に示すマット材10では、マット材10の長さ方向側の端部のうち、一方の端部には凸部11が形成されており、他方の端部には凹部12が形成されている。マット材10の凸部11及び凹部12は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体にマット材10を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
本発明の第一実施形態に係るマット材は、ガラス繊維及び無機粒子を含んでいる。
ガラス繊維の組成は、特に限定されず、Eガラス、ECRガラス、ARガラス、Dガラス又はHガラス等の既知の材質を有するものであってもよい。また、生体溶解性の繊維も含む新規に開発されたガラス組成を有するガラス繊維であってもよい。
無機粒子の種類、平均粒子径、及び、付着量については既に説明したので、その詳細な説明を省略する。
マット材等の製品としての最終形態での無機粒子の粒子径は、以下の方法により計測する。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、マット材を構成する繊維の表面の画像を撮影する。撮影した画像上で、凹凸状態となっている繊維の表面において、粒子状に観察される形状物を無機粒子と認定する。上記粒子状に観察される形状物の径を無機粒子の粒子径として計測する。
また、無機粒子の平均粒子径は、以下の方法により算出する。
マット材を構成する繊維を5本ずつ抜き取って、無機粒子の粒子径を上記方法により計測する。得られた計測値の算術平均値を計算することによって、無機粒子の平均粒子径を算出する。
なお、マット材を構成する繊維がガラス繊維以外の場合であっても、上記と同様の方法により無機粒子の平均粒子径を算出することができる。
図3(a)は、本発明の第一実施形態に係るマット材に含まれるガラス繊維及び無機粒子を示す模式図である。図3(b)は、従来のマット材に含まれるガラス繊維及び無機粒子を示す模式図である。
図3(a)に示すように、本発明の第一実施形態に係るマット材では、ガラス繊維13の表面上に無機粒子14が付着している。これは、本発明の第一実施形態に係るマット材では、ガラスフィラメントの表面に無機粒子が付着された後、樹脂性収束剤が塗布されるためである。
一方、図3(b)に示すように、従来のマット材では、ガラス繊維13の周囲に無機粒子14が存在している。これは、従来のマット材では、樹脂性収束剤と無機粒子とが混合された状態でガラス繊維に付着されるためである。
本発明による第一実施形態に係るマット材では、ガラス繊維の表面に無機粒子が食い込んでいてもよい。
ガラス繊維の表面に無機粒子が食い込んでいると、ガラス繊維の表面から無機粒子が剥がれにくくなる。従って、マット材から無機粒子が欠落することによる面圧(反発力)の低下を防止することができる。また、仮に食い込んだ無機粒子が剥がれたとしても、繊維表面に凹凸ができ、繊維間同士の摩擦力が増加するため、マット材の面圧(反発力)は増加する。
本発明による第一実施形態に係るマット材には、ガラス繊維及び無機粒子の他、有機バインダ等のバインダが含有されていてもよい。
マット材に有機バインダ等のバインダが含有されていると、保持シール材として使用する際、保持シール材の嵩高さを抑えたり、排ガス浄化装置を組み立てる前の作業性を高めたりすることができる。
有機バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、又は、スチレン系樹脂等を使用することができる。
有機バインダの含有量(マット材の総重量に対する有機バインダの重量)は、20重量%以下であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜2.0重量%であることがさらに好ましい。
ただし、マット材に含有される有機バインダは、そのようなマット材を備える排ガス処理装置を使用した際に、排ガス処理装置から排出される有機成分量を増加させる一因となる。従って、有機バインダの含有量は、高温時に有害ガスが発生する可能性があるためにできるだけ少ないことが好ましく、例えば、マット材に全く含有されていなくてもよい。
マット材にバインダを付与する方法としては、例えば、スプレー等を用いてマット材にバインダ溶液を所定量吹きかけることにより、マット材にバインダを付着させる方法、及び、マット材にバインダ溶液を含浸させる方法等が挙げられる。
上記バインダ溶液としては、アクリル系樹脂等の有機バインダを水に分散させて調製したエマルジョンを用いることができる。また、上記バインダ溶液には、アルミナゾル等の無機バインダが適宜含まれていてもよい。
本発明による第一実施形態に係るマット材には、さらに膨張材が含有されていてもよい。膨張材は、400〜800℃の範囲で膨脹する特性を有するものが好ましい。
マット材に膨張材が含有されていると、400〜800℃の範囲でマット材が膨張するようになるため、ガラス繊維の強度が低下する700℃を超えるような高温域においても、保持シール材として使用する際の保持力を向上させることができる。
膨張材としては、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨脹性黒鉛、及び、膨脹性フッ化雲母等が挙げられる。これらの膨張材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、マット材の全重量に対して5〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。
(排ガス浄化装置)
本発明の第一実施形態に係るマット材は、排ガス浄化装置の保持シール材として使用することが好ましく、特に、尿素SCR装置の保持シール材として使用することが好ましい。
以下、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置について説明する。
図4は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示す排ガス浄化装置100は、多数のセル131がセル壁132を隔てて長手方向に並設された柱状の排ガス処理体130と、排ガス処理体130を収容する金属ケーシング120と、排ガス処理体130と金属ケーシング120との間に配設され、排ガス処理体130を保持する保持シール材110とから構成されている。保持シール材110は、排ガス処理体130の周囲に巻き付けられている。
金属ケーシング120の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
なお、図4に示す排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130として、各々のセルにおけるいずれか一方が封止材133によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いている。
図4に示す排ガス浄化装置100では、保持シール材110として、図2に示したマット材10が用いられている。
上述した構成を有する排ガス浄化装置100を排ガスが通過する場合について、図4を参照して以下に説明する。
図4に示すように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置100に流入した排ガス(図4中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130の排ガス流入側端面130aに開口した一のセル131に流入し、セル131を隔てるセル壁132を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁132で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面130bに開口した他のセル131から流出し、外部に排出される。
次に、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体(ハニカムフィルタ)及び金属ケーシングについて説明する。
なお、排ガス浄化装置を構成する保持シール材の構成については、本発明の第一実施形態に係るマット材として既に説明しているので省略する。
まず、排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体について説明する。
図5は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
図5に示すように、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130は、主に多孔質セラミックからなり、その形状は略円柱状である。また、ハニカムフィルタ130の外周には、ハニカムフィルタ130の外周部を補強したり、形状を整えたり、ハニカムフィルタ130の断熱性を向上させたりする目的で、外周コート層134が設けられている。
なお、ハニカムフィルタ130の内部の構成については、上述した本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の説明で既に述べた通りである(図4参照)。
次に、排ガス浄化装置を構成する金属ケーシングについて説明する。
金属ケーシングは、主にステンレス等の金属からなり、その形状は、図4に示すように、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、また、図6に示すように、内径が一定である略円筒状であってもよい。
金属ケーシングの内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、排ガス処理体の端面の直径と排ガス処理体に巻付けられた状態の保持シール材(マット材)の厚さとを合わせた長さより若干短くなっていることが好ましい。
続いて、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
図6は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の製造方法の一例を模式的に示す斜視図である。図6では、内径が一定である略円筒状の金属ケーシングを用いた例を示している。
まず、図2に示したマット材10を排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130の周囲に巻き付けることにより、巻付体(保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体)150を作製する巻き付け工程を行う。
巻き付け工程では、従来公知の方法により作製した略円柱形状の排ガス処理体130の外周に、マット材10を凸部11と凹部12とが嵌合するようにして巻き付ける。
その結果、保持シール材110が巻き付けられた排ガス処理体130である巻付体150を作製することができる。
また、マット材の巻き付けによる割れを防止する目的、又は、マット材から飛散する繊維から作業者を保護する目的のため、巻き付ける際にマット材の表面にフィルム又は不織布を貼り付けてもよい。そして、フィルム又は不織布を貼り付けたマット材を排ガス処理体に巻き付けるときにマット材の柔軟性が足りない場合、フィルム又は不織布の一部または複数の箇所に、繊維が飛散しない程度の同一形状の開口を規則正しく設けてもよい。繊維が飛散しない程度の具体的な開口サイズは、マット材に含まれる無機繊維の繊維長分布の95%下限値以下の最大長である。
次に、作製した巻付体150を、所定の大きさを有する略円筒状であって、主に金属等からなる金属ケーシング140に収容する収容工程を行う。
収容後に保持シール材が圧縮して所定の反発力(すなわち、排ガス処理体を保持する力)を発揮するために、金属ケーシング140の内径は、保持シール材110を巻き付けた排ガス処理体130の保持シール材110の厚さを含めた最外径より少し小さくなっている。
以上の方法により、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置を製造することができる。
収容工程において、巻付体を金属ケーシングに収容する方法としては、例えば、圧入方式(スタッフィング方式)、サイジング方式(スウェージング方式)、及び、クラムシェル方式等が挙げられる。
圧入方式(スタッフィング方式)では、圧入治具等を用いて、金属ケーシングの内部の所定の位置まで巻付体を圧入する。サイジング方式(スウェージング方式)では、巻付体を金属ケーシングの内部に挿入した後、金属ケーシングの内径を縮めるように外周側から圧縮する。クラムシェル方式では、金属ケーシングを、第1の金属ケーシング及び第2の金属ケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、巻付体を第1の金属ケーシング上に載置した後に第2の金属ケーシングを被せて密封する。
巻付体を金属ケーシングに収容する方法の中では、圧入方式(スタッフィング方式)又はサイジング方式(スウェージング方式)が望ましい。圧入方式(スタッフィング方式)又はサイジング方式(スウェージング方式)では、金属ケーシングとして2つの部品を用いる必要がないため、製造工程の数を少なくすることができるからである。
続いて、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の別の一例として、尿素SCR装置について説明する。
図7は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す尿素SCR装置200は、尿素噴霧口210が設けられている以外は、図4に示した排ガス浄化装置100と同様の構成を有している。
尿素SCR装置200において、尿素噴霧口210は、排ガスGが排ガス処理体130内に流入する前段部分(排ガスGの上流側)に設けられており、尿素噴霧口210からは尿素水220が噴霧される。
このような尿素SCR装置200を用いて排ガスを浄化する方法について、図7を参照して以下に説明する。
なお、排ガス中のPMを捕集する方法については、図4に示した排ガス浄化装置100を用いる場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、排ガス中のNOxを浄化する方法について説明する。
尿素SCR装置200においては、尿素水220を排ガス処理体(ハニカムフィルタ)130に向けて噴霧する。すると、尿素水220に含まれる尿素が、排ガスの熱によって熱分解してアンモニア(図示せず)が生じる。
このアンモニアは、尿素SCR装置200に導入された排ガスGとともに排ガス処理体130を通過する。そして、アンモニア及び排ガス中のNOxは、ゼオライト等の触媒が担持されたセル壁132を通過する際、ゼオライト等の作用により還元されてNとなる。その結果、NOxの浄化が達成される。
その後、NOxが浄化された排ガスGは、尿素SCR装置200から排出される。
上記の尿素SCR装置は、排ガスがハニカムフィルタ内に流入する前段部分(排ガスの上流側)に尿素噴霧口を設ける以外は、上述した排ガス浄化装置と同様の方法により製造することができる。
以下に、本発明の第一実施形態に係るマット材の製造方法、マット材、及び、排ガス浄化装置の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のマット材の製造方法では、ガラスフィラメントの表面に無機粒子を付着させた後、樹脂性収束剤を塗布する。
従って、無機粒子が、樹脂に阻害されることなくガラスフィラメントに接着しやすくなる。そのため、無機粒子をガラス繊維(ガラス繊維ストランド)にしっかりと付着させることができる。また、ガラスフィラメントの表面に無機粒子を吹きつけ等で付着させる際、吹き付け速度等を調整することにより、ガラスフィラメントの表面に無機粒子を食い込ますことも可能である。そして、食い込ますことによるスパイク効果によって、さらに効果的にしっかりと無機粒子を付着させることができる。
その結果、従来の方法と比較して、ガラス繊維の表面に無機粒子による凹凸が形成されるので、繊維間の摩擦力が増大し、マット材の反発力を充分に向上させることができる。
(2)本実施形態のマット材の製造方法は、得られたガラス繊維ストランドを加熱することにより、樹脂性収束剤を焼失させる工程をさらに含む。
この場合、樹脂性収束剤を焼失させる際の熱を利用して、ガラス繊維に無機粒子を付着させることができる。その結果、樹脂性収束剤を焼失させた後でも、無機粒子をガラス繊維にしっかりと付着させることができる。
(3)本実施形態のマット材の製造方法は、ガラス繊維ストランドを加熱する前に、ガラス繊維ストランドを用いて、ニードリング法によりマット材を形成する工程をさらに含む。
本実施形態のマット材の製造方法では、上述の通り、樹脂性収束剤を焼失させる際の熱を利用して、ガラス繊維に無機粒子を付着させることができるため、マット材を乾燥させる工程が不要となる。その結果、全体の工程数を少なくすることができるため、ガラス繊維及び無機粒子を含むマット材を効率良く製造することができる。
(4)本実施形態のマット材は、本実施形態の製造方法により製造されたことを特徴とする。
上述したマット材の製造方法では、無機粒子をガラス繊維にしっかりと付着させることができる。そのため、本実施形態のマット材は、高い反発力を有する。
(5)本実施形態の排ガス浄化装置では、保持シール材として、本実施形態のマット材が用いられている。
本実施形態のマット材は高い反発力を有するため、本実施形態の排ガス浄化装置では、保持シール材による高い保持力で排ガス処理体をしっかりと保持することができる。
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(マット材の製造)
(実施例1)
まず、ECRガラスのガラス繊維となるように調合した各種ガラス原料を溶融炉中で溶融し、均質な状態にした。
次いで、溶融炉の底部に設けられたブッシングに溶融ガラスを導入し、ノズルから溶融ガラスを引き出し、冷却することにより、ガラスフィラメントを形成した。この際、ガラスフィラメントの直径が12μmとなるように、溶融ガラスをノズルから引き出す速度、及び、冷却条件を調整した。
引き出されたガラスフィラメントの表面に、無機粒子を含む処理液をスプレーによって連続的に塗布した。これにより、ガラスフィラメントの表面に無機粒子が付着する。
処理液としては、無機粒子としてアルミナ粒子(平均粒子径30nm)を15質量%含む溶媒を使用した。
続いて、無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面に、樹脂性収束剤をローラーによって連続的に塗布した。これにより、無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面が樹脂性収束剤で被覆される。
樹脂性収束剤としては、ポリエチレンオキサイドを0.5質量%含む溶媒を使用した。
その後、樹脂性収束剤を塗布したガラスフィラメントを収束ローラーによって800本収束することにより、1本のガラス繊維ストランドを得た。
得られたガラス繊維ストランドの無機粒子の付着量は10質量%であり、樹脂性収束剤の付着量は0.5質量%であった。
次に、ガラス繊維ストランドを積層することにより、所定の大きさの連続したシート状物を作製した。
シート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードリング処理を行うことにより、ニードリング処理体を作製した。
まず、ニードルが25個/100cmの密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行った。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
ニードリング処理体を700℃で20分間加熱した後、ニードリング処理体をその長手方向と垂直方向に切断することにより、実施例1のマット材を製造した。
製造したマット材は、平面視略矩状であり、長さ150mm×幅150mm×厚さ12mmであった。
(比較例1)
ガラスフィラメントの表面に、無機粒子を含む処理液をスプレーによって連続的に塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス繊維ストランドを得た。また、ガラス繊維ストランドを用いて、実施例1と同様の方法によりマット材を作製した。
無機粒子としてアルミナ粒子(平均粒子径30nm)を15質量%含むゾル溶液を調製した。この無機バインダをマット材に含浸させた。
無機バインダが付着したマット材を脱水機で吸引脱水した後、130℃で加熱熱風乾燥することにより、比較例1のマット材を製造した。
(面圧の測定)
実施例1及び比較例1のマット材について、以下の方法により、面圧を測定した。
なお、面圧の測定には、マット材を圧縮する板の部分に加熱ヒーターを備えた熱間面圧測定装置を使用した。
また、面圧を測定するためのサンプルとして、実施例1のマット材を直径50mmのトムソン刃型で打ち抜くことにより、マット材のサンプルを作製した。また、比較例1のマット材についても同様にサンプルを作製した。
まず、室温状態で、サンプルの嵩密度(GBD)が0.4g/cmとなるまで圧縮し、10分間保持した。
なお、サンプルの嵩密度は、「嵩密度=サンプルの重量/(サンプルの面積×サンプルの厚さ)」で求められる値である。
次に、サンプルを圧縮した状態で50℃/minで500℃まで昇温しながら、嵩密度を0.364g/cmまで開放した。
そして、サンプルを温度500℃を維持したまま、圧縮及び開放を1000回繰り返した後、開放したときの荷重を測定した。
得られた荷重をサンプルの面積で除算することにより、面圧(kPa)を求めた。
実施例1のマット材の面圧は70kPaであり、比較例1のマット材の面圧は50kPaであった。
このように、実施例1のマット材の面圧は比較例1のマット材の面圧よりも高く、実施例1のマット材が高い反発力を有していることが判明した。
従って、実施例1のマット材を排ガス浄化装置の保持シール材として使用した場合、保持シール材による高い保持力で排ガス処理体をしっかりと保持することができると考えられる。
さらに、実施例1のマット材を製造する場合、比較例1のマット材を製造する場合とは異なり、マット材を乾燥させる工程が不要となる。従って、全体の工程数を少なくすることができるため、ガラス繊維及び無機粒子を含むマット材を効率良く製造することができると考えられる。
(第二実施形態)
以下、本発明のマット材の製造方法、マット材、及び、排ガス浄化装置の一実施形態である第二実施形態について説明する。
(マット材の製造方法)
本発明の第二実施形態に係るマット材の製造方法は、
ガラス繊維及び無機粒子を含むマット材の製造方法であって、
溶融ガラスを紡糸することにより、ガラスフィラメントを形成する工程と、
上記ガラスフィラメントの表面に、無機粒子を付着させる工程と、
上記無機粒子を付着させたガラスフィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する工程と、
上記樹脂性収束剤を塗布したガラスフィラメントを収束することにより、ガラス繊維ストランドを得る工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第二実施形態に係るマット材の製造方法は、
得られたガラス繊維ストランドを加熱することにより、上記樹脂性収束剤を焼失させる工程と、
上記ガラス繊維ストランドを加熱した後に、上記ガラス繊維ストランドを用いて、抄造法によりマット材を形成する工程とをさらに含む。
本発明の第二実施形態において、ガラス繊維ストランドを得るまでの工程は、本発明の第一実施形態と同様である。
本発明の第二実施形態では、「抄造法」により、マット材を作製する。「抄造法」とは、抄造型にガラス繊維のスラリーを流し込み、この抄造型を吸引脱水することによりマット材を得る方法の総称である。
まず、得られたガラス繊維ストランドを加熱する。
加熱温度は、600〜800℃(例えば、700℃)であることが好ましい。また、加熱時間は、10分間〜24時間(例えば、20分間)であることが好ましい。
加熱したガラス繊維ストランドを用いて、以下の方法により、スラリーを調製する。
まず、所定量のガラス繊維ストランドと、有機バインダとを水に入れて混合する。この際、無機バインダ及び/又は凝集剤をさらに添加してもよい。また、膨脹材を添加してもよい。
無機バインダとしては、例えば、アルミナゾル及びシリカゾル等を使用することができる。
また、有機バインダとしては、ラテックス等を使用することができる。有機バインダの含有量は、20重量%以下であることが好ましい。有機バインダの含有量が20重量%よりも多くなると、排ガス処理装置から排出される有機成分の量が有意に増加する。
次に、得られた混合物を抄紙器等の混合器内で撹拌し、開繊されたスラリーを調製する。通常、撹拌は、20秒〜1200秒程度行われることが好ましい。
得られたスラリーを、例えば底部に微細な孔の開いた成形器に導入する。さらに、例えば、成形器の下側から、吸引装置等により、水分を吸引し、脱水処理を行うことにより、所定の形状の原料マットを得る。
続いて、上記原料マットをプレス器等を用いて圧縮し、所定の温度で加熱、乾燥させることにより、マット材を作製する。
加熱乾燥処理は、原料マットをオーブン等の熱処理器内に設置し、例えば90〜180℃の温度で、5〜60分間程度行うことが好ましい。さらに好ましくは、通気乾燥装置を使用して減圧環境下のもとで圧縮して行うことで、乾燥時間を劇的に短縮することができる。
また、加熱乾燥処理を所定の条件で行うことにより、マット材の厚さ方向における有機バインダの分布を中心部のみ少なくしたり、多くしたりといったような意図的に不均一にさせることも可能である。好ましい有機バインダの分布としては、マット材の表層側よりも中心部の方に有機バインダが少ない方がよい。その理由として、マット材の中心部を少なくした分の有機バインダを表層側に余分に添着させることで、マット材全体の有機分を維持しつつ、さらに繊維飛散を抑えることができる点が挙げられる。または、マット材全体の有機分を低下させることにより、繊維飛散を維持することができる点も挙げられる。
マット材の厚さ方向における有機分は、上記マット材を5cm角で切り抜き、それを厚さ方向に上部、中部及び下部に3等分に分離して、600℃で1時間燃焼させた場合における上部、中部及び下部でのマット材の重量の減少分を測定することにより測定することができる。
以上の工程により、マット材を製造することができる。
(マット材)
本発明の第二実施形態に係るマット材は、上述した本発明の第二実施形態に係るマット材の製造方法により製造されたことを特徴とするマット材である。
本発明の第二実施形態に係るマット材の構成は、本発明の第一実施形態に係るマット材の構成と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
(排ガス浄化装置)
本発明の第二実施形態に係るマット材は、排ガス浄化装置の保持シール材として使用することが好ましく、特に、尿素SCR装置の保持シール材として使用することが好ましい。
本発明の第二実施形態に係る 排ガス浄化装置では、保持シール材として、本発明の第二実施形態に係るマット材が用いられている。
本発明の第二実施形態に係る排ガス浄化装置の構成は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の構成と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
本発明の第二実施形態では、本発明の第一実施形態において説明した効果(1)、(2)、(4)及び(5)を発揮することができるとともに、以下の効果を発揮することができる。
(6)本実施形態のマット材の製造方法は、ガラス繊維ストランドを加熱した後に、ガラス繊維ストランドを用いて、抄造法によりマット材を形成する工程をさらに含む。
本実施形態のマット材の製造方法では、無機粒子が、有機成分に阻害されることなくガラス繊維に接着しやすくなるため、無機粒子をガラス繊維にしっかりと付着させることができる。その結果、マット材の反発力を充分に向上させることができる。
(実施例)
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、ガラス繊維ストランドを得た。
得られたガラス繊維ストランドの無機粒子の付着量は10質量%であり、樹脂性収束剤の付着量は0.5質量%であった。
次に、得られたガラス繊維ストランドを700℃で20分間加熱した。
加熱後のガラス繊維ストランド27.9gと、アクリル系ラテックス3.5gと、アルミナゾル1gと、水とを混合し、攪拌機で300秒間攪拌することにより、スラリーを調製した。
続いて、底面にろ過用のメッシュが形成された成形槽(長さ150mm×幅150mm×深さ400mm)にスラリーを流し込んだ後、メッシュを介してスラリー中の水を脱水することにより、原料マットを作製した。
作製した原料マットを、加熱圧縮乾燥機で120℃、30分間加熱圧縮することにより、実施例2のマット材を製造した。
製造したマット材は、平面視略矩状であり、長さ150mm×幅150mm×厚さ8mmであった。
(第三実施形態)
以下、本発明のマット材の製造方法、マット材、及び、排ガス浄化装置の一実施形態である第三実施形態について説明する。
(マット材の製造方法)
本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係るマット材の製造方法では、マット材を構成する無機繊維がガラス繊維である場合を説明してきた。
本発明の第三実施形態に係るマット材の製造方法では、無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ−シリカ繊維、又は、生体溶解性繊維等である。これらの無機繊維は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
アルミナ繊維には、アルミナ以外に、例えば、CaO、MgO、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
シリカ繊維には、シリカ以外に、例えば、CaO、MgO、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
アルミナ−シリカ繊維の組成比としては、重量比で、Al:SiO=60:40〜80:20であることが望ましく、Al:SiO=70:30〜74:26であることがより望ましい。
生体溶解性繊維は、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び、ホウ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物からなる無機繊維である。
これらの化合物からなる溶解性繊維は、いわゆる生体溶解性の無機繊維であり、人体に取り込まれても溶解しやすいので、これらの無機繊維が互いに絡み合って構成されたマット材は人体に対する安全性に優れている。上記アルカリ金属化合物としては、例えば、Na、Kの酸化物等が挙げられ、上記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、Mg、Ca、Baの酸化物等が挙げられ、上記ホウ素化合物としては、例えば、Bの酸化物等が挙げられる。
以下、無機繊維がアルミナ−シリカ繊維である場合において、無機繊維ストランドを得るまでの工程について説明する。
まず、Al含有量、及び、AlとClとの原子比が所定の値となるように調製された塩基性塩化アルミニウム溶媒に、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=60:40〜80:20(重量比)となるようにシリカゾルを添加する。さらに、成形性向上を目的として有機重合体を適量添加して混合液を調製する。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸することにより、所定の平均繊維径を有する無機繊維前駆体(無機フィラメント)を作製する。
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出す高速のガス流(空気流)の中に、紡糸用混合物供給用ノズルから押し出される紡糸用混合物を供給することによって無機繊維前駆体の紡糸を行う方法のことをいう。
その後、本発明の第一実施形態で説明した方法により、無機繊維前駆体(無機フィラメント)の表面に無機粒子を付着させ、無機粒子を付着させた無機フィラメントの表面に樹脂性収束剤を塗布し、樹脂性収束剤を塗布した無機フィラメントを収束する。
以上の工程によって、無機繊維ストランドを得ることができる。
次に、無機繊維ストランドを得た後の工程について説明する。
無機繊維がアルミナ−シリカ繊維である場合においても、本発明の第一実施形態で説明したニードリング法によりマット材を作製してもよいし、本発明の第二実施形態で説明した抄造法によりマット材を作製してもよい。
ニードリング法及び抄造法の具体的な工程については既に説明しているので、その詳細な説明を省略する。
無機繊維がアルミナ−シリカ繊維であるマット材をニードリング法により作製する場合、ニードリング処理体を加熱する温度は、700〜1400℃(例えば、1250℃)であることが好ましい。また、ニードリング処理体を加熱する時間は、0.5〜2時間であることが好ましい。
無機繊維がアルミナ−シリカ繊維であるマット材を抄造法により作製する場合、無機繊維ストランドを加熱する温度は、700〜1400℃(例えば、1250℃)であることが好ましい。また、無機繊維ストランドを加熱する時間は、0.5〜2時間であることが好ましい。
さらに、原料マットの加熱乾燥処理は、例えば90〜180℃の温度で、5〜60分間程度行うことが好ましい。
なお、無機繊維がアルミナ−シリカ繊維以外の場合であっても、ガラス繊維又はアルミナ−シリカ繊維と同様の方法により、無機繊維ストランドを得ることができ、マット材を作製することができる。
(マット材)
本発明の第三実施形態に係るマット材は、上述した本発明の第三実施形態に係るマット材の製造方法により製造されたことを特徴とするマット材である。
本発明の第三実施形態に係るマット材の構成は、本発明の第一実施形態に係るマット材の構成と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
(排ガス浄化装置)
本発明の第三実施形態に係るマット材は、排ガス浄化装置の保持シール材として使用することが好ましく、特に、尿素SCR装置の保持シール材として使用することが好ましい。
本発明の第三実施形態に係る 排ガス浄化装置では、保持シール材として、本発明の第三実施形態に係るマット材が用いられている。
本発明の第三実施形態に係る排ガス浄化装置の構成は、本発明の第一実施形態に係る排ガス浄化装置の構成と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
本発明の第三実施形態では、本発明の第一実施形態及び第二実施形態において説明した効果(1)〜(6)と同様の効果を発揮することができる。
(実施例)
以下、本発明の第三実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例3)
まず、Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム溶媒に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して無機繊維前駆体(無機フィラメント)を作製した。
無機繊維前駆体の平均繊維長は100mmであり、平均繊維径は12μmであった。
作製した無機繊維前駆体(無機フィラメント)の表面に、無機粒子を含む処理液をスプレーによって連続的に塗布した。これにより、無機繊維前駆体の表面に無機粒子が付着する。
処理液としては、無機粒子としてアルミナ粒子(平均粒子径30nm)を15質量%含む溶媒を使用した。
続いて、無機粒子を付着させた無機繊維前駆体(無機フィラメント)の表面に、樹脂性収束剤をローラーによって連続的に塗布した。これにより、無機粒子を付着させた無機繊維前駆体の表面が樹脂性収束剤で被覆される。
樹脂性収束剤としては、ポリエチレンオキサイドを0.5質量%含む溶媒を使用した。
その後、樹脂性収束剤を塗布した無機繊維前駆体(無機フィラメント)を収束ローラーによって800本収束することにより、1本の無機繊維ストランドを得た。
得られた無機繊維ストランドの無機粒子の付着量は10質量%であり、樹脂性収束剤の付着量は0.5質量%であった。
得られた無機繊維ストランドを実施例1と同様の方法で積層することにより、所定の大きさの連続したシート状物を作製した。
シート状物に対して、実施例1と同様の方法でニードリング処理を行うことにより、ニードリング処理体を作製した。
ニードリング処理体を最高温度1250℃で加熱した後、ニードリング処理体をその長手方向と垂直方向に切断することにより、実施例3のマット材を製造した。
製造したマット材は、平面視略矩状であり、長さ150mm×幅150mm×厚さ12mmであった。
(その他の実施形態)
本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係るマット材には、本発明の第一実施形態で説明したガラス繊維以外に、本発明の第三実施形態で説明した無機繊維が含まれていてもよい。
ただし、本発明の実施形態に係るマット材においては、本発明の第一実施形態で説明したガラス繊維が、マット材を構成する繊維全体の50重量%以上含まれていることが好ましい。また、本発明の実施形態に係るマット材は、繊維として、本発明の第一実施形態で説明したガラス繊維のみを含むことがより好ましい。
本発明の実施形態に係るマット材の製造方法は、無機繊維ストランドを加熱することにより樹脂性収束剤を焼失させる工程を含んでいなくてもよい。
また、本発明の実施形態に係るマット材の製造方法は、樹脂性収束剤を焼失させる工程を含む場合であっても、無機繊維ストランドを加熱する前に、無機繊維ストランドを用いて、ニードリング法によりマット材を形成する工程、又は、無機繊維ストランドを加熱した後に、無機繊維ストランドを用いて、抄造法によりマット材を形成する工程を含んでいなくてもよい。
本発明の実施形態に係るマット材を構成する無機繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、9〜15μm(例えば、11μm)であることが好ましく、9〜13μmであることがより好ましい。
無機繊維の平均繊維径が9〜15μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材として使用する際のせん断強度を向上させることができる。
なお、「繊維の平均繊維径」とは、ランダムに採取した300本の繊維の直径を走査型電子顕微鏡(SEM)により測定し、これらの直径を平均した値をいう。
本発明の実施形態に係るマット材を構成する無機繊維の平均繊維長は、特に限定されないが、30μm〜120mmであることが好ましく、0.1mm〜100mmであることがより好ましい。
無機繊維の平均繊維長が30μm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材として使用する際のせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が120mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材の製造時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
なお、「繊維の平均繊維長」とは、ランダムに採取した100本の繊維の全長を平均した値をいう。
本発明の実施形態に係るマット材の端面に形成された凹部及び凸部の形状は、凹部と凸部とが嵌合することができる形状であれば特に限定されないが、一組の凹部及び凸部からなる場合には、一方の端面の一部に幅10mm×長さ10mm〜幅300mm×長さ100mmの大きさに渡って突出した凸部が形成されており、他方の端面の一部にそれに嵌合する形状の凹部が形成されていることが望ましい。
このような凹部及び凸部の形状を有するマット材を保持シール材として用いて排ガス浄化装置を製造する場合には、保持シール材で排ガス処理体を確実に保持することができるので、取り扱い性に優れることとなる。
凸部の大きさが、幅10mm×長さ10mmよりも小さい場合、及び、幅300mm×長さ100mmよりも大きい場合には、排ガス処理体にマット材を巻き付けた際に、マット材の端面同士との接触面積が少ないため、マット材の端面同士が当接されにくくなる。その結果、保持シール材が排ガス処理体を保持しにくくなる。
なお、本発明の実施形態に係るマット材において、上記マット材の端面には、互いに嵌合する複数の凹部及び凸部が形成されていてもよいし、凹部及び凸部が形成されていなくてもよい。
本発明の第一実施形態に係るマット材において説明した「平面視略矩形」とは、図2に示したような、凸部及び凹部を含む概念である。また、「平面視略矩形」には、マット材の角部が、90°以外の角度を有する形状も含まれる。例えば、マット材の角部が、鋭角又は鈍角を有する形状であってもよいし、曲率を有する形状であってもよい。
本発明の実施形態に係るマット材の目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜5000g/mであることが望ましく、1000〜3000g/mであることがより望ましい。マット材の目付量が200g/m未満であると、保持シール材としての保持力が充分ではなく、マット材の目付量が5000g/mを超えると、マット材の嵩が低くなりにくい。そのため、このようなマット材を保持シール材として用いて排ガス浄化装置を製造する場合、排ガス処理体がケーシングから脱落しやすくなる。
また、マット材の嵩密度(巻付体をケーシングに圧入する前の保持シール材の嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cmであることが望ましい。マット材の嵩密度が0.10g/cm未満であると、繊維の絡み合いが弱く、繊維が剥離しやすいため、マット材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。また、マット材の嵩密度が0.30g/cmを超えると、マット材が硬くなり、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、マット材が割れやすくなる。
本発明の実施形態に係るマット材の厚さは、特に限定されないが、2〜50mmであることが望ましく、6〜20mmであることがより望ましい。
マット材の厚さが2mm未満であると、保持シール材としての保持力が充分ではない。そのため、このようなマット材を保持シール材として用いて排ガス浄化装置を製造する場合、排ガス処理体がケーシングから脱落しやすくなる。また、マット材の厚さが50mmを超えると、マット材が厚すぎるため、排ガス処理体への巻き付け性が低下し、マット材が割れやすくなる。
本発明の実施形態に係るマット材を排ガス浄化装置の保持シール材として用いる場合、排ガス浄化装置を構成する保持シール材の枚数は特に限定されず、1枚の保持シール材であってもよいし、互いに結合された複数枚の保持シール材であってもよい。
複数枚の保持シール材を結合する方法としては、特に限定されず、例えば、ミシン縫いで保持シール材同士を縫合する方法、粘着テープ又は接着材等で保持シール材同士を接着する方法等が挙げられる。
本発明の実施形態に係るマット材において、マット材の製造に用いられる有機バインダとしては、アクリル系樹脂に限られず、例えば、アクリルゴム等のゴム、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等であってもよい。これらの中では、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に望ましい。
本発明の実施形態に係るマット材において、マット材の製造に用いられるエマルジョン(バインダ溶液)には、上述した有機バインダが複数種類含まれていてもよい。
また、上記バインダ溶液としては、上述した有機バインダを水に分散させたラテックスの他に、上述した有機バインダを水又は有機溶媒に溶解させた溶液等であってもよい。
この場合、ガラス転移点Tg(℃)が−5〜1℃である有機バインダを用いることが好ましい。さらに、エマルジョン粒径が80〜110nmであるエマルジョンを用いることが好ましい。
上記範囲のような低いガラス転移点Tg(℃)を有する有機バインダを用いると、有機バインダは、常温(例えば、上記有機バインダのガラス転移点以上の温度)において、運動性の高いゴム状態を示すことができる。それ故、上記マット材を保持シール材として排ガス処理体及び金属ケーシングに組み付ける際には、有機バインダが、マット材に含まれる無機繊維同士を結合すると共に優れた伸張性を示し、保持シール材に加えられる衝撃等のダメージを吸収することができる。
また、エマルジョン粒径が上記範囲から外れる場合には、マット材の表面にエマルジョンを充分均一に含浸させにくくなる。なお、エマルジョン粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて、例えば100個のエマルジョン粒子についてその粒径を測定し、その平均値を求めること等により測定することができる。
本発明の実施形態に係るマット材において、マット材の製造に用いられるエマルジョン(バインダ溶液)には、無機バインダがさらに含まれていてもよい。
上記バインダ溶液に無機バインダが含まれる場合、無機バインダとしては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を構成するケーシングの材質は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属類が挙げられる。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を構成するケーシングの形状は、略円筒型形状の他、クラムシェル型形状、ダウンサイジング型形状等を好適に用いることができる。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の形状は、柱状であれば特に限定されず、略円柱状の他に、例えば、略楕円柱状や略角柱状等任意の形状、大きさのものであってもよい。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体としては、コージェライト等からなり、図5に示したように一体的に形成された一体型ハニカム構造体であってもよく、あるいは、炭化ケイ素等からなり、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含む接着材層を介して複数個結束してなる集合型ハニカム構造体であってもよい。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体には、触媒が担持されていてもよい。
排ガス処理体に担持されている触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、酸化セリウム等の金属酸化物等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の実施形態に係る排ガス浄化装置において、排ガス処理体がハニカム構造体である場合、セルに封止材が設けられずに、セルの端部が封止されていなくてもよい。この場合、排ガス処理体は、白金等の触媒を担持させることによって、排ガス中に含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分を浄化する触媒担体として機能する。
本発明のマット材の製造方法においては、紡糸された無機フィラメントを準備する工程と、上記無機フィラメントの表面に、無機粒子を付着させる工程と、上記無機粒子を付着させた無機フィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する工程と、上記樹脂性収束剤を塗布した無機フィラメントを収束することにより、無機繊維ストランドを得る工程とを含むことを必須の構成要素としている。また、本発明のマット材においては、本発明のマット材の製造方法により製造されたことを必須の構成要素としている。さらに、本発明の排ガス浄化装置においては、本発明のマット材を保持シール材として用いることを必須の構成要素としている。
係る必須の構成要素に、本発明の第一実施形態、本発明の第二実施形態、本発明の第三実施形態、及び、本発明のその他の実施形態で詳述した種々の構成(例えば、無機繊維の組成、マット材の形状、排ガス浄化装置の構成等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
1 ブッシング
2 ノズル
3 スプレー
4 ローラー
5 収束ローラー
10 マット材
11 凸部
12 凹部
13 ガラス繊維
14 無機粒子
100 排ガス浄化装置
110 保持シール材
120、140 金属ケーシング
130 排ガス処理体(ハニカムフィルタ)
130a 排ガス処理体の排ガス流入側端面
130b 排ガス処理体の排ガス流出側端面
131 セル
132 セル壁
133 封止材
134 外周コート層
150 巻付体(保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体)
200 尿素SCR装置
210 尿素噴霧口
220 尿素水
M 溶融ガラス
F ガラスフィラメント
S ガラス繊維ストランド
G 排ガス

Claims (12)

  1. 無機繊維及び無機粒子を含むマット材の製造方法であって、
    紡糸された無機フィラメントを準備する工程と、
    前記無機フィラメントの表面に、無機粒子を付着させる工程と、
    前記無機粒子を付着させた無機フィラメントの表面に、樹脂性収束剤を塗布する工程と、
    前記樹脂性収束剤を塗布した無機フィラメントを収束することにより、無機繊維ストランドを得る工程とを含むことを特徴とするマット材の製造方法。
  2. 前記無機繊維は、ガラス繊維である請求項1に記載のマット材の製造方法。
  3. 前記無機フィラメントを準備する工程では、溶融ガラスを紡糸することにより、ガラスフィラメントを形成する請求項2に記載のマット材の製造方法。
  4. 前記無機繊維は、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のマット材の製造方法。
  5. 前記無機粒子は、アルミナ粒子、シリカ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、イットリア粒子、セリア粒子、カルシア粒子及びマグネシア粒子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  6. 前記無機粒子の平均粒子径は、10〜1000nmである請求項1〜5のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  7. 前記無機粒子の付着量は、前記無機フィラメントに対して、0.1〜10質量%である請求項1〜6のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  8. 前記樹脂性収束剤は、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキサイド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、炭化水素系樹脂、含ハロゲン系樹脂、アクリル酸系樹脂及びABS樹脂からなる群より選択される少なくとも1種からなる請求項1〜7のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  9. 前記樹脂性収束剤の付着量は、前記無機フィラメントに対して、0.01〜10質量%である請求項1〜8のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  10. 得られた無機繊維ストランドを加熱することにより、前記樹脂性収束剤を焼失させる工程をさらに含む請求項1〜9のいずれかに記載のマット材の製造方法。
  11. 前記無機繊維ストランドを加熱する前に、前記無機繊維ストランドを用いて、ニードリング法によりマット材を形成する工程をさらに含む請求項10に記載のマット材の製造方法。
  12. 前記無機繊維ストランドを加熱した後に、前記無機繊維ストランドを用いて、抄造法によりマット材を形成する工程をさらに含む請求項10に記載のマット材の製造方法。
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