JP5926756B2 - ルリコナゾールを含有する製剤の評価方法及び指標物質 - Google Patents

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本発明は、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性の評価方法及びそれに有用なアミド体からなる指標物質に関する。
ルリコナゾールは、真菌に対する作用に優れる抗真菌剤であり、現在足白癬、体部白癬に対する医薬として広く使われ、爪白癬に対する作用にも応用されようとしている。ルリコナゾールの製剤には、ルリコナゾールのSE体あるいはZ体等への立体異性化、塗布直後における結晶析出などが解決されるべき問題として知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3,特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)
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しかしながら、以下に示されるルリコナゾールのアミド体の存在については知られておらず、製剤における溶剤選択において、この物質の生成の有無が重要な課題になることも全く知られていなかった。
また、このアミド体はルリコナゾールのシアノ基に水が付加して生じると考えられるが、その存在の予測とは裏腹にルリコナゾール原体を加速試験にかけても、苛酷試験にかけてもほとんど生じない。すなわち、存在の予測はされるものの、実態の捉えられていない物質であった。従って、製剤化の段階において、溶媒の種類により、保存条件下、この様な化合物が生成することは推測しがたい。また、SE体或いはZ体は比較的加速試験や苛酷試験で生じやすいことから、アミド体の生成メカニズムはSE体、Z体とは異なると考えられる。
一方、本発明者等は、ルリコナゾールの製剤化においては、選択する溶剤の種類によっては、SE体やZ体と異なる類縁物質が出現することを経験しており、この類縁物質の特定と、製剤成分との関係を明らかにすることが、ルリコナゾール製剤化のカギになるとの認識を持つに至っている。
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本発明はこのような状況下為されたものであり、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性をより高める技術を提供することを課題とする。
このような状況に鑑みて、本発明者等は、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性をより高める技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ルリコナゾールを含有する製剤の安
定性の阻害要因として、アミド体の経時的生成が存在することを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、ルリコナゾールを含有する製剤においては、その構成成分の種類によって、SE体、Z体の生成とは独立にアミド体が生成する可能性がある。このものの生成量を、ルリコナゾールのSE体、Z体の生成量と共に、安定性指標に加え評価することにより、より安定なルリコナゾールを含有する製剤が得られることを見いだし、発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は次に示すとおりである。
<1> ルリコナゾールを含有する製剤の安定性の評価方法であって、
苛酷条件又は加速条件での保存による、下記式(2)に示されるルリコナゾールのSE体の生成量、下記式(3)に示されるルリコナゾールのZ体の生成量、及び下記式(1)に示されるルリコナゾールのアミド体の生成量を測定し、SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ5質量%以下であることを以て、安定性の高い製剤であると判別する、評価方法。
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<2> 前記SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ0.2質量%以下である、<1>に記載の評価方法。
<3> 前記苛酷条件及び加速条件がそれぞれ、60℃3週間及び40℃6ヶ月の条件である、<1>又は<2>に記載の評価方法。
<4> 前記ルリコナゾールを含有する製剤は、多価アルコール又はそのエーテル、二塩基酸エステル、芳香族アルコール、ケトン、トリグリセライド及び複素環系溶剤から選択される1種又は2種以上の成分を含有する、<1>〜<3>の何れかに記載の評価方法。
<5> 前記多価アルコール又はそのエーテルは、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びポリプロピレングリコールから選択されるものであり、
二塩基酸エステルは、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及び炭酸プロピレンから選択されるものであり、
芳香族アルコールは、ベンジルアルコールであり、
ケトンは、アセトン又はメチルエチルケトンであり、
トリグリセライドは、中鎖脂肪酸トリグリセライド又はオリーブ油であり、
複素環系溶剤はN−メチル−2−ピロリドン又はN−エチル−2−ピロリドンである、<4>に記載の評価方法。
<6> 1)ルリコナゾールと、2)多価アルコール又はそのエーテル、二塩基酸エステル、芳香族アルコール、ケトン、トリグリセライド及び複素環系溶剤から選択される1種又は2種以上の成分とを含有する医薬製剤であって、
苛酷条件又は加速条件での保存による、下記式(2)に示されるルリコナゾールのSE体の生成量、下記式(3)に示されるルリコナゾールのZ体の生成量、及び下記式(1)に示されるルリコナゾールのアミド体の生成量を測定し、SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ、5質量%以下である、医薬製剤。
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<7> 前記苛酷条件又は加速条件での保存による、SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ、0.2質量%以下である、<6>に記載の医薬製剤。
<8> 下記式(1)に示されるルリコナゾールのアミド体からなる、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性の指標物質であって、
該安定性の指標物質は、下記式(2)に示されるルリコナゾールのSE体、下記式(3)に示されるルリコナゾールのZ体を指標物質とする安定性の評価を補完するものである、指標物質。
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<9> 下記式(1)に示されるルリコナゾールのアミド体。
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本発明によれば、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性をより高める技術を提供することができる。
<1>本発明の評価方法
本発明の評価方法は、ルリコナゾールを含有する製剤の安定性の評価方法であって、苛酷条件又は加速条件での保存による、上記に示す構造のルリコナゾールのSE体の生成量、上記に示す構造のZ体の生成量、及び上記に示す構造のアミド体の生成量を測定し、SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、少ないことを以て、安定性の高い製剤であると判別することを特徴とする。
ここで、苛酷条件とは60℃で3週間の保存条件を言い、加速条件とは40℃で6ヶ月の保存条件を言う。ルリコナゾールを含有する製剤の安定性においては、苛酷条件と加速条件とでは極めて良好な一致性を見ている。従って、どちらの条件を採用してもかまわない。また、40℃6ヶ月の保存は、医薬品の製造承認申請において、室温3年の保存の結果と代替しうる条件として知られている。
一方、ルリコナゾールのアミド体([R-(E)]-α-[4-(2,4-dichlorophenyl)-1,3-dithiolan-2-ylidene]-1H-imidazole-1-acetamide)については、ルリコナゾールの原体からの分解などによる生成は非常に起こりにくく、原体の苛酷試験、加速試験などではほとんど生じない。シアノ基は通常、酸又は塩基によって容易に水の付加を受け、アミド体を生成することが知られているが、ルリコナゾールの場合にはこの一般論が当てはまらない。これは、ジチオラン環、側鎖二重結合、側鎖二重結合に結合したイミダゾリル基、ジチオラン環に結合した置換フェニル基と続く共役構造により、シアノ基が安定化しているためであると考えられる。このため、ルリコナゾールの安定性の指標としては、加速条件乃至は苛酷条件でのSE体の生成量とZ体の生成量の多少が用いられてきた。
しかしながら、製剤化研究の過程において、加速条件又は苛酷条件におけるSE体の生成量、Z体の生成量とは独立して、配合された成分の影響を受けて、製剤の加速条件乃至は苛酷条件での保存の結果、アミド体の生成が認められ、使用する配合成分を変える場合にはアミド体の生成量を、SE体の生成量、Z体の生成量に加えて安定性の指標とすべきことを本発明者等は見いだした。
ルリコナゾールのアミド体を製造する場合には、ルリコナゾールを銅やイリジウム、アルミナ、ハイドロキシアパタイトなどのような金属触媒の存在下、水とともに処理することにより、製造できる。又、ルリコナゾールを含水エタノール中で酸やアルカリ作用させることによっても得られるが、前記のような触媒が存在することが好ましい。斯くして得られた、アミド体は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーやオクタデシル修飾シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーや酢酸エチル・ノルマルヘキサン
混液、エタノール、イソプロパノールなどからの再結晶などにより、精製され、指標物質として供される。ルリコナゾールのアミド体は、前述のごとく、通常条件では生成しにくい物質であるため、前記のような触媒の存在下で反応させることが好ましく、このような触媒存在下の反応であっても、アミド体への転化の割合は低いため、カラムクロマトグラフィーなどによる精製過程が必須となる。指標物質としては、純度が90%以上であることが好ましい。
かかる成分の確認は、HPLCにて行うことが出来る。なお、ルリコナゾールの類縁体の確認においては、ルリコナゾールとSE体あるいはZ体のような異性体との識別のためにキラル順相カラムを用いることが多いが、キラル順相カラムの溶出条件では化学式(1)に示されるアミド体は検知されにくいため、アルキルスルホン酸塩等の陽イオン捕捉性カウンターイオンを用いた逆相カラムを用いた条件で検討することが好ましい。この様な分析条件としては、次にあげるものが好ましく例示できる。この条件では、SE体あるいはZ体などの主要類縁体もルリコナゾールとともに検知できる。この方法を採用することにより、本発明の評価方法の3つの指標物質を同時に計測することができる。これらのSE体、Z体及びアミド体の3つの指標物質の測定は、次の条件のHPLCによって為すことができる。
カラム;Inertsil ODS−2 4.6×150mm、カラム温度;40℃、移動相;0.13%1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム混液(水/アセトニトリル/酢酸(100)(54:45:1、v/v/v))溶液、流速;1.0mL/min.、検知;295nm
本発明の評価方法の対象は、ルリコナゾールを含有する製剤である。ルリコナゾールの製剤化において、選択した溶剤の種類によっては、40〜60℃の高温保存下、化学式(1)に示されるアミド体が生成する。アミド体そのものの抗真菌活性は低いことから、アミド体の発生は、製剤の活性の低下につながる。
この様なアミド体の発生には、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコールの添加が要因として把握されている。多価アルコール以外にも、アジピン酸ジエチルなどの二塩基酸エステル、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン、中鎖脂肪酸トリグリセライドのようなトリグリセライド、N−メチル−2−ピロリドン等の複素環系溶剤などがアミド体を生成しうる溶剤として例示できる。
調製した製剤において、かかる指標物質が、増加した場合、溶剤を取り分け、多価アルコール等のアミド体を生成しうる溶剤を他の溶剤に置換することにより、かかるアミド体の生成量を変えることが出来る。斯くして、製剤の安定性を担保することが出来る。
この製剤の安定性のガイドラインとなるのは、40℃で6ヶ月の保存(加速条件)或いは60℃で3週間の保存(苛酷条件)において、ルリコナゾールの配合量に対してアミド体の生成量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく例示できる。これは、この範囲にあれば、製剤の活性に実質的に影響を与えないからである。さらに、生成量が0.2質量%以下であれば、類縁体としての寄与度が少ない。日本国においては、この様な量範囲の原体関連物質は、薬事法上類縁体には分類されないからである。
さらに、この様な化学式(1)に示されるアミド体の含有量を測定し、製品の評価に用いて、製品品質を保証するために用いることもできる。この様な場合、製品の品質に係わる製造工程に、化学式(1)に示されるアミド体の含有量を測定する作業を組み込むこと
が好ましい。前記製品の品質に係わる製造工程としては、例えば、ルリコナゾールを溶剤などに溶解させる工程などが好適に例示できる。また、製造された製品の保存工程に、アミド体の含有量を測定する作業を組み込むことも好ましい。
この時、同時にキラルカラムを用いて、SE体やZ体の生成量を計測し、これらの生成をコントロールすることも製品品質を向上せしめる上で好ましい。特に、SE体の生成メカニズム、Z体の生成メカニズムはそれぞれ異なり、且つ、アミド体の生成メカニズムとも異なるため、どれか一つの生成を抑制したのみでは、他の類縁体が増えることになりかねないためである。
SE体あるいはZ体の測定は次に示すHPLC条件でHPLCによって行うことができる。最終製品においては、化学式(1)に示されるアミド体、化学式(2)に示されるSE体及び化学式(3)に示されるZ体がそれぞれ、ルリコナゾールの配合量に対して好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以下である。この様な医薬製剤は本発明の医薬製剤の好ましい態様であり、この様な態様において、長期間の安定性が確保できる。
<SE体、Z体の測定条件>
HPLC条件:カラム;CHIRALCEL OD−RH 4.6×150mm、カラム温度;35℃、移動相;メタノール/1.8%ヘキサフルオロリン酸カリウム水溶液の混液(83:17、v/v)、流速;0.56mL/min.、検知;295nm
ルリコナゾールを含有する製剤に用いられる溶剤としては、多価アルコールがあげられる。多価アルコールとしては、一般的には、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン等が例示できる。そのエーテル体としては、炭素数1〜4のアルキルエーテルが好適に例示できる。具体的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が例示できる。
重合体の重合度は、通常2〜50、好ましくは3〜30程度である。
このうち、1,3−ブタンジオールは、通常、アミド体生成促進の傾向が著しい。多価アルコールでも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等はその傾向は少なく、1,3−ブタンジオールに対してかえって生成抑制傾向にある。従って、1,3−ブタンジオールを含有する製剤でアミド体の生成が著しい場合には、これをポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールに置換することにより、アミド体の生成を抑えることが出来る。
この様な抑制のためには、ポリエチレングリコールであれば、製剤全量に対して20〜50質量%含有されることが好ましく、より好ましくは28〜35質量%含有されることが例示できる。また、ポリプロピレングリコールについては、製剤全量に対して15〜40質量%含有されることが好ましく、17〜25質量%含有されることがより好ましい。これは含有量が多すぎると、ルリコナゾールとの相溶性を損なう場合が存し、少なすぎると、アミド体の抑制効果が認められなくなるためである。この様な構成を採用することにより、アミド体の生成を抑制し、40℃6ヶ月の加速条件下でも、60℃3週間の苛酷条件でも、該アミド体の生成量は10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下に抑えることが出来る。このように多価アルコール或いはそのエーテルには、アミド体の生成を促す成分と、アミド体の生成を抑制する成分とが存在するため、本発明の評価方法により、その安定性を確認することが必要となる。
本発明の評価方法を適用する、ルリコナゾールを含有する製剤に用いられる多価アルコ
ールとしては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びポリプロピレングリコールから選択されるものが好ましく例示できる。多価アルコールとしては、製剤全量に対して5〜70質量%含有されることが好ましい。
このようなアミド体の生成を促進する成分と、抑制する成分が同一の包括概念に含まれるものは、溶剤が例示できる。
ルリコナゾールを含有する製剤に用いられる溶剤としては、多価アルコールの他、例えば、炭酸プロピレン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルなどの二塩基酸エステル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香族アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、オリーブ油などのトリグリセライド或いはN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、ピロリドンカルボン酸エチルなどの複素環系溶剤等が好ましく例示できる。
中でも、二塩基酸エステルとしてはアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及び炭酸プロピレンから選択されるものが好ましく、芳香族アルコールとしてはベンジルアルコールが好ましく、複素環系溶剤はN−メチル−2−ピロリドン又はN−エチル−2−ピロリドンが特に好ましく、ケトンとしては、アセトン又はメチルエチルケトンが好ましく、トリグリセライドとしては中鎖脂肪酸トリグリセライド又はオリーブ油が好ましい。二塩基酸エステル、芳香族アルコール、ケトン、トリグリセライド及び複素環系溶剤等の溶剤は、製剤全量に対して、1〜30質量%含有されることが好ましい。
<2>本発明の医薬製剤
本発明の医薬製剤は、1)ルリコナゾールと、2)多価アルコール又はそのエーテル、二塩基酸エステル、芳香族アルコール、ケトン、トリグリセライド及び複素環系溶剤から選択される1種又は2種以上の成分とを含有する医薬製剤であって、苛酷条件又は加速条件での保存による、上記に示す構造のSE体の生成量、上記に示す構造のZ体の生成量、及び上記に示す構造のアミド体の生成量を測定し、SE体の生成量、Z体の生成量、及びアミド体の生成量が、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ、5質量%以下であることを特徴とする。
ルリコナゾールは、例えば、特開昭60−218387号に記載されている方法に従って合成することができる。即ち、以下のように、1−シアノメチルイミダゾールと二硫化炭素とを反応させ、(III)の化合物を得、これと脱離基を有する一般式(II)の化合物と反応させることにより、かかる一般式(I)に表される化合物を得ることができる。かかる脱離基としては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はハロゲン原子等が好適に例示できる。
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式中Y、Y'はメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はハロゲン原子等の脱離基を表し、Mはアルカリ金属を表す。R及びXは、Clを表す。
本発明の医薬製剤における、ルリコナゾールの好ましい含有量は、0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、更に好ましくは1〜10質量%である。
このような製剤は、多価アルコール又はそのエーテルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びポリプロピレングリコールから選択されるものを含有し、二塩基酸エステルとしてのアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及び炭酸プロピレンから選択されるもの、芳香族アルコールとしてのベンジルアルコール、複素環系溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン又はN−エチル−2−ピロリドンを、ケトンとしてのアセトン又はメチルエチルケトンを、トリグリセライドとしての中鎖脂肪酸トリグリセライド又はオリーブ油を含有することが好ましい。このような成分を含有する製剤において、加速条件或いは苛酷条件での保存の後にアミド体がルリコナゾールの配合量に対して、5質量%以下に、より好ましくは1質量%以下に、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下に制御されていることを特徴とする。本発明の医薬製剤では、アミド体以外に、SE体、Z体も加速条件或いは苛酷条件での保存の後にそれぞれ5質量%以下に、より好ましくは1質量%以下に、更に好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下に制御されていることを特徴とする。このような医薬製剤は、前記本発明の医薬製剤の評価方法の成果物として得られる。
本発明の製剤には、ルリコナゾール及び前記溶剤以外に、他の溶剤、着色剤、抗酸化剤、キレート剤、乳化・分散剤、ポリビニルピロリドン等の可溶化剤、崩壊剤、賦形剤、結合剤、被覆剤、矯味矯臭剤、乳酸等の安定化剤等を適宜加えて、常法に従って処理することにより製造できる。
本発明の医薬製剤は、ルリコナゾールの特性を利用し、真菌による疾病の治療又は悪化の予防に用いることが好ましい。真菌による疾病としては、水虫のような足部白癬症、カンジダ、デンプウのような体部白癬症、爪白癬のようなハードケラチン部分の白癬症が例示でき、その効果が顕著なことから、爪白癬のようなハードケラチン部分の処置に用いることが特に好ましい。本発明の医薬製剤の効果は爪に特に好適に発現されるが、通常の皮
膚真菌症にも及ぶので、本発明の構成を充足する皮膚真菌症に対する医薬製剤も本発明の技術的範囲に属する。この様な皮膚真菌症としては、足白癬症や足白癬症の内、かかとなどに現れる角質増殖型の白癬症などが例示できる。上記皮膚真菌症においては、通常の薬剤が効果を奏しにくい角質増殖型の白癬症への適用が本発明の効果が著しく現れるので好ましい。
その使用態様は、患者の体重、年令、性別、症状等を考慮して適宜選択できるが、通常成人の場合、ルリコナゾールを1日当たり0.01〜1g投与するのが好ましい。また、真菌による疾病に通常使用されているルリコナゾールの使用量を参考にすることができる。
例えば外用剤であれば、一日に一回又は数回、疾病の箇所に適量を塗布することが例示でき、かかる処置は連日行われることが好ましい。特に、爪白癬に対しては、通常の製剤では為し得ない量の有効成分であるルリコナゾールを、爪内に移行せしめることが出来る。これにより、長期間抗真菌剤を飲用することなく、外用のみによって爪白癬を治療することが出来る。又、再発や再感染が爪白癬では大きな問題となっているが、本発明の医薬製剤を、症状鎮静後1〜2週間投与することにより、この様な再発や再感染を防ぐことができる。この様な形態で本発明の医薬製剤は予防効果を奏する。
<3>本発明の指標物質
本発明の指標物質は、上記に示す構造のルリコナゾールのアミド体からなる、ルリコナゾール製剤の安定性の指標物質であって、
該安定性の指標物質は、ルリコナゾールのSE体、ルリコナゾールのZ体を指標物質とする安定性の評価を補完するものであることを特徴とする。
「安定性の評価を補完する」とは、本発明の指標物質が、ルリコナゾールのSE体、ルリコナゾールのZ体と共にルリコナゾール製剤の安定性の指標物質として用いられるものであることを意味する。
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加える。
<実施例1>
ルリコナゾール1kgを10%含水エタノール溶液に溶解し、シリカゲルを10g加えて1時間加熱乾留した。冷却後、シリカゲルを濾別し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し46.41gのアミド体粗生成物を得た。このものをエタノールから3回再結晶し、2.6gの精製物を得た。このものの示性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3、ppm):3.617(dd、1H)、3.639(dd、1H)、5.554(dd、1H)、6.993(s、1H)、7.231〜7.311(m、2H)、7.447〜7.664(m、3H)
m.p.:238〜244℃
<実施例2>
以下に示す処方に従って、ルリコナゾール製剤1を作製した。即ち、処方成分を加熱、攪拌、可溶化して、室温まで攪拌冷却し、ルリコナゾール製剤を得た。このルリコナゾール製剤を60℃3週間の温度条件で保存し、保存後の製剤をHPLC法にて確認したところ、ルリコナゾールのピーク以外に、3つのピークが確認され、このピークに相当する化合物をカラムクロマトグラフィーで精製し、NMR及び質量分析にて構造を決定した。最も生成量の多いものは、アミド体であった。即ち、このことより、系によってはアミド体が重要な類縁物質となることが判る。
HPLC条件:カラム;Inertsil ODS−2 4.6×150mm、カラム温度;40℃、移動相;0.13%1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム混液(水/アセトニトリル/酢酸(100)(54:45:1、v/v/v))溶液、流速;1.0mL/min.、検知;295nm
又、SE体、Z体の含有量の測定もHPLCで行い、そのHPLC条件は、カラム;CHIRALCEL OD−RH 4.6×150mm、カラム温度;35℃、移動相;メタノール/1.8%ヘキサフルオロリン酸カリウム水溶液の混液(83:17、v/v)、流速;0.56mL/min.、検知;295nmであった。
Figure 0005926756
<実施例3>
実施例2と同様に、製剤2、3を作製した。これらの60℃3週間保存でのアミド体も同様に測定した。結果は、表2に示す。これより、1,3−ブタンジオールはアミド体生成の要因になっていることが判る。この様に、安定化阻害要因を鑑別する指標としてもアミド体は使用できることが判る。
Figure 0005926756
<実施例4>
以下に示す処方に従って、製剤4を作製した。このものも60℃3週間の保存条件でアミド体の生成を抑制していることが判る。これはポリエチレングリコール400の添加によるものと考えられる。これより、ポリエチレングリコールには、ポリプロピレングリコールと同様にアミド体の生成を抑制する作用が存するものと考えられる。
Figure 0005926756
本発明は、ルリコナゾールの製剤設計、製剤評価等に応用できる。

Claims (1)

  1. ルリコナゾールを含有する医薬製剤の鑑別方法であって、
    医薬製剤全量に対して、1)1〜10質量%のルリコナゾール、2)1〜30質量%のベンジルアルコール及び二塩基酸エステル、3)15〜40質量%のポリプロピレングリコールを含有させる工程、及び、
    苛酷条件(60℃3週間)での保存による、下記式(2)に示されるルリコナゾールのSE体の生成量、下記式(3)に示されるルリコナゾールのZ体の生成量、及び下記式(1)に示されるルリコナゾールのアミド体の生成量、ルリコナゾールの配合量に対してそれぞれ0.5質量%以下であることを確認し、医薬製剤として採用する工程を含む、
    医薬製剤の鑑別方法。
    Figure 0005926756
    Figure 0005926756
    Figure 0005926756
    Figure 0005926756
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