JP5924996B2 - 固体高分子形燃料電池の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、セルを構成する電解質膜および電極部(燃料極及び酸素極)が湿潤することによって発電が可能となるため、それら燃料極及び酸素極へ供給するガスに水蒸気を混合するなど、加湿して運転させるのが一般的である。また、燃料電池の長期耐久性が求められる定置用途では、劣化抑制の観点から電池温度とセルへの供給ガスの露点とがほぼ同一の飽和加湿条件での作動が一般的である。
一方、セルへの供給ガスの加湿機能(例えば、燃料極及び酸素極に供給されるガスに水蒸気を含ませるバブラー装置など)を簡略化もしくは削除することによって、システムのコスト低減を図ることができる。例えば、非特許文献1に記載のように、飽和加湿条件でなくても電池の劣化が抑制されるような開発が進められてきた。また、このような低加湿条件においては、発電反応による生成水を如何にセルの湿潤に効率よく利用できるかが発電性能を引き出す上で重要である。そのため、非特許文献2に記載のように、触媒層の濡れを高める等、電池の構成部材の最適化が進められている。
また、特許文献1には、固体高分子形燃料電池の運転中にそのセルの加湿状態(即ち、湿潤状態)をリアルタイムで推測する手法が記載されている。具体的には、固体高分子形燃料電池の通常運転時に、セルの加湿状態を検証する加湿状態検証工程を実行し、その加湿状態検証工程の検証結果に基づいて、通常運転時におけるセルの加湿状態を加湿増大方向又は加湿減少方向に調節する運転方法が記載されている。つまり、特許文献1に記載されている加湿状態検証工程は、固体高分子形燃料電池の通常運転を一旦中断して、セルの出力電流を一定に保持したままセルの温度を上げる又はセルの温度を下げるという特異な運転、或いは、固体高分子形燃料電池の通常運転中に、セルの出力電流を一定に保持したままセルへ供給される燃料ガス及び酸素含有ガスの少なくとも一方の流量を増加させる又はセルへ供給される燃料ガス及び酸素含有ガスの少なくとも一方の流量を減少させるという特異な運転を行うものである。つまり、特許文献1に記載されている加湿状態検証工程は、固体高分子形燃料電池の通常運転を一旦中断してその運転状態を特異な運転状態に変化させることが必要であり、その運転状態を変化させたことによる反応を見て、セルの加湿状態を推測している。
特開2011−216305号公報
Eiji Endoh, ECS Transactions, 16(2), 1229 (2008) 西川, 中村, 松山, 柏, 第15回燃料電池シンポジウム講演予稿集, 123 (2008)
非特許文献2に記載のように生成水を効率よく利用して固体高分子形燃料電池の運転中にそのセルの湿潤状態を適正な状態に保とうとしても、セル内部で生成される水の量やセル内部の温度などが固体高分子形燃料電池の運転状態によって変化するため、それに伴ってセルの湿潤状態は変化し得る。そして、セルの湿潤状態が低いままで発電運転を続ければ、固体高分子電解質膜の劣化は進行する。特に、低負荷運転時は(即ち、燃料電池の出力電流密度が小さくなれば)発電反応による生成水の量が少なく、湿潤不足による固体高分子電解質膜の劣化が引き起こされやすくなるという問題がある。
つまり、固体高分子形燃料電池の運転状態が変化すれば、セルが含む水の量(即ち、湿潤状態)は変化する。従って、セルが含む水の量を減少傾向にさせるような運転状態で固体高分子形燃料電池の運転が継続されれば、セルの湿潤状態が低下して、固体高分子形燃料電池の性能が低下する恐れがある。
尚、特許文献1に記載されている運転方法では、固体高分子形燃料電池の運転中にそのセルの湿潤状態をリアルタイムで推測すること試みているが、そのためには固体高分子形燃料電池の通常運転を一旦中断してその運転状態を変化させる必要がある。従って、固体高分子形燃料電池の運転を不安定にさせる恐れがある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなくセルの湿潤状態の低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の特徴構成は、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定し、
前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さくなるほど、前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算して前記低負荷継続期間を導出する点にある。
上記特徴構成によれば、判定工程において、運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での運転状態が、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する。つまり、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転状態を従来のように変更しなくても、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かが判定される。そして、判定工程で湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、水量増加工程において、セルが含む水の量が増加するように固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる。つまり、発電運転の継続中にセルの湿潤状態が低くなっていたとしても、水量増加工程が行われる所定期間の間にセルの湿潤状態は高められる。その結果、セルの湿潤状態が低下することによって固体高分子形燃料電池の性能が低下し、固体高分子形燃料電池自体の劣化を引き起こすといった事態を未然に回避できる。
従って、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなくセルの湿潤状態の低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法を提供できる。
また、実際のセルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さくなれば、実際にセルで生成される水の量も、その基準とする出力電流密度で運転した場合に生成される水の量よりも少なくなる。つまり、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった低負荷継続期間は、セルで生成される水の量が相対的に少ない期間に対応する。従って、低負荷継続期間の長さが長くなるほど、セルの湿潤状態は低い状態になっていると(即ち、セルの低湿潤状態は進行していると)見なすことができる。従って、低負荷継続期間の長さを指標として用いて、セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを適切に判定できる。
また更に、セルの出力電流密度が小さいほどセルで生成される水の量が少なくなることを考慮すると、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さいほど、セルの低湿潤状態の進行度合いは進むと見なすことができる。つまり、実際に運転された期間が同じであっても、その運転期間でのセルの出力電流密度が小さいほど、セルの低湿潤状態の進行度合いは進む、即ち、セルの出力電流密度が小さいほど低湿潤状態で長い期間運転されたに等しいと見なすことができる。そこで、本特徴構成では、実際のセルの出力電流密度が小さくなるほど、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算することで、合理的な判定結果を得ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の特徴構成は、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定し、
前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度である期間が設定期間継続すると前記低負荷継続期間の長さを零とする点にある。
上記特徴構成によれば、判定工程において、運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での運転状態が、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する。つまり、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転状態を従来のように変更しなくても、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かが判定される。そして、判定工程で湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、水量増加工程において、セルが含む水の量が増加するように固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる。つまり、発電運転の継続中にセルの湿潤状態が低くなっていたとしても、水量増加工程が行われる所定期間の間にセルの湿潤状態は高められる。その結果、セルの湿潤状態が低下することによって固体高分子形燃料電池の性能が低下し、固体高分子形燃料電池自体の劣化を引き起こすといった事態を未然に回避できる。
従って、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなくセルの湿潤状態の低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法を提供できる。
また、実際のセルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さくなれば、実際にセルで生成される水の量も、その基準とする出力電流密度で運転した場合に生成される水の量よりも少なくなる。つまり、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった低負荷継続期間は、セルで生成される水の量が相対的に少ない期間に対応する。従って、低負荷継続期間の長さが長くなるほど、セルの湿潤状態は低い状態になっていると(即ち、セルの低湿潤状態は進行していると)見なすことができる。従って、低負荷継続期間の長さを指標として用いて、セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを適切に判定できる。
また更に、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度にまで増大すると、セルで生成される水の量もその基準とする出力電流密度に相応しい量にまで増大する。つまり、それ以前にどのような出力電流密度で運転が行われていたかに関わらず(即ち、それ以前に導出していた低負荷継続期間の長さに関わらず)、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度になったことで、セルの湿潤状態は高い状態に回復する可能性が高い。従って、それ以前に導出した低負荷継続期間の長さを零にする。
上記目的を達成するための本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の特徴構成は、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる点にある。
上記特徴構成によれば、判定工程において、運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での運転状態が、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する。つまり、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転状態を従来のように変更しなくても、セルが低加湿状態であることに起因する湿潤不足条件を満たすか否かが判定される。そして、判定工程で湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、水量増加工程において、セルが含む水の量が増加するように固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる。つまり、発電運転の継続中にセルの湿潤状態が低くなっていたとしても、水量増加工程が行われる所定期間の間にセルの湿潤状態は高められる。その結果、セルの湿潤状態が低下することによって固体高分子形燃料電池の性能が低下し、固体高分子形燃料電池自体の劣化を引き起こすといった事態を未然に回避できる。
従って、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなくセルの湿潤状態の低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法を提供できる。
また、発電反応を停止してセルの温度を低下させることで、セルの内部に存在している水蒸気の少なくとも一部を凝縮させて水にさせることができる。その結果、水量増加工程において、セルが含む水の量を増加させることができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の別の特徴構成は、前記水量増加工程において、前記セルの出力電流密度が増大するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる点にある。
上記特徴構成によれば、これまでの出力電流密度よりもセルの出力電流密度を増大させることで、単位時間当たりに発電反応によってセルで生成される水の量が増加する。その結果、水量増加工程において、セルが含む水の量を増加させることができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の更に別の特徴構成は、前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる点にある。
上記特徴構成によれば、発電反応を停止してセルの温度を低下させることで、セルの内部に存在している水蒸気の少なくとも一部を凝縮させて水にさせることができる。その結果、水量増加工程において、セルが含む水の量を増加させることができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の更に別の特徴構成は、前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定する点にある。
上記特徴構成によれば、実際のセルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さくなれば、実際にセルで生成される水の量も、その基準とする出力電流密度で運転した場合に生成される水の量よりも少なくなる。つまり、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった低負荷継続期間は、セルで生成される水の量が相対的に少ない期間に対応する。従って、低負荷継続期間の長さが長くなるほど、セルの湿潤状態は低い状態になっていると(即ち、セルの低湿潤状態は進行していると)見なすことができる。従って、低負荷継続期間の長さを指標として用いて、セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを適切に判定できる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の更に別の特徴構成は、前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さくなるほど、前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算して前記低負荷継続期間を導出する点にある。
セルの出力電流密度が小さいほどセルで生成される水の量が少なくなることを考慮すると、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さいほど、セルの低湿潤状態の進行度合いは進むと見なすことができる。つまり、実際に運転された期間が同じであっても、その運転期間でのセルの出力電流密度が小さいほど、セルの低湿潤状態の進行度合いは進む、即ち、セルの出力電流密度が小さいほど低湿潤状態で長い期間運転されたに等しいと見なすことができる。そこで、本特徴構成では、実際のセルの出力電流密度が小さくなるほど、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算することで、合理的な判定結果を得ることができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法の更に別の特徴構成は、前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度である期間が設定期間継続すると前記低負荷継続期間の長さを零とする点にある。
上記特徴構成によれば、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度にまで増大すると、セルで生成される水の量もその基準とする出力電流密度に相応しい量にまで増大する。つまり、それ以前にどのような出力電流密度で運転が行われていたかに関わらず(即ち、それ以前に導出していた低負荷継続期間の長さに関わらず)、セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度になったことで、セルの湿潤状態は高い状態に回復する可能性が高い。従って、それ以前に導出した低負荷継続期間の長さを零にする。
固体高分子形燃料電池を備える燃料電池システムの構成を説明する図である。 セルの構造を説明する図である。 固体高分子形燃料電池の運転方法を説明するフローチャートである。 固体高分子形燃料電池の運転例を示す図である。 水量増加工程により得られる効果を説明する図である。 水量増加工程により得られる効果を説明する図である。
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法について説明する。図1は、固体高分子形燃料電池FCを備える燃料電池システムの構成を説明する図である。図2は、固体高分子形燃料電池FCが有するセルCの構造を説明する図である。
固体高分子形燃料電池FC(以下、「燃料電池FC」と記載する)は、固体高分子電解質膜2(以下、「電解質膜2」と記載する)を燃料極1及び酸素極3で挟んで構成されるセルCを複数積層して備える。また、セルCは、発電時に発生する熱を回収することで燃料電池FCを冷却する冷却部4を含む。尚、図1では図面の簡略化のため、単一のセルCのみを記載する。
図2に示すように、セルCは、電解質膜2を燃料極1及び酸素極3で挟んで構成される。燃料極1はガス拡散層1aと触媒層1bとを備え、ガス拡散層1aとセパレータ13との間の空間に供給された燃料ガスがガス拡散層1aを通って触媒層1bに到達する。触媒層1bは、金属触媒を担持した担体によって構成される。同様に、酸素極3はガス拡散層3aと触媒層3bとを備え、ガス拡散層3aとセパレータ14との間の空間に供給された空気がガス拡散層3aを通って触媒層3bに到達する。セパレータ13とセパレータ14との間の空間には冷却水が流れ、この領域が冷却部4として機能する。
本実施形態では、燃料電池FCのセルCにおいて、燃料極1には改質器5で生成された燃料ガスが供給され、酸素極3には空気が供給されて、発電反応が行われる。
改質器5には、炭化水素を含む原燃料(例えば、メタンを含む都市ガスなど)及び水蒸気が供給される。改質器5は、併設される燃焼器6から与えられる燃焼熱を利用して、原燃料の水蒸気改質を行う。そして、改質器5での水蒸気改質により得られた水素を主成分とする燃料ガスが燃料極1に供給される。
燃料極1では、供給された全ての燃料ガスが発電反応で消費される訳ではない。そのため、燃料極1から排出される燃料極排ガスの中には水素等の燃料ガスの成分が残存している。そこで、燃料極1から排出される燃料極排ガスを燃焼器6へ供給し、同じく燃焼器6へ供給される空気と共に燃焼器6で燃焼する。
燃焼器6で燃焼された後の燃焼排ガスは燃焼器6の外部に排出され、熱交換器7に流入する。酸素極3で発電反応に用いられた後の排空気も熱交換器7に併せて流入する。また、熱交換器7には、貯湯タンク11に貯えられる湯水の一部が循環する湯水循環路10を通ってその湯水が流入する。
その結果、熱交換器7では、湯水循環路10を流れる湯水と、燃焼排ガス及び排空気との熱交換が行われる。つまり、熱交換器7において、湯水循環路10を流れる湯水は、燃焼排ガス及び排空気から熱を回収して昇温される。
冷却部4には、冷却水循環路9を循環する冷却水が供給されて、セルCの冷却が行われる。即ち、冷却水循環路9を循環する冷却水はセルCから熱を回収して昇温される。冷却水循環路9を循環する冷却水(即ち、冷却部4において昇温された冷却水)は熱交換器8にも流入する。また、熱交換器8には、貯湯タンク11に貯えられる湯水の一部が循環する湯水循環路10を通ってその湯水が流入する。
その結果、熱交換器8では、湯水循環路10を流れる湯水と、冷却水循環路9を流れる冷却水(即ち、セルCから熱を回収した後の冷却水)との熱交換が行われる。つまり、熱交換器8において、湯水循環路10を流れる湯水は、セルCから熱を回収して昇温される。
以上のように、燃料電池FC及び燃焼器6で発生した熱は、湯水循環路10を流れる湯水によって熱交換器7及び熱交換器8で回収され、貯湯タンク11において湯水として蓄えられる。
尚、冷却水循環路9を流れる冷却水の流速(即ち、単位時間当たりの冷却水の流量)は冷却水循環路9の途中に設けられるポンプP2によって調節可能であり、湯水循環路10を流れる湯水の流速(即ち、単位時間当たりの湯水の流量)は湯水循環路10の途中に設けられるポンプP1によって調節可能である。
貯湯タンク11に貯えられている湯水は熱利用装置12に供給される。熱利用装置12は、例えば、床暖房装置12a、浴室暖房乾燥装置12b、給湯装置12cなどである。熱利用装置12が、湯水が保有する熱のみを利用する装置(床暖房装置12a、浴室暖房乾燥装置12bなど)の場合、それら熱利用装置12で熱が利用された後の湯水は貯湯タンク11に帰還する。或いは、熱利用装置12が、湯水自体を利用する給湯装置12cなどの場合、貯湯タンク11には湯水は帰還しない。
次に、燃料電池FCの運転方法について説明する。図3は、燃料電池FCの運転方法を説明するフローチャートである。図4は、燃料電池FCの運転例を示す図である。
燃料電池FCのセルCが低加湿の状態になると、電解質膜2のイオン伝導性能が充分に発揮できなくなり、更には電解質膜2の劣化にも至る可能性がある。そこで、本実施形態において、制御装置20は、燃料電池FCのセルCが低加湿の状態で運転される状態が継続されないような運転方法を実行する。
以下に具体的に説明するように、制御装置20は、運転状態検出工程#10と、判定工程#20と、水量増加工程#30とを実行する。図3に示した燃料電池FCの運転方法のフローチャートを、図4に示した運転例を用いて説明する。
制御装置20は、運転状態検出工程#10において、発電運転の継続中に、燃料電池FCの運転状態を検出する。本実施形態では、運転状態検出工程#10で検出する燃料電池FCの運転状態は、セルCの出力電流密度である。セルCの出力電流密度が大きければ、数多くの発電反応が行われたことを示す。つまり、セルCの出力電流密度が大きければ、発電反応により生成される水の量も多くなる。従って、本実施形態では、運転状態検出工程#10において、発電反応により生成される水の量を検出しているのと同等である。
次に、制御装置20は、判定工程#20において、運転状態検出工程#10で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での運転状態がセルCの湿潤不足条件を満たすか否かが判定される。本実施形態では、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に運転状態検出工程#10で検出したセルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さTtotalが設定閾値に達すると湿潤不足条件を満たすと判定する。例えば、実際のセルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さくなれば、実際にセルCで生成される水の量も、その基準とする出力電流密度で運転した場合に生成される水の量よりも少なくなる。つまり、セルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった低負荷継続期間の長さTtotalは、セルCで生成される水の量が相対的に少ない期間に対応する。従って、低負荷継続期間の長さTtotalが長くなるほど、セルCの湿潤状態は低い状態になっていると(即ち、セルCの低湿潤状態は進行していると)見なすことができる。従って、セルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった低負荷継続期間の長さTtotalを指標として用いて、セルCの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを適切に判定できる。
本実施形態では、定格運転時の出力電流密度を、基準とする出力電流密度としている。低負荷継続期間の長さTtotalは、以下の〔数式1〕で表される出力電流密度毎での運転期間Tを積算して導出される。〔数式1〕において、基準とする定格運転時の出力電流密度をAとし、運転状態検出工程#10で検出した実際のセルCの出力電流密度をXとしている。
T=[1−(X/A)]×実時間 ・・・・・・・・・・・・〔数式1〕
数式1から分かるように、定格運転を行っている場合は、運転状態検出工程#10で検出される実際の出力電流密度X=Aとなるので、運転期間T=0となる。
これに対して、運転状態検出工程#10で検出される実際の出力電流密度Xがより小さくなると、〔数式1〕において運転期間Tはより長く換算される。例えば、セルCの出力電流密度が小さいほどセルCで生成される水の量が少なくなることを考慮すると、セルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さいほど、セルCの低湿潤状態の進行度合いは進むと見なすことができる。つまり、実際に運転された期間が同じであっても、その運転期間でのセルCの出力電流密度が小さいほど、セルCの低湿潤状態の進行度合いは進む、即ち、セルCの出力電流密度が小さいほど低湿潤状態で長い期間運転されたに等しいと見なすことができる。そこで、本実施形態では、上記〔数式1〕のように、実際のセルCの出力電流密度が小さくなるほど、セルCの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった運転期間Tを実際よりも長い期間として換算している。
図4には、出力電流密度の時間的な推移の例を示し、併せて出力電流密度毎での運転期間T及び低負荷継続期間の長さTtotalを示す。
時刻t1から時刻t2の間は基準とする定格運転が行われているため、〔数式1〕で導出される運転期間T1=0となる。
時刻t2から時刻t3の間は〔数式1〕で導出される運転期間T2=[1−(0.75A/A)]×(t3−t2)=0.25×(t3−t2)となる。
時刻t3から時刻t4の間は〔数式1〕で導出される運転期間T3=[1−(0.5A/A)]×(t4−t3)=0.5×(t4−t3)となる。
時刻t4から時刻t5の間は定格運転が行われているため、〔数式1〕で導出される運転期間T4=0となる。
時刻t5から時刻t6の間は〔数式1〕で導出される運転期間T5=[1−(0.75A/A)]×(t6−t5)=0.25×(t6−t5)となる。
また、判定工程#20では、運転状態検出工程#10で検出したセルCの出力電流密度が、基準とする定格運転時の出力電流密度である期間が設定期間継続すると低負荷継続期間の長さTtotalを零とする。これは、発電運転が行われている間に定格運転時の出力電流密度よりも小さい出力電流密度での運転(即ち、低湿潤状態での運転)が継続されても、その後に定格運転が一定期間以上行われると、セルCの湿潤状態は高い状態に復帰すると言えるからである。尚、この設定期間の長さは、30分間や1時間など適宜設定可能である。
例えば、図4に示した例では、時刻t2から時刻t4の間では低負荷継続期間の長さTtotalはT2+T3にまで積算されるが、時刻t4以降においてセルCの出力電流密度が定格運転時の出力電流密度である期間が設定期間継続すると、低負荷継続期間の長さTtotalを零とする。
以上のように、判定工程#20において低負荷継続期間の長さTtotalを導出し、その低負荷継続期間の長さTtotalが設定閾値に達すると湿潤不足条件を満たすと判定する。例えば、上記設定閾値として4.5時間という値を採用した場合、この4.5時間という設定閾値は、基準とする定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で6時間(実時間)運転継続した場合に相当する。
次に、制御装置20は、判定工程#20で湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、水量増加工程#30において、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させる。つまり、セルCの湿潤状態が低下して、その低湿潤状態が長期間に渡った場合(即ち、湿潤不足条件を満たした場合に相当)に発生し得るセルCの性能の低下を避けるため、強制的にセルCの湿潤状態を回復させるのがこの水量増加工程#30である。
本実施形態では、水量増加工程#30において、単位時間当たりに発電反応によってセルCで生成される水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を変化させる。具体的には、変化させる燃料電池FCの運転状態はセルCの出力電流密度である。つまり、それ以前に行われていた湿潤低下条件を満たす発電運転における出力電流密度よりも、セルCの出力電流密度を増大させることで、即ち、数多くの発電反応を行わせることで、発電反応により生成される水の量を増加させる。その結果、セルCが含む水の量が増加する。
図5は、第1実施形態の水量増加工程#30により得られる効果を説明する図である。具体的には、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値の時間的な推移について、定格運転を連続して行った場合(図中に「三角印」で示す)と、上記判定工程#20及び上記水量増加工程#30を行った場合(図中に「四角印」で示す)とを比較して説明する。図5に示す実験例では、燃料極1及び酸素極3の電極面積が25cm2である単一セルCを用いて発電運転を行った。運転条件は、燃料極1に供給する燃料ガスとしてH2(80%)及びCO2(20%)の混合ガスを用い、酸素極3に供給する酸素含有ガスとして空気を用い、燃料極1及び酸素極3での発電反応におけるH2及びO2の利用率は共に60%であった。また、燃料ガス及び空気共に露点は30℃である。定格運転時の出力電流密度は300mA/cm2であり、低負荷運転時の出力電流密度は75mA/cm2(即ち、定格運転時の出力電流密度の25%)とした。発電運転中のセル温度は70℃である。
そして、定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で7時間(実時間)連続して低負荷運転を行った後(即ち、上記判定工程#20において低負荷継続期間の長さTtotalの設定閾値を5.25時間とした場合)、上記水量増加工程#30を行った。
図5から分かるように、上記判定工程#20を行いながら、定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で7時間(実時間)連続して低負荷運転を行った場合、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値は時間経過に伴って徐々に増加している。これは、低負荷運転時の発電反応により生成される水の量が少ないために、セルCの湿潤状態が徐々に低下し、電解質膜2のイオン伝導性(即ち、電気抵抗値の逆数)が徐々に低下したためであると考えられる。
そして、7時間(実時間)を経過した時点で水量増加工程#30を実行した。この水量増加工程#30は、セルCを定格運転させることで発電反応により生成される水の量を増加させて行った。図5から分かるように、水量増加工程#30を行うことで、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値は低下し、1時間経過後には定格運転を継続した場合の電気抵抗値に近い値になった。更に、2時間経過後には、定格運転を継続した場合の電気抵抗値と同等になった。
以上のように、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程#30を行うことで、セルCの湿潤状態を定格運転時の状態と同等のレベルにさせることができた。
従って、水量増加工程#30において、セルCが含む水の量が増加するように燃料電池FCの運転状態を所定期間だけ変化させた後は、以前の低負荷運転に復帰させても構わない。
<第2実施形態>
第2実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法は、水量増加工程#30の内容が第1実施形態で説明した水量増加工程#30と異なっている。以下に第2実施形態の固体高分子形燃料電池の運転方法について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態の燃料電池FCの運転方法でも、制御装置20は、運転状態検出工程#10と、判定工程#20と、水量増加工程#30とを実行する。但し、本実施形態の水量増加工程#30は、発電反応を停止させてセルCの温度が低下するように燃料電池FCの運転状態を変化させる工程である。例えば、制御装置20が、燃料電池FCの出力電流密度が零となるように、燃料電池FCの出力端に接続されるインバータ装置や電力負荷装置などの動作を制御して、発電反応を停止させればよい。発電反応を停止させた場合、セルCで生成される水も零になる。但し、発電反応が停止することで、セルCの温度は低下傾向となる。その結果、セルCの内部に水蒸気として存在している水分を結露させて、セルCの湿潤に寄与させることができる。このとき、冷却水を流したままにしておくと、セルCの温度低下を促進することができるので好ましい。
図6は、第2実施形態の水量増加工程#30により得られる効果を説明する図である。具体的には、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値の時間的な推移について、定格運転を連続して行った場合(図中に「三角印」で示す)と、判定工程#20及び水量増加工程#30を行った場合(図中に「四角印」で示す)とを比較して説明する。
図6から分かるように、上記判定工程#20を行いながら、定格運転時の出力電流密度の25%の出力電流密度で7時間(実時間)連続して低負荷運転を行った場合、セルCの燃料極1と酸素極3との間の電気抵抗値は時間経過に伴って徐々に増加している。そして、7時間(実時間)を経過した時点で水量増加工程#30を実行した。この水量増加工程#30は、上述したように発電反応を停止させることにより行った。本実施形態では、発電反応の停止期間は2時間とした。また、この発電反応の停止期間中、冷却水を循環させ続けてセルCの冷却を促進した。そして、2時間の停止後、再び低負荷運転を開始したところ、電気抵抗値は、定格運転時の抵抗値と同等となっていた。以上のように、セルCが含む水の量が増加するように発電反応を停止させる水量増加工程#30を行うことで、セルCの湿潤状態を定格運転時の状態と同等のレベルにさせることができた。
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料電池システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。例えば、改質器5から燃料極1へ供給される燃料ガスを加湿するための加湿装置や、酸素極3に供給される空気を加湿するための加湿装置などを別途設けてもよい。また、貯湯タンク11から熱利用装置12に供給される湯水を昇温するための補助熱源装置などを別途設けてもよい。
<2>
上記実施形態では、本発明に係る固体高分子形燃料電池の運転方法について具体例を挙げて説明したが、上記具体例で挙げた数値等は一例として記載したに過ぎず、それらの値は適宜変更可能である。例えば、水量増加工程#30により得られる効果を図5又は図6を用いて説明する際、燃料ガス及び空気の露点や、出力電流密度や、発電運転中のセル温度などについての具体的な数値を挙げたが、それらの数値は適宜変更可能である。
<3>
上記第1実施形態では、水量増加工程#30として、発電反応により生成される水の量を増加させるためにセルCを定格運転させる場合を例示したが、水の生成量が相対的に少ない運転状態における出力電流密度よりも出力電流密度が増大して、発電反応により生成される水の量が増加すればよく、定格運転させなければならない訳ではない。
また、上記第2実施形態では、水量増加工程#30として、発電反応を停止させてセルCの温度を低下させるときの発電反応の停止期間を2時間とした例を説明したが、発電反応の停止期間の長さは適宜変更可能である。
<4>
上記実施形態では、判定工程#20において、基準とする出力電流密度として、燃料電池FCの定格運転時の出力電流密度の値を採用した場合を例示したが、それとは異なる出力電流密度の値を上記基準とする出力電流密度としてもよい。例えば、定格運転時の出力電流密度の80%の値などを、判定工程#20において基準とする出力電流密度として採用してもよい。
本発明は、固体高分子形燃料電池の運転中にその運転を中断することなく又は運転状態を変更することなくセルの湿潤状態の低下を検出し、それに伴って発生する固体高分子形燃料電池の性能低下及び劣化を抑制できる固体高分子形燃料電池の運転方法に利用可能である。
1 燃料極(セル C)
2 固体高分子電解質膜(セル C)
3 酸素極(セル C)
4 冷却部(セル C)
C セル
FC 固体高分子形燃料電池

Claims (9)

  1. 固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
    発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
    前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
    前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
    前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定し、
    前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さくなるほど、前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算して前記低負荷継続期間を導出する固体高分子形燃料電池の運転方法。
  2. 前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる請求項1に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
  3. 固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
    発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
    前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
    前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
    前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定し、
    前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度である期間が設定期間継続すると前記低負荷継続期間の長さを零とする固体高分子形燃料電池の運転方法。
  4. 前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる請求項3に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
  5. 固体高分子電解質膜を燃料極及び酸素極で挟んで構成されるセルを複数積層して備える固体高分子形燃料電池の運転方法であって、
    発電運転の継続中に、前記固体高分子形燃料電池の運転状態を検出する運転状態検出工程と、
    前記運転状態検出工程で検出した、発電運転の継続中の過去から現在に至る間での前記運転状態が前記セルの低加湿状態に起因する湿潤不足条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程で前記湿潤不足条件を満たしていると判定したとき、前記セルが含む水の量が増加するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を所定期間だけ変化させる水量増加工程と、を有し、
    前記水量増加工程において、発電反応を停止させて前記セルの温度が低下するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる固体高分子形燃料電池の運転方法。
  6. 前記運転状態検出工程で検出する前記固体高分子形燃料電池の運転状態は、前記セルの出力電流密度であり、
    前記判定工程において、発電運転の継続中の過去から現在に至る間に前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が、基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を低負荷継続期間として導出し、当該低負荷継続期間の長さが設定閾値に達すると前記湿潤不足条件を満たすと判定する請求項5に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
  7. 前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さくなるほど、前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度よりも小さい状態であった期間を実際よりも長い期間として換算して前記低負荷継続期間を導出する請求項4に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
  8. 前記判定工程において、前記運転状態検出工程で検出した前記セルの出力電流密度が前記基準とする出力電流密度である期間が設定期間継続すると前記低負荷継続期間の長さを零とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
  9. 前記水量増加工程において、前記セルの出力電流密度が増大するように前記固体高分子形燃料電池の運転状態を変化させる請求項1又は3又は8に記載の固体高分子形燃料電池の運転方法。
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